(1)経営方針
当社は、「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の『いちご』」という理念の実現を最大の目標とし、不動産の保有期間の賃料収入を享受しつつ、いちごの不動産技術、ノウハウを最大限に活かすことで心築(しんちく)による資産価値の向上を図ります。オフィス、ホテル、商業施設等不動産以外にも、遊休地の有効活用策として地球に優しく安全性に優れた太陽光発電所および風力発電所の開発と運営を北海道から沖縄まで全国で行っております。不動産の価値向上が完了後、売却益の獲得等による高い収益を実現しております。
<心築(しんちく)>
いちごでは、「心で築く、心を築く」を信条に、私たちの創造する新たな不動産価値に「心築」という言葉を使用しております。いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造するとともに、日本における「100年不動産」の実現を目指しております。
私たちの行動指針
・プロフェッショナル
私たちは、どんな場面においても、お客様との永続的な信頼関係を築き、高品質なサービスを提供することに
集中します。そのために、私たちは、誠実かつフェアな精神、高潔で謙虚な態度、高度かつ柔軟な専門知識を
備えるための自己研鑽を惜しみません。
・ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ
私たちは、創造性と多様性を大切にし、積極的な姿勢で、革新的な経営を目指します。
・チームワーク
私たちは、チームワークを通じ、お客様へ貢献します。経営幹部は、この行動指針を常に実践し範を示すとと
もに、最適なチームワークを形成します。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
当社のコアコンピタンスである心築は、現存する建物を「壊す」ではなく「活かす」省資源かつサステナビリティに寄与する社会的意義の大きな事業であるとともに、徹底した現場主義により、テナント様のニーズに耳を傾け、満足度の向上を図ることを目指しております。新型コロナウイルス(以下「コロナ」という。)感染拡大の影響により働き方改革が加速し、今後のオフィス需要に変化が生じる可能性があります。こうしたなかで、選ばれるオフィスに向け、ニーズの変化に柔軟に対応し、テナント様やオフィスが所在する街の方々への付加価値の提供を目指しております。
そして、当社では、「サステナブルインフラ企業」としての持続的な成長に向け、既存事業のさらなる深化と新規事業の創出を進めております。また、「企業の存在意義は社会貢献である」と考えており、事業活動を通じて社会的責任を果たすことを最大の目標としており、当社では、より中長期的な価値創造に向けたビジネスモデルの進化を推進すべく、長期VISION「いちご2030」を策定しております。
「いちご2030」 サステナブルインフラの「いちご」
従来の心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、既存事業の継続的な成長に加え、不動産市況に左右されにくい、持続性と安定性の高い新たな収益基盤を構築いたします。サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として大きな成長を目指してまいります。
① サステナブル
サステナブルとは、「持続可能な」という意味であり、人類最大の課題である「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」を目指すうえで、重要な命題となります。当社の心築は、現存不動産に新たな価値を創造する事業であり、高効率で省資源の持続性の高い、サステナブルな事業モデルです。「いちご2030」を通じて当社の事業活動をさらに進化させ、サステナブル経営、環境保全、100年不動産等、この重要な命題の解決に真摯に向き合ってまいります。
② インフラ
当社が取組んでいる不動産事業、また不動産事業から発展したクリーンエネルギー事業は人々の暮らしに密接に関わっており、人々の生活を支える社会インフラであり、生活インフラでもあります。当社は、経営理念である「日本を世界一豊かに」するとともに、サステナブルな社会を実現するため、「不動産」と「クリーンエネルギー」の事業領域においてさらなる進展を図り、その他の生活基盤となる新たなインフラへの参入を通し、豊かな生活や経済活動を支えることを目指してまいります。
また、不動産は従来、「ハード」として捉えられますが、当社は、入居されるテナント様、利用する人々の生活に目を向け、人々の健康や快適性を向上させ、暮らしをより豊かなものにするためのインフラとして捉えてまいります。徹底した心築とITの融合により、「ハード・インフラ」と「ソフト・インフラ」のさらなる融合を図り、「ハード」だけでは対応できない顧客ニーズを発掘し、それらのニーズにオンリーワンとして的確に対応することで、顧客価値・社会価値を飛躍的に向上していけるものと考えております。
■ 取組み期間
2020年2月期~2030年2月期(11年間)
■ 資本生産性の目標
① ROE(自己資本利益率) 期間平均 15%以上
積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれますが、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE 15%以上の収益構造の確立を図るとともに、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図ってまいります。
② 「JPX日経インデックス400」 11年間継続の組み入れ
ROE、営業利益、時価総額を選定基準とする、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数である「JPX 日経インデックス400」に2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指します。
■ キャッシュ創出力の目標
エコノミック営業キャッシュフロー※ 11年間継続の当期純利益超過
当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。
※ エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の決算短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。
■ 安定収益の目標
ストック収益比率(2030年2月期) 60%以上
2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築売却益中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。
■ 株主還元策
当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。
① 「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)
当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。
[累進的配当政策について]
累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントといえます。
② DOE(株主資本配当率) 3%以上
安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図ります。
③ 機動的な自社株買い
上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。
(3)サステナビリティに関する考え方および取り組み
当社は、“日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の「いちご」”を掲げ、あらゆる事業活動を社会貢献と捉えて、心築を軸とした事業モデルをさらに進化させ、「100年不動産」へチャレンジするとともに、地域および地球に優しいクリーンエネルギー事業を積極的に推進しており、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として大きな成長を目指しております。
当社は、2022年11月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言へ賛同することを表明しました。気候変動は全世界における課題であり、その課題に取り組むことは、企業の責任であると考えております。人類、社会そして地球の一員として「サステナブル経営」の実現を重要な経営課題とし、気候変動におけるリスクの認識とそのリスクの適切な管理を行うとともに、事業機会と捉え、豊かさと環境が共存する未来のために取り組んでまいります。また、TCFD提言に基づき、「ガバナンス」・「戦略」・「リスク管理」・「指標と目標」の4項目に分類した開示を実施しております。
① ガバナンス
当社は、気候関連課題への取り組みを重要な経営課題と捉え、代表執行役社長を最高責任者として、執行役副社長兼COO補佐のもと、代表執行役社長直轄部署としてReジェネレーション推進部を設置しております。Reジェネレーション推進部が主管となり、当社の主要会社で年に4回サステナビリティ会議を開催し、気候関連のリスクと機会の特定•評価、エネルギー使用量やその他水や廃棄物等の排出状況のモニタリング、方針や目標の設定、および具体的な施策の検討を実施しております。なお、その活動状況は、内部統制システム構築基本方針で定める気候変動対策取組体制に則り、執行役副社長兼COO、Reジェネレーション推進部を通じて、代表執行役社長が監督機関である取締役会へ報告する体制としております。
