医薬品業界におきましては、創薬開発競争が激化し、開発自体が国際化、高度化及び大型化してゆく中で、引続きバイオベンチャー企業が活発な事業展開を進めております。特に米国においては、機関投資家からの積極的な資金提供が原動力となり、外部リソースとしてCROを有効活用する動きが鮮明になってきております。このような顧客動向を受け、当社グループは顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるサービスの深化と継続的な質の向上を目指しております。
こうした中で、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。
① 戦略的アライアンスによるグローバルバリューチェーンの強化
医薬品業界は、国際化が急速に進んでおります。当社グループは、これらのニーズに対応してグローバルな創薬支援体制を構築すべく、これまで国内事業の強化に加えて、米国事業、アジア事業を強化し、グローバルバリューチェーンの構築を図って参りました。今後は、各拠点における他社とのアライアンスを構築し、グローバルバリューチェーンの強化を進め、効率的な経営を行うことが課題であります。
② 人材の育成
当社グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員のほか、CRC(Clinical Research Coordinator)や統計解析スキルの高い人材、IT技術、マネジメントに優れた人材等を多く確保する必要がおります。
当社グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。こうした人材の確保や教育研修のために、当社では社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた教育研修を最重要課題として取り組んでおります。
③ トランスレーショナル リサーチ事業に対する取り組み
当社グループの持つ知財をもとに、創薬型の医薬品開発支援事業へパラダイムシフトするトランスレーショナル リサーチ事業は、すでに当社が独自開発した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System:NDS)について種々の化合物による技術評価試験が実施されており、対象薬剤の科学的性状から世界的市場性までを確実に評価し、上市を見据えた開発を行っております。具体的にはNDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)の開発は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を積み重ねており、優位性を確実に証明する段階へと進展しました。インフルエンザ抗原粉末投与専用デバイスとともにコンビネーション製品として開発しております。加えて、NDSを用いたフィージビリティ試験の受託については、国内外の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用を探索する試験を継続して受託し、共同研究にステップアップできる段階となっております。さらに、NDSの応用的発展である鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究や、ヒト遺伝子の解析を基にした個別化医療の手法探索等、新規事業開発に着手いたしました。今後、開発中の薬剤を早期に市場に出すことが課題であります。
④ SNBL USAの事業に対する取り組み
米国で前臨床事業を展開しておりますSNBL USAは、平成21年3月期まで数年間黒字が続いておりましたが、平成22年8月にFDA(米国食品医薬品局)からGLP改善指示書を受領し、その後、平成24年11月にFDAによる改善の確認は完了いたしましたが、受注への影響は大きく、平成22年3月期以降損失を計上しております。かかる中、当社グループが総力を挙げて抜本的な組織改革を行うとともに、経営体制及び現場オペレーションを体系的に再構築し、法令の厳守に加えて、専門的な科学知識や高品質のサービスがお客様に速やかに提供できる組織体制を整えた結果、米国政府主導の下で進められているARS試験や新規顧客からの問い合わせ増加に加えて、大手顧客からのリピート案件も着実に獲得しており、受注は回復傾向に転じてきております。今後も高い品質の試験実施を徹底して維持すると共に、営業体制を強化することで、米国市場でのSNBLブランドを再構築しつつ業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を進めております。
⑤ 実験動物の安定的確保
当社の前臨床試験において主体となる実験動物はサル(主にカニクイザル)であります。サルはヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあり、前臨床試験においては他の動物と比較して優位性が最も高いとされており、当社の前臨床事業の特色の一つであります。
当社は、品質の高い実験動物を安定的に確保するために、戦略的統括拠点として、中国及びカンボジア王国内に検疫・繁殖・育成施設を有し、日本国内では鹿児島に検疫・育成施設を設けております。米国では、SNBL USAが研究受託事業に専念し、固定費の負担軽減を含めて効率的な経営体制を構築するため、テキサス州において運営してきた動物輸入検疫および飼育・販売事業を分社化し、同事業の経営権をOrient Bio Inc.(韓国 Seoul 市)に譲渡しましたが、同社との間で長期の動物輸入検疫に関する契約を締結し、安定的な供給体制を整えております。今後も、これらの施設運営の効率化と質向上をはかると共に、実験動物の安定的確保に向けた取り組みを強化してまいります。
⑥ 再生医療分野への取り組み
国内では、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、以下「iPS 細胞」)を用いた新薬の研究開発、移植治療などの再生医療への応用・実用化の期待が高まっており、先進医療技術の実現や革新的な新薬・医療機器の創出が、日本の国際競争力の強化、経済再生に結びつく重要な国家戦略の一環と位置付けられました。
このような状況下において、当社は、平成25年2月、京都大学iPS細胞研究所と「人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来神経細胞による脳移植治療実現化に向けた安全性試験法の確立」に係る共同研究契約を締結し、iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の臨床応用に必要な安全性試験のデファクトスタンダードの確立に向けた研究開発に着手いたしました。また、上記契約の満了を受け、平成28年4月に発展する形で新たな共同研究を開始し、京都大学iPS細胞研究所に派遣しておりました当社スタッフを中心に安全性試験の受託を実施しております。今後、新たな手法を見出し、着実に安全性を担保できる試験を確立することが課題であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(平成30年3月31日)において当社グループが判断したものであります。
