(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、前半は、企業収益や個人所得の改善を背景に、国内の設備投資と個人消費が増加し、景気は緩やかながらも回復基調で推移いたしましたが、期の半ばからの中国経済の減速及び食料品等の値上がりによる個人消費の停滞感の高まりにより、足踏み状態となってまいりました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現に向け、大手企業による米国再生医療企業巨額買収、新薬開発や再生医療への活用に向けた企業と大学の巨額共同研究開始など、単独の研究機関・企業での取り組みを超えた動きがありました。
このような環境の中で、当社グループは、各事業において以下の取り組みを実施いたしました。
ジェノミクス事業においては、昨年4月に、遺伝子改変マウス作製受託サービスの作製期間を短縮できるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)に関する米国Broad研究所の特許群の非独占実施許諾を取得し、受注強化に取り組みました。また、知的財産権の確保については、昨年6月に免疫不全マウスを用いることなく臓器ヒト化マウスを確立する技術の国際特許出願を行い、本年3月の日本国内における特許査定を受け、4月に特許登録を行いました。一方、知的財産権の導出に関しては、昨年12月にグローバルヘルスケア企業1社との間で、同社がGANP®マウス技術により作製した特定抗体を用いた診断薬について、全世界における独占的製造・販売実施権の許諾に係るライセンス契約の締結を行い、同社より開発状況に応じたマイルストーンならびに販売金額に応じたロイヤリティーなどの対価を受領することになりました。さらには、本年3月に、米国イリノイ州のアボット社から、当社GANP®マウス技術を用いて開発された肝臓がんマーカーの体外診断薬上市に伴い、マイルストーンフィー及び販売ロイヤリティーを受領いたしました。
CRO※1事業においては、既存顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に取り組みました。また、グループの他の事業との連携を深めシナジー創出に注力しました。一方、産学共同研究の取り組みとして、昨年6月、北海道内のバイオ産業の振興を目的に医療分野の研究開発促進と研究支援分野のビジネス連携を図るため、経済産業省 北海道経済産業局が主導する、大学研究機関と道内企業とのマッチングやコンソーシアム(連携体)の構築を図る取り組みに、連結子会社の㈱新薬リサーチセンターがグループ会社の同㈱ジェネティックラボとともに参画いたしました。
先端医療事業においては、昨年4月に、当社の分子解析センターの事業を㈱ジェネティックラボに譲渡し、経営資源及び営業の一元化による事業運営の効率化に取り組みました。また、同月、医薬品開発のためのバイオマーカー解析を強力にサポートするため、臨床試験支援サービスに特化した「臨床試験部」を創設し、病理診断、分子病理解析(IHC※2、FISH※3)など経験と実績に裏打ちされた同社の技術を駆使し、専任担当者が顧客の要望に迅速に対応できる体制にいたしました。さらに、昨年12月から、より安価でより簡便に、多くの特定タンパク質発現量を観察できるサービスとして「抗体アレイによるタンパク質発現量同時測定受託サービス」を開始いたしました。
病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に、前期から開始した子宮頸がんの予防および早期発見に向けたHPV※4核酸検出サービスの受注拡大に注力してまいりました。さらに、昨年10月からは、婦人科検診を受けることが出来ない方々向けに自己採取HPV併用検査を開始いたしました。
新規事業への取り組みとしては、昨年6月30日、糖鎖ペプチド合成技術を有する医化学創薬㈱(本社:北海道札幌市)と資本業務提携契約を締結し、同年7月1日に第三者割当増資にて株式を取得し、持分法適用関連会社といたしました。また、包括的業務提携契約先である㈱免疫生物研究所との間で、両社間の更なる強固な協力関係の構築を図り、もって両社の企業価値向上を実現すること、更には相互の経営基盤の強化を図ることを目的として、本年3月1日に第三者割当増資及び転換社債型新株予約権付社債の引き受けをいたしました。
資金面では、M&A等による今後の成長資金として、昨年12月17日に「新株式、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権」を発行し、2億91百万円を調達いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は2,290,287千円(前期比16.9%増)、営業利益は50,413千円(前期比112.8%増)と増収増益となりましたが、持分法による投資損失の計上及び今後の当社グループの更なる飛躍に向けたM&A資金の調達費用の計上により、経常利益は18,959千円(前期比101.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,587千円(前期比18.2%減)にとどまりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① ジェノミクス事業
当事業では、遺伝子破壊マウスの作製受託、モデルマウスの販売、及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。抗体作製受託の不振により、当連結会計年度の売上高は395,050千円(前期比4.5%減)、営業利益は51,098千円(前期比17.8%減)と減収減益となりました。