② 戦略
当社では、2030年を想定し、2℃未満シナリオと4℃シナリオにおける財務影響度および事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。
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2℃未満シナリオ |
脱炭素社会の実現へ向けた政策・規制が実施され、世界全体の気温上昇が産業革命前から2℃未満に抑えられるシナリオ。脱炭素社会への移行リスクは高いが、気候変動の物理的影響に関連したリスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。 |
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4℃シナリオ |
パリ協定における国別目標など、公表済み目標が達成されることを前提としたシナリオ。新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加する。移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。 |
なお、気候変動に関するリスクと機会を抽出するにあたり、当社のコア事業である「心築事業」・「アセットマネジメント事業」・「クリーンエネルギー事業」の3つの事業を対象とし、事業内容から「心築事業」と「クリーンエネルギー事業」の2つの観点からリスクと機会を分析しました。「アセットマネジメント事業」については、アセットの属性に応じて、それぞれ「心築事業」と「クリーンエネルギー事業」に包含して分析を行っております。リスクと機会の抽出にあたっては、担当部署と協議し、各事業ごとの特性や外部環境を考慮することで、より具体的なリスクと機会を抽出しており、それらを自社とステークホルダーにとっての重要性を定量的、定性的に評価し、当社にとってのリスクと機会を特定しました。
(1)特定したリスク・機会
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区分 |
タイプ |
心築 事業 |
クリーン エネルギー 事業 |
内容 |
|
移行 リスク |
政策規制 |
● |
● |
炭素税等の新規制導入による対応コスト、運用コスト、建設資材コストの増加、再エネ関連法制度変更や開発規制の強化に伴う新規建設コスト、運用コスト(既存発電所の増強費)、燃料コスト(バイオマス)の増加 |
|
技術 |
● |
|
省エネ機器が未導入の物件の価値の相対的低下 |
|
|
物理 リスク |
急性 |
● |
● |
風水害の激甚化と頻発化による建物損害の増加、事業停止リスクの増大、自然災害の激甚化による施設の破損等による収益の悪化、発電設備の改修コスト増 |
|
慢性 |
● |
● |
海面上昇による浸水被害想定エリアの賃料下落•資産価値の低下 |
|
|
機会 |
資源効率 |
● |
|
高効率•環境認証ビル•テナントニーズの変化に柔軟に対応する耐用年数の長い不動産の資産価値の上昇 |
|
資源効率 |
|
● |
太陽光パネル等の発電設備、蓄電池、送電設備の技術革新による発電効率向上によるコストの削減、収益増加 |
|
|
エネルギー源 |
● |
|
再エネ•省エネ技術導入による運用コストの減少 (前提:再エネ価格の減少、使用エネルギー減) |
|
|
製品および サービス |
|
● |
再エネ需要の増加によるサービスの多様化(制度変更、需要増)による収益の増加 |
|
|
市場 |
● |
● |
ステークホルダーから高いESG評価の獲得による資金調達機会、収益機会、公的機関のインセンティブの使用機会の増加 |
|
|
市場 |
● |
|
海面上昇の影響を受ける都市の代替都市および地方不動産投資市場の活発化に伴う不動産価値の向上 |
※エネルギー管理権限のない一棟貸し、販売用不動産、私募運用案件については除外しております。
(2)リスク・機会に対する財務影響度と当社の対応/レジリエンス
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区分 |
タイプ |
内容 |
財務 影響度 |
心築 事業 |
クリーン エネルギ ー事業 |
当社の対応/レジリエンス |
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移行 リスク |
政策 規制 |
炭素税等の新規制導入による対応コスト、運用コスト、建設資材コストの増加 |
小 |
● |
● |
・2025年までにRE100達成や省エネ施策による温室効果ガス排出量削減により対応コストを抑制 |
|
技術 |
省エネ機器が未導入の物件の価値の相対的低下 |
小 |
● |
|
2030年までに照明機器の100%LED化や省エネ機器の導入を推進し、物件の価値を維持 |
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物理 リスク |
急性 |
風水害の激甚化と頻発化による建物損害の増加、事業停止リスクの増大 |
中 |
● |
● (小) |
全運用物件を対象とした中長期修繕計画を作成し、修繕費用を年間予算計画に反映させ、適切な予防保全を実施 |
|
慢性 |
海面上昇による浸水被害想定エリアの賃料下落•資産価値の低下 |
小 |
● |
● |
浸水被害時対策計画の作成、アニュアルインスペクションの実施による対策と、新規物件購入時に浸水リスクを織り込んだ検討 |
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|
機会 |
資源 効率 |
高効率•環境認証ビル•テナントニーズの変化に柔軟に対応する耐用年数の長い不動産の資産価値の上昇 |
小 |
● |
|
運用物件全般に原則として環境認証を取得する計画を立案、すべての運用物件において環境認証を取得(2040年) |
|
資源 効率 |
太陽光パネル等の発電設備、蓄電、送電設備の技術革新による発電効率向上によるコストの削減、収益増加 |
小 |
|
● |
新技術導入による収益性の向上 |
|
|
エネル ギー源 |
再エネ•省エネ技術導入による運用コストの減少 (前提:再エネ価格の減少、使用エネルギー減) |
小 |
● |
|
2025年までのRE100達成に向けて、再生可能エネルギーを計画的に導入 |
|
|
製品 および サービス |
再エネ需要の増加によるサービスの多様化(制度変更、需要増)による収益の増加 |
小 |
|
● |
追加性のある自家消費の太陽光発電所の新規開発、卒FIT後の再エネの活用 |
|
|
市場 |
ステークホルダーからの高いESG評価の獲得による資金調達機会、収益機会、公的機関のインセンティブの使用機会の増加 |
中 |
● |
● |
・国連グローバルコンパクトへの署名、RE100に加盟し脱炭素宣言、2025年をRE100の達成年度に設定 ・継続的な事業成長機会の獲得とグループ運用物件への電力供給による付加価値向上施策の立案(クリーンエネルギー事業) |
|
|
市場 |
海面上昇の影響を受ける都市の代替都市および地方不動産投資市場の活発化に伴う不動産価値の向上 |
小 |
● |
|
代替都市・代替エリアを想定し、新規取得物件の対象エリアと対象エリア内の既存物件の投資運用方針の見直しを実施 |
※各シナリオにおける財務的影響(小・中・大)は、定性的・定量的な観点を踏まえて当社にて議論を行ったうえで決定しております。なお、本検討については今後も継続的に行い、新たに生じた外部・内部要因や定量的な影響の精査等を踏まえて適宜更新を行ってまいります。
③ リスク管理
当社では、予想外の損失または不利益を生じさせる全ての可能性を「ISO31000リスクマネジメント指針」を参考に管理しております。リスク管理体制の整備を全社として組織的に行うため、リスク管理規程を制定し、リスクマネジメントの管理体制を整備、運用しております。リスク管理を管掌する役員を執行役コーポレート本部長とし、各部門長が新規事業およびプロジェクトを含むグループ各社が管理すべき主要なリスクについて特定し、リスク管理部が半年に1回の頻度でリスク評価および分析を取りまとめ、管掌執行役コーポレート本部長が、監査委員会および監督権を有する取締役会へ報告しております。管理対象リスクには「気候変動関連に起因するリスク」も含まれ、グループ各社の事業における気候変動の影響によるリスクについてはリスク管理部とReジェネレーション推進部が連携し管理する体制を整備しております。このリスク管理体制をサイクル化することで、気候変動に起因するリスクを把握し、年に一回見直しを行い、当社の事業に影響があるリスクについては対策を講じてまいります。
④ 指標及び目標
当社は、目標を達成するための取り組みの一環として、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」に加盟し、「脱炭素宣言」をいたしました。当社では、当社のみならず、当社が運用するいちごオフィスリート投資法人(証券コード8975、以下「いちごオフィス」という。)、いちごホテルリート投資法人(証券コード3463、以下「いちごホテル」という。)が保有する不動産にて消費する電力を含めて、2025年までに100%再生可能エネルギーとする「RE100」の達成を目標に掲げております。また、今後も事業を通じて再生可能エネルギーの創出を推進するとともに、消費電力の削減を通じて2050年までに、電力に限らず、温室効果ガスにおける当社の削減量が排出量を上回る状態である「クライメイト(気候)・ポジティブ」の達成を目指してまいります。
