当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期におけるわが国経済は、国内需要が堅調な一方、米中貿易摩擦を背景とした海外経済の減速から輸出・生産が鈍化しております。但し、個人消費は雇用や所得環境の着実な改善により緩やかに増加しており、政府による経済財政政策と日本銀行による金融緩和政策を背景に、緩やかながらも景気の拡大基調は続いております。
当社が属する不動産業界は引き続き堅調で、低水準の空室率を背景に、賃料の上昇が続いております。また、売買についても、低金利により相対的に安定した利回りを得られるわが国の不動産への投資ニーズは高く、引き続き投資需要は底堅い状況が続いております。Jリート市場では、資産の入替による潜在利益の実現や賃料の緩やかな上昇により収益の向上が見られ、東証リート指数は上昇傾向が続いております。今後も安定的かつ透明性の高い不動産投資商品として、需要は底堅く推移することが見込まれます。ホテル市場では、一部の地域で大量供給の影響を受けたものの、2020年の東京五輪開催や「観光立国」に向けた政府の各種政策等の効果もあり、アジア諸国を中心に訪日外国人観光客の増加傾向が続いております。
また、クリーンエネルギー事業においては、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の変更や未稼働案件に対する措置等により、事業化の可否について選別が進む一方、すでに運転が開始されている太陽光発電所が自然災害への耐久性を実証しており、好調に発電しております。東京証券取引所インフラ市場においても、安定性の高い商品として今後一層の活況と拡大が期待されます。
主な取組み
当社ではこのような事業環境下において、長期VISION「いちご2030」の初年度をスタートし、従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。
「既存事業の成長と深化」
・ 「心築(しんちく)事業」(注)
不動産市場が活況を呈するなか、前期に引き続き、新たな取組みや不動産取得手法の創意工夫により優良物件を取得しております。当第1四半期における取得額は204億円、売却による売上高は195億円となりました。当社の強みである心築による不動産の価値向上が、引き続き、高い利益率による物件の売却を実現しております。また、保有物件は、高稼働率を維持するとともに、賃料収入が着実に向上しており、ストック収益の成長に寄与しております。
その他に、海外市場における価値向上のベストプラクティスを取り入れることにより、当社の心築力をさらに磨くため、昨年、米国におけるホテルのバリューアップファンドに500万米ドル(約5.5億円)を投資し、当第1四半期にてその投資の利益が確定いたしました。IRR(内部収益率)が67.5%となり、米国における不動産価値向上の取組みを研究するとともに、高い投資効果を実現いたしました。
(注)心築(しんちく)について
心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、物件取得後、一つ一つの不動産に心をこめた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい不動産価値を創造することをいいます。
・ 「アセットマネジメント事業」
いちごオフィスリート投資法人(証券コード8975)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463)への資産の譲渡および、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282)へのオペレーション支援など、いちごの3つの上場投資法人ともに成長支援を行いました。
アセットマネジメント事業においても、ベース運用フィーが前年同期比で向上し、ストック収益に寄与しております。
・ 「クリーンエネルギー事業」
当第1四半期は、「いちご坂祝深萱ECO発電所」が発電を開始いたしました。岐阜県加茂郡の採石場跡地に建設し、パネル出力は約2.89MWになります。本発電所の発電開始により、当社が運用する発電所は41か所、パネル出力は115.96MWとなっております。また、いちご初の風力発電所「いちご米沢板谷ECO発電所」の建設も順調に進捗しております。引き続き、太陽光発電所のパイプラインの拡大および風力発電所の発電に向け順調に進捗しております。
「新規事業の創出・生活基盤となる新たなインフラへの参入」
当社は、「サステナブルインフラ企業」として、持続的な成長に向け、既存事業の成長に併せ、新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てることで、ストック収益比率のさらなる向上を図っております。
・ 「アニメーション製作および関連事業」
当社は、既存事業とのビジネスシナジーのある新規事業の立ち上げとして本年4月に「いちごアニメーション株式会社」を設立し、押井守総監督、西村純二監督による新作アニメーション(以下「本アニメ」という。)への独占出資を行っております。