② CRO事業
当事業では、医薬品開発・食品開発を支援する受託研究を行っております。積極的な営業・受注活動により、当連結会計年度の売上高は1,099,367千円(前期比37.6%増)、営業利益は128,580千円(前期比53.4%増)と大幅増収増益となりました。
③ 先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス、個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当連結会計年度の売上高は391,779千円(前期比6.1%増)と増収となりましたが、一昨年11月に開始した個人向け遺伝子解析サービスについて損益分岐点を大きく下回る操業度で推移したことを受けて、営業利益は13,136千円(前期比59.7%減)にとどまりました。
④ 病理診断事業
当事業は㈱ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。診断件数の増加により、当連結会計年度の売上高は413,778千円(前期比4.3%増)、営業利益は44,149千円(前期比55.1%増)と増収大幅増益となりました。
なお、当連結会計年度より、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日) 第39項に掲げられた定め等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
※1 CRO :Contract Research Organization 医薬品開発業務受託機関
※2 IHC :Immunohistochemistry 免疫組織化学染色
※3 FISH :Fluorescence in situ hybridization 蛍光 in situ ハイブリダイゼーション
※4 HPV :Human papillomavirus ヒトパピローマウイルス
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ292,432千円減少し、1,053,753千円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は214,367千円(前期は101,241千円の獲得)となりました。この主な要因は税金等調整前当期純利益18,959千円、仕入債務の増加額22,048千円、未払金の増加額21,191千円、その他負債の増加額116,952千円の一方、売上債権の増加額36,982千円、たな卸資産の増加額19,347千円、その他資産の増加額11,499千円、法人税等の支払額25,463千円に減価償却費等の非資金費用103,552千円及び持分法による投資損失25,029千円を調整したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は664,721千円(前期は46,550千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券取得による支出400,490千円、関連会社株式取得による支出153,746千円、有形固定資産取得による支出95,643千円、無形固定資産取得による支出10,225千円、敷金差入による支出11,497千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は157,921千円(前期は92,697千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入80,031千円、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入200,000千円、新株予約権の発行による収入11,000千円の一方、社債の償還による支出50,000千円、リース債務の返済による支出22,781千円、長期未払金の返済による支出57,805千円、によるものであります。
当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
(1)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
ジェノミクス事業 |
381,251 |
96.3 |
84,575 |
89.8 |
|
CRO事業 |
1,366,086 |
169.9 |
448,374 |
260.0 |
|
先端医療事業 |
447,756 |
139.8 |
148,196 |
177.7 |
|
病理診断事業 |
413,418 |
104.6 |
― |
― |
|
合計 |
2,608,513 |
136.2 |
681,147 |
194.4 |
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より、セグメントの区分等を変更しております。前期比については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
3.セグメント間取引を相殺消去しております。
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前期比(%) |
|
ジェノミクス事業(千円) |
390,885 |
95.6 |
|
CRO事業(千円) |
1,090,176 |
138.1 |
|
先端医療事業(千円) |
