第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経済・社会を支えるインフラを担う基幹産業として、顧客の競争力強化、情報社会の更なる発展に貢献していくことを使命と考えております。

 

 基本方針

 

「顧客第一主義」

 全ての判断基準はお客様にとっての価値とし、お客様の視点で思考することを基本と致します。

「重点主義」

 企業には人、モノ、金と時間の4つの要素があります。これらを最大限に活かすために、顧客第一主義により決定された最重要事項に経営資源を集約致します。

「総員営業主義」

 ユーザーオリエンテッドなサービスを提供するため、全社員が自立したビジネスパーソンとして社業発展に邁進致します。

 

 この基本方針のもと、社員一人ひとりが株主、顧客をはじめとするあらゆるステークホルダーと向かい合い、個人と組織のもつノウハウの全てを駆使して、更なる顧客満足を創出してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは≪VISION 2026≫を策定し、2021年~2023年度までの第1次中期経営計画において以下の三つの指標を重視し、目標設定しております。

・株主にとっての企業価値向上の観点からROE13%以上

・収益性を計る指標として連結営業利益率9.0%

・従業員一人ひとりのパフォーマンスを高めていきたいとの趣旨から、従業員(海外子会社の従業員は除く)一人当たりの連結売上高23,000千円

 

 当期における状況は、以下のとおりです。

 1点目の指標であるROEは10.8%、2点目の指標である連結営業利益率は8.5%となり、目標未達となりました。資本効率を高め利益率の向上を図ることで、改善を図ります。

 3点目の指標である従業員一人当たりの連結売上高は、24,353千円となりました。また、従業員一人当たりの連結営業利益は2,075千円となりました。今後も、業務の効率化と教育研修の充実を図り、生産性・収益性の向上に取り組んでまいります。

 

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(3)中長期経営ビジョン≪VISION 2026≫について

 当社グループは、2012年に2020年度までの中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫を策定し、「強みの強化」「SIビジネスの立ち上げ」「サービスメニューの創出」の3つのテーマに段階的に取り組み、新たな成長領域への展開やビジネスモデルの変革、海外での事業拡大を推進してまいりました。

 この実績と昨今の事業環境の大きな変容を踏まえ、2021年度を初年度とする2026年度までの中長期経営ビジョン≪VISION 2026≫を策定し、その実現に向けて各施策に取り組んでおります。

 ≪VISION 2026≫では、社員一人ひとりが、事業を通じて社会に貢献し、事業成長を果たすとともに企業価値の向上を目指してまいります。そのために、「企画型+受託型ビジネスで事業成長を果たす」「社員自らが志とビジネスマインドを持ち、自ら考え、行動する」をミッション・ステートメントとして邁進しております。

 事業の方向性としては、以下の3つのビジネスモデルを強化推進する方針と目標をそれぞれ立案し、事業成長を進めてまいります。

 

・デジタルビジネス

 デジタル技術を活用した当社発の企画型ビジネスです。当社のノウハウを結集したコンサルティングサービス、自社プロダクト、当社発のソリューション、IP(知的財産)化などのアプローチによって新たな事業創出を目指します。そしてDXを通じて、お客様のビジネス変革を支援いたします。

 

・SIビジネス

 システムの企画から、設計、開発、導入までを行うサービスです。マルチクラウド・マイクロサービス案件を軸としたシステムの提供と新しい運用モデルへの変革をテーマにレガシー環境のクラウド環境への移行(Lift)と新たな方法論の確立(Shift)による、Lift&Shiftモデルを確立してまいります。

 

・エンハンスビジネス

 お客様のビジネス環境の変化や新たな技術の進化に合わせて、システムの性能や品質を向上させ、システムの価値を高めるサービスで、当社がもっとも強みとしてきたビジネスモデルです。これまでも進めてきた高生産性、高収益性の実現に向けた取り組みを一層加速してまいります。

 

 最終年度にあたる2026年度に向けて、エンハンスビジネスで創出した利益を源泉にSIビジネス、デジタルビジネスでの領域を拡大し、売上高構成比6:3:1を目指してまいります。

 

(4)対処すべき課題

 今日の日本経済は、ポストコロナにおける社会経済活動が活性化し、景気は緩やかな持ち直しの動きが続いております。一方で、原材料価格の上昇や諸資源の供給面の制約が継続し、金融資本市場の変動リスクは景気の行方を不透明な状況に晒しています。こうした経営環境のもとで、企業には中長期的な課題対策のみならず、リスクに対する機動的な対応が求められます。

 

上記課題に対し、以下の取り組みを重点施策として実施してまいります。

 

1 )第2次中期経営計画で目指す姿

 当社グループは、第1次中期経営計画において、デジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つのビジネスモデルを通じ、それぞれブランド価値の向上、受注規模の拡大、収益性の向上を進め、当社グループの事業基盤を築いてきました。また、経営基盤として、DXへの取組み活性化、品質の強化、人的資本の充実、内部統制をはじめとしたコーポレートガバナンスの強化に努めてまいりました。

 この、第1次中期経営計画の成果を基に、V2026 第2次中期経営計画で目指す姿を「①基本に忠実な事業活動」の実践によるお客様からの信頼向上、提供するサービスの品質向上を目指すとともに、財務、非財務資本の充実を図り、「②飛躍的な成長」を遂げ、企業価値の最大化を目指してまいります。

 第2次中期経営計画の計数目標として以下の財務目標並びに非財務目標を掲げ、その実現に向けた課題の解決に取り組んでまいります。(非財務目標の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ経営 d.指標及び目標」をご覧ください)

 

 

財務目標(2026年度)

・ROE 14.0%

・一人当たり売上高 25,000千円

・売上高CAGR 9%程度

・営業利益率 10.5%

 

2 )第2次中期経営計画達成に向けた課題

①事業の成長

 当社は、これまで培ってきた強みと実績を基に、デジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つを事業の軸として推進しております。

