第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループの企業理念は「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」であり、当社グループは、医学分野における大学の研究成果を人々の生活の身近なところで開花させることによって、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することを目指しております。

 当社グループは、大学の研究成果を活かして創出するエビデンス(科学的根拠)に基づき、国民の健康の維持及び増進ならびに医療資源の効率的活用等に資するサービスや商品を開発して、提供してまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、企業としての成長過程にあることに鑑み、安定的かつ継続的な成長を確保するための事業基盤を強化しつつ、事業規模の拡大を通じて企業価値を高めることを経営上の目標としております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 昨今、国民の健康意識の高まりや医療の適正かつ効率的な運用を目指す「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の概念の普及にともない、医薬、食品、化粧品、ヘルスケア関連サービス等の様々な領域において、エビデンスを求める流れが強まっております。当社グループは、高度な医学的背景と研究開発力、エビデンスの取得や権威付けのノウハウや経験、医師及び各種の医師組織とのネットワーク、大学発企業としての中立性・公益性等の特長を活かし、国民の健康の維持及び増進ならびに医療資源の効率的活用等に資するサービスや商品を開発して、提供してまいります。具体的な戦略は次のとおりであります。

① エビデンスの取得、構築及び活用に向けた事業の推進

 当社グループは、長年にわたり主にトクホの許可取得を目的とした食品の評価試験や市販後調査、疲労プロジェクト、医師主導型の医療用医薬品等の臨床研究及び疫学研究の支援等を通じて、エビデンスの取得、構築及び活用に向けた事業を行ってまいりました。当社グループでは、これまでに培ったノウハウや経験、インフラ等を活用し、当社グループの特長を発揮できる事業領域として、今後ともこれらの事業に注力してまいります。

② エビデンスに基づく独自性のある商品の開発及び販売

 疲労プロジェクトは、「疲労」を客観的に定性化・定量化するための評価システムを確立し、これまで適正な評価方法が無かったために有効性を評価することが不可能であった抗疲労候補成分等について、その効果を検証することによって抗疲労トクホ及び抗疲労医薬品を世に送り出すことを目指すものであります。疲労プロジェクトの成果につきましては、当社グループの日本予防医薬㈱を含め、既に複数の参加企業が、臨床試験の実施等を経て事業化に成功し、商品の発売に至りました。

 また、疲労プロジェクトで創出された製品である「イミダペプチド」は、2015年4月に施行された機能性表示食品の届出が受理され、「日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する」という機能性を表示することができる我が国で初めての製品となりました。

 当社グループでは、今後とも、「イミダペプチド」と同様、当社グループの特長であるバイオマーカー技術やノウハウ等を活かして、食品・製薬企業等と共同で臨床的メリットに富む独自性の高い健康補助食品や化粧品等を開発し、エビデンス構築と権威付けのための医学界や医療機関のネットワークの活用、エビデンスに基づく付加価値の創出や普及活動、販売力のある他社との提携による販売ルートの開拓等を通じてヒット商品に育ててまいります。

③ グループにおけるシナジー効果の追求

 当社グループは、各グループ会社において、大学発のバイオマーカー技術に基づき、食品等の臨床評価試験、医療用医薬品等の医師主導型臨床研究の支援、化粧品や健康補助食品の開発及び販売、特定保健指導の受託をはじめとする健康保険組合等が行う様々な取り組みの支援、食品や化粧品等の機能性素材の開発及び販売等の事業を展開しております。これにより、当社グループは、機能性素材等の基礎的な研究開発から、商品及びサービスの開発、エビデンスの取得及び活用、商品の販売及びサービスの提供に至るまでをカバーする体制を構築しており、各事業がそれぞれの強みを活かし、相互に機能を補完することによって事業成果の増大を図っております。

 例えば、ヘルスケアサポート事業を行う㈱総合医科学研究所は、2020年1月、内臓脂肪の低減効果があるラクトフェリンを用いた特定保健指導サービスを開始しました。このサービスは、ラクトフェリンを主力素材とする機能性素材開発事業とヘルスケアサポート事業とのシナジー効果が発揮されて生まれた新サービスであり、ヘルスケアサポート事業と機能性素材開発事業の双方の業績拡大に寄与することが期待されます。

 この他の事業も含めまして、各事業のそれぞれの拡大に努めるとともに、グループにおけるシナジー効果を追求し、グループ業績の極大化や事業の効率的な運営を図ってまいる方針であります。

④ 海外展開

 現在、当社グループでは、化粧品事業において中国市場における事業展開に注力しており、「モイストクリームマスクPro.」をはじめとする複数のヒット商品が生まれたことや、2019年2月に締結した中国の流通企業である杭州高浪控股有限公司との資本業務提携の効果等により、化粧品事業の売上高の大部分が中国市場向け商品の販売により生じております。化粧品事業では、中国市場をはじめとする海外の需要に対応し、今後とも中国市場において新商品の投入や販路の多様化等によって一層の販売の拡大を図るほか、東南アジアや欧州等の市場における展開にも注力する方針であります。

 ヘルスケア関連の商品及びサービスにつきましては、社会の高齢化や医療保険財政の逼迫等を背景とした国民の健康意識の高まりもあり、国内市場の拡大の余地は大きいものと考えられますが、エビデンスに基づいた信頼性のある商品及びサービスは海外でも需要のあるものであり、当社グループでは、業績の極大化の観点から、化粧品事業以外の事業も含め、消費需要が旺盛な中国等の海外市場での事業展開も視野に入れた運営を行ってまいります。