以下において、当社の事業の展開上、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、必ずしも事業上のリスクとは捉えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
ここに記載したリスク以外にも、当社を取り巻く環境には様々なリスクを伴っており、ここに記載したものが全てではありません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際は見通しと乖離する可能性があります。
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① 不動産市況の動向 |
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発生可能性:中 |
発生可能性のある時期:中期的 |
影響度:大 |
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●リスク 経済環境が悪化した場合、賃貸需要の低下により不動産市場の流動性が低下する可能性があり、当社が保有する不動産を想定の時期および価格で売却できなくなる可能性があり、また、業績連動賃料を含む賃料の低下により、収益が低下する可能性があります。
○機会 資産価値の観点から潜在力のある不動産を、安価に取得することが可能な機会と捉え、株主価値向上の観点から効果のある資産取得を行っていく方針です。 |
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★対応策 不動産投資の際に、様々な想定のもと市場変動への耐性を検証し、長期的かつ安定的な運用が可能な物件を取得しております。また、市場環境の変化に応じて定期的に必要な再構成を行っており、不動産市場の動向が当社の財政状態および経営成績に及ぼす影響を少なくするよう細心の注意を払っております。 |
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② 災害等の影響 |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:特定時期なし |
影響度:大 |
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●リスク 当社が運用する不動産または発電設備が所在する地域において、地震、台風、豪雨、テロ、火災等の災害が発生した場合、当該資産の価値が毀損する可能性があり、その結果、賃料収入や手数料収入等が減少する可能性があります。 |
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★対応策 当社は、不動産の取得にPML値の基準を設け、取得時にハザードマップの確認と併せ、技術部門が防災設備の検証を行っており、自然災害の発生に一定の耐性を持つ資産の取得を行っております。 また、ITを用いた災害情報ネットワークを構築しており、災害発生時には速やかに被害状況の把握を行い、現地協力会社との提携による即時対応フローを運用しております。本社被災時には事業継続計画に基づき、段階的に事業復旧が可能となる体制および災害備蓄を整備しております。 |
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③ 感染症拡大によるリスク |
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発生可能性:中 |
発生可能性のある時期:特定時期なし |
影響度:中 |
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●リスク 感染症の拡大により、当社が属する不動産業界においても、ホテル宿泊需要の大幅な減少や各種テナントの業況悪化が予想されます。また、感染症拡大に伴う影響の想定以上の長期化により、賃料の未収や減免が多数発生した場合、当社の保有する不動産の収益性低下による評価損または減損損失の発生により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
〇機会 業務のIT化の推進により、就業場所を選ばず、効率性が確保された業務推進体制を整備する機会と捉えております。 |
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★対応策 資金調達については、テナントの状況を注視し、金融機関との情報共有および連携を強化し、必要な場合には事前の対応を行ってまいります。 |
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④ 有利子負債への依存および金利の動向 |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:長期的 |
影響度:中 |
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●リスク 心築事業およびクリーンエネルギー事業においては、自己資金によるエクイティ投資のほか、個別案件毎に金融機関からの借入金により資金を調達しております。このため、金利水準が上昇した場合、資金調達コストの増加、不動産価格の下落等の事象が生じる可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
●リスク アセットマネジメント事業において、顧客である投資家の期待利回りの上昇により、新規ファンドの組成が困難となる可能性があります。 |
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★対応策 金利の上昇リスクに対しては、借入のうち一定の割合について、金利スワップおよび金利キャップ取引を利用し、金利上昇リスクをヘッジしております。また、アセットマネジメント事業において、複数のJ-REITおよび私募不動産ファンドの組成、運用実績として、数多くのトラックレコードを有しており、心築事業と連動した事業運営を行うことにより、投資家の要求する期待利回りに合致した競争力のあるファンド組成、運用体制を構築しております。 |
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⑤ 財務制限条項について |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:中期的 |
影響度:大 |
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●リスク 借入の一部において、財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触した場合、追加の担保設定または借入金の一部弁済を求められる可能性があります。また、期限の利益を喪失し、当該借入金を一括返済する必要が生じる等の可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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★対応策 当社は、借入時に財務制限条項の当社に与える影響について、細心の注意を払って貸付人と交渉を行い、リスクが抑制された水準での合意を行っております。また、投資不動産に変動が生じた場合、速やかに財務制限条項への抵触可能性についてシミュレーションを行い、適切な判断と対応を行うとともに、貸付人とは緊密に情報を共有し、良好な関係を継続し、協議可能な関係の維持に努めております。 |
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⑥ その他新規事業について |
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発生可能性:中 |
発生可能性のある時期:中期的 |
影響度:中 |
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●リスク ノンアセットの新たな事業の立ち上げに取り組んでおりますが、これら事業への参入には様々な不確実性を伴うため、既存事業と比較し損失の発生可能性は高く、損失発生時には、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
〇機会 新規事業の構築により、新たな安定的収益基盤の構築が達成されるとともに、新たな事業パートナーとの協働によるイノベーションが期待されます。 |
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★対応策 当社では、新規事業にかかる初期コストおよび人的リソースの上限を、当期の経営状況から許容できる範囲に限定しており、社内におけるモニタリング体制および内部管理体制の充実、人財の採用教育、必要に応じて保険の付保等を行うなど、リスク顕在時の影響を限定する施策を講じております。新しい事業分野においては、当該分野の専門家の雇用または提携を前提とし、既存の事業とのシナジーが見込まれる範囲に留めております。本社にはこれら新規事業の進捗状況を確認、監督する部門を設け、その情報分析のもと、撤退の判断を迅速に行える体制を整備しております。 |