以下には、当社グループの事業展開その他に関しまして、リスク要因と考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、かつ、万が一発生した場合でも適切に対処するように努める所存でありますが、当社への投資判断は、本項及び本有価証券報告書中の本項以外の記載も併せまして、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 法的規制について
当社グループ国内企業の事業は、「薬事法」及びそれに関連する厚生労働省令等による諸規制を受けております。前臨床事業においては、実験動物の調達にあたって、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、動物の輸入届出制度等による諸規制を受け、試験実施施設は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」(GLP)に基づく各省庁の専門査察官による定期調査(試験施設のGLP適合性確認のための調査)の対象となっております。臨床事業においては、「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP)を厳格に遵守して臨床試験を実施することが義務付けられております。
また、当社グループの在外企業においては、国内と同様に所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けております。
当社グループの事業において、何らかの要因によりこれらの諸規制に抵触する事象が生じた場合には、事業展開に支障が生じる可能性があります。この場合、当社グループに対する製薬企業や医療機関等からの信頼が損なわれ、受託試験が中止あるいは削減され、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 製薬業界の動向による影響について
当社グループは、製薬企業等の委託を受け前臨床及び臨床試験を行っております。このため、当社グループの経営成績は、製薬業界の研究開発活動並びに前臨床及び臨床試験等の動向に大きな影響を受けております。
日本、米国、欧州における前臨床及び臨床試験データは、新薬の承認申請において相互に利用することが可能になってきており、近年においては国内大手製薬企業が海外において前臨床、臨床試験を行うケースが増加する傾向にあります。また、近年、製薬業界は研究開発における新薬開発競争力の強化を狙いとして合併・再編が進められており、わが国の製薬企業等の研究開発能力は、欧米大手製薬企業との規模の格差に起因して、相対的に低下していく可能性があります。
そうした中で、当社グループは前臨床試験施設であるSNBL U.S.A., Ltd.と臨床試験施設であるSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.(平成29年3月にPharmaron Beijing Co., Ltd.と合弁化し、名称をPharmaron CPC Inc.と改称、平成29年11月に当社の保有する株式を無議決権としたため、持分法適用の範囲から除外)を設立し、米国における事業展開及び再編を積極的に推進しております。また、国内においてもFDA(米国食品医薬品局)査察をはじめとする海外のGLP法令に対応可能な試験施設としての要件を備えるなど、成長性のある欧米市場の需要を取り込む体制を構築しております。
加えて、将来の市場拡大を見据えた中国における前臨床試験施設の立ち上げその他により、アジア地域を含めたグローバル展開の強化も推進していく方針であります。
しかしながら、世界的に製薬業界における前臨床・臨床試験に対する取り組みに変化が生じた場合、また当社グループが製薬業界の変化に対して十分な対応が出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害等による影響について
当社グループは、国内に加えて米国、中国等に事業所を保有し、そのうち現地法規制に適合した研究施設において、前臨床試験の受託業務を行っております。
これらの地域における台風、地震、火災など大型の自然災害の発生・罹災や伝染病の流行等により、施設・機器の損壊及び従業員の就業状況に支障を来たす事態が生じた場合には、予定していた受託試験の実施スケジュールの変更を余儀なくされます。その結果、施設の稼働率低下、収益計上時期のずれ込み、施設の補修等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 前臨床事業に係るリスク要因について
(a) 実験動物の取得について
当社グループが行う前臨床試験において使用される実験動物には、サル、イヌ、ウサギ、ラット、マウス等が含まれます。サルを除いた諸動物は、多産かつ妊娠期間が比較的短く、取得に関して特に大きな障害はありませんが、実験用に供するサルは、一回あたりの出産頭数が1匹で、妊娠期間も5か月近くあり、成熟するのに2年ほどかかることから、他の実験動物と比較して繁殖が容易ではありません。
当社グループにとって最も重要な実験動物はカニクイザルであり、前臨床事業の拡大に伴い必要とされるカニクイザルの数量も増加しており、今後もこのような傾向が続くと予想されます。当社グループは、この需要に対応すべく複数の国からの輸入体制を整備しておりますが、今後、我が国又は輸出国の法規制改正や伝染病の発生等により、カニクイザルの確保及び輸入に支障が生じた場合、円滑な試験実施に支障が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 前臨床試験におけるサルの優位性について
現状、実験用サルはヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、前臨床試験における優位性は高いとされており、前臨床試験における当該需要は、拡大する傾向にあるものと考えております。しかしながら、サル以外の動物においてヒトでの安全性評価に対する優位性が認められた場合、競合他社との十分な差別化が図れず、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(c) 研究施設における感染症等の発生について
実験動物の調達、特に霊長類の輸入にあたっては、動物輸入届出制度等の規制のもと、農林水産省動物検疫所に輸入届出書と衛生証明書の提出が義務付けられており、輸出国では、日本の農林水産省の審査を受けて認可された施設において厳格な輸出検疫を受け、基準を満たした個体だけが輸入されております。さらに、国内では農林水産省に認可を受けた指定動物(霊長類)検疫施設にて、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定められた厳格な検疫を実施した上で試験に使用しております。実験動物は、試験施設において、外部と遮断され、圧調整により相互の汚染が防止された室内で、新鮮な空気を定められた換気回数で入れ替え、温度・湿度ともに一定に制御された環境下にて飼育されております。また、GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。
また、当社グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。
しかしながら、施設内のトラブルや感染症等、予期せぬ事態が生じた場合には、適正な試験の進行に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(d) 動物愛護について
