第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「ワンストップ・ソリューション」という企業コンセプトのもと、不動産・旅行・人材と3つの事業領域から日本の未来を担う若者と、大学及び企業等の社会の若者を応援する人たちとをつなぎ、新たな価値を創造し、将来にわたり地域経済や社会に貢献することを経営目標としております。

不動産ソリューション事業におきましては、不動産を直接取得し開発するディベロッパー事業の他、企業及び個人オーナーに対する保有不動産の有効活用案件について、事業スキームの提案から、収支計画、設計、建設会社の紹介、融資金融機関の紹介、竣工後の一括借上げ、入居者募集、運営管理にいたるまで全ての機能をワンストップ体制で提供することで、管理戸数の安定拡大を図り、事業基盤の強化を進めてまいります。

学生生活ソリューション事業においては、学生が充実した学生生活を過ごすためのさまざまなサービスを提供する課外活動ソリューション部門と、企業と新卒学生人材とのマッチングサービスを提供する人材ソリューション部門を連携させ、就職率向上を目指す大学までも含めた新卒採用の課題解決をはかる学生生活ソリューションビジネスへと発展させてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

① 中期経営計画

当社グループは、経常利益の成長を第一の目標にしております。2018年5月期初年度とする『中期経営計画(2018年5月期~2020年5月期)』を策定し、2020年5月期に経常利益20億円を達成することを目標に掲げております。さらに、中期経営計画策定にあわせて、株主への利益還元の観点から連結配当性向についてもこれまでの30%以上から35%以上へと引き上げ、安定的かつ継続的に実施していくことを目標としております。

② 中期経営計画の結果状況

中期経営計画の最終年度である2020年5月期は、特別損失の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は計画未達だったものの、経常利益については初年度、第2年度に続き計画を上回り中期経営計画を達成することができました。

なお、各セグメントの主な取り組みの結果状況は次のとおりであります。

不動産ソリューション事業(不動産デベロップメント部門)

・全国エリアの物件開発積極推進・・・2020年5月期は新たに京都、新潟がオープン

・大手不動産会社との連携強化・・・大手2社との連携により2021年オープン予定2物件

・リノベーション物件による開発スピードアップ・・・カレッジフラッツ三鷹

不動産ソリューション事業(不動産マネジメント部門)

・ WEB募集力の強化・・・ブランディングサイトオープン、パノラマ写真や動画CMの導入など

・ 外国人留学生募集力の強化・・・専門チームを設置、中国人社員も採用しSNS、チャットの活用

学生生活ソリューション事業(人材ソリューション部門)

・ ITとスマートフォンを駆使した新サービスの投入・・・新システム「e2R PRO」をリリース

・ OBとの新しいマッチンサービス・・・新アプリ「キャンパスキャリア」、738社が導入

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

上記基本方針のもと、第一には不動産ソリューション事業を成長の中軸として、引き続き経営資源の集中投資を行います。第二には学生生活ソリューション事業において学生人材育成と企業人事への営業体制強化を図ります。この両面を展開することで学生生活に不可欠なサービスをさらに包括的に提供しうる事業体を構築し、地域経済や社会に貢献する企業グループへの進化を進めてまいります。

新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響につきましては、現時点では不動産ソリューション事業については軽微と見込まれるものの、特に旅行分野である学生生活ソリューション事業の課外活動ソリューション部門については、通常時は年間売上高の5割超を夏季シーズン、3割超を春季シーズンが占める季節性があり、新型コロナウイルス感染症の収束又は拡大の時期によっては大きな影響を受けることになります。現時点では少なからず影響を受けることが見込まれますが、不確定要素が多く見通しをたてることが困難となっております。また、人材ソリューション部門についても、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の新卒採用方針や新卒採用活動方法が変化していくものと予想され、現時点では業績への影響を見積もることが困難であります。

2018年5月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画が2020年5月期で終了し、2021年5月期を初年度とする「新中期経営計画」を策定する予定でしたが、上記の状況を踏まえ今年度においては策定を見送ることといたしました。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(3)に記載の会社の経営の基本方針及び中長期的な会社の経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

