第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社は、「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の『いちご』」という理念の実現を最大の目標とし、不動産の保有期間の賃料収入を享受しつつ、いちごの不動産技術、ノウハウを最大限に活かすことで心築(しんちく)による資産価値の向上を図ります。オフィス、ホテル、商業施設等不動産以外にも、遊休地の有効活用策として地球に優しく安全性に優れた太陽光発電所の開発と運営を北海道から沖縄まで全国で行っております。不動産の価値向上が完了後、売却益の獲得等による高い収益を実現しております。

<心築(しんちく)>

いちごでは、「心で築く、心を築く」を信条に、私たちの創造する新たな不動産価値に「心築」という言葉を使用しております。お客様目線に立ち、提供する一つ一つのサービスを心をこめて丁寧に取り組むことで、いちご独自の新たな価値を社会に提供してまいります。

 

私たちの行動指針

・プロフェッショナル

私たちは、どんな場面においても、お客様との永続的な信頼関係を築き、高品質なサービスを提供することに

集中します。そのために、私たちは、誠実かつフェアな精神、高潔で謙虚な態度、高度かつ柔軟な専門知識を

備えるための自己研鑽を惜しみません。

・ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ

私たちは、創造性と多様性を大切にし、積極的な姿勢で、革新的な経営を目指します。

・チームワーク

私たちは、チームワークを通じ、お客様へ貢献します。経営幹部は、この行動指針を常に実践し範を示すとと

もに、最適なチームワークを形成します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

 喫緊の課題としては、新型コロナウイルスが国内外の経済に与える影響により、当社が属する不動産業界においても、テナント退去等による賃料収入の減少やホテル等の心築資産価値の減少が懸念されます。当社におきましては、早期に低価法を適用し、盤石な財務基盤を維持するとともに、キャッシュ・フロー経営を徹底しております。

 また、中長期的には、IoTやIT技術の目覚ましい進歩が見られる昨今、ネットワーク化により付加価値が生み出され、産業のあり方も転換点を迎えております。この大きな変化をビジネスチャンスとして捉え、より中長期的な価値創造に向けたビジネスモデルの進化を推進すべく、従来の3か年の中期経営計画に代え、長期VISION「いちご2030」を策定いたしました。

 

「いちご2030」 サステナブルインフラの「いちご」

 

従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、既存事業の継続的な成長に加え、不動産市況に左右されにくい、持続性と安定性の高い新たな収益基盤を構築いたします。サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として大きな成長を目指してまいります。

 

① サステナブル

サステナブルとは、「持続可能な」という意味であり、人類最大の課題である「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」を目指すうえで、重要な命題となります。当社の心築は、現存不動産に新たな価値を創造する事業であり、高効率で省資源の持続性の高い、サステナブルな事業モデルです。「いちご2030」を通じて当社の事業活動をさらに進化させ、サステナブル経営、環境保全、100年不動産等、この重要な命題の解決に真摯に向き合ってまいります。

 

② インフラ

当社が取組んでいる不動産事業、また不動産事業から発展したクリーンエネルギー事業は人々の暮らしに密接に関わっており、人々の生活を支える社会インフラであり、生活インフラでもあります。当社は、経営理念である「日本を世界一豊かに」するとともに、サステナブルな社会を実現するため、「不動産」と「クリーンエネルギー」の事業領域においてさらなる進展を図り、その他の生活基盤となる新たなインフラへの参入を通し、豊かな生活や経済活動を支えることを目指してまいります。

また、不動産は従来、「ハード」として捉えられますが、当社は、入居されるテナント、利用する人々の生活に目を向け、人々の健康や快適性を向上させ、暮らしをより豊かなものにするためのインフラとして捉えてまいります。徹底した心築とITの融合により、「ハード・インフラ」と「ソフト・インフラ」のさらなる融合を図り、「ハード」だけでは対応できない顧客ニーズを発掘し、それらのニーズにオンリーワンとして的確に対応することで、顧客価値・社会価値を飛躍的に向上していけるものと考えております。

 

取組み期間

2020年2月期~2030年2月期(11年間)

 

資本生産性の目標

① ROE(自己資本利益率) 期間平均 15%以上

積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれますが、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE 15%以上の収益構造の確立を図るとともに、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図ってまいります。

② 「JPX日経インデックス400」 11年間継続の組み入れ

ROE、営業利益、時価総額を選定基準とする、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数である「JPX 日経インデックス400」に2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指します。

 

キャッシュ創出力の目標

エコノミック営業キャッシュフロー※  11年間継続の当期純利益超過

当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。

 

※  エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。

 

安定収益の目標

ストック収益比率(2030年2月期) 60%以上

2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築売却益中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。