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⑦ 競合について |
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発生可能性:中 |
発生可能性のある時期:中期的 |
影響度:中 |
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●リスク 当社の営む事業は、不動産投資に関する高い専門能力と知識、経験が不可欠であります。しかしながら、競合他社との間で投資対象となる収益不動産案件の獲得競争が厳しくなっていることから、当該収益不動産案件の確保が出来なかった場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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★対応策 当社は、不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心をこめた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造し、日本における100年不動産を目指す「心築」を行っております。当社は保有する心築の総合力を最大限発揮させ、独自の顧客の広範囲なネットワークを構築しており、潜在的な案件の確保に取り組んでおります。 |
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⑧ 人材の確保について |
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発生可能性:中 |
発生可能性のある時期:中期的 |
影響度:中 |
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●リスク 当社の事業は、高度な知識と経験に基づく人的資本により成り立っております。しかしながら、役員もしくは重要な使用人が退職した場合、疾病等により業務遂行の支障が生じた場合、または、必要な能力を有する人材が確保できなかった場合、収益の低下および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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★対応策 当社は、健康経営をスローガンに、役職員の健康管理を重視し、法定以上の健康診断、予防接種、社内の衛生管理を徹底しております。また、内部通報制度の構築やコミュニケーションの重視、適正な人事評価制度の運用を重視しており、働きやすい環境の整備に努めております。 |
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⑨ 特有の法的規制について |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:特定時期なし |
影響度:小 |
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●リスク 当社は、現時点の各種規制に従って、業務を遂行しておりますが、将来において各種規制が変更された場合や、何らかの理由により、当社が業務を遂行するために必要な許認可および登録(以下、「許認可等」という。)の取消などの行政処分を受けた場合には、当社の事業活動に支障をきたし、財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社が規制を受ける主なものは、金融商品取引法、宅地建物取引業法、各税法、資産の流動化に関する法律、投資事業有限責任組合契約に関する法律、貸金業法、建築士法等があります。 |
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★対応策 当社では、各種規制変更の決定前からその動向を注視し、状況に応じた対応を取り、影響を最小限とするよう対策を行うとともに、許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めております。なお、現時点において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。 |
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当社および当社子会社では、上記の法令等に基づき、主たる事業において以下の許認可等を受けております。
(いちご株式会社)
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
登録番号 |
有効期間 |
取消、解約その他の事由 |
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宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(3) 第90527号 |
2024年5月22日まで |
不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消 (宅地建物取引業法第66条) |
(いちご投資顧問株式会社)
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
登録番号 |
有効期間 |
取消、解約その他の事由 |
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宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(2) 第99098号 |
2026年4月28日まで |
不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消 (宅地建物取引業法第66条) |
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取引一任代理等認可 |
国土交通省 |
国土交通大臣認可第42号 |
有効期間の定めはありません。 |
不正な手段による認可の取得や業務に関し取引の相手に損害を与えた場合は認可の取消 (宅地建物取引業法第67条の2) |
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金融商品取引業登録 (投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業) |
金融庁 |
関東財務局長 (金商)第318号 |
有効期間の定めはありません。 |
不正な手段による登録や資本金不足、業務または財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消 (金融商品取引法第52条) |
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不動産特定 共同事業者許可 |
金融庁、 国土交通省 |
金融庁長官・ 国土交通大臣 第69号 |
有効期間の定めはあり |
役員や法人としての欠格条項に該当する場合や不正な手段による登録がある場合は登録の取消 (不動産特定共同事業法第36 |
(いちご地所株式会社)
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
登録番号 |
有効期間 |
取消、解約その他の事由 |
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宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(3) 第93181号 |
2026年7月15日まで |
不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消 (宅地建物取引業法第66条) |
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金融商品取引業登録 (投資助言・代理業、第二種金融商品取引業) |
金融庁 |
関東財務局長 (金商)第18号 |
有効期間の定めはありません。 |
不正な手段による登録や資本金不足、業務または財産の状況に照らし支払不能に陥る恐れがある場合は登録の取消 (金融商品取引法第52条) |
(いちごオーナーズ株式会社)
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
登録番号 |
有効期間 |
取消、解約その他の事由 |
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宅地建物取引業免許 |
東京都 |
東京都知事(2) 第100428号 |
2027年4月7日まで |
不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項に該当する場合は免許の取消 (宅地建物取引業法第66条) |
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不動産特定 共同事業者許可 |