382,947 |
105.3 |
|
病理診断事業(千円) |
413,778 |
104.3 |
|
合計 |
2,277,787 |
116.3 |
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より、セグメントの区分等を変更しております。前期比については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
3.セグメント間取引を相殺消去しております。
当社グループの対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。
(1) 今後の事業展開について
経営理念を実現するためには、既存事業の更なる強化に取り組むとともに、現在の事業領域に留まらない新規事業への進出を目指す必要があると考えております。
① 新規事業への進出について
既存事業とのシナジーが見込まれる新規事業について、資本提携、事業譲受等M&Aを中心に取り組んでまいります。
本年5月には資本業務提携先の㈱免疫生物研究所と共同で、抗体医薬品の研究開発に特化したバイオベンチャーである㈱CUREDに資本参加いたしました。
② 既存事業の強化について
イ ジェノミクス事業
当事業の受託サービスについては安定的な収益を確保するに至っておりますが、常に最先端の技術導入に取り組み、事業の成長を推進します。また、利益率の高い「TG Resource Bank® 」や病態可視化マウスなどのモデルマウスに加えて、本年3月に締結した「米国デルタジェン社ノックアウトマウスの全世界での独占販売契約」をてこに、全世界での販売強化に取り組むとともに、汎用性の高い新規モデルマウスの導入も推進してまいります。
さらに、平成22年12月に熊本大学と締結した「ヒト化マウスの開発」に関する共同研究を進め、汎用性の高い新しい治療法の開発を可能とする病態モデルの確立、および当社研究所内での事業化へ向けての技術移管を目指します。
ロ CRO事業
今後も、既存顧客との取引拡大を図るとともに、新規顧客の開拓に注力いたします。また、当社ジェノミクス事業の有する病態モデルマウスを用いた非臨床試験受託への展開を図るとともに、グループ会社の医化学創薬㈱との協業を強化し、グループ間シナジー創出による事業拡大を目指します。
ハ 先端医療事業
当社グループの他の事業および大学研究機関と連携し、分子病理解析受託などのサービスを拡充することが必要であると認識しており、さらに、コンパニオン診断薬開発支援事業を成長ドライバーと位置付けて事業展開を推進してまいります。
二 病理診断事業
当事業は、グローバル基準(CAP)認定施設において認定診断医による病理診断を行っており、安定的な収益を確保しております。今後さらに収益力を向上させるために、一層の品質向上および事業効率化に注力してまいります。本年4月1日からは、臨床サイドからの、院内電子カルテに対応する報告や迅速な診断を望む声に応えるため、病理診断WEB報告システムのサービスを開始いたしました。
(2) 買収防衛策について
① 基本方針の内容
当社グループは「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通じて基盤研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援及び対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化及び収益化が求められます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト
(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
イ 当社取締役会は、上記②の取り組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取り組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ロ 当社取締役会は、上記②の取り組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 技術革新について
当社グループが属するバイオ・テクノロジー業界においては、日進月歩で技術開発が進められております。従って、技術革新による市場の変化や競合他社に対する技術的優位性の喪失が生じ、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(2)特定人物への依存について
当社取締役である山村研一は、国立大学法人熊本大学生命資源研究・支援センターシニア教授でもあり、当社グループのジェノミクス事業の根幹となる「可変型遺伝子トラップ法」を開発した人物であります。同氏は、当社グループの研究開発活動において重要な位置付けを有しているほか、同氏が有する人脈の活用、同氏が当社事業に関与していることによる対外的な信用力など、事業遂行上において、影響力が大きなものとなっております。従って、何らかの理由により同氏による当社業務への関与が困難となった場合、当社グループの研究開発活動や事業戦略に重大な影響を与える可能性があります。
(3)公的研究機関及び大学等との関係について
当社グループは新たな技術導入及び移転を目的として、公的研究機関や国立大学法人熊本大学などの大学と共同研究を実施しております。企業と公的研究機関等との関係は、法令などの改正や組織改正に影響を受ける可能性があり、共同研究の方向性や権利関係の変更を余儀なくされる場合は、当社の事業戦略や業績に影響を与える場合があります。