 

株主還元策

当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。

① 「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)

当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。

 

[累進的配当について]

累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントと言えます。

② DOE(株主資本配当率) 3%以上

安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図ります。

③ 機動的な自社株買い

上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。

 

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業の展開上、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、必ずしも事業上のリスクとは捉えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 ここに記載したリスク以外にも、当社を取り巻く環境には様々なリスクを伴っており、ここに記載したものが全てではありません。

 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際は見通しと乖離する可能性があります。

 

(1) 当社の事業を取り巻く経営環境について

① 不動産市況の動向

当社の事業において、不動産市況の動向は、他の経済指標と比較して重要性が高いものとなっております。当社は、不動産投資および不動産ファンド組成の際に、長期的かつ安定的な収入を獲得できるようなスキームを構築すると共に、対象不動産のデューデリジェンスを精緻に行うこと等により、不動産市場の動向が当社の財政状態および経営成績に及ぼす影響を少なくするよう細心の注意を払っております。しかし、不動産市況が著しく変動した場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、経済環境や不動産市場が不安定になった場合には、不動産市場全体の流動性が低下する可能性があり、当社が保有する不動産を売却できなくなる可能性や想定通りの時期に売却できなくなる可能性、又は計画よりも低い価格での売却を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 災害等の影響

当社では、不動産ファンドのアセットマネジメントを行うとともに、自己資金による不動産投資も行っております。当社が保有している不動産が所在する地域において、地震、戦争、テロ、火災等の災害が発生した場合には、当該不動産の価値が毀損する可能性があります。その結果、手数料収入が減少したり、確保できない場合や当社の投資資金が回収できない場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染拡大によるリスク

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社が属する不動産業界においても、ホテル宿泊需要の大幅な減少や各種テナント様の業況悪化が散見されております。このような環境下において、当社の保有する販売用不動産の販売可能価額を検証した結果、テナント様の業況悪化が顕著なホテルや商業等の一部について、販売可能価額が当社の帳簿価額を下回ったことから、当該販売用不動産につき低価法を適用することとし、当期において評価損を計上いたしました。今後、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響が想定以上の長期化により、賃料の未収や減免が多数発生し、追加的に評価損が発生した場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 有利子負債への依存度および金利の動向

当社の心築事業およびクリーンエネルギー事業における投資は自己資金によるエクイティ投資のほか、主として個別案件毎に金融機関からの借入金により調達しており、総資産に占める有利子負債比率が上昇しております。これに伴い、将来において、金利水準が上昇した場合は、資金調達コストの増加、顧客投資家の期待利回りの上昇、不動産価格の下落等の事象が生じる可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。金利の上昇リスクに対しては、一部金利スワップおよび金利キャップを利用してリスク・ヘッジを行っております。

財務制限条項について

当社の一部の借入契約には、財務制限条項が付されております。今後これらの条項に抵触した場合、追加の担保設定を必要とされる、期限の利益を喪失して当該借入金を一括返済する必要が生じる等の可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

⑥ その他新規事業について

当社は、新規事業の立ち上げ、既存事業の拡大などを目的として、企業買収、子会社の設立等を行っています。これら事業への参入や参入後の業績には様々な不確実性を伴うため、可能な限りリスクを想定した内部管理体制の構築、人材の充実、保険の付保等を行っておりますが、想定を超えるリスクの発生、法令や諸規制の変更によっては、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合について

当社の営む事業は、不動産投資に関する高い専門能力と知識、経験が不可欠であります。しかしながら、競合他社との間で投資対象となる収益不動産案件の獲得競争が厳しくなっていることから、当該収益不動産案件の確保が出来なかった場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材の確保について

当社の営む事業は、高度な知識と数々の経験に基づく能力を有する人的資本により成り立っております。しかしながら、役員はもとより、各従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や社外に流出した場合、または当社の求める人材が十分に確保できなかった場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特有の法的規制について

当社は、現時点の各種規制に従って、業務を遂行しておりますが、将来において各種規制が変更された場合には、当社の事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。当社が規制を受ける主なものは、金融商品取引法、宅地建物取引業法、各税法、資産の流動化に関する法律、投資事業有限責任組合契約に関する法律、貸金業法、一般法人および一般財団法人に関する法律、建築士法等があります。

当社では、上記の法令等に基づき、主たる事業において以下の許認可および登録(以下、「許認可等」という。)を受けております。

(いちご株式会社)

許認可等の名称

所管官庁等

登録番号

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(3)

第90527号

2024年5月22日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条)

(いちご投資顧問株式会社)

許認可等の名称

所管官庁等

登録番号

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(1)

第99098号

2021年4月28日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条)

