文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」ことを経営理念とし、「基礎研究から診断までの各領域に強みをもつオンリー・ワンの創薬トータル支援企業を目指し、持続的成長を実現して企業価値向上を図る」ことを経営の基本方針としております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、平成30年3月期において4期連続で「営業損益、経常損益、最終損益」の黒字を達成いたしましたが、この黒字体質をさらなる強固なものとするため、翌連結会計年度(平成31年3月期)は以下のような取り組みを推進いたします。
ジェノミクス事業につきましては、収益を回復させるために、引き続き、需要の高いモデルマウスのラインナップ拡充を図り、ゲノム編集技術を活用した遺伝子改変マウス作製受託サービスに注力してまいります。また、技術革新によりアカデミアの研究者自らが遺伝子改変マウスを作製することが可能となりつつあるという市場環境変化の認識のもと、顧客構成をアカデミア主体からマウス作製に加えて関連実験によりニーズのある企業中心へシフトを進め、また、事業内容そのものをモデルマウス作製・販売だけではなくこれを活用した非臨床試験まで拡充するなど、CRO事業とのシナジーのある施策を進めてまいります。
CRO事業につきましては、積極的な人材、機器投資による受注体制強化を行い、引き続き新しい病態モデルの研究開発に取り組み、既存顧客との取引拡大を図るとともに、新規顧客の獲得に注力いたします。また、当社ジェノミクス事業の有するモデルマウスを用いた非臨床試験受託への展開を図るとともに、持分法適用関連会社の医化学創薬株式会社との協業を強化し、グループ事業間シナジー創出に注力いたします。さらに、本年4月には、連結子会社である株式会社安評センターが、CRO事業を公益財団法人食品農医薬品安全性評価センターから譲受けたことで、当社グループのCRO事業の強みである非臨床薬効薬理試験分野に加えて安全性試験の充実が図られ、医薬品開発における承認申請に必要な各種試験を網羅的に受託することができるようになりました。今後は当該事業の譲受けを活用し、潜在顧客の掘り起こし、さらにはグループ会社の顧客・営業網の共有化によるCRO事業の更なる強化、拡大を図ってまいります。
上記に加えて、資本業務提携関係先の株式会社免疫生物研究所との協業関係を強化し、当社グループのジェノミクス事業及びCRO事業へのシナジー創出を目指してまいります。
先端医療事業につきましては、昨年7月にクリニカルシーケンス受託解析サービスを開始するとともに、昨年8月に株式会社日立ハイテクノロジーズと販売代理店契約を締結し、次世代シーケンサーを用いたがんクリニカルシーケンス受託解析サービスの営業強化を図ってまいりました。また、昨年開始した網羅的がん遺伝子解析(プレシジョン検査)についても、採用医療機関の確保に努めてまいりました。今後もこのように、先端医療事業においては、クルニカルシーケンス事業等の拡充及び個別化医療への貢献を通じて業績拡大に努めてまいります。
病理診断事業につきましては、収益力を回復させるために、一層の品質向上及び事業効率化に注力してまいります。また、自治体等との提携をすすめて自己採取HPV検査サービスの営業及び受注拡大に引き続き取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に積極的に取り組んでまいります。
TGBS事業につきましては、昨年11月に事業を開始し、実施したM&Aが当連結会計年度の収益・利益に貢献いたしました。当事業は、後継者不足問題や国内市場の縮小による再編加速という環境の中、上記の他の事業に比べ比較的短期間に収益・利益貢献が可能と考えております。今後も、グループで培ったノウハウを活かして、事業承継・再生を対象とした投資・助言サービスを行い、グループの収益力の拡大に努めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、オンリーワンの創薬支トータル援企業グループを目指し、グループの持続的成長及び企業価値の持続的な増大を図っていくために、経営指標として「売上高及び営業利益の拡大」を目標としております。
(中期業績目標)
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平成30年3月期実績 |
平成31年3月期予想 |
平成32年3月期目標 |
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売 上 高 |
36.0億円 |
85.0億円 |
92.0億円 |
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営業利益 |
0.6億円 |
3.0億円 |
4.5億円 |
当連結会計年度の下半期に開始しましたTGBS事業は、平成31年3月期以降においては通年で業績に寄与することを見込んでおります。また、本年4月に連結子会社である株式会社安評センターがCRO事業を譲受けたため、CRO事業の拡大を見込んでおります。このように、平成31年3月期以降は、業績規模及び損益構造が当連結会計年度から大きく変化することが見込まれるため、中期業績目標を上記のとおりとしております。
(4) 経営環境等
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの事業上の対処すべき主要な課題等は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,772,500千円であり、今後の事業展開に必要な資金を十分確保しております。
