第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第1四半期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス(以下「コロナ」という。)感染者数の抑制とともに人流の回復が進み、観光支援策等が支えとなるなか、個人のサービス消費を中心として経済活動が持ち直しています。一方、企業業績においては、サプライチェーンの停滞や部品・原材料の不足および価格高騰により厳しい環境が続きましたが、緩やかながら回復基調にあります。今後は、より一層の経済回復が期待されますが、コロナ変異株の状況については不確実性が大きく、円安や資源価格の高騰による物価上昇のリスクもあり、引き続き、注視が必要な状況です。

 当社が属する不動産業界は、オフィスビルにおいて、特に大規模物件でコロナによる影響が顕在化しましたが、空室率の落ち着きとともに、新規成約の賃料水準も下げ止まりつつあります。なお、当社が保有する中規模オフィスにおいては、コロナの影響が最小限に留まり、引き続き底堅い需要が継続しております。コロナの影響を大きく受けたホテル産業においては、売上が回復傾向にありますが、インバウンド需要は限定的であり、コロナ前の水準への回復には至っておりません。今後、政府による水際対策の一層の緩和が期待され、さらなる回復が見込まれます。安定性が高い賃貸住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。

 また、世界的に環境課題への取り組みが急務であるなか、わが国でもカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進んでおり、さらなる政策の強化が期待されます。こうした環境下において、クリーンエネルギー事業の重要性は増しておりますが、当社では、地域および地球に優しい再生可能エネルギーのさらなる創出に注力しております。

 

主な取り組み

 

 当社ではこのような急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。また、長期VISION「いちご2030」に沿い、サステナブル(持続可能)な社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。

 また、徹底した心築(しんちく)(注)とITの融合により、ハードだけでは対応できない顧客ニーズを発掘し、それらのニーズにオンリーワンとして的確に対応することで、顧客価値・社会価値の飛躍的な向上を目指しております。当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、その代表的な事業のひとつであり、コンサルティングと業務支援、アルゴリズムとAIを融合し、宿泊施設が本来持つポテンシャルを最大限発揮するシステムです。ホテル収益の最大化と労働生産性の向上により、宿泊施設の課題解決と競争力強化を実現します。

 当社では、既存事業の進化とともに、こうした新規事業の創出と成長により、今後とも、株主価値の最大化に向け、株主重視経営をさらに向上し具現化すべく、全力を尽くしてまいります。

 

(注)心築(しんちく)について

 心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指しております。

 

「既存事業の成長と深化」

・ 「心築事業」

 コロナの影響は、アセットタイプにより大きく異なり、最も大きな影響を受けたホテルでは、売上が回復傾向にありますが、インバウンド需要が限定的であり、宿泊ニーズの本格的な回復には時間を要するものと思われます。また、当社が保有する心築資産のなかで最大規模となるオフィスビルで空室が発生し、一時的な減収要因となっておりますが、賃料水準に比してビルのグレードが非常に高い物件であり、後継テナントの誘致においてはテナント候補企業様のニーズを捉えて進めてまいります。商業ビルにおいては、東京都中央区銀座に所在する物件の心築が完了したことから、当第1四半期に売却いたしました。商業ビルの売買市場は回復基調にあるものの、売買の成立には立地等の条件が伴いますが、本物件においては好立地であることから、買い手からコロナ前の水準による価格提示を受け、譲渡による利益の実現が株主価値の向上に資するものと判断いたしました。なお、賃貸住宅および物流施設では、コロナによる大きな影響は顕在化しておりません。とりわけ、収益の安定性がより高い賃貸住宅においては、投資家の投資需要が継続しており、設立6年目を迎えたいちごオーナーズは、順調に成長を続けております。当第1四半期においても取得・売却ともに順調に進捗しております。

 こうしたなか、当第1四半期における不動産の売買は売却額108億円、取得額116億円となりました。

 

・ 「アセットマネジメント事業」

 いちごオフィスリート投資法人(証券コード8975、以下「いちごオフィス」という。)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463、以下「いちごホテル」という。)、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。

 いちごオフィスでは、環境課題への取り組みとして、いちごグループでは最も早く、保有する全物件(区分所有物件および共有物件を除く。)で、電力受給契約における再生可能エネルギーへの切り替えを完了いたしました。

 いちごホテルでは、ホテル需要の本格的な回復に至っていないことから、完全成果報酬制度の導入に伴い、ホテル売上に連動して当社のベース運用フィーがコロナ前の水準に戻っておりませんが、稼働率および売上は回復基調にあり、本年5月度の実績では、コロナ感染拡大以降でRevPARが最も高い状況になっております。