取引一任代理等認可

国土交通省

国土交通大臣認可第42号

有効期間の定めはありません。

不正な手段による認可の取得や業務に関し取引の相手に損害を与えた場合は認可の取消

(宅地建物取引業法第67条の2)

金融商品取引業登録

(投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業)

金融庁

関東財務局長

(金商)第318号

有効期間の定めはありません。

不正な手段による登録や資本金不足、業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消

(金融商品取引法第52条)

不動産特定

共同事業者許可

金融庁、

国土交通省

金融庁長官・

国土交通大臣

第69号

有効期間の定めはあり
ません。

役員や法人としての欠格条項に該当する場合や不正な手段による登録がある場合は登録の取消

(不動産特定共同事業法第36
条)

 

(いちご地所株式会社)

許認可等の名称

所管官庁等

登録番号

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(2)

第93181号

2021年7月15日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条)

金融商品取引業登録

(投資助言・代理業、第二種金融商品取引業)

金融庁

関東財務局長

(金商)第18号

有効期間の定めはありません。

不正な手段による登録や資本金不足、業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消

(金融商品取引法第52条)

(いちごオーナーズ株式会社)

許認可等の名称

所管官庁等

登録番号

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(1)

第100428号

2022年4月7日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条)

(いちご土地心築株式会社)

許認可等の名称

所管官庁等

登録番号

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(1)

第103221号

2024年3月22日まで

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条)

 

当社では、法令規則等の遵守を徹底しており、これまで重要な行政処分を受けたことはありません。また、当社は、これらの許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、今後何らかの理由により当社が業務の遂行に必要な許認可等の取消などの行政処分を受けた場合には、当社の事業活動に支障をきたし、財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 連結の範囲決定に関する事項

(投資事業組合等の連結会計上の取扱いについて)

当社は、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号 2011年3月25日改正)に基づき、各投資事業組合等毎に個別に支配力および影響力の有無を判定した上で連結子会社および関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。

今後、新たな会計基準の設定や、実務指針等の公表により、投資事業組合等に関する連結範囲の決定について、当社が採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社の連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 大株主について

当社の大株主である、いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(以下、「いちごトラストPTE」という。)は2020年2月29日現在、当社の総議決権の49.35%を保有しております。

いちごトラストPTEは、投資を事業目的とする、法人格を有さない外国籍のユニット・トラストである、いちごトラストから100%の出資を受けております。

いちごトラストおよびいちごトラストPTEはIchigo Asset Management International, Pte. Ltd.(以下、「Ichigo Asset International」という。)に投資を一任しており、Ichigo Asset Internationalに対しては、いちごアセットマネジメント株式会社が投資助言を行っております。

Ichigo Asset Internationalおよびいちごアセットマネジメント株式会社は当社との間に資本関係はございませんが、当社の取締役並びに代表執行役会長であるスコット キャロンは当社の取締役およびいちごアセットマネジメント株式会社の代表者を兼任しており、Ichigo Asset Internationalの大株主であります。

なお、スコット キャロンは、Ichigo Asset Internationalの業務執行を行っておらず、Ichigo Asset Internationalの当社株式の売買に関する投資判断には関与しておりません。

さらに、Ichigo Asset Internationalは、日本国の法令規則等を遵守するとともに、コンプライアンス等に係る社内規則を定め、未公表の重要事実の入手時における売買停止を実施する等、必要とする情報統制の体制を整備し運用しております。

当社は、事業活動を行う上での機関決定等に際し、いちごトラストおよびいちごトラストPTEから制約を受けることはなく、当社の事業展開における意思決定は当社の責任のもとで行われ業務が執行されており、独立性を確保しているものと考えております。

いちごトラストは当社が2008年8月に実施した第三者割当増資を引き受けて以来、当社株式を長期安定株主として保有する方針の下、当社に対し事業および資金支援を行い、当社の安定収益基盤の確立と財務基盤の強化支援に努めてまいりました。現時点においても、将来にわたり長期安定株主として一定数を保有する方針でありますが、今後の経済情勢および国際情勢が著しく変動した場合は保有方針等が変更される可能性があります。その場合には当社の経営方針および業務遂行に対して影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) クリーンエネルギー(太陽光発電等)について

当社では、再生エネルギーを創生し、環境に配慮した発電事業として社会的意義があり、かつ当社の安定収益基盤の拡大を目指す事業としてクリーンエネルギー(太陽光発電等)事業を展開しております。

2020年2月29日現在において、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法により定められた全量固定価格買取制度に基づき、当社の売電価格が電力会社との契約により20年間保証されております。