①今後の事業展開について
企業価値の持続的向上を実現するためには、既存事業の更なる強化に取り組むとともに、現在の事業領域に留まらない新規事業への進出を目指す必要があると考えております。そのため、既存事業とのシナジーが見込まれる新規事業及び企業価値向上に寄与すると考えられる新規事業について、資本提携、事業譲受等M&Aを中心に取り組んでまいります。
②既存事業の強化について
a.ジェノミクス事業
モデルマウスの作製・販売については、「遺伝子改変技術」に関して急激に技術革新がなされ、アカデミアの研究者自らが遺伝子改変マウスを作製することが可能となってきており、市場に大きな変化が生じていると認識しております。
この事業環境の変化に対応すべく、顧客構成をアカデミア主体から、マウス作製に加えて関連実験によりニーズのある企業中心へシフトを進め、また、事業内容そのものをモデルマウス作製・販売だけではなくこれを活用した非臨床試験まで拡充するなど、CRO事業とのシナジーのある施策を進めてまいります。
b.CRO事業
今後も、顧客ニーズに合った提案を行い、顧客基盤の拡大に注力するとともに、ジェノミクス事業の有する病態モデルマウスを用いた非臨床試験の受託についても推進してまいります。
本年4月に、連結子会社である株式会社安評センターが、CRO事業を公益財団法人食品農医薬品安全性評価センターから譲受けたことで、当社グループの強みである非臨床薬効薬理試験分野に加えて安全性試験分野のラインナップが一層充実いたしました。また、当該GLP適合及びAAALAC完全認証の研究施設、ならびに同社の優秀な人材をフルに活用することで、中核子会社である株式会社新薬リサーチセンターの繁忙期における設備規模(試験受入能力)を起因とした受注機会損失を減らすとともに、顧客網の共有化や一体的な顧客営業が可能となりました。株式会社安評センターの加入をバネにグループのシナジーを結集し、当事業の飛躍的な成長に努めてまいります。
c.先端医療事業
当社グループの他の事業や大学研究機関と連携し、分子病理解析受託などのサービスを拡充してまいりましたが、引き続き営業強化に努めてまいります。
また、コンパニオン診断薬開発支援事業や、昨年開始いたしましたクリニカルシーケンス受託解析サービスを成長ドライバーと位置付けて、事業展開を推進してまいります。
d.病理診断事業
当事業は、グローバル基準CAP(米国臨床病理医協会)認定施設において認定診断医による病理診断を行っており、高い信頼性を確保しております。収益力を回復させるために、一層の品質向上及び事業効率化に注力してまいります。また、事業基盤を拡大するため、自己採取HPV検査サービスの営業を一層強化してまいります。
③新規事業への取組みについて
a.TGBS事業
当事業は、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、ならびにM&Aを行うべく、昨年11月に株式会社TGビジネスサービスを設立して事業を開始いたしましたが、上記の他の事業と比較して短期間で成果獲得が可能であり、下期に偏っていた収益構造の平準化にも寄与すると考えております。今までグループで培ったノウハウを生かして既投資先への収益力の向上に努めるとともに、新規顧客及び投資先の発掘に努めてまいります。
(6) 買収防衛策について
① 基本方針の内容
当社グループは「未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援及び対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により構成され、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化及び収益化が求められます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト
(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
a 当社取締役会は、上記②の取り組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取り組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
b 当社取締役会は、上記②の取り組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 企業買収について
当社グループは、事業領域の拡大のため、業務提携や企業買収等を実施することがあります。これらの意思決定に際しては、対象となる企業の事業内容や財務内容、取引関係等について詳細な事前審査を実施し、十分にリスクを検討してまいります。しかし、事前調査で把握できなかった問題が生じた場合や、事業環境の変化等により当初想定した効果が得られない場合、のれんの減損処理等によって当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新について
当社グループが属するバイオ・テクノロジー業界においては、日進月歩で技術開発が進められております。従って、技術革新による市場の変化や競合他社に対する技術的優位性の喪失が生じ、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(3) 製薬業界の動向による影響について
当社グループは、製薬企業からの非臨床試験、臨床試験の受託の売上高に占める比率が高く、製薬業界の研究開発活動の動向に大きな影響を受ける可能性があります。
