当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの企業理念は「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」であり、当社グループは、医学分野における大学の研究成果を人々の生活の身近なところで開花させることによって、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することを目指しております。
当社グループは、大学の研究成果を活かして創出するエビデンス(科学的根拠)に基づき、国民の健康の維持及び増進並びに医療資源の効率的活用等に資するサービスや商品を開発し、提供してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業としての成長過程にあることに鑑み、安定的かつ継続的な成長を確保するための事業基盤を強化しつつ、事業規模の拡大を通じて企業価値を高めることを経営上の目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
国民の健康意識の高まりや医療の適正かつ効率的な運用を目指す「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の概念の普及にともない、医薬、食品、化粧品、ヘルスケア関連サービス等の様々な領域において、エビデンスを求める流れが強まっております。同時に、超高齢化社会を迎え、慢性疾患の増加によって、医療資源の逼迫、医療費の増大は大きな社会課題となっております。こうした課題の解決に重要な役割を果たすものは、WHO(World Health Organization=世界保健機関)が「個人が自らの健康を維持・増進し、軽度の疾病・症状を自己判断で治療するために医薬品等を適切に選択・使用すること」と定義するセルフメディケーションであると考えております。セルフメディケーションは①医療資源の持続性、②医療費抑制、③予防医療の促進による国民のQOL向上という三つの社会的価値を生みます。これらの実現には「正確な健康情報」、「適切な医薬品・機能性食品利用」、「行動変容支援」の三位一体のアプローチが必要であり、医療DXはこれらを①健康情報のアクセス向上、②データに基づく健康管理、③オンライン医療の普及によって加速させる鍵となります。
当社グループは、高度な医学的背景と研究開発力、エビデンスの取得や権威付けのノウハウや経験、医師及び各種の医師組織とのネットワーク、大学発企業としての中立性・公益性等の特長を活かし、セルフメディケーション商品の開発及び販売、予防から治療、健康リテラシーの向上までをサポートする「総合ヘルスケアプラットフォーム」の構築に注力し、国民の健康の維持及び増進並びに医療資源の効率的活用等に資するサービスや商品を開発し、提供してまいります。
具体的な戦略は次のとおりであります。
① エビデンスの取得、構築及び活用に向けた事業の推進
当社グループは、長年にわたり主にトクホの許可取得を目的とした食品の評価試験や市販後調査、疲労プロジェクト等を通じて、エビデンスの取得、構築及び活用に向けた事業を行ってまいりました。当社グループでは、これまでに培ったノウハウや経験、インフラ等を活用し、当社グループの特長を発揮できる事業領域として、今後ともこれらの事業に注力してまいります。
② エビデンスに基づく独自性のある商品の開発及び販売
疲労プロジェクトは、「疲労」を客観的に定性化・定量化するための評価システムを確立し、これまで適正な評価方法が無かったために有効性を評価することが不可能であった抗疲労候補成分等について、その効果を検証することによって抗疲労トクホ及び抗疲労医薬品を世に送り出すことを目指すものであります。疲労プロジェクトの成果につきましては、当社グループの日本予防医薬㈱を含め、既に複数の参加企業が、臨床試験の実施等を経て事業化に成功し、商品の発売に至りました。
また、疲労プロジェクトで創出された製品である「イミダペプチド」は、2015年4月に施行された機能性表示食品の届出が受理され、「日常の生活で生じる身体的な疲労感を軽減する」という機能性を表示することができる我が国で初めての製品となりました。
当社グループでは、今後とも、「イミダペプチド」と同様、当社グループの特長であるバイオマーカー技術やノウハウ等を活かして、食品・製薬企業等と共同で臨床的メリットに富む独自性の高い健康補助食品や化粧品等を開発し、エビデンス構築と権威付けのための医学界や医療機関のネットワークの活用、エビデンスに基づく付加価値の創出や普及活動、販売力のある他社との提携による販売ルートの開拓等を通じてヒット商品に育ててまいります。
③ 総合ヘルスケアプラットフォームの構築
当社グループは、医療DX・健康経営支援を推進し、高齢化や医療従事者不足、海外駐在員の健康不安の深刻化など、医療アクセスを取り巻く課題が多様化する中、オンライン健康相談サービス、オンライン診療サービス、疾病管理サービス、セカンドオピニオンサービス、郵送検査、PHR(Personal Health Record)の活用を組み合わせ、健康補助食品、OTC医薬品、漢方薬、機能性化粧品の販売を統合したセルフメディケーションサービスを展開し、「いつでも、どこでも、自分に合った医療と健康サポートを受けられる総合ヘルスケアプラットフォーム」の構築を進めてまいります。この「総合ヘルスケアプラットフォーム」は、当社グループが保有する専門医のネットワークの活用、ヘルスケアサポート事業における健康保険組合等の健康経営を重視した顧客層、フェムケア機能性素材であるラクトフェリンや疲労感軽減の機能を保有するイミダペプチドなどの素材を含め当社グループのヘルスケア関連ノウハウとオンライン健康相談サービスを提供する株式会社Medifellow、女性特有の健康課題に対応した法人向けヘルスケアアプリWellflowを提供するFlora株式会社など様々な資本又は業務提携先のサービスを連携させ、さらにコンテンツを充実させることで唯一無二のプラットフォームとして事業展開を図ります。
④ 海外展開
当社グループでは、2019年2月に中国の流通企業である杭州高浪控股有限公司(現高浪控股股份有限公司)との間で資本業務提携を実施し、化粧品事業において中国市場での事業展開を行っておりました。化粧品事業は、中国市場から撤退し、国内市場における主力製品であるプラセンタ製品に注力する方針としておりますが、高浪控股股份有限公司のグループ会社であるGlobal Beauty Technology株式会社との間で、中国を中心としたアジア市場に向けたサプリメント等の健康補助食品の製造等及び購買に関する製造等委託購買基本契約を締結し、中国をはじめとするアジア市場において、EC販売等のノウハウ及び販路を保有する高浪控股股份有限公司グループと共同にて、アジア市場のニーズに即した新たな健康補助食品の開発を行い、アジア市場での健康補助食品事業の販路拡大を図ってまいります。
