第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境の改善や小幅ながらも賃金の上昇がみられたものの社会保険料等増加に伴う将来不安から個人消費は伸び悩み、さらに、英国のEU離脱問題や米国の大統領選の結果によるトランプ政権の政策運営への懸念等もあり、為替・株価は不安定な動きとなり、景気はまだら模様で推移いたしました。

当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現に向け、新製品の開発が相次ぐとともに、産学連携による共同研究も活発化いたしました。

このような環境の中で、当社グループは、ジェノミクス事業においては、遺伝子改変マウス作製受託サービスの作製期間の短縮、さらにコスト低減が図れるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用した受注に注力するとともに、コスト面では人件費をはじめとする固定費の効率化に取り組みました。一方、公的研究機関と独占ライセンス契約を締結し事業展開している「酸化ストレス可視化マウスに関する特許」が、昨年7月に日本にて成立するとともに、公的研究機関と共同特許出願しておりました「新規肺がんマーカーに対する抗体並びにその診断応用に関する特許」が昨年12月に米国において成立いたしました。

CRO※1事業においては、既存の顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に注力し受注強化を図りました。また、非臨床試験の更なる受注拡大に向け、顧客(主に製薬企業)の多様なニーズに応えるため、新しい病態モデルの研究開発に取り組みました。

先端医療事業においては、昨年4月26日に㈱理研ジェネシスとの間でリキッドバイオプシー※2遺伝子解析に関する協業の協定を締結し、同社が開発した「LBx® Probe」を使用し、リキッドバイオプシーによる遺伝子変異の受託解析サービスを開始いたしました。これにより、従来の受託解析サービスに加えてcfDNA※3解析を治験、臨床研究等で実施することが可能となり、製薬企業等に対してコンパニオン診断薬を見据えた多様な提案を行うことができるようになりました。

病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に当連結会計年度は、子宮頸がんの早期発見に向け、自己採取を含むHPV※4併用検査サービスの営業及び受注拡大に注力してまいりました。また、昨年4月1日からは、臨床サイドからの、院内電子カルテに対応する報告や迅速な診断を望む声に応えるため、病理診断WEB報告システムのサービスを開始いたしました。

                                                                                                   

※1 CRO             :Contract Research Organization医薬品開発業務受託機関

※2 リキッドバイオプシー :liquid biopsy

血液などの体液サンプルを使ってがん等の診断や治療効果予測を行う技術

※3 cfDNA                :cell-freeDNA(細胞外遊離DNA)

※4 HPV        :Human papillomavirus(ヒトパピローマウイルス)

 

新規事業への取り組みとしては、昨年4月20日、㈱CURED(横浜市、抗体医薬品の研究開発)が有する抗HIV抗体を抗体医薬品として実用化を推進するため、資本業務提携先の㈱免疫生物研究所と共同で、同社が実施する第三者割当増資(5月11日払込期日)の引受を決議・実施いたしました。

一方、昨年7月22日、資産の有効活用の観点から、当社がGANP®マウス技術の特許独占実施許諾権を受けている持分法適用関連会社であった㈱イムノキック(神戸市、知的財産権管理)の全株式を昨年9月30日に譲渡することを決議し実行いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は2,302,908千円(前期比0.6%増)となり前期比小幅ながらも増収になりました。さらに、人件費をはじめとする固定費の効率化により営業利益は153,948千円(前期50,413千円)となり前期比大幅増益になりました。一方、持分法適用関連会社の医化学創薬㈱に対するのれんの一時償却等による「持分法による投資損失」の拡大の結果、経常利益は88,272千円(前期18,959千円)にとどまりました。なお、3期連続の増収及び黒字確保となり、繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等調整額△40,255千円(△は利益)を追加計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は80,694千円(前期14,587千円)となり前期比大幅増益になりました

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

 

 

売上高

営業損益

 

金額(千円)

前期比

金額(千円)