第2次中期経営計画では、当社ビジネスモデルを以下の3つのビジネススタイルでお客様に価値を提供し事業成長を加速してまいります。

 ・Sier向け事業

 ・プライム向け事業

 ・サービス提供事業

 

 受託ビジネスにおける「Sier向け事業」では主要顧客との協業推進を図るとともに、案件の大型化や新規顧客開拓を進め、継続的、安定的な収益拡大を目指してまいります。当社の強みである「ソフトウェアエンジニアリング」において競争優位を発揮し、受注案件において様々な業種/業務、新しい技術にチャレンジすることで、さらなる強みの強化に努めてまいります。また、現状の受託開発における契約形態を見直し、改善することで、高度・多様化するお客様の要望に合致する価値の提供を実現してまいります。

 「プライム向け事業」では、従来型のSIビジネスにおいて受注規模の拡大(案件の大型化)ならびに収益の拡大の両面を目指してまいります。お客様の事業成長に直結したDX案件、ビジネスプロセス改善による経営システムの効率化などの課題に対して、AI技術、プログラミング自動化技術などの先進技術も用いた積極的な提案活動を通じ、受注拡大を図ります。また、当社の保有するノウハウや知的資本を武器に新領域でのお客さまの獲得や事業開拓を行い、成長の軸となる顧客基盤の形成に努めてまいります。

 「サービス提供事業」では、当社得意分野である「Oracle Cloudサービス」をはじめとしたクラウドソリューションベンダーとの協業や当社高度人材による高付加価値のサービス提供を図り、成長の基盤となる事業を創り上げてまいります。具体的には、当社の得意とするマルチクラウド(お客さまの要望を最適化し様々なクラウドサービスを活用)分野での受注拡大を図り、お客様の経営システムをLift&Shiftしてまいります。また、生成AIクラウドサービスを活用した人的資本にかかるソリューションを提供することで、当社のサービス提供ビジネスを確立いたします。

 

※レガシー環境をクラウド環境へ移行(Lift)し、クラウド環境に最適化しながらシステム再構築を段階的に進めていく(Shift)こと

 

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②事業基盤の強化

 当社グループにおいて、事業成長を加速・促進するための事業基盤の強化は、重要な経営課題と捉えております。特に成長の軸となる基盤を以下の3点と捉え、その強化・促進に努めてまいります。

・生産体制、品質の強化

・協業推進

・研究投資

 

 「生産体制の強化」では、国内外の開発拠点の拡充、受注案件の外部委託先であるビジネスパートナーの選択と集中を進め、協業関係の促進・信頼関係の構築を図ってまいります。2024年4月に新設した開発拠点のヘッドクォーター(本社:ソフトウェア開発本部)を中心に、既存の国内の開発拠点(北海道、福岡、大阪)での生産性向上施策推進および生産革新への投資に努めるとともに、新規の開発拠点を模索し、当社の盤石な生産体制を整えてまいります。また、海外の開発拠点の一つであるベトナムキューブシステムでは、人材の採用、育成に努め、オフショアでの開発案件の拡大やオンサイトでのブリッジエンジニア登用を活用し、グループの総合力を高めてまいります。

 「品質の強化」では、プライム案件のさらなる拡大を進めるべく、財務・法務・セキュリティといったリスクへの対応力の強化に努めるとともに、現状の当社独自フレームワークに加え、品質管理ノウハウ蓄積・体系化することで、品質管理体制を確保してまいります。また、生産体制の拡大に伴い、グループ会社連携・ビジネスパートナーとの連携におけるプロセス品質の確保は、重要な要素となってまいります。組織横断、グループ横断で品質に関わる人材を早期に育成するとともに人材の確保に努めてまいります。

 「協業推進」では、主要なSierとのシナジーを更に生み出し、多様な社会課題の解決促進と顧客サービスの充実・拡大を通じて持続的な成長を目指してまいります。具体的には、新卒採用の継続による中長期的な開発体制の拡充と、中途採用の強化を行うことで経験者・高度人材による即時的な体制強化を進めてまいります。また、本社のソフトウェア開発本部を主体として国内開発拠点の充実を図り、Sierからの要請にしっかりと応えてまいります。また、当社はSier案件を上流から下流までワンストップで請負うソフトウェアエンジニアリングを志向し、取り組んでおります。当社の担当範囲の拡大や生産技術革新、生産性の向上などを図り、開発後のエンハンスも視野に入れた事業活動を展開することで、お客様との関係性を向上してまいります。

 「研究投資」に関しては、顧客ニーズ及びマーケットのトレンドを踏まえ、先端技術をいち早く取り込むため、積極的に実施してまいります。具体的には、AI、IoTなどの先進技術を活用し、組み入れたプロトタイプの設計、製作、実証実験などを進め事業化に向けた取り組みを加速してまいります。また、新たなソリューションサービスに関する調査や研究開発を進めていくとともに、当社の培ってきた強みであるソフトウェアエンジニアリングの知的資産化を図り、競争優位性を高めてまいります。

 

③経営基盤の強化

 当社グループでは、事業を支える経営基盤の強化・構築は重要な経営課題と位置づけ、多様な活動に取り組んでおります。第2次中期経営計画では、以下3点に注力し、持続的に成長してまいります。

 ・人的資本の充実

 ・内部統制/ガバナンス

 ・企業風土改革

 

 「人的資本の充実」では、採用による体制の拡大、人材育成による能力・スキルの向上、社員とのエンゲージメントによる意欲・働きがいの醸成を図ってまいります。その実現施策として、新卒採用・中途採用ともに、現在のチャネルを拡大(地方での採用、アルムナイ制度の導入、ヘッドハンティングなど)し、多様な人材の採用をすすめ、人材の確保に努めてまいります。また、当社規定の「プロフェッショナルIT人材」・「コーポレートスタッフ人材」におけるキャリアフィールドに基づいて、社員一人ひとりが目指す方向性や目標とするキャリアに対して育成計画を作成し、PDCAサイクルを実践することで人材育成の強化・促進を行っております。そして、社員が果敢にチャレンジできる機会を創出するとともに、フォロー・サポート体制や報奨面の制度を充実させることで、社員との更なるエンゲージメント向上に努めています。