⑤ 戦略的な業務提携等の推進

 当社グループは、㈱博報堂との合弁による㈱エビデンスラボの設立をはじめ、各事業において、これまで様々な外部の主体との業務提携等を推進してまいりました。特に2019年2月に締結した中国の流通企業である杭州高浪控股有限公司との資本業務提携は、同社との協業の成果によって化粧品事業の売上高の大部分が中国市場向け商品の販売により生じており、当社グループの業績に大きく寄与しております。

 当社グループでは、今後も、事業面でのシナジー効果が期待できる企業等との間で戦略的な業務提携等を行い、業容の拡大及び経営資源の最適配分等を図る方針であります。

(4)優先的に対処すべき事業上の課題

① 疲労プロジェクトの推進

 疲労プロジェクトは、疲労を客観的に定性化・定量化するための評価システムを確立し、これまで適正な評価方法が無かったために有効性を評価することが不可能であった抗疲労候補成分等について、その効果を検証することによって抗疲労トクホ及び抗疲労医薬品を世に送り出すことを目的とする産官学連携プロジェクトであります。疲労プロジェクトは、主として文部科学省科学技術振興調整費研究「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」にて得られた研究成果を、当該研究を行った大学研究者の参加を得てヒトを対象として実用化するものであり、既に複数の抗疲労トクホの申請が行われました。なお、「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」にて得られた研究成果の多くは、当社及び研究者が共同で特許出願を行っております。

 疲労プロジェクトで開発された製品である「イミダペプチド」は、長年にわたる販売活動やマスコミ掲載等により既に抗疲労トクホの表示許可取得に先立つ形で社会的な認知を受けつつあるほか、2015年4月に施行された機能性表示食品の届出が受理され、現状においても「日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する」という機能性を表示することができますが、抗疲労トクホは依然として当社グループの大きな目標の一つであり、また、トクホ市場の活性化にもつながるものでありますので、引き続き最善の対応を行ってまいります。

② 大学との関係

 当社グループは大学との関係を重要な事業背景としており、今後、大学との関係を一層強化するとともに、権利関係の明確化にも配慮した運営を行っていく方針であります。特に国公立大学の独立行政法人化により、大学自らが積極的に民間への技術移転に取り組むことが期待されますが、当社グループでは、これまで大学及び大学研究者と良好な関係を築き、大学の研究成果を導入して事業展開を行ってきたという実績をアピールし、今後につきましても精力的に大学への働きかけを行います。

③ 知的財産権への対応

 当社グループでは、研究開発の成果として生ずる成分や製品等について、大学研究者等との共同又は当社グループ単独にて特許権その他の知的財産権を取得することにより、その権利の確保を図っております。また、当社グループの事業に必要な大学研究成果が当社グループ以外で利用されることを防ぐため、当該研究成果について、一定の対価を支払う代わりにその特許を受ける権利の一部を譲り受け、発明者と当社の共同で特許を出願することも行っております。また、国内外ともに、当社グループが有する独自性の高い製品の模倣品による被害を防ぐため、商標登録、意匠登録等を適切に行い、権利保全を図る必要があります。

 以上のようなことから、当社グループは、引き続き知的財産権を戦略的に取得又は活用してまいります。

④ 人材の確保及び組織的対応の強化

 当社グループの事業におきましては、医学、薬学等の分野での専門性の高い人材の確保が不可欠であり、また、事業の多様化や拡大に対応してマーケティング、国内外営業、国際業務、内部管理等の幅広い人材を充実させる必要があります。当社グループでは、今後とも積極的に優秀な人材の採用等を進め、かつ適切なインセンティブの付与等により、社員の意識向上と組織の活性化を図るとともに、優秀な人材の定着を図る方針であります。

⑤ 医療機関ネットワークの拡充及び整備

 当社グループでは、医薬臨床研究支援事業、特定保健指導の受託等におきまして、医療機関とのネットワークを重要な事業基盤としております。

 当社グループでは、医療機関ネットワークのさらなる拡充に加え、構築した医療機関ネットワークを効率的に運用するためのインフラの整備も進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視しており、その体制については、その他のコーポレート・ガバナンスの体制と同様となります。

 体制等の詳細につきましては、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社グループは、「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」を経営理念とし、大学発のバイオマーカー技術に基づく「エビデンス」を様々な領域で構築、活用することにより、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することを目指しております。

 化粧品事業においては、社内SDGsプロジェクトを立ち上げ、定期的に情報・知識を共有し意識を高めるとともに、環境への配慮を意識した生産を心掛け、廃棄物削減に努めております。

 健康補助食品事業においては、BtoC業態を鑑み、工場から倉庫そしてお客様への輸送時に使う包装資材の軽量化や簡素化の実行、食品ロスに向けた取組として、いくつかの商品で賞味期限の延長や、年月表示への切り替えといった施策を実施しております。

 人材の育成及び社内環境整備については、医学、薬学等の分野での専門性の高い人材の確保が不可欠であり、事業の多様化や拡大に対応してマーケティング、国内外営業、国際業務、内部管理等の幅広い人材を充実させる必要があります。そのため、従業員の定着を促進するため、ワークライフ・バランスを充実させながら、高いモチベーションを持って働くことができる環境の整備に努める方針であります。その上で、様々な人材が多様な働き方で能力を発揮できるようテレワークやシフトワークの推奨、魅力ある就業環境を整備するなどの施策を実施してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。

 詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ④損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、現時点では、定量的な指標や目標は設定しておりませんが、今後、現状把握を行った上で適切な指標の定義と目標設定を行い、その進捗管理に努めることで改善に取り組んでまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、かつ、万が一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本資料中の本項以外の記載も併せまして、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 評価試験事業について

 評価試験事業の受注は食品・製薬企業等におけるトクホや機能性表示食品等の新規開発が前提となりますが、昨今、血圧や血糖値等といった一般的な健康表示のトクホの開発が一巡したこと等を背景として、新規の開発案件が減少する傾向が続いております。もともとトクホや機能性表示食品等を開発できるほどの開発力や資金力等のある企業の数も多いとは言えず、そのような企業の経営環境、経営方針、事業戦略、予算等の動向により、今後とも現在のような傾向が続き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 研究開発について

 当社グループは、身体や病気の状態を客観的かつ定量的に評価するための指標であるバイオマーカーとそれを利用した生体評価システムを開発し、従来は適正な評価方法が存在しなかったために開発が不可能であった病態や疾病等に関して、新たなトクホや医薬品等を世に送り出すことを目指しており、疲労プロジェクトを始め、「評価システムの確立による新たな食薬市場等の開拓」というビジネスを様々な病態等をターゲットとして展開しております。また、当社グループにおいては、バイオマーカー及びそのバイオマーカーを利用した生体評価システムの開発に留まらず、当社グループ独自の食品、化粧品、機能性素材等の新規開発にも取り組んでおります。このような研究開発には相当の費用と時間を費やすことになりますが、必ずしも事業化に成功する保証はなく、また仮に事業化に成功した場合でも、期待どおりの収益が得られる保証はありません。ターゲットとする分野の設定、商品の企画及び研究開発費用の支出には、その採算性に十分注意を払いますが、事業の多様化や研究領域の拡大を背景として、今後、研究開発費用が増加する可能性があり、それにより当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 加えて、当社グループでは、消費者・生活者のニーズを実現するために必要な大学発研究成果を収集し、選択的に利用するという形態にて研究開発活動を行っておりますが、何らかの原因により必要な研究成果について当社グループへの提供が受けられない場合や、不可欠な研究成果について過大な対価を求められた場合等には、当社グループの事業運営に悪影響が生ずるおそれがあります。

(3) 知的財産権について

 開発したバイオマーカー及び生体評価システムならびにそれらにより開発された成分や製品等について、その権利を保全するため、特許権その他の知的財産権を確保することは極めて重要であると考えられます。また、当社グループでは、当社グループの事業に必要と考えられる大学研究者の発明について、その特許を受ける権利の一部を譲り受け、共同で特許出願することにより、当該発明が当社グループ以外では実用化されないようにしております。

 当社グループは、今後も、知的財産権を戦略的に取得または活用していく方針でありますが、特許等を申請した全ての研究成果について必ずしもその権利を取得できるとは限りません。また、より優れた研究成果が当社グループ以外で生まれた場合には、当社グループの研究成果が淘汰される可能性があります。

(4) 代表取締役社長の石神賢太郎について

 当社の代表取締役社長の石神賢太郎は、国内の経営コンサルティング会社を経て当社グループに入社し、2018年1月に代表取締役社長に就任いたしました。

 当社グループは、昨今の事業環境に鑑み、評価試験事業等の食品の開発支援の事業から、健康補助食品事業等の自社製品の開発及び販売ならびに医薬臨床研究支援事業等のエビデンス構築及びマーケティング支援等の事業への事業構造の変革を図っており、同取締役は、このような当社グループの経営及び事業運営全般において中心的な役割を果たしているため、何らかの理由により同取締役の当社業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

(5) 取締役の梶本修身について

 当社の取締役梶本修身は、当社の創業者であり、大学の研究医として当社を創業して以来、「精神検査方法及び精神機能検査装置(ATMT)」の開発、大学及び大学研究者とのネットワークの構築や維持も含め、ビジネスモデル構築やノウハウ蓄積の中心的役割を担ってきました。

 当社グループは、事業運営において組織的対応の強化を図ってまいりましたが、大学及び大学研究者との関係を根拠とした高い学術レベルを事業の背景としておりますので、大学及び大学研究者とのネットワークの構築や維持及び当社グループが生み出す成果物への権威付け等の点において、同取締役は極めて重要な役割を果たしております。この点につきましては、当社グループは、以前から組織的対応の強化等により、学術面における同取締役への依存度を低下させるべく体制の整備を進めております。しかし、何らかの理由により同取締役の当社業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

(6) 大学との関係について

 当社グループは大学の研究成果を導入することによって事業を行っておりますので、大学との関係が重要な事業基盤となりますが、この点について以下のようなリスクがあると考えております。

 国立大学の独立行政法人化の根拠法となる国立大学法人化法や、公務員である大学の研究者が適用を受ける国家公務員法、地方公務員法、人事院規則等の改廃、または関係当局の運用の変化等の影響を受ける可能性があります。また、国公立大学の独立行政法人化にともない、大学が生み出す知的財産等の取り扱いの変化、研究の委託や研究成果の提供の対価についての見直し等、今後、民間企業と大学との関係に変化が生じる可能性があり、当社グループの事業にも影響を与えるおそれがあります。