しかしながら、電力会社が当該契約通りに買取を行わなかった場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当該事業における太陽光発電設備の発電量は気象条件に大きく左右されるほか、天災・火災等の災害に見舞われた場合には、設備の損傷等により発電量が大幅に低下する可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における新型コロナウイルス発生前のわが国経済は、海外経済の減速から輸出・生産は弱含んでいるものの、企業収益は一進一退ながら高水準を維持しており、設備投資は堅調でした。また、個人消費は消費税増税による一時的な影響を受けつつも、雇用や所得環境の着実な改善により緩やかに持ち直しており、堅調な国内需要と政府による経済財政政策と日本銀行による金融緩和政策の効果により、緩やかな景気の拡大基調が期待されておりましたが、新型コロナウイルスが国内外の経済に与える影響により下落傾向が見受けられております。

 当社が属する不動産業界においても、低水準の空室率を背景に、当期の賃料は上昇傾向となっており、売買についても、低金利により相対的に安定した利回りを得られるわが国の不動産への投資ニーズは高く、投資需要は底堅い状況が続き、Jリート市場も資産の入替による潜在利益の実現や賃料の緩やかな上昇により収益の向上が見られ、資金流入基調にありましたが、新型コロナウイルスの影響により今後の下振れが懸念されております。特にホテル市場におきましては、一部地域での大量供給や日韓関係の悪化の影響を受けるとともに、新型コロナウイルスの影響により、訪日外国人観光客が大幅に減少しており、ホテル収益の下振れが懸念されます。

 クリーンエネルギー事業においては、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の変更や未稼働案件に対する措置等により、事業化の可否について選別が進む一方、すでに運転が開始されている太陽光発電所が自然災害への耐久性を実証しております。東京証券取引所インフラ市場においても、経済環境に収益が左右されない、安定性の高い商品としてさらなる拡大が期待されます。

 

主な取組み

 

当社ではこのような事業環境下において、長期VISION「いちご2030」の初年度がスタートし、従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。

 

「既存事業の成長と深化」

・ 「心築(しんちく)事業」(注)

不動産市場が活況を呈するなか、引き続き、新たな取組みや不動産取得手法の創意工夫により優良物件を取得しております。当期における取得額は630億円、売却による売上高は606億円となりました。当社の強みである心築による不動産の価値向上が、引き続き、高水準の利益率での物件売却を実現しております。また、保有物件は、高稼働率を維持するとともに、賃料収入が着実に向上しており、ストック収益の成長に寄与しております。

 

(注)心築(しんちく)について

心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、物件取得後、一つ一つの不動産に心をこめた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい不動産価値を創造することをいいます。

 

・ 「アセットマネジメント事業」

いちごオフィスリート投資法人(証券コード8975、以下「いちごオフィス」という。)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463、以下「いちごホテル」という。)および、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)への成長支援を行うとともに、私募ファンド事業の拡大に向けた取組みに注力いたしました。

なお、いちごオフィスについては、これまでの運用成果が評価され、国際不動産投資のベンチマークとして世界中の機関投資家等が採用するFTSE EPRA / NAREIT Global Real Estate Index Seriesに組入れられました。

 

・ 「クリーンエネルギー事業」

当期は、観測史上最強クラスの勢力で上陸した台風15号や19号が発生いたしましたが、当社が保有・管理する発電所において、発電設備被害はなく、その後も順調に発電しております。本年度は梅雨明けが遅く、こうした台風の影響も受けましたが、当期の太陽光発電事業における実績発電量は予測値を上回っております。また、いちご初の風力発電所「いちご米沢板谷ECO発電所」の建設も順調に進捗しております。当期においては、5発電所、23MWが発電を開始しており、引き続き、太陽光発電所のパイプラインの事業化および風力発電所の発電を推進しております。

 

ストック収益の成長

 

 

0102010_001.jpg

「新規事業の創出・生活基盤となる新たなインフラへの参入」

当社は、「サステナブルインフラ企業」として、不動産を人々の暮らしをより豊かにするインフラと捉え、既存事業の成長に併せ、不動産を活かした新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てることで、ストック収益比率のさらなる向上による持続的な成長を図っております。

 

・ 不動産×ホテル運営「ホテル運営会社「博多ホテルズ」を設立」

当社は、数多くのホテルの保有・運用を通してこれまで培ったノウハウを活用することで、ホテルのさらなる価値向上と収益拡大を図ることが可能であると考え、ホテル運営事業へ参入いたしました。今後は、博多を中心に約700室、7ホテルのフルサービスからカジュアルなホテルまで、グレードやクラスを問わず運営を行ってまいります。そして、自社ブランドの開発だけでなく、異業種からホテル業への参入パートナーとして運営面のプロフェッショナル集団を目指してまいります。

 