(4)公的研究機関及び大学等との関係について
当社グループは新たな技術導入及び移転を目的として、公的研究機関や国立大学法人熊本大学などの大学と共同研究を実施しております。企業と公的研究機関等との関係は、法令などの改正や組織改正に影響を受ける可能性があり、共同研究の方向性や権利関係の変更を余儀なくされる場合は、当社の事業戦略や業績に影響を与える場合があります。
(5)知的財産権について
平成30年3月末日現在において、当社グループ事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありません。当社グループは、こうした問題を未然に防止するため、新たな事業展開を行う場合、特許事務所に特許調査を依頼しており、他社が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。
(6) 法的規制について
① 実験動物関連
ジェノミクス事業及びCRO事業の実験動物関連サービスに関して、動物愛護の観点などから、欧米特に欧州では実験動物使用禁止の規制導入が検討されています。日本において導入された場合は、実験動物市場は閉塞し、業績に多大な影響を与える可能性があります。
② 遺伝子関連
当社グループは、DNAを生物に導入する際の設備や取扱いが定められている「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」や「組換えDNA技術工業化指針」などの法律及び指針を遵守しております。これらの規制が強化された場合、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外政治情勢の不安などにより、景気の先行きについては依然不透明な状況が続いたものの、設備投資や雇用環境の改善など景気は緩やかな回復基調が続き、個人消費も持ち直しの兆しが見られ、比較的堅調に推移いたしました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現へ向け、産学連携による共同研究や企業の投資が活発化し、新製品の研究・開発が相次いでおります。このような環境の中で、当社グループは次のような活動を行いました。
ジェノミクス事業においては、作製期間の短縮、コスト低減が図れるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用した遺伝子改変マウス作製受託サービスの受注に注力いたしました。また、アルツハイマー病モデルマウスとしてのAPPOSKマウス※1、野生型TAU※2トランスジェニックマウス、精神・神経疾患モデルマウス、及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)※3モデルマウスとしてのAIM欠損マウス等についてライセンス契約を締結し、需要の高いモデルマウスのラインナップ拡充を図りました。
CRO※4事業においては、既存顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に注力し受注強化を図りました。また、非臨床試験の更なる受注拡大に向け、顧客(主に製薬企業)の多様なニーズに応えるため、新しい病態モデルの研究開発に取り組みました。重要施策であるジェノミクス事業との連携強化については、ジェノミクス事業が保有するAPPOSKマウスや精神・神経疾患モデルマウス等の有用な疾患モデルマウスを用いた中枢神経系非臨床試験での活用に取り組みました。
先端医療事業においては、次世代シーケンサー※5を用いた肺がん・乳がん・卵巣がん・大腸がん・悪性黒色腫などを対象としたがんクリニカルシーケンス※6受託解析サービスを開始するとともに、昨年8月に株式会社日立ハイテクノロジーズと販売代理店契約を締結し、次世代シーケンサーを用いたがんクリニカルシーケンス受託解析サービスの営業強化を図りました。
病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に、子宮頸がんの早期発見に向け、自己採取HPV※7検査サービスについて大手薬局チェーン及び自治体と検査受託契約を締結し、病理診断サービスの営業及び受注拡大に注力いたしました。
新規事業への取組みとしては、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを展開すべく、昨年11月に株式会社TGビジネスサービス(以下、「TGBS社」といいます。)を設立いたしました。当社グループを取巻く事業環境は、アカデミア及び製薬企業等の研究開発予算縮小傾向が継続するという厳しい状況であると同時に、当社が属するバイオ業界は、研究開発・技術導入の実行により優位性・特異性の高い製品・サービスで市場開拓を目指すものの、その成果獲得まで多額の先行投資及び時間を要するという特徴を有しております。一方で、我が国においては、タンパク質関連事業及びCRO事業に関する企業又は事業体に限らず、事業承継問題・国内市場縮小等を背景に、業種・業界を問わずM&A市場が活発な状況を示しており、その関連・支援事業領域は拡大傾向を維持しております。これらを踏まえ、これまで蓄積した事業買収・再生のノウハウを活かし、バイオ業界の事業環境に依存しないビジネスモデルの確立による収益の多様化をより機動的に推進するため、新たに設立したTGBS社において、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを展開することといたしました。
※1 APPOSKマウス :大阪市立大学 森 啓 特任教授らが開発した、アルツハイマーに特徴的な加齢に伴った認知機能障害等が認められるマウス
