当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」という。)の影響により、急速に落ち込んでおります。企業収益の悪化により設備投資が減少するとともに、失業率は増加傾向にあります。また、緊急事態宣言の発令により個人消費はリーマン・ショックを上回る落ち込みとなりました。このような状況下において、政府は企業の資金繰り支援の強化や家賃支援給付金の創設等を盛り込んだ2020年度の第2次補正予算を策定し、景気のさらなる落ち込みの回避を図っております。
当社が属する不動産業界において、増加基調にあったオフィス需要は、依然として高い稼働率を維持しているものの、テレワークの拡大により将来の減少が懸念されます。また、コロナの大きな影響を受けたホテル産業においては、全世界的に人の移動が制限され、需要が激減しました。一方、収益の安定性が高い賃貸住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。
クリーンエネルギー事業においては、収益が経済環境に左右されない、安定性の高い事業として再び注目され、東京証券取引所インフラ市場においても、投資口価格は底堅く推移しております。
主な取組み
当社ではこのような急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。また、長期VISION「いちご2030」に沿い、従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。
「既存事業の成長と深化」
・ 「心築(しんちく)事業」(注)
コロナの影響により、賃貸市場はアセットタイプにより状況が大きく異なりました。最も大きな影響を受けたホテルや商業施設では、感染拡大防止に努めるための休館や外出自粛の影響により、テナント様の売上が大きく落ち込んでおります。当社におきましても、テナント様とのコミュニケーションをより充実させ、政府や自治体からの要請を踏まえ、必要に応じて賃料の支払猶予や減免等の対応を講じております。一方、オフィスビルや賃貸住宅、物流施設では、大きな影響は顕在化しておらず、安定的に推移しております。とりわけ、収益の安定性がより高い賃貸住宅においては、投資家の投資ニーズが継続しており、当第1四半期における売却は、賃貸住宅を中心に売上高が167億円、取得額は103億円となりました。
現時点において、コロナの拡大から、当社が保有するホテルおよび商業施設の売上減少により賃料に影響が生じておりますが、当該心築資産の評価額に影響を与えるものではないと認識しております。
(注)心築(しんちく)について
心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、物件取得後、一つ一つの不動産に心をこめた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい不動産価値を創造することをいいます。
・ 「アセットマネジメント事業」
いちごオフィスリート投資法人(証券コード8975、以下「いちごオフィス」という。)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463、以下「いちごホテル」という。)、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。なお、いちごホテルでは、資産運用報酬制度について、Jリート市場で唯一、投資主価値に連動し、能動的な運用を促進する完全成果報酬を導入しております。このため、コロナの拡大等によりホテルオペレーターの収益に連動する変動賃料が発生せず、いちごホテルが収受する賃料の減少が生じた場合においては、当社のベース運用フィーが減少するリスクがあります。
・ 「クリーンエネルギー事業」
当第1四半期は、3発電所(パネル出力8MW)が新たに発電を開始しております。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高い当事業では、順調に新たな発電所が稼働し、当第1四半期末時点におけるパネル出力は115MW、前年同期比で33%の増加となりました。また、当期は第2四半期以降に、いちご初となる風力発電所を含め、4発電所(13MW)の発電開始を予定しており、さらなる売電収入の増加が見込まれます。
「急激な環境変化に対応した成長戦略」
・ 信頼性の高い財務基盤の確保
当社は、リーマン・ショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。今後もこの方針を継続し、当社の心築をよりサステナブルな事業へ進展させております。
・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営
当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、心築資産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当第1四半期末における心築資産の固定資産比率は84.4%(注)です。
(注)当社が保有する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く心築資産を対象としております。
「新規事業の創出・生活基盤となる新たなインフラへの参入」
当社は、「サステナブルインフラ企業」として、不動産を人々の暮らしをより豊かにするインフラと捉えております。そして、ストック収益比率のさらなる向上と持続的な成長を企図し、既存事業の成長に併せ、不動産を活かした新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てております。