・ 不動産×IT「いちごのAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の開発」

当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、コンサルティングと業務支援、アルゴリズムとAIを融合し、宿泊施設が本来持つポテンシャルを最大限発揮します。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、365日の過去データを、状況予測を含めた最適な手法で状況の変化に柔軟に対応し、最善の宿泊施設の価格設定を提案します。「PROPERA」の活用により、当社は、ホテルの年間収益を約10~40%向上させており、今後はより多くの宿泊施設に提供してまいります。

 

・ 不動産×食・観光「PPP事業「よこすかポートマーケット」運営事業者選定」

当社は、横須賀市の掲げる「観光立市よこすか」の実現に向け、よこすかポートマーケットの既存建物を活用し、公民が連携してサービスの提供を行うPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の公募により運営事業者に選定されました。本マーケットの運営事業は、資本生産性の高いノンアセット事業として、地域の活性化、雇用の創出、および持続的な発展に全力を尽くしてまいります。

 

・ 不動産×アニメ「新作アニメーション「ぶらどらぶ」製作および関連事業」

当社は、既存事業とのビジネスシナジーのある新規事業の立ち上げとして2019年4月に「いちごアニメーション株式会社」を設立し、押井守総監督、西村純二監督による新作アニメーション「ぶらどらぶ」への独占出資を行っております。

日本のアニメは、日本の経済成長や雇用創出に繋がる国家戦略「クールジャパン政策」の代表であり、当社では、アニメ界のさらなる発展を目指すとともに、制作現場の意思を尊重することで、よりクオリティの高いアニメを国内外に発信してまいります。また、当社が秋葉原駅より徒歩4分に保有する「AKIBAカルチャーズZONE」では、すでにイベントやCD販売を行っており、今後もグッズ販売等「ぶらどらぶ」との様々な連動により、AKIBAカルチャーズZONEを日本のアニメ文化を代表する世界的なランドマークへ発展させてまいります。

 

・ 不動産×ゲーム「仮想×現実のリアルワールドゲーム「TSUBASA+(ツバサ プラス)」へ出資」

当社は、既存事業とのビジネスシナジーのある新規事業の立ち上げとしてスマートフォンのGPS機能を活用した「TSUBASA+」へ出資を行っております。

「TSUBASA+」は、世界中にあるスタジアムやグラウンド、様々なスポットに出現する「キャプテン翼」に登場するキャラクターや、世界中で実際に活躍するサッカー選手たちを仲間にしていくリアルワールドゲームです。当社は、「TSUBASA+」内で、当社保有の不動産の位置にバーチャル(仮想)スタジアムを設定する等、周囲の地域の活性化とスポーツ支援を図ってまいります。

 

「借入の長期化・固定化・無担保化、グリーンボンドの発行、JPX400への継続的組入、優待制度の導入、いちごSNS」

・ 当社の心築をよりサステナブルな事業とするため、借入期間の長期化とコスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、財務基盤のさらなる安定化を進展させております。

・ 当社は、地球に優しく安全性に優れたクリーンエネルギー事業を積極的に推進しており、太陽光発電所の建設および運営を目的としたグリーンボンド(私募債)を発行いたしました。

・ 資本の効率的活用や投資家を意識した経営観点等、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たす会社で構成される「JPX日経インデックス400」に、2019年においても選定され、4年連続の選定となりました。また、2019年8月の選定にあたっては、上位200社にランキングされ、本選定により中期経営計画「Power Up 2019」に掲げたすべての計画の実現を果たすことが出来ました。

・ 当社は、2019年度シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任し、Jリーグとともに豊かさ溢れる地域社会に取組むとともに、当社およびいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンの株主・投資主様を対象とした「いちごJリーグ株主・投資主優待」制度を導入いたしました。本優待制度は、次の2つの日本初となります:①株主・投資主の合同優待 ②Jリーグの全55クラブ(2019年度)の全試合が対象。

・ 当社では、いちごSNS(Facebook、Instagram等ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運用し、いちごのニュースや日頃の活動をお知らせしております。その他、企業価値向上を目的とした各種いちごブランディングを継続的に推進しております。

 

業績の詳細

 

当連結会計年度の業績は、売上高87,360百万円(前期比4.6%増)、営業利益27,721百万円(同5.5%増)、経常利益24,395百万円(同5.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,201百万円(同46.7%減)となりました。

 