 「内部統制/ガバナンス」では、市場や顧客に満足いただけるソリューションサービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営を支えるコーポレートガバナンスを重要課題と捉え、その充実に努めております。当社のガバナンス体制は、監督・モニタリング、適正かつ機動的な意思決定に資するだけでなく、会社の経営プロセスを有効かつ効率的に機能させるために多面的な助言を行うことで、その実効性を高めております。特に事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった重要課題に対する経営の取り組み状況を注視し、対策の補強や適正化に貢献しております。また、パンデミックや、その他災害への対策、地政学的リスクなどを加味した事業継続プログラム(BCP)の改善も進めていくことで、持続可能な運営に努めてまいります。

 「企業風土改革」では、経営理念に基づき、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、社員一人ひとりが事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の実現に向けた意識改革を進めてまいります。その基盤となるコンプライアンスの実践を重要な経営課題の一つとして位置づけ、「法令や規則を守ること」に留まらず「会社を取り巻く全てのステークホルダーの信頼に応えること」を当社のあるべき姿として意識醸成に努めております。

 この考え方に基づいて、社員と会社が共に成長し、共に成果を分かち合うWell-being経営を志向してまいります。そして、地域社会発展への貢献や環境にやさしい経営の実践、企業活動における人権尊重などにも取り組んでまいります。

 

 

(ご参考)

価値創造プロセス

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営

 当社グループは、社員一人ひとりが事業を通じて社会に貢献することで、企業価値向上を目指しています。社会課題の解決やSDGsへの貢献に向けて、ステークホルダーの声を経営に生かし、価値創造モデルを循環させ、持続可能な成長を実現していきます。

 

a.サステナビリティガバナンス

 当社グループは気候変動を重要な経営課題のひとつとして捉えています。2021年11月にサステナビリティ基本方針を制定し、社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ・ガバナンス委員会」を中心にマネジメント体制を構築いたしました。企業価値の向上や中長期的なESG 課題の解決の実践に向け、サステナビリティ方針・目標の決定や目標に対する取り組みの進捗状況を確認することでサステナビリティ経営を推進しております。サステナビリティ・ガバナンス委員会は、四半期に1回以上の開催を定め、半期に一度、気候変動関連の目標設定や取組みに関する進捗状況や結果について検討しています。気候関連取組みを円滑に進めるための事務局機能を果たすサステナビリティ推進室が検討した事項について報告を受け、対応方針を審議しています。審議した重要な事項については取締役会へ内容を報告し、モニタリング・監督を行っております。

 前期のサステナビリティ・ガバナンス委員会の実績として9回開催し、うち気候変更に関する議論は3回、人的資本に関する議論は4回行われました。

 

《サステナビリティ推進体制図》

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b.戦略

 当社グループは、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、社員一人ひとりが事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の双方を実現することを目的として、サステナビリティ基本方針に則り、取り組みを実施しております。

 SDGsが示す持続可能な社会の実現は、当社の経営理念の実践にもつながります。当社グループは、お客さまだけでなく、お客さまそれぞれのステークホルダー、そして社会全体に対して、高付加価値なITサービスを創造・提供することでSDGsの達成に貢献してまいります。

 

《当社グループが取り組む重要課題(マテリアリティ)》

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c.リスク管理

 当社グループでは、内部統制・環境・人材確保・情報セキュリティなど、当社にとって経営を脅かすリスクを多面的に捉え、統合的なリスクマネジメントの観点から経営基盤を強化する為、社長執行役員を議長とする「内部統制・統合リスク管理会議」を設置しております。当会議にてリスクアセスメントを行い、経営に対する影響度が高いものを重要なリスクと捉え、定期的にモニタリングしております。

 気候変動に関するリスクの特定については、年に1回、サステナビリティ推進室が中心となって検討しております。環境、社会の動向も踏まえた上で、当社グループのバリューチェーンの全体を対象として、TCFD最終報告書で提示されているリスク領域について、広くリスクを洗い出しています。特定されたリスクと機会については、その要員の発現可能性や発現時期を考慮しつつ、事業運営や自社レピュテーションへの影響を踏まえて、収益やコストへの財務影響を簡易的に評価し、財務影響の大きさに合わせて影響度を測っています。影響度を考慮しながら、優先的に検討するリスク・機会を定め、シナリオ分析を用いた定量的な分析を進めています。特定したリスクと機会は、サステナビリティ・ガバナンス委員会に報告され、リスクと機会への対応方針が検討されます。また、代表取締役社長執行役員はリスクと機会の分析結果を受け、これを事業戦略に反映させています。サステナビリティ・ガバナンス委員会では半年に1回リスクと機会への対応状況を確認しています。

 気候関連のリスクの特定、評価、対応においては、その他のリスクと同様、「内部統制・統合リスク管理会議」によってその状況がモニタリングされ、全社総合的なリスク管理プロセスに統合されています。

 

《重要課題の分析》

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d.指標及び目標

 当社グループでは、中期経営計画において非財務目標として「ダイバーシティ」「働き方改革」「コミュニケーション活性化」「人材育成」「環境」を最重要課題としてKGIを定め、事業年度ごとのKPIを設定しています。

 「環境」のGHG排出量については、2020年度以前は東京本社のScope1,2※1のみを算定していましたが、2021年度より、GHG排出量算定の範囲をグループ全体に拡大し、Scope3※2排出量も含めたバリューチェーン全体のGHG排出量を算定しています。

 

※1 Scope1:自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う直接排出、Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う間接排出

※2 Scope3:Scope1・2以外の間接排出

 

 当該指標に関する2024年3月期の実績と第2次中期経営計画での目標は、次のとおりであります。

 

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 また、非財務目標についての第1次中期経営計画における実績および第2次中期経営計画に向けた目標値は、以下のとおりです。