具体的には、昨年、ホテル運営会社「博多ホテルズ」を設立し、数多くのホテルの保有・運用を通して当社がこれまで培ったノウハウを活用し、ホテルのさらなる価値向上と収益拡大を図っております。加えて、いちごのAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」を開発いたしました。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、365日の過去データを、状況予測を含めた最適な手法で状況の変化に柔軟に対応し、最善の宿泊施設の価格設定を提案します。これにより、当社は、ホテルの年間収益を約10~40%向上させており、今後はより多くの宿泊施設に提供してまいります。
その他、不動産とアニメーションのビジネスシナジーを企図し、押井守総監督、西村純二監督による新作アニメーション「ぶらどらぶ」への独占出資を行っており、当社が秋葉原駅より徒歩4分に保有する「AKIBAカルチャーズZONE」との連動を図っております。
また、不動産とのビジネスシナジーのある「TSUBASA+」への出資も行っております。「TSUBASA+」は、スマートフォンのGPS機能を活用した仮想×現実のリアルワールドゲームです。当社保有の不動産の位置にバーチャル(仮想)スタジアムを設定する等、周囲の地域の活性化とスポーツ支援を図ってまいります。
業績の詳細
当第1四半期の業績は、売上高22,730百万円(前年同四半期比13.5%減)、営業利益3,650百万円(同57.2%減)、経常利益3,303百万円(同56.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,164百万円(同54.6%減)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
①アセットマネジメント
当該セグメントの業績につきましては、いちごホテルにおいてコロナの影響によりベース運用フィーが減少したこと等によりセグメント売上高642百万円(前年同四半期比29.8%減)、セグメント利益334百万円(同35.7%減)となりました。
②心築(しんちく)
当第1四半期は、物件の売却が集中した前年同四半期比で売却が少なかったことから、売却益が減少し、加えて、前連結会計年度末に販売用不動産を固定資産へ振替えたことにより減価償却費が増加しました。また、コロナの影響によりホテルを中心とする変動賃料体系の物件の収益が減少したこと等により、当該セグメントの売上高は20,940百万円(前年同四半期比15.0%減)、セグメント利益は2,748百万円(同64.0%減)となりました。
③クリーンエネルギー
当該セグメントの業績につきましては、前連結会計年度に竣工した発電所の売電収入が堅調に推移したことや当第1四半期において新たに3つの発電所が売電を開始したこと等により、売上高は1,288百万円(前年同四半期比26.3%増)、セグメント利益は594百万円(同57.4%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期における現金及び現金同等物は、43,922百万円となり、前連結会計年度末の40,826百万円と比較して3,095百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、税金等調整前四半期純利益3,188百万円、売上債権の増減額622百万円等により4,429百万円の資金の増加、および物件の売却等による販売用不動産等の減少額10,338百万円があった一方、法人税等の支払額2,155百万円、利息の支払額494百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは12,118百万円(前年同四半期は632百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、投資活動によるキャッシュ・フローは△10,640百万円(前年同四半期は△3,110百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9,612百万円、無形固定資産の取得による支出611百万円、貸付けによる支出368百万円があった一方、出資金の回収による収入15百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期において、財務活動によるキャッシュ・フローは1,617百万円(前年同四半期は△514百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,280百万円、長期借入れによる収入13,515百万円、長期借入金の返済による支出9,858百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出112百万円、配当金の支払額3,235百万円があったことによるものです。
(3)財政状態及び経営成績の分析
①財政状態の分析
(資産)
資産合計は334,659百万円となり、前連結会計年度末と比較して、932百万円増加(前連結会計年度末比0.3%増加)いたしました。
これは主に、販売用不動産の減少10,135百万円に対して、有形固定資産の増加7,968百万円、現金及び預金の増加3,096百万円があったことによるものであります。
(負債)
負債合計は234,481百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,362百万円増加(前連結会計年度末比1.0%増加)いたしました。
これは主に、借入金が4,937百万円増加した一方、ノンリコースローンが112百万円減少、未払法人税等が1,358百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は100,177百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,430百万円減少(前連結会計年度末比1.4%減少)いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上2,164百万円に対し、剰余金の配当3,372百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は29.6%(前連結会計年度末比0.5ポイント減少)となりました。