(4)知的財産権について
① 当社基幹事業の特許技術について
当社ジェノミクス事業の基盤となる特許は、「可変型遺伝子トラップ法」および「GANP®マウス関連技術」です。いずれの特許においてもかかる周辺特許は十分に調査しておりますが、今後、事業遂行上支障が生じる特許が成立しない保証はありません。当社グループの当該技術使用の差し止め、ロイヤリティー支払いまたは損害賠償等の請求が生じる可能性も否定できず、これらの状況が生じた場合は、当社事業に重大な影響を与える可能性があります。
② 知的財産権に関する訴訟及びクレーム等について
平成28年3月末日現在において、当社グループ事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありません。当社グループは、こうした問題を未然に防止するため、新たな事業展開を行う場合、特許事務所に特許調査を依頼しており、他社が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。
(5) 法的規制について
① 実験動物関連
ジェノミクス事業及びCRO事業の実験動物関連サービスに関して、動物愛護の観点などから、欧米特に欧州では実験動物使用禁止の規制導入が検討されています。日本において導入された場合は、実験動物市場は閉塞し、業績に多大な影響を与える可能性があります。
② 遺伝子関連
当社グループは、DNAを生物に導入する際の設備や取扱いが定められている「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」や「組換えDNA技術工業化指針」などの法律及び指針を遵守しております。これらの規制が強化された場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通じて基盤研究および医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」ため、各分野にわたって研究開発に取り組んでおり、ジェノミクス事業及び先端医療事業において、今後の事業の中心となる製品及びサービスの研究開発を進めております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は51,560千円となっております。
(1) ジェノミクス事業
新薬の効能評価及び最適な病態モデルシステム開発のため、平成22年12月に国立大学法人熊本大学と「ヒト化マウスの開発」に関する共同研究契約を締結し、引き続き、肝臓ヒト化マウスの開発に取り組んでおります。また、子会社の㈱新薬リサーチセンターでの非臨床試験受託に供するために各種病態モデルマウス(アトピー性皮膚炎、認知症など)の導入、増産、凍結胚作製をすすめてきました。さらに、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究により、うつ病マーカーとなる抗体の作製を行い、製品化への検討に入っております
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は45,492千円であります。
(2) CRO事業
子会社の㈱新薬リサーチセンターにおいては、今後の受託業務拡充に向け、研究開発を開始いたしました。
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は415千円であります。
(3) 先端医療事業
子会社の㈱ジェネティックラボにおいては、先端的な医療として注目されている「個別化医療」という社会的なニーズに応えるため、コンパニオン診断のバイオマーカー探索や治療薬の標的分子に対する新規測定法の導入に向けた研究開発に取り組んでおります。
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は5,652千円であります。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)第39項に掲げられた定め等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積の概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
ジェノミクス事業においては、ライセンスアウトした特許権に係るロイヤリティー収入増等ありましたものの抗体作成受託が不振で減収となりましたが、子会社の㈱新薬リサーチセンターを中心とするCRO事業において活発な受注活動が効を奏し大幅な増収となり、また、子会社の㈱ジェネティックラボの先端医療事業及び病理診断事業も堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は前期比16.9%増となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
セグメント間の売上構成比の変化により、売上原価率は70.6%(前期は66.5%)となりましたが、売上高販管費率は27.2%(前期比5.1%改善)となりました。
③ 営業利益
売上高の伸びにより、売上原価、販売費及び一般管理費の増加を吸収し、前期比大幅増益となりました。
④ 経常利益
新規関連会社の事業立ち上げに伴う持分法による投資損失の計上及び今後の飛躍に向けたM&A資金調達費用の計上により、前期比小幅な増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