⑤ 戦略的なM&A及び業務提携等の推進
当社グループは、各事業においてこれまで様々な外部の主体との業務提携等を推進してまいりました。
当社グループでは、今後も、既存事業の事業領域の拡大及び総合ヘルスケアプラットフォームの構築に向けて、医療DXを中心としたヘルスケア事業領域における積極的なM&Aでの買収による事業拡大、総合ヘルスケアプラットフォームにおけるコンテンツの充実のための業務提携等、各事業でのシナジー効果が期待できる企業等との間で戦略的なM&A及び業務提携等を行い、業容の拡大及び経営資源の最適配分等を図る方針であります。
(4)優先的に対処すべき事業上の課題
当社グループは、2024年6月期において、化粧品事業の大幅な減収や健康補助食品事業の収益率の低下を主要因として、経常損失を計上し、厳しい経営環境となりました。
この状況に対し、当社グループは、2025年6月期を「構造改革」の連結会計年度として位置づけ、新経営体制のもと、将来の持続的成長に向けた研究開発や新サービス構築などの先行投資を積極的に実施しながら、グループ全体の収益性改善に取り組んでまいりました。根幹たる「エビデンス」を様々な領域で構築、活用することにより、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することに立ち返り、これまでの医療界・医学界との幅広いネットワークを活かし、抗疲労事業やフェムテック事業の領域への事業展開に向けて研究開発に注力する方針として、資本業務提携や共同開発などの取組みや新たなバイオマーカーやラクトフェリンの更なる活用に向けた研究開発等を行うとともに、化粧品事業及び健康補助食品事業における販売促進・広告宣伝の費用対効果の向上や当社グループ全体の収益性改善に取り組んでまいりました。
構造改革は着実に進展しており、その成果として複数の事業で営業利益黒字化を達成しました。あわせて、連結業績における営業損失も大幅に縮小しており、収益性の改善は確実に進んでおります。当社グループは今後、「選択と集中」を方針として、構造改革の継続とともに医療DXを中心としたヘルスケア事業領域への経営資源の集中を図ってまいります。
① 研究開発投資
当社グループの原点である「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」という経営理念に立ち返り、これまでも取り組んでまいりました疲労プロジェクトを基礎とした抗疲労領域及び機能性素材開発事業におけるフェムテック領域において更なる研究開発投資が重要と考えております。こうした研究開発投資によって、新たな製品の開発を進めてまいります。
これらの研究開発においては、大学の研究成果の導入が不可欠であり、大学との関係性の維持・強化が重要であります。従来からの大学及び大学研究者との良好な関係の継続、大学における研究成果を導入した事業展開を行ってきた実績に基づく精力的な大学への働きかけを継続して実施してまいります。
② 総合ヘルスケアプラットフォームの構築
当社グループは、医療DXを中心とした「いつでも、どこでも、自分に合った医療と健康サポートを受けられる総合ヘルスケアプラットフォーム」の構築を進める方針であります。当該プラットフォームの構築に際しては、データセキュリティとサイバーセキュリティの確保、エビデンスに基づくアルゴリズム設計、プライバシー保護、薬機法等の医療関連法令や規制への適合のみならず、十分な倫理的配慮も必要であり、法令遵守を徹底してまいります。
③ 知的財産権への対応
当社グループでは、研究開発の成果として生ずる成分や製品等について、大学研究者等との共同又は当社グループ単独にて特許権その他の知的財産権を取得することにより、その権利の確保を図っております。また、当社グループの事業に必要な大学研究成果が当社グループ以外で利用されることを防ぐため、当該研究成果について、一定の対価を支払う代わりにその特許を受ける権利の一部を譲り受け、発明者と当社の共同で特許を出願することも行っております。また、国内外ともに、当社グループが有する独自性の高い製品の模倣品による被害を防ぐため、商標登録、意匠登録等を適切に行い、権利保全を図る必要があります。
以上のようなことから、当社グループは、引き続き知的財産権を戦略的に取得又は活用してまいります。
④ 人材戦略及び組織体制の最適化
当社グループは、「選択と集中」を方針として、構造改革の継続とともに医療DXを中心としたヘルスケア事業領域への経営資源の集中を図るために事業ポートフォリオの見直しを実施します。事業ポートフォリオの再構築は、医療DXを中心としたヘルスケア事業領域への集中に加えて、中国市場に大きく依存した化粧品事業を縮小し、また、既存の健康補助食品事業をセルフメディケーション支援通販事業として強化を図るなど大幅な変更となります。事業ポートフォリオの再構築のタイミングにおいて、人的資源の最適化を図り、効率的な事業運営体制を構築するとともに、グループ全体として大きな転換期を迎える中、既存の各社員のライフプランにおける新たなキャリアの支援の一環として希望退職制度を実施し、人的資源の最適化を図り、効率的な事業運営体制を構築してまいります。
⑤ 医療機関ネットワークの拡充及び整備
当社グループでは、特定保健指導の受託等におきまして、医療機関とのネットワークを重要な事業基盤としております。
当社グループでは、医療機関ネットワークのさらなる拡充に加え、構築した医療機関ネットワークを効率的に運用するためのインフラの整備も進めてまいります。
⑥ M&A・業務提携の推進
当社グループは、医療DXを中心としたヘルスケア事業領域における積極的なM&Aでの買収による事業拡大、総合ヘルスケアプラットフォームにおけるコンテンツの充実のための業務提携の推進を方針としており、シナジーを生み出す候補企業又は候補事業のリサーチ、リストアップを迅速に実施する体制を構築し、対象となる企業又は事業に適切なアプローチを行うことで、M&A・業務提携を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
『サステナビリティに関する基本方針』
当社グループは、「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」ことを目指しております。当社グループは、医学分野における大学の研究成果を人々の生活の身近なところで開花させ、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することで持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指します。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視し、代表取締役を中心に取締役会の中で適宜、その内容及び課題について協議し、対応策の検討を図っております。その体制については、その他のコーポレート・ガバナンスの体制と同様となります。
