当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業等のリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
業務提携、企業買収等に伴うリスク
当社グループは、事業領域の拡大のため、業務提携や企業買収等を実施することがあります。これらの意思決定に際しては、対象となる企業の事業内容や財務内容、取引関係等について詳細な事前審査を実施し、十分にリスクを検討してまいります。しかし、事前調査で把握できなかった問題が生じた場合や、事業環境の変化等により当初想定した効果が得られない場合、のれんの減損処理等によって当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、設備投資や雇用環境の改善など景気は緩やかな回復基調が続き、個人消費も持ち直しの兆しが見られたものの、海外政治情勢の不安などにより、景気の先行きについては依然不透明な状況が続きました。
当社グループが属するバイオ関連業界におきましては、人々の健康と豊かな生活の実現へ向け、産学連携による共同研究や企業の投資が活発化し、新製品の研究・開発が相次いでおります。このような環境の中で、当社グループは次のような活動を行いました。
ジェノミクス事業においては、遺伝子改変マウス作製受託サービスの作製期間の短縮、さらにコスト低減が図れるゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)を活用した受注に注力するとともに、CRISPR/Cas9ノックイン法によるゲノム編集技術において、これまでは難しかった点突然変異の導入や大きなサイズの組換えを受精卵で効率よく行うことを可能とする高効率CRISPR/Cas9ノックイン法に関する特許の日本国内での非独占的使用権について、国立大学法人東京医科歯科大学とライセンス契約を締結いたしました。また、アルツハイマー病モデルマウスとしてのAPPOSKマウス※1、野生型TAU※2トランスジェニックマウス、精神・神経疾患モデルマウス、及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)※3モデルマウスとしてのAIM欠損マウスについてライセンス契約を締結し、需要の高いモデルマウスのラインナップ拡充を図りました。さらに、資本業務提携先である株式会社免疫生物研究所と、同社が所有する抗体について上記APPOSKマウスを用いた非臨床試験によるアルツハイマー病治療薬開発に取り組むべく、共同研究開発契約を締結いたしました。
CRO※4事業においては、既存顧客との取引を拡大・深化させるとともに、新規顧客の開拓に注力し受注強化を図りました。また、非臨床試験の更なる受注拡大に向け、顧客(主に製薬企業)の多様なニーズに応えるため、新しい病態モデルの研究開発に取り組みました。重要施策であるジェノミクス事業との連携強化については、ジェノミクス事業が保有するAPPOSKマウスや精神・神経疾患モデルマウス等の有用な疾患モデルマウスを用いた中枢神経系非臨床試験での活用に取り組んでおります。
先端医療事業においては、次世代シーケンサー※5を用いた肺がん・乳がん・卵巣がん・大腸がん・悪性黒色腫などを対象としたがんクリニカルシーケンス※6受託解析サービスを開始するとともに、昨年8月に株式会社日立ハイテクノロジーズと販売代理店契約を締結し、次世代シーケンサーを用いたがんクリニカルシーケンス受託解析サービスの営業強化につとめました。このように、先端医療事業においては、クリニカルシーケンス事業の拡充及び個別化医療への貢献を通じて業績拡大に努めております。
病理診断事業においては、一層の品質向上及び事業効率化に取り組むとともに、豊富な病理診断技術を活かしたサービスの拡充に取り組んでまいりました。特に、子宮頸がんの早期発見に向け、自己採取HPV※7検査サービスについて自治体と検査受託契約を締結し、病理診断サービスの営業及び受注拡大に注力いたしました。
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※1 APPOSKマウス :大阪市立大学 森 啓 特任教授らが開発した、アルツハイマーに特徴的な加齢に伴った認知機能障害等が認められるマウス
※2 TAU :中枢神経系に多量に存在し、脳内の神経軸索輸送に重要な働きを担う
※3 非アルコール性脂肪肝炎(NASH):過食・運動不足・肥満(特に内臓脂肪型)・糖尿病・脂質異常症などに合併した脂肪肝を背景として発症する肝炎
※4 CRO :Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)
※5 次世代シーケンサー :DNAを構成する塩基の配列を高速に読み取りゲノム情報を解読する装置で、得られた情報により病気の診断、治療、創薬に活用される
※6 クリニカルシーケンス :次世代シーケンサーを用いて、がん細胞の遺伝子変異を網羅的に解析し、診断や治療の参考となる知見を得るための解析手法
※7 HPV :Human papillomavirus(ヒトパピローマウイルス)
新規事業への取組みとしては、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを展開すべく、昨年11月に株式会社TGビジネスサービス(以下、「TGBS社」といいます。)を設立いたしました。当社グループを取巻く事業環境は、アカデミア及び製薬企業等の研究開発予算縮小傾向が継続するという厳しい状況であると同時に、当社が属するバイオ業界は、研究開発・技術導入の実行により優位性・特異性の高い製品・サービスで市場開拓を目指すものの、その成果獲得まで多額の先行投資及び時間を要するという特徴を有しております。一方で、我が国においては、タンパク質関連事業及びCRO事業に関する企業又は事業体に限らず、事業承継問題・国内市場縮小等を背景に、業種・業界を問わずM&A市場が活発な状況を示しており、その関連・支援事業領域は拡大傾向を維持しております。