第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当第3四半期におけるわが国経済は、自然災害の影響により一時的に足踏み状態となりましたが、政府による経済財政政策と日本銀行による金融緩和政策を背景に、国内需要がけん引しています。堅調な企業業績や人手不足等により、設備投資は引き続き高い水準を維持し、景気は再び緩やかながらも拡大基調が続くものと見られますが、米国と中国による貿易摩擦の激化や海外景気の減速懸念等から業況感の変化に注視が必要な状況です。

当社が属する不動産業界は引き続き堅調で、オフィス市場では空室率の低下と賃料の上昇が緩やかながらも継続しており、特に立地や管理状態が優れた中小規模のオフィスビルに対する評価が高まっております。ホテル市場では、自然災害による一時的な訪日外国人の減少があったものの、復興需要に加え、2020年の東京五輪開催や「観光立国」に向けた政府の各種政策等の効果もあり、アジア諸国を中心に訪日外国人は確実に増加傾向が続いております。不動産売買においては、相対的に安定した利回りを得られるわが国の不動産への投資ニーズが高く、投資需要も底堅い状況が続いております。こうした環境下でJリート市場は、安定的かつ透明性の高い不動産投資商品としての需要は底堅く推移しております。

また、クリーンエネルギー事業においては、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の変更や未稼働案件に対する措置等により発電事業者の淘汰が進む一方、すでに運転が開始されている太陽光発電所の売買に関するセカンダリー市場が形成されつつあります。東京証券取引所インフラ市場においても安定性の高い商品性から投資口価格は堅調に推移しており、一層の活況と拡大が期待されます。

 

主な取組み

 

当社ではこのような事業環境下において、中期経営計画「Power Up 2019」の最終年度を迎え、計画の実現と持続的成長への基盤構築に向け、以下の施策を実施しております。

 

「既存事業の成長と深化」

・ 「心築(しんちく)事業」

国内不動産の売買市場が活況を呈するなか、前期に引き続き新たな取組みや取得手法の創意工夫により優良物件を取得しております。また、当社の強みである心築による不動産の価値向上を実現し、収益性の高い物件の売却を継続しております。さらに保有不動産からの賃料収入は向上しており、ストック収益の成長に寄与しております。

 

・ 「アセットマネジメント事業」

当第3四半期では、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463)の資産運用報酬について、投資主価値向上に連動する、Jリート初となる「完全成果報酬」へ移行しております。また、いちごオフィスリート投資法人(証券コード8975)およびいちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)に対しても価値向上に向けた継続的な支援を行いました。

 

・ 「クリーンエネルギー(太陽光発電等)事業」

2018年9月に発生いたしました北海道胆振東部地震の影響により、同月の発電量は予測値に対し一時的に減少しましたが、発電所の損傷は一切なく、当期累計の発電量も予測を超えております。当社では、不動産の知見やノウハウを活用した強固な発電所の建設と適正な立地の選定等を行っており、引き続き同様の方針で太陽光発電のパイプラインを拡大しているほか、風力発電においても発電に向け順調に進捗しております。

 

「新規事業の創出」

既存事業の成長と深化に併せ、新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てることで、持続的な成長を図っております。

 

・ 「いちごオーナーズ不動産オーナーサービス事業」

前期に設立いたしました顧客ファーストのいちごオーナーズ株式会社は、不動産オーナーのために当社の心築技術を最大限活用することで不動産の価値向上を実現し、不動産オーナーが安心して長期保有できる不動産を取得、提供しております。

 

・ 「THE KNOT(ザ ノット)ライフスタイルホテル事業」

当社では、ラグジュアリーホテルとバジェットホテルの中間に位置し、米国や欧州では高い人気を得ている新たなクラスのホテルとして、ライフスタイルホテル事業を進めております。歴史・コト・モノ・ヒトを「結ぶ」をコンセプトとする「THE KNOT」は、当社の心築技術により既存ホテルを全面改修し、2017年12月に「THE KNOT YOKOHAMA」、当期8月に「THE KNOT TOKYO Shinjuku」をグランドオープンいたしました。「THE KNOT TOKYO Shinjuku」は、インバウンド比率が80~90%と訪日外国人から高い人気を得ており、ホテル運営は極めて順調です。当社では、今後も各地においてライフスタイルホテルの提供を進めてまいります。

 