体制等の詳細につきましては、「
(2)戦略
当社グループは、「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」を経営理念とし、大学発のバイオマーカー技術に基づく「エビデンス」を様々な領域で構築、活用することにより、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することを目指しております。こうした取り組みの中において当社グループは「疲労プロジェクト」に取り組んでおりました。疲労プロジェクトは、「疲労」を客観的に定性化・定量化するための評価システムを確立し、これまで適正な評価方法が無かったために不可能であった抗疲労候補成分等について、その効果を検証することによって抗疲労医薬・食品を世に送り出すことを目指すものであります。疲労プロジェクトの成果を活かして、疲労そのもの、疲労感、あるいは、その両方に対して効果が確認できる抗疲労成分の研究を継続し、事業化することは持続可能な社会の実現に寄与するものであり、当社グループの持続的な成長のためにも、抗疲労は重要な要素と考えております。
①人的資本
当社グループは、組織の持続的成長のための人的資源の最適化に注力しております。
当社グループは事業の特性上、医学、薬学等の分野での専門性の高い人材の配置が不可欠であり、事業の多様化や拡大に対応してマーケティング、国内外営業、国際業務、内部管理等の幅広い人材を充実させる必要があります。こうした人的資源の最適化のためには、高いモチベーションを持って働くことができる環境が重要と考えております。「医科学の研究成果を事業化し、人々の健康で安全な生活の実現に寄与する」を経営理念とし、抗疲労分野において事業展開を行う当社グループの従業員が強い疲労や疲労感をもつ就業環境であってはならず、従業員の健康増進、疲労緩和を促進し、ワークライフ・バランスを充実させ、やりがいと安心感をもって就業できる環境づくりを実施してまいります。
こうした環境づくりにおいて、各従業員がそれぞれのライフイベントにおいても安心して就業できる環境として育児休業や時短勤務制度の活用推奨、テレワークでの就業環境整備やリフレッシュのための有給休暇の取得推進、健康増進のための人間ドック受診勧奨に取り組んでおります。様々な人材が多様な働き方で健康を維持して就業できる環境づくりを実施してまいります。
②環境への配慮
当社グループの事業のうち、化粧品事業及び健康補助食品事業においては通信販売等によってお客様に商品をお届けしておりますために、これらの事業において環境配慮に努めております。
化粧品事業においては、社内SDGsプロジェクトを立ち上げ、定期的に情報・知識を共有し意識を高めるとともに、環境への配慮を意識した生産を心掛け、廃棄物削減に努めております。
健康補助食品事業においては、工場から倉庫そしてお客様への輸送時に使う包装資材の軽量化や簡素化の実行、食品ロスに向けた取組として、いくつかの商品で賞味期限の延長や、年月表示への切り替えといった施策を実施しております。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しており、リスク管理規程に基づき、毎月開催される取締役会においてサステナビリティに関するリスクを含む事業運営全般に内在するリスクについて、社長が任命するリスク管理担当取締役から適宜その内容及び課題について協議し、リスク回避策やリスク顕在化時の損失を極小化するための検討を図っております。
詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループでは、抗疲労を重要視しており、上記「(2)戦略 ①人的資本」に記載した従業員の健康増進、疲労緩和を促進し、ワークライフ・バランスを充実させ、やりがいと安心感をもって就業できる環境づくりに関して次の指標を用いております。
なお、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みを行っておりますものの、当社グループに属するすべての会社での取り組みではないため、指標に関する目標及び実績は、一部の事業会社のものを記載しております。
|
指標 |
実績(当連結会計年度) |
目標 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(注1) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(注)1.配偶者の転勤等の外部要因が理由となる退職は除いており、当該事由によらない育児休業の終了期間を迎えた
従業員の数は0人です。
2.当社グループにおいては、35歳以上の従業員の定期健康診断受診時に受診費用の一部を当社が負担することで
人間ドックの受診を推奨しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、かつ、万が一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本資料中の本項以外の記載も併せまして、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 評価試験事業について
評価試験事業の受注は食品・製薬企業等におけるトクホや機能性表示食品等の新規開発が前提となりますが、昨今、血圧や血糖値等といった一般的な健康表示のトクホの開発が一巡したこと等を背景として、新規の開発案件が減少する傾向が続いております。もともとトクホや機能性表示食品等を開発できるほどの開発力や資金力等のある企業の数も多いとは言えず、そのような企業の経営環境、経営方針、事業戦略、予算等の動向により、今後とも現在のような傾向が続き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 研究開発について