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(2)気候変動関連の取組み

 当社グループはサステナビリティ経営において、SDGsに掲げられた社会課題に対してもその重要性を認識し、積極的に取り組みを進めています。中でも環境問題については「事業活動を通じて環境にやさしい経営を実践し、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献する」という環境方針のもと、環境マネジメントシステムの継続的な向上に努めています。

 

 なお、ガバナンス及びリスク管理の考え方に関しましては、(1)サステナビリティ経営に含まれております。

 

・戦略

 当社の事業が気候関連のリスクに対してレジリエンスを有するかどうか、また当社の事業に影響を与える機会にはどのようなものがあるかを明らかにするため、以下の通り分析を実施いたしました。

 

・気候関連のリスクおよび機会の洗い出しおよび定性評価

 当社の事業に影響を与えうる気候関連のリスクと機会について洗い出しを行い、それぞれについて影響度、時間軸、そして発現可能性について検討を行いました。気候関連のリスクおよび機会は移行リスクと物理的リスク、機会に大きく分類されますが、それらをそれぞれ以下の通り細分化して洗い出しを行いました。

 

 それぞれのリスクおよび機会について、その要因や事業影響の説明、財務的影響度、時間軸や発現可能性について検討を行い、下表の通り整理しました。

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《移行リスク》

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《物理的リスク》

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《機会》

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・シナリオ分析のテーマ設定

 洗い出した気候関連リスクのうち、次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。

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・シナリオ分析結果

 ・[移行リスク]炭素税の導入およびエネルギー価格の変動の影響

 洗い出した気候関連リスクのうち、「炭素税の導入およびエネルギー価格の変動の影響」をテーマとしてシナリオ分析を実施しました。

 

 ・分析の前提条件

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 本シナリオ分析にあたっては、2030年と2050年を評価時点としています。複数の温度上昇のシナリオを想定し、それぞれについて当社事業活動の将来想定(省エネルギー活動を特段行わない場合と省エネルギー活動を行う場合の二通り)もあわせて考慮することで、当社事業に対する財務的影響をより詳細に把握できるようにしています。

 分析において採用したシナリオは、国際的に通用する国際エネルギー機関(IEA)による世界エネルギー見通し(WEO)に示されるSTEPS、APS、NZEを主なものとしていますが、一部のパラメータは気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)によるシナリオに基づいて補完しています。

 

・分析結果

 以上の想定に基づいて分析した結果は以下の通りです。

 

 「成り行き」においては、世の中が脱炭素にこれ以上進まないことを想定しているため、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合のみを考慮します。このシナリオでは、2030年、2050年にかけて当社グループが調達する各種エネルギーの価格は低下することが見込まれますが、事業規模の拡大を踏まえると、2030年に1千万円弱、2050年に5千万円弱のエネルギー価格の財務影響が増加する見込みです。炭素価格による影響は2030年で5百万円、2050年で1千万円の増加を見込んでいます。

 「脱炭素」においては、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合と省エネルギー活動を行う場合を想定します。省エネ活動を推進する場合とそうでない場合を比較して、2030年にはその影響は数百万円と軽微ですが、2050年にはエネルギー価格の財務影響において1千万円以上の効果が生まれると見込んでいます。再エネの導入を進めていくことで、2030年時点においても特にエネルギー価格による財務影響を改善できる見込みです。

 「ネットゼロ」においては、当社の事業活動における省エネルギー活動を行わない場合と省エネルギー活動を行う場合を想定します。2030年には電力価格が上昇することでエネルギー価格による財務影響が他のシナリオよりも大きくなりますが、2050年にむけて電力価格の下落が見込まれることで、「脱炭素」シナリオよりもエネルギー価格の財務影響の増加幅は小さくなります。「脱炭素」シナリオ同様、再エネを推進することで、2030年の財務影響を軽微に抑えられる見込みです。

 

・対応戦略

 以上の通り、当社グループ事業の将来想定に基づいて、2030年および2050年における複数のシナリオにおける当社グループの炭素価格負担やエネルギー負担の見込みを求めましたが、財務影響は限定的であることが確認できました。今回の当社想定の範囲においては、該当する気候変動リスク要因に対するレジリエンスを有していると考えられます。

 今後計画している省エネ活動や再エネ導入といった取組みを進めることで、よりレジリエンスを高めていきます。

 また、今後も、リスク・機会の内、当社グループの事業との関連性が高いものについて、必要に応じてシナリオ分析を実施し、対応戦略の検討を進めるなど、情報開示の充実化を進めてまいります。

 

・[物理的リスク]気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響についてのハザードスクリーニング

 気候変動に伴う気象災害の増加が当社グループの事業に与える影響を予測するため、キューブシステムグループの国内外7拠点(国内:5拠点、海外:2拠点)について、影響の可能性を評価し、物理的リスクの影響について優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを行いました。

 

・分析の前提条件

 分析では、洪水、高潮のリスクの把握を目的に、公開資料や外部専門家からの提供資料等に基づき、現在気候下、及び2℃シナリオ(RCP2.6またはSSP1-2.6)及び4℃シナリオ(RCP8.5またはSSP5-8.5)の気候変動シナリオ下の2030年、2050年、2090年について、5段階のハザードグレードを付与し、その変化について評価しました。

 

・分析結果

 洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点が現在気候下において0拠点、気候変動の影響を最も受けるSSP5-8.5下(2050 年、2090年)において1拠点でした。高潮リスクについては、全拠点が高潮による浸水ハザードは極めて低いと考えられる(グレードE)と評価され、気候変動による将来変化は見られませんでした。

 

 《物理的リスク評価結果(対象:国内外7拠点)》

※グレードB以上:リスクに留意する必要があり、より詳細なリスク評価の実施が望まれる

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・対応戦略

 今回のシナリオ分析において浸水リスクに留意すべきと評価された拠点については、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて浸水対策やBCPの作成を進めてまいります。

 

 

具体的な取り組みとして、以下の内容を行っております。

 

