文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、経営理念及び経営方針を以下のとおり定め、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。
当社は2023年5月12日に「中期経営計画2027」(2023年度~2027年度)を策定しスタートさせました。「中期経営計画2027」では、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへの変革を進め、稼ぐ力の強化とESGの推進によるサステナビリティ経営の好循環サイクルを確立し、持続的な価値創造を続けてまいります。
〈中期経営計画2027テーマ〉
『自らを変革し、変化を創造する』
-TC Transformation and Sustainable Growth-
将来も持続的な成長を続けるため、これまで築いてきた強みを深化させるとともに、変化に対応するだけではなく自らを変革し、変化を創造する企業グループを目指します。
〈基本方針〉TC Transformation
将来の持続的な成長に向け、主に4つの要素について変革を図ります。これらの変革を進める中で、稼ぐ力の強化とESGの推進を実行し、企業価値を向上させてまいります。

〈目標指標〉

(3) 経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度におけるわが国経済は、総じて好調な企業収益と設備投資、高水準の賃金上昇等に基づく個人消費の持ち直しや旺盛なインバウンド需要等を背景に、緩やかな回復基調が見られたものの、円安の加速、物価上昇、人手不足、地政学リスクなどといった制約要因も顕著に現れ、依然、予見困難な情勢下にあります。さらに、今年1月に発足した米国トランプ政権の経済政策等により、経済環境は混迷さを増しております。
当社グループにおいては、「中期経営計画2027」にて定めた以下の事業戦略を遂行してまいります。
〈事業戦略〉
「金融」・「サービス・事業」をカテゴリー化し、各ビジネスカテゴリーにおける期待収益率、リスク・リターン、Capability、マーケットの成長性等を加味した、ポートフォリオの適切な配分を行います。利益成長とROA向上に徹底的にこだわり、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへと変革を進めてまいります。
ポートフォリオの変革を進める中で、バランスシートマネジメントの強化と総合リスクマネジメントの強化・リスク管理の高度化を並行して推進してまいります。

〈資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応〉
前中計期間(2020年度~2022年度)において、株式市場からは、マクロ環境の変化への対応力やリスクとリターンのバランスに配慮した最適な資産ポートフォリオの在り方が問われるなど、当社の株主資本コストは上昇し、PBRも2022年から現在に至るまで1倍を下回っております。中期経営計画2027で掲げた「TC Transformation(TCX)」を実現し、中長期的な利益成長を図ることで、安定的にROE10%以上を維持出来る体制構築を目指してまいります。


当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
(サステナビリティ共通)
企業価値の最大化には、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが重要な経営課題であるとの認識のもと、経営環境の変化に迅速かつ的確な判断を可能とし、健全で透明性の高い経営体制の実現に取り組んでおります。当社は、サステナビリティ経営を推進し、持続的な成長を目指すため、SDGsに対応する五つのマテリアリティに紐付く経営戦略の進捗状況の確認や、改善に向けた提言を行っていくモニタリング体制を構築しております。適切なガバナンスとPDCAサイクルの推進を図り、サステナビリティ経営の実効性を向上していきます。
具体的には、当社はサステナビリティ経営に関わる審議機関としてサステナビリティ委員会を設置し(2018年4月~)、原則年2回開催しております。サステナビリティ委員会で審議された重要事項については、経営会議及び取締役会へ報告・審議を行い、取締役会の監督を受ける体制を構築しております。サステナビリティ委員会は取締役経営企画部門長が委員長を務め、サステナビリティを重要な経営課題と認識し、マテリアリティへの対応をはじめとするさまざまな取り組みを進めております。
当社は、「脱炭素」「社会インフラ」「サーキュラーエコノミー」を中期経営計画2027における注力領域と定めており、これらに紐付くマテリアリティの達成度を同一の指標で測るべく、2023年度に新たなKPIとして「契約高等(リース契約高、融資実行高、投資額など)」を設定しました。2024年度は、この新たなKPIをはじめとする中期経営計画2027におけるサステナビリティ・ロードマップの進捗状況、カーボンニュートラル達成に向けた実行計画及び進捗状況、国内外のサステナビリティ情報開示基準への対応状況などをサステナビリティ委員会に報告しております。
なお、当社は、社長直轄の監査部門を独立した組織として設置し、当社及びグループ会社に対し内部監査(サステナビリティ関連事項の監査も含む)を実施しております。常勤監査役は、原則毎月1回、監査部門と会議を開催して情報交換を行っており、これらの情報のうち重要なものは、監査役会で社外監査役へ報告を行っております。
サステナビリティ経営の推進体制

コーポレート・ガバナンス全般については、
(気候変動)
当社の環境基本方針においては、当社グループ全体の温室効果ガス排出量の実質排出ゼロ(カーボンニュートラル)を目指し、事業活動のライフサイクルにおいて、エネルギー利用の効率化の推進及び再生可能エネルギーの利用促進に努める旨を定めております。
2023年度において、気候変動に関して特に重要性の高いテーマとして、「環境・社会に配慮した投融資方針」の検討をいたしました。本方針は、サステナビリティ委員会で審議・承認された後、経営会議及び取締役会にて審議・承認され、2024年4月に「東京センチュリーグループ環境・社会に配慮した投融資方針」として公表しております。当該方針では、気候変動の課題へ対応していくため、石炭火力発電所の新設及び拡張案件への投融資等は行わないこと(但し、クリーンで効率的な次世代技術の発展など、脱炭素社会への移行に向けた取り組みについては行うこと)を規定しております。
② リスク管理
(サステナビリティ共通)
当社取締役会は、当社の適切なリスク管理を行うため、「リスク管理の基本方針」を定めております。当社に係るリスクを全体として把握・評価し、必要に応じ定性・定量それぞれの面から、適切な対応を行うため、総合リスク管理委員会を設置し、同委員会規程に基づき、総合的なリスク管理を実施しております。
企業のサステナビリティと特に関係の深い非財務リスクは、オペレーショナルリスクとして、総合リスク管理部がリスクの抽出・計量化、対応策の見直し等を行うとともに、総合リスク管理委員会において、総合的な管理を実施しております。当社は、オペレーショナルリスクとして、以下の図に記載のとおり、12項目を非財務リスクのカテゴリーとして特定し、管理しております。事業領域の拡大、特に金融からサービス・事業への展開とともにリスクの定量評価にはなじまない非財務のオペレーショナルリスクが重要となっており、非財務情報のリスク指標(KRI)を定めてモニタリングし、取締役会などに報告しております。近年は「人権」「気候変動リスク」の把握・管理が重要となっており、人事・労務のスコープ拡大(単体から連結へ)、再生可能エネルギー、CO2排出量、省燃費機材(航空機)・電動車の保有比率などの環境関連指標の拡大に努めております。
特に人権については、当社及び当社国内外連結子会社を対象に、人権デューデリジェンスを実施しております。リスク特定では重大なリスクは識別されておらず、人権に関する方針類、救済メカニズムとしての内部通報制度、有事のコンプライアンス事案や事件・事故の報告制度、人権教育は適切に整備・運営されております。また、大口の投融資の検討、又は投融資実行後のモニタリングにあたり、人権リスクを把握・判断するため、「人権リスク評価」を実施しております。評価の対象事項は、人権リスクに対する取り組み体制や、過去の人権侵害事故の発生有無、投融資事業が引き起こす懸念のある人権リスクと、それらの防止・軽減措置策などです。評価の結果、過去に児童労働、強制労働、人身取引が生じていれば原則投融資不適格として扱い、今後、対象の事業がこれら三つ及び人命に関わる事故を生じさせる可能性の高いことが判明した場合は、防止・低減措置策の実効性を慎重に検証し投融資判断を行うものとしております。