前期比

ジェノミクス事業

 420,148

6.4%増

 85,941

68.2%増

CRO事業

1,150,505

4.7%増

244,338

90.0%増

先端医療事業

 356,587

9.0%減

△4,341

病理診断事業

 399,294

3.5%減

 3,491

92.1%減

 

① ジェノミクス事業

当事業では、遺伝子破壊マウスの作製受託、モデルマウスの販売及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。当連結会計年度の業績は、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用したマウス作製受託の好調により、売上高は前期比増収となり、さらに固定費の効率化により営業利益は前期比大幅増益となりました。

② CRO事業

当事業では、医薬品・食品の臨床試験受託及び薬理薬効試験、安全性薬理試験、薬物動態試験などの非臨床試験受託を行っております。当連結会計年度の業績は、期首時点の豊富な受注残高に加え積極的な営業・受注活動により、売上高は前期比増収となり、また、固定費の比重の高い非臨床試験における損益分岐点を大幅に上回る増収の結果、営業利益は前期比大幅増益となりました。

③ 先端医療事業

当事業では、遺伝子解析受託サービス、個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当連結会計年度の業績は、売上高は前期比で減少し、また、増床に伴う設備投資及び家賃増等もあり営業損益については損失となりました。

④ 病理診断事業

当事業は㈱ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当連結会計年度の業績は、受託検体数の伸び悩みにより、売上高は微減となり、また、増床に伴う設備投資及び家賃増等により営業利益は前期比大幅減少となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5,427千円増加し、1,059,180千円となりました。

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は232,813千円(前期は214,367千円の獲得)となりました。この主な要因は税金等調整前当期純利益81,933千円、売上債権の減少額71,579千円の一方、たな卸資産の増加額54,041千円、仕入債務の減少額20,395千円、その他の負債の減少額17,671千円、法人税等の支払額17,562千円に減価償却費等の非資金費用121,455千円及び持分法による投資損失61,007千円を調整したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は200,101千円(前期は664,721千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出127,093千円、投資有価証券の取得による支出79,800千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は27,298千円(前期は157,921千円の獲得)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入46,415千円の一方、リース債務の返済による支出15,908千円、長期未払金の返済による支出57,805千円、によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

(1)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

ジェノミクス事業

381,221

100.0

45,649

54.0

CRO事業

970,527

71.0

277,687

61.9

先端医療事業

296,722

66.3

104,318

70.4

病理診断事業

399,294

96.6

合計

2,047,767

78.5

427,655

62.8

 (注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間取引を相殺消去しております。

(2)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前期比(%)

ジェノミクス事業(千円)

420,148

107.5

CRO事業(千円)

1,141,215

104.7

先端医療事業(千円)

340,601

88.9

病理診断事業(千円)

399,294

96.5

合計

2,301,258

101.0

 (注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間取引を相殺消去しております。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通して、基盤研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに、世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」ことを経営理念とし、「基礎研究から診断までの各領域に強みをもつオンリー・ワンの創薬トータル支援企業を目指し、持続的成長を実現して企業価値向上を図る」ことを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、平成29年3月期において3期連続で「営業損益、経常損益、最終損益」の黒字を達成することができました。この黒字体質をさらなる強固なものとするため、次期(平成30年3月期)は以下のような取り組みを推進いたします。

ジェノミクス事業につきましては、米国Broad研究所より非独占の実施許諾を得て実施している「ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)による遺伝子改変マウス作製」が計画を上回る受注となった流れを引き継ぎ、一層の受注拡大に取り組んでまいります。また、Gタンパク質共役型受容体ファミリー(GPCR)など創薬ターゲットとなりうる可能性の高い遺伝子を中心に、約900系統ものノックアウトマウスを作製・保有する米国デルタジェン社との間で締結した全世界における独占販売権を活かした受注強化にも注力してまいります。さらには、「臓器ヒト化マウス」や人に近い疾患を発現する疾患モデルマウスの導入を推進し、CRO事業との協働事業に向けた取り組みを推進してまいります。