当社グループでは、製薬企業等から実験動物等を用いた前臨床試験を実施しておりますが、GLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に務め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しております。
しかしながら、生命の尊厳等の観点から動物実験全体を否定する立場もあり、動物愛護の風潮が高まる等により実験動物の利用に対して社会的評価が著しく低下した場合、当社グループのイメージに悪影響を与え、前臨床事業の円滑な遂行に支障を来たし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 臨床事業に係るリスク要因について
(a) CRO、SMO業界における競争の激化の可能性について
日本国内におけるCRO業界は市場規模が拡大しているものの、今後もその成長性に着目した新規参入が予想され、一方、日本国内のSMO業界は市場規模がほぼ横ばい傾向にあり、両業界に市場競争の激化が考えられます。このような競争激化の結果、当社グループの提供するサービス価格の低下や売上の減少を余儀なくされる可能性や、要員獲得競争による人件費の上昇の可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 被験者の健康被害について
治験に係る被験者に健康被害が生じた場合には、治験依頼者である製薬企業等が治療に要する費用やその他の損失を補償することがGCP省令で義務付けられておりますが、当社の過失によるものである場合には、製薬企業、医療機関等から損害賠償請求を受ける可能性があります。また、係る訴訟が社会問題に発展した場合には、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 研究開発活動について
当社グループにおきましては、新しい環境にも迅速に対応した質の高い業務ができるよう、前臨床事業及び臨床事業において最先端水準の技術を利用しております。また、必要に応じて他社、大学等の研究機関等との共同開発研究や技術提携等を行っております。また、関係会社においても研究開発活動(後述⑩を参照)を展開しており、当社グループは、今後も独自又は他社、大学等の研究機関等との連携を図った効率的かつ効果的な研究開発を進めていく方針であります。
当社グループの平成30年3月期における研究開発費は518,395千円でありますが、こうした研究開発活動に費やした費用が、当社グループに十分な成果をもたらすという保証はありません。
⑦ 知的財産権について
当社グループの事業において、研究開発活動に関わる成果を特許やその他知的財産権として確保することは、事業推進上重要であると考えております。しかしながら、当社の研究成果を全て権利化できるという保証はなく、また、保有している特許や将来取得する特許によって当社グループの権利を確実に保全できるという保証もありません。
有価証券報告書提出日現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。当社グループにおきましては、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しておりますが、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の正当性の有無にかかわらず、解決には多大な時間及び費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ バイオベンチャー企業との提携について
当社グループは連結子会社及び持分法適用関連会社に対する投融資の他、当社グループの企業戦略に則り、当社事業とのシナジー効果を期待して、国内外のバイオベンチャー等と資本提携関係を結んでおります。
提携先企業の財政状態及び事業計画の変更等により投資の回収可能性が懸念される事態が生じた場合には、当社として投資に対する評価損を計上することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ トランスレーショナル リサーチ事業について
注射による薬剤や経口剤など、従来の投与剤型に工夫を施して、薬効成分を鼻粘膜から吸収させる経鼻投与システム及び経鼻投与に必要な医療器具を自社開発しております。現時点において、鼻粘膜からの高い吸収率と十分な安全性を示す前臨床試験及び臨床試験のデータを得ております。並行して、経鼻投与システムの新たな活用も含めた製薬企業との共同研究、共同開発やライセンス供与について交渉を進めております。
これらの事業については、確実に収益をもたらすという保証はなく、その進捗等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 関係会社について
当社グループは、平成23年3月期以降連続して営業損失、平成23年3月期より平成27年3月期の間並びに平成29年3月期及び平成30年3月期において、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。また、営業キャッシュ・フローにおいても、平成26年3月期より平成29年3月期の間の4期連続してマイナスとなっております。
そうした状況の中で、SNBL U.S.A., Ltd.をはじめとする下記の関係会社について、業績改善に向けた取り組みを強化しております。
(a) SNBL U.S.A., Ltd.について
米国で前臨床事業を展開しております連結子会社であるSNBL U.S.A., Ltd.は、平成21年3月期においては黒字化が図られておりましたが、平成22年3月期以降においては損失を計上しており、平成27年3月期、平成29年3月期、及び平成30年3月期において、当社単体の投資額に対して関係会社株式評価損を計上いたしました。
平成22年8月にFDA(米国食品医薬品局)からGLP改善指示書を受領した結果、平成22年3月期以降損失を計上しております。かかる中、当社グループが総力を挙げて抜本的な組織改革を行うとともに、経営体制および現場オペレーションを体系的に再構築し、法令の厳守に加えて、専門的な科学知識や高品質のサービスがお客様に速やかに提供できる組織体制を整えた結果、受注は回復してきております。今後も高い品質の試験実施を徹底して維持すると共に、営業体制を強化することで、米国市場でのSNBLブランドを再構築し、業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を進めてまいります。
今後も、当社グループの中核事業として増資引受を行う等の財務支援を継続する方針でありますが、予期せぬ事業環境の変化等により、計画どおり事業が進展しない場合には、当社は追加的な金融支援や出資等に対する評価損の計上を余儀なくされる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) その他の関係会社について
その他の関係会社においても研究開発型企業があり、研究開発活動に対して資金を投下しておりますが、これら関係会社においても十分な収益化が図られる保証はありません。
⑪ 情報セキュリティ管理体制について
(a) 前臨床及び臨床試験に係る秘密情報の管理について
