文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、次の使命を掲げております。
「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する事を絶対的な使命とします。」
当社グループは、この使命の実現に向け、医薬品開発分野におきまして、網羅的に前臨床試験と臨床試験を受託できる研究機関として事業基盤の確立を図ってまいりました。半世紀を超えて長年培った研究実績や豊富な経験を活かして、最新の設備と確かな技術であらゆる疾患分野における医薬品開発のサポートを実施しております。
一方、科学技術の進展により、医薬品の開発環境は大きく変化します。このような新しい環境の変化にも迅速に対応し、世界に通用するビジネスモデルを構築して、当社の理念を共有でき優れた発想や卓越した才能を持つバイオベンチャーなどと共存共栄を図っていくTR事業にも積極的に取り組んでまいります。
社会貢献と企業価値の極大化を経営の基本方針として、株主、顧客、取引先、従業員等すべてのステークホルダーの期待に応えるべく努力を重ねてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、各事業、セグメントの創出する利益を極大化することを重視し、営業利益、経常利益の増大を経営目標にしており、これらの経営指標の中期的向上を目指しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの中長期的な経営ビジョンは、顧客となる製薬企業の研究開発が、大型化、高度化、国際化しつつある中で、バリューチェーンの構築を通じてグローバルマーケットにおいてクライアントから第一に選択される「オンリーワンカンパニー」となることを標榜しております。
基幹事業であるCRO事業に加えて、知的財産を導出することにより収益を上げていく研究開発型のTR事業にも注力し、より一層の付加価値を付けた質の高い技術と特化したサービスを提供できる体制を整備し、受託試験事業に依存した従来形態から創薬研究支援型の事業会社にパラダイムシフトしてまいります。
(4)経営環境
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCROへのアウトソーシングの動きが引き続き拡大しており、コロナ禍でその流れはさらに加速しています。また、COVID-19に対するワクチンや治療薬の研究開発に加えて、抗体医薬、核酸医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティの研究開発が本格化してきています。このようなトレンドを受け、CRO事業を主力事業とする当社は、“ダントツのCRO”としてクライアントから第一に指名される存在になることを目指し、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上ならびに継続的な品質の向上に注力しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
こうした中で、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。
① CRO事業の更なる強化
新型コロナウイルス感染症により経済社会生活へ世界規模での影響が続く中、特に医薬品業界では、国内、海外問わず、ワクチン開発、治療薬開発が急速に進んでおります。また、昨今の医薬品開発において、低分子医薬から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化に伴う医薬品開発難度の上昇に伴い医薬品の研究開発費増加が進み、迅速かつ質の高いCROへのアウトソーシングのニーズが高まっております。こうした中、次のような観点からCRO事業の強化を図ってまいります。
サービス拡充という観点からは、前年度に引き続き適切な新型コロナウイルス感染症対策を講じつつワクチン並びに感染症治療薬開発にCROとして参画するとともに、従来型の安全性試験に加え、候補化合物選定のための創薬スクリーニングから臨床試験に至るまで一貫して開発に必要な試験を受託することで、開発者側の視点に立ったより付加価値の高いサービスを提供することを目指します。
また、上述した創薬モダリティの多様化が進む中、再生医療分野で京都大学iPS細胞研究所との共同研究経験を活かしたiPS細胞を用いた安全性試験に関する受託業務を行ってきたように、今後とも常に業界の動きに逸早く対応した幅広いサービスを提供してまいります。
オペレーションの観点からは、作業工程におけるロボット化や自動化の推進による内部業務プロセスの見直しと改善を進め、紙の使用廃止を目指すZero Missionと名付けた社内活動などによる業務効率化、コストの削減、試験の早期開始などに努めるとともに、年々需要が高まっている新規創薬モダリティ医薬品開発に不可欠な実験動物(主にカニクイザル)のサプライチェーンマネジメントについても、日本・中国・カンボジアのグループ関連施設における検疫・繁殖・育成能力をそれぞれ増強することにより、リスク分散を図りつつ今後の事業成長に必要な品質の高い実験動物を安定的に確保できる体制を構築していきます。
マーケティングという観点からは、CRO市場の規模が大きく、より高い成長が期待できる米国やアジアといった海外市場に対し、これまでSNBL USAで培った海外における経験や顧客とのネットワークも有効に活用しながら、グローバルな顧客からのニーズにも積極的に対応し、市場拡大を目指してまいります。
② トランスレーショナル リサーチ事業の取組み
トランスレーショナル リサーチ(TR)事業では、当社グループの医薬品開発における機能、経験とネットワークに、独自の知的財産に基づく基盤技術を加えることで、創薬型の医薬品開発事業へとパラダイムシフトするという戦略に基づき、次の複数のプロジェクトに取り組んでまいります。