・TCFDへの取り組み

 当社グループは、気候変動問題を重要な経営課題のひとつとして捉えています。当社では、気候関連財務情報の開示の重要性を認識し、2021年11月にTCFD最終報告書に対する支持を表明するとともに、TCFD提言に基づく適切な情報開示の拡充に取り組んでいます。また、SBTの水準に基づき当社が排出する温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みを進めております。

 

 ・気候変動リスク・機会の評価に用いる指標

 気候変動のリスクを評価するにあたっては、温室効果ガス(GHG)排出量、エネルギー使用量、及び再生可能エネルギーの使用比率を指標として用いています。

 また、2022年度に、SBT認定基準※1に基づき、2021年度を基準年とした2030年までのGHG排出量削減目標を定めました。この削減目標の達成度を第2次中期経営計画の重要経営指標として設定し、毎年削減目標達成のための施策やアクションプランを立案するとともに、執行役員を兼務する取締役を対象とした業績連動型株式報酬におけるインセンティブとしています。GHG排出量の各年度別の削減目標に対する取組み及び削減実績に基づいて達成度を評価し、達成度に応じてポイントを付与し、付与されたポイントは中期経営計画の最終年度終了後に株式に換算され、報酬として付与しています。

 

 

 ・GHG排出量目標と達成状況

 キューブシステムグループでは、2020年度以前は東京本社のScope1,2のみを算定していましたが、2021年度より、GHG排出量算定の範囲をグループ全体に拡大し、Scope3排出量も含めたバリューチェーン全体のGHG排出量を算定しています。

 

2021年度を基準年として、2030年までのGHG排出量削減目標を下記のとおり定めています。

・Scope1+2        2030年度までに38%削減(2021年度比)

・Scope3(カテゴリー1) 2030年度までに23%削減(2022年度比)

 

 GHG排出量の実績は以下のとおりです。今後、目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量削減への取組みを着実に進めてまいります。

 

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 なお、当社では、2005年にISO14001を取得し、これに準拠した企業活動を実践しています。環境評価の情報開示に国際的に取り組む評価機関であるCDPより、2023年度の気候変動に関する調査において、自社の環境リスクやその影響を認識し行動している、との評価を受けております。今後も事業活動において環境への配慮はもとより、具体的な数値目標を定めて定期的な見直しを図りつつ、継続的改善に取り組んでまいります。

 

 

(3)人的資本経営の取組み

 当社経営基盤のひとつは「人材」であり、社員一人ひとりが多様なプロフェッショナル人材として活躍することが、持続的成長のためにも重要となります。そのため、社員の能力・特性を最大限に発揮するための人事制度や人材育成施策を重要課題に位置づけ、取り組みを推進しております。

 なお、ガバナンス及び戦略に関しましては、(1)サステナビリティ経営に含まれております。

 

・リスク管理

 当社が属するIT業界では、慢性的な技術者不足という課題があります。人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により生産性が低下することが最大のリスクと考えております。社員に成長の機会を提供し、働きやすい環境を整えることで、リスク低減に努めております。

 なお、リスクマネジメントについては、(1)サステナビリティ経営 c.リスク管理に記載のとおりです。

 

具体的な取り組みとして、以下の内容を行っております。

 

・人材についての考え方

 当社は求める人材を、「成果と期待価値に溢れ、組織とともに成長していく人材」として『自立したビジネスパーソン』を目指しています。社員一人ひとりが多様性をもって、互いに尊重し合い、自らビジネスを創造し、品質と効率をお客さまに提供し、企業人として成長していくことで、より高い社会貢献を実現する人材です。

 また、当社は人事の基本的な考え方として「成果と期待価値をもとに処遇の向上を目指す」としています。

 当社における成果とは日々の業務活動の中で、行動目標に対して実践した行動が発揮された度合いを言い、その発揮度合いを高め続けるのが当社の成果主義です。そして、過去の成果をベースに将来を期待され、成長の機会が与えられる。この期待によってさらなる成果をあげ成長していくとともにそれに見合った処遇とすることを基本としています。

 そして『自立したビジネスパーソン』が、互いに尊敬し組織(チーム)としての成果を高め、感動を共有し、ともに喜び合う企業風土の醸成が、企業価値向上や社会的価値の創出につながると考えています。

 このような考えのもと、当社は人的資本充実のためのPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを継続的に実践し、多様なプロフェッショナル人材の育成や活躍を目指します。

 

・人材育成の新たな取り組み

 中長期経営ビジョンV2026の目標達成に向けて、当社人材育成の目的・目標を「将来の事業を支える人材を育成し、必要な人材ポートフォリオを形成すること」と設定しました。人材育成スキームを確立し社員個々の成長を支援すること、人材育成を大切にする企業風土を醸成していくことなどを重点目標として掲げ、推進しております。

具体的な育成すべき人材は、①「プロフェッショナルIT人材」、②「コーポレートスタッフ人材」、③「組織マネジメント人材」の3カテゴリに分類しました。

 

 

・キャリアフィールドの設定

 「社員一人ひとりが活躍する場」を社内的に認知する枠組みとして、当社事業に必要な人材イメージを「キャリアフィールド」として設定しました。この「キャリアフィールド」によって自分が目指す方向性や目標とするキャリアを明確にすることで、社員一人ひとりが目標意識を持って仕事に取り組むこと、また、自分自身の将来イメージを持ちながら成長することが目的です。

 「プロフェッショナルIT人材」の育成において、キャリアフィールドは「IT活動領域」「プロフェッショナルとしての成果」「ビジネスへの貢献」が何かをそれぞれで定義しており、各キャリアフィールドに応じた目標設定を行い実践していくことで、社員の成長と人的価値の向上を図っています。

 「コーポレートスタッフ人材」の育成では、キャリアフィールドを「業務遂行」「業務範囲」「業務経験・実績」の3つの視点から定義しており、主要な業務スキルの積み上げから始まり、経験の知識化とスキルの深化を図る枠組みを構築しています。

