第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)経営方針

 当社グループは、「LIFE with -生活とともに-」をミッションとし、日々の生活が豊かになるような、価値あるサービスを提供し続けてまいります。

 『価格.com』、『食べログ』、『求人ボックス』、『スマイティ』など、当社グループが提供しているサービスは20以上あります。今後も、様々な生活シーンで役に立つサービスを提供できるよう、既存サービスの充実に加えて、新規サービスや周辺事業への展開を図ってまいります。

 

(2)経営環境・経営戦略等

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策やワクチンの普及を受けて持ち直しの動きが期待されるものの、ウイルス変異株による国内外の感染拡大が及ぼす影響については十分な注意が必要と思われ、経済活動の停滞が長期化する懸念があるなど、今後の先行きは不透明な状況が続いております。

 

 このような環境のなか、当社グループはより一層のサービスの利便性向上により更なる利用者数の増加と事業ポートフォリオの拡大を図り、安定的な成長を維持し続けてまいります。また、そのために、『価格.com』『食べログ』に続く第三の柱を創出すべく、新規事業及び周辺事業に取り組んでまいります。

 『価格.com』は多くの商品やサービスを比較検討することができるサイトとして確固たる地位を確立しておりますが、比較検討に必要な情報の網羅性を高めるための情報拡充に加えて、AIや機械学習を活用したサイトの改善によって、ユーザーにより付加価値の高いサービスを提供してまいります。

 『食べログ』は飲食店の検索・予約サイトとしてユーザーに選ばれる存在であり続けると共に、「ユーザーと飲食店をつなぐ」というコンセプトのもとで今後も飲食店検索や予約機能の精度向上・最適化に加えて、予約の管理、食材の発注などを含めた飲食店における業務課題の改善など様々なサービスを展開してまいります。

 新興メディア・ソリューション事業は事業領域や成長ステージが異なる複数の事業から構成されております。既存事業のコンテンツ充実による利用者数拡大と成長ステージに合った積極的な投資を行ってまいります。

 ファイナンス事業を構成する「カカクコム・インシュアランス」は保険の最新動向に関する記事などの情報拡充に加えて、保険商品の比較機能やオンラインでの相談サービスの拡充、保険診断機能の導入など、オンライン保険代理店ならではの利便性を追求し、新規契約及び契約切替えの検討の簡易化に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付けており、40%を目安としております。

 また、継続的な事業拡大のためにはサイト利用者数の増加が重要であると認識しておりますが、加えて各事業においては、収益モデルや成長ステージに応じた指標も設定しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ミッションである「LIFE with -生活とともに-」を達成するため、当社グループにおいては以下の課題に取り組んでおります。

 

①新型コロナウイルス感染症の拡大により、外食や旅行消費の自粛など、市場動向の変化が当社グループの事業環境に大きな影響を及ぼしております。

 当社グループでは、従業員の安全確保、事業への影響の把握と継続のために取るべき対処について検討を行い実施しております。

 具体的には、i)原則在宅勤務及びオンラインによる会議の推奨、出社時のマスク着用・手洗い・うがい、アルコール消毒などの予防策の徹底その他の健康管理を行っております。また、ii)取引先の営業状況その他の当社グループの事業への影響を把握し、影響の更なる拡大を抑えるために必要な対策を検討し実施するとともに、事業を継続するために必要な対処を講じております。とりわけ食べログ事業においては外出自粛の要請及び飲食店への休業等の要請によって大きな影響を受けておりますことから、当社グループでは前年度に引き続き、飲食店への対応として「問合せへの対応体制の強化」及び「行政各種支援策についての情報収集・提供」、加えてユーザーの皆さまへ向けた飲食店における感染症対策に関する情報の提供を行っております。

 感染収束の時期など不確定要素が多く、先行きの見通しが困難な状況がしばらく続きますが、引き続き上記対応を続けてまいります。

②当社グループ全体として安定的な成長を維持しながら、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比を20%まで引き上げることを目指します。そのために、当該事業における既存のコンテンツをより充実させて利用者の拡大を図るとともに各事業の成長ステージに合った積極的な投資を行い、さらにはユーザーの本質的な課題をとらえた新たな事業を創出することによって事業領域を拡大し、様々な生活シーンにおけるサービスを提供し続けてまいります。