当社のTR事業が有する経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための拡張技術研究に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化を進めてまいりました。併せて、高い噴射性能と利便性を併せ持つ、独自の経鼻投与デバイスも開発し、さらなる改良を重ねております。未充足医薬品市場を確実に捉え、経鼻投与基盤技術のフィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻吸収による全身作用を企図した候補化合物を絞り込みを行った結果、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を臨床開発段階へと進展させました。現在、その開発は、本剤の開発権をライセンスアウトした連結子会社の株式会社SNLDが引き継いでおり、第Ⅰ相臨床試験を実施しております。また、当社からスピンアウトしたSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(カリフォルニア州;以下Satsuma社)は、当社からライセンスを受けた経鼻偏頭痛治療薬を開発しており、当社からの技術試験や助言も得ながら、現在第Ⅲ相臨床試験を米国で実施しております。Satsuma社は、2019年9月に米国ナスダック市場に上場を遂げており、当社TR事業の経鼻投与基盤技術を応用した製品の第一号を目指して、医薬品開発の最終段階に鋭意取り組んでおります。また、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しています。現在、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めています。さらに、新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るっている状況において、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との連携強化を目指しております。さらに、一方、連結子会社のGemseki社では、これまで推進してきたグローバルな創薬シーズ・技術のライセンス仲介事業を推進すると共に、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しており、国内外の顧客に対し、当社グループが保有する豊富な創薬経験とグローバルネットワークを活用した開発支援サービスを幅広く提供してまいります。
③ SDGs/ESGへの取組みを通した非財務価値の向上
企業価値を向上させていくためには、従来の財務面のパフォーマンスに加えて、ESG(環境、社会、ガバナンス)をはじめとした非財務面のパフォーマンスを向上させることが求められています。当社は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、世の中がSDGs/ESGに注力し始める以前から財務価値の向上と共にサステナビリティへの取組みを通じた非財務価値の向上にも継続して取組んでまいりました。
当社は事業を展開する中で、スローガンである「わたしも幸せ、あなたも幸せ、みんな幸せ」の実現に向けて、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に関する8つのマテリアリティを掲げ、ESGへの取組みを強化しています。また、これらの取組みは、世界中の人々が幸せに暮らせるように定められた世界共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するものです。(https://www.snbl.co.jp/cms/wp-content/uploads/2021/12/027682986c2744ab4c072a88a15da1c1.pdf)
環境については、気候変動を地球環境保全のための重大な課題の一つと認識し、脱炭素社会の実現に向けて積極的に取組んでいます。2015年からは再生可能エネルギーであり、ベースロード電源としても注目が高まっている地熱発電事業を鹿児島県指宿市で実施しており、年間で約4,000tのCO2排出量の削減に貢献しています。当社全体の温室効果ガス排出量についても、2030年に温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロの状態にするカーボンニュートラルの達成をめざす長期目標を設定しました。
さらに、気候変動が企業に与える影響についてリスクと機会を分析し情報開示を求める国際的なフレームワークTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)に賛同を表明し、同フレームワークに基づき、気候変動が当社へもたらすリスクと機会を織り込んだシナリオ分析を含む当社の気候変動対応を開示しています。
(https://www.snbl.co.jp/esg/tcfd/)
生物多用性の保全に向けても、当社は鹿児島県指宿市に約103万坪の自然豊かな広大な敷地を有しており、同敷地の9割を占める森林を地域の森林組合の協力のもと適切に管理することで、地域の生物多様性の保全に貢献しています。
社会に関する非財務パフォーマンスについては、人権尊重に関するポリシーの制定、女性が働きやすく活躍できる環境の整備、男性の育児休暇取得の推奨などダイバーシティの推進に取組んでいます。