主なリスクと管理態勢

上図の7つのリスクカテゴリーについて、当社グループの業務内容の年次経年変化を評価し、影響度と発生頻度とのマトリクスによってマッピングを行っております。リスク監査におけるリスクシナリオの動向や、各リスク項目のリスク量、取り組み案件や事件・事故など様々な要素を総合的に勘案して毎年見直しております。詳細は、以下のURLからご覧ください。
リスク管理体制の整備の状況の全般については、
もご覧ください。
(気候変動)
当社グループは、経営理念に掲げる「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。この認識の下に、2021年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しております。また、TCFDコンソーシアムにも加盟し、気候変動への対応を進めております。
気候変動リスクの管理については、非財務のリスクカテゴリー「オペレーショナルリスク」の一つに位置付け、年2回、「非財務情報のリスク指標」として総合リスク管理委員会を通じて取締役会にモニタリング結果を報告する体制を構築しております。
当社では、中長期的な気候変動リスクとして、台風・豪雨等の異常気象による緊急性の物理的リスク及び炭素税の導入・法規制の強化といった移行リスクが存在し、社会的に多大な影響を与える気候変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があると認識している一方で、当社の事業機会としての側面も大きいと考えております。具体的には、TCFD提言に準拠したシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めている中で、当社グループとして主に以下の気候変動リスクと機会を特定しております。
なお、シナリオ分析の詳細は、以下のURLから「気候変動への対応とTCFDへの賛同」(シナリオ分析の対象事業別実施内容)をご覧ください。
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
(サステナビリティ共通)
当社のサステナビリティの根源は、金融・サービス企業としてステークホルダーの皆様とともに持続的な成長と企業価値の向上を図り、循環型経済社会の実現に貢献することにあります。SDGsの目標を読み解き、10年後・20年後の未来を想定し、必要とされる金融・サービスの創出を志向するバックキャスティングのもと、サステナビリティ経営を推進しております。
当社は、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会と当社の持続的な成長と企業価値向上を図るサステナビリティ経営を進めるため、SDGsに対応する五つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、取り組みを進めております。
当該マテリアリティの特定については、主要なESG評価や非財務情報開示基準とSDGsの17の目標・169のターゲットを紐付けて決定した「ステ-クホルダーにとっての重要度」と、当社の経営理念や財務情報を同様にSDGsと紐付けて決定した「当社にとっての重要度」の二つの軸をもとにマテリアリティマップを作成し、関係部インタビュー、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会での議論を経て決定しております。

当社のマテリアリティの特定プロセスの詳細は、以下のURLからサステナビリティデータブック2024(p10)をご覧ください。
また、当社は2023年5月に「中期経営計画2027」(2023年度~2027年度)を策定しスタートしました。「中期経営計画2027」では、高い収益性と安定性のあるポートフォリオへの変革を進め、稼ぐ力の強化とESGの推進によるサステナビリティ経営の好循環サイクルを確立し、企業価値向上を図ることを掲げております。特に事業戦略として、マテリアリティの中でも「脱炭素」・「社会インフラ」・「サーキュラーエコノミー」を注力領域としており、組織の枠にとらわれず取り組み、事業分野間の繋がりを強化してまいります。
なお、「中期経営計画2027」における事業戦略の注力領域の詳細は、以下のURLからご覧ください。
(気候変動)
五つのマテリアリティのうち、特に気候変動に関係する項目として「脱炭素社会への貢献」を掲げております。当社グループでは、気候変動・環境への取り組みを通じたクリーンエネルギーの普及への貢献を重点取り組みとして、太陽光発電事業をはじめとする再生可能エネルギー事業を通じて気候変動緩和への取り組みを進め、脱炭素社会の実現に向けて貢献しております。2023年4月から環境インフラ事業分野を新たな事業分野として独立し、環境ビジネスにかかる専門性と独自性を持つ事業分野を設立することで、ナレッジの高度化及び共有化を図り、当該ビジネスの深化、推進を目指しております。
当社は「中期経営計画2027」における成長戦略の一つとして「海外再生可能エネルギー事業の拡大」を掲げており、その一環として2024年2月には英国の稼働済み太陽光発電所の持分を取得するなど、取り組みを加速してまいりました。2024年度、当社は、伊藤忠商事株式会社グループが設立した北米(米国及びカナダ)の再生可能エネルギー発電資産を対象とした投資ファンドへLP出資を行うこと、及び、伊藤忠商事株式会社と共同で米国における太陽光発電所の開発権益を取得することを決定しております。
更に新興国においても、環境省及びその執行団体である公益財団法人地球環境センター(GEC)による「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」への取り組みを通じて、日本の環境技術を活用したアジア地域における脱炭素社会に向けた貢献を進めております。
当社では、今後も多くの事業パートナーと強みを持ち寄り、環境バリューチェーンを構築し、新ビジネスへの取り組みに挑戦することで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
(サステナビリティ共通)
当社では、サステナビリティ経営の戦略に紐づく、五つのマテリアリティに係る非財務のKPIを設定し取り組みを進めております。
本欄(「サステナビリティに関する考え方及び取組」)には、五つのマテリアリティに係る非財務のKPI等のうち、特に代表的な取り組みのKPI等を記載しております。
※1 連結子会社:2024年度目標は、太陽光発電事業会社「京セラTCLソーラー合同会社」を含む10社が対象
※2 DX認定制度:2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認
定制度
※3 NCS:日本カーソリューションズ株式会社、NRS:ニッポンレンタカーサービス株式会社
※4 人材力強化につながる職場環境整備については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え
方及び取組 (3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略並びに指標及び目標 2)指標及び目標
① 「中期経営計画2027」における経営目標及び主要KPI ② 関連する指標・目標」をご覧ください。
また、当社は「脱炭素」「社会インフラ」「サーキュラーエコノミー」を中期経営計画2027における注力領域と定めており、これらに紐付くマテリアリティの達成度を同一の指標で測るべく、2023年度に新たなKPIとして「契約高等(リース契約高、融資実行高、投資額など)」を設定しました。
既存のKPIでは一部の事業における取引のみが対象となっておりましたが、新KPIである「契約高等*1」は、全事業分野の取引をカバーしており、当社の事業活動そのものが社会への貢献につながっていることを示しております。また、新KPIは役職員の営業成績に紐付く管理指標とも合致しており、全役職員が一丸となってマテリアリティの達成に向けた事業活動を推進するインセンティブにもなっております。(現在、全事業分野の契約高等の約8割がマテリアリティに紐付く取引となっています。)新KPIの中長期の数値目標は現時点で設定しておりませんが、必要に応じて具体的な数値目標を検討していく予定です。