 

③当社にとっての重要な経営資源は人であり、人材の確保及び育成は持続的な事業成長のための重要な課題と認識しております。当社は、事業規模の拡大及び業務内容の多様化に応じた積極的な採用活動を行うとともに育成を強化することによって、組織力の強化に取り組んでまいります。また、従業員がさらに力を発揮できる、働きやすい環境づくりにも引き続き注力してまいります。

 

④当社の運営する事業は、その性質上、システムのセキュリティ・開発・保守管理体制が極めて重要であり、これらをさらに充実させていくことが求められております。引き続き市場環境の変化に対応したセキュリティの維持、システム開発及びシステム保守管理体制の整備を進めてまいります。

 

⑤経営の有効性及び効率性の向上、財務報告の信頼性確保、諸法規等の遵守のため、内部統制システムの整備・充実を継続的に推進し、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関して投資家の投資判断上重要であると考えられるリスクは以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

当社では、全社的なリスク管理体制を整備し、当社が直面する可能性のあるリスクを重要度により評価・分類した上で、リスクの影響等を最小化するために、リスクに対応した活動を継続的に実施しております。

 

(1)事業内容に係わるリスクについて

① 情報提供について

 当社グループの運営サイトにおいて当社グループ又は取引先が提供する商品、サービス等の販売価格、飲食店の空席情報その他の情報について適時かつ正しい情報が提供されない状況が多発し、ユーザーに適切な情報が提供できない状況が続く場合には、ユーザーの信頼を失い運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 運営サイト内の書き込みについて

当社グループは、運営サイトにおいて、サイト閲覧者が商品並びにサービス及び店舗等に対する評価を自由に書き込み、他のユーザーに情報発信ができる「クチコミ」や「レビュー」等を提供しております。「クチコミ」等には、好意的な内容だけでなく、改善を要する点等についても書き込みが行われます。当社グループでは、運営サイト内の情報等について何等の責任を負わない旨を運営サイト内で明示するとともに、誹謗中傷に該当する等不適切な書き込みを発見した場合又は不正業者等による不適切な投稿がなされた場合には、当該部分を削除するよう努力しております。しかし、当社グループがそれを発見できなかった場合あるいは発見が遅れた場合には、運営サイトに対するユーザー等の支持が低下し利用者数が減少するほか、サイト運営者としての当社グループの責任が問われ、業績及び企業としての社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

③ システムトラブルについて

当社グループは、サービス提供のためコンピュータシステムにより構築されたサイトを運営しております。運営サイトにおけるシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、安定運用のためのシステム強化、セキュリティ対策及びサーバーの分散設置等の対策を行っております。しかしながら、地震、津波等の自然災害、火災、事故、停電等の予期せぬ事象の発生によって、当社グループの設備又は通信ネットワークに障害が発生した場合は、ユーザーによるサービスの利用が不可能になるほか、提携先である店舗・事業者等への送客及び広告の出稿が停止するなど、当社グループの事業活動が不可能になります。また当社グループ若しくはインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが何らかの原因によって停止する可能性、又は外部からの不正アクセスや操作ミスによるネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合においても、上記同様に事業活動が不可能となります。これらの結果、当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ブランドイメージについて

 インターネット人口が増加し、情報提供サービスが広がりを見せる中で、当社グループのブランドイメージを高めることは、今後ますます重要になると思われます。ブランドイメージを高めるためには、ユーザーにとって役に立つ、かつ高品質なサービスを提供して多くのユーザーに運営サイトをご利用いただくこと、またその実績の積み重ねによりユーザーから好意的な認知を得てインターネット・メディアとして高く評価されることが必要となります。それらができない場合には、当社グループの運営サイトに対するユーザーからの好意的な認知度が低下し運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数、及び運営サイトに出稿する広告主の数が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 保険代理店業務について