当社グループの事業では、製薬企業等から預託された開発品目の情報等(以下「秘密情報」という。)を得て前臨床及び臨床試験を実施しております。秘密情報については、事前の承諾なしに第三者に開示、譲渡、貸与、漏洩してはならない旨を規定した秘密保持契約を製薬会社等と締結しており、当社グループでは秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結して、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しております。しかしながら、万が一、当社グループより秘密情報が第三者に流出した場合には、製薬企業等からの信頼が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 治験における被験者等の個人情報並びにプライバシーの保護
当社グループの臨床事業のうち、SMO事業に従事する者は、被験者や治験に参加しようとする患者と直接接触し、医療機関が作成・保管するカルテ、症例報告書その他の個人情報を記録した書類を取り扱っております。このため、当社グループでは、治験実施医療機関との契約締結に際しては、必ず「機密事項の遵守」の条項を設けると共に、プライバシー・ポリシー(個人情報保護方針)を制定し、被験者に係る情報の取扱いに細心の注意を払っております。しかしながら、こうした社内体制が十分機能せず、当社グループから被験者のプライバシーや個人情報が漏洩した場合には、被験者を始め、製薬会社等や医療機関からの信頼が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 人員の確保、育成について
当社グループの事業推進にあたっては、医学、薬学、化学、理学、獣医学及び農学等の専門性が求められることから、博士、修士並びに医師、獣医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等の有資格者、かつ医療業務への従事経験を有する者が不可欠となります。
当社グループは今後も事業の拡大に伴い、積極的に人材の確保、育成を図る方針でありますが、こうした人材の確保や教育研修が当社の計画どおりに進むという保証はなく、人員の確保、育成が順調に進まない場合、当社グループの事業推進に支障が生じ、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、現在在籍するこれら人材の流出が生じた場合にも同様のリスクがあります。
なお、当社グループの事業拡大の進捗によっては、人員の増加による固定費負担が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 有利子負債への依存について
当社グループでは事業拡大の必要資金の多くを金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における連結決算における有利子負債残高(リース債務、短期借入金、長期借入金の合計額)は19,139,285千円であり、総資産比で33.2%と相応の水準にあります。また、平成30年3月期には374,004千円の支払利息が生じております。
また、当社グループでは、今後の金利上昇リスクを回避するため、長期借入金の大半は固定金利による調達等を実施しておりますが、今後における金融機関借入(借換えを含む)等においてはその時点の市場金利によることとなることから、当社グループの経営成績等は今後の金利変動に影響を受ける可能性があります。
今後も、国内及び米国等における設備資金並びに金融機関借入の約定返済を中心に相応の資金需要が生じるものと考えております。今後の資金調達に関しては資本市場からの調達と金融機関借入(借換えを含む)等のバランスを考慮しつつ、実施していく方針でありますが、これが当社グループの希望する条件で実行できる保証はなく、当社グループの事業展開の制約要因となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 為替の変動について
当社グループでは、海外製薬企業等からの試験受託や実験動物等の輸入仕入に関わる外貨建取引の決済に際しては為替相場の影響を受けております。また、連結子会社20社中9社は在外子会社であり、連結に際しては為替相場の影響を受けております。従って、為替の動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 業績の季節変動等について
過去3期間における当社グループの業績の上半期及び下半期の状況は下表のとおりであります。
当社グループの業績は、顧客である製薬企業等の検収が年度末である期末に集中する傾向にあることから、売上高は下半期に偏重する傾向にあります。しかしながら、利益面では、各期における個別又は複数の売上計上案件の利益率の差異及び計上時期並びに連結子会社における事業の進展状況その他の要因により変動しており、過年度においては必ずしも下期偏重は生じておりません。今後においても、当社グループの業績は、これら各種要因等により変動が生じる可能性があります。
|
(単位:千円) |
|
|
平成28年3月期 |
平成29年3月期 |
平成30年3月期 |
|||
|
上半期 |
下半期 |
上半期 |
下半期 |
上半期 |
下半期 |
|
|
(連結決算) |
|
|
|
|
|
|
|
売上高 |
6,563,256 |
8,186,816 |
7,082,810 |
10,161,685 |
7,552,892 |
9,047,658 |
|
営業利益 |
△2,387,149 |
△1,476,300 |
△1,713,618 |
△78,887 |
△779,382 |
81,911 |
|
経常利益 |
△2,642,067 |
△2,617,987 |
△2,911,056 |
805,531 |
△640,187 |
△172,894 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
1,027,426 |
1,618,709 |
△2,892,966 |
1,977,027 |
△1,650,261 |
△1,905,687 |
|
(単体決算) |
|
|
|
|
|
|
|
売上高 |
4,109,093 |
5,466,323 |
4,144,776 |
5,774,763 |
4,474,692 |
6,233,369 |
|
営業利益 |
△566,530 |
155,605 |
△538,453 |
465,333 |
△273,996 |
677,496 |
|
経常利益 |
△365,139 |
△286,162 |
△1,504,734 |
1,358,880 |
△436,260 |
219,270 |
|
当期純利益 |
1,479,160 |
953,548 |
△1,549,551 |
△3,122,357 |
△2,387,043 |
7,605,307 |
⑯ 重要事象等について