東京都 |
東京都知事 第153号 |
有効期間の定めはあり |
役員や法人としての欠格条項に該当する場合や不正な手段による登録がある場合は登録の取消 (不動産特定共同事業法第36 |
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⑩ 連結の範囲決定に関する事項 |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:長期的 |
影響度:中 |
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●リスク 当社は、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号 2011年3月25日改正)に基づき、各投資事業組合等毎に個別に支配力および影響力の有無を判定した上で連結子会社および関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。 |
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★対応策 当社は、新たな会計基準の設定や実務指針等の決定前からその動向を注視し、状況に応じた対応を取り、影響を最小限とするよう対策を行っております。 |
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⑪ 大株主について |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:長期的 |
影響度:小 |
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いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(以下、「いちごトラストPTE」という。)は、当社株式を長期安定株主として保有する方針のもと、2023年2月28日現在、当社の総議決権の49.65%を保有する当社の筆頭株主であります。 いちごトラストPTEは、投資を事業目的とする、法人格を有さない外国籍のユニット・トラストである、いちごトラストから100%の出資を受けております。 いちごトラストおよびいちごトラストPTEはIchigo Asset Management International, Pte. Ltd.(以下、「Ichigo Asset International」という。)に投資を一任しており、Ichigo Asset Internationalに対しては、いちごアセットマネジメント株式会社が投資助言を行っております。Ichigo Asset Internationalおよびいちごアセットマネジメント株式会社は当社との間に資本関係はございませんが、当社の取締役および代表執行役会長であるスコット キャロンはいちごアセットマネジメント株式会社の代表者を兼任しております。 なお、スコット キャロンはIchigo Asset Internationalの業務執行を行っておらず、Ichigo Asset Internationalの当社株式の売買に関する投資判断には関与しておりません。 さらに、Ichigo Asset Internationalは、日本国の法令規則等を遵守するとともに、コンプライアンス等に係る社内規則を定め、未公表の重要事実の入手時における売買停止を実施する等、必要とする情報統制の体制を整備し運用しております。
●リスク 現時点で、いちごトラストPTEは当社の長期安定株主として一定数を保有する方針でありますが、今後の経済情勢および国際情勢が著しく変動した場合、保有方針が変更される可能性があり、当社の経営体制に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の商号に含まれる「いちご」の商標権は、Ichigo Asset International が保有し、当社はその使用許諾を受けていることから、継続的な使用許諾または商号変更等の対応が必要となる可能性があります。 |
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★対応策 当社は、事業の意思決定に際し、いちごトラストおよびいちごトラストPTEから制約を受けることはなく、当社の意思決定は当社の責任のもとで行われ、独立性を確保しているものと考えております。また、事業においても、いちごトラスト、いちごトラストPTE、Ichigo Asset Internationalおよびいちごアセットマネジメント株式会社に依存しておらず、独立した事業を行っており、仮に大株主の保有方針が変更となった場合においても、事業に影響はありません。また、商標権の使用許諾が停止された場合でも、影響は軽微であります。 |
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⑫ クリーンエネルギー特有のリスク |
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発生可能性:低 |
発生可能性のある時期:長期的 |
影響度:中 |
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当社は、環境と地域社会に配慮した発電事業の社会的意義のもと、クリーンエネルギー(太陽光発電等)事業を展開しております。 当社のクリーンエネルギー事業は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法により定められた全量固定価格買取制度に基づき、電力会社との契約により売電価格が20年間保証されております。 当該事業における発電量は気象条件に大きく左右されるほか、天災・火災等の災害に見舞われた場合には、設備の損傷等により発電量が大幅に低下する可能性があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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★対応策 当社は、固定価格買取制度の制度変更にかかる行政、電力会社の動向を常に把握し、採算ラインを意識して事業の検証を行っております。また、電力会社以外の電力卸先、小売事業の検討も行っており、販売先の多様化にも取り組むほか、風力やバイオマスなど、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの多様化を進め、事業の安定化を図っております。 |
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ感染防止における行動制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが加速しました。全国旅行支援策によるサービス消費の増加や、水際対策の緩和によるインバウンド需要の増加が継続しました。また、堅調な企業業績を背景に投資意欲が高まり、設備投資も再開されました。一方、資源価格の高騰や物価上昇に加え、わが国以外の主要各国における金利上昇による世界経済の停滞がリスクとなり、引き続き、注視が必要な状況です。
当社が属する不動産業界でも、ホテル需要の力強い改善により、ホテルの売上が伸びており、当社の子会社である博多ホテルズ株式会社の運営ホテルでは、2023年1月~2月のRevPAR(販売可能な客室1室あたりの売上)が、2022年平均比で概ね150~200%超の水準まで回復し、今後も一層の伸びが期待されます。オフィスビルにおいては、東京都心部の空室率、賃料ともにほぼ横ばいで推移しております。当社が保有する中規模オフィスにおいては、引き続き底堅い需要が継続しておりますが、働き方の変化に併せ、選ばれるオフィスビルの提供に向けて、引き続き、テナント様のニーズを捉えてまいります。なお、安定性が高い賃貸住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。
また、世界的に環境課題への取り組みが急務であるなか、わが国でもカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進んでおり、さらなる政策の強化が期待されます。こうした環境下において、クリーンエネルギー事業の重要性は増しており、当社では、地域および地球に優しい再生可能エネルギーのさらなる創出に注力しております。
主な取り組み
当期は、不動産市況の堅調さと、ホテル需要の力強い回復により、第3四半期の決算発表と同時に当期の業績予想を上方修正させていただき、この業績予想をさらに上回る決算となりました。
当社では急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。創出した資金は、将来の成長投資として、不動産の取得、新規事業への投資に加え、長期VISIONで掲げた「機動的な自社株買い」のとおり、当期は総額45億円の自社株買いを行いました。
また、当社は、長期VISION「いちご2030」に沿い、サステナブル(持続可能)な社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。具体的には、不動産の保有・運営や心築(しんちく)(注)ノウハウといった強みを軸とし、ノンアセット事業によるストック収益の獲得機会を拡大しております。既存事業の深化とともに、新規事業の創出と成長により、今後とも、株主価値の最大化に向け、株主重視経営をさらに向上し具現化すべく、全力を尽くしてまいります。