新たなKPI「契約高等の対象事業と実績」

*1 営業管理上の計数。取引対象は、リース・レンタルの契約高、融資実行高、投資額、売上高など。
対象範囲は、東京センチュリー単体及び主要な子会社15社。
*2 モビリティ事業のうち、電動車の導入は「脱炭素社会への貢献」に包含されるため、「社会インフラ整備への貢献」における契約高等からは除外。
五つのマテリアリティに係る非財務のKPI及び新KPIである「契約高等」の詳細は以下のURLからサステナビリティデータブック2024(p12‐19)をご覧ください。
(気候変動)
2020年10月、わが国政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル宣言」を表明しましたが、当社は、政府の目標達成年よりも早いカーボンニュートラルを目指す意欲的な目標として、2022年9月に「2040年度カーボンニュートラル方針」を策定・公表いたしました。当社のカーボンニュートラル方針は、周南パワー株式会社(連結子会社)のトランジション・ロードマップを含む、当社グループのスコープ1及びスコープ2の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目指すものとなっております。
また、当社グループの2023年度の温室効果ガス(GHG)排出量の実績は以下のとおりです。当社においては、カーボンニュートラルを目指す社会的な潮流や企業に対する気候関連情報の開示要請が高まっている状況を踏まえ、スコープ1及び2の排出量のみならず、スコープ3の排出量の把握範囲の拡大に努めるとともに、温室効果ガス(GHG)排出量の削減のための方策も引き続き検討してまいります。
※1 スコープ1及びスコープ2は、東京センチュリーグループ(合計93社)で算定。スコープ3は、原則として東京センチュリー単体で算定。
※2 詳細なスコープ1、2及び3の対象範囲は以下のURLからサステナビリティデータブック2024(p03‐04)をご覧ください。
※3 スコープ3のカテゴリー別内訳は以下のURLからサステナビリティデータブック2024(p30)をご覧ください。
当社の「2040年度カーボンニュートラル方針」の詳細は以下のURLからプレスリリースをご覧ください。
(3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略並びに指標及び目標
1)戦略
「中期経営計画2027」のKey ConceptであるTC Transformationの要素として、人材・組織Transformation(HRX)を推進し、経営戦略・事業戦略を支える人材/組織戦略を着実に遂行してまいります。

人材/組織戦略に基づく、人材育成の方向性、社内環境整備の方向性は以下のとおりであります。
〈人材育成の方向性〉
従業員一人ひとりが個々の人間力を磨きながら成長し、自らを変革し、変化を創造することのできる人材を育成します。
① 自己変革力 自らのなりたい姿を実現するために進化を続け「変革する」力を高められること
② 創造力 過去の自分を超えて新しい価値を生み出す「創造力」が豊かであること
③ 挑戦心 様々なことに関心・意欲がある「挑戦心」を持ち続けられること
〈社内環境整備の方向性〉
当社が持つ高い組織実行力を維持しつつ、個々人が自由な発想力で働くことのできる環境を整備します。
① 多様な人材が健やかでやりがいを持ち前向きに働ける組織づくりの整備
② 社会情勢やライフステージ、事業環境の変化に応じた学び・学び直しの場の整備
③ 従業員同士のコミュニケーションが円滑に行える職場環境の整備
2)指標及び目標
当社では、経営戦略・事業戦略を支える人材/組織戦略の遂行のため、以下の人材育成・社内環境整備に係るKPI、指標・目標を設定し取り組みを進めております。
① 「中期経営計画2027」における経営目標及び主要KPI
(注)1.㈱リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」での測定
2.2023年度実績は2024年5月度の調査結果、2024年度実績は2025年5月度の調査結果
② 関連する指標・目標
(注)育児目的休暇の取得者を含む
有価証券報告書に記載した事業の内容、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループはリスクを把握し、管理する体制を構築しておりますが、詳細について、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 2)内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係)」をご参照ください。
(特に重要なリスク)
(1) 信用リスク
当社グループが取り扱っているリース、割賦、貸付取引は、与信先に対し比較的長期間にわたり、信用を供与する取引であります。しかしながら、今後の景気動向、取引先の信用状況の悪化等により、不良債権が増加した場合、貸倒費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
信用リスクについては信用リスク管理委員会を設置し、同委員会規程に基づき、基本方針を定め、信用リスクの計量、管理を行っております。個別案件取組に際しては、与信業務規範に則り、取引の相手方、案件の内容、物件価値等を総合的に評価したうえでその可否を判断しております。また、大口案件や新種スキーム案件等の複雑な判断を要する案件については、案件審査会議を設置し、同会議規程に基づき審査・決裁しております。加えて、内部格付制度に基づく1社与信ガイドラインの運用やカントリーエクスポージャー管理などポートフォリオ全体として与信が集中しないよう信用リスクをコントロールし、リスクの極小化に努めております。
(2) カントリーリスク
当社グループでは、海外における事業展開や投資を積極的に進めており、これらの国や地域における法令や規制の変更や、政治・経済・社会情勢の変化により生じる予期せぬ事態等により、当社グループの事業展開や投資が順調に展開できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
昨今の地政学的リスクの顕在化を踏まえ、カントリーリスクをリスク分類として独立させ、全社的に管理強化に取り組んでおります。具体的には、カントリーリスクに関する情報収集・社内周知の強化、カントリーエクスポージャーのモニタリング強化、投融資対象不適格国の指定、情報セキュリティや腐敗防止等の観点から外国所在の事業関係者等のリスク評価の強化などを行っております。
(3) 市場リスク
① 金利変動リスク
当社グループが取扱っているリース・割賦取引において、リース料等は物件購入代金のほか、契約時の金利水準等を基準として設定され、契約期間中のリース料等は原則として変動いたしません。一方、リース・割賦取引の物件購入資金の原価である資金原価(金融費用)は、固定金利の資金調達のほかに変動金利による調達もあるため、この部分については市場金利の変動による影響を受けます。市場金利が急激に上昇した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 為替変動リスク
当社の海外における連結子会社・持分法適用関連会社の収益や費用については期中平均相場により円貨に換算しており、為替相場の変動が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。海外事業に対する投資についても、為替の変動による株主資本の毀損リスクや、期間損益の減少リスクが存在し、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
金利変動、為替変動等の市場リスクについては、ALM委員会を設置し、同委員会規程に基づき、資金の運用と調達の総合的な管理を実施しております。当社グループではALM(資産・負債総合管理)分析に基づき、ヘッジ比率、マチュリティーラダー、ギャップ分析、GPS(Grid Point Sensitivity)、VaR(最大想定損失額)管理等を導入し、リスクを適切に管理し、必要に応じてリスクヘッジを行っております。