 連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスが運営する保険代理店業務は、保険業法の適用を受けております。㈱カカクコム・インシュアランスは保険業法及び関連する諸法令に基づいた管理体制を構築し、コンプライアンスの強化、個人情報保護管理に努めておりますが、リスクを完全に回避することは困難であり、今後の事業運営において法令等に抵触する事態が発生し登録が取り消され又は業務の停止を命じられた場合、保険代理店業務を継続することが不可能となり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 旅行代理店業務について

 連結子会社㈱タイムデザインが運営する旅行代理店業務は、旅行業法第2条に定める旅行業に該当し、第一種旅行業者(国内・海外の受注型企画旅行の企画実施、旅行手配及び他社の募集型企画旅行の代売を行うことが可能)としての登録を行っております。現時点で、㈱タイムデザインは旅行業法に定める登録取消し、更新の拒否、欠格等に該当する事由はないと認識しておりますが、何らかの理由で登録が取り消され又は業務の停止を命じられた場合には、旅行代理店業務を継続することが不可能となり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(2)企業運営に係わるリスクについて

① 事業戦略に関するリスク

 当社グループは、様々な生活シーンにおけるサービスの提供を目的として既存事業の拡大や新規事業の開発を積極的に行うことによって特定の領域に偏らない事業ポートフォリオの構築を進めております。しかしながら当社グループが拡大した既存事業又は新規に開始した事業に対するユーザーやクライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好が変化した場合、対象市場への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、ユーザーに対する訴求力や提携先・広告主の数を増加させるための施策が不十分である場合等においては、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。

 

② 人材の確保と育成

 当社グループの更なる成長のために、システム開発及びコンテンツ企画等、基幹業務のみならず、企業運営を円滑に遂行していく上で、必要な人材を適切な時期に確保及び育成する必要があります。そのような人材が確保及び育成されない場合、業務運営を円滑に遂行すること等に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 組織における管理体制について

当社グループは、事業規模の拡大及び業務内容の多様化に対応するべく、より効率的な組織対応を図るための組織再編・内部管理体制の整備・充実を今後も継続的に推進していく方針であります。これらの管理体制の整備が予定通り進まなかった場合、業務運営を円滑に遂行すること等に支障が生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ セキュリティ及び個人情報管理について

 当社グループのコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを防止するためにファイアウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。個人情報管理については、当社の個人情報保護方針に沿って事前に利用目的を特定し、個人情報の利用及び提供において適切に取り扱っております。セキュリティと個人情報管理については、今後とも十分な対応を図ってまいりますが、コンピュータハッカーの侵入あるいは外的な要因が運営サイトに対して破壊的な影響を与え、ユーザーによるサービスの利用が不可能になるほか、提携先である店舗・事業者等への送客及び広告の出稿が停止するなどの可能性があります。

 また、従業員等が意図的若しくは意図せず情報を漏洩した場合、当社グループが運営するサービスにおいて取り扱うユーザーの個人情報が不正に使用された場合等、当社グループは責任を問われる可能性があります。セキュリティの不備又は個人情報の流出は、ユーザーおよび提携先・広告主の信頼を失うなど当社グループの評判を低下させ、運営サイトの利用者数が減少するほか、運営サイトに登録をする店舗・事業者等の数が減少し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 法的規制について

 現在の日本のインターネット及びEコマース(以下「インターネット等」)を取り巻く法的規制は、インターネット等の普及を背景として整備が進められておりますが、諸外国に比べて未だ十分とはいえません。また、インターネット等のみを対象とした法的規制は極めて限定的であり、他の一般の規制を準用することで、実務上の運用が図られていることが少なくありません。日本でも諸外国同様に、インターネット等の普及とともに、それを活用したビジネスその他のルールが網羅的に整備された場合、利用者及び関連業者を対象とした法的規制の制定等により、当社グループの業務の一部が制約を受け、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、事業活動においては、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法など一般に適用される法令のほかに、保険業法、旅行業法など業態ごとに適用される法令の規制、さらには規制当局の監督を受けています。法令、規則などの制定・改正が行われた場合、当社グループの各事業の遂行方法やサービス、または当社グループの取引先に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの制定・改正に対処する費用が増大する可能性があります。その結果、当社グループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