①  不動産ソリューション事業

・不動産デベロップメント部門

当社の学生向け賃貸住宅は、単に戸数を増やすものではなく一定の収益性を確保していく中で、入居者ニーズに応える商品バリエーションの拡充を図りつつ、立地や品質にこだわった付加価値の高い物件開発を行うことを方針としております。そのためには、高度で幅広い事業ノウハウの蓄積を進めるとともに、土地オーナー等の主な情報入手先である金融機関等との協力・連携の強化が重要であると考えております。

また、東京圏一極集中リスクを回避する観点から、地方都市での物件開発にも一定程度取り組んでまいります。

・不動産マネジメント部門

賃貸住宅運営管理においては、入居者ニーズに応える新たなサービスを拡充し、入居者対応についても継続的に強化していくことで入居者への付加価値を高めていくことが重要であると考えております。

また、入居者募集においては、既に導入済みのWEB契約や一部物件で導入している、360°VR内見等に加え、WEB接客等のITサービスの拡充を図るとともに、非対面型の入居者募集体制を推進していくことが必要であると考えております。

② 学生生活ソリューション事業

・課外活動ソリューション部門

学生のサークル合宿旅行・研修旅行やスポーツ大会の企画手配等を行う当部門は、中長期的にみて学生の課外活動への参加率の減少等による縮小傾向にある中で、今回の様な大規模感染症が流行した場合には大きな影響を受けることが見込まれます。また、それらが収束した場合においても、直ちにこれまでの市場環境に戻らないことも想定し、より一層の効率化を進め生産性を高める体制を整備することが必要であると考えております。

・人材ソリューション部門

企業の採用活動は、新卒一括採用から通年採用への企業意識の変化や新型コロナウイルス感染症の影響により、今後、新卒採用方針や新卒採用の活動方法が変化し、多様化していくことが想定されます。それらに対応するためには、企業毎のニーズにあった商品・サービスの開発、拡充を図るとともに、急激な変化に対応できる柔軟な発想と組織の強化及び人材の育成が重要であると考えております。

③ 全社

自然災害や大規模感染症の流行等の有事の際において、従業員の出社抑制や営業活動の一時停止等による当社グループの事業活動に与える影響を最小限に抑えるため、事業継続体制の強化・推進を図ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 不動産ソリューション事業について

① サブリース契約について

サブリース契約は不動産オーナーに対する契約の期間(10年~15年間)において入居者の有無や当社の受け取る家賃の額に関係なく賃貸借契約に定めた毎月定額の家賃を支払いする内容となっております。当社は空室発生や家賃相場下落による業績への影響を低減するために当該賃貸借契約にフリーレント期間(家賃無償期間)条項や一定期間毎の家賃改定条項を織り込む等施策を講じておりますが、こうした対応が万全とはいえません。このため空室が長期間かつ大量に発生した場合には当社グループの業績に重大な影響が発生する可能性があります。

② 募集方法及び開発について

当社は、地方から首都圏の大学等に進学する高校3年生をターゲットに、春の入居シーズンに向け独自のWebサイトに加え、全国各高校宛への媒体送付、もしくは他社媒体雑誌等の広告掲載により入居者募集を行っております。しかしながら、当該募集行為は反響型の集客営業であることから、反響数が予想を下回った場合には空室が発生し当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、賃貸物件の開発においては建物の建設期間に8ヶ月以上を要するため、新入学の時期にあわせて計画どおりに工事が進捗しなかった場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

③ 販売用不動産について

当社は、不動産ソリューション事業において、サブリース事業と並行し、独自に学生向け賃貸住宅開発事業を行っております。建設用地としての土地の取得から学生向け賃貸住宅の建設、当該物件の売却まで通常1年半から3年程度の期間が必要となります。そのため、想定を上回る経済情勢の変化等による不動産市況の悪化により販売用不動産の評価損の計上や資金回収の長期化等が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

また、販売用不動産の取得については、主に金融機関からの借入により行っており、販売用不動産の増加にあわせて借入金が増加いたします。そのため、大幅な金利上昇があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 経営成績の変動について

① 季節変動性並びに第2四半期累計の経営成績について

当社グループでは、不動産ソリューション事業の不動産マメジメント部門において、3月及び4月の入学シーズン時期にあわせた学生向け賃貸住宅入居者募集関連売上により第4四半期連結会計期間(3月から5月まで)に売上高が増加する傾向があります。また、学生生活ソリューション事業の人材ソリューション部門における連結子会社である株式会社ワークス・ジャパンにおいて、企業の新卒採用活動が主に3月から開始することにより、人材ソリューション部門の売上高が第3四半期連結会計期間(12月から2月まで)及び第4四半期連結会計期間(3月から5月まで)に集中する傾向があるため、第2四半期連結累計期間(6月から11月まで)の利益は恒常的にマイナスとなります。