 

・ 「クリーンエネルギー事業」

 当期は、3発電所(発電出力5MW/前期末比+3.7%)の新たな発電開始を予定しており、当第1四半期に、2発電所が稼働を開始いたしました。当社が開発・運用する発電開始済み発電所の合計は、62発電所(発電出力173.1MW)まで成長しております。今後さらなる太陽光発電所への投資を行うとともに、電力供給の安定性向上に寄与する第3のエネルギーとして、森林の高齢化等の課題に対応し、治山対策、地域経済の活性化に貢献するグリーンバイオマス発電を計画しております。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高い当事業は、継続的に成長しております。

 

「急激な環境変化に対応した成長戦略」

・ 信頼性の高い財務基盤の確保

 当社は、リーマン・ショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。今後もこの方針を継続し、当社の心築をよりサステナブルな事業へ進展させてまいります。

 

・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営

 当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、当社の心築事業に属する不動産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当第1四半期末における固定資産比率は87.4%(注)です。

 

(注)当社の心築事業に属する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く不動産を対象としております。

 

「サステナビリティへの取り組み」

 当社は、企業の存在意義は社会貢献であると考えており、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として大きな成長を図るとともに、事業活動を通じて

社会的責任を果たすことを最大の目標としております。

 具体的な取り組みとして、現存不動産に新たな価値を創造する「心築(しんちく)」を軸とした事業モデルをさらに進化させ「100年不動産」にチャレンジするとともに、クライメイト(気候)・ポジティブに向けて、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」の目標達成年限を2025年とし、当社に加え、当社グループが運用するいちごオフィス(8975)、いちごホテル(3463)が保有する不動産も対象とし、環境循環型社会に向けた取り組みを加速しております。当第1四半期末時点において、60%まで再生可能エネルギーへの切り替えが進んでおります。

 また、当社は、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みである「国連グローバル・コンパクト」に署名しております。署名する企業および団体は、10の原則に賛同し、企業トップ自らのコミットメントのもと、その実現に向けて努力を継続することが求められます。

 当社は、社会をより良い状態で次世代へ継承するための一員として、独自の心築技術を軸とした新しい価値創造・社会課題の解決と環境保全活動によって、社会に貢献してまいります。

 

業績の詳細

 

 当第1四半期の業績は、売上高16,638百万円(前年同四半期比31.3%増)、営業利益2,723百万円

(同13.8%減)、ALL-IN営業利益(注)2,723百万円(同13.8%減)、経常利益2,367百万円(同0.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,534百万円(同0.7%減)となりました。

(注)ALL-IN営業利益=営業利益+特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益

 

セグメントごとの内容および業績は、次のとおりであります。

 なお、当期より、心築事業の事業実態を表すため、「営業利益」に特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益を加算した「ALL-IN営業利益」を経営指標(KPI)として設定しております。これは、さらなる開示の可視化にも繋がることから、当第1四半期連結累計期間の期首より、報告セグメントの「セグメント利益」を「営業利益」から「ALL-IN営業利益」に変更いたします。

 

①アセットマネジメント

当該セグメントの業績につきましては、いちごオフィスにおいて、物件の入れ替え施策において売却が先行したこと等に伴い、前年同四半期比でベース運用フィーが減少したこと等により、セグメント売上高578百万円(前年同四半期比7.3%減)、セグメント利益322百万円(同8.7%減)となりました。

 

②心築(しんちく)

当第1四半期は、商業施設やオフィス等の販売用不動産の売却により、当該セグメントの売上高は14,592百万円(前年同四半期比37.2%増)となりました。一方で、前年同四半期に行った物件売却の利益率が高かったことから、セグメント利益は1,751百万円(同15.1%減)となりました。

 

③クリーンエネルギー

当該セグメントの業績につきましては、前期に竣工した発電所の売電収入が通期で寄与したことに加え、当第1四半期において新たに2つの発電所が売電を開始したこと等により、セグメント売上高は1,574百万円(前年同四半期比2.3%増)となりました。一方で、組織変更に伴い当該セグメントに係る経営指導料が増加したことにより、セグメント利益は659百万円(同11.3%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第1四半期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、42,637百万円となり、前連結会計年度末の46,214百万円と比較して3,576百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期において、税金等調整前四半期純利益2,367百万円、減価償却費1,334百万円等により4,030百万円の資金の増加があった一方、利息の支払額471百万円、法人税等の支払額2,781百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは1,017百万円(前年同四半期は△2,559百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期において、投資活動によるキャッシュ・フローは△4,214百万円(前年同四半期は△1,403百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,170百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期において、財務活動によるキャッシュ・フローは△380百万円(前年同四半期は4,606百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額2,417百万円、長期借入れによる収入10,984百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入3,000百万円があった一方、長期借入金の返済による支出12,354百万円、自己株式の取得による支出1,096百万円、配当金の支払額3,148百万円があったことによるものです。

