当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国経済は、米国の通商政策が一部産業に影響を与える中で企業収益の改善に足踏みがみられるものの、個人消費や設備投資の持ち直しを背景に緩やかな景気回復が継続しました。先行きにつきましては、米国の通商政策の影響等の懸念が残る一方、物価対策最優先を掲げた新内閣の経済対策への期待が高まっています。
警備分野においては、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」に示されているように、自然災害からの復旧・復興に取り組むことはもとより、「安全・安心な社会」の実現等に取り組むとされているほか、サイバー空間の脅威、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者が被害に遭うことへの懸念、街中での犯罪や事故の増加、インフラ老朽化などを背景に、警備業界に対する社会の期待は高まっており、当社グループに対しては、警備を含むトータルでの安全・安心に関するサービス提供が求められております。加えて、2022年以降、刑法犯認知件数が3年連続で前年を上回っているほか、全国で相次ぐ強盗事件や一部外国人による犯罪の発生等を受けて国内の体感治安が悪化しており、安全・安心を提供する当社グループの役割は増大していると言えます。
このような情勢の中、当社グループは、持続可能な社会への貢献を目指し、社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティ事業、FM事業等、介護事業、海外事業)を行う事業者として、適切にサービス提供を継続してまいりました。今期最終年度となる「Grand Design 2025」に掲げておりますとおり、「社会の多様な安全・安心ニーズに対応する強靭な綜合安全安心サービス業」を目指して、リスクが多様化する中で拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに応えるべく、警備・設備・介護等の多様なサービス機能を組み合わせた新たなサービス提供に取り組んでおります。また、物価上昇が続く中、コスト上昇に対応するためお客さまに価格改定をお願いしております。
以上のような取組みを続ける中、当中間連結会計期間における当社グループの連結業績は、前期と比較して順調に改善し、売上高は291,337百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は22,520百万円(前年同期比47.6%増)、経常利益は23,889百万円(前年同期比43.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は14,607百万円(前年同期比48.3%増)となりました。
セグメント別の主要な変動要因は次のとおりであります。
セキュリティ事業につきましては、売上高は209,871百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は22,532百万円(前年同期比33.3%増)となりました。
機械警備事業においては、法人向けサービスとして、ライブ画像確認機能を標準装備し、画像蓄積や遠隔設備制御等のオプションを充実させ、お客様の省人化ニーズにも貢献する「ALSOK-G7(ジーセブン)」の販売を推進しており、引き続きお客様のニーズに合わせてその活用範囲を拡大してまいります。昨年7月には、「ALSOK ITレスキュー」と「ALSOK設備レスキュー」のサービス提供エリアを全国に拡大しました。これらのサービスは、ALSOKの機械警備の既存インフラを活用し、IT機器やビルの設備等に障害等が発生した際にガードマンが駆けつけて専門家による業務支援のもと原因究明や応急処置等を行うサービスです。また、ソーラーパネルを含む各種施設の点検・調査等ドローンを活用した事業の拡大に取り組んでいるほか、今年9月には、お客様のビジネス拠点への物理侵入のリスクと物理侵入後に拠点内部から行われるサイバー攻撃のリスクを多面的に評価した上で改善策を提案する「ALSOK 物理ペネトレーションテスト」サービスの提供を開始し、サイバーセキュリティ事業の拡大にも取り組んでおります。
HOME ALSOK事業においては、国内の体感治安が悪化する中で「HOME ALSOK Connect」を中心に受注が伸長しました。「HOME ALSOK Connect」は、異常が検知された際にALSOKが駆けつける従来型の「オンラインセキュリティ」に加え、お客さまのご依頼に応じてALSOKが現場確認するサービスをオプションとして月額料金を抑えた「セルフセキュリティ」のプランも提供しており、お客さまの多様な安全・安心ニーズに対応する商品です。昨年5月には、スムーズなスマホ認証による警備の開始/解除操作を可能とし、スマホ忘れ防止機能を搭載した「HOME ALSOK Connect」用コントローラー「スマホゲート」の提供を開始しました。その他、高齢者向け見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」等の販売も積極的に推進しております。
常駐警備事業においては、インバウンド需要増大に対応した空港施設の警備、国内回帰がみられる生産拠点の警備等に注力する一方、「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)における会場警備やパビリオン各館等の警備、「東京2025世界陸上競技選手権大会」の警備にも当社グループ全体で対応いたしました。今後につきましては、来年開催される「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」への対応のほか、DX等による常駐警備の省人化・効率化を進めてまいります。
警備輸送事業においては、金融機関の店舗統廃合等により国内のATM台数は減少している一方、現金管理業務の効率化ニーズは依然根強く、ATM綜合管理サービスや入(出)金機オンラインシステム等の販売を推進するとともに、入出金機オンラインシステムを活用して自治体の派出窓口業務を自動化する「税公金受付システム」を提供しております。引き続き、地域金融機関等の業務効率化・コスト低減など様々なアウトソースニーズを捉え、サービス提供の拡大に努めてまいります。