(4) 投資リスク
① 戦略的提携、企業買収、出資に関わるリスク
当社グループは、リース・金融といった分野に留まらずに、国内外のパートナー企業とともに事業性ビジネスを展開するための戦略的提携や企業買収、出資を行っております。しかしながら、法制度の変更や競争の激化、金融環境の変化などにより、戦略的提携の解消並びにそれに伴うサービスが提供できなくなる可能性や、戦略的提携、企業買収、出資が期待どおりの効果を生まず、減損損失、評価損、持分法投資損失等の発生により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、買収対象子会社・関連会社の業績が計画通りに伸長せず、当初認識したのれん及び無形資産の効果が期待どおりに実現しない場合には、のれん及び無形資産の減損損失の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 有価証券価格変動リスク
当社グループは、取引企業との関係強化や営業投資目的の観点から、上場・非上場有価証券を保有しております。当社グループでは、純投資目的以外の目的である投資株式について、個々の取引関係等に応じて定期的に保有適否の見直しを行い、また営業投資目的の有価証券は定期的に価格変動等のモニタリングを実施しておりますが、今後の価格の変動等により、評価損等が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
当社グループは、多様化する投資リスクを適切にコントロールしつつ、事業ポートフォリオの最適化に資する投資ガバナンスの確立を目的として、投資採択及び撤退に係る基準の明確化や統一的モニタリングプロセスの構築等を主眼とした投資管理の枠組みを運用しております。この枠組みにおいては、一定の基準に該当する投資案件の採択検討時に、経営会議の審議前に投資に係る投資マネジメント委員会を開催し、案件ごとのリスクに対応した資本コスト考慮後収益性(定量基準)や当社戦略との整合性等(定性基準)を確認するとともに、事業計画や投資ストラクチャー、想定されるリスク量や環境への影響等について、専門部による多角的な評価を実施いたします。加えて、投資実行後は統一されたプロセスに基づくモニタリングを行い、定期的に投資案件の現状と採択時のシナリオとの整合性を確認するとともに、当初の計画が達成できないことが明らかな場合には、あらためて投資継続の是非を協議いたします。案件採択からモニタリング、投資継続判断までを統一的に管理する新たな枠組みを適切に運用することにより、投資に係るリスク管理の一層の高度化を図るとともに、事業ポートフォリオ最適化に向けた取り組みを強化してまいります。
また、2024年度には、リスクプロファイルの上位を占める投資に対して、リスク量ガイドラインを正式に導入するなど、リスク管理の強化に取り組んでおります。
(5)ものにかかわるリスク
当社グループは、ファイナンス・リース、貸付等の金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、航空機、船舶、自動車、不動産、発電所等、「もの」の付加価値に着目したオペレーティング・リースやアセット投資の拡充を図ってきております。その結果、ポートフォリオ全体に占めるアセットビジネスの比率は高まっております。しかしながら、経済・社会環境の大幅な悪化などに起因し、これらマーケットに急激な変化等が生じた場合、対象資産の収益性の低下等により、資産価値が大幅に下落し、減損損失等が発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
当社グループが保有する航空機について、流動性の高い平均機齢の若いナローボディー機が中心で、満了時期を分散するなど、アセットリスクを考慮したポートフォリオを構築しております。また、資産価値を有する各種物件の「ものにかかわるリスク」については、それぞれのリスク所管部にて管理するとともに総合リスク管理委員会において、リスク量やその状況等の管理を行っております。なお、アセット価値の変動リスクについて、他のリスク同様に統計的手法でVaRを連結ベースで計量するなど定期的にモニタリングをしております。2024年度には、リスクプロファイルの上位を占める特定リスクカテゴリー(航空機、不動産)に対して、リスク量ガイドラインを正式に導入するなど、事業ポートフォリオの最適化、リスク管理の強化に取り組んでおります。
(6) 流動性リスク(資金調達)
当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入れによる間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行、債権流動化による直接調達によって資金調達を行っております。金融市場の混乱や当社グループの財務内容の悪化などにより、調達環境が変化し資金調達の制約を受けることで、業績に影響を与える可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
流動性管理指標として長期調達比率、安定調達比率、流動性カバレッジ指標等を導入し、資金調達の多様化、金融機関とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結、市場環境を考慮した調達バランスや手元流動性の調整などによって、流動性リスクに対処しております。
(その他重要なリスク)
(7) システムリスク、情報セキュリティリスク
営業関係、契約管理、資産管理、統計業務等広範囲にわたって活用しているコンピュータシステムについて、不測の事態による停止、誤作動、外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入などが発生した場合、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは個人情報を含む顧客情報や内部情報を有しており、仮に重要な情報が当社グループ又は外部委託先から漏えいした場合、損害賠償やレピュテーションの毀損等により損失を被る可能性があります。さらに、近年急速に発展している生成AI技術の導入・活用においては、不適切な利用による情報漏えい、著作権侵害、誤った情報の拡散、意図しないシステム連携によるセキュリティ上の脆弱性の発生といった新たなリスクも顕在化する可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
情報セキュリティ対応は、標的型攻撃メールやランサムウェア、ビジネスメール詐欺等のサイバーテロからお客さまや当社の情報資産を守るため、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO27001を取得し、情報セキュリティ委員会を中心に情報管理に関する規程やルールの整備、定期的なリスクアセスメントの実施によるリスクへの対策、有効性評価アンケート等を実施しております。また、ハードやソフトのシステム的なセキュリティのみならず、役職員一人ひとりが日頃から必要な対策や基本動作を怠らないことが大切と認識し、情報セキュリティ研修や標的型攻撃メール訓練を定期的に実施し役職員のレベルアップを図っております。
サイバーセキュリティ対策は、「TC-CSIRT」を設置しインシデント発生時の被害拡大防止を図るとともに、平時におけるセキュリティ監視、マニュアル類の整備や役職員への啓発活動等を通じて、インシデントの発生予防や再発防止に努めております。また、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化するため、サイバーセキュリティ対策についての第三者アセスメントの定期的実施や日本シーサート協議会への加盟による外部との積極的な情報共有などを通じ、 対応の高度化を図っております。さらに、インシデント対応力強化を目的に、サイバー攻撃の実践を想定した演習を定期的に実施しています。本演習を通し、インシデント発生時の対応力を検証するとともに、改善ポイントの抽出と対策の検討を繰り返し実施することにより態勢強化に努めております。
生成AI技術の利活用においては、情報セキュリティに関する新たなリスクに対応するため、利用ガイドラインの策定、適切なインフラ環境整備などの対策を講じたうえで、利活用に努めております。
(8) 人材確保に関するリスク