※2 TAU :中枢神経系に多量に存在し、脳内の神経軸索輸送に重要な働きを担う
※3 非アルコール性脂肪肝炎(NASH):過食・運動不足・肥満(特に内臓脂肪型)・糖尿病・脂質異常症などに合併した脂肪肝を背景として発症する肝炎
※4 CRO :Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)
※5 次世代シーケンサー :DNAを構成する塩基の配列を高速に読み取りゲノム情報を解読する装置で、得られた情報により病気の診断、治療、創薬に活用される
※6 クリニカルシーケンス :次世代シーケンサーを用いて、がん細胞の遺伝子変異を網羅的に解析し、診断や治療の参考となる知見を得るための解析手法
※7 HPV :Human papillomavirus(ヒトパピローマウイルス)
また、その方針に従い、TGBS社が情報通信機器関連の開発・販売を行う株式会社ルーペックスジャパンの全株式を昨年11月に取得して子会社化し、さらに、BtoC及びBtoB電子商取引(Eコマース)事業者として主に電機製品の小売・卸売を展開する株式会社アウトレットプラザの全株式を本年2月に取得し子会社化いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は、Eコマースを行う株式会社アウトレットプラザの売上が大きく寄与したため3,601,283千円(前期比56.4%増)となり、前期比で大幅な増収となりました。一方、営業利益は、先端医療事業が前期比で増加し、当期に開始したTGBS事業も寄与したものの、主としてジェノミクス事業及びCRO事業の受注の伸び悩みにより、60,554千円(前期153,948千円)と前期比で減益となりました。また、営業外損益については、持分法適用関連会社の医化学創薬株式会社の業績改善により「持分法による投資損失」が10,733千円(前期61,007千円)と前期比で大きく減少したものの、当社による新株予約権の発行及びTGBS社による株式会社アウトレットプラザ等の子会社化、並びに株式会社安評センターによる事業譲受の意思決定を行ったことから、資金調達関連費用や買収関連費用が嵩み、経常利益は14,459千円(前期88,272千円)にとどまりました。なお、「法人税、住民税及び事業税」は25,688千円となりましたが、繰延税金資産の回収可能性を考慮した結果、法人税等調整額△32,126千円(△は利益)を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は20,898千円(前期80,694千円)となり、前期比で減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
|
セグメント |
売上高 |
営業損益 |
|||||
|
金額 (千円) |
前期比 |
金額 (千円) |
前期比 |
||||
|
増減額 (千円) |
増減率 (%) |
増減額 (千円) |
増減率(%) |
||||
|
ジェノミクス事業 |
299,045 |
△121,102 |
△28.8 |
△1,417 |
△87,359 |
- |
|
|
CRO事業 |
1,000,662 |
△149,842 |
△13.0 |
128,303 |
△116,035 |
△47.5 |
|
|
先端医療事業 |
412,355 |
55,768 |
15.6 |
63,132 |
67,473 |
- |
|
|
病理診断事業 |
395,627 |
△3,666 |
△ 0.9 |
△7,879 |
△11,371 |
- |
|
|
TGBS事業 |
1,505,360 |
1,505,360 |
- |
45,005 |
45,005 |
- |
|
|
|
(Eコマース事業) |
(1,305,498) |
(1,305,498) |
- |
(6,092) |
(6,092) |
- |
|
(その他) |
(199,862) |
(199,862) |
- |
(38,912) |
(38,912) |
- |
|
(注)括弧内の金額は、TGBS事業の内訳金額であります。また、TGBS事業は当連結会計年度に開始した事業であるため、前期比の増減率(%)は「-」で表示しております。
a.ジェノミクス事業
当事業では、遺伝子改変マウスの作製受託、モデルマウスの販売及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。当連結会計年度の業績は、主要顧客であるアカデミア等の研究開発予算縮小傾向や遺伝子改変マウスの作製技術の普及という環境変化の中で、マウス作製受託等の受注の伸び悩みにより、売上高は前期比で減収となり、前期は利益であった営業損益につきましては、1,417千円の損失となりました。
b.CRO事業
当事業では、医薬品・食品の臨床試験受託及び薬理薬効試験、安全性薬理試験、薬物動態試験などの非臨床試験受託を行っております。当連結会計年度の業績は、製薬企業の発注時期等の影響で上半期は苦戦いたしましたが、下半期は受注を順調に積み上げました。しかし、上半期の影響を奪回するまでには至らず、売上高、営業損益につきまして前期比減収減益となりました。
c.先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス、個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当連結会計年度の業績は、遺伝子解析受託サービスや臨床試験支援サービスが好調であったことにより、売上高は前期比大幅増収となり、前期は損失であった営業損益につきましても大幅に改善し、63,132千円の利益を計上いたしました。