当社は複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及び経常利益に関する財務制限条項が付されております。当事業年度末において、これらの制限条項中で経常利益に関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社は、従前から取引金融機関に対して当社状況を詳細に説明して現状を認識頂き、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度における売上高は、16,600百万円と前連結会計年度に比べて643百万円(3.7%)の減少となりました。営業損失は697百万円(前連結会計年度:営業損失1,792百万円)、経常損失は813百万円(前連結会計年度:経常損失2,105百万円)となりました。
一方、SRC経営権の譲渡に伴い、特別損失681百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は3,555百万円(前連結会計年度:親会社株主に帰属する当期純損失915百万円)となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
① 前臨床事業
売上高は13,975百万円と前連結会計年度に比べて1,031百万円(8.0%)の増加となりました。営業損失は623百万円(前連結会計年度:営業損失1,714百万円)となりました。
② 臨床事業
Pharmaron CPCが連結子会社でなくなったため売上高は1,741百万円と前連結会計年度に比べて1,907百万円(52.3%)の減少となりました。営業利益は127百万円と前連結会計年度に比べて149百万円(53.9%)の減少となりました。
③ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は39百万円と前連結会計年度に比べて14百万円(60.2%)の増加となり、営業損失は245百万円(前連結会計年度:営業損失250百万円)となりました。
④ メディポリス事業
売上高は947百万円と前連結会計年度に比べて268百万円(39.6%)の増加となり、営業利益は12百万円(前連結会計年度:営業損失158百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べて2,129百万円(28.7%)減少して、5,294百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,344百万円(前連結会計年度:849百万円の使用)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純損失1,507百万円、減価償却費1,472百万円、売上債権の減少額285百万円、前受金の増加額264百万円及びたな卸資産の減少額398百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、837百万円(前連結会計年度:314百万円の使用)となりました。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,012百万円及び関係会社株式の売却による収入1,815百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4,224百万円(前連結会計年度:3,815百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、短期借入金の増加額1,076百万円、長期借入による収入850百万円及び長期借入金の返済による支出5,842百万円であります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
前臨床事業 |
13,753,675 |
105.8 |
|
臨床事業 |
1,764,640 |
52.6 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
39,687 |
164.2 |
|
メディポリス事業 |
912,459 |
137.8 |
|
報告セグメント 計 |
16,470,463 |
96.6 |
|
その他事業 |
1,117 |
21.7 |
|
合計 |
16,471,580 |
96.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
前臨床事業 |
13,524,676 |
95.4 |
13,601,559 |
94.1 |
|
臨床事業 |
1,974,413 |
60.3 |
1,870,454 |
114.2 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
40,027 |
130.3 |
7,000 |
105.1 |
|
メディポリス事業 |
912,459 |
137.8 |
- |
- |
|
報告セグメント 計 |
16,451,576 |
90.7 |
15,479,014 |
96.2 |
|
その他事業 |
1,995 |
49.0 |
- |
- |
|
合計 |
16,453,571 |
90.7 |
15,479,014 |
96.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
前臨床事業 |
13,904,878 |
107.7 |
|
臨床事業 |
1,741,530 |
47.7 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
39,687 |
164.2 |
|
メディポリス事業 |
912,459 |
137.8 |
|
報告セグメント 計 |
16,598,555 |
96.3 |
|
その他事業 |
1,995 |
49.0 |
|
合計 |
16,600,550 |
96.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」という。) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
医薬品業界は、バイオベンチャー企業が活発な事業展開を進めております。米国では、機関投資家からの積極的な資金提供が原動力となり、開発・製造・販売のスピードアップや効率化を目指したアウトソーシングニーズが堅調です。このような顧客動向を受け、当社は顧客から選ばれるパートナーとなるべく、顧客ニーズに応えられるスピード対応とサービスの深化ならびに継続的な質の向上に注力しております。
米国前臨床事業は、当社100%子会社のSNBL USA, Ltd.(米国 Washington 州;以下「SNBL USA」)がTexas 州 Alice 市において動物輸入検疫および飼育・販売事業を運営してきた、Scientific Resource Center(以下「SRC」)を分社化し、同事業の経営権をOrient Bio Inc.(韓国 Seoul 市、以下「OrientBio 社」)に譲渡しました。現在、動物輸入検疫は、同社に外注しています。これによりSNBL USAは研究受託事業に専念し、固定費の負担軽減を含めて効率的な経営体制を構築しました。国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼で選ばれる受託研究機関を目指すとともに、再生医療開発支援や薬効薬理試験メニュー拡充などにより、試験受託を強化しております。