また、人財こそ他社差別化を図り企業戦略を実現するための源泉と捉え、当社独自の人材育成制度であるSNBLアカデミーにおいて、各世代、役割や目的に応じた社内教育プログラムを展開することで、さらなる非財務価値の向上に取り組んでいます。加えて、健康経営を実践するために、代表取締役社長自身が最高健康責任者(CHO)を務め、「生活習慣病対策」、「メンタルヘルス対策」、「喫煙対策」の3つの分野でKPIを設定し、従業員の健康状態の向上を図っています。(https://www.snbl.co.jp/esg/esgdata/)
ガバナンスに関して、当社は、常に最良のコーポレートガバナンスを追求し、その充実に取り組んでいます。当社のコーポレートガバナンスに関する取り組みについては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しているほか、「コーポレートガバナンス報告書」や「サステナビリティレポート」をはじめとして、当社のホームページに掲載しています。
④ 優秀な人材の確保と育成
当社グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、昨今のAI・ビッグデータ・IoTといったデジタル化の流れを受け、IT技術や変化する経営環境に適応するためのマネジメントに優れた人材も多く必要とされております。
当社グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。
こうした人材の確保や教育研修のために、当社では社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。また、女性が社員の過半数を占める当社では、女性活躍に注力しており、産休・育休からの復帰もほぼ100%の状況となる中、引き続き女性の管理職登用数の増加に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(2022年3月31日)において当社グループが判断したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 法的規制について
当社グループ国内企業の事業は、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」及びそれに関連する厚生労働省令等による諸規制を受けております。前臨床事業においては、実験動物の調達にあたって、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、動物の輸入届出制度等による諸規制を受け、試験実施施設は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」(GLP)に基づく各省庁の専門査察官による定期調査(試験施設のGLP適合性確認のための調査)の対象となっております。臨床事業においては、「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP)を厳格に遵守して臨床試験を実施することが義務付けられております。
また、当社グループの在外企業においては、国内と同様に所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けております。
当社グループの事業において、何らかの要因によりこれらの諸規制に抵触する事象が生じた場合には、事業展開に支障が生じる可能性があります。この場合、当社グループに対する製薬企業や医療機関等からの信頼が損なわれ、受託試験が中止あるいは削減され、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 製薬業界の動向による影響について
当社グループは、製薬企業等の委託を受け前臨床試験及び臨床開発を行っております。このため、当社グループの経営成績は、製薬業界の研究開発活動並びに前臨床及び臨床試験実施等の動向に大きな影響を受けております。
日本、米国、欧州における前臨床及び臨床試験データは、新薬の承認申請において相互に利用することが可能になっており、近年においては国内大手製薬企業が海外において前臨床、臨床試験を行うケースが増加しております。また、近年、製薬業界は研究開発における新薬開発競争力の強化を狙いとして合併・再編が進められており、わが国の製薬企業等の研究開発能力は、欧米大手製薬企業との規模の格差に起因して、相対的に低下することが懸念されます。
そうした中で、当社グループは国内においてもFDA(米国食品医薬品局)査察をはじめとする海外のGLP法令に対応可能な試験施設としての要件を備えるなど、成長性のある欧米市場の需要を取り込む体制を構築しております。加えて、将来の市場拡大を見据え、アジア地域を含めたグローバル展開の強化も推進していく方針であります。しかしながら、世界的に製薬業界における前臨床・臨床試験に対する取り組みに変化が生じた場合、また当社グループが製薬業界の変化に対して十分な対応が出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害等による影響について
当社グループは、国内に保有する法規制に適合した研究施設において、前臨床試験の受託業務を行っております。
これらの地域における台風、地震、火災など大型の自然災害の発生・罹災や伝染病の流行等により、施設・機器の損壊及び従業員の就業状況に支障を来たす事態が生じた場合には、予定していた受託試験の実施スケジュールの変更を余儀なくされます。その結果、施設の稼働率低下、収益計上時期のずれ込み、施設の補修等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)を含む危機管理計画書の策定・訓練の実施、損害保険の加入、耐震対策、燃料等の備蓄機能の強化など、従業員の安全と安定的なサービス提供のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。