(注)心築(しんちく)について
心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指しており
ます。
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「既存事業の成長と深化」
・ 「心築(しんちく)事業」
徹底的なキャッシュ・フロー経営により創出した資金により、当期は507億円の不動産を取得しております。このうち、オフィスを6物件(総額124億円)取得しており、いちごオフィスのパイプラインを拡充しております。
また、長年培ってきた当社の不動産運用力や心築ノウハウを基盤に、個人および事業主の方でもプロの目利きと簡素な手続きで優良なレジデンス(住宅)へ小口投資いただける「いちごオーナーズビルシェア」およびデジタル不動産事業の「いちご・レジデンス・トークン」を開始いたしました。投資商品の拡充により顧客層の拡大を図るとともに、不動産の売却先が拡充したことで、取得の活性化にも繋がり、不動産の取得と売却の好循環に繋がります。当期におけるいちごオーナーズのレジデンスの取得は360億円、売却売上は280億円となりました。さらに、アセットマネジメントの受託にも繋がり、ストック収益にも貢献いたします。なお、当期の心築事業における売却価額の総額は、551億円となりました。
当社は、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業への取り組みも進めており、神奈川県横須賀市に所在する「よこすかポートマーケット」の運営・管理について、当社を代表者とする共同事業者が選定され、リニューアルオープンを果たしました。本件においては、既存の建物を活かし新たな観光施設としてリニューアルする当社の心築をご評価いただきました。リニューアルオープン後は、各種メディアからの取材依頼も多く、お客様で賑わっております。ホテル事業においても、保有・賃貸の枠を超え、オペレーション事業およびAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」の開発・販売を進めており、観光ニーズの高いわが国の宿泊需要の回復に備え、事業領域の拡大を図っております。
・ 「アセットマネジメント事業」
いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。
当期は、当社が運用するJリートにおいても、優良不動産の取得を進めるとともに、いちごオフィスでは、保有不動産の入れ替えを進めております。前期にも、保有不動産を簿価の2.3倍、鑑定評価額の1.9倍の価格で売却しておりますが、当期も第4四半期に同様の投資主価値向上に資する売却を完了しており、より価値向上余地のある物件への入れ替えとともに、投資主価値の最大化を図っております。
また、当社では、いちごオフィスのさらなる成長に向けた支援ならびに投資主価値の向上に対し、スポンサーとしてのコミットメント強化の一環として、いちごオフィスの投資口取得を決定し、進めております。当社が運用するいちごオフィス、いちごホテルでは、Jリート唯一の完全成果報酬制度を採用しており、投資主様と当社の利益は完全に一致しております。今後も、優良物件の提供やブリッジファンドの活用、心築による投資法人の保有資産の価値向上といった施策により積極的に両投資法人をサポートし、投資主目線による運用を行うことで、両投資法人の投資主価値のさらなる向上を図ってまいります。
・ 「クリーンエネルギー事業」
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当期は、3発電所(発電出力5MW/前期末比+3.7%)が新たに発電を開始いたしました。当社が開発・運用する発電開始済み発電所の合計は、63発電所(発電出力174.2MW)まで成長しており、今後さらなる太陽光発電所への投資を行うとともに、電力供給の安定性向上に寄与する第3のエネルギーとして、森林の高齢化等の課題に対応し、治山対策、地域経済の活性化に貢献するグリーンバイオマス発電を計画しております。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高い当事業は、継続的に成長しております。 |
いちご上田吉田池ECO発電所 |
「急激な環境変化に対応した成長戦略」
・ 信頼性の高い財務基盤の確保
当社は、リーマンショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。また、当社のESGへの取り組みや貢献等に対する評価を受け、その活動を支援するESGローンを拡充させており、当期は約300億円をESGローンにより調達しております。今後もこの方針を継続し、当社の事業をよりサステナブルな事業へ進展させてまいります。
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・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営
当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、当社の心築事業に属する不動産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当期末における固定資産比率は84.3%(注)です。
(注)当社の心築事業に属する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く不動産を対象としております。
「株主還元」
・ 機動的な自社株買い(6期連続)
当社は、長期VISIONで掲げた「機動的な自社株買い」のとおり、当社株式の市場価格および財務状況等を総合的に勘案のうえ、株主利益の向上を図るため6期連続で自社株買いを実施しております。
当社は、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の向上を通じた株主価値の最大化を目指しており、今後も大幅な利益成長の実現に向けた事業の推進に併せ、機動的な自社株買いを実施してまいります。
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・ 配当政策(当期増配)
当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により、株主の皆さまからのご支援に報いるため、安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」を導入しており、DOE(株主資本配当率)を3%以上としております。
また、各年度の1株あたり配当金(DPS)を、原則として前期比「維持か増配」のみとし、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能とする「累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)」を併せて導入しております。
株主還元策の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。当社は、「累進的配当政策」の導入により、株主様に対する長期的なコミットメントをお示ししております。
なお、当社は、徹底的なキャッシュ・フロー経営の方針のもと、キャッシュの創出に注力しております。当期は、高いキャッシュ創出を実現した一方、コロナの影響が薄らぎ、経済活動の正常化が進んだことに鑑み、増配を決定し、期末配当は1株当たり8円の配当とさせていただきます。
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・ 株主優待制度
当社は、2019シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任し、Jリーグとともに豊かさ溢れる地域社会に取り組むとともに、当社およびいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンの株主・投資主様を対象とした「いちごJリーグ株主・投資主優待」制度を導入しております。
2023シーズンもトップパートナーとしてJリーグから提供いただく試合チケットを株主様・投資主様にお届けすることで、地域創生への貢献を目指すとともに、日頃よりご支援いただいている株主・投資主様への感謝をお伝えしております。
また、いちごJリーグ株主・投資主優待の拡充として、当社が運営しているみやざきサンクスマーケットの商品から、当社がスポンサーをしているテゲバジャーロ宮崎(J3)の選手が選んだイチオシ商品の詰め合わせ「みやざきサンクスマーケット X’mas セット」についても抽選式でプレゼントさせていただきました。
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業績の詳細
当連結会計年度の業績は、売上高68,093百万円(前期比19.6%増)、営業利益12,492百万円(同24.7%増)、ALL-IN営業利益(注)16,908百万円(同27.4%増)、経常利益10,848百万円(同45.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,409百万円(同45.4%増)となりました。