これらの季節性や、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の売却の時期、売却の金額によっては、通期に占める第2四半期連結累計期間(6月から11月まで)の連結経常利益等の各利益は、非常に小さくなるか、もしくはマイナスとなる可能性があります。

なお、2020年5月期の四半期ごとの連結売上高、経常利益及び通期に占める割合は、以下のとおりであります。

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

連結売上高(千円)

5,775,605

3,430,820

3,929,904

4,829,734

(四半期構成比)

32.1%

19.1%

21.9%

26.9%

連結経常利益(千円)

762,392

93,872

247,201

1,071,389

(四半期構成比)

35.0%

4.3%

11.4%

49.3%

 

 
② 販売用不動産の売却について

当社は、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の売却を行う場合があります。これは、当社が学生向け賃貸住宅建設のための土地を取得し、当社の企画により学生向け賃貸住宅を建設し、入居者募集を行ったうえで、法人又は個人の投資家の方々へ利回り商品として売却を行い、当該物件を当社がサブリース契約にて一括借上を行うといった取引形態に伴うものであります。そのため、販売用不動産の売却が発生した場合には、売上高が増大するとともに売上総利益率、営業利益率等が大きく変動する場合があります。さらに、販売用不動産の売却時期によっては、四半期業績についても前年同期に比べ大きく変動する場合があります。また、販売用不動産の売却もしくは取得が発生した場合には、販売用不動産の在庫金額が前年同期に比べ大きく変動する場合があります。

なお、2020年5月期の四半期ごとの販売用不動産の売上高は、以下のとおりであります。

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高(千円)

1,934,027

 

 
③ 新卒採用活動時期について

当社グループでは、学生生活ソリューション事業の人材ソリューション部門における連結子会社である株式会社ワークス・ジャパンにおいて、企業人事部向け「若年層人材ソリューション」コンサルティング等のサービス提供を行っております。現在企業の新卒採用活動時期は、主に広報活動は3月開始、選考活動は6月開始となっております。今後これらの時期が変更になった場合は、人材ソリューション部門の四半期業績が前年同期に比べ大きく変動する場合があります。

④ 営業キャッシュ・フローの変動について

当社は、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の取得を行う場合には取得に要する資金のほとんどを金融機関からの借入により調達しております。この場合、販売用不動産の取得の規模・時期によっては、たな卸資産の増加により「キャッシュ・フロー計算書」の営業キャッシュ・フローがマイナスとなる場合や前年同期に比べ大きく変動する場合があります。

 

(3) 少子化の影響について

18歳人口は10年前に比べ約2.8万人(約2.3%)減少し、2019年度には118.8万人(総務省統計局「人口推計」による)となっております。当社といたしましては、この減少傾向は続くものと考えており、10年後の18歳人口は現在に比べ約10%程度減少するものと予想しております。

一方、大学生人口は2019年春の大学入学者数が63.1万人、大学生総数は291.8万人(文部科学省「学校基本調査」による)といずれも過去最高水準を維持しております。この要因は大学への進学を希望する受験生の割合が増加していることに加え、大学側の経営確立のための学生確保が重なったものと考えられます。

当社グループの主力事業エリアである首都圏における大学生数も増加傾向であり、2019年度は118.3万人となり、10年前に比べ約2.7万人増加しております。この増加は主に女子大学生の進学率の上昇によるものと考えられます。

当社グループといたしましては、当面首都圏大学生の増加傾向は継続するものと認識しており、当社グループの対象顧客である学生等の人口は安定的に推移し、今後5年~10年程度の中期的なスパンでの少子化の進行による影響は少ないものと考えております。しかし、少子化がさらに進行し、当社グループの認識とは相違して対象顧客である学生等の人口が急激に減少した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(4) 大学の統廃合、キャンパス移転について