これらを踏まえ、これまで蓄積した事業買収・再生のノウハウを活かし、バイオ業界の事業環境に依存しないビジネスモデルの確立による収益の多様化をより機動的に推進するため、新たに設立したTGBS社において、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを展開することといたしました。また、その方針に従い、昨年11月にTGBS社が情報通信機器関連の開発・販売を行う株式会社ルーペックスジャパンの全株式を取得し子会社化いたしました。TGBS社による当該子会社化は、当第3四半期連結累計期間より連結収益に寄与しております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,416,047千円(前年同期比8.1%減)、営業損失53,736千円(前年同期営業利益50,959千円)、経常損失75,161千円(前年同期経常利益15,427千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は72,240千円(前年同期8,540千円)となりました。
また、昨年12月にTGBS社が、BtoC及びBtoB電子商取引(eコマース、以下EC)事業者として主に電機製品の小売・卸売を展開する株式会社アウトレットプラザの全株式を取得することを決議し、本年2月1日に全株式を取得して子会社化いたしました。当社グループが保有する製品・サービスと、同社が保有する販売システム・EC事業のノウハウ等を融合させることにより、新しいビジネスモデルの構築も念頭に双方の事業拡大を目指してまいります。
なお、当社グループの売上高は、季節的変動が著しく下半期(特に第4四半期)に売上高が集中する傾向にあります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。
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セグメント |
売上高 |
営業損益 |
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金額(千円) |
前年同期比 |
金額(千円) |
前年同期比 |
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金額(千円) |
増減率(%) |
金額(千円) |
増減率(%) |
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ジェノミクス事業 |
190,886 |
△90,068 |
△32.1 |
△11,727 |
△78,840 |
- |
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CRO事業 |
614,907 |
△134,195 |
△17.9 |
70,037 |
△74,482 |
△51.5 |
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先端医療事業 |
230,541 |
13,704 |
6.3 |
△1,141 |
32,625 |
- |
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病理診断事業 |
302,365 |
△2,810 |
△ 0.9 |
1,976 |
△5,517 |
△73.6 |
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TGBS事業 |
82,322 |
- |
- |
13,802 |
- |
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① ジェノミクス事業
当事業では、遺伝子破壊マウスの作製受託、モデルマウスの販売及び抗体作製受託、新規バイオマーカーの開発などを行っております。当第3四半期連結累計期間の業績は、主要顧客であるアカデミア等の研究開発予算縮小傾向や遺伝子改変マウスの作製技術の普及という環境変化の中で、期首受注残高が前年に比し減少していたことに加えて、マウス作製受託等の期中の受注が伸び悩み、売上高、営業損益につきまして前年同期比減収減益となりました。今後とも、遺伝子操作技術の改良をより推進して遺伝子改変マウス作製受託サービスの向上を図るとともに、アルツハイマー病モデルマウス等のモデルマウスの販売促進に取り組んでまいります。
② CRO事業
当事業では、医薬品・食品の臨床試験受託及び薬理薬効試験、安全性薬理試験、薬物動態試験などの非臨床試験受託を行っております。当第3四半期連結累計期間の業績は、製薬企業の発注時期等の影響で期首受注残高が前年に比し減少していたことにより、売上高、営業損益につきまして前年同期比減収減益となりました。なお、第4四半期以降の売上となる受注残高につきましては、当第3四半期累計期間より営業利益の更なる拡大に向けて順調に推移しております。
③ 先端医療事業
当事業では、遺伝子解析受託サービス及び個別化医療に向けた創薬支援サービスを行っております。当第3四半期連結累計期間の業績は、遺伝子解析受託サービスが好調であったことより、売上高は前年同期比増収となり、前年同期は33,767千円の損失であった営業損益につきましても損失額が大幅に改善いたしました。引き続き、受注強化に努め、当第3四半期累計期間より営業利益の更なる積み増しを目指してまいります。
④ 病理診断事業
当事業は株式会社ジェネティックラボの中核事業であり、病理専門医による豊富な診断実績及び最新のバイオマーカー解析技術による高品質な病理診断サービスを提供しております。当第3四半期連結累計期間の業績は、受託検体数の伸び悩みにより、売上高は前年同期比小幅減収となりましたが、営業損益につきましては黒字を確保いたしました。今後も、受託検体数の増加及び新規サービスの自己採取HPV検査の普及に取り組んでまいります。
⑤ TGBS事業
当事業は、昨年11月に設立した株式会社TGビジネスサービスによる事業であり、幅広い分野における事業承継及び事業再生分野に係る助言・支援サービス、並びにM&Aを行う予定であります。同社による株式会社ルーペックスジャパンの子会社化等により、当第3四半期連結累計期間より、売上高82,322千円を計上し、営業損益も黒字を計上しております。