長期VISION「いちご2030」初年度は、堅固なストック収益と好調なフロー収益により、営業利益および経常利益はそれぞれ前期比で増加し、過去最高益を更新いたしました。一方、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社が属する不動産業界においても、ホテル宿泊需要の大幅な減少や各種テナント様の業況悪化が散見されております。このような環境下において、当社の保有する販売用不動産の販売可能価額を検証した結果、テナント様の業況悪化が顕著なホテルや商業等の一部について、販売可能価額が当社の帳簿価額を下回ったことから、当該販売用不動産につき低価法を適用することとし、当該評価損7,487百万円を含む8,065百万円を特別損失に計上いたしました。

これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で減少いたしましたが、当社のバランスシートにおける将来リスクは軽減され、信頼性の高い財務基盤を引き続き維持しております

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

・アセットマネジメント(AM)

いちごホテルにおける物件売却益の成果報酬や私募ファンドの新規受託によりスポット運用フィーが増加したこと、ベース運用フィーが堅調に推移したこと等によりセグメント売上高3,949百万円(前期比14.2%増)、セグメント利益2,526百万円(同15.1%増)となりました。

 

・心築(しんちく)

当社の強みである心築により不動産の価値向上を実現し、保有物件における賃料収入の着実な向上が、ストック収益に寄与しております。また、引き続き、高い利益率による物件売却を実現できたことから、セグメント売上高は80,517百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益は23,971百万円(同5.7%増)となりました。

 

・クリーンエネルギー

7月から8月にかけて例年より日照不足が続いたものの、前連結会計年度に竣工した発電所の売電収入が寄与したこと等により、セグメント売上高は3,796百万円(前期比4.0%増)となりましたが、発電所の減価償却費の増加や当社グループ全体の成長投資費用の増加等により、セグメント利益1,272百万円(前期比6.7%減)となりました。

なお、当連結会計年度において5発電所が稼働し、翌期以降は通期で収益への貢献が見込まれております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、40,826百万円となり、前期末の45,029百万円と比較して4,202百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは11,892百万円(前年同期は21,762百万円)となりました。税金等調整前当期純利益16,545百万円、営業投資有価証券の減少額11,682百万円等により40,990百万円の資金が増加した一方、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産および前渡金等の増加額が17,600百万円、法人税等の支払額9,430百万円、利息の支払額2,068百万円があったこと等によるものです。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは△10,263百万円(前年同期は△15,602百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11,244百万円、投資有価証券の取得による支出2,361百万円、無形固定資産の取得による支出562百万円があった一方、定期預金等の払戻による収入2,063百万円、投資有価証券の売却による収入111百万円があったことによるものです。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは9,537百万円(前年同期は4,346百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額426百万円、社債の発行による収入5,828百万円、長期借入れによる収入49,957百万円、長期借入金の返済による支出26,475百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入5,300百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出17,701百万円、配当金の支払額3,416百万円、自己株式の取得による支出2,999百万円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社で行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年3月1日

  至 2020年2月29日)

 前年同期比(%)

 アセットマネジメント(百万円)

3,048

24.9

 心築(百万円)

80,516

4.0

 クリーンエネルギー(百万円)

3,796

4.0

合計(百万円)

87,360

4.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2018年3月1日

  至 2019年2月28日)

当連結会計年度

(自 2019年3月1日

  至 2020年2月29日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 投資法人みらい

12,507

15.0

 合同会社えごころ、合同会社えんけい

8,386

10.0

 ワナカ特定目的会社

13,015

14.9

  東京レジ・アイリス・1合同会社

  東京レジ・アイリス・2合同会社

  東京レジ・アイリス・3合同会社

  東京レジ・アイリス・4合同会社

16,358

18.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります

 

①重要な会計方針および見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、販売用不動産の評価、固定資産及び有価証券の減損、減価償却資産の耐用年数の設定、税効果会計等に関して、過去の実績や当該取引の状況に応じて、合理的と考えられる見積りおよび判断を行い、その結果を資産・負債や収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は333,726百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,382百万円増加(前期比4.5%増)いたしました。
 これは主に、販売用不動産の減少93,032百万円、現金及び預金の減少9,158百万円に対し、有形固定資産の増加111,222百万円があったことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は232,119百万円となり、前連結会計年度末と比較して15,634百万円増加(前期比7.2%増)いたしました。
 これは主に、借入金の増加24,121百万円、ノンリコースローンの減少12,401百万円があったことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は101,607百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,251百万円減少(前期比1.2%減)いたしました。
 これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上8,201百万円、剰余金の配当3,419百万円、自己株式の取得による減少2,999百万円があったことによるものです。なお、自己資本比率は30.1%(前期比0.8ポイント減少)となりました。

 

(経営成績の分析)

(売上高)

 連結売上高は、順調な物件の売却による売却益の獲得、新規取得物件や心築活動による賃貸収入の増加、いちごホテルにおける物件売却益の成果報酬や私募ファンドの新規受託によるスポット運用フィーの増加、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入増等によ87,360百万円(前期比4.6%増)となり、前期比で増加となりました。