・ 「セルフストレージ事業、いちご土地心築株式会社、ホテルのAIシステム開発」

上述の新規事業に加え、成長余地が大きいセルフストレージ事業への参入、50年先を見据えたまちづくりを実現するためのいちご土地心築株式会社の設立、ホテル顧客の満足度向上とホテル収益の最大化を図るAIシステムの開発・導入等を進めております。

 

「借入の長期化・固定化・無担保化、自社株買い、JPX400への継続的組入、ブランディング」

・ 借入期間の長期化とコスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、財務基盤のさらなる安定化を進展させております。

  当第3四半期において当社の強力な資金創出力と盤石な財務基盤を活用し、株主価値向上に向けた約30億円の自己株式の取得を実施いたしました。

・ 高い資本効率や投資家を意識した経営等、グローバルな投資基準を満たす会社で構成される「JPX日経インデックス400」に、2016年8月、2017年8月に続き、2018年8月においても選定されました。なお、中期経営計画「Power Up 2019」最終年度では、2019年8月に選定される上位 200 社にランキングされることを目指しております。

・ その他、企業価値向上を目的とした各種いちごブランディングを推進しております。

 

業績の詳細

 

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高58,282百万円(前年同四半期比30.2%増)、営業利益20,553百万円(同24.3%増)、経常利益18,264百万円(同26.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益12,183百万円(同11.3%増)となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

①アセットマネジメント(AM)

ストック収益であるベース運用フィーは堅調に増加したものの、スポット運用フィーが減少したことにより、売上高は2,574百万円(前年同四半期比4.0%減)、セグメント利益は1,571百万円(同1.3%減)となりました。

 

②心築(しんちく)

新規取得した物件の賃貸収益貢献によりストック収益が増加し、また物件の売却も堅調に推移したことから、売上高は53,509百万円(前年同四半期比34.1%増)、セグメント利益は17,761百万円(同24.6%増)となりました。

クリーンエネルギー

前期の太陽光発電所売却の反動減により売却収益が減少した一方で、関東最大級のいちご昭和村生越ECO発電所をはじめとする新規竣工した発電所の稼働によりストック収益である売電収入が増加しております。その結果、売上高は2,999百万円(前年同四半期比5.5%増)、セグメント利益は1,253百万円(同63.9%増)となりました。

 

なお、2019年2月期より表示方法を一部変更しており、2018年2月期について、遡及処理の内容を反映させた数値を記載しております。詳細はP.19「1.四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)(表示方法の変更)」をご覧ください。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、39,874百万円となり、前連結会計年度末の39,365百万円と比較して508百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益18,266百万円等により21,109百万円の資金が増加いたしましたが、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産、前渡金等の増加額12,565百万円、法人税等の支払額3,530百万円および利息の支払額1,545百万円があったこと等により、当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは3,469百万円(前年同四半期は8,015百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、投資活動によるキャッシュ・フローは△12,142百万円(前年同四半期は△3,342百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12,130百万円、投資有価証券の取得による支出466百万円、無形固定資産の取得による支出374百万円があった一方、定期預金等の払戻による収入1,010百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、財務活動によるキャッシュ・フローは14,026百万円(前年同四半期は647百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額5,053百万円、長期借入れによる収入40,153百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入3,500百万円、長期借入金の返済による支出13,606百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出15,478百万円、自己株式の取得による支出2,849百万円、配当金の支払額2,971百万円があったことによるものです。

 

(3)財政状態及び経営成績の分析

 ①財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は324,193百万円となり、前連結会計年度末と比較して27,680百万円増加(前連結会計年度末比9.3%増加)いたしました。

 これは主に、現金及び預金の減少443百万円、営業投資有価証券の増加5,164百万円、販売用不動産の増加11,997百万円、有形固定資産の増加10,893百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は224,523百万円となり、前連結会計年度末と比較して20,736百万円増加(前連結会計年度末比10.2%増加)いたしました。

 これは主に、借入金の増加31,524百万円およびノンリコースローンの減少11,778百万円があったことによるものであります。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は99,670百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,944百万円増加(前連結会計年度末比7.5%増加)いたしました。

 これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上12,183百万円に対し、剰余金の配当2,974百万円、自己株式の取得による減少2,849百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は29.5%(前連結会計年度末比0.6ポイント減少)となりました。

 ②経営成績の分析

(売上高)

 当第3四半期連結累計期間における連結売上高は58,282百万円(前年同四半期比30.2%増)となりました。

 これは主に、不動産販売収入39,841百万円、不動産賃貸収入13,492百万円、不動産フィー収入1,756百万円、売電収入2,995百万円があったことによるものであります。