(注)ALL-IN営業利益=営業利益+特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、当期より、心築事業の事業実態を表すため、「営業利益」に特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益を加算した「ALL-IN営業利益」を経営指標(KPI)として設定しております。これは、さらなる開示の可視化にも繋がることから、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの「セグメント利益」を「営業利益」から「ALL-IN営業利益」に変更しております。
・アセットマネジメント
当該セグメントの業績につきましては、いちごオフィスにおいて、価値向上を図った物件の売却に伴う大幅な売却益の実現に連動して成果報酬が増加したこと等により、セグメント売上高4,241百万円(前期比46.3%増)、セグメント利益3,026百万円(同64.5%増)となりました。
・心築(しんちく)
大規模オフィスの一時的な空室発生に伴う不動産賃貸収入の減少をホテル業績の力強い回復が補いました。また、レジデンスや商業施設、オフィス等の販売用不動産の売却により、セグメント売上高は58,639百万円(前期比19.2%増)となりました。また、心築セグメントに属する固定資産を売却したことにより、セグメント利益は11,893百万円(同27.6%増)となりました。
・クリーンエネルギー
前期に竣工した発電所の売電収入が通期で寄与したことに加え、当期は新たに3つの発電所が売電を開始したこと等により、セグメント売上高は5,699百万円(前期比6.3%増)となりました。一方で、組織変更に伴い当該セグメントに係る経営指導料が増加したことにより、セグメント利益は2,016百万円(同5.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、40,313百万円となり、前連結会計年度末の46,214百万円と比較して5,900百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益14,234百万円、減価償却費5,339百万円等の資金の増加があった一方、売上債権の増加2,096百万円等による資金の減少があった結果、17,503百万円の資金が増加しました。加えて、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産等の増加額が9,707百万円、利息の支払額2,051百万円、法人税等の支払額5,490百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは254百万円(前年同期は7,939百万円)となりました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは2,635百万円(前年同期は6,502百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入14,065百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出10,516百万円、投資有価証券の取得による支出968百万円があったことによるものです。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△6,582百万円(前年同期は△15,360百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額△1,419百万円、長期借入れによる収入41,834百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入3,000百万円があった一方、長期借入金の返済による支出40,385百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出1,633百万円、自己株式の取得による支出4,499百万円、配当金の支払額3,197百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
前年同期比(%) |
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アセットマネジメント(百万円) |
3,755 |
58.5 |
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心築(百万円) |
58,637 |
19.2 |
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クリーンエネルギー(百万円) |
5,699 |
6.3 |
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合計(百万円) |
68,093 |
19.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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A社 |
6,010 |
10.6 |
- |
- |
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合同会社KCR1 |
17,731 |
31.1 |
- |
- |
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株式会社青山財産ネットワークス |
- |
- |
9,132 |
13.4 |
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アルネア1合同会社 |
- |
- |
20,911 |
30.7 |
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アルネア2合同会社 |
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アルネア3合同会社 |
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3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
4. 当社顧客との秘密保持の取り決めにより、一部、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は338,619百万円となり、前連結会計年度末と比較して、732百万円増加(前期比0.2%増)いたしました。
これは主に、自己株式の取得4,499百万円等による現金及び預金の減少5,922百万円、物件の売却等による有形固定資産の減少4,715百万円があった一方で、販売用不動産の増加10,485百万円、アセットマネジメント事業に係る運用報酬として売掛金の増加2,046百万円があったことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は224,226百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,469百万円減少(前期比0.7%減)いたしました。
これは主に、ノンリコースローン1,366百万円の増加に対し、借入金の減少533百万円、未払法人税等の減少939百万円、前受金等その他の流動負債の減少959百万円があったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は114,393百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,201百万円増加(前期比2.0%増)いたしました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上9,409百万円に対し、剰余金の配当3,275百万円、自己株式の取得4,499百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は30.4%(前期比0.6ポイント増加)となりました。
(経営成績の分析)
(売上高)
連結売上高は、レジデンスや商業施設等の物件売却の進捗、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入の増加、いちごオフィスの利益に連動する成果報酬の増加等があったことにより68,093百万円(前期比19.6%増)となりました。
売上高の主な内訳は、不動産販売収入41,144百万円、不動産賃貸収入17,074百万円、不動産フィー収入3,677百万円および売電収入5,576百万円であります。
(営業利益)
営業利益は、心築事業における物件売却による売却益の獲得、アセットマネジメント事業において、運用投資法人の利益の増加に連動して成果報酬が増加したこと等により12,492百万円(前期比24.7%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、前期と比較してデリバティブ評価益が増加したこと等により、979百万円(前期比170.9%増)となりました。
主な内訳は、デリバティブ評価益790百万円、受取利息46百万円であります。
なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。
営業外費用は、2,622百万円(前期比9.8%減)となりました。