国内臨床事業を担う株式会社新日本科学PPD(Pharmaceutical Product Development LLC;以下「PPD社」との合弁事業)は、急拡大しつつあるグローバル試験の巨大マーケットにいち早く対応すべく組織体制の構築強化を進め、順調に組織拡大が行われており、受託契約も順調に伸びております。一方、米国臨床事業は、Maryland 州 Baltimore市でPhaseⅠ事業を主体としておりましたSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を、昨年3月にPharmaron Beijing Co., Ltd.(以下「Pharmaron社」)と合弁化し、当該法人は当社の持分法適用関連会社となり、名称をPharmaron CPC, Inc. (以下「Pharmaron CPC」)と改称して、新体制の下で事業を推進しております。
トランスレーショナル リサーチ事業は、米国に設立した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)を応用した偏頭痛薬の開発会社 Satsuma Pharmaceuticals, Inc. (以下「Satsuma社」)が、平成28年12月に米国の有力機関投資家からの資金調達に成功し、臨床試験に向けて順調に開発を進めております。また、NDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)の開発は、ワクチン会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生を評価するための非臨床試験を積み重ねており、優位性を確実に証明する段階へと進展しました。インフルエンザ抗原粉末投与専用デバイスとともにコンビネーション製品として開発しております。加えて、NDSを用いたフィージビリティ試験の受託については、国内外の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用を探索する試験を継続して受託し、共同研究にステップアップできる段階となっております。さらに、NDSの応用的発展である鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究や、ヒト遺伝子の解析を基にした個別化医療の手法探索等、新規事業開発に着手いたしました。
一方、昨年9月、当社重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンス(以下「RGS」)は、中国のヘルスケア事業大手であるLUYE Life Sciences Group Ltd.(以下「緑葉集団」)とRGSが保有する培養軟骨細胞技術及びその他再生医療技術に関してライセンス契約を締結しました。本ライセンス契約により、緑葉集団からRGSに支払われる契約締結時及び対象技術移転時に契約一時金の一部、ならびにライセンス製品である培養細胞の売上高及びライセンス技術使用の売上高に応じて支払われるマイルストーン及びロイヤリティの一部が、それぞれ当社に支払われます。このほか、ニホンウナギの内陸部での閉鎖式循環システムによる人工種苗生産に世界ではじめて成功いたしました。これは、従来の方法とは異なり、内陸地でも可能であること、病原体の混入の心配がなく飼育水槽の水質管理が容易にできること、水槽の適温維持が低コストでできることなどの特長があります。
② 前臨床事業
国内前臨床事業は、顧客満足度をさらに高めることに注力するとともに、再生医療等新しい技術分野における受託サービスを強化しており、受注高は昨年実績を超えて順調に積みあがってきております。
米国前臨床事業のSNBL USAは、米国政府主導の下で進められているARS試験や新規顧客からの問い合わせ増加に加えて、大手顧客からのリピート案件も着実に獲得しており、ブランドの再構築を整いつつ業績改善に向けての積極的な受注活動と経費削減の徹底を進めております。
当社グループは、霊長類を用いた前臨床研究受託に関して、その技術力の高さと背景データの豊富さに定評があること、自家繁殖場を有することで高品質動物を安定的に供給できる体制を確立していること、加えて、動物愛護の視点からAAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)による認証をSNBLグループ全拠点で獲得していること等、明確な差別化戦略が効を奏しクライアントからの高い評価が定着してきており、継続した安定的な受注獲得に寄与しています。
③ 臨床事業
国内においては、平成27年4月1日に当社の臨床事業部門を会社分割し、PPD社との合弁会社となる株式会社新日本科学PPD(持分法適用関連会社)を設立し、グローバル臨床試験(国際共同治験)の実施体制を強化しております。
SMO事業においては、関東地域の事業基盤確立を企図して、平成28年10月に東京に拠点を置くアルメック株式会社の発行済株式の全株式を譲り受けて子会社とし、昨年4月には当社の完全子会社である株式会社新日本科学臨床薬理研究所との事業統合を行い、株式会社新日本科学SMOと改称して事業を行っております。また、本年1月には同じく子会社である株式会社Clinical Study SupportのSMO事業を統合し、がん対象試験の強化を進めております。
米国では、Maryland 州 Baltimore市のSNBL Clinical Pharmacology Center, Inc.を創薬探索化学合成分野においてグローバル製薬企業を多数顧客に持つPharmaron社と合弁事業化し、Pharmaron CPCと改称、従来からの事業にPharmaron社の営業ネットワークや独自技術を組み合わせる形で事業展開を図っております。
④ トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
当社が独自開発した経鼻投与基盤技術(NDS)の研究開発を鋭意進めながら、早期の商品化と事業機会の最大化を目指している一方、製薬企業へフィージビリティ試験を経てライセンスアウトする従来の事業化スキームに加えて、外部資金を活用した新たなスキームを構築しました。この新たな事業化スキームは、特定の化合物を経鼻剤に適用する開発子会社を設立し、機関投資家等から資金を調達して、臨床試験へと開発段階を上げてProof-of-Concept(概念実証)の確認を行い、付加価値を高めた上で、開発会社の株式上場や製薬企業への開発品のライセンスアウト、もしくは会社売却等を目指したものであり、既に、NDSを応用した経鼻偏頭痛薬の開発会社であるSatsuma社が臨床試験の遂行に向けて順調に研究開発を進めております。また、平成29年12月、大手製薬企業との間にNose-to-Brain送達技術に関する共同研究契約を締結し、実研究を開始いたしました。本送達技術に関する問合せは活発化しており、本年3月、前記とは別の大手製薬企業とフィージビリティ試験契約を締結いたしました。
⑤ メディポリス事業
環境に配慮する社会的事業として、当社は鹿児島県指宿市において地熱発電事業を行っております。併せて自然と健康をテーマにした指宿ベイヒルズ HOTEL&SPAの運営を行っており、これらの事業をメディポリス事業と位置付けております。
本発電事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づいて運営しており、地球温暖化防止、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、1,500kw級のバイナリー型地熱発電所を稼働、全量を売電しています。