当社グループは、身体や病気の状態を客観的かつ定量的に評価するための指標であるバイオマーカーとそれを利用した生体評価システムを開発し、従来は適正な評価方法が存在しなかったために開発が不可能であった病態や疾病等に関して、新たな特定保健用食品、機能性表示食品や医薬品等を世に送り出すことを目指しており、疲労プロジェクトを始め、「評価システムの確立による新たな食薬市場等の開拓」というビジネスを様々な病態等をターゲットとして展開しております。また、当社グループにおいては、バイオマーカー及びそのバイオマーカーを利用した生体評価システムの開発に留まらず、当社グループ独自の食品、化粧品、機能性素材等の新規開発にも取り組んでおります。このような研究開発には相当の費用と時間を費やすことになりますが、必ずしも事業化に成功する保証はなく、また仮に事業化に成功した場合でも、期待どおりの収益が得られる保証はありません。ターゲットとする分野の設定、商品の企画及び研究開発費用の支出には、その採算性に十分注意を払いますが、事業の多様化や研究領域の拡大を背景として、今後、研究開発費用が増加する可能性があり、それにより当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
加えて、当社グループでは、消費者・生活者のニーズを実現するために必要な大学発研究成果を収集し、選択的に利用するという形態にて研究開発活動を行っておりますが、何らかの原因により必要な研究成果について当社グループへの提供が受けられない場合や、不可欠な研究成果について過大な対価を求められた場合等には、当社グループの事業運営に悪影響が生ずるおそれがあります。
(3) 知的財産権について
開発したバイオマーカー及び生体評価システム並びにそれらにより開発された成分や製品等について、その権利を保全するため、特許権その他の知的財産権を確保することは極めて重要であると考えられます。また、当社グループでは、当社グループの事業に必要と考えられる大学研究者の発明について、その特許を受ける権利の一部を譲り受け、共同で特許出願することにより、当該発明が当社グループ以外で実用化されないようにしております。
当社グループは、今後も、知的財産権を戦略的に取得または活用していく方針でありますが、特許等を申請した全ての研究成果について必ずしもその権利を取得できるとは限りません。また、より優れた研究成果が当社グループ以外で生まれた場合には、当社グループの研究成果が淘汰される可能性があります。
(4) 代表取締役社長の角田真佐夫について
当社の代表取締役社長の角田真佐夫は、医療機器・医薬品販売を事業とするバイオテック会社を経て当社グループに入社し、ヘルスケアサポート事業を新規に立ち上げ、多数の特許を保有する機能性素材の研究開発を行う機能性素材開発事業の事業責任者も兼務し、2024年9月に代表取締役社長に就任いたしました。
当社グループは、昨今の事業環境に鑑み、根幹たる「エビデンス」を様々な領域で構築、活用することにより、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することに立ち返り、これまでの医療界・医学界との幅広いネットワークを活かし、セルフメディケーション商品の開発及び販売、予防から治療、健康リテラシーの向上までをサポートする「総合ヘルスケアプラットフォーム」の構築に注力する方針とし、事業の選択と集中を図っており、同取締役は、このような当社グループの経営及び事業運営全般において中心的な役割を果たしているため、何らかの理由により同取締役の当社業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
(5) 取締役の梶本修身について
当社の取締役梶本修身は、当社の創業者であり、大学の研究医として当社を創業して以来、「精神検査方法及び精神機能検査装置(ATMT)」の開発、大学及び大学研究者とのネットワークの構築や維持も含め、ビジネスモデル構築やノウハウ蓄積の中心的役割を担ってきました。
当社グループは、事業運営において組織的対応の強化を図ってまいりましたが、大学及び大学研究者との関係を根拠とした高い学術レベルを事業の背景としておりますので、大学及び大学研究者とのネットワークの構築や維持及び当社グループが生み出す成果物への権威付け等の点において、同取締役は極めて重要な役割を果たしております。この点につきましては、当社グループは、以前から組織的対応の強化等により、学術面における同取締役への依存度を低下させるべく体制の整備を進めております。しかし、何らかの理由により同取締役の当社業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
(6) 大学との関係について
当社グループは大学の研究成果を導入することによって事業を行っておりますので、大学との関係が重要な事業基盤となりますが、この点について以下のようなリスクがあると考えております。
国立大学の独立行政法人化の根拠法となる国立大学法人化法や、公務員である大学の研究者が適用を受ける国家公務員法、地方公務員法、人事院規則等の改廃、または関係当局の運用の変化等の影響を受ける可能性があります。また、国公立大学の独立行政法人化にともない、大学が生み出す知的財産等の取り扱いの変化、研究の委託や研究成果の提供の対価についての見直し等、今後、民間企業と大学との関係に変化が生じる可能性があり、当社グループの事業にも影響を与えるおそれがあります。
当社グループは、大学研究者に対して、寄付金の形態で当社グループにとって有用と思われる研究について資金供与を行うことがありますが、形式上は寄付金であることから、研究成果として生まれたものに関して、必ずしも当社グループが利益を享受できないおそれがあります。
(7) 組織体制の最適化について
当社グループ事業におきましては、医学及び薬学等の分野での専門性の高い人材の配置が不可欠であり、また、事業の多様化や拡大に対応してマーケティング、国内外営業、国際業務、内部管理等の幅広い人材の配置を最適化させる必要があります。当社グループでは、効率的な事業運営体制の構築を目的として、人材配置の最適化を図る方針であります。しかしながら、人材配置の最適化が計画通りに進まない場合には、当社グループの業務及び事業運営に支障をきたすおそれがあります。
(8) 訴訟リスクについて
当社グループは、バイオマーカー等に関する研究開発及びその事業化を推進しておりますが、他社が当社グループと同様の研究開発を行っている可能性も皆無ではないため、他社の知的財産権を侵害し、その結果訴えを提起されることがないとはいえません。その場合は当社グループの事業戦略及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしましても、そのような事態を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社グループの特許が他社の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、知的財産権侵害の発生を完全に回避することは困難であります。
(9) 配当政策について