 当社グループは、大学研究者に対して、寄付金の形態で当社グループにとって有用と思われる研究について資金供与を行うことがありますが、形式上は寄付金であることから、研究成果として生まれたものに関して、必ずしも当社グループが利益を享受できないおそれがあります。

(7) 役職員の確保について

 当社グループ事業におきましては、医学及び薬学等の分野での専門性の高い人材の確保が不可欠であり、また、事業の多様化や拡大に対応してマーケティング、国内外営業、国際業務、内部管理等の幅広い人材を充実させる必要があります。当社グループでは、今後とも積極的に優秀な人材の採用等を進め、かつ適切なインセンティブ付与等により、社員の意識向上と組織の活性化を図るとともに、優秀な人材の定着を図る方針であります。しかしながら、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社グループの業務及び事業運営に支障をきたすおそれがあります。

(8) 訴訟リスクについて

 当社グループは、バイオマーカー等に関する研究開発及びその事業化を推進しておりますが、他社が当社グループと同様の研究開発を行っている可能性も皆無ではないため、他社の知的財産権を侵害し、その結果訴えを提起されることがないとはいえません。その場合は当社グループの事業戦略及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしましても、そのような事態を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社グループの特許が他社の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、知的財産権侵害の発生を完全に回避することは困難であります。

(9) 配当政策について

 当社グループは株主に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置づけており、将来の研究開発活動や事業基盤の拡充、業務体制の強化等のための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案しつつ、安定的な配当を通じて、株主への利益還元を図りたいと考えておりますが、業績動向等によっては減配や無配となる可能性があります。

(10) 化粧品事業について

 当社グループでは、連結子会社の㈱ビービーラボラトリーズが化粧品事業を行っており、当該事業には次のようなリスクがあります。

① 運転資金の増加

 化粧品事業においては、販売に先立って、原材料の購入や製品製造外注委託費の支払等が発生するため、販売代金の回収までの期間についての運転資金が必要になり、当社グループの運転資金が増加することとなります。

② 与信リスク

 化粧品事業の販売先は、個人顧客への通信販売及び卸先への卸売上に大別されますが、これらの販売チャネルの何れの場合にも、販売代金の回収不能という事態が起こり得ます。当社グループでは、卸売上先については、信用調査会社の活用や、また特に海外あるいは大口の取引先からの受注に対しては、前金対応を図る等して与信リスク回避に努めている一方で、相当の貸倒引当金を計上し貸倒れの発生に備えておりますが、当該貸倒引当金の額を上回る貸倒れが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

③ 在庫リスク

 化粧品事業においては、原材料の発注及び製品製造外注委託について、市場の需要動向や商品在庫状況等を勘案した上での見込み発注を行っております。そのため、常に販売計画等とその実績との乖離要因を把握し、適正在庫の維持に努めておりますが、競合他社との競争激化、消費者の需要の動向等の要因により販売計画と実績との乖離が顕著に発生した場合には、結果として商品在庫の陳腐化等により商品評価損を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

④ 海外販売

 化粧品事業においては、現状、国内市場だけでなく、中国、ロシア、台湾、香港、シンガポール、マレーシア等の海外市場での販売も行っており、特に中国市場向け商品が売上高の大部分を占めております。

 化粧品事業では、国内市場における販売の縮小傾向が続くなか、海外販売の強化を重要戦略の一つと位置づけておりますが、海外販売については、現地の法規制や行政当局の運用、商慣習等が国内とは異なるほか、顧客の信用力等の情報収集にも限界があることから、不測の損害が発生したり、期待通りの業績が計上できない恐れがあります。また、何らかの理由により売上高の大部分を占める中国市場向け商品の販売が落ち込んだ場合には、同事業の業績が大きく悪化する恐れがあります。

(11) 健康補助食品事業について

 当社グループでは、主に日本予防医薬㈱が健康補助食品事業を行っており、当社グループが有するバイオマーカー技術、食薬開発にかかるノウハウや経験等を活かした独自性ある健康補助食品を開発し、販売しております。現在は、疲労プロジェクトから生まれた製品である「イミダペプチド」の飲料及びソフトカプセルを主力製品とし、通信販売による直販及びドラッグストア等への卸売りを展開しております。健康補助食品事業も、基本的な事業構造は化粧品事業と類似していることから、上記(10)と同様に運転資金の増加に関するリスク、与信リスク、在庫リスクを抱えております。

 「イミダペプチド」につきましては、主に広告宣伝費を投下して通信販売の顧客を獲得することによって販売の増加を図っており、現状、定期顧客数も増加傾向で安定的に推移しておりますが、競合他社との競争激化、消費者の需要の動向等の要因により、想定通りに顧客獲得が進まない場合は、当該事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、日本予防医薬㈱では、疲労プロジェクトの成果として、抗疲労トクホの申請を行いました。抗疲労トクホの表示許可の取得に向け引き続き注力する方針でありますが、同製品について必ず抗疲労トクホの表示許可が得られるという保証はありません。抗疲労トクホの表示許可が得られない場合には、今後の当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(12) 医薬臨床研究支援事業について