②経営成績の分析
(売上高)
連結売上高は、レジデンスを主とした順調な物件の売却による売却益の獲得があったものの、前年同四半期比では売却が減少したこと、コロナの影響によりホテルの収益が減少したこと等により、売上高は22,730百万円(前年同四半期比13.5%減)となり、前年同四半期比で減少となりました。
売上高の主な内訳は、不動産販売収入16,782百万円、不動産賃貸収入4,097百万円、不動産フィー収入488百万円、売電収入1,288百万円であります。
(営業利益)
営業利益は、前述の通り不動産販売収入、不動産賃貸収入が減少した一方、販売費及び一般管理費が119百万円減少したこと等により、3,650百万円(前年同四半期比57.2%減)となり、前年同四半期比で減少となりました。
(営業外損益)
営業外収益は314百万円(前年同四半期比490.9%増)となりました。
前年同四半期比で増加となった要因は、デリバティブ評価益239百万円の計上であります。その他の主な収益内訳は、受取配当金54百万円であります。なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。
営業外費用は、融資関連費用が減少した為、660百万円(前年同四半期比32.8%減)となりました。
主な内訳は、支払利息573百万円であります。
(特別損益)
特別損失は115百万円(前年同四半期比322.7%増)となりました。
主な内訳は、投資有価証券評価損114百万円であります。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
法人税等は1,023百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は1百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,164百万円(前年同四半期比54.6%減)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社は、新規事業の創出として、不動産×IT「不動テック」を活用したビジネスの創出を掲げており、また、当社の持続的成長とサステナブル社会へのさらなる貢献に向け、研究開発を進めております。
① ホテル事業におけるAI システムの開発
当社は、心を込めて現存不動産に新たな価値を創造する「心築」(しんちく)を軸とした事業展開を行っており、ホテル等宿泊施設の顧客満足度向上と収益の最大化を図るためのAIシステム開発に取り組んでおります。
当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、前第3四半期において、他社が提供する宿泊施設向け予約管理サービスとの連携を決定し、運用を開始いたしました。「PROPERA」は、コンサルティングと業務支援、アルゴリズムとAIを融合し、宿泊施設が本来持つポテンシャルを最大限発揮します。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、365日の過去データを、状況予測を含めた最適な手法で状況の変化に柔軟に対応し、最善の宿泊施設の価格設定を提案します。
なお、本AIシステムにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。
②「いちごサステナブルラボ」創設
「いちごサステナブルラボ」では、サステナブル社会を実現すべく、様々な研究開発に取組んでまいります。本ラボは、オープンイノベーションを基本理念とし、サステナブル社会の実現に取組む多くの方々と協働することを目指しております。
本ラボは、以下のとおり3つの取組みを実行してまいります。
(a) コミュニティLab
「コミュニティLab」では、不動産を人々の快適な生活を支えるプラットフォームと捉え、サステナブル社会の基盤となる人々の絆を大切にしたコミュニティづくりを研究します。本Lab では、サステナブル社会の実現を目指す方々とともにオープンプラットフォームを形成し、「個」から「集」を築き、結び、さらに広げていくことで、サステナブル社会の実現を目指します。
(b) 100年不動産Lab
当社は、現存不動産を活かし、新たな不動産価値を創造する「心築(しんちく)事業」を行っております。「100年不動産Lab」では、サステナブル社会に向け、安心で安全な100年持続する建物技術をオープンプラットフォームで研究開発し、100年不動産にチャレンジいたします。
米国や欧州における建物は、適切な対応を行うことにより、築50年・100年でもその価値を維持・向上するケースが多く見受けられる一方、日本では、築40年程度で多くの不動産が建て替えられます。また、公共インフラにおける老朽化も大きな社会問題となっており、この社会的な課題に向き合ってまいります。
(c) インキュベーションLab
当社では、行動指針のひとつである「ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ」のとおり、社内ベンチャーの立ち上げを推進しております。「いちごサステナブルラボ」を通じ、社会の課題やニーズを再確認するとともに、課題解決に向けたサステナブルな事業の創出を支援いたします。
なお、本ラボにおける研究活動は、報告セグメントに含まれない本社部門を主体として実施しております。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
上記「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。