当ホテルは昨年開業10周年を迎え、リブランディングを実行、客室のスイートルーム化、“砂蒸し風呂”など各種スパ施設並びに鉄板焼きやフレンチレストランの新設を行い、施設の充実を図りました。ホテル名称にも、昨年7月1日より「丘の上から眼下に広がる指宿市と錦江湾や大隅半島を臨む」といった意味を込め、「指宿ベイヒルズ HOTEL&SPA」と改称しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化してゆく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化してゆく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応してゆくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 戦略的現状と見通し
これらの状況を踏まえて当社グループは、強固な地位を占める国内事業に加えて、より需要の大きな米国市場において事業拡大を図る方針であります。
国内の前臨床事業は中長期的な視点で顧客からの要望に対して確実に応えられる体制構築に取り組んでおります。特に、薬効薬理センターを強化し、薬効評価モデルにおいては再生医療分野からも引き合いがあり、また霊長類を用いた薬効試験においては、他のCROでは実施困難で臨床への外挿性の高い複数の大型案件の受託に成功しております。さらにiPS細胞等の機能解析にも応用可能な設備を強化しております。
米国の前臨床事業においては、活況な米国市場において積極的に営業強化を行うとともに、生産性向上に向けてプロセス改善にも引き続き取り組んでおります。
臨床事業においては、近年日本国内に限定した臨床試験の実施から、多国間で同時に臨床試験を行う国際共同治験(グローバル試験)に主体が移りつつあり、世界トップクラスの臨床CROであるPPDのグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化すべくPPDと日本での事業を統合しております。
アジアにおいては、日米の前臨床事業への品質の高い実験動物供給拠点として、さらなる強化を図ってまいります。
(5) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,355百万円(2.4%)増加して、57,608百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,855百万円(15.7%)減少して、15,290百万円となりました。固定資産は、投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ4,211百万円(11.1%)増加して42,318百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,386百万円(7.1%)減少し、31,392百万円となりました。流動負債は、未払法人税等及び前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ326百万円(1.7%)増加して20,002百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が増加したものの、長期借入金が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2,713百万円(19.2%)減少して11,389百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したものの、その他有価証券評価差額金が増加したため、前連結会計年度末に比べ3,742百万円(16.7%)増加し、26,215百万円となりました。
(6)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b)資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は5,294百万円となっております。
(c)有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は19,139百万円となっております。
なお、平成29年9月に取引金融機関との間でコミットメントライン方式によるシンジケートローン契約を締結しております。借入枠は6,240百万円で、平成30年3月31日現在の借入残高は4,500百万円となっております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
前臨床事業におきましては、より付加価値が高く、かつ顧客満足度の高いサービスを、効率的かつ迅速に提供していく方針です。この前提条件として、より品質の高い実験動物を顧客ニーズに従い安定供給していく重要性が一層高まってきているために、国内、米国をはじめ中国、アジア地域の当社施設からの安定的な供給体制の確立に取り組んでおります。市場規模が日本の数倍あると予想される米国でのビジネスチャンスを逃さぬよう、当社グループの総力を挙げて米国子会社SNBL U.S.A., Ltd.の再生に取り組んでおります。
臨床事業におきましては、世界トップクラスの臨床CROであるPPDと日本における臨床事業を統合し、国内における臨床試験の実施体制を強化するとともに、PPDの有するグローバルネットワークを通じて、グローバル試験を含む幅広い試験の受託体制を強化し、事業の拡大を進めております。
トランスレーショナル リサーチ事業におきましては、創薬型の医薬品開発支援事業へのパラダイムシフトを進めるべく、外部資金を活用した開発を積極的に推進し、早期の事業化を目指していくよう取り組んでおります。
(8) 重要事象等
当社は複数の金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、本契約には純資産及び経常利益に関する財務制限条項が付されております。当事業年度末において、これらの制限条項中で経常利益に関する財務制限条項に抵触しております。しかしながら、当社は、従前から取引金融機関に対して当社状況を詳細に説明して現状を認識頂き、継続的な取引関係を構築しており、当該条項にかかる期限の利益喪失につき権利を行使しないことについての合意を得ておりますので、当該状況はすべて解消しております。
従いまして、当社としては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
SNBL U.S.A., LtdがTexas州Alice市において、動物輸入検疫および飼育・販売事業を運営してきたScientific Resource Centerを分社化し、同社をOrient Bio Inc.(韓国Seoul市、以下「OrientBio社」)へ譲渡しております。詳細については、第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結注記事項の(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動は、科学技術の急速な進展により医薬品の開発環境が大きく変化している中、新しい環境にも迅速に対応した質の高い開発支援ができるよう、当社グループの各セグメントにおいて最先端と思われる技術を開発利用しております。