当社グループは、「金融機能を持つ事業会社」として、国内外で事業の多角化を進めており、多様な人材を安定的に確保する必要があります。当社グループが必要な人材を十分確保・育成できない場合や、雇用している人材が退職した場合、専門人材の雇用に係るコストの追加発生や、提供しているサービスの質が低下するなど、当社グループの事業活動や業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
各種事業の競争力を維持・強化していくために、採用方法の工夫やダイバーシティへの取り組み強化、キャリアチャレンジ制度をはじめとした各種施策の実施など、人材力強化につながる職場環境の整備を通じて、有能な人材の安定的な確保・育成・従業員エンゲージメントの向上に努めております。
(9) 災害等によるリスク
当社グループは、地震、風水害、火災、及びテロ等による被害を受けた場合、又は各種強毒性感染症等の流行により多数の役職員が罹患した場合等に備え、事業継続計画(BCP)に関する対応を定めておりますが、想定外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
大規模災害や感染症をはじめとした危機事象が発生した場合の対応体制等については、「危機対策規程」及び「事業継続計画規程」に基づき、BCPマニュアルの制定、安否確認システムや防災サイト等の設置、並びに定期訓練の実施等、緊急時における態勢整備に取り組んでおります。また、テレワーク環境の整備によりオフィス被災時や出社困難時の対応にも備えております。
(10) 制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業を展開しております。将来、これらの諸制度が大幅に変更された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 気候変動リスク
当社グループは、「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したシナリオ分析の実施と情報開示を開始するなど、気候変動への対応を進めております。2040~2050年までの長期的なリスクとして、台風・豪雨等の異常気象による緊急性の物理的リスク及び炭素税の導入・法規制の強化といった移行リスクが存在し、社会的に多大な影響を与える気候変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
<リスクに対する対処内容>
2021年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明して以降、気候変動に係るリスク重要度評価から、環境・エネルギー事業(太陽光発電事業)、航空機事業(航空機リース事業)、オートモビリティ事業(法人・個人向けオートリース事業)を対象に、TCFD提言に沿って、複数のシナリオを用いた気候変動リスク及び機会の特定と、定性的・定量的な事業インパクト評価を実施いたしました。今後とも、リスクへの対応策と機会の獲得について更に検討を深めるとともに、シナリオ分析の対象事業の拡大と、分析精度の向上を図ってまいります。また、事業活動を通じた環境影響・貢献を把握するため、新規に取り組む投資や審査の個別案件に関する環境影響評価の実施、環境を含めた非財務情報のリスク指標を定めて取締役会によるモニタリングを行っております。
(12) 民間設備投資動向の変動によるリスク
民間設備投資額とリース設備投資額とは、一時的な差異はあるもののほぼ相関関係にあり、今後もこの傾向は続くものと考えられます。当社グループは、金融を主軸としたリースからモノの付加価値を高める金融・サービスに注力する姿勢を強く打ち出し、パートナー企業との協業による事業性ビジネスの拡大を中心に、事業領域の大幅な拡大を進めておりますが、今後民間設備投資額が大きく減少し、リース設備投資額も大きく減少した場合は、タイムラグはありますが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) その他のリスク
上記リスクの他、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、法令や社会規範が順守されず社会的信用の失墜に繋がるコンプライアンスリスク、事業活動に関わる人権に負の影響を引き起こす人権リスク、レピュテーショナルリスクなどがあります。これらリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
※「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの事業の取組状況、財政状態及び経営成績の状況、キャッシュ・フローの状況、及び営業取引の状況の概要(以下「経営成績等」)は次のとおりであります。
〔国内リース事業分野〕
・オムロンフィールドエンジニアリング株式会社と当社は、高圧FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)太陽光発電所を保有する発電事業者に向け、「FIT売電保証サービス」を開始しました。発電事業者に対し、初期費用・ランニングコストゼロでFIP制度(再生可能エネルギー発電事業者の売電時に一定の補助額(プレミアム)を支払う仕組み)への移行及び併設型蓄電池を設置し、出力抑制によるFIT売電ロスを補填することで、FIT同様の収入を保証するものであり、発電した電力の売買も代行し、発電事業者は手間なくスムーズなFIP発電所の運用が可能となります。本サービスを通じ、売電ロスに悩む発電事業者の課題解決や持続可能な循環型社会、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
・富士通株式会社と当社、及び両社が出資する当社連結子会社のFLCS株式会社は、企業や組織におけるモダナイゼーション推進のための「モダナイゼーション・ファイナンス・サービス」を開始しました。モダナイゼーションの費用面等の課題解決を図るため、新システムの初期費用平準化、新旧システムの二重支払回避、機器・システムの契約窓口一本化等を通じた管理業務軽減、移行元システム費用の逓減などを提供するものです。これまでデジタル領域のビジネス拡大で協業してきた3社は、お客様のモダナイゼーションを強力に推進し、DX実現に貢献してまいります。
〔オートモビリティ事業分野〕
・当社連結子会社のニッポンレンタカーサービス株式会社は、料金改定効果、インバウンド需要の取り込み、車両売却益増加、販売管理費コントロール等の高効率運営により、過去最高益を更新した前期を更に上回る成績となりました。前期から開始した全店舗の3分の1にあたる約200店舗の好立地移転やリニューアル、スマホアプリを利用したカウンター手続不要の車両チェックインサービス開始、セルフレンタカーの台数拡大等の顧客サービス拡充も図っており、業界のパイオニアとして多彩な取り組みを推進し、収益拡大を実現してまいります。
・当社及び当社連結子会社の日本カーソリューションズ株式会社は、GO株式会社(以下、GO)と、法人向けオートリースの電気自動車(以下、EV)の利用促進と最適化されたEV充電インフラの拡充を推進するため、業務提携契約(以下、本提携)を締結いたしました。本提携では、当社グループは顧客の充電に関する課題や運行実態を調査し、GOはそれらニーズを踏まえた充電インフラ整備と、充電サービス『GO Charge(注1)』を運営・提供します。本提携により法人向けオートリースのEVシフトを促進し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。
(注)1.街中に設置されているEV急速充電スポットの検索・予約・決済の3ステップをオンラインで完結できる充電サービス
〔スペシャルティ事業分野〕
・当社及び当社連結子会社のTC Realty SG Pte. Ltdと、シンガポールを地盤としたアジア圏の有力不動産開発・ヘルスケア企業のOUE Limitedは、シンガポールのチャンギ国際空港ターミナル2に直結する「Hotel Indigo Changi Airport」(以下、本ホテル)の共同開発を決定しました。当社の経営するホテルとして海外初の本ホテルは、客室数255室を有し、革新的なデザインや屋上プール・ジムなどの施設に加え、滑走路などを見渡すことができるパノラマビュー等、空港ならではの宿泊体験提供をコンセプトに、太陽光発電パネル、ハイブリッド冷却システム、自然換気の廊下、雨水貯水技術などの機能を取り入れ、環境への影響を軽減しながらゲストの快適さとWell-beingの向上を目指しています。