当社グループは株主に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置づけており、将来の研究開発活動や事業基盤の拡充、業務体制の強化等のための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案しつつ、安定的な配当を通じて、株主への利益還元を図りたいと考えておりますが、業績動向等によっては減配や無配となる可能性があります。
(10) 化粧品事業について
当社グループでは、連結子会社の㈱ビービーラボラトリーズが化粧品事業を行っており、同社は2026年3月末日までに事業活動を終了し、解散及び清算を行う予定でありますが、プラセンタ製品に関する化粧品事業は同じく連結子会社の日本予防医薬㈱が日本国内において行います。当該事業には次のようなリスクがあります。
① 運転資金の増加
化粧品事業においては、販売に先立って、原材料の購入や製品製造外注委託費の支払等が発生するため、販売代金の回収までの期間についての運転資金が必要になり、当社グループの運転資金が増加することとなります。
② 与信リスク
化粧品事業の販売先は、個人顧客への通信販売及び卸先への卸売上に大別されますが、これらの販売チャネルの何れの場合にも、販売代金の回収不能という事態が起こり得ます。当社グループでは、卸売上先については、信用調査会社の活用や、また特に海外あるいは大口の取引先からの受注に対しては、前金対応を図る等して与信リスク回避に努めている一方で、相当の貸倒引当金を計上し貸倒れの発生に備えておりますが、当該貸倒引当金の額を上回る貸倒れが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
③ 在庫リスク
化粧品事業においては、原材料の発注及び製品製造外注委託について、市場の需要動向や商品在庫状況等を勘案した上での見込み発注を行っております。そのため、常に販売計画等とその実績との乖離要因を把握し、適正在庫の維持に努めておりますが、競合他社との競争激化、消費者の需要の動向等の要因により販売計画と実績との乖離が顕著に発生した場合には、結果として商品在庫の陳腐化等により商品評価損を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
④ 海外販売
㈱ビービーラボラトリーズが行う化粧品事業は、2026年3月末日までに事業活動を終了する予定でありますが、現状、国内市場だけでなく、中国、ロシア、台湾、香港、シンガポール、韓国等の海外市場での販売も行っており、特に中国市場向け商品が売上高の大部分を占めております。
海外販売については、現地の法規制や行政当局の運用、商慣習等が国内とは異なるほか、顧客の信用力等の情報収集にも限界があることから、不測の損害が発生したり、期待通りの業績が計上できない恐れがあります。また、何らかの理由により売上高の大部分を占める中国市場向け商品の販売が落ち込んだ場合には、㈱ビービーラボラトリーズが行う同事業の業績が大きく悪化する恐れがあります。
(11) 健康補助食品事業について
当社グループでは、主に日本予防医薬㈱が健康補助食品事業を行っており、当社グループが有するバイオマーカー技術、食薬開発にかかるノウハウや経験等を活かした独自性ある健康補助食品を開発し、販売しております。現在は、疲労プロジェクトから生まれた製品である「イミダペプチド」の飲料及びソフトカプセルを主力製品とし、通信販売による直販及びドラッグストア等への卸売りを展開しております。健康補助食品事業も、基本的な事業構造は化粧品事業と類似していることから、上記(10)と同様に運転資金の増加に関するリスク、与信リスク、在庫リスクを抱えております。
「イミダペプチド」につきましては、主に広告宣伝費を投下して通信販売の顧客を獲得することによって販売の増加を図っており、現状、定期顧客数も安定的に推移しておりますが、競合他社との競争激化、消費者の需要の動向等の要因により、想定通りに顧客獲得が進まない場合は、当該事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、「イミダペプチド」は主成分を鶏むね肉から抽出しており、原料となる鶏むね肉の仕入価格が大幅に高騰する状況や鶏むね肉の供給が不足する状況が生じた場合、製造原価が増加することによって今後の当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
同事業は今後「セルフメディケーション支援通販事業」として強化し当社の強みである抗疲労成分「イミダペプチド」を中心に、OTC 医薬品、医薬部外品、漢方薬などセルフメディケーション関連の新商品を順次投入し、製品ポートフォリオの多角化を企図しており、これらの商品開発が想定どおりに進捗しなかった場合、同事業の業績が悪化する恐れがあります。
加えて、日本予防医薬㈱は高浪控股股份有限公司のグループ会社であるGlobal Beauty Technology株式会社との間で、中国を中心としたアジア市場に向けたサプリメント等の健康補助食品の製造等及び購買に関する製造等委託購買基本契約を締結し、中国をはじめとするアジア市場において、EC販売等のノウハウ及び販路を保有する高浪控股股份有限公司グループと共同にて、アジア市場のニーズに即した新たな健康補助食品の開発を行い、アジア市場での健康補助食品事業の販路拡大を図ってまいります。これらの海外販売においては、上記(10)と同様に海外販売に関するリスクが存します。
(12) ヘルスケアサポート事業について
㈱総合医科学研究所が行うヘルスケアサポート事業は、当社グループの有する医療機関ネットワークを活用し、各種健康診断や特定保健指導に関する業務受託、主に被扶養者を対象とする特定健康診査の受診勧奨サポート、糖尿病の重症化予防サービス等、健康保険組合等が行う疾病予防及び健康管理への様々な取り組みを支援するサービスを提供する事業であります。当該事業には次のようなリスクがあります。
① 関連法令等について
ヘルスケアサポート事業におけるサービスには、特定健康診査および特定保健指導の根拠法令である「後期高齢者の医療の確保に関する法律」、定期健康診断の根拠法令である「労働安全衛生法」等、関連法令等の適用を受けるものがあります。このため、これらの関連法令等の改廃が行われた場合には、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 受注高について
ヘルスケアサポート事業の受注高は特定保健指導等の対象者の受診実績に応じて事後的に決まることから、当該事業の受注高は、契約締結時点ではなく受診実績が確定した時点で計上しております。受診は対象者の意思に依存するため、受注済の業務であっても受注高を正確に予想することは困難であり、また、結果として受診率が伸びない場合には当該事業の業績に悪影響を及ぼすことになります。