d.病理診断事業
当事業は株式会社ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当連結会計年度の業績は、受託検体数の伸び悩みにより、売上高は前期比で微減となり、前期は利益であった営業損益につきましては、7,879千円の損失となりました。
e.TGBS事業
当事業は、昨年11月に設立したTGBS社による事業であり、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを行っております。同社による株式会社ルーペックスジャパン及び株式会社アウトレットプラザの子会社化が当連結会計年度の業績に大きく寄与し、売上高は1,505,360千円(当連結会計年度の連結売上高の41.8%)、営業損益も45,005千円(当連結会計年度の連結営業利益の74.3%)を計上いたしました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末における流動資産は3,072,428千円となり、前連結会計年度末に比べ1,375,327千円増加いたしました。これは主に、「現金及び預金」が主として新株予約権の行使による株式の発行によって713,319千円増加したこと、「受取手形及び売掛金」及び「商品及び製品」が主として株式会社アウトレットプラザの連結子会社化によりそれぞれ208,508千円、249,205千円増加したこと、その他流動資産が183,232千円増加したことによるものであります。固定資産は2,862,251千円となり、前連結会計年度末に比べ656,925千円増加いたしました。これは主に、M&Aの実施によりのれんが405,547千円増加したこと、及び、主として保有株式の時価上昇に伴い投資有価証券が152,446千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における流動負債は855,772千円となり、前連結会計年度末に比べ367,500千円増加いたしました。これは主に、未払金が83,131千円増加したこと、及び、株式会社アウトトレットプラザの連結子会社化に伴い同社の「1年内返済予定の長期借入金」を受け入れ210,109千円増加したことによるものであります。固定負債は737,082千円となり、前連結会計年度に比べ496,255千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が517,444千円増加したことによるものでありますが、当該長期借入金も同様に株式会社アウトレットプラザの連結子会社化に伴い受け入れたものであります。
当連結会計年度末における純資産は4,341,825千円となり、前連結会計年度末に比べ1,168,497千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が合計で1,045,466千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益を20,898千円計上したこと、並びに、その他有価証券評価差額金が101,566千円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ713,319千円増加し、1,772,500千円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は219,059千円(前期は232,813千円の獲得)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益14,459千円、売上債権の減少額28,789千円、たな卸資産の減少額33,155千円、その他の資産の減少額57,393千円、その他の負債の増加額18,197千円の一方、未払金の減少額21,461千円、法人税等の支払額66,464千円に、減価償却費等の非資金費用143,897千円及び持分法による投資損失10,733千円を調整したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は552,120千円(前期は200,101千円の支出)となりました。この主な要因は、貸付金の回収による収入123,131千円の一方、有形固定資産の取得による支出74,093千円、貸付けによる支出100,032千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出465,435千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,044,975千円(前期は27,298千円の支出)となりました。この主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,034,123千円、長期借入れによる収入300,000千円の一方、社債の償還による支出46,000千円、長期借入金の返済による支出185,010千円、長期未払金の返済による支出57,805千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
ジェノミクス事業 |
295,205 |
77.44 |
45,979 |
100.72 |
|
CRO事業 |
1,040,488 |
107.21 |
325,845 |
117.34 |
|
先端医療事業 |
470,803 |
158.67 |
165,533 |
158.68 |
|