 ㈱総合医科学研究所が行う医薬臨床研究支援事業は、医師主導型の医療用医薬品等の臨床研究や疫学研究を支援する事業であります。当該事業には次のようなリスクがあります。

① 市場動向について

 当社グループでは、医薬臨床研究支援事業が対象とする医師主導型の医療用医薬品等の臨床研究や疫学研究は、「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の概念の浸透によるエビデンスの取得のニーズの高まり等から今後とも増加し、市場規模が拡大していくものと考えておりますが、期待どおりに市場が拡大しない場合は、当社グループの事業の拡大に影響を与える可能性があります。

② 新規受注について

 医薬臨床研究支援事業においては、これまでの実績や当社グループが有する医療機関ネットワーク等が評価されて研究主体である学会や医師組織等から安定的な引き合いがありますが、他社との競合や受注環境の悪化等により、当社グループの想定どおりに受託が増加しない可能性があり、その場合には今後の当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 事業基盤の強化について

 医薬臨床研究支援事業においては、昨今のEBMの概念の浸透によるエビデンスの取得のニーズの高まり等から、研究主体である学会や医師組織等からの受注が概ね安定的に推移しております。このような状況下、当社グループにおける医療機関ネットワークの拡充や人材の確保等により事業基盤を強化し、受託余力を創出することが課題となっております。このため、事業基盤の強化が当社グループの想定どおりに進まない場合には、当該事業の拡大に支障を生じ、今後の当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 公的ガイドラインについて

 医薬臨床研究支援事業は、厚生労働省が施行する「臨床研究法」、「臨床研究に関する倫理指針」及び「疫学研究に関する倫理指針」等の公的ガイドラインの適用を受けます。このため、このような公的ガイドラインの改定または新設等により、事業運営が困難になったり、追加的なコストが必要になったりする恐れがあります。

⑤ 中途解約について

 医薬臨床研究支援事業の対象とする医師主導型の医療用医薬品等の臨床研究や疫学研究は、その目的とする研究の内容等によっては、期間が数年に及ぶものもあります。このため、研究の実施途中において、症例のエントリーが想定どおりに進まず研究の完了が困難になった場合や他で新たな知見が発表され研究計画が変更になる場合等は、研究が中止になり、当社グループとの契約が中途解約される可能性があります。

⑥ 売上計上及び売上債権管理について

 医薬臨床研究支援事業において当社グループが受領する報酬につきましては、契約条件により、獲得した症例数に応じた成果報酬、獲得した症例数にかかわらず遂行した業務の内容及び量等に応じて支払われる業務報酬の二つに大別されます。これらの報酬の何れにつきましても、獲得した症例数が目標数に達しなかったり、何らかの理由により業務の遂行が計画どおりに進捗しなかったりした場合等には、計上する売上高が減少する可能性があります。また、当該事業の主な顧客である学会や医師組織等は、製薬・食品企業等と比べると財務基盤が脆弱であり、当社グループでは、適切に顧客の信用状況を把握し、債権管理を行う方針でありますが、何らかの理由により顧客の信用力の低下が生じた場合には、売上債権の回収が困難になる恐れがあります。

(13) ヘルスケアサポート事業について

 ㈱総合医科学研究所が行うヘルスケアサポート事業は、当社グループの有する医療機関ネットワークを活用し、各種健康診断や特定保健指導に関する業務受託、主に被扶養者を対象とする特定健康診査の受診勧奨サポート、糖尿病の重症化予防サービス等、健康保険組合等が行う疾病予防及び健康管理への様々な取り組みを支援するサービスを提供する事業であります。当該事業には次のようなリスクがあります。

① 関連法令等について

 ヘルスケアサポート事業におけるサービスには、特定健康診査および特定保健指導の根拠法令である「後期高齢者の医療の確保に関する法律」、定期健康診断の根拠法令である「労働安全衛生法」等、関連法令等の適用を受けるものがあります。このため、これらの関連法令等の改廃が行われた場合には、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 受注高について

 ヘルスケアサポート事業の受注高は特定保健指導等の対象者の受診実績に応じて事後的に決まることから、当該事業の受注高は、契約締結時点ではなく受診実績が確定した時点で計上しております。受診は対象者の意思に依存するため、受注済の業務であっても受注高を正確に予想することは困難であり、また、結果として受診率が伸びない場合には当該事業の業績に悪影響を及ぼすことになります。

(14) 機能性素材開発事業について

 ㈱NRLファーマが行う機能性素材開発事業は、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発、販売及び技術供与等を行う事業であります。当該事業には次のようなリスクがあります。

① ラクトフェリンの価格変動について

 機能性素材開発事業においては、ラクトフェリンの原料を仕入れ、粉砕加工等を行った上で、健康補助食品等の機能性素材として販売しております。このため、ラクトフェリンの原料の仕入価格や機能性素材の販売価格の変動が、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 為替変動について

 機能性素材開発事業におけるラクトフェリンの原料の仕入は外国の企業から行っており、外貨建で決済しております。為替リスクにつきましては、為替予約といったデリバティブ取引により軽減を図っておりますが、為替市場の動向が当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 特定の取引先への依存について

 機能性素材開発事業においては、現在、ラクトフェリンの腸溶加工技術及び脂質代謝改善用途に関する特許を大手ヘルスケア企業に提供してライセンス収入を得ております。また、ラクトフェリンの機能性素材販売についても、当該大手ヘルスケア企業との取引が大部分を占めております。今後、新規の取引先の開拓や当該大手ヘルスケア企業以外の既存取引先との取引拡大にも注力してまいりますが、現状においては当該大手ヘルスケア企業に対する依存度が高いことから、当該大手ヘルスケア企業との取引が縮小した場合は、当該事業の業績に悪影響が生じることになります。