FM事業等につきましては、売上高は40,376百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益は4,516百万円(前年同期比61.8%増)となりました。今年9月には、当社の完全子会社であるALSOKファシリティーズ株式会社が富士通ホーム&オフィスサービス株式会社及びその子会社2社から吸収分割等を経て施設管理事業等を承継し、事業基盤を強化いたしました。引き続きファシリティマネジメント業務等の拡大に取り組むとともに、サステナビリティへの取組み強化の一環としてEV充電設備の販売、設置工事や保守メンテナンス等を提供してまいります。
介護事業につきましては、売上高は27,409百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は1,280百万円(前年同期比54.9%増)となりました。引き続き職員配置の適正化を通じた業務効率化や介護支援ロボット活用等DXによる介護業務の高度化をすすめ、介護事業の統一ブランド『ALSOKの介護』のもとサービス拡充に努めてまいります。
海外事業につきましては、M&Aの効果もあり、売上高は13,679百万円(前年同期比4.3%増)、営業損失は427百万円(前年同期は373百万円の営業損失)となりました。引き続き、日本で培ったノウハウをもとに、国ごとに最適な商品・サービスを提供し、お客様の海外事業をサポートしていくとともに、積極的な事業展開を図ってまいります。
当社は創業60周年を迎えるにあたり、社名を「綜合警備保障株式会社」から「ALSOK株式会社」に変更しました。今回の社名変更を通じて当社及び当社グループは、警備にとどまらず多様な事業領域において、いつでも安全・安心をお届けできる存在として、さらに進化してまいります。
当中間連結会計期間末における総資産は、前期末比8,369百万円増加し、580,772百万円となりました。事務系システム関連の投資等により有形固定資産が3,272百万円、投資有価証券が2,770百万円増加したことが主たる要因であります。
負債の部は、前期末比3,862百万円減少し、192,539百万円となりました。前受金などのその他の流動負債が1,225百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が5,815百万円減少した結果であります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動の結果増加した資金は21,651百万円(前年同期比9.3%増)であります。税金等調整前中間純利益により23,834百万円、減価償却による資金の内部留保により10,300百万円、売上債権の減少により2,611百万円の資金が増加した一方、仕入債務の減少により8,038百万円、法人税等の支払により7,825百万円の資金が減少した結果であります。
なお、警備輸送業務に係る資産・負債の増減額には、警備輸送業務用現金及び短期借入金のうち警備輸送業務用に調達した資金等の増減が含まれております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動の結果使用した資金は11,433百万円(前年同期比156.1%増)であります。有形固定資産の取得により9,310百万円、無形固定資産の取得により2,443百万円の資金が減少した結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動の結果減少した資金は9,790百万円(前年同期比61.4%減)であります。配当金の支払により6,499百万円、リース債務の返済により3,107百万円の資金が減少した結果であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 生産、受注及び販売の状況
(生産実績)
当社グループは生産活動を行っておりませんが、当中間連結会計期間末日現在実施中の契約件数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当中間連結会計期間末 (2025年9月30日) |
前年同期比(%) |
|
|
セキュリティ事業 |
|
|
|
|
機械警備事業 |
(千件) |
598 |
1.3 |
|
HOME ALSOK事業 |
(千件) |
531 |
3.8 |
|
常駐警備事業 |
(千件) |
4 |
5.5 |
|
警備輸送事業 |
(千件) |
92 |
3.3 |
|
合計 |
(千件) |
1,227 |
2.5 |
|
FM事業等 |
(千件) |
135 |
4.6 |
|
介護事業 |
(千件) |
29 |
2.4 |
|
海外事業 |
(千件) |
5 |
18.0 |
|
合計 |
(千件) |
1,397 |
2.8 |
(注)上記件数は、当社グループがサービスを提供している対象先の数ではなく、お客様と約定している長期契約(一定期間継続的にサービスを提供する契約)の数を集計したものであります。各セグメントに含まれる代表的なサービスは、次のとおりです。
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機械警備事業 |
法人向けのALSOKガードシステム各種 |
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HOME ALSOK事業 |
個人向けのホームセキュリティ各種 |
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常駐警備事業 |
ご契約先施設等に警備員を配置する常駐警備 |
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警備輸送事業 |
現金、有価証券等を輸送する現金輸送サービス、入(出)金機オンラインシステム |
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FM事業等 |
設備管理、清掃管理、電話対応、施設の維持、管理、運営業務、消防用設備の点検、AEDのレンタル等 |
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介護事業 |
訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等 |
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海外事業 |
海外子会社が実施するセキュリティ事業、FM事業等、人材派遣等 |
(販売実績)
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当中間連結会計期間 (自 2025年4月1日 至 2025年9月30日) |
前年同期比(%) |
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|
セキュリティ事業 |
|
|
|
|
機械警備事業 |
(百万円) |
89,560 |
8.1 |
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HOME ALSOK事業 |
(百万円) |
12,392 |
4.6 |
|
常駐警備事業 |
(百万円) |
71,921 |
19.6 |
|
警備輸送事業 |
(百万円) |
35,996 |
1.2 |
|
合計 |
(百万円) |
209,871 |
10.2 |
|
FM事業等 |
(百万円) |
40,376 |
21.3 |
|
介護事業 |
(百万円) |
27,409 |
3.6 |
|
海外事業 |
(百万円) |
13,679 |
4.3 |
|
合計 |
(百万円) |
291,337 |
10.7 |
(注)販売実績が総販売実績の10%以上の相手はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費は、総額310百万円であり、主にセキュリティ事業に係るものであります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループにおける研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける自己資金の主たる源泉は、セキュリティ事業を中心としたお客様からの月額料金の収受であり、先行きが見通しやすい安定的な収入を毎月得られております。こうした安定的な自己資金を所与として資金の支出を計画していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。また、外部からの資金調達についても、こうした安定的な自己資金の状況や最近の自己資本比率の動向、主要な金融機関との良好な関係により、安定的に実施できると考えております。
このような資金の源泉に対し、当社グループの主要な資金需要及び資金調達の方法については、以下のとおりです。
(運転資金需要)
当社グループにおける運転資金需要のうち主なものは、労務費や外注費を中心とする売上原価、人件費を中心とする販売費及び一般管理費、並びに警備輸送業務における入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための現金であります。
売上原価や販売費及び一般管理費の支払資金については、年間を通して安定的に需要が生じるものが多く、自己資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入を実施することとしております。
入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を併用して対応することとしております。当該短期借入は、当座貸越を通じて、資金需要に即して実行できるものとなっております。売上金の入金処理の金額は、前日にお客様が入(出)金機に売上金を投入した金額となり、日々大きく変動しますが、特に月曜日や国民の祝日の後の営業日においては、その前日までの休日に投入された売上金にも併せて対応する必要があることから、入金処理金額が増加し、金融機関からの借入への依存度も高まる傾向にあります。
(投資目的の資金需要)
当社グループにおける投資目的の資金需要のうち主なものは、M&Aが挙げられます。これについては、自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて金融機関からの短期借入や長期借入を実施し、対応することとしております。
このほか、機械警備に係る警報機器の経常的な取得も設備投資に含められております。警報機器の取得は、1件当たりの金額が少額で、受注に伴って生じるため、運転資本を構成する棚卸資産と類似の性格も有すると考えており、年間を通じて安定的に資金需要が生じることから、運転資金需要と同様に自己資金をもって対応することを基本としております。
なお、当中間連結会計期間において、前連結会計年度末において計画中であった資本的支出を含む設備投資計画について、重要な変更はありません。
(先行きの資金需要の動向及び資金調達方法に係る経営者の認識)
当中間連結会計期間における警備輸送業務を除いた資金需要については、概ね自己資金の範囲で対応いたしました。当連結会計年度末までについても、現時点ではこれまでの資金需要の傾向から大きな変化を見込んでいないことから、同様に自己資金の範囲で対応することが基本となると認識しております。
(9) 設備の状況
(設備の新設、除却等の計画)
当中間連結会計期間において、前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設、除却等について、重要な変更はありません。また、新たに確定した重要な設備の新設、拡充、改修、除却、売却等の計画はありません。
(1) 当社は、2025年5月30日付にて、主としてセキュリティ事業を営む宮崎綜合警備株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社から連結子会社といたしました。なお、2025年7月16日付で宮崎綜合警備株式会社はALSOK宮崎株式会社へ社名変更しております。
(2) 当社は、2025年9月1日付にて、富士通ホーム&オフィスサービス株式会社との間で、当社の連結子会社であるALSOKファシリティーズ株式会社に、同社の警備事業、清掃事業、施設管理事業を吸収分割により、同社の完全子会社である富士通北信コンストラクション株式会社及び富士通栃木コンストラクション株式会社の施設管理事業を事業譲渡により、それぞれ承継いたしました。