④ サプライチェーンマネジメントについて
自然災害、事故、パンデミックの発生等により当社の原材料調達先などのサプライヤーに被害や操業の一時停止が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の調達が困難となり当社事業活動に制限が生じることで、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライヤー行動規範の制定、損害保険の加入、事業継続計画(BCP)の策定、備蓄機能の強化、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、安定的なサービス提供のための体制を整備しております。
また、サプライチェーンにおけるコンプライアンスや環境問題など当社だけでは解決できない課題に関しては、サプライヤーと協力して課題解決に努めています。
⑤ 気候変動について
気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。当社は、2020年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動対策を含めた当社の環境経営に係る対応・管理を担っている環境委員会において、TCFDフレームワークを活用した気候変動による長期的な影響についてのシナリオ分析を実施しました。
その結果、当社の主事業であるライフサイエンス事業(医薬品の開発支援)においては、気象災害の激甚化に伴う操業停止、サプライチェーンの寸断や原材料調達コスト・アクセスの悪化等の物理的リスクは大きな事業リスクであり、医薬品供給能力の低下という社会リスクにも繋がると評価しています。
一方で、当社は安定的な再生可能エネルギーとして期待されている地熱発電所の稼働や全社的な省エネの取組みなど、SDGsやESGが注目される前から気候変動対応に係る取組みを推進しており、脱炭素社会への移行リスクは比較的小さいと評価しています。
当社では、これらのリスクに備え、2030年にカーボンニュートラルを達成するという目標を設定し、脱炭素社会への移行を推進しています。
⑥ 前臨床事業に係るリスク要因について
(a) 実験動物の取得について
当社グループが行う前臨床試験において使用される実験動物には、サル、イヌ、ウサギ、ラット、マウス等が含まれます。サルを除いた諸動物は、多産かつ妊娠期間が比較的短く、取得に関して特に大きな障害はありませんが、実験用に用いるサルは、一回当たりの出産頭数が1匹で、妊娠期間も5か月近くあり、成熟するのに2年ほどかかることから、他の実験動物と比較して繁殖が容易ではありません。
当社グループにとって最も重要な実験動物はカニクイザルであり、前臨床事業の拡大に伴い必要とされるカニクイザルの数量も増加しており、今後もこのような傾向が続くと予想されます。当社グループは、この需要に対応すべく複数の国からの輸入体制を整備しておりますが、今後、我が国又は輸出国の法規制改正や伝染病の発生、新型コロナウイルス感染症等により、カニクイザルの確保及び輸入に支障が生じた場合、円滑な試験実施に支障が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 前臨床試験における霊長類の優位性について
現状、実験用霊長類はヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、前臨床試験における優位性は高いとされており、前臨床試験における当該需要は、拡大する傾向にあるものと考えております。しかしながら、霊長類以外の動物もしくは評価系においてヒトでの安全性評価に対する優位性が認められた場合、競合他社との十分な差別化が図れず、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(c) 研究施設における感染症等の発生について
実験動物の調達、特に霊長類の輸入にあたっては、動物輸入届出制度等の規制のもと、農林水産省動物検疫所に輸入届出書と衛生証明書の提出が義務付けられており、輸出国では、日本の農林水産省の審査を受けて認可された施設において厳格な輸出検疫を受け、基準を満たした個体だけが輸入されております。さらに、国内では農林水産省に認可を受けた指定動物(霊長類)検疫施設にて、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定められた厳格な検疫を実施した上で試験に使用しております。実験動物は、試験施設において、外部と遮断され、圧調整により相互の汚染が防止された室内で、新鮮な空気を定められた換気回数で入れ替え、温度・湿度ともに一定に制御された環境下にて飼育されております。また、GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。
また、当社グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。
しかしながら、施設内のトラブルや感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)等、予期せぬ事態が生じた場合には、適正な試験の進行に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(d) 動物愛護について
当社グループでは、製薬企業等から実験動物等を用いた前臨床試験を受託し実施しておりますが、GLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に務め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しております。