⑥ 知的財産権について

 当社グループは、運営サイトにおける新サービス、マーケティングの手法等、サービスの名称等の知的財産を事業活動における重要な財産と認識していることから、これらについての権利取得を積極的に行っており、また今後も取得の取組みを継続する方針です。しかしながら、当社グループによるこのような方策が十分であるという保証はありません。当社グループの運営する事業に関連する分野において第三者に知的財産権が成立した場合、又は既に成立していた場合には、権利侵害を理由とした訴訟の提起を受けこれらの活用を継続できなくなる、訴訟の結果によっては損害賠償責任が生じるなど、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループの運営サイトには、ユーザーからの投稿等で成り立っているものがあり、そのようなサイトの利用に当たっては第三者の著作権その他の権利を侵害しない投稿をご提供いただくよう、運営サイトの利用規約等において定めて管理を行っております。しかしながら、当社グループによる管理が徹底されず第三者の権利を侵害するものが生じた場合、上記同様に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 訴訟について

 当社グループは、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセス等により情報が漏洩した場合、若しくは不適切な書き込みがなされたのにも関わらず発見できなかった場合等に訴訟が発生する可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの業績及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外部環境に係わるリスクについて

① 感染症発生について

新型コロナウイルス感染症その他の感染症の発生及び感染拡大が生じた場合には、当社グループは従業員の安全を確保するとともに、当社グループの事業に対する影響の把握及び事業継続のために必要な対処の検討・実施をいたします。しかしながら、感染の拡大若しくは予防のための外出自粛、事業者の休業・営業時間の短縮、当社グループにおける感染者の発生に起因した当社グループのサービスの提供遅延又は中止等により深刻な経済的影響が生じ、市場の縮小や個人消費の冷え込みにつながることが予想されます。その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人消費動向について

 当社グループは、主として個人の消費意思決定を支援するサイトを運営して収益を得ており、個人消費動向が間接的に当社グループの業績に影響を及ぼします。個人消費は、企業収益の悪化による賃金低下、消費税増税をはじめとする政策の実施等により、低下する可能性があります。このような個人消費の動向が、運営サイトの利用者数の減少につながるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 天候不順・自然災害について

 当社グループの運営する多くのサービスの売上は季節的変動による影響を受けますため、当社グループにおいてはそのような変動を勘案した上で事業計画を立てております。しかしながら、季節的な気象パターンが予想外に変化した場合には、一部のサービスに対する需要が変動し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの本社及び主要な事業所は東京都内にあり、当地域内において地震、津波等の大規模災害が発生したことにより本社及び事業所が被害を受けた場合、事業を円滑に運営できなくなる可能性があり、当社グループの事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ インターネットの検索効果について

 インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しているため、当社グループが運営するサイトへのユーザーの流入効率は、検索エンジンの表示結果や利用状況等に大きく影響されます。今後、検索エンジン運営者による検索アルゴリズムの変更によって、あるいは競合他社による検索アルゴリズムへの対応が進むことによって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。そのような状況に至った場合には、当社グループが運営するインターネットサイトの集客効率が低下し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤ インターネットサービスの技術革新について

 インターネットサービスにおける技術革新及びビジネスモデルの変化が速いため、インターネットを積極的に利用している事業者は一定水準のサービスの提供を維持するために、これらの変化に積極的かつ柔軟に対応していく努力が必要であります。当社グループは、今後も不断の経営努力を行っていく方針ですが、新サービス導入又は既存サービス強化のために必要な新しい技術及びビジネスモデルをなんらかの理由で適時かつ効果的に採用・応用できない可能性があります。また、技術革新及びビジネスモデルの変化への対応には、相当の時間と費用が必要となる可能性があります。そのような状況に至った場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 競合について

 当社グループは各事業領域において優位性を確保していると認識しておりますが、いずれも他社による新規参入の可能性があり、そのような競合他社の出現により収益の低下等、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営環境