・当社は当社連結子会社のTCインベストメント・パートナーズ株式会社を通じ、株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下、AP)が投資関連サービスを提供するファンド及び古河電気工業株式会社(以下、古河電気工業)とともに、株式会社AP78(以下、公開買付者)の親会社であるサステナブル・バッテリー・ホールディングス株式会社に対して出資を行い、公開買付者が古河電池株式会社(以下、古河電池)の発行済み普通株式の全部を公開買付け等により取得すること(以下、本取引)について、AP、古河電気工業及び古河電池との間で合意しました。当社は、「中期経営計画2027」において「脱炭素領域」「社会インフラ領域」「サーキュラーエコノミー領域」を注力領域に掲げ、本取引を契機にいずれの領域とも親和性の高い蓄電池と既存事業の連携を深め、付加価値の高い金融・サービスを提供するとともに、新規事業の開発・育成にも取り組み、社会インフラの整備及び環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献してまいります。
〔国際事業分野〕
・当社連結子会社のBPI Century Tokyo Lease & Finance Corporation(以下、BPICT)は、子会社のBPI Tokyo Century Rental Corporation(以下、BPITCR)を通じ、フィリピン共和国の独立系オートリース会社のDiamond IGB Inc.(以下、ダイヤモンド)及びダイヤモンドのグループ会社2社の事業を譲り受けた新会社・Brilliant Car Rental Corporationの全株式を取得しました。 BPITCRは、フィリピン全土でオートを中心とするオペレーティング・リースを展開しており、ダイヤモンドの短期レンタルや車両管理サービスを加えることで、より質の高いオートサービスをワンストップで提供します。フィリピンの経済成長と新車販売の回復を背景に、当社はBPICTの合弁パートナー企業であるBank of the Philippine Islandsのネットワークと金融ノウハウを活用し、オートビジネスの強化と拡充を図り、社会インフラ整備への貢献を目指します。
・当社連結子会社のCSI Leasing, Inc.は、ブラジル子会社のCSI Remarketing Locação de Equipamentos Ltda. (以下、CSIブラジル)を通じ、ブラジルでフォークリフトのメンテナンス付レンタル事業を展開する企業Somov Rental Ltda.(以下、Somov)の全株式を取得しました。Somovは、高水準のロジスティクスとリファービッシュスキル、顧客サイトに常駐する技術者の高いオペレーション能力を有しており、CSIブラジルとして新たにリースと親和性の高いフォークリフトのレンタル事業を展開し、経済規模の大きいブラジルにおいて、更なる収益の拡大を目指してまいります。
〔環境インフラ事業分野〕
・当社は、英国・イタリア・スペインを中心に約2GW超のclean発電資産を保有・運用するアセットマネージャーのCapital Dynamicsが開発・建設するイタリアの太陽光発電プロジェクト(以下、本プロジェクト)に出資いたしました。本プロジェクトは、日照条件が非常に良好なイタリアのシチリア州パレルモ県及びトラーパニ県に所在する2件の太陽光発電所(発電容量:188.8MW予定)の開発権益を取得するものです。当社は「中期経営計画2027」における成長戦略の一つとして「海外再生可能エネルギー事業の拡大」を掲げており、イタリアではIT企業を中心とした電力消費量の増加に伴う再生可能エネルギー(以下、再エネ)需要の拡大に伴い、市場の成長が見込まれていることから、本プロジェクトに出資することと致しました。今後も、高い知見を有する事業パートナーとともに、欧州・北米を中心とした再エネ事業の拡大に注力してまいります。
・当社は、テスホールディングス株式会社(以下、テスホールディングス)と、再エネ事業の開発に係る協業を目的とした資本業務提携契約を締結しました。今後、国内における2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素を取り巻く市場規模の拡大により、蓄電システム及び再エネ・省エネ関連ソリューションの堅調なニーズが見込まれる中、テスホールディングスが持つ再エネ発電所・蓄電所の開発に関する高い技術力及びEPC(注1)やO&M(注2)などの多様なソリューションの提供力と、当社の持つ豊富な顧客基盤及び再エネ発電所・蓄電所の事業者としての知見・実績とのシナジーにより、再エネ・省エネ領域でのさらなる成長・発展を目指してまいります。
(注)1.Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:施工の略
2.「Operation(運転管理)」と「Maintenance(保守点検)」の略であり、発電設備や蓄電設備を安全かつ長期的に稼働させる上で欠かせない業務
・当社は、2020年7月30日に発行した第2回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の初回任意償還日における期限前償還を行うとともに、その借換資金として公募形式による第4回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の新規発行及びハイブリッドローン(劣後特約付ローン)(以下、本調達)による資金調達を行いました。本調達は、資本と負債の中間的性質を持つハイブリッドファイナンスの一形態です。負債であることから、株式の希薄化は発生しない一方で、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続及び倒産手続における劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有しており、本調達は各格付機関から資本性認定を受けております。本調達は、当社のみならず当社グループ全体の資金調達力の強化及び調達コストの抑制に資するものです。
・当社は、経済産業省が東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で実施する 「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」において、「DX注目企業2024」に選定されました。当社は「中期経営計画2027」の基本方針の一つに「デジタルTransformation(DX)」を掲げ、昨年度には、DX推進活動の起点となるリース基幹業務システムの更改プロジェクトを完遂しています。お客さまに対するデジタル技術や様々なデータを有効活用した金融・サービスの提供と、社員一人ひとりの主体的な生産性向上を目指し、価値を創造し続ける組織への改革を進めてまいります。
・当社は、一般社団法人 work with Prideが策定した職場におけるLGBTQ+など性的マイノリティに関する取組評価指標「PRIDE指標2024」において、過去2年の「シルバー」に続き最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社は「中期経営計画2027」の基本方針の一つに「人材・組織Transformation(HRX)」を掲げ、「ダイバーシティ基本方針」に基づく人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障がいの有無、国籍にとらわれない多様な人材の採用・育成・登用を推進し、昨年度には、法律上の配偶者のみに適用していた社内制度の対象を事実上の婚姻関係のパートナーに拡大するなど、一人ひとりがお互いを尊重しながら能力を最大限発揮できる環境づくりを進めており、今後ともダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを実現してまいります。