しかしながら、生命の尊厳等の観点から動物実験全体を否定する立場もあり、動物愛護の風潮が高まる等により実験動物の利用に対して社会的評価が著しく低下した場合、当社グループのイメージに悪影響を与え、前臨床事業の円滑な遂行に支障を来たし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 臨床事業に係るリスク要因について
(a) CRO業界における競争の激化の可能性について
日本国内におけるCRO業界は市場規模が拡大しているものの、今後もその成長性に着目した新規参入が予想され、業界に市場競争の激化が考えられます。このような競争激化の結果、当社グループの提供するサービス価格の低下や売上の減少を余儀なくされる可能性や、要員獲得競争による人件費の上昇の可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 被験者の健康被害について
治験に係る被験者に健康被害が生じた場合には、治験依頼者である製薬企業等が治療に要する費用やその他の損失を補償することがGCP省令で義務付けられておりますが、当社の過失によるものである場合には、製薬企業、医療機関等から損害賠償請求を受ける可能性があります。また、係る訴訟が社会問題に発展した場合には、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 研究開発活動について
昨今の医薬品開発においては、低分子医薬から、中分子医薬、抗体医薬、核酸医薬、再生医療、遺伝子治療や抗体薬物複合体等へと創薬モダリティの多様化が進んでおります。また、製薬企業によるアウトソースの範囲は拡がっており、研究要素の強い開発初期段階の委託案件が増えてきております。当社CRO事業におきましては、創薬モダリティの多様化や委託案件の高度化にも対応できるよう、サイエンスレベルの向上や装置を含めた最先端技術の導入を進めております。特に中分子医薬品、核酸医薬、再生医療、遺伝子治療や抗体薬物複合体等の新規創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な装置の導入と評価系の構築は積極的に進めております。また、必要に応じて、企業や大学等の研究機関等との共同研究開発や技術提携等を行いながら、対応力の向上を図っております。当社TR事業におきましては、経鼻投与基盤技術の事業化機会を最大化するために、その3つの応用領域、応用化合物もしくは応用疾患に最適化した製剤及び投与デバイスの改良研究や臨床開発段階への進展に向けて鋭意研究開発を進めております。関係会社においても研究開発活動(後述⑫を参照)を展開しており、株式会社SNLDでは経鼻神経変性疾患レスキュー薬の臨床試験を開始しております。
また、経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおります。アジュバントには、ワクチンの効き目を高めたり、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりする効果があるため、新型コロナウイルス感染症など世界的な流行が起きて一度に大量のワクチンが必要になったとき、作製できるワクチン数を増やすことができます。このアジュバント製剤に関する研究は、注射用途と鼻粘膜用途としてそれぞれ実施しており、様々な応用展開が期待できます。今後、ワクチン開発会社や研究機関との連携を深め、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを計画しております。さらに、経鼻製剤や投与デバイスの製造については、受託製造会社との連携を強化しており、製品化を見据えた研究開発活動を推進しております。
当社グループの2022年3月期における研究開発費は425,075千円でありますが、こうした研究開発活動に費やした費用が、当社グループに十分な成果や収益をもたらすという保証はありません。
⑨ 知的財産権について
当社グループの事業において、研究開発活動に関わる成果を特許やその他知的財産権として確保することは、事業推進上重要であると考えております。しかしながら、当社の研究成果を全て権利化できるという保証はなく、また、保有している特許や将来取得する特許によって当社グループの権利を確実に保全できるという保証もありません。
有価証券報告書提出日現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。当社グループにおきましては、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しておりますが、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の正当性の有無にかかわらず、解決には多大な時間及び費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ バイオベンチャー企業との提携について
当社グループは連結子会社及び持分法適用関連会社に対する投融資の他、当社グループの企業戦略に則り、当社事業とのシナジー効果を期待して、国内外のバイオベンチャー、ヘルステック企業等と資本提携関係を結んでおります。
投融資に際し社内諮問機関にて審査を実施し、投融資後も提携先の経営陣との対話を通じて財政状態及び事業進捗のモニタリング、提携先とのシナジーの検討を実施しております。
提携先企業の財政状態及び事業計画の変更等により投資の回収可能性が懸念される事態が生じた場合には、当社として投資に対する評価損を計上することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ トランスレーショナル リサーチ事業について