当連結会計年度における研究開発費は、518,395千円であり、各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1) 前臨床事業
当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センター並びにSNBL USAでは、迅速で質の高い試験成績を委託者に提供できるよう、バックグラウンドデータの蓄積や解析を行うだけではなく、事前検討の実施や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、第三者機関により動物福祉適合施設として認証されております。
医薬品の主流が、低分子化合物から抗体医薬に代表されるバイオ医薬品の開発及びiPS細胞に代表される再生医療に移行する中で、当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の検討を先駆けて実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。抗体の特性評価をより詳細に実施するためのキャピラリー電気泳動や免疫学的測定法の一つであるELISAの自動測定装置Gyrolabでの受託も開始しております。さらに、既存技術より高感度でバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置Erennaの受託も開始しており、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。Erennaは国内CROでは当社のみ導入しており、他社との差別化を図って参ります。抗体医薬は霊長類のみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の霊長類を用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。
再生医療の分野では、iPS細胞を含む各細胞の機能解析にも応用可能な高機能細胞分析装置Attune NxTを導入し、研究受託機器を強化しております。Attune NxTのような高機能細胞分析装置を導入しているCROはほとんどないため、既に臨床検体の解析等も受託しており、前臨床だけでなく臨床試験の受託増加が見込めます。
近年新規ながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターを導入しました。当該機種LSRFortessa X-20は、国内CROでいち早く立ち上げ、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。
また、霊長類の感染実験が実施可能な施設を活用し、インフルエンザやエイズワクチンなどに関して企業や大学との共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。
これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は霊長類を用いた前臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に霊長類を主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、加齢黄斑変性症のみならず、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。
また、有効性評価の実績向上には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた前臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。すなわち、サルなどの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、前臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではございませんでしたが、新薬が出にくくなり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も高まっていくことが予想されます。
なお、研究成果については海外や国内の多くの学会等において発表したり、国内外の学術雑誌へ論文として掲載されたりしております。
以上の活動における研究開発費は、448,246千円であります。
(2) トランスレーショナル リサーチ事業
当社が独自に開発した経鼻投与基盤技術(Nasal Delivery System: NDS)について、早期の商品化と事業化機会の最大化を目途に、製薬企業へライセンスアウトする従来の事業化スキームに加えて、外部資金を活用する新たなスキームを構築しました。この新たな事業化スキームは、特定の化合物を経鼻剤に適用する開発子会社を設立し、機関投資家等から資金を調達して、臨床試験へと開発段階を上げてProof-of-Concept(概念実証)の確認を行い、付加価値を高めた上で、開発会社の株式上場や製薬企業への開発品のライセンスアウト、もしくは会社売却等を目指した戦略を立てています。その一環として、外部資金を活用したこの事業化スキームを基盤に、平成28年12月、米国の有力機関投資家であるRA Capital Management, LLC 及びTPG Biotechnology Partners V, L.Pからの資金調達に成功し、米国カリフォルニア州に経鼻偏頭痛薬(ジヒドロエルゴタミン経鼻剤)開発会社となるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(以下「Satsuma社」)を立ち上げました。Satsuma社は、当社が技術最適化したジヒドロエルゴタミン経鼻剤の開発を順調に進めております。
NDSを応用したインフルエンザ経鼻ワクチン(開発コード:TR-Flu)の開発は、研究協力会社から提供されたインフルエンザ抗原を用いて、TR-Fluによる抗体産生能を評価するための非臨床試験を実施し、有力な試験データやノウハウが得られ、優位性を更に高めるための基盤技術最適化段階へと研究開発が進展しました。現在、この研究協力会社とは共同開発について協議を行っているところであります。
さらに、NDSの新たな応用領域として、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発にも注力しております。中枢疾患におけるアンメットメディカルニーズは非常未だに高く、その治療薬開発は製薬企業における重点注力領域となっています。血液-脳関門の存在影響により、注射でさえ脳へと送達できない治療薬物について、Nose-to-Brain送達技術が新たな送達ルートとして期待されています。現在、国内大手製薬企業との共同研究契約やフィージビリティ試験技術提供契約が締結され、すでに実研究が進行しております。
さらに、国内外の複数の大手製薬企業から新規化合物の経鼻応用性について、NDSを用いたフィージビリティ試験を実施中であり、今後の事業展開について各社と協議を進めている状況にあります。
以上の活動における研究開発費は、55,627千円であります。
(3) その他の事業
その他の事業に係る研究開発費は、14,520千円であります。