業績につきましては、売上高は前期比225億円(1.7%)増加し1兆3,686億円、売上総利益はスペシャルティ事業及び国際事業での増益を主因に前期比270億円(10.7%)増加し2,802億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比142億円(9.5%)増加し1,632億円となりました。主な要因は、国際事業の人件費及び物件費の増加であります。
営業外損益は前期比21億円(16.3%)増加し152億円の利益となりました。主な要因は、為替差益及び受取配当金の増加であります。
これらにより、経常利益は前期比150億円(12.8%)増加し1,323億円となりました。
また、特別損益は投資有価証券売却益を主因に前期比124億円増加し131億円の利益、法人税等は前期比152億円(42.7%)増加し506億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比9億円(8.6%)減少し95億円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比131億円(18.2%)増加し853億円となりました。
なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期中平均の為替レートは、当連結会計年度151.68円/米ドル(2024年1月~12月)、前連結会計年度140.67円/米ドル(2023年1月~12月)であります。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産合計は、前期末比4,019億円(6.2%)増加し6兆8,629億円、セグメント資産は為替変動を主因に前期末比3,394億円(5.9%)増加し6兆599億円となりました。
負債合計は、前期末比2,362億円(4.3%)増加し5兆6,860億円となりました。有利子負債は、前期末比1,636億円(3.4%)増加し4兆9,126億円となりました。
純資産合計は、前期末比1,657億円(16.4%)増加し1兆1,769億円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が1,062億円増加、利益剰余金が579億円増加したことであります。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ1.5ポイント上昇し15.0%となりました。
なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期末の為替レートは、当連結会計年度末158.17円/米ドル(2024年12月末)、前連結会計年度末141.82円/米ドル(2023年12月末)であります。
セグメント別の業績及びセグメント資産の状況については、④ 営業取引の状況に記載しております。
(単位:億円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、賃貸資産の取得による支出が4,948億円、リース債権及びリース投資資産の増加による支出が628億円となったこと等に対し、税金等調整前当期純利益が1,454億円、賃貸資産減価償却費が2,346億円、賃貸資産除却損及び売却原価が3,210億円となったこと等により、514億円の収入(前連結会計年度は1,767億円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、投資有価証券の売却及び償還による収入が122億円となったこと等に対し、投資有価証券の取得による支出が334億円、社用資産の取得による支出が178億円となったこと等により、315億円の支出(前連結会計年度は1,085億円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、長期借入れによる収入が1兆2,083億円、社債の発行による収入が1,911億円となったこと等に対し、長期借入金の返済による支出が9,330億円、社債の償還による支出が2,550億円、コマーシャル・ペーパーの純増減額による支出が1,410億円となったこと等により、434億円の支出(前連結会計年度は2,619億円の収入)となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比151億円減少し1,688億円となりました。
連結会計年度におけるセグメント資産残高、セグメント売上高及びセグメント利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:億円)
(単位:億円)
(注) 売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
(単位:億円)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
2023年度からは新たに5ヵ年の「中期経営計画2027」を策定し、「自らを変革し、変化を創造する -TC Transformation and Sustainable Growth-」をテーマに、高い収益性と安定性あるポートフォリオへの変革を推進してまいりました。
なお、当社グループの当連結会計年度における具体的な取り組みは、「(1)経営成績等の状況の概要 ①事業の取組状況」に記載のとおりであります。
当社グループの重要な経営指標である親会社株主に帰属する当期純利益は、国際事業及びスペシャルティ事業において増益となったことを主因に全体では前期比131億円増加し853億円となり、ROEは前期に比べ0.2ポイント改善し9.0%となりました。
セグメント別の親会社株主に帰属する当期純利益及びROAを分析した結果は以下のとおりであります。
(単位:億円)
*ROA:親会社株主に帰属する当期純利益/((前期末セグメント資産+当期末セグメント資産)/2)
財政状態について、当連結会計年度末の資産合計は、前期末比4,019億円(6.2%)増加し6兆8,629億円となりました。利益の源泉となるセグメント資産残高は、スペシャルティ事業及び国際事業での海外子会社における為替変動による影響、またデータセンター事業への投資増加を主因に前期末比3,394億円(5.9%)増加し6兆599億円となりました。
負債合計は、前期末比2,362億円(4.3%)増加し5兆6,860億円となりました。有利子負債は、前期末比1,636億円(3.4%)増加し4兆9,126億円となりました。
純資産合計は、前期末比1,657億円(16.4%)増加し1兆1,769億円となりました。うち、自己資本は、前期末比1,574億円(18.0%)増加し、1兆296億円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が前期末比1,062億円、利益剰余金が前期末比579億円増加したことであります。
この結果、自己資本比率は前期末比1.5ポイント上昇し15.0%となりました。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益を1,454億円計上したことに加え、航空機リースの機体売却収入の増加等により、514億円の収入となりました。一方で、Capital Dynamicsが開発・建設するイタリアの太陽光発電プロジェクトへ出資したこと等により、投資活動によるキャッシュ・フローは315億円の支出となりました。引き続き各事業分野の営業基盤強化に向けた成長事業への投資を実行する一方で、ROA向上に向け収益性や成長性を考慮した健全なポートフォリオの維持に注力しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは434億円の支出となりました。主に、事業活動で得られた資金を有利子負債の返済や配当金の支払に充てたものであります。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比151億円(8.2%)減少し1,688億円となりました。
当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ調達先の分散や調達手段の多様化を図ることで、調達の安定性を高めること及び資金コストの低減を基本方針としております。また、ALM(資産・負債総合管理)の実施により、市場リスクについて多面的な分析を行い、各種リスクを適切にコントロールしております。