 売上高の主な内訳は、不動産販売収入60,602百万円、不動産賃貸収入19,126百万円、不動産フィー収入3,114百万円および売電収入3,796百万円であります。

 

 

(営業利益)

 過年度における一部の資産区分変更等により心築不動産の減価償却費が807百万円増加し、事業拡大や新規事業への成長投資等により販売費及び一般管理費も940百万円増加いたしましたが、前述のとおり不動産販売収入、不動産賃貸収入、売電収入が増加したことにより、営業利益は過去最高益の27,721百万円(前期比5.5%増)となりました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は150百万円(前期比1.7%増)となりました。

 主な内訳は、受取配当金78百万円、受取保険金35百万円であります。

 営業外費用は、デリバティブ評価損が減少した一方、物件の取得・売却に係る融資関連費用等が増加し、3,476百万円(前期比3.8%増)となりました。

 主な内訳は、支払利息2,293百万円、融資関連費用538百万円、デリバティブ評価損336百万円であります。

 

(特別損益)

 特別利益は、215百万円(前期は2百万円)となりました。

 主な内訳は、関係会社株式交換益169百万円、投資有価証券売却益11百万円であります。

 特別損失は、8,065百万円となりました。

 主な内訳は、販売用不動産評価損7,487百万円、減損損失319百万円、投資有価証券評価損229百万円であります。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社が属する不動産業界においても、ホテル宿泊需要の大幅な減少や各種テナント様の業況悪化が散見されております。このような環境下において、当社の保有する販売用不動産の販売可能価額を検証した結果、テナント様の業況悪化が顕著なホテルや商業等の一部について、販売可能価額が当社の帳簿価額を下回ったことから、当該販売用不動産につき低価法を適用することとし、当該評価損7,487百万円を含む8,065百万円を特別損失に計上いたしました。

 低価法の速やかな適用により、当社のバランスシートにおける将来リスクは軽減され、信頼性の高い財務基盤を引き続き維持しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税は7,990百万円となりました。また、当連結会計年度において法人税等調整額を△584百万円計上しました。
 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8,201百万円となり、前期比46.7%の減少となりました。

 

(3)資金の源泉および流動性についての分析

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4)資金需要及び財務政策

 当社の事業活動における資金需要の主なものは、不動産の取得および太陽光発電設備の建設に係る資金であります。

 財務政策の状況につきましては、低金利環境を背景に収益力向上と財務安定性のさらなる強化を目的として、調達金利の低減、返済期日分散、借入期間の長期化、アモチ(借入期間中の約定返済)の縮減等、借入条件の改善、および資金調達手法の多様化に積極的に努めてまいりました。

 

 当期においては、安定した資金調達体制の構築、および信用力強化を目的とした無担保資金の調達を前期に引き続き積極的に行っております。2019年6月には借入期間10年の100億円無担保コミットメントライン(借入枠)を設定し、前期設定分の100億円と併せ、合計200億円の無担保コミットメントラインを設定いたしました。更に2019年9月には、30億円の無担保社債(私募債)を発行いたしました。

 これらコミットメントライン、無担保私募債発行による調達資金は、流動性の確保、および今後の不動産取得において有効活用してまいります。

 

<2019年6月設定 無担保コミットメントラインの概要>

  ① 資金使途      販売用不動産の取得資金

  ② コミットメント枠  10,000百万円

  ③ 借入先       株式会社みずほ銀行をアレンジャー兼エージェントとしたシンジケート団

株式会社みずほ銀行、株式会社東日本銀行、他

  ④ 引出期間      2019年6月28日から2022年6月30日(3年間)

  ⑤ 最終返済期日    2029年6月29日

  ⑥ 担保        無担保

  ⑦ 契約締結日     2019年6月28日

 

<2019年9月発行 無担保社債(私募債)の概要>

  ① 発行体       いちご株式会社

  ② 発行価額      3,000百万円

  ③ 払込日       2019年9月27日

  ④ 発行年限      5年

  ⑤ 私募債引受人    みずほ証券株式会社

  ⑥ 財務代理人     株式会社みずほ銀行

 

 また、当社は「サステナブルインフラ企業」として、100%連結子会社であるいちごECOエナジー株式会社を通じ、地球に優しく安全性に優れたクリーンエネルギー事業の積極的な推進を目的として、2019年7月に無担保のグリーンボンド(私募債)29億円を発行いたしました。

 