 

(営業利益)

 当第3四半期連結累計期間における営業利益は20,553百万円(前年同四半期比24.3%増)となりました。

 これは主に、不動産の販売および賃貸に係る売上原価32,011百万円、売電原価1,304百万円、販売費及び一般管理費4,396百万円があったことによるものであります。

 

(営業外損益)

 当第3四半期連結累計期間における営業外収益は151百万円(前年同四半期比5.4%減)となりました。

 これは主に、受取配当金62百万円、為替差益49百万円、デリバティブ評価益5百万円があったことによるものであります。

 当第3四半期連結累計期間における営業外費用は2,441百万円(前年同四半期比9.0%増)となりました。

 これは主に、支払利息1,742百万円、融資関連費用295百万円、デリバティブ評価損220百万円があったことによるものであります。

 

(特別損益)

 当第3四半期連結累計期間における特別利益は2百万円(前年同四半期比99.8%減)となりました。

 これは、投資有価証券売却益2百万円があったことによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する四半期純利益)

 法人税等は5,700百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は383百万円となりました。

 これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は12,183百万円(前年同四半期比11.3%増)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社は、中期経営計画「Power Up 2019」において、新規事業の創出として、不動産×IT「不動テック」を活用したビジネスの創出を掲げており、また、当社の持続的成長とサステナブル社会へのさらなる貢献に向け、研究開発を進めております。

 

ホテル事業におけるAIシステムの協業開始

 当社は、心を込めて既存不動産に新たな価値を創造する「心築(しんちく)」を軸とした事業展開を行っており、本AI システムではホテルの価値向上を目指し、ホテル顧客の満足度向上とホテル収益の最大化を図るIT ソリューションを開発・導入してまいります。

 本AI システムにおきましては、IoT(Internet of Things) を活用し収集した情報をBig Data(Cloud)として集約し、集積されたBig Data をAI により判断することでホテルの収益の最大化を図るため、当社がこれまで培ったレベニューマネジメント(ホテル売上管理)のノウハウをシステム化いたします。また、ホテルの従業員においては、ホテルで発生した事象を見逃すことなく、効率的に対応することが可能となり、ホテル顧客への誠実なおもてなしに集中出来る環境を提供するとともに、ホテル顧客においては、当該IT ソリューションの導入により、ホテル滞在中もしくは宿泊施設選定等において、リアルタイムかつ必要な情報を適宜提供してまいります。

 なお、本AI システムにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。

 

②「いちごサステナブルラボ」創設

 「いちごサステナブルラボ」では、サステナブル社会を実現すべく、様々な研究開発に取組んでまいります。本ラボは、オープンイノベーションを基本理念にさせていただき、サステナブル社会の実現に取組む多くの方々と協働することを目指しております。

 本ラボは、以下のとおり3つの取組みを実行してまいります。

 

(a) コミュニティLab

「コミュニティLab」では、不動産を人々の快適な生活を支えるプラットフォームと捉え、サステナブル社会の基盤となる人々の絆を大切にしたコミュニティづくりを研究します。本Lab では、サステナブル社会の実現を目指す方々とともにオープンプラットフォームを形成し、「個」から「集」を築き、結び、さらに広げていくことで、サステナブル社会の実現を目指します。

 

(b) 100年不動産Lab

当社は、現存不動産を活かし、新たな不動産価値を創造する心築(しんちく)事業を行っております。「100年不動産Lab」では、サステナブル社会に向け、安心で安全な100年持続する建物技術をオープンプラットフォームで研究開発し、100年不動産にチャレンジいたします。

米国や欧州における建物は、適切な対応を行うことにより、築50年・100年でもその価値を維持・向上するケースが多く見受けられる一方、日本では、築40年程度で多くの不動産が建て替えられます。また、公共インフラにおける老朽化も大きな社会問題となっており、この社会的な課題に向き合ってまいります。

 

(c) インキュベーションLab

当社では、行動指針のひとつである「ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ」のとおり、社内ベンチャーの立ち上げを推進しております。「いちごサステナブルラボ」を通じ、社会の課題やニーズを再確認するとともに、課題解決に向けたサステナブルな事業の創出を支援いたします。

 

 なお、本ラボにおける研究活動は、報告セグメントに含まれない本社部門を主体として実施しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

上記「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。