当社グループの資金調達は、国内外の金融機関からの借入による間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート、リース債権流動化といった資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
当連結会計年度末において、間接調達は、前期末比2,692億円(8.5%)増加し3兆4,400億円となりました。直接調達は、前期末比1,057億円(6.7%)減少し1兆4,726億円となりました。この結果、当連結会計年度末の直接調達比率は30.0%となり、前期末比3.3ポイント低下しました。
また、当連結会計年度末の長期調達比率は88.2%となり、前期末に比べて4.3ポイント上昇しました。
当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関142行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末の契約総額は、前期末に比べて2,130億円増額の2兆3,244億円、借入未実行残高は1兆8,585億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。
当社グループは、「中期経営計画2027」における経営指標として、利益目標を親会社株主に帰属する当期純利益に一本化し、株主の皆様の視点にあわせた、持分法適用会社を含むグループ会社の業績をより良く反映させる高度なグループ会社一体経営を目指すため、連結ROA(総資産純利益率)、連結ROEを経営指標として採用しております。
当連結会計年度において、親会社株主に帰属する当期純利益853億円、連結ROA1.3%、連結ROE9.0%となりました。
2026年3月期の経済環境については、トランプ政権の関税措置への対応に伴う各国の通商政策の動きやその影響、また、為替相場や資源価格、金利の変動リスクなどにより、引き続き先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境下ではありますが、2026年3月期の業績見通しは、親会社株主に帰属する当期純利益930億円(前期比9.1%増)を見込んでおります。
当社グループは、継続的な業容の拡大や企業体質の強化に向けた取り組みが企業価値の増大につながるものと考え、それらを実現するために内部留保の充実を図るとともに、株主の皆様に対しましては、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本方針としております。
「中期経営計画2027」における1株当たり配当金は累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指し、配当性向は35%程度といたします。なお、内部留保資金につきましては、良質な営業資産の購入資金に充当するなど今後の経営に有効に活用してまいります。
当期の配当につきましては、期初に1株当たり年間58円(中間配当29円、期末配当29円)の予想をさせていただきました。中間配当につきましては、期初の中間配当予想のとおり、1株当たり29円とさせていただきました。また期末配当につきましては、期初の期末配当予想に対して1株当たり4円の増配を実施し、1株当たり33円とすることを2025年6月23日開催予定の第56回定時株主総会で決議する予定であります。これにより、1株当たり年間配当金は62円(中間29円、期末33円)となる予定であります。
なお、次期の配当につきましては、長期的かつ安定的に利益還元を行うという基本方針を踏まえ、1株当たり年間68円(中間配当34円、期末配当34円、配当性向35.7%)とさせていただく予定であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりですが、重要なものは以下のとおりであります。
a. 賃貸資産の減損損失の計上
賃貸資産は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が識別された場合には、二次リースの可能性及び将来の市況等を考慮したリース料や処分価値等を見積り、減損の認識の要否を判断しております。その結果、減損の認識が必要と判定された賃貸資産については、回収可能価額を正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額とし、帳簿価額との差額を減損損失として計上しております。
経営者は、賃貸資産の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、賃貸資産が回収可能な合理的な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、回収可能価額の算定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて減損損失の追加計上を実施する可能性があります。
なお、航空機リースにかかる賃貸資産の減損については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)①賃貸資産の減損」に記載のとおりであります。
b. のれんの減損損失の計上
企業結合で生じたのれんは、会社単位を基礎としてグルーピングを行っております。のれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。
経営者は、その資産性について、子会社の業績や事業計画等を基に検討を行っており、その検討の内容は合理的であると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、将来において当初想定した収益力もしくは費用削減効果が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c. 貸倒引当金の計上
貸倒引当金は、取引先の経営状態や支払状況等によって分類区分された債権について、一般債権については貸倒実績率により、破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
経営者は、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループが貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
d. 金融商品の時価評価
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額の他、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。有価証券のうち、市場価格のない株式等については、取得原価をもって計上しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には減損処理を行っております。
当社グループで行っているデリバティブ取引は、金利関連取引(金利スワップ取引等)、通貨関連取引(為替予約取引及び通貨スワップ取引等)であり、それらの時価は取引金融機関から提示された価格等によっており、金利、外国為替相場等のインプットを用いた将来キャッシュ・フローの割引現在価値により算定されています。
経営者は、金融商品の時価の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であると判断しております。ただし、当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループにおける時価評価額が変動する可能性があります。
e. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価の見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて繰延税金資産の取崩し又は追加計上により損益に影響を及ぼす可能性があります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況は次のとおりであります。
(注) 期間は、約定期間によっております。
当社連結子会社は当連結会計年度末日時点において、下記の契約を締結しております。
(1)ローン契約等
2024年4月1日前に締結された契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
(2)社債
記載すべき重要な研究開発活動はありません。