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか持ち直しの動きが続いているものの一部に弱さが見られ、当社の事業に関連する消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は2019年に物販系分野で10.5兆円(前年比8.09%増)、ネット予約を中心とした飲食サービスの市場規模は7,290億円(前年比14.34%増)と、堅調に増加してきたものの(※1)、一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞懸念等、今後の先行きは不透明な状況が続いております。

 

※1 出所: 「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(2020年7月22日発表)

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当社グループの経営成績は、以下のとおりです。

 当連結会計年度は『価格.com』、『食べログ』、『求人ボックス』及び『スマイティ』並びに連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスの各事業が好調に成長したことによって、売上収益は51,077百万円(前年同期比16.2%減)、営業利益は18,295百万円(前年同期比32.8%減)となりました。

 

セグメントごとの業績(内部取引消去後)は次のとおりです。

当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は48,583百万円(前年同期比17.3%減)、セグメント利益は17,687百万円(前年同期比33.2%減)となりました。当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,494百万円(前年同期比12.2%増)、セグメント利益は604百万円(前年同期比17.6%減)となりました。

 

 当社グループの財政状態は、以下のとおりです。

 資産合計は70,958百万円となり、前連結会計年度末と比較し7,641百万円増加いたしました。これは主に営業債権及びその他の債権が722百万円減少した一方で、現金及び現金同等物が5,385百万円、その他の流動資産が2,810百万円増加したことによるものであります。

 負債合計は23,816百万円となり、前連結会計年度末と比較し3,802百万円増加いたしました。これは主に未払法人所得税が1,883百万円減少した一方で、その他の金融負債が3,782百万円、その他の流動負債が2,110百万円増加したことによるものであります。

 資本合計は47,141百万円となり、前連結会計年度末と比較し3,839百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当8,235百万円を計上した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益11,763百万円を計上したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ5,385百万円増加し、34,888百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は17,288百万円(前年同期は23,997百万円の収入)となりました。

 これ主に、法人所得税の支払額8,318百万円を計上した一方で、税引前利益17,904百万円、その他の金融負債の増加3,785百万円、減価償却費及び償却費3,568百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は2,182百万円(前年同期は3,958百万円の支出)となりました。
 これは主に、サーバーで使用するソフトウェアの購入等の無形資産の取得による支出が1,584百万円、有形固定資産の取得による支出が617百万円、投資有価証券の取得による支出が546百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は9,722百万円(前年同期は16,946百万円の支出)となりました。
 これは主に、配当金の支払による支出が8,234百万円、リース負債の返済による支出が2,081百万円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

 当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比

インターネット・メディア事業

48,583

17.3%減

ファイナンス事業

2,494

12.2%増

合計

51,077

16.2%減

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度における販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

 3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 及び 4. 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当連結会計年度における当社グループの売上収益は51,077百万円(前年同期比16.2%減)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い外出を伴う経済活動や企業の活動が制限される中で、価格.com事業のショッピング事業及び新興メディア・ソリューション事業の求人ボックス事業、並びにファイナンス事業において売上が増加した一方、価格.com事業のサービス事業、食べログ事業及び新興メディア・ソリューション事業の旅行・移動領域の事業においては売上が減少しました。とりわけ、食べログにおいては新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けました。第1四半期におけるサービスの無償化により売上が大幅に減少(第1四半期売上収益、前年同期比72.5%減)しましたが、第3四半期においては10月のGo To Eatキャンペーン開始により外食需要が大きく拡大したことに伴い有料サービス契約店舗数、ネット予約人数共に大きく伸長し増収(第3四半期売上収益、前年同期比4.6%増)となりました。その後1月には2回目の緊急事態宣言が発出され、ネット予約人数の大幅な減少及び休会店舗数の拡大によって再び売上が減少しました(第4四半期売上収益、前年同期比35.7%減)。

価格.com事業のサービス事業、食べログ事業、及び新興メディア・ソリューション事業の旅行・移動領域の事業における売上収益が減少したこと、並びにのれん及び子会社の固定資産につき減損損失を計上したことによって営業利益は18,295百万円(前年同期比32.8%減)となりました。