 

(3)財政状態及び経営成績の分析

①財政状態の分析

(資産)

 資産合計は336,658百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,228百万円減少(前連結会計年度末比0.4%減少)いたしました。

 これは主に、物件取得による有形固定資産の増加2,863百万円に対し、自己株式の取得1,096百万円を主とした現金及び預金の減少3,596百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

 負債合計は226,912百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,216百万円増加(前連結会計年度末比0.5%増加)いたしました。

 これは主に、未払法人税等の減少1,174百万円、その他の流動負債の減少1,358百万円に対し、物件取得資金の調達等により借入金が3,922百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産合計は109,746百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,444百万円減少(前連結会計年度末比2.2%減少)いたしました。

 これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上1,534百万円に対し、剰余金の配当3,275百万円、自己株式の取得1,096百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は29.2%(前連結会計年度末比0.6ポイント減少)となりました。

 

②経営成績の分析

(売上高)

 連結売上高は、商業施設やオフィス等の販売用不動産の売却収入、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入の増加等があったことから、売上高は16,638百万円(前年同四半期比31.3%増)となりました。

 売上高の主な内訳は、不動産販売収入10,863百万円、不動産賃貸収入3,640百万円、不動産フィー収入448百万円、売電収入1,572百万円であります。

 

(営業利益)

 営業利益は、心築の完了により物件売却を進めた一方で、前年同四半期に行った物件売却の利益率が高かったこと、前期に大規模オフィスビルにて空室が発生したこと等から、2,723百万円(前年同四半期比13.8%減)となりました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、前年同四半期と比較してデリバティブ評価益が増加したことから、242百万円(前年同四半期比289.8%増)となりました。なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。

 主な内訳は、デリバティブ評価益186百万円、受取利息11百万円であります。

 営業外費用は、前年同四半期と比較して支払利息が減少したことから、599百万円(前年同四半期比28.4%減)となりました。

 主な内訳は、支払利息534百万円、融資関連費用16百万円であります。

 

(親会社株主に帰属する四半期純利益)

 法人税等は776百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益は56百万円となりました。

 これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,534百万円(前年同四半期比0.7%減)となりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当社は、新規事業の創出として、不動産×IT「不動テック」を活用したビジネスの創出を掲げており、また、当社の持続的成長とサステナブル社会へのさらなる貢献に向け、研究開発を進めております。

 

① ホテル事業におけるAIシステムの協業開始

 当社は、心を込めて既存不動産に新たな価値を創造する「心築」(しんちく)を軸とした事業展開を行っており、ホテル等宿泊施設の顧客満足度向上と収益の最大化を図るためのAIシステム開発に取り組んでおります。

 当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、2020年2月期において、他社が提供する宿泊施設向け予約管理サービスとの連携を決定し、運用を開始いたしました。「PROPERA」は、コンサルティングと業務支援、アルゴリズムとAIを融合し、宿泊施設が本来持つポテンシャルを最大限発揮します。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、365日の過去データを、状況予測を含めた最適な手法で状況の変化に柔軟に対応し、最善の宿泊施設の価格設定を提案します。

 なお、本AIシステムにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。

 

② 植物性シリカ SiO2 の生成・応用・提供に向けた研究開発

 当社は、前連結会計年度に植物性シリカ SiO2(二酸化ケイ素)の生成、応用、提供による収益化を目指した研究開発のために100%出資の連結子会社「いちごSi株式会社」(以下、「いちごSi」という。)を設立しました。

 いちごSiは、植物性シリカ(NEO Silica)、植物由来のケイ素(NEO Si)の生成手法を含め、すでに3件の国内特許を取得済みです。独自技術を用いて生成された NEO Silica、NEO Siの活用に向け、各大学や分野ごとの専門企業との共同研究、開発等、社外協力体制の構築を進めております。

 また、いちごSiでは、国立学校法人東京工業大学の名誉教授であり、過去に内閣官房参与も務められた有富正憲氏を首席顧問としてお迎えしており、今後の研究開発をともに進めてまいります。

 なお、いちごSiにおける研究活動は、心築セグメントを主体として実施しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 上記「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。