(2) 財政状態
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,729,097千円となり、前連結会計年度末に比べ31,996千円増加いたしました。これは主に商品及び製品が73,390千円、仕掛品が100,426千円、原材料及び貯蔵品が10,555千円及びその他流動資産が59,907千円それぞれ増加した一方、現金及び預金が61,673千円並びに受取手形及び売掛金が150,780千円それぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は2,331,466千円となり、前連結会計年度末に比べ126,140千円増加いたしました。これは主に有形固定資産の購入による取得60,488千円及び株式取得による無形固定資産の「のれん」163,087千円の計上により増加した一方、有形固定資産及び無形固定資産の減価償却65,490千円、無形固定資産の「のれん」の償却30,578千円を計上したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は428,702千円となり、前連結会計年度末に比べ59,569千円減少いたしました。これは主に買掛金が2,495千円及びその他流動負債が9,728千円それぞれ増加した一方、未払金が30,724千円、未払法人税等が33,343千円、賞与引当金が6,605千円及び受注損失引当金が1,120千円それぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は185,286千円となり前連結会計年度末に比べ55,539千円減少いたしました。これは主に未払金への振替により長期未払金が57,805千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は3,446,574千円となり、前連結会計年度末に比べ273,246千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ175,402千円増加する一方、親会社株主に帰属する四半期純損失72,240千円の計上、その他有価証券評価差額金11,176千円の減少などによるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
買収防衛策について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社グループは「生物個体からゲノムにいたる生命資源の開発を通して、基盤研究及び医学・医療の場に遺伝情報を提供し、その未来に資するとともに、世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」を経営理念とし、主として創薬の探索研究ステージにおいて遺伝子改変マウスをツールとして提供するジェノミクス事業、探索研究支援及び対外診断薬候補物質の開発研究を展開する先端医療事業、創薬候補物質の評価を行うCRO事業、さらに病理診断を行う診断事業により、創薬研究のトータル支援企業として事業展開しております。これらの事業における技術革新は日進月歩であることから、蓄積された技術力に基づくノウハウや高い専門性、最先端の新規技術の迅速な事業化及び収益化が求められます。
従って、当社の経営には上記のような事業特性を前提とした経営のノウハウならびに創薬支援ビジネスに関する高度な知識、技術、経験を有する使用人、大学・企業との共同研究先及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等が重要であり、これらへの事業の説明責任と十分な理解を得ることが不可欠であると考えております。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社株式の売買は、株主、投資家の自由意思に委ねられるべきものと考えており、特定の者の大規模買付行為においても、これに応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有される当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかしながら、当社の事業に対する理解なくして行われる当社株式の大規模買付行為がなされた場合には当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになると考えております。
以上の理由により、当社取締役会は、定時株主総会で株主の皆様の合理的な意思の確認ができることを条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の導入を決定いたしました。同買収防衛策の導入は、平成18年6月28日開催の当社第8期定時株主総会にてご承認をいただいております。
(注)買収防衛策の詳しい内容については、当社ウェブサイト
(http://www.transgenic.co.jp/pressrelease/2006/05/post_44.php)をご参照ください。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
ⅰ 当社取締役会は、上記②の取組みが当社の上記①の基本方針に沿って策定された当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ⅱ 当社取締役会は、上記②の取組みは、あくまで株主の皆様の自由な意思決定を行うための前提となる必要な情報・機会を確保することを目的として、それに必要かつ相当なルールを設定するものであり、現経営陣の保身に利用されることや不当に株主の株式売却に対する自由を妨害することにつながるという弊害は生じないものと考えております。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、43,146千円(前年同期34,365千円)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。