 また、入社2年目から7年目までの若手社員を中心に定期的なスキルチェックを実施し、一人ひとりの強み・弱みを踏まえた「現場OJT」が出来るよう、スキルの「見える化」の仕組み作りを推進しております。定期的に自身のスキルを洗い出してスキル目標に対する進捗度を上司と確認し、その専門性を高めるための『プロフェッショナル研修』や、層別に期待されるスキル及びマインドセットを習得するための『階層別研修』により知識を習得するという、PDCAの仕組みを作り運用しております。

 

《人材育成の重点目標》

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・プロフェッショナルIT人材育成

 プロフェッショナルIT人材は、若手のうちは年次ごとの「スキルの積み上げ」をベースに、中堅層以上ではさまざまなプロジェクトで経験・実績を積みながら、技術分野のハイエンドエンジニアとして段階的なスキルアップを図っていきます。

 この育成過程においては「いつ、どのような経験を積ませるか」「成長の意識づけや気づきをどう与えるか」といった「場」の提供と、育成指導者が重要になります。当社ではOJTこそが人材育成の基本と位置づけ、育成指導者が意図的・計画的に人材を育成していくことを推進しております。

 

・コーポレートスタッフ人材育成

 コーポレートスタッフ人材は、経験の浅いうちは主要な業務スキルの積み上げを図り、幅広くスタッフとしての実務を担う人材を育成することと定めました。その後、一定レベルの専門性と実務経験が身についた中堅層では、本人の能力や意欲、今後の本人の方向性をふまえ、「プロフェッショナルCS」として、専門分野において更に高度な専門知識・スキルを磨き、職人肌のプロ人事やプロ経理等を育成いたします。一方で、コーポレート全体の管理・計画等の企画、マネジメントが出来る人材の育成も推進しております。

 

《人材育成のあり方》

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・ダイバーシティ促進

 当社では、ダイバーシティをマテリアリティとして位置づけ、取り組みを推進しています。性別・年齢・国籍・社会的地位・障がいの有無・価値観などの多様性を互いに尊重し、認め合うことで、多様な人材がそれぞれの状況に合わせた働き方で活躍し成長することができるよう、制度の拡充や環境整備、意識改革を進めています。中でも、多くの女性社員が在籍する当社での女性活躍は、今後の成長・発展に欠かせないものとして注力しております。中期経営ビジョンV2026のミッションステートメントである「Communication & Mutual Respect」の精神の元、女性をはじめとする多様な人材が集い、共に活躍できる環境を整えることで優秀な人材を確保・育成し、企業価値の向上を図ります。

 第2次中期経営計画では、2026年3月までに係長級に占める女性社員比率30%にすることを目標に、管理職向けの研修や女性社員と社長とのタウンミーティングの実施などの施策を実施しております。この目標を達成することで、男女間の賃金格差の改善にも繋げてまいります。

 また、当社が持続的に成長し社会に貢献し続ける会社であるためには、社員が心身ともに健康で、適切な環境の中で仕事に対してやりがいを持って働き、自身の成長を実感できる状態にあること、「ウェルビーイング」が重要であると考えており、働き方改革にも取り組んでおります。当社では、2026年3月までに時間外勤務時間の月平均25時間、有給休暇取得率70%、男性の育児休業取得率70%を目標に掲げ、社員への労務知識強化の研修や制度の有効活用に向けた説明会を実施するなど、取り組みを行っております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について、現時点で想定される主なものを記載いたしました。
 なお、文中記載の事項のうち将来に関するものについては、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループを取り巻く事業環境について

 当社グループが属する情報サービス産業では、営業・販売活動のデジタル化への取り組みや、それらを支援する新たなネットワークサービスの開発などに加え、AI・IoT技術を活用したシステムインテグレーションおよび管理運営受託が堅調に推移しております。しかしながら、デジタル人材の供給面に目を向けると、慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が拡大しております。

 当社では継続した積極的技術投資を行い対応に努めておりますが、他業種からの新規参入や海外企業の台頭による想定以上の価格競争の発生、DX等による顧客のビジネスモデルの変革や広範な領域における急速な技術革新が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)特定の取引先への依存度について

 当社グループの当連結会計年度末における野村総合研究所グループ及び富士通グループへの販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ52.6%及び17.6%となっております。このため、上記顧客の受注動向等は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 これに対して、当社グループは常にエンドユーザーに密着したサービスを提供することを志向し、上記顧客との関係を維持しながら、新規領域の獲得を目指し、サービスの最終的な利用者であるエンドユーザーとの緊密な関係の構築に注力することで、当社グループの経営成績に及ぼす悪影響の軽減を図っております。

 

(3)プロジェクトの品質・損益管理について

 当社グループでは、システム開発技術の向上・蓄積及び将来の受注拡大を目的として、収益性の低いプロジェクト又は赤字になると見込まれるプロジェクトであっても積極的に受託する可能性があります。また、当社グループの提供するサービスは原則として請負契約となるため、受注時に採算が取れると見込まれるプロジェクトであっても、想定外の仕様変更や当初の見積りを超える追加作業の発生等により収益性が低下し、不採算となる可能性があります。

 今後、DX事業の推進により顧客から要求されるシステムの高難度化が進み、品質の確保が困難な局面は増加傾向にあると考えられます。また、顧客との認識相違や当社の技術力・マネジメント不足による品質不良が発生した場合、2020年4月に施行された民法改正での契約不適合期間の延長による長期の修補責任や、売上の減額請求を行われる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 その対策として、システム開発会議において工程ごとのレビューを徹底することでプロジェクトに内包するリスクの早期共有や見える化を図るとともに、各プロジェクトに対するモニタリング機能の強化による品質向上、さらにDX事業を筆頭とし契約形態を準委任契約へ変更することでリスクコントロールしてまいります。

 

(4)情報管理・情報漏洩に関するリスク

 当社グループが顧客に提供するシステムソリューション・サービスにおいては、当社グループの従業員及び当社グループが委託するビジネスパートナーの従業員が、顧客企業の保有する機密情報へアクセス可能な環境にある場合があります。当社グループでは顧客及び従業員情報の保全や機密情報の適切な管理及び情報セキュリティ・マネジメントシステムの強化・改善を重要課題と位置づけ、昨今のビジネス環境の変化によるセキュリティリスクへの対応も含め、様々な取組みを行っております。また、当社の社内環境や開発環境がサイバー攻撃にさらされるというリスクについても適正な対策を行っております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず個人情報や企業情報が万一漏洩した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)事業継続について