(13) 機能性素材開発事業について
㈱NRLファーマが行う機能性素材開発事業は、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発、販売及び技術供与等を行う事業であります。当該事業には次のようなリスクがあります。
① ラクトフェリンの価格変動について
機能性素材開発事業においては、ラクトフェリンの原料を仕入れ、粉砕加工等を行った上で、健康補助食品等の機能性素材として販売しております。このため、ラクトフェリンの原料の仕入価格や機能性素材の販売価格の変動が、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替変動について
機能性素材開発事業におけるラクトフェリンの原料の仕入は外国の企業から行っており、外貨建で決済しております。為替リスクにつきましては、為替予約といったデリバティブ取引により軽減を図っておりますが、為替市場の動向が当該事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 研究開発費について
機能性素材開発事業においては、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材について、新規開発、加工及び用途等に関する研究を行っており、研究開発費を投下しております。研究開発費の投下につきましては、当社グループ全体の業績計画と整合する範囲内で行うこととしておりますが、研究開発費が増加した場合には、当該事業の業績に悪影響が生じる可能性があります。
(14) 新規事業について
当社グループは、根幹たる「エビデンス」を様々な領域で構築、活用することにより、人々の健康で安全な暮らしを実現し、医療費の抑制や生活快適性の向上等に貢献することに立ち返り、これまでの医療界・医学界との幅広いネットワークを活かし、セルフメディケーション商品の開発及び販売、予防から治療、健康リテラシーの向上までをサポートする「総合ヘルスケアプラットフォーム」の構築に注力する方針としております。新規事業の立ち上げ及び推進には、相応の物的・人的資源の投下が必要となりますが、期待通りの成果が得られる保証はありません。そのような場合、固定費負担の増加等が、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
(15) 企業買収等について
当社グループは、既存事業の拡大または新規事業領域への進出のため、企業買収や資本提携を行っております。企業買収や資本提携に際しては、対象企業の財務内容等について詳細な事前調査及び監査を行い、リスクを把握したうえで決定しますが、事業環境等の変化等により、当初想定した効果が得られない場合には、のれんの減損損失の計上等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の我が国の経済は、経済活動が正常化に向かい、企業収益や雇用・所得環境の改善が進み、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、原材料価格やエネルギー価格高騰や物価の上昇、為替変動の影響等により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
我が国では、社会の高齢化を背景として医療費の増加が続く中、医療の効率的運営や予防医療の推進が必須の課題となっています。このような状況下、医療の適正かつ効率的な運用を目指す「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の気運が高まっているほか、国策としても、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の導入、全ての健康保険組合等における「データヘルス計画」(レセプト等のデータ分析に基づいた保健事業)の策定及び実施の義務付け等が行われています。また、食品等の機能性表示の規制が緩和され、企業責任によりエビデンス(科学的根拠)をもとに食品等に機能性を表示できる機能性表示食品制度が施行される等、当社グループの事業への追い風となり得る環境の変化が生じています。
このような状況下、当社グループでは、大学発のバイオマーカー技術に基づくエビデンスの構築と活用に関する実績やノウハウ、医学界や医療界における幅広いネットワーク等を活かし、医薬、食品、化粧品、医療DXを中心としたヘルスケア関連サービス等の様々な領域において、社会のニーズに対応した商品やサービスを開発して提供することにより、事業の拡大を図ってまいる方針であります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(生体評価システム)
生体評価システム事業のうち評価試験事業におきましては、主に被験者バンクからの被験者リクルート手数料や食品の有効性及び安全性に関する臨床評価試験の受託手数料等242百万円(前期比84.7%増)の売上計上を行いました。また、受注状況につきましては、受注高362百万円(前期比14.5%増)、当連結会計年度末の受注残高は331百万円(前期末比57.3%増)となりました。
この結果、生体評価システム事業の業績は、売上高242百万円(前期比9.6%増)、営業利益8百万円(前期は70百万円の営業損失)となりました。なお、生体評価システム事業全体の前期の業績につきましては、2024年6月で事業を廃止した、医薬臨床研究支援事業の業績が含まれております。
(ヘルスケアサポート)
ヘルスケアサポート事業は、特定保健指導の受託を中心として、企業における社員の健康管理・増進のニーズや個人の健康意識の高まり等に関連した様々なサービスを健康保険組合等に提供する事業であり、生活習慣病の専門医から成る組織である一般社団法人専門医ヘルスケアネットワークと共同で事業展開しております。
当連結会計年度におきましては、特定保健指導、被扶養者を対象とした特定健康診査のサポート、糖尿病の重症化予防サービス、レセプト解析の受託手数料等の安定した受注基盤を維持しつつ、新規受注先からの契約が着実に増加し、688百万円(前期比15.7%増)の売上計上を行いました。
また、受注状況につきましては、受注高688百万円(前期比15.7%増)、当連結会計年度末の受注残高はありませんでした(前期末はなし)。なお、この事業の受注高は、主に特定保健指導の実績等に応じて事後的に決まるものでありますので、契約締結時点ではなく、当該実績等が確定した時点で計上しております。
この結果、ヘルスケアサポート事業の業績は、売上高688百万円(前期比15.7%増)、営業利益106百万円(前期比15.3%増)となりました。