病理診断事業 |
395,627 |
99.08 |
- |
- |
|
TGBS事業 |
1,299,630 |
- |
38,892 |
- |
|
合計 |
3,501,756 |
171.00 |
576,250 |
134.75 |
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引を相殺消去しております。
3.TGBS事業は当連結会計年度に開始した事業であるため、前期比(%)は「-」で表示しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前期比(%) |
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ジェノミクス事業(千円) |
294,875 |
△29.8 |
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CRO事業 (千円) |
992,330 |
△13.0 |
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先端医療事業 (千円) |
409,588 |
20.3 |
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病理診断事業 (千円) |
395,627 |
△0.9 |
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TGBS事業 (千円) |
1,505,360 |
- |
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合計 |
3,597,783 |
56.3 |
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引を相殺消去しております。
3.TGBS事業は当連結会計年度に開始した事業であるため、前期比(%)は「-」で表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積の概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
ジェノミクス事業は、遺伝子改変マウスの作製技術の普及という環境変化の中で、マウス作製受託等の受注の伸び悩みにより減収となり、CRO事業も受注の端境期の影響を受け減収となりました。一方で、当期にTGBS事業を開始し、そのうち特にEコマース事業の売上高1,305,498千円(前連結会計年度の連結売上高の56.7%)が大きく寄与いたしました。このEコマース事業は、低価格を武器にした大量販売取引という特徴を有しております。この結果、当連結会計年度の売上高は前期比大幅増(56.4%増)となりました。
(売上総利益)
セグメント別では、前期比で増収となった先端医療事業の売上総利益率が前期比で上昇し、前期比で減収となったジェノミクス事業、CRO事業及び病理診断事業の売上総利益率は前期比で低下いたしました。これらの事業は設備費や人件費等の一定の固定費が発生するため、売上の増減に応じて売上総利益率も上下する傾向にあります。一方、TGBS事業のうちEコマース事業は、大量販売取引であり、連結売上高への影響は大きいものの、売上総利益率は上記事業と比較して低くなっております。その結果、連結売上高総利益率は22.8%(前期は32.5%)と前期比で大きく低下いたしました。
(営業利益)
セグメント別では、先端医療事業及び新規事業であるTGBS事業が利益を計上したものの、その他の事業の前期比減収に伴う営業利益の減少を補うには至らず、連結営業利益は前期比で減益となりました。
また、上記(売上総利益)に記載のとおり、Eコマース事業の売上総利益率が影響し、連結売上高営業利益率は1.7%(前期は6.7%)と前期比で大きく低下いたしました。
(経常利益)
持分法による投資損失が前期比で大きく改善したものの、資金調達関連費用や買収関連費用が嵩み、営業利益の前期比減益と同様に、経常利益も前期比で減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
繰延税金資産の追加計上があったものの、経常利益の前期比減益と同様に、親会社株主に帰属する当期純利益も前期比減益となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は5,934,680千円となり、前連結会計年度末に比べ2,032,253千円増加いたしました。また、純資産は4,341,825千円となり、前連結会計年度末に比べ1,168,497千円増加いたしました。
当連結会計年度末における自己資本比率は73.0%(前期81.0%)となり、前連結会計年度末と比較して低下いたしました。これは、主に株式会社アウトトレットプラザの連結子会社化に伴い総資産も増加したためであります。
なお、当連結会計年度末における現金及び預金は1,772,500千円であるのに対し、有利子負債の合計は1,010,928千円であり、流動比率(流動資産÷流動負債)も359.0%もあることから、十分な支払能力を確保しております。
前連結会計年度末と比較した変動要因につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策につきましては、財務健全性に配慮しながら、将来の成長へ向けて必要な投資を実施することを基本としております。具体的には、運転資金、設備投資及び研究開発活動に係る資金需要については、内部資金より充当することを基本としており、M&A等の自己資金のみでは賄えない資金需要については、新株の発行や借入等の資金調達方法を検討する方針です。