CRO事業につきましては、積極的な人材、機器投資による受注体制強化を行い、引き続き新しい病態モデルの研究開発に取り組み、既存顧客との取引拡大を図るとともに、新規顧客の獲得に注力いたします。また、当社ジェノミクス事業の有するモデルマウスを用いた非臨床試験受託への展開を図るとともに、持分法適用関連会社の医化学創薬㈱との協業を強化し、グループ事業間シナジー創出に注力いたします。

先端医療事業につきましては、昨年4月に㈱理研ジェネシスとの間でリキッドバイオプシー遺伝子解析サービスの協業に関する協定を締結しました。今後、デジタルPCR法を用いた、コンパニオン診断薬開発支援に大きく寄与する解析サービスの受注拡大に取り組むと同時に、個別化医療の医療現場で今後浸透が期待されるクリニカルシーケンス事業の推進を図り、業績回復に努めてまいります

病理診断事業につきましては、収益力を回復させるために、一層の品質向上及び事業効率化に注力してまいります。また、自己採取HPV検査サービスの営業及び受注強化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に積極的に取り組みます。

上記に加えて、資本業務提携関係先の㈱免疫生物研究所との協業関係を強化し、当社グループのジェノミクス事業及びCRO事業へのシナジー創出を目指してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業価値の増大を図っていくために、「売上高及び営業利益の拡大」を目標とする経営指標としております。

(中期業績目標)

 

平成29年3月期実績

平成30年3月期予想

平成31年3月期目標

平成32年3月期目標

売 上 高

23.0億円

24.1億円

27.0億円

30.0億円

営業利益

1.5億円

2.0億円

3.1億円

4.5億円

 

(4) 経営環境等

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループの事業上の対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,059百万円であり、今後の事業展開に必要な資金を十分確保しております。

 

①今後の事業展開について

経営理念「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通して、基礎研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに、世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」を実現するためには、既存事業の更なる強化に取り組むとともに、現在の事業領域に留まらない新規事業への進出を目指す必要があると考えております。

 

②新規事業への進出について

既存事業とのシナジーが見込まれる新規事業について、資本提携、事業譲受等M&Aを中心に取り組んでまいります。

 

③既存事業の強化について

イ.ジェノミクス事業

当事業の受託サービスについては安定的な収益を確保するに至っておりますが、常に最先端の技術導入に取り組み、事業の成長を推進します。また、利益率の高い「TG Resource Bank® 」や病態可視化マウスなどのモデルマウスに加えて、「米国デルタジェン社ノックアウトマウスの全世界での独占販売契約」をてこに、全世界での販売強化に取り組むとともに、汎用性の高い新規モデルマウスの導入も推進してまいります。

さらに、平成22年12月に熊本大学と締結した「ヒト化マウスの開発」に関する共同研究を進め、汎用性の高い新しい治療法の開発を可能とする病態モデルの確立及び事業化を目指します。

 

ロ.CRO事業

今後も、既存顧客との取引拡大を図るとともに、新規顧客の開拓に注力いたします。また、当社ジェノミクス事業の有する病態モデルマウスを用いた非臨床試験受託への展開を図るとともに、グループ会社の医化学創薬㈱との協業を強化し、グループ間シナジー創出による事業拡大を目指します。

 

ハ.先端医療事業

当社グループの他の事業及び大学研究機関と連携し、分子病理解析受託などのサービスを拡充することが必要であると認識しており、さらに、コンパニオン診断薬開発支援事業を成長ドライバーと位置付けて事業展開を推進してまいります。

 

ニ.病理診断事業

当事業は、グローバル基準(CAP)認定施設において認定診断医による病理診断を行っており、高い信頼性を確保しております。収益力を回復させるために、一層の品質向上及び事業効率化に注力してまいります。また、事業基盤を拡大するため、自己採取HPV検査サービスの営業を一層強化してまいります。