(化粧品)
化粧品事業におきましては、通信販売部門の売上高は、129百万円(前期比1.3%減)となりました。また、卸売部門の売上高は、中国市場向け商品の販売において、前期に予定していた資本業務提携先である高浪控股股份有限公司からの発注が当連結会計年度において行われたものの前期との比較で減少し、1,376百万円(前期比2.8%減)となりました。また、国内外での広告宣伝費及び販売促進費の抑制に加え、販売促進の一環として設置していたフラッグシップショップを閉鎖したことにより、営業利益率は改善しました。
この結果、化粧品事業の業績は、売上高1,506百万円(前期比2.7%減)、営業利益27百万円(前期は152百万円の営業損失)となりました。
(健康補助食品)
健康補助食品事業におきましては、2009年3月より、「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」から生まれた製品である「イミダペプチド」を販売しており、主力の飲料のほか、ソフトカプセル、錠剤等の多種多様な商品ラインナップを有しております。
当連結会計年度におきましては、当連結会計年度の途中より、継続的な購入顧客にターゲットを絞った広告宣伝及び販売促進へと集客方針を転換したことに伴い、売上高は、前期との比較で減収となりましたが、利益率の高い商品へのアップセル施策を強化したこと、また、原材料価格の高騰に対応した販売価格の値上げによる原価率の改善、広告宣伝費及び販売促進費の効率化により、営業利益率は大幅に改善しました。
この結果、健康補助食品事業の業績は、売上高2,127百万円(前期比14.7%減)、営業利益91百万円(前期は157百万円の営業損失)となりました。
(機能性素材開発)
機能性素材開発事業におきましては、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発及び販売等を行っており、ラクトフェリン原料の販売、ラクトフェリン等を配合した健康補助食品のOEM供給等による売上を計上しております。
当連結会計年度におきましては、フェムテック関連のOEM商品の新規受注は好調なものの、原料の販売が伸び悩み、売上高は減少しました。また、フェムテック関連の新商品の開発に向けて研究開発費を投下したため、前期との比較で販売費及び一般管理費が増加しました。
この結果、機能性素材開発事業の業績は、売上高282百万円(前期比5.4%減)、営業損失28百万円(前期は13百万円の営業損失)となりました。
これらに加えまして、セグメント間取引の消去や全社費用による営業損失は342百万円(前期は308百万円の営業損失)となりましたので、当連結会計年度の連結売上高は4,848百万円(前期比6.0%減)、連結営業損失は137百万円(前期は610百万円の連結営業損失)、連結経常損失は129百万円(前期は565百万円の連結経常損失)となりました。
また、特別損失として関東事業所の統合に係る事業所整理損失40百万円、減損損失36百万円等を計上したことにより、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は220百万円(前期は614百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は210百万円(前期は662百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて133百万円減少(1.9%減)し、6,812百万円となりました。これは主に、有価証券が300百万円、現金及び預金が168百万円それぞれ増加したものの、その他流動資産が236百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が205百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて78百万円増加(11.2%増)し、775百万円となりました。これは主に、その他流動負債が45百万円、買掛金が15百万円それぞれ減少したものの、契約負債が91百万円、株主優待引当金が25百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて211百万円減少(3.4%減)し、6,037百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失210百万円の計上等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ168百万円増加(前期は1,155百万円の減少)し、当連結会計年度末には4,958百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、557百万円(前連結会計年度に使用した資金は880百万円)となりました。これは主に、売上債権の減少額205百万円、棚卸資産の減少額194百万円、法人税等の還付額177百万円等によるものでありますが、税金等調整前当期純損失220百万円の計上により一部相殺されております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、389百万円(前連結会計年度に使用した資金は14百万円)となりました。これは主に、短期の運用目的で保有している有価証券の取得による支出(純額)300百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、0百万円(前連結会計年度に使用した資金は260百万円)となりました。これは過年度の配当金の支払額0百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
前年同期比(%) |
|
|
化粧品 |
(千円) |
755,673 |
155.0 |
|
健康補助食品 |
(千円) |
664,472 |
65.9 |
|
機能性素材開発 |
(千円) |
176,852 |
48.4 |
|
合計 |
(千円) |
1,596,998 |
85.8 |
(注)生体評価システム及びヘルスケアサポートでは商品を取り扱っていないため、仕入実績は記載しておりません。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
生体評価システム |
362,945 |
114.1 |
331,167 |
157.3 |
|
|
|
評価試験 |
362,945 |
114.5 |
331,167 |
157.3 |
|
|
バイオマーカー開発 |
- |
- |
- |
- |
|
ヘルスケアサポート |
688,306 |
115.7 |