 当社グループは、各地で相次ぐ災害への対策、地政学的リスク、また災害等の発生の影響により顧客へのサービス提供の中断が不可避となった場合等を加味した事業継続プログラム(BCP)の再構築を行い、その実効性の点検や課題の解決を図っております。しかしながら、災害規模が想定よりも甚大な場合には顧客と合意した水準でのサービス提供が困難となり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(6)海外子会社を含めた海外での事業活動について

 当社グループは、海外での事業拡大を進めております。しかし多くの海外市場において、日本とは異なる法制度、商慣習及び労使関係や経済の動向並びに為替相場の変動、その他政治的及び社会的要因といった様々な要因の発生が見込まれ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 これらに対して、一極集中を避けるために、国内ニアショアの活用など国内外の拠点の再配置の検討をすすめてまいります。

 

(7)投資有価証券の価値の棄損について

 当社グループは、取引先との関係強化や情報収集を目的に保有する上場株式の他に、業務提携等で取得した未上場株式や資金運用を目的とする債券を保有しております。また、新技術を保有するベンチャー企業の発掘を目的に投資事業組合への出資を行っております。これらの投資有価証券は、発行体の業績悪化や経営破綻等が発生した場合には、会計上減損処理を行うことや、投資額を回収できないことがあり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 これらのリスクに対して、市場並びに運用先のモニタリングを充実させ、適切な対処を行ってまいります。

 

(8)人材確保に関するリスク

 当社グループの事業拡大にとって、優秀な人材の確保や人材の育成は、重要な経営課題であると認識しております。当社グループが属する情報サービス産業では慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が続いており、今後、計画通りの人材を確保できない場合や人材の流出に加え、プロフェッショナルIT人材の育成に遅れが生じる場合には、生産性の高いプロジェクト遂行や案件獲得の機会損失を招く恐れがあり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらのリスクに対して、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、人材の確保を図ると同時に、人材育成の仕組み作りやウェルビーイング向上等の施策を引き続き実施してまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による影響は発生しておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による制約が解消され、社会経済活動が徐々に広がりをみせる中、景気は緩やかに持ち直しました。一方で、世界的な資源・原材料価格の高騰ならびに円安にともなう物価の上昇や国際情勢の緊迫化、各地で相次ぐ災害等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

 このような状況下において、情報サービス産業では、顧客のサービスの高付加価値化ならびに人材不足を背景としたDX(ビジネス変革・プロセス変革)需要の高まりに加え、建設業や運輸・郵便業における時間外労働の上限規制適用等により情報化投資が活発化しております。また、老朽化した基幹システムのクラウドへの移行(Lift)、利便性の向上に向けたシステム構築(Shift)に対するニーズも強く、今後もIT投資は拡大する見通しです。一方で、深刻化するIT人材の不足から生じる受注機会の損失や人材獲得競争の激化に起因する人件費の増加により、収益環境が悪化する懸念があります。

 当社グループにおきましては、SIビジネスにおいて、金融分野や流通分野をはじめ各業種での受注が拡大する中、リソースの最適化や生産体制の確保に努めてまいりました。また、キャリアフィールドに応じた人材育成や経営管理に係る情報化投資等を図り、経営基盤の強化・整備を進めました。こうした活動が実を結び、当連結会計年度における業績は売上高18,021百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は1,536百万円(同5.8%増)、経常利益は1,590百万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,067百万円(同7.8%増)となり、増収増益で推移いたしました。

 

 事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

 

(システムインテグレーション・サービス)

 地銀・ネットバンク、メガバンク、金融機関、中央省庁、アパレル事業会社向けシステム案件の拡大により、売上高は13,998百万円(前期比16.0%増)となりました。

(システムアウトソーシング・サービス)

 証券取引所向けシステム案件の縮小により、売上高は1,636百万円(同6.2%減)となりました。

(プロフェッショナル・サービス)

 通信事業会社向けシステム案件の縮小により、売上高は2,386百万円(同5.1%減)となりました。

 

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は9,978百万円となり、前連結会計年度末と比べ275百万円増加いたしました。これは主に売掛金の増加261百万円、有価証券の減少100百万円、現金及び預金の増加86百万円によるものです。また、固定資産合計は3,509百万円となり、前連結会計年度末と比べ664百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券の増加434百万円、退職給付に係る資産の増加126百万円、敷金の増加63百万円によるものです。

 これらの結果、総資産は13,487百万円となり、前連結会計年度末に比べ940百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,459百万円となり、前連結会計年度末に比べ270百万円増加いたしました。これは主に未払消費税等の増加94百万円、未払費用の増加84百万円、預り金の増加43百万円によるものです。固定負債は894百万円となり、前連結会計年度末に比べ152百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債の増加85百万円、株式報酬引当金の増加57百万円によるものです。

 これらの結果、負債合計は3,353百万円となり、前連結会計年度末に比べ422百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は10,133百万円となり、前連結会計年度末に比べ517百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加405百万円、その他有価証券評価差額金の増加137百万円によるものです。

 この結果、自己資本比率は75.1%(前連結会計年度末は76.6%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ111百万円増加し、6,815百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,044百万円(前期比17.1%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上額1,590百万円および法人税等の支払額524百万円の資金減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は259百万円(同14.7%減)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出251百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は672百万円(前年同期は1,102百万円の獲得)となりました。これは主に配当金の支払による支出661百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、システムソリューション・サービスの単一セグメントのため、生産、受注及び販売の実績については、セグメントに代えて品目別に示しております。

 a.生産実績

 当連結会計年度における品目毎の生産実績を示すと、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前期比(%)