④ 研究開発費について

 機能性素材開発事業においては、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材について、新規開発、加工及び用途等に関する研究を行っており、研究開発費を投下しております。研究開発費の投下につきましては、当社グループ全体の業績計画と整合する範囲内で行うこととしておりますが、研究開発費が増加した場合には、当該事業の業績に悪影響が生じる可能性があります。

(15) 新規事業について

 当社グループは、評価試験事業等の食品の開発支援の事業から、健康補助食品事業等の自社製品の開発及び販売並びに医薬臨床研究支援事業等のエビデンス構築及びマーケティング支援等の事業への事業構造の変革を図っており、今後とも、このような戦略に合致する新規事業を立ち上げる可能性があります。新規事業の立ち上げ及び推進には、相応の物的・人的資源の投下が必要となりますが、期待通りの成果が得られる保証はありません。そのような場合、固定費負担の増加等が、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(16) 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まりつつあり経済の回復が期待されます。現時点においては、当社グループの業績及び事業運営に重要な影響は生じておりませんが、今後、感染が再拡大した場合は、様々な理由により当社グループの業績へ影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動が徐々に正常化しつつありますが、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰などにより、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 我が国では、社会の高齢化を背景として医療費の増加が続く中、医療の効率的運営や予防医療の推進が必須の課題となっています。このような状況下、医療の適正かつ効率的な運用を目指す「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の気運が高まっているほか、国策としても、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の導入、全ての健康保険組合等における「データヘルス計画」(レセプト等のデータ分析に基づいた保健事業)の策定及び実施の義務付け等が行われています。また、食品等の機能性表示の規制が緩和され、企業責任によりエビデンス(科学的根拠)をもとに食品等に機能性を表示できる機能性表示食品制度が施行される等、当社グループの事業への追い風となり得る環境の変化が生じています。

 このような状況下、当社グループでは、大学発のバイオマーカー技術に基づくエビデンスの構築と活用に関する実績やノウハウ、医学界や医療界における幅広いネットワーク等を活かし、医薬、食品、化粧品、ヘルスケア関連サービス等の様々な領域において、社会のニーズに対応した商品やサービスを開発して提供することにより、事業の拡大を図ってまいる方針であります。

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

(生体評価システム)

 生体評価システム事業のうち評価試験事業におきましては、主に食品の有効性及び安全性に関する臨床評価試験の受託手数料等244百万円(前期比8.0%減)の売上計上を行いました。また、受注状況につきましては、受注高169百万円(前期比42.0%減)、当連結会計年度末の受注残高は39百万円(前期末比69.5%減)となりました。

 生体評価システム事業のうち医薬臨床研究支援事業におきましては、主に糖尿病領域の医師主導型臨床研究の支援業務の受託手数料等356百万円(前期比24.9%増)の売上計上を行いました。また、受注状況につきましては、受注高209百万円(前期比25.9%減)、当連結会計年度末の受注残高は88百万円(前期末比62.5%減)となりました。

 これらの結果、生体評価システム事業の業績は、売上高601百万円(前期比9.0%増)、営業利益89百万円(前期は6百万円の営業利益)となりました。

(ヘルスケアサポート)

 ヘルスケアサポート事業は、特定保健指導の受託を中心として、企業における社員の健康管理・増進のニーズや個人の健康意識の高まり等に関連した様々なサービスを健康保険組合等に提供する事業であり、生活習慣病の専門医から成る組織である一般社団法人専門医ヘルスケアネットワークと共同で事業展開しております。

 当連結会計年度におきましては、特定保健指導、被扶養者を対象とした特定健康診査のサポート、糖尿病の重症化予防サービス、レセプト解析の受託手数料等552百万円(前期比0.8%増)の売上計上を行いました。

 また、受注状況につきましては、受注高552百万円(前期比0.8%増)、当連結会計年度末の受注残高はありませんでした(前期末はなし)。なお、この事業の受注高は、主に特定保健指導の実績等に応じて事後的に決まるものでありますので、契約締結時点ではなく、当該実績等が確定した時点で計上しております。

 この結果、ヘルスケアサポート事業の業績は、売上高552百万円(前期比0.8%増)、営業利益93百万円(前期比20.5%減)となりました。

(化粧品)

 化粧品事業におきましては、通信販売部門の売上高は、広告施策等により梃入れを図ったものの販売の減少傾向が続き、133百万円(前期比15.1%減)となりました。一方、卸売部門の売上高は、中国市場向け商品の販売が、現地国内メーカーの台頭による競争激化の影響等を受け、3,810百万円(前期比20.5%減)となりました。

 この結果、化粧品事業の業績は、売上高3,943百万円(前期比20.4%減)、営業利益657百万円(前期比40.5%減)となりました。

(健康補助食品)

 健康補助食品事業におきましては、2009年3月より、「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」から生まれた製品である「イミダペプチド」を販売しており、主力の飲料のほか、ソフトカプセル、錠剤等の多種多様な商品ラインナップを有しております。

 当連結会計年度におきましては、例年と同様、疲労回復のニーズが高く、広告出稿に対する反応が良好である夏場に合わせて集中的に広告宣伝費を投下し、販売の一層の拡大を図りました。当連結会計年度においては、費用対効果の確実性の高い媒体を厳選して広告出稿を行った結果、広告宣伝費の投下が計画に対して未消化となったことに加え、広告料の高騰等により広告効率が悪化したこと等から、新規顧客の獲得数は前年同期を下回り、売上高は前年同期及び計画ともに下回りました。