 

(6) 買収防衛策について

① 基本方針の内容

当社グループは「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通して、基盤研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援及び対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により構成され、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化及び収益化が求められます。
 従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。

 

② 不適切な支配の防止のための取組み

当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。

以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。

(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト

(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。

③ 上記②の取組みについての取締役会の判断

イ 当社取締役会は、上記②の取り組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取り組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。

ロ 当社取締役会は、上記②の取り組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 技術革新について

当社グループが属するバイオ・テクノロジー業界においては、日進月歩で技術開発が進められております。従って、技術革新による市場の変化や競合他社に対する技術的優位性の喪失が生じ、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2)特定人物への依存について

当社取締役である山村研一は、国立大学法人熊本大学生命資源研究・支援センターシニア教授でもあり、当社グループのジェノミクス事業の根幹となる「可変型遺伝子トラップ法」を開発した人物であります。同氏は、当社グループの研究開発活動において重要な位置付けを有しているほか、同氏が有する人脈の活用、同氏が当社事業に関与していることによる対外的な信用力など、事業遂行上において、影響力が大きなものとなっております。従って、何らかの理由により同氏による当社業務への関与が困難となった場合、当社グループの研究開発活動や事業戦略に重大な影響を与える可能性があります。

(3)公的研究機関及び大学等との関係について

当社グループは新たな技術導入及び移転を目的として、公的研究機関や国立大学法人熊本大学などの大学と共同研究を実施しております。企業と公的研究機関等との関係は、法令などの改正や組織改正に影響を受ける可能性があり、共同研究の方向性や権利関係の変更を余儀なくされる場合は、当社の事業戦略や業績に影響を与える場合があります。

(4)知的財産権について

① 当社基幹事業の特許技術について

当社ジェノミクス事業の基盤となる特許は、「可変型遺伝子トラップ法」および「GANP®マウス関連技術」です。いずれの特許においてもかかる周辺特許は十分に調査しておりますが、今後、事業遂行上支障が生じる特許が成立しない保証はありません。当社グループの当該技術使用の差し止め、ロイヤリティー支払いまたは損害賠償等の請求が生じる可能性も否定できず、これらの状況が生じた場合は、当社事業に重大な影響を与える可能性があります。

② 知的財産権に関する訴訟及びクレーム等について

平成29年3月末日現在において、当社グループ事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありません。当社グループは、こうした問題を未然に防止するため、新たな事業展開を行う場合、特許事務所に特許調査を依頼しており、他社が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。

(5) 法的規制について

① 実験動物関連

ジェノミクス事業及びCRO事業の実験動物関連サービスに関して、動物愛護の観点などから、欧米特に欧州では実験動物使用禁止の規制導入が検討されています。日本において導入された場合は、実験動物市場は閉塞し、業績に多大な影響を与える可能性があります。

② 遺伝子関連

当社グループは、DNAを生物に導入する際の設備や取扱いが定められている「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」や「組換えDNA技術工業化指針」などの法律及び指針を遵守しております。これらの規制が強化された場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは、「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通して、基盤研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな生活の実現に貢献する」ため、各分野にわたって研究開発に取り組んでおり、ジェノミクス事業及び先端医療事業において、今後の事業の中心となる製品及びサービスの研究開発を進めております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は48,015千円となっております。

 

(1) ジェノミクス事業

 汎用性の高い新しい治療法の開発を可能とする病態モデルの確立及び事業化を目指し、平成22年12月に国立大学法人熊本大学と締結した「ヒト化マウスの開発」に関する共同研究を進めてまいりました。また、子会社の㈱新薬リサーチセンターでの非臨床試験受託に供するために各種病態モデルマウス(アトピー性皮膚炎、認知症)の導入、増産を進めてまいりました。なお、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究によるうつ病マーカーとなる抗体の作製、製品化については、ライセンス先において販売開始の準備を進めております。