当社グループの不動産ソリューション事業では、新規に開発する学生向け賃貸住宅については、物件の主な対象となる大学、短期大学及び専門学校の学生数、下宿生の傾向を勘案して開発を行っておりますが、大学の統廃合又はキャンパスの移転が発生した場合、地域によっては周辺物件の需要と供給のバランスが崩れる可能性があります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(5) 首都圏に事業が集中していることについて

当社グループの不動産ソリューション事業及び学生生活ソリューション事業は、いずれの事業も一部で地方展開を開始しているものの、首都圏、特に東京圏に事業が集中しているため、東京直下型大地震のような大規模な災害等が発生した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(6) 外注先等に起因するトラブルによる影響について

当社グループの事業に係る外注先等において、貸切バス事故、賃貸物件における大規模火災や食事付物件における食中毒等の発生などによる外注先等を起因とするトラブルが発生した場合、当社グループは道義的責任等に対し真摯に最大限の対応を行ったとしても、対外的評価や風評被害等が当社グループの想定の範囲を超えた場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(7) 法的規制等について

当社グループは、以下の3つの法的規制等による事業を行っております。

① 不動産ソリューション事業は、宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣の宅地建物取引業者としての許可を取得しており、不動産仲介及び売買等の事業を行っております。また、建築士法に基づく一級建築士事務所登録及び警備業法に基づく東京都公安委員会の認定を受けております。

② 学生生活ソリューション事業における課外活動ソリューション部門は、旅行業法に基づく観光庁長官の旅行業者としての許可を取得しており、旅行サービス等の販売を行っております。

③ 学生生活ソリューション事業における人材ソリューション部門は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の有料職業紹介事業者及び一般労働者派遣事業者としての許可を取得しております。

今後、これらの法令等が改正される可能性があり、その場合、当社グループの事業が制約される可能性があります。

 

(8) 個人情報の保護について

当社グループは、当社グループ事業の中において、不動産ソリューション事業における入居者情報、学生生活ソリューション事業における顧客情報等を取得し、利用しております。
 一方、2005年4月に全面施行された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)は、当社グループのビジネスにも影響があると考えられ、それに対する取り組みを誤れば、企業の存続にも影響する可能性があります。

当社グループでは、徹底した情報管理を継続的に行い、高度のセキュリティ技術の活用、各種社内教育及びガイドラインを充実させ運用管理の徹底を行っております。なお、当社及び株式会社ワークス・ジャパンはプライバシーマークを取得しております。

しかし、以上のような対策を講じたとしても、個人情報の流出等の重大なトラブルが当社グループにおいて発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9) 新型コロナウイルス感染症等の感染症について

新型コロナウイルス感染症等の感染症が流行した場合には、下記の可能性により当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

・不動産ソリューション事業

不動産マネジメント部門において、大学のリモート授業が長期化した場合には一時的な退去者が増加する可能性があり、また、新入生の入学時期の変更があった場合にはその変更期は入居率が低下する可能性があります。

・学生生活ソリューション事業

課外活動ソリューション部門において、学生のサークル合宿旅行・研修旅行やスポーツ大会の企画手配旅行等が行えず売上が大幅に減少する可能性があります。また、人材ソリューション部門においては、感染症等が長期化することで企業の業績が悪化し、新卒採用者が抑制される可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、政府による各種経済対策及び日本銀行による大規模な金融緩和策を背景に、企業収益の改善や個人消費が底堅く推移するなど緩やかに回復を続けてまいりました。一方で、米中間の貿易摩擦の影響に伴う海外経済動向の不確実性の高まりによる国内景気への影響が懸念されるなか、新型コロナウイルス感染症の拡大により日本経済への影響はもとより世界経済の急激な減速など、先行きに対する不透明感が強まっております。

当社グループは、事業の方向性を明確にし、戦略的投資を促進するため、不動産デベロップメント部門、不動産マネジメント部門及びエネルギーマネジメント部門の3部門からなる「不動産ソリューション事業」と課外活動ソリューション部門と人材ソリューション部門の2部門からなる「学生生活ソリューション事業」の2事業(セグメント)計5部門で事業展開を図っております。

当社グループの主要顧客層である大学生マーケットにおきましては、2019年春の大学入学者数は63.1万人、大学生総数291.8万人(文部科学省「学校基本調査」による)といずれも過去最高水準を維持しております。引き続き、少子化時代にあっても安定的に推移する大学生市場においては、さまざまなサービス分野において学生の多様化するライフスタイルとニーズに応える低廉で高品質なサービスが求められていると言えます。