 税引前利益は17,904百万円(前年同期比32.7%減)となりました。これは主として、営業利益の減少及び持分法による投資の減損損失を計上したことによるものであります。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は11,763百万円(前年同期比35.9%減)となりました。

 

セグメントの業績(内部取引消去後)は、次のとおりであります。

 

1.インターネット・メディア事業

 当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は48,583百万円(前年同期比17.3%減)、セグメント利益は17,687百万円(前年同期比33.2%減)となりました。

 

[価格.com]

 当連結会計年度の売上収益は23,496百万円(前年同期比1.9%減)となりました。

 ショッピング事業は、在宅勤務や巣ごもりによる需要の高まりに加えてECの利用が拡大したことにより、売上が増加しました。サービス事業は、主に通信領域における海外Wi-Fiレンタルの需要消失を受け売上が減少しました。広告事業は、広告出稿の延期及び中止の影響を受け売上が減少しました。その結果、ショッピング事業の売上収益は10,100百万円(前年同期比8.3%増)、サービス事業の売上収益は9,063百万円(前年同期比9.8%減)、広告事業の売上収益は4,333百万円(前年同期比5.5%減)となりました。

 月間利用者数は2021年3月度に7,040万人(※1)となりました。

 

[食べログ]

 当連結会計年度の売上収益は17,786百万円(前年同期比32.5%減)となりました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う1回目の緊急事態宣言が2020年5月に解除された後、外食需要の回復が徐々に進み、Go To Eatキャンペーンの開始により格段にそのペースが増したものの、再び感染者数が増加したことにより2021年1月には2回目の緊急事態宣言が発出されました。

 その結果、飲食店販促事業の売上収益は13,081百万円(前年同期比39.2%減)、ネット予約人数は累計で2,888万人(前年同期比23.6%減)、有料プラン契約店舗数は2021年3月時点で57,000店舗となりました。

 ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の減少により、売上収益が1,693百万円(前年同期比27.5%減)となりました。

 広告事業は、広告出稿の延期及び中止により売上収益が1,921百万円(前年同期比23.8%減)となりました。

また、業務受託の売上収益は1,091百万円(※2)となりました。

 月間利用者数は2021年3月度に1億1,586万人(※1)となりました。

[新興メディア・ソリューション]

 当連結会計年度の売上収益は7,302百万円(前年同期比13.3%減)となりました。

 旅行・移動領域のサービス及び娯楽・趣味領域における外出を伴う一部のサービスが新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け厳しい状況が続いた一方で、『求人ボックス』及び『スマイティ』は売上が増加しました。

 

※1 月間利用者数とは、サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた利用者数です(特定のブラウザ、OS等によっては一定期間経過後に再訪した利用者を重複計測する場合があります)。なお、モバイル端末のウェブページ高速表示に伴う利用者数の重複や、第三者による自動収集プログラムなどの機械的なアクセスについては可能な限り排除して計測しています。

※2 Go To Eatキャンペーン事業(農林水産省)及び大阪府 少人数利用 飲食店応援キャンペーン事業(大阪府)の受託による収入を指しております。ただし、両事業の受託による広告宣伝に係る収入(広告事業に計上)は含まれておりません。

 

2.ファイナンス事業

 当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,494百万円(前年同期比12.2%増)、セグメント利益は604百万円(前年同期比17.6%減)となりました。

 ㈱カカクコム・インシュアランスが運営する『価格.com保険』は生命保険及び損害保険のオンライン契約申込み数が増加したことにより手数料収入が増加しました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活必需品への需要集中、外食、旅行・娯楽関連の消費の自粛、事業者の休業など市場動向に大きな変化が生じており、当社グループにおいては当連結会計年度末以降も、特に外食、旅行及び娯楽の各領域におけるサービス利用者数、加えて広告事業における出稿のそれぞれについて、影響が生じております。

当社グループでは対策本部を構え、事業への影響の把握と事業継続のために必要な対処の検討・実施を進めておりますが、感染収束の時期など不確定要素が多く、先行きの見通しが困難な状況がしばらく続くものと見られます。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