独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図とした鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な感染予防を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用、及びより効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでの研究開発によって、鼻粘膜からの薬物吸収を促進する製剤技術や、使い勝手が良く噴霧性能に優れ、目的に応じて鼻腔内の送達部位を調節できる投与デバイス技術が構築されつつあります。また、経鼻ワクチンに関する研究については、ワクチンの効果を高めるための、注射用途と鼻粘膜用途のアジュバント製剤をそれぞれ研究しており、様々な応用展開を計画しております。さらに、経鼻製剤や投与デバイスの製造については、受託製造会社との連携による開発体制の強化を推進しております。併行して、これらの技術について、製薬企業との共同研究、共同開発やライセンス供与について交渉を進めております。
これらの事業については、出口戦略を入念に立てて取り組んでおりますが、多大な研究開発費と長期の研究期間が必要であり、且つ確実に収益がもたらされるという保証はなく、その進捗等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、治験を実施する場合において、被験者に健康被害が生じた場合には、当社の過失によるものである場合には、GCP省令に基づき、損害賠償請求を受ける可能性があります。
⑫ 関係会社について
連結子会社である株式会社SNLDにおいては、当社からライセンス供与を受けて経鼻投与による神経変性疾患レスキュー薬の臨床開発を行っています。当連結会計年度においては、パーキンソン病に対する経鼻レスキュー薬(開発コード:TR-012001)の国内第1相臨床試験を開始しました。併せて、経鼻ワクチンを含む新規経鼻投与のポートフォリオ創生を指向しております。当事業については、確実に収益をもたらすという保証はなく、その進捗等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
株式会社メディポリスエナジーが鹿児島県指宿市にて展開する地熱発電事業は、火災、爆発、事故、自然災害、落雷や天候等の自然現象などに起因する操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、多大な損失を被る可能性があります。当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損失を補填し得ない可能性があります。
その他の関係会社においても研究開発型企業があり、研究開発活動に対して資金を投下しておりますが、十分な収益化が図られる保証はありません。
⑬ 情報セキュリティ管理体制について
前臨床及び臨床試験に係る秘密情報の管理について
当社グループの事業では、製薬企業等から預託された開発品目の情報等(以下「秘密情報」)を得て前臨床及び臨床試験を実施しております。秘密情報については、事前の承諾なしに第三者に開示、譲渡、貸与、漏洩してはならない旨を規定した秘密保持契約を製薬会社等と締結しており、当社グループでは秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結し、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しております。しかしながら、万が一、当社グループより秘密情報が第三者に流出した場合には、製薬企業等からの信頼が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、セキュリティインシデントを想定した訓練を定期的に実施するとともに、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、パソコン毎にセキュリティソフトウェア製品を導入しております。加えて、ランサムウェア等による情報漏洩対策として、パソコン毎にEDR(Endpoint Detection and Response)製品を導入しております。また、モバイルやクラウドの利用拡大に対処すべく、当社のセキュリティモデルを従来の境界型セキュリティモデルからゼロトラストセキュリティモデルへ切り替え可能なサービス導入を行っております。
⑭ 人員の確保、育成について
当社グループの事業推進にあたっては、医学、薬学、化学、理学、獣医学及び農学等の専門性が求められることから、博士、修士並びに医師、獣医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等の有資格者、かつ医療業務への従事経験を有する者が不可欠となります。また、昨今のAI・ビッグデータ・IoTといったデジタル化の流れを受け、IT技術や変化する経営環境に適応するためのマネジメントに優れた人材も多く必要とされております。
当社グループは今後も事業の拡大に伴い、積極的に人材の確保、育成を図る方針でありますが、こうした人材の確保や教育研修が当社の計画どおりに進むという保証はなく、人員の確保、育成が順調に進まない場合、当社グループの事業推進に支障が生じ、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、現在在籍するこれら人材の流出が生じた場合にも同様のリスクがあります。
なお、当社グループの事業拡大の進捗によっては、人員の増加による固定費負担が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 有利子負債への依存について