また、新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響につきましては、現時点では不動産ソリューション事業については軽微ではあるものの、特に旅行分野である学生生活ソリューション事業の課外活動ソリューション部門については第4四半期の影響からも先行きに対する不透明感が強まっております。

当連結会計年度においては、主力事業である不動産ソリューション事業の景気動向の影響を比較的受けにくい不動産マネジメント部門は、ますます高まる学生の安心・快適な住居ニーズに支えられ順調に推移し、不動産デベロップメント部門においても、販売用不動産の売却が順調に進みました。

その結果、当連結会計年度の売上高は17,966,065千円(前年同期比3.2%増)、営業利益は2,261,761千円(同11.2%増)、経常利益は2,174,857千円(同13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,200,281千円(同4.0%減)となりました。

① 売上高

  当連結会計年度の売上高は17,966,065千円(前年同期比3.2%増)となりました。

セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。

(不動産ソリューション事業)

首都圏における学生賃貸住宅市場は、首都圏進学志向と女子大生比率の高まり、セキュリティ意識の浸透などにより、より安全性・快適性が求められており、学生向け賃貸住宅の需要は今後もますます高まるものと予想されます。

不動産デベロップメント部門におきましては、この需要の高さを背景に金融機関等との連携によるコンサルティング営業を強化し、個人オーナーのみならず、企業に対してもCRE戦略に応える事業プランを積極的に提案、物件開発に努めました。特に食事付き寮タイプの学生向け賃貸住宅は、留学生確保を進める大学寮のニーズと相まって需要が高く開発を積極的に進めております。また、当社が不動産を仕入れ学生向け賃貸住宅を建設し、法人又は個人投資家等へ販売した後にサブリースで運営を受託する独自開発にも注力してまいりました。

当連結会計年度における物件開発については、自社保有物件(販売用不動産及び固定資産)においては、1件の開発、サブリース物件2件の取得及び1件の売却を行い、管理戸数は19棟1,113戸となりました。サブリース(転貸を目的とした当社による一括借上)物件においては、3件の開発を行い、上記の売却した1件及びサブリース物件からの取得2件を含め、管理戸数は179棟8,044戸となりました。管理受託においては、東京大学目白台インターナショナル・ビレッジ857戸の運営を開始いたしました。その結果、総管理戸数は208棟10,659戸(前期末比12.0%増)となりました。

一方、賃貸・管理業務を行う不動産マネジメント部門におきましては、インターネット情報提供の充実、大学との連携強化等により体制強化を継続し、安定した入居者確保を図りました。なお、サブリース物件及び自社保有物件につきましては、15年連続で4月入居率100.0%を達成しております。

その結果、不動産ソリューション事業の売上高は13,822,098千円(前年同期比7.6%増)となりました。また、部門別売上高は、不動産デベロップメント部門は1,981,778千円(同11.5%増)、不動産マネジメント部門は11,505,077千円(同7.5%増)、エネルギーマネジメント部門は335,242千円(同7.7%減)となりました。

なお、不動産デベロップメント部門における売上高の増加は、販売用不動産の売却件数が前期の2件から1件に減少したものの、売却した物件の規模が大きかったため売却額が増加したことによるものであります。

(学生生活ソリューション事業)

学生等を中心顧客とし、合宿・研修関連を主な事業とする課外活動ソリューション部門は、大学別・種目別マーケティングの推進により、新規顧客の開拓、リピーター化の促進に取り組み、当社グループの学生顧客ネットワークを活かした収益基盤の強化に努めてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、第4四半期の旅行分野の売上高が前年同期比92.5%減と大きく減少いたしました。

一方、学生生活の「出口」となる就職分野を担う人材ソリューション部門は、連結子会社の株式会社ワークス・ジャパンが提供する、中核商品である企業人事部向け「若年層人材ソリューション」コンサルティング等のサービス提供のうち、セミナー等を提供する採用イベント・キャリア支援業務が台風や新型コロナウイルス感染症の影響等により減少したものの、採用業務を一元的に管理するシステムを提供する採用業務支援システムが順調に推移いたしました。

その結果、学生生活ソリューション事業の売上高は4,143,966千円(前年同期比9.3%減)となりました。また、部門別売上高は、課外活動ソリューション部門は1,545,349千円(同20.2%減)、人材ソリューション部門は2,598,617千円(同1.3%減)となりました。