(経営資源の配分に関する考え方)

 既存事業の運営及び成長投資に必要な資金を手元に残した上で、過剰な内部留保は行わずに株主還元を行うこと、また株主還元は年2回の配当及び機動的な自己株の取得によって継続的に実施することを方針としております。

 なお、成長投資は、ⅰ)既存事業の拡大や新規事業創出に伴う人的資源への投資、ⅱ)先端技術に関する研究開発及び事業への活用に対する投資、並びにⅲ)事業ポートフォリオ拡大及び成長の加速を目的としたM&Aや出資をその対象としています。

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(資金需要)

当社グループの主な資金需要は運転資金及び設備資金であります。運転資金の主なものは、営業活動における人件費や販売代理店に支払う販売手数料、またサービス利用者増加を目的とした広告宣伝費によるものであります。設備資金の主なものは、サーバー及びネットワークの設備投資によるものであります。

(財務政策)

当社グループの事業拡大に必要な資金は営業キャッシュ・フローから獲得した資金を充当しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等について

 当社グループは、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比を20%まで引き上げることを目指しております。当連結会計年度は19.2%となりました。

[新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比率の推移]

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

連結売上構成比率

10.0%

14.5%

17.5%

19.2%

 

 また、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付け、その目安を40%としておりますが、当連結会計年度のROEは新型コロナウイルス感染症拡大の影響による売上収益の減少に伴い親会社の所有者に帰属する当期利益が減少したことにより26.2%となりました。

[ROEの推移]

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

ROE

45.7%

45.1%

44.0%

26.2%

 

 なお、継続的な事業拡大のためにはサイト利用者数の増加が重要であると認識しております。当社グループサイトの積み上げ月間利用者数は2021年3月時点で2億7,477万人を超えております。

 

 加えて、各事業の売上収益についても指標として重視しております。

[各事業の売上]                                   (単位:百万円)

事業

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当連結会計年度

価格.com

5,958

11,432

17,365

23,496

ショッピング事業

2,859

5,241

7,635

10,100

サービス事業

2,253

4,364

6,441

9,063

広告事業

846

1,827

3,289

4,333

食べログ

1,735

6,227

13,598

17,786

飲食店販促事業

1,037

4,693

10,024

13,081

ユーザー会員事業

439

862

1,284

1,693

広告事業

259

661

1,433

1,921

業務受託に係る収入

12

858

1,091

新興メディア・ソリューション

1,236

2,904

5,011

7,302

ファイナンス

573

1,183

1,794

2,494

 

4【経営上の重要な契約等】

 (コミットメントライン契約の締結)

  当社は、2020年6月17日開催の取締役会におきまして、株式会社三菱UFJ銀行(以下「MUFG」という。)との間で、コミットメントラインの設定に関する契約(以下「コミットメントライン契約」という。)を締結することを決議し、締結いたしました。

(1)コミットメントライン契約締結の理由

 新型コロナウイルス感染症の拡大による事業環境の急激な変化について機動的に対応するべく、コミットメントラインの設定を行うことといたしました。

 

(2)コミットメントライン契約の概要等

契約名称

当座貸越約定書(コミットメントライン契約)

貸越元本極度額

80億円

手数料(年間)

400万円(貸越元本極度額×年利率0.050%)

契約期間

2020年6月30日から2021年6月29日まで

貸越条件

MUFGレート+0.050%

 

 

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費は、インターネット・メディア事業で137百万円となりました。

サービスの利便性向上を目的として、各事業でAIや機械学習を活用しております。

 また、当社グループは、研究開発組織「DGLab」に参画し、株式会社デジタルガレージ、株式会社クレディセゾン及びKDDI株式会社と共に、新たなプロダクト及びサービスの基礎となる研究開発成果を生み出すべく活動しております。この活動は、様々な事業の基盤になることが期待できる「ブロックチェーン」、「AI」、「XR」、「セキュリティ」、「バイオヘルス」を重点分野として、各分野において高いレベルの技術を持つ国内外の企業と連携することを通じて行われております。