 この結果、健康補助食品事業の業績は、売上高2,490百万円(前期比9.0%減)、営業利益は137百万円(前期比31.4%減)となりました。

(機能性素材開発)

 機能性素材開発事業におきましては、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発、販売及び技術供与等を行っており、ラクトフェリン原料の販売、ラクトフェリンの腸溶加工技術及び脂質代謝改善用途に関する特許提供によるライセンス収入、ラクトフェリン等を配合した健康補助食品のOEM供給等による売上を計上しております。

 当連結会計年度におきましては、ラクトフェリン原料の販売数量が伸び悩んだこと等から、売上高が減少傾向で推移しました。

 この結果、機能性素材開発事業の業績は、売上高489百万円(前期比12.3%減)、営業利益は42百万円(前期比48.7%減)となりました。

 これらに加えまして、セグメント間取引の消去や全社費用による営業損失は294百万円(前期は303百万円の営業損失)となりましたので、当連結会計年度の連結売上高は8,079百万円(前期比13.6%減)、連結営業利益は725百万円(前期比40.0%減)、連結経常利益は727百万円(前期比42.0%減)となりました。

 また、特別損失として固定資産除却損を1百万円計上したことにより、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は725百万円(前期比42.1%減)となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は451百万円(前期比44.2%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて249百万円減少(2.9%減)し、8,239百万円となりました。これは主に、その他流動資産が236百万円、商品が170百万円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が360百万円、有価証券が200百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて574百万円減少(35.0%減)し、1,067百万円となりました。これは主に、未払法人税等が247百万円、契約負債が226百万円、その他流動負債が76百万円、それぞれ減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて324百万円増加(4.7%増)し、7,172百万円となりました。これは主に、配当金の支払いにより利益剰余金が130百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を451百万円計上したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ71百万円減少(前期は1,761百万円の増加)し、当連結会計年度末には5,945百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、101百万円(前連結会計年度に得られた資金は2,135百万円)となりました。これは主に、法人税等の支払額608百万円、契約負債の減少額226百万円、棚卸資産の増加額164百万円等によるものでありますが、税金等調整前当期純利益725百万円の計上、売上債権の減少額360百万円等により一部相殺されております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は、160百万円(前連結会計年度に使用した資金は244百万円)となりました。これは主に、短期の運用目的で保有している有価証券の償還による収入(純額)200百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、130百万円(前連結会計年度に使用した資金は129百万円)となりました。これは配当金の支払額130百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループは、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。

b. 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

化粧品

(千円)

2,555,477

95.7

健康補助食品

(千円)

916,114

97.9

機能性素材開発

(千円)

310,864

116.7

合計

(千円)

3,782,457

97.7

 (注)生体評価システム及びヘルスケアサポートでは商品を取り扱っていないため、仕入実績は記載しておりません。

c. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

生体評価システム

378,398

65.9

128,452

35.0

 

評価試験

169,366

58.0

39,786

30.5

 

バイオマーカー開発

 

医薬臨床研究支援

209,032

74.1

88,666

37.5

ヘルスケアサポート

552,996

100.8

合計

931,395

82.9

128,452

35.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額は、契約締結日を基準として集計しております。

3.医薬臨床研究支援の受注額は、主に業務遂行及び獲得症例等の実績に応じて決定されるものであり、上記の当該事業の受注高及び受注残高の数値は、契約条件及び臨床研究実施計画等に基づいて算出した受注見込額を含んでおります。また、既受注分について契約条件及び臨床研究実施計画等の変更により受注見込額の増額または減額が生じた場合には、それに応じて受注高及び受注残高の数値に加算または減算を行っております。

 

d. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

生体評価システム

(千円)

601,833

109.0

 

評価試験

(千円)

244,842

92.0

 

バイオマーカー開発

(千円)

 

医薬臨床研究支援

(千円)

356,991

124.9

ヘルスケアサポート

(千円)

552,996

100.8

化粧品

(千円)

3,943,506

79.6

健康補助食品

(千円)

2,490,546

91.0

機能性素材開発

(千円)

489,542

87.7

 

報告セグメント計

(千円)

8,078,426

86.4

調整額

(千円)

1,500

100.0

合計

(千円)

8,079,926

86.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社トレンドリンクス

4,537,640

48.5

3,550,666

43.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。

b. 経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高8,079百万円、営業利益725百万円、経常利益727百万円、親会社株主に帰属する当期純利益451百万円となりました。当連結会計年度における経営成績の分析は以下のとおりであります。

 売上高の主な内訳は、生体評価システム事業が601百万円(前期比9.0%増)、ヘルスケアサポート事業が552百万円(前期比0.8%増)、化粧品事業が3,943百万円(前期比20.4%減)、健康補助食品事業が2,490百万円(前期比9.0%減)、機能性素材開発事業が489百万円(前期比12.3%減)となっております。化粧品事業において中国市場向け商品の販売が、現地国内メーカーの台頭による競争激化の影響等を受けたこと等から減収となり、全社合計では前期比13.6%の減収となりました。