② 営業利益

当連結会計年度の不動産ソリューション事業の売上総利益は3,798,677千円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2,548,690千円(同13.0%増)となりました。また、学生生活ソリューション事業の売上総利益は2,150,091千円(同5.2%減)、セグメント利益(営業利益)は517,519千円(同7.2%減)となりました。

その結果、各セグメントに配分していない全社費用804,447千円(同3.1%増)を調整し、全社の当連結会計年度の営業利益は2,261,761千円(同11.2%増)となりました。

③ 経常利益

当連結会計年度の営業外損益はマイナス86,904千円(前期はマイナス108,509千円)となり、その結果、当連結会計年度の経常利益は2,174,857千円(前年同期比13.0%増)となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の特別利益に投資有価証券売却益12,000千円、事業譲渡益17,033千円、特別損失に固定資産除却損3,253千円、過年度消費税等452,809千円、法人税等に519,882千円及び非支配株主に帰属する当期純利益27,663千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,200,281千円(前年同期比4.0%減)となりました。

その結果、1株当たり当期純利益は66円68銭となりました。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度の資産合計は27,134,135千円となり前連結会計年度に比べ1,441,091千円増加いたしました。この増加の主な要因は、販売用不動産が2,439,379千円の増加(固定資産からの振替263,029千円含む)、繰延税金資産が286,010千円の増加、差入保証金が97,799千円の増加、現金及び預金が414,616千円の減少、流動資産その他が294,876千円の減少、機械装置及び運搬具が113,830千円の減少、土地が262,442千円の減少(固定資産への振替)及びリース資産(純額)が277,108千円減少したことによるものであります。なお、当連結会計年度において、リース資産として所有していた建物をリース期間満了後に販売用不動産として購入(取得)したため、当該建物に対応する有形固定資産の保有目的を販売用へ変更し、土地262,442千円及び有形固定資産その他(工具、器具及び備品)586千円を販売用不動産に振替えております。

負債合計は17,567,768千円となり前連結会計年度に比べ731,308千円増加いたしました。この増加の主な要因は、未払金が388,339千円の増加、未払法人税等が44,343千円の増加、長期借入金(1年内返済予定分を含む)が1,030,323千円の増加、短期借入金が100,000千円の減少、1年内償還予定の社債が53,900千円の減少、流動負債その他が273,325千円の減少及びリース債務(1年内返済予定分を含む)が292,194千円減少したことによるものであります。なお、当連結会計年度の未払金には、東京国税局(麹町税務署長)からの更正処分による過年度消費税等452,809千円が含まれております。

また、純資産合計は9,566,366千円となり前連結会計年度に比べ709,783千円増加いたしました。この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,200,281千円、前期の剰余金処分による配当金359,998千円、中間配当金143,999千円、その他有価証券評価差額金△14,163千円及び非支配株主持分27,663千円を計上したことによるものであります。

その結果、1株当たり純資産額は523円71銭となり前連結会計年度に比べ37円90銭増加いたしました。また、自己資本比率は前連結会計年度の34.0%から34.7%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ414,616千円減少し5,972,773千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は495,277千円(前年同期は使用した資金は376,391千円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,747,827千円、非資金項目である減価償却費606,176千円、たな卸資産の増加による支出2,185,499千円、仕入債務の増加による支出63,154千円、その他の資産の増加による支出152,991千円、法人税等の支払による支出 758,995千円、その他の負債の増加による収入155,114千円及び未払消費税等の増加による収入157,191千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は231,682千円(前年同期は使用した資金は199,675千円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出49,299千円、無形固定資産の取得による支出215,206千円、投資有価証券の売却による収入18,000千円及び貸付金の回収による収入11,642千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は312,343千円(前年同期は得られた資金は885,514千円)となりました。これは主に長期借入金の純増額による収入1,030,323千円、短期借入金の純減額による支出100,000千円及び配当金の支払による支出502,525千円によるものであります。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

該当事項はありません。

② 受注実績

該当事項はありません。

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称(部門)

販売高(千円)

前年同期比(%)

不動産ソリューション事業

(不動産デベロップメント部門)

1,981,778

11.5

(不動産マネジメント部門)

11,505,077

7.5

(エネルギーマネジメント部門)