前期に黒字体質に転換したことにより計上した特別な税効果がなくなり、前期比小幅な減益となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、平成28年3月期において2期連続の「営業損益、経常損益、最終損益」の黒字を達成することができました。この黒字基調を定着させ、さらなる強固な体質とするため、次期は以下のような取り組みを推進いたします。
ジェノミクス事業につきましては、昨年4月に取得した米国Broad研究所の特許群の非独占実施許諾の「ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)による遺伝子改変マウス作製」が計画を上回る受注となった流れを引き継ぎ、一層の受注拡大に取り組んでまいります。また、Gタンパク質共役型受容体ファミリー(GPCR)など創薬ターゲットとなりうる可能性の高い遺伝子を中心に、約900系統ものノックアウトマウスを作製・保有する米国デルタジェン社との間で締結した全世界における独占販売権を活かした受注強化にも注力してまいります。さらには、「臓器ヒト化マウス」事業化に向けた技術移管について年度内を目途に推進・実行する方針です。
CRO事業につきましては、堅調な受注動向を受けて、積極的な人材、機器投資による受注体制強化を行い、既存顧客との取引拡大を図るとともに、新規顧客の獲得に注力いたします。また、当社ジェノミクス事業の有するモデルマウスを用いた非臨床試験受託への展開を図るとともに、昨年、グループの持分法適用関連会社となった医化学創薬㈱との協業を強化し、グループ事業間シナジー創出に注力いたします。
先端医療事業につきましては、成長が見込める分子病理事業の拡大及び札幌ラボに集約した遺伝子解析事業の堅調さを受けて、ラボ面積の増床を行います。また、本年4月に㈱理研ジェネシスとの間でリキッドバイオプシー遺伝子解析サービスの協業に関する協定を締結しました。今後、デジタルPCR法を用いた、コンパニオン診断薬開発支援に大きく寄与する新規解析サービスを開始する等、サービスメニューの拡充を図り、受注拡大に取り組んでまいります。
病理診断事業につきましては、さらに収益力を向上させるために、一層の品質向上及び事業効率化に注力してまいります。また、昨年10月から開始した自己採取HPV併用検査の一層の受注拡大に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に積極的に取り組みます。
上記に加えて、従来の業務提携関係を深化させ本年3月に資本参加した㈱免疫生物研究所との協業関係を強化し、当社グループのジェノミクス事業及びCRO事業へのシナジー創出を目指してまいります。
(5) 財政状態の分析
① 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における流動資産は1,719,221千円となり、前連結会計年度末に比べ214,905千円減少いたしました。これは主に売掛金及び受取手形、仕掛品、その他流動資産がそれぞれ、36,983千円、22,067千円、12,513千円増加した一方、現金及び預金と有価証券の合計額が292,432千円減少したことによるものであります。固定資産は2,186,223千円となり、前連結会計年度末に比べ546,565千円増加いたしました。これは主に、有形固定資産及び投資有価証券がそれぞれ、21,606千円、542,362千円増加した一方、のれんが37,155千円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における流動負債は494,616千円となり、前連結会計年度末に比べ70,950千円増加いたしました。これは主に買掛金及びその他流動負債がそれぞれ22,048千円、104,365千円増加した一方、1年内償還予定の社債が50,000千円減少したことによるものであります。固定負債は341,046千円となり、前連結会計年度に比べ31,785千円減少いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債及びその他固定負債がそれぞれ20,000千円、16,485千円増加した一方、長期未払金及びリース債務がそれぞれ57,805千円、11,443千円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は3,069,782千円となり、前連結会計年度末に比べ292,495千円増加いたしました。これは主に新株の発行や転換社債型新株予約権付社債の転換により資本金及び資本剰余金がそれぞれ131,859千円、131,756千円増加するとともに親会社株主に帰属する当期純利益を14,587千円計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、積極的な受注・販売活動により営業キャッシュ・フローが前期比大幅増の214,367千円となった一方、今後の飛躍に向けた事業会社への戦略的な投資等により、投資活動のキャッシュ・フローは664,721千円の支出となりました。
なお、上記の、事業会社への戦略的な投資資金を賄うための「新株式、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権」の発行等により、財務活動のキャッシュ・フローが157,921千円の収入となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ292,432千円減少し、
1,053,753千円となりましたが、今後の事業展開に必要な資金を十分確保しております。