日本のアニメは、日本の経済成長や雇用創出に繋がる国家戦略「クールジャパン政策」の代表であり、当社では、アニメ界のさらなる発展を目指すとともに、制作現場の意思を尊重することで、よりクオリティの高いアニメを国内外に発信してまいります。また、当社が秋葉原駅より徒歩4分に所有する「AKIBAカルチャーズZONE」でのイベント開催やグッズ販売等の本アニメとの様々な連動により、AKIBAカルチャーズZONEを日本のアニメ文化を代表する世界的なランドマークへ発展させてまいります。
・ 「オープンイノベーションによるスマート農業支援事業」
当社は、高付加価値ブランド野菜・果物の品質開発および高密度微生物有機培土と高機能環境制御システムを導入したスマート農業分野の先駆者である株式会社OSMICとの資本業務提携契約を締結いたしました。本提携に際し、当社の子会社であった株式会社テヌートが有するCO2局所施用システムの開発・施工等の高い技術をOSMICへ提供することが、テヌートのさらなる企業価値向上に資すると判断し、当社が保有するテヌートの株式とOSMICの株式の交換を実施しております。
併せて、当社はOSMICとの業務提携により、今後は、OSMIC、テヌートとともに、「参加型農業テーマパーク」を実現するため、これまで培った不動産技術、ノウハウを活用してまいります。
・ 「地域活性化に向けた取組み」
当社が保有する商業モールである宮交シティ(宮崎県)は、ライフスタイルに寄り添い、地域一番店に向けたリニューアルを行っております。宮崎県初出店や宮崎を代表する郷土料理などの新しさと地元カルチャーを融合したテナント構成により、従来の50代以上を中心とした客層に加え、30~40代を新規ターゲットとした売上向上を図っております。
すでに宮崎県内にて事業を開始しておりますスマート農業支援においても、販路拡大等のシナジー効果が期待できます。また、地域に根差した放送番組や災害時の緊急災害情報を放送するコミュニティFM放送局である株式会社宮崎サンシャインエフエムの全株式の取得を決定しております(2019年6月3日付で全株式を取得完了)。当社は、こうした個々の事業を繋げることで、宮崎エリアの活性化を支援してまいります。
「借入の長期化・固定化・無担保化、JPX400への継続的組入、Jリーグの「トップパートナー」、いちごSNS」
・ 当社の心築をよりサステナブルな事業とするため、借入期間の長期化とコスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、財務基盤のさらなる安定化を進展させております。
・ 資本の効率的活用や投資家を意識した経営観点等、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たす会社で構成される「JPX日経インデックス400」に、2016年、2017年に続き、2018年においても選定されました。なお、中期経営計画「Power Up 2019」最終年度では、2019年8月に選定される上位 200社にランキングされることを目指しております。
・ 当社は、今シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任いたしました。Jリーグは、地元の市民、行政、企業が三位一体となった支援体制を持ち、その街のコミュニティとして発展する「地域に根差したスポーツクラブ」を目指しています。スポーツ振興に留まらず、地域と一緒に街をつくることを理念として掲げており、当社の事業活動との親和性も高く、いちごはJリーグとともに地域の活性化に取組んでまいります。
・ 当社では、いちごSNS(Facebook、Instagram等ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を開始し、いちごのニュースや日頃の活動をお知らせしております。その他、企業価値向上を目的とした各種いちごブランディングを継続的に推進しております。
業績の詳細
当第1四半期の業績は、売上高26,290百万円(前年同四半期比63.2%増)、営業利益8,537百万円(同42.5%増)、経常利益7,607百万円(同45.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,768百万円(同34.4%増)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
①アセットマネジメント
当該セグメントの業績につきましては、ストック収益であるベース運用フィーの増加に加えて、当第1四半期において、いちごオフィスリート投資法人のキャッシュ・フロー成果報酬が発生したこと等により、セグメントの売上高は915百万円(前年同四半期比15.4%増)、セグメント利益は519百万円(同14.4%増)となりました。
②心築(しんちく)
