文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、第1四半期連結累計期間より、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)第39項に掲げられた定め等を適用し、「四半期純損失」を「親会社株主に帰属する四半期純損失」としております。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、前半は、企業収益や個人所得の改善を背景に、国内の設備投資と個人消費が増加し、景気は緩やかながらも回復基調で推移いたしましたが、期の半ばからの中国経済の減速及び食料品などの値上がりによる個人消費の停滞感の高まりにより、不透明感が広がってまいりました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現に向け、大手企業による米国再生医療企業巨額買収、新薬開発や再生医療への活用に向けた企業と大学の巨額共同研究開始など、単独の研究機関・企業での取組みを超えた動きがありました。
このような環境の中で、当社グループは、ジェノミクス事業においては、昨年4月に、遺伝子改変マウス作製受託サービスの作製期間を短縮できるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)に関する米国Broad研究所の特許群の非独占実施許諾を取得し、受注強化に取り組みました。また、昨年6月には、従来の免疫不全マウスを用いることなく臓器ヒト化マウスを確立する技術の国際特許出願をいたしました。さらに、昨年9月には「早期癌マーカーとしてのジアセチルスペルミンに関する特許」(米国)及び「タンパク質高発現系技術に関する特許」(日本)の2件が成立いたしました。加えて、「アトピー性皮膚炎モデル動物に関する独占ライセンス」取得(昨年10月)、「認知症モデルマウスに関する独占ライセンス」取得(昨年11月)により、モデルマウス製品ラインアップの拡充を図りました。
CRO※1事業においては、既存の顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に取り組みました。また、昨年6月、北海道内のバイオ産業の振興を目的に医療分野の研究開発促進と研究支援分野のビジネス連携を図るため、経済産業省 北海道経済産業局が主導する、大学研究機関と道内企業とのマッチングやコンソーシアム(連携体)の構築を図る取組みに、連結子会社の㈱新薬リサーチセンターがグループ会社の同㈱ジェネティックラボとともに参画いたしました。
先端医療事業においては、昨年4月に、当社の分子解析センターの事業を㈱ジェネティックラボに譲渡し、経営資源及び営業の一元化による事業運営の効率化に取り組みました。また、同月、医薬品開発のためのバイオマーカー解析を強力にサポートするため、臨床試験支援サービスに特化した「臨床試験部」を創設し、病理診断、分子病理解析(IHC※2、FISH※3)など経験と実績に裏打ちされた当社の技術を駆使し、専任担当者が、顧客の要望に迅速に対応できる体制といたしました。さらに、昨年12月から、より安価でより簡便に、多くの特定タンパク質発現量を観察できるサービスとして「抗体アレイによるタンパク質発現量同時測定受託サービス」を開始いたしました。
病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に第2四半期連結会計期間からは、前期から開始した子宮頸がんの予防および早期発見に向けたHPV※4核酸検出サービスの受注拡大に注力してまいりました。
新規事業への取組みとしては、昨年6月30日、糖鎖ペプチド合成技術を有する医化学創薬㈱(本社:北海道札幌市)と資本業務提携契約を締結し、昨年7月1日に第三者割当増資にて株式を取得し、持分法適用関連会社といたしました。
資金面では、M&A等による今後の成長資金として、昨年12月17日に「新株式、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権」を発行し、2億91百万円を調達いたしました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高は1,342,120千円(前年同期比15.7%増)と増収になりましたが、セグメント別売上構成比の変化による売上総利益率の低下により、営業損失は128,847千円(前年同期116,259千円)となり、さらに、持分法による投資損失及び社債発行費の計上により、経常損失は155,706千円(前年同期129,715千円)となりました。一方、繰延税金資産の計上により、親会社株主に帰属する四半期純損失は121,226千円(前年同期129,682千円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
① ジェノミクス事業
当事業では、遺伝子破壊マウスの作製受託、モデルマウスの販売、及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。当第3四半期連結累計期間の売上高は235,375千円(前年同期比10.7%減)と減収となりましたが、ライセンス収入の増加等により営業利益は15,607千円(前年同期12,329千円)と増益となりました。
② CRO事業
積極的な営業・受注活動により、当第3四半期連結累計期間の売上高は563,488千円(前年同期比55.4%増)と大幅増収となり、営業損益につきましては、営業損失15,503千円(前年同期21,700千円)と赤字圧縮となりました。
③ 先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス、個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当第3四半期連結累計期間の売上高につきましては236,690千円(前年同期比4.8%減)と減収となり、また、昨年11月に開始した個人向け遺伝子解析サービスについて損益分岐点を大きく下回る操業度で推移したことを受けて、営業損益につきましては営業損失23,409千円(前年同期は営業利益7,666千円)となりました。
④ 病理診断事業
当事業は㈱ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当第3四半期連結累計期間の売上高は313,213千円(前年同期比5.3%増)、営業利益は38,421千円(前年同期26,901千円)と増収大幅増益となりました。
※1 CRO :Contract Research Organization 医薬品開発業務受託機関
※2 IHC :Immunohistochemistry 免疫組織化学染色
※3 FISH :Fluorescence in situ hybridization 蛍光 in situ ハイブリダイゼーション
※4 HPV :Human papillomavirus ヒトパピローマウイルス
(2) 財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は2,056,344千円となり、前連結会計年度末に比べ122,217千円増加いたしました。これは主に現金及び預金並びに仕掛品、その他流動資産がそれぞれ370,610千円、170,020千円、60,841千円増加した一方、受取手形及び売掛金並びに有価証券がそれぞれ75,388千円、400,000千円減少したことによるものであります。なお、現金及び預金の増加は、主に余資運用の有価証券の満期償還及び「新株式、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権」発行によるものであり、仕掛品の増加は、第4四半期以降の売上となる受注の仕掛中のもので季節的要因によるものであります。固定資産は1,680,128千円となり、前連結会計年度末に比べ40,470千円増加いたしました。これは主に有形固定資産、投資その他の資産がそれぞれ33,554千円、35,101千円増加した一方、無形固定資産が28,185千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は484,778千円となり、前連結会計年度末に比べ61,112千円増加いたしました。これは主に未払金、未払法人税等がそれぞれ48,638千円、14,746千円減少する一方、買掛金及びその他流動負債がそれぞれ30,360千円、95,344千円増加したことによるものであります。固定負債は507,044千円となり前連結会計年度末に比べ134,212千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が200,000千円増加する一方、長期未払金が57,805千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は2,744,649千円となり、前連結会計年度末に比べ32,637千円減少いたしました。これは主に新株式発行等による資本金並びに資本剰余金、新株予約権がそれぞれ41,859千円、41,756千円、4,886千円増加する一方、親会社株主に帰属する四半期純損失121,226千円の計上によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
買収防衛策について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社グループは「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通じて基盤研究および医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援および対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化および収益化が求められます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト
(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
ⅰ 当社取締役会は、上記②の取組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ⅱ 当社取締役会は、上記②の取組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、42,397千円(前年同期34,145千円)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。