 販売費及び一般管理費は2,990百万円(前期比2.0%減)となり、営業利益は725百万円(前期比40.0%減)となりました。販売費及び一般管理費の主な増加要因といたしましては、化粧品事業において新商品等のプロモーションに注力したこと等によるものであります。一方、主な減少要因といたしましては、健康補助食品事業において、費用対効果の確実性の高い媒体に厳選して販促活動を行ったこと等によるものであります。

 特別損失は、健康補助食品事業に関する固定資産除却損を1百万円計上いたしました。

 これらのことから、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は451百万円(前期比44.2%減)となりました。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

b. 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、外注費などの製造費用のほか、人件費、物流費、研究開発費、広告宣伝費等を中心とする販売費及び一般管理費等の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、全て自己資金にて対応しており、外部からの有利子負債残高はありません。

 当社グループが持続的に成長するために必要な運転資金及び設備投資資金等については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、内部留保資金から充当することとしています。

 なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。

 特許を受ける権利譲渡契約

 大学研究者等の発明に関しまして、当社の連結子会社と大学研究者等が共同で特許を申請する際に締結しているものであります。特に、疲労プロジェクトにおきましては、複数の大学研究者等の発明を組み合わせる形でプロジェクトを推進するため、プロジェクトに必要な発明について、当社の連結子会社と大学研究者等との間で特許の共同申請に関する契約を締結することは極めて重要な意義を有しております。契約者(発明者)及び発明内容は以下のとおりであり、現在、当社の連結子会社及び契約者が共同で特許申請を行っております。なお、契約の内容は各発明について概ね共通であり、各契約者が保有する特許を受ける権利の50%を当社が譲り受け、特許化された後もその権利の50%の持分を当社の連結子会社が保有し、当社の連結子会社は特許を実施することにより得た収入(経費控除後)の50%を対価として契約者に支払うというものとなっております。また、契約期間は、契約締結日から特許有効期間満了日までとしております。

契約会社名

相手先の名称

(発明者)

発明内容

㈱総合医科学研究所

(連結子会社)

渡辺 恭良氏

(理化学研究所生命機能科学研究センター 客員主管研究員)

倉恒 弘彦氏

(大阪公立大学客員教授)

抗疲労効果をもつ新たな組成物であって、トランス-2-ヘキセナール(※1)及びシス-3-ヘキセノール(※2)の少なくとも一種を含有する抗疲労組成物。

㈱総合医科学研究所

(連結子会社)

渡辺 恭良氏

(理化学研究所生命機能科学研究センター 客員主管研究員)

倉恒 弘彦氏

(大阪公立大学客員教授)

脈波、特に加速度脈波(※3)の波形変化を指標としてヒトの疲労度を評価する方法。

㈱総合医科学研究所

(連結子会社)

渡辺 恭良氏

(理化学研究所生命機能科学研究センター 客員主管研究員)

倉恒 弘彦氏

(大阪公立大学客員教授)

血液中のアミノ酸濃度を指標として、ヒトの疲労度を評価する方法、キット及びその利用法。

<用語解説>

※1 「トランス-2-ヘキセナール」とは、アルコールが酸化したアルデヒドの一種で、植物特有の青臭い香の成分の一つであり「青葉アルデヒド」とも呼ばれています。シス-3-ヘキセノールとともに「緑の香」の成分の一つであり、抗疲労効果が期待できることが分かってきています。

※2 「シス-3-ヘキセノール」はアルコールの一種で、植物特有の青臭い香の成分の一つであり「青葉アルコール」とも呼ばれています。トランス-2-ヘキセナールとともに「緑の香」の成分の一つであり、抗疲労効果が期待できることが分かってきています。

※3 「加速度脈波」とは、脳波測定計により得られる指尖容積脈波を2回微分して得られる二次微分脈波を指します。加速度脈波は変曲点を強調して、波形の評価を容易にし、血液循環動態を捉えていると考えられます。原波形の変曲点が鋭角であればあるほど、二次微分波形の変曲点の振幅も大きくなるため変曲点による波形のパターンの認識や測定が容易となり、生理機能との関連や血行動態の研究に適していると考えられています。

6【研究開発活動】

 当連結会計年度においては、主に2003年10月に発足した疲労プロジェクトの推進、新たな機能性素材の開発及び商品ラインナップ拡充のための研究開発活動等を実施しており、研究開発費の総額は56百万円となりました。

 セグメントごとの研究開発活動の内容は次のとおりであります。

(1)生体評価システム事業

 生体評価システム事業における研究開発活動の主となる疲労プロジェクトでは、疲労の定量評価技術の確立、抗疲労効果成分の同定、抗疲労食品の開発を行いました。また、疲労プロジェクトの成果を応用し、食薬以外の製品の「癒し」効果等を評価する事業も展開しております。

 当連結会計年度においては、疲労プロジェクトに関して、引き続き疲労の定量評価のためのバイオマーカーの研究等を推進しました。

 このようなことから、当事業に係る研究開発費は10百万円となりました。

(2)化粧品事業

 化粧品事業におきましては、商品ラインナップ拡充のための新商品の開発に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は22百万円となりました。

(3)健康補助食品事業

 健康補助食品事業におきましては、商品ラインナップ拡充のための新商品の開発や栄養成分の分析等を行いました。当事業に係る研究開発費は13百万円となりました。

(4)機能性素材開発事業

 機能性素材開発事業におきましては、ラクトフェリンを有効成分とする健康食品の開発や新たな機能性素材の開発に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は9百万円となりました。