当該セグメントの業績につきましては、当社の強みである心築による不動産の価値向上を実現し、保有物件の賃料収入が着実に向上し、ストック収益に寄与しております。また、引き続き、高い利益率による物件売却を実現し、当該セグメントの売上高は24,643百万円(前年同四半期比69.4%増)、セグメント利益は7,644百万円(同49.7%増)となりました。
③クリーンエネルギー
当該セグメントの業績につきましては、前連結会計年度以前に竣工した発電所の売電収入が堅調に推移したこと等により、当該セグメントの売上高は1,020百万円(前年同四半期比0.8%増)となりましたが、「いちご昭和村生越ECO発電所」を含む、過年度に売電開始した案件の通年稼働に伴う税負担の増加等が影響し、セグメント利益は377百万円(同10.3%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、35,522百万円となり、前連結会計年度末の45,029百万円と比較して9,506百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、税金等調整前四半期純利益7,796百万円、営業投資有価証券の増減額611百万円等により9,008百万円の資金が増加した一方、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産および前渡金等の増加額が3,555百万円、法人税等の支払額4,358百万円、利息の支払額463百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは632百万円(前年同四半期は1,772百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、投資活動によるキャッシュ・フローは△3,110百万円(前年同四半期は△953百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,000百万円、無形固定資産の取得による支出70百万円、投資有価証券の取得による支出93百万円があった一方、定期預金等の払戻による収入2,009百万円、投資有価証券の売却による収入111百万円があったことによるものです。長期保有不動産の取得や太陽光発電設備の建設などにより前年同四半期に対し4,267百万円支出が増加する結果となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、財務活動によるキャッシュ・フローは△514百万円(前年同四半期は7,433百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額3,192百万円、長期借入れによる収入14,805百万円、長期借入金の返済による支出12,164百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出1,727百万円、配当金の支払額3,342百万円があったことによるものです。
(3)財政状態及び経営成績の分析
①財政状態の分析
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(資産)
資産合計は318,220百万円となり、前連結会計年度末と比較して、1,122百万円減少(前連結会計年度末比0.4%減少)いたしました。
これは主に、現金及び預金の減少11,514百万円、販売用不動産の増加3,380百万円、営業投資有価証券の増加2,620百万円、有形固定資産の増加3,965百万円があったことによるものであります。
(負債)
負債合計は217,102百万円となり、前連結会計年度末と比較して618百万円増加(前連結会計年度末比0.3%増加)いたしました。
これは主に、借入金の増加5,910百万円およびノンリコースローンの減少1,727百万円があったことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は101,118百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,741百万円減少(前連結会計年度末比1.7%減少)いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上4,768百万円に対し、剰余金の配当3,419百万円、非支配株主持分3,096百万円の減少があったことによるものであります。なお、自己資本比率は31.4%(前連結会計年度末比0.5ポイント増加)となりました。
②経営成績の分析
(売上高)
連結売上高は、順調な物件の売却による売却益の獲得、新規取得物件や心築活動による賃貸収入の増加により26,290百万円(前年同四半期比63.2%増)となり、前年同四半期比で大幅な増加となりました。
売上高の主な内訳は、不動産販売収入19,553百万円、不動産賃貸収入4,651百万円、不動産フィー収入645百万円、売電収入1,020百万円であります。
(営業利益)
営業利益は、前述のとおり不動産販売収入、不動産賃貸収入の増加に併せ、販売費及び一般管理費が296百万円増加したことにより、8,537百万円(前年同四半期比42.5%増)となり、前年同四半期と比較して大幅な増加となりました。