特に、当連結会計年度は、新規事業への取り組みとしてM&Aを行った結果、投資活動によるキャッシュ・フローは前期比352,019千円の支出増加となり、フリーキャッシュ・フローは前期比365,774千円の減少となりました。しかし、当該投資資金を賄うために、新株予約権の発行及び行使により資金調達を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは前期比で1,072,273千円の増加となりました。
なお、活動区分毎のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(単位:千円)
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当期 |
前期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
219,059 |
232,813 |
△13,754 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△552,120 |
△200,101 |
△352,019 |
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フリーキャッシュ・フロー※ |
△333,061 |
32,712 |
△365,774 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
1,044,975 |
△27,298 |
1,072,273 |
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現金及び現金同等物期末残高 |
1,772,500 |
1,059,180 |
713,319 |
(※)営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額
(1) 連結子会社による株式譲受契約
当社は、平成29年11月15日開催の取締役会において、連結子会社の株式取得により、株式会社ルーペックスジャパン及びその子会社1社を子会社化することを決議いたしました。
当社は、平成29年12月25日開催の取締役会において、連結子会社の株式取得により、株式会社アウトレットプラザを子会社化することを決議いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(2) 連結子会社による事業譲受契約
当社は、平成30年3月20日開催の取締役会において、連結子会社の事業譲受により、公益財団法人食品農医薬品安全性評価センターのCRO事業を譲受けることを決議いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループは、「未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」ため、各分野にわたって研究開発に取り組んでおり、ジェノミクス事業及び先端医療事業において、今後の事業の中心となる製品及びサービスの研究開発を進めております。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果、及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は55,156千円となっております。
(1) ジェノミクス事業
汎用性の高い新しい治療法の開発を可能とする病態モデルの確立及び事業化を目指し、平成22年12月に国立大学法人熊本大学と締結した「ヒト化マウスの開発」に関する共同研究を引き続き進めてまいりました。また、子会社の株式会社新薬リサーチセンターでの非臨床試験受託に供するために、各種モデルマウス(アルツハイマー病モデルマウス、精神・神経疾患モデルマウス、及び非アルコール性脂肪肝炎モデルマウス)の導入、増産を進め、アトピー性皮膚炎モデルマウスにつきましては、非臨床試験受託に供するとともに、生体ストレス可視化マウスと併せて個体として販売する製品化の準備も進めてまいりました。さらに、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用したより高度な遺伝子改変手法をサービスとして提供を行うべく、技術導入、検討に取り組んでまいりました。なお、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究によるうつ病マーカーとなる抗体の作製、製品化については、ライセンス先において販売開始の準備を進めております。
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は42,146千円であります。
(2) CRO事業
子会社の株式会社新薬リサーチセンターにおいては、今後の受託業務拡充に向け、新しい病態モデルの開発に取り組んでおります。
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は6,879千円であります。
(3) 先端医療事業
子会社の株式会社ジェネティックラボにおいては、先端的な医療として注目されている「個別化医療」という社会的なニーズに応えるため、コンパニオン診断のバイオマーカー探索や治療薬の標的分子に対する新規測定法の導入に向けた研究開発に取り組んでおります。
当事業にかかる当連結会計年度の研究開発費は6,129千円であります。