<2019年7月発行 グリーンボンド(私募債)の概要>

  ① 発行体       いちごECOエナジー株式会社

  ② 発行価額      2,900百万円

  ③ 払込日       2019年7月31日

  ④ 発行年限      10年

  ⑤ 総額引受人     株式会社三井住友銀行

※本グリーンボンドは、趣旨にご賛同いただきました株式会社三井住友銀行、株式会社第四銀行、株式会社りそな銀行、株式会社きらぼし銀行により資金が拠出されました。

 

(5)経営上の目標の達成状況について

 IoTやIT技術の目覚ましい進歩が見られる昨今、ネットワーク化により付加価値が生み出され、産業のあり方も転換点を迎えております。この大きな変化をビジネスチャンスとして捉え、より中長期的な価値創造に向けたビジネスモデルの進化を推進すべく、従来の3か年の中期経営計画に代え、長期VISION「いちご2030」を策定いたしました。

 長期VISION「いちご2030」初年度は、堅固なストック収益と好調なフロー収益により、営業利益および経常利益はそれぞれ前期比で増加し、過去最高益を更新いたしました。一方、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、当社が属する不動産業界においても、ホテル宿泊需要の大幅な減少や各種テナント様の業況悪化が散見されております。このような環境下において、当社の保有する販売用不動産の販売可能価額を検証した結果、テナント様の業況悪化が顕著なホテルや商業等の一部について、販売可能価額が当社の帳簿価額を下回ったことから、当該販売用不動産につき低価法を適用することとし、当該評価損7,487百万円を含む8,065百万円を特別損失に計上いたしました。

 これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で減少いたしましたが、当社のバランスシートにおける将来リスクは軽減され、信頼性の高い財務基盤を引き続き維持しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社は、新規事業の創出として、不動産×IT「不動テック」を活用したビジネスの創出を掲げており、また、当社の持続的成長とサステナブル社会へのさらなる貢献に向け、研究開発を進めております。

 

① ホテル事業におけるAIシステムの協業開始

 当社は、心を込めて既存不動産に新たな価値を創造する「心築(しんちく)」を軸とした事業展開を行っており、本AI システムではホテルの価値向上を目指し、ホテル顧客の満足度向上とホテル収益の最大化を図るIT ソリューションを開発・導入してまいります。

 本AI システムにおきましては、IoT(Internet of Things) を活用し収集した情報をBig Data(Cloud)として集約し、集積されたBig Data をAI により判断することでホテルの収益の最大化を図るため、当社がこれまで培ったレベニューマネジメント(ホテル売上管理)のノウハウをシステム化いたします。また、ホテルの従業員においては、ホテルで発生した事象を見逃すことなく、効率的に対応することが可能となり、ホテル顧客への誠実なおもてなしに集中出来る環境を提供するとともに、ホテル顧客においては、当該IT ソリューションの導入により、ホテル滞在中もしくは宿泊施設選定等において、リアルタイムかつ必要な情報を適宜提供してまいります。

 なお、本AI システムにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。

 

 

②「いちごサステナブルラボ」創設

 「いちごサステナブルラボ」では、サステナブル社会を実現すべく、様々な研究開発に取組んでまいります。本ラボは、オープンイノベーションを基本理念にさせていただき、サステナブル社会の実現に取組む多くの方々と協働することを目指しております。

 本ラボは、以下のとおり3つの取組みを実行してまいります。

 

(a) コミュニティLab

「コミュニティLab」では、不動産を人々の快適な生活を支えるプラットフォームと捉え、サステナブル社会の基盤となる人々の絆を大切にしたコミュニティづくりを研究します。本Lab では、サステナブル社会の実現を目指す方々とともにオープンプラットフォームを形成し、「個」から「集」を築き、結び、さらに広げていくことで、サステナブル社会の実現を目指します。

 

(b) 100年不動産Lab

当社は、現存不動産を活かし、新たな不動産価値を創造する心築(しんちく)事業を行っております。「100年不動産Lab」では、サステナブル社会に向け、安心で安全な100年持続する建物技術をオープンプラットフォームで研究開発し、100年不動産にチャレンジいたします。

米国や欧州における建物は、適切な対応を行うことにより、築50年・100年でもその価値を維持・向上するケースが多く見受けられる一方、日本では、築40年程度で多くの不動産が建て替えられます。また、公共インフラにおける老朽化も大きな社会問題となっており、この社会的な課題に向き合ってまいります。

 

(c) インキュベーションLab

当社では、行動指針のひとつである「ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ」のとおり、社内ベンチャーの立ち上げを推進しております。「いちごサステナブルラボ」を通じ、社会の課題やニーズを再確認するとともに、課題解決に向けたサステナブルな事業の創出を支援いたします。

 

 なお、本ラボにおける研究活動は、報告セグメントに含まれない本社部門を主体として実施しております。