(営業外損益)
営業外収益は53百万円(前年同四半期比8.3%減)となりました。
主な内訳は、受取配当金35百万円、受取利息1百万円であります。
営業外費用は保有資産の増加に伴う借入金の増加により982百万円(前年同四半期比17.9%増)となりました。
主な内訳は、支払利息558百万円、融資関連費用236百万円、デリバティブ評価損98百万円であります。
(特別損益)
特別利益は215百万円(前年同四半期は2百万円)となりました。
主な内訳は、関係会社株式交換益169百万円、投資有価証券売却益11百万円であります。
特別損失は27百万円となりました。
主な内訳は、固定資産除却損27百万円であります。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
法人税等は2,094百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は932百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,768百万円(前年同四半期比34.4%増)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社は、新規事業の創出として、不動産×IT「不動テック」を活用したビジネスの創出を掲げており、また、当社の持続的成長とサステナブル社会へのさらなる貢献に向け、研究開発を進めております。
① ホテル事業におけるAI システムの協業開始
当社は、心を込めて既存不動産に新たな価値を創造する「心築」(しんちく)を軸とした事業展開を行っており、本AI システムではホテルの価値向上を目指し、ホテル顧客の満足度向上とホテル収益の最大化を図るIT ソリューションを開発・導入してまいります。
本AI システムにおきましては、IoT(Internet of Things) を活用し収集した情報をBig Data(Cloud)として集約し、集積されたBig Data をAI により判断することでホテルの収益の最大化を図るため、当社がこれまで培ったレベニューマネジメント(ホテル売上管理)のノウハウをシステム化いたします。また、ホテルの従業員においては、ホテルで発生した事象を見逃すことなく、効率的に対応することが可能となり、ホテル顧客への誠実なおもてなしに集中出来る環境を提供するとともに、ホテル顧客においては、当該IT ソリューションの導入により、ホテル滞在中もしくは宿泊施設選定等において、リアルタイムかつ必要な情報を適宜提供してまいります。
なお、本AI システムにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。
②「いちごサステナブルラボ」創設
「いちごサステナブルラボ」では、サステナブル社会を実現すべく、様々な研究開発に取組んでまいります。本ラボは、オープンイノベーションを基本理念にさせていただき、サステナブル社会の実現に取組む多くの方々と協働することを目指しております。
本ラボは、以下のとおり3つの取組みを実行してまいります。
(a) コミュニティLab
「コミュニティLab」では、不動産を人々の快適な生活を支えるプラットフォームと捉え、サステナブル社会の基盤となる人々の絆を大切にしたコミュニティづくりを研究します。本Lab では、サステナブル社会の実現を目指す方々とともにオープンプラットフォームを形成し、「個」から「集」を築き、結び、さらに広げていくことで、サステナブル社会の実現を目指します。
(b) 100年不動産Lab
当社は、現存不動産を活かし、新たな不動産価値を創造する心築(しんちく)事業を行っております。「100年不動産Lab」では、サステナブル社会に向け、安心で安全な100年持続する建物技術をオープンプラットフォームで研究開発し、100年不動産にチャレンジいたします。
米国や欧州における建物は、適切な対応を行うことにより、築50年・100年でもその価値を維持・向上するケースが多く見受けられる一方、日本では、築40年程度で多くの不動産が建て替えられます。また、公共インフラにおける老朽化も大きな社会問題となっており、この社会的な課題に向き合ってまいります。
(c) インキュベーションLab
当社では、行動指針のひとつである「ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ」のとおり、社内ベンチャーの立ち上げを推進しております。「いちごサステナブルラボ」を通じ、社会の課題やニーズを再確認するとともに、課題解決に向けたサステナブルな事業の創出を支援いたします。
なお、本ラボにおける研究活動は、報告セグメントに含まれない本社部門を主体として実施しております。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
上記「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。