- |
- |
|
|
合計 |
1,051,252 |
115.1 |
331,167 |
157.3 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額は、契約締結日を基準として集計しております。
3.生体評価システム事業全体の前年同期比には、前連結会計年度末をもって事業を廃止した医薬臨床研究支援事業の受注実績を含んで計算しております。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
前年同期比(%) |
||
|
生体評価システム |
(千円) |
242,294 |
109.6 |
|
|
|
評価試験 |
(千円) |
242,294 |
184.7 |
|
|
バイオマーカー開発 |
(千円) |
- |
- |
|
ヘルスケアサポート |
(千円) |
688,306 |
115.7 |
|
|
化粧品 |
(千円) |
1,506,090 |
97.3 |
|
|
健康補助食品 |
(千円) |
2,127,777 |
85.3 |
|
|
機能性素材開発 |
(千円) |
282,565 |
94.6 |
|
|
|
報告セグメント計 |
(千円) |
4,847,034 |
94.0 |
|
調整額 |
(千円) |
1,500 |
100.0 |
|
|
合計 |
(千円) |
4,848,534 |
94.0 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生体評価システム事業全体の前年同期比には、前連結会計年度末をもって事業を廃止した医薬臨床研究支援事業の販売実績を含んで計算しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社トレンドリンクス |
672,503 |
13.0 |
- |
- |
|
高浪控股股份有限公司 |
444,610 |
8.6 |
1,072,673 |
22.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高4,848百万円、営業損失137百万円、経常損失129百万円、親会社株主に帰属する当期純損失210百万円となりました。当連結会計年度における経営成績の分析は以下のとおりであります。
売上高の主な内訳は、生体評価システム事業が242百万円(前期比9.6%増)、ヘルスケアサポート事業が688百万円(前期比15.7%増)、化粧品事業が1,506百万円(前期比2.7%減)、健康補助食品事業が2,127百万円(前期比14.7%減)、機能性素材開発事業が282百万円(前期比5.4%減)となっております。健康補助食品事業において当連結会計年度の途中より、継続的な購入顧客にターゲットを絞った広告宣伝及び販売促進へと集客方針を転換したこと等から減収となり、全社合計では前期比6.0%の減収となりました。
販売費及び一般管理費は2,548百万円(前期比17.6%減)となり、営業損失は137百万円(前期は610百万円の営業損失)となりました。販売費及び一般管理費の主な減少要因といたしましては、化粧品事業の国内外での広告宣伝費及び販売促進費の抑制、健康補助食品事業での原価率の改善や広告宣伝費及び販売促進費の効率化を図った結果等によるものであります。
特別損失には、関東事業所の統合に係る事業所整理損失40百万円、減損損失を36百万円計上したこと等により合計では91百万円(前期は48百万円)となりました。
これらのことから、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は210百万円(前期は662百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、外注費などの製造費用のほか、人件費、物流費、研究開発費、広告宣伝費等を中心とする販売費及び一般管理費等の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、全て自己資金にて対応しており、外部からの有利子負債残高はありません。
当社グループが持続的に成長するために必要な運転資金及び設備投資資金等については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、内部留保資金から充当することとしています。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
なお、当連結会計年度の開始日から当連結会計年度末までの期間において、契約期間満了により終了した契約は次のとおりであります。
|
契約会社名 |
相手先の名称 (発明者) |
発明内容 |
|
㈱総合医科学研究所 (連結子会社) |
渡辺 恭良氏 (理化学研究所生命機能科学研究センター 客員主管研究員) 倉恒 弘彦氏 (大阪公立大学客員教授) |
血液中のアミノ酸濃度を指標として、ヒトの疲労度を評価する方法、キット及びその利用法。 |
当連結会計年度においては、主に2003年10月に発足した疲労プロジェクトや2024年4月に締結した東京慈恵会医科大学との産学連携による共同研究契約により、新たな機能性素材の開発及び商品ラインナップ拡充のための研究開発活動等を実施しており、研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動の内容は次のとおりであります。
(1)生体評価システム事業
生体評価システム事業における研究開発活動の主となる疲労プロジェクトでは、疲労の定量評価技術の確立、抗疲労効果成分の同定、抗疲労食品の開発を行いました。また、疲労プロジェクトの成果を応用し、食薬以外の製品の「癒し」効果等を評価する事業も展開しております。
当連結会計年度においては、東京慈恵会医科大学との産学連携による研究開発に関して継続して取り組むとともに、画像AI技術を活用した新たな「うつ病診断薬」の開発にも注力し、研究成果の社会実装を目的とした研究に積極的に取り組みました。
このようなことから、当事業に係る研究開発費は
(2)化粧品事業
化粧品事業におきましては、商品ラインナップ拡充のための新商品の開発に取り組みました。当事業に係る研究開発費は
(3)健康補助食品事業
健康補助食品事業におきましては、商品ラインナップ拡充のための新商品の開発や栄養成分の分析等を行いました。当事業に係る研究開発費は
(4)機能性素材開発事業
機能性素材開発事業におきましては、今後も成長市場であるフェムケア事業領域において更なる研究開発投資が重要と考え、フェムケア関連製品やラクトフェリンを有効成分とする健康食品の開発、また、新たな機能性素材の開発に取り組みました。当事業に係る研究開発費は