当社グループでは事業拡大の必要資金の多くを金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における連結決算における有利子負債残高(リース債務、短期借入金、長期借入金の合計額)は9,281,811千円であり、総資産比で23.6%と相応の水準にあります。また、2022年3月期には126,646千円の支払利息が生じております。
また、当社グループでは、今後の金利上昇リスクを回避するため、長期借入金の大半は固定金利による調達等を実施しておりますが、今後における金融機関借入(借換えを含む)等においてはその時点の市場金利によることとなることから、当社グループの経営成績等は今後の金利変動に影響を受ける可能性があります。
今後も、国内及び米国等における設備資金並びに金融機関借入の約定返済を中心に相応の資金需要が生じるものと考えております。今後の資金調達に関しては資本市場からの調達と金融機関借入(借換えを含む)等のバランスを考慮しつつ、実施していく方針でありますが、これが当社グループの希望する条件で実行できる保証はなく、当社グループの事業展開の制約要因となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 為替の変動について
当社グループでは、海外製薬企業等からの試験受託や実験動物等の輸入仕入に関わる外貨建取引の決済に際しては為替相場の影響を受けております。また、連結子会社25社中8社は在外子会社であり、連結に際しては為替相場の影響を受けております。従って、為替の動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 業績の季節変動等について
過去3期間における当社グループの業績の上半期及び下半期の状況は下表のとおりであります。
当社グループの業績は、顧客である製薬企業等の検収が年度末である期末に集中する傾向にあることから、売上高は下半期に偏重する傾向にあります。しかしながら、利益面では、各期における個別又は複数の売上計上案件の利益率の差異及び計上時期並びに連結子会社における事業の進展状況その他の要因により変動しており、過年度においては必ずしも下期偏重は生じておりません。今後においても、当社グループの業績は、これら各種要因等により変動が生じる可能性があります。
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(単位:千円) |
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2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
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上半期 |
下半期 |
上半期 |
下半期 |
上半期 |
下半期 |
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(連結決算) |
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売上高 |
6,389,274 |
8,171,809 |
7,003,509 |
8,107,038 |
7,961,465 |
9,787,016 |
|
営業利益 |
1,078,583 |
1,149,668 |
1,161,431 |
1,368,103 |
1,969,403 |
2,226,205 |
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経常利益 |
1,258,675 |
1,862,629 |
1,305,248 |
2,340,092 |
2,529,491 |
4,548,701 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
877,251 |
1,673,127 |
1,139,293 |
2,522,562 |
3,503,725 |
3,623,904 |
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(単体決算) |
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売上高 |
5,750,647 |
7,416,782 |
6,400,350 |
7,141,529 |
7,507,000 |
9,063,039 |
|
営業利益 |
907,898 |
924,103 |
1,019,602 |
968,102 |
2,000,046 |
1,931,609 |
|
経常利益 |
777,085 |
2,505,626 |
836,421 |
1,924,419 |
2,208,601 |
4,121,823 |
|
当期純利益 |
613,729 |
△3,295,352 |
721,517 |
2,137,402 |
1,968,540 |
3,279,121 |
⑱ 固定資産の減損について
当社グループでは、当連結会計年度におきまして固定資産の減損損失を225,219千円計上しております。今後も、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、回収不能見込額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は17,748百万円と前連結会計年度に比べて2,637百万円(17.5%)の増加となっております。