主な内訳は、支払利息2,165百万円、融資関連費用171百万円であります。
(特別損益)
特別利益は、4,621百万円(前期比36.6%増)となりました。
主な内訳は、心築事業に属する不動産売却による固定資産売却益4,416百万円であります。
特別損失は、1,235百万円(前期比1.9%減)となりました。
投資案件の精査を行い、固定資産の減損損失803百万円、投資有価証券評価損261百万円、貸倒引当金繰入額127百万円を計上いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税は4,425百万円となりました。また、当連結会計年度において法人税等調整額を152百万円計上しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9,409百万円(前期比45.4%増)となりました。
(3)資金の源泉および流動性についての分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(4)資金需要及び財務政策
当社の事業活動における資金需要の主なものは、不動産の取得およびクリーンエネルギー発電設備の建設に係る資金であります。
財務政策の状況につきましては、安定した財務体制を構築すべく、調達金利の低減、返済期日分散、借入期間の長期化、および無担保資金の調達等借入条件の改善に積極的に努めてまいりました。また、資金調達手法の多様化を図るため、株式会社格付投資情報センターより、発行体格付を取得致しました。
当期においては、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」としての取り組みをご評価いただき、2023年2月27日(引出期間は2023年3月3日から)に株式会社三井住友銀行が組成した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」による限度額92.53億円の借入枠を設定いたしました。さらに、2023年2月28日に株式会社みずほ銀行より「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス」として、限度額130億円の借入枠を設定いたしました。
これらのポジティブ・インパクト・ファイナンスは、グローバルな指標である「ポジティブ・インパクト金融原則」(※1)に則り、企業の事業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、サステナブル経営の実現に向けた活動を継続的に支援することを目的とした融資です。
本取り組みは、サステナブルな社会形成の促進と当社財務基盤のさらなる強化に資するものと考えており、当社では引き続き、資金調達の面においても、取り組みを促進、発展させてまいります。
(※1)ポジティブ・インパクト金融原則
SDGsの達成に向け、金融機関が積極的な投融資を行うための原則として国連環境計画・金融イニシアティブにより策定された原則で、資金提供先企業のネガティブな影響を軽減し、現実的かつ信頼性のある方法でポジティブな影響を高めるための資金提供のあり方を定めています。
その結果、当連結会計年度末において、コーポレート有利子負債の残高は167,730百万円(前期比0.5%減)、ノンリコースローンの残高は42,231百万円(前期比3.3%増)となり、当該残高に係る平均期中調達金利は、それぞれ0.89%(前期比0.00%減)、1.06%(前期比0.04%増)となりました。当連結会計年度末のコーポレート有利子負債残高における長期借入比率は94.1%(前期比1.6%増)、そのうち残存期間5年超の残高は90,919百万円、コーポレート有利子負債全体の平均借入期間は10.0年、平均借入残存期間は6.1年となりました。
また、コーポレート有利子負債残高における無担保借入の割合は25.5%(前期比1.3%増)となりました。
(5)経営上の目標の達成状況について
当社は、2019年2月期を最終年度とした中期経営計画「Power Up 2019」で掲げた経営指標をすべて達成し、新たに2020年2月期を初年度とする長期 VISION「いちご 2030」を策定しております。
当社は、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて事業優位性のさらなる拡充を図り、株主価値の最大化に向け全力を尽くしてまいります。
■取り組み期間
2020年2月期~2030年2月期(11年間)
■資本生産性の目標
①ROE(自己資本利益率)期間平均15%以上
積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれることに加え、コロナ感染拡大の初期であった2020年2月期末において、より徹底したキャッシュ・フロー経営を図るため、心築セグメントで保有している心築資産(不動産)を販売用不動産から固定資産に振り替えたことで、より多くのキャッシュ創出を実現した一方、固定資産に係る減価償却費(ノンキャッシュ費用)が増加したこと等により、ROEが低下しました。一方、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE15%以上の収益構造の確立を図る方針に変更はなく、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図ってまいります。なお、当期のROE実績は9.2%となっております。
②「JPX日経インデックス400」11年間継続の組み入れ
「JPX日経インデックス400」は、3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額を選定基準とし、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数です。当社は、2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指しておりましたが、ホテル事業においてコロナ感染拡大の影響を大きく受けたことによる一時的な営業利益の減少やROEの低下等により、2022年8月の定期入替時において組み入れから外れております。コロナ感染の影響が終息したことに伴いホテル売上も回復しており、今後の組み入れを目指してまいります。
■キャッシュ創出力の目標
エコノミック営業キャッシュフロー※ 11年間継続の当期純利益超過
当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。なお、当期におけるエコノミック営業キャッシュフローは9,962百万円となっており、親会社株主に帰属する当期純利益9,409百万円を超過しております。また、当期は心築セグメントにおいて固定資産の売却益が増えておりますが、このエコノミック営業キャッシュフローには、固定資産の売却益が反映されておらず、これを加算した場合の当社のキャッシュ創出の実態は、当期純利益を大幅に超過し、引き続き高い水準のキャッシュ・フローを創出しております。
※エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の決算短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。
■安定収益の目標ストック収益比率(2030年2月期)60%以上
2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築資産の売却益を中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。なお、当期のストック収益比率は53.8%となっております。
■株主還元策
当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。
なお、当期の期末配当については、徹底的なキャッシュ・フロー経営の方針のもと、高いキャッシュ創出を実現した一方、コロナの影響が薄らぎ、経済活動の正常化が進んだことに鑑み、前期および配当予想からの増配を決定し、1株当たり8円の配当といたしました。
①「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)
当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。
[累進的配当政策について]
累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントといえます。
②DOE(株主資本配当率)3%以上
安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図っており、当期においては3.6%の実績となっており引き続き安定的な配当を維持しております。
③機動的な自社株買い
上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。
当期においては、取得価額総額4,499百万円の自社株買いを実施して、6期連続の自社株買いの実施となります。
該当事項はありません。
当社グループは、新規事業の創出として、次世代に向けたグリーンビジネス、持続可能な環境ソリューションの提供として、事業活動を通じた社会貢献という目標の実現のため、様々な分野にて活用が期待されている植物性シリカSiO2(二酸化ケイ素)の生成、応用、提供による収益化を目指した研究開発を進めております。
なお、研究開発費については、全て心築セグメントに係る費用であり、当連結会計年度の研究開発費の総額は