当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は34,286千円であります。

 

(2) CRO事業

 子会社の㈱新薬リサーチセンターにおいては、今後の受託業務拡充に向け、新しい病態モデルの開発に取り組んでおります。

 当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は7,228千円であります。

 

(3) 先端医療事業

 子会社の㈱ジェネティックラボにおいては、先端的な医療として注目されている「個別化医療」という社会的なニーズに応えるため、コンパニオン診断のバイオマーカー探索や治療薬の標的分子に対する新規測定法の導入に向けた研究開発に取り組んでおります。

 当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は6,500千円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積の概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

(2) 経営成績の分析

① 売上高

ジェノミクス事業においてはゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)浸透による需要拡大で増収となり、また、子会社の㈱新薬リサーチセンターのCRO事業においても活発な受注活動が効を奏し増収となりました。一方、子会社の㈱ジェネティックラボの先端医療事業及び病理診断事業においては新規サービスの立ち上げ遅れを起因として減収となり、当連結会計年度の売上高は前期比微増(0.6%増)にとどまりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

セグメント内の売上構成比の変化及び作業工程の効率化により、売上原価率は67.5%(前期は70.6%)と低下し、また、人件費を始めとする固定費の効率化により売上高販管費率は25.8%(前期は27.2%)と低下しました。

 

③ 営業利益

売上高は微増の一方で、事業運営の効率化による売上原価率及び売上高販管費率の低下により、営業利益は前期比大幅増益となりました。

 

④ 経常利益

のれんの一時償却等による持分法による投資損失の拡大はあったものの、営業利益の大幅増益でカバーし、経常利益は前期比大幅増益となりました。

 

⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益の前期比大幅増益に加え、3期連続の増収及び営業利益増益に伴う黒字体質確立により繰延税金資産の追加計上もあり親会社株主に帰属する当期純利益は前期比大幅増益となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。

(4) 財政状態の分析

① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における流動資産は1,697,101千円となり、前連結会計年度末に比べ22,119千円減少いたしました。これは主に仕掛品が55,797千円増加した一方、受取手形及び売掛金並びにその他流動資産がそれぞれ71,579千円、16,331千円減少したことによるものであります。固定資産は2,205,325千円となり、前連結会計年度末に比べ19,101千円増加いたしました。これは主に、有形固定資産及び繰延税金資産並びに投資その他の資産の「その他」がそれぞれ、47,515千円、38,277千円、11,444千円増加した一方、のれん及び投資有価証券がそれぞれ37,155千円、36,701千円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における流動負債は488,272千円となり、前連結会計年度末に比べ6,343千円減少いたしました。これは主に未払法人税等が28,978千円増加した一方、買掛金及びその他流動負債がそれぞれ20,395千円、13,397千円減少したことによるものであります。固定負債は240,826千円となり、前連結会計年度に比べ100,219千円減少いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債及び長期未払金並びにその他固定負債がそれぞれ20,000千円、57,805千円、11,598千円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における純資産は3,173,327千円となり、前連結会計年度末に比べ103,545千円増加いたしました。これは主に新株の発行や転換社債の転換により資本金及び資本剰余金がそれぞれ35,554千円、35,554千円増加するとともに親会社株主に帰属する当期純利益を80,694千円計上した一方、その他有価証券評価差額金が43,564千円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、売上高の増加及び事業運営の効率化(売上原価率及び売上高販管費率の低下)により営業活動によるキャッシュ・フローが前期比増の232,813千円となり、今後の事業拡大に向けた設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フロー200,101千円の支出を賄い、フリーキャッシュ・フローはプラスの32,712千円となりました。

また、長期未払金等債務の弁済及び新株予約権の行使により、財務活動によるキャッシュ・フローは27,298千円の支出となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ5,427千円増加し、1,059,180千円となり、今後の事業展開に必要な資金を十分確保しております。