システムインテグレーション・サービス

13,998,666

116.0

システムアウトソーシング・サービス

1,636,497

93.8

プロフェッショナル・サービス

2,386,268

94.9

合計

18,021,432

110.4

  (注)金額は販売価格によっております。

 

 b.受注実績

 当連結会計年度における品目毎の受注実績を示すと、次のとおりであります。

品目

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

システムインテグレーション・サービス

14,208,482

114.8

3,847,118

105.8

システムアウトソーシング・サービス

1,412,821

82.2

89,016

28.5

プロフェッショナル・サービス

2,475,300

98.2

711,066

114.3

合計

18,096,603

108.9

4,647,201

101.6

  (注)金額は販売価格によっております。

 

 c.販売実績

 当連結会計年度における品目毎の販売実績を示すと、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前期比(%)

システムインテグレーション・サービス

13,998,666

116.0

システムアウトソーシング・サービス

1,636,497

93.8

プロフェッショナル・サービス

2,386,268

94.9

合計

18,021,432

110.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

あります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社野村総合研究所

6,515,196

39.9

7,839,132

43.5

富士通株式会社

2,781,648

17.0

2,900,198

16.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 ①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載のとおりであります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a.売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,695百万円増加し、18,021百万円(前期比10.4%増)となりました。
 品目別では、システムインテグレーション・サービスの売上高は、前連結会計年度に比べ1,930百万円増加(同16.0%増)しております。主な要因としましては、地銀・ネットバンク向けシステム案件およびメガバンク、金融機関、中央省庁、アパレル事業会社向けシステム案件の拡大によるものであります。

 システムアウトソーシング・サービスの売上高は、前連結会計年度に比べ107百万円減少(同6.2%減)しております。主な要因としましては、証券取引所向けシステム案件の縮小によるものであります。

 プロフェッショナル・サービスの売上高は、前連結会計年度に比べ127百万円減少(同5.1%減)しております。主な要因としましては、通信事業会社向けシステム案件の縮小によるものであります。

  b.売上原価、売上総利益

 売上原価は、前連結会計年度に比べ1,343百万円増加し、14,099百万円(前期比10.5%増)となりました。売上総利益は、前連結会計年度に比べ352百万円増加し、3,922百万円(同9.9%増)となりました。これは主に、SIビジネス案件への受注拡大とリソース集約によるものです。

  c.販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ268百万円増加し、2,386百万円(前期比12.7%増)となりました。これは主に生産体制の拡充や経営基盤の整備に伴う費用の増加および周年事業に伴う広告宣伝等の増加によるものです。営業利益は、前連結会計年度に比べ83百万円増加し、1,536百万円(同5.8%増)となっております。

  d.経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益

 経常利益は、前連結会計年度に比べ110百万円増加し、1,590百万円(前期比7.5%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ77百万円増加し、1,067百万円(同7.8%増)となりました。これは主に営業利益の増加によるものであります。

 

 ③当連結会計年度の財政状態の分析

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」をご覧ください。

 

 ④資本の財源及び資金の流動性についての分析

資金調達について

金融経済環境が大きく変化する中、コミットメントライン契約の締結により、運転資金枠を確保し、資金調達の機動性と安定性を高め、積極的な事業展開を図るとともに、資金効率を高め、財務体質の強化に努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

  当社グループの更なる事業拡張を図るため、下記のとおり業務提携契約を締結しております。

 (1)keyパートナー契約

契約相手先

締結年月

契約の概要

 株式会社システムクリエイト

2005年5月

技術・研究開発面をはじめ、営業、調達等あらゆる面で情報を共有化し、システムソリューション・サービス事業においてビジネスチャンスの拡大を図ると共に、品質・技術の向上、情報セキュリティ管理、人材育成プログラム等に係わる経営管理手法の改善・効率化にも取組み、サービスレベルの向上を図り、相互の企業価値が向上することを目的とした業務提携であります。契約期間は2年であり、契約の更新に関しては、別段の申し出がない限り1年間自動的に更新するものとなっております。契約に係る対価等は特にありません。

 

 (2)資本業務提携契約

契約相手先

締結年月

契約の概要

 株式会社トリプルアイズ

2018年8月

トリプルアイズ社が強みとするAI、IoT、ブロックチェーン技術と、当社が強みとする金融・流通・通信・エネルギーなどの様々な業界で培ってきた業務知識、ソフトウェア開発力の融合による協創、共同研究等を進めることによる新たな事業創出や受注拡大を図り、AI、IoTおよびブロックチェーン技術に精通した人材育成を進めることを目的とした資本業務提携であります。

 株式会社野村総合研究所

2022年12月

両社が協力関係及び信頼関係を一層強化し、シナジーを活かして企業価値の最大化を図ることを目的とした資本業務提携であります。

主な内容は、次のとおりであります。

 ①両社の業務受委託に関する長期かつ持続的な関係の強化

 ②両社の業務受委託の事業領域の拡大の推進

 ③ニアショア等の生産拠点の活用拡大

 ④生産体制の拡充

 ⑤人材交流

 ⑥事業連携の体制整備と運用

 ⑦前各号に定めるもののほか、本資本業務提携先及び当社が別途協議

 し、合意する事項

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、新規事業創発、新技術の社内展開を目的に、クラウドソリューション、AI、ブロックチェーンに係る研究開発活動を組織横断的に行っております。

 具体的には、クラウドソリューション領域ではSaaS製品に対する技術調査、評価、当社の提供サービス適用に向けたソリューション開発を進めております。また、AI及びブロックチェーン分野では、自社プロダクトである「スマイルシェアプロダクト」にブロックチェーン技術を活用したピアボーナスネットワークプラットフォームおよび、AI画像認識技術を活用した非接触型決済システムを構築しました。「スマイルシェアプロダクト」は現在社内転換を行っており、社員間のコミュニケーション可視化・充実の仕組みづくり等、応用ノウハウに関する研究開発を進めております。

 今後は、社内向けにはウェルビーイング経営の実践を主眼としたプロダクト活用を促進し、並行して外販に向けた製品化への取り組みを実施してまいります。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は23百万円であります。