335,242

△7.7

小計

13,822,098

7.6

学生生活ソリューション事業

(課外活動ソリューション部門)

1,545,349

△20.2

(人材ソリューション部門)

2,598,617

△1.3

小計

4,143,966

△9.3

合計

17,966,065

3.2

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

小田急不動産株式会社

 1,934,027

10.8

 

上記は不動産デベロップメント部門における販売用不動産の売却によるものであります。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

中期経営計画の最終年度である当連結会計年度の経営成績等は、特別損失の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は計画未達だったものの、主力事業である不動産ソリューション事業において、販売用不動産の売却が順調に進み、また、管理戸数も順調に増加し入居者を安定して確保できたことにより、経常利益については初年度、第2年度に続き計画を上回り中期経営計画を達成することができました。

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。また、現時点では学生生活ソリューション事業において、少なからず新型コロナウイルス感染症の影響を受けることが見込まれるため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②学生生活ソリューション事業」に記載の課題に対応してまいります。また、他のリスクについても引き続き、リスク管理委員会や事業現場等との連携を強化し、それらの状況等が発生しうる可能性がある場合には、即座に対応できる体制を整えてまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は、不動産ソリューション事業における学生向け賃貸住宅開発において、建設用地としての土地の取得及び学生向け賃貸住宅の建設を行っており、資金については主に金融機関からの借入により調達しております。そのため、2017年12月26日付で株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする総額100億円のタームアウトオプション付コミットメントライン契約を締結しております。また、2020年3月31日付でサブリース物件オーナー様の物件売却ニーズに応えるための中長期的な資金の確保を目的として、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするシンジケート方式による総額70億円のコミットメントライン契約を締結しております。

これらにより安定的かつ長期的な資金が確保できているため、当面の間は経済・金融情勢にとらわれない形で、自社開発物件の開発が可能となっております。

また、手元流動性資金(現預金残高)も一定額を保持する方針でありますので、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択及び適用を行い、決算日における資産、負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。

経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

コミットメントライン契約の締結

① 当社は、今後の学生向け賃貸住宅の開発(土地の取得及び建築又は土地付建物の購入)のための安定的かつ長期的な資金の確保を目的として、2018年12月26日付で株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする総額100億円のタームアウトオプション付コミットメントライン契約を締結しております。

貸出コミットメントの総額

当期末借入実行残高

当期末借入未実行残高

10,000,000千円

4,110,000千円

5,890,000千円

 

 

 契約概要 

 1.設定した資金調達枠  100億円

 2.契約締結日      2017年12月26日

 3.コミットメント期間  2018年1月31日~2024年5月27日(6年4ヶ月)

 なお、コミットメント期間中に開発(プロジェクト単位)が完了するものが対象となります。

 4.タームローン期間   タームローンはプロジェクト毎に開発が完了した2年後から3年間となります。

              (最長期限2029年5月25日)

 5.資金使途       学生向け賃貸住宅の開発資金

 6.アレンジャー     株式会社みずほ銀行

 7.エージェント     株式会社みずほ銀行

 8.コ・アレンジャー   株式会社横浜銀行

 

② 当社は、不動産ソリューション事業における、サブリース物件オーナー様の物件売却ニーズに応えるための中長期的な資金の確保を目的として、2020年3月31日付で株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするシンジケート方式による総額70億円のコミットメントライン契約を締結いたしました。なお、このコミットメントライン契約は、自社所有物件の借換資金としても使用することが可能となっております。

貸出コミットメントの総額

当期末借入実行残高

当期末借入未実行残高

7,000,000千円

-千円

7,000,000千円

 

 

 契約概要 

 1.設定した資金調達枠    70億円

 2.契約締結日        2020年3月31日

 3.コミットメント期間    2020年3月31日~2022年2月25日

 なお、全貸付人の承諾を得ることでコミットメント期間を1年間延長することができる契約(4回が限度)となっております。

 4.資金使途         サブリース物件の取得及び自社所有物件の借換資金

 5.アレンジャー       株式会社みずほ銀行

 6.エージェント       株式会社みずほ銀行

 7.ジョイントアレンジャー  三井住友信託銀行株式会社

 8.参加金融機関       株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社、

 株式会社北日本銀行、株式会社七十七銀行、株式会社大東銀行

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。