営業利益は4,195百万円と前連結会計年度に比べて1,666百万円(65.9%)の増加、経常利益は7,078百万円と前連結会計年度に比べて3,432百万円(94.2%)の増加となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7,127百万円と前連結会計年度に比べて3,465百万円(94.6%)の増加となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
(a) CRO事業
売上高は17,047百万円と前連結会計年度に比べて2,539百万円(17.5%)の増加となり、営業利益は、5,035百万円と前連結会計年度に比べて1,642百万円(48.4%)の大幅増加となりました。
(b) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は12百万円と前連結会計年度に比べてほぼ横ばいとなり、営業損失は746百万円(前連結会計年度:営業損失708百万円)となりました。
(c) メディポリス事業
売上高は563百万円と前連結会計年度に比べて11百万円(2.0%)の増加となり、営業損失は17百万円(前連結会計年度:営業損失54百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前連結会計年度末に比べて2,731百万円(37.5%)減少して、4,548百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5,952百万円と前連結会計年度に比べて1,206百万円(25.4%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益8,183百万円、減価償却費1,177百万円、為替差益1,348百万円、関係会社株式売却益1,096百万円、持分法による投資利益1,439百万円、前受金の増加額1,611百万円及び法人税等の支払額1,014百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,268百万円と前連結会計年度に比べて3,999百万円(1,488.8%)の増加となりました。
主な内訳は、定期預金の預入による支出3,672百万円、有形固定資産の取得による支出1,543百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入1,084百万円及び投資有価証券の取得による支出521百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,911百万円と前連結会計年度に比べて2,440百万円(98.8%)の増加となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,492百万円及び配当金の支払額826百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
CRO事業 |
17,566,158 |
118.5 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
98.5 |
|
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
|
報告セグメント 計 |
18,106,256 |
118.0 |
|
その他事業 |
299,830 |
192.8 |
|
合計 |
18,406,086 |
118.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
CRO事業 |
23,220,925 |
141.7 |
19,724,160 |
146.7 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
103.6 |
- |
- |
|
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
- |
- |
|
報告セグメント 計 |
23,761,023 |
140.5 |
19,724,160 |
146.7 |
|
その他事業 |
264,470 |
176.2 |
- |
- |
|
合計 |
24,025,493 |
140.9 |
19,724,160 |
146.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
CRO事業 |
16,943,913 |
117.4 |
|
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
98.5 |
|
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
|
報告セグメント 計 |
17,484,011 |
116.9 |
|
その他事業 |
264,470 |
176.2 |
|
合計 |
17,748,482 |
117.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度においては当該割合が10%以上の販売先がないため、記載を省略しております。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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|
アステラス製薬㈱ |
2,002,656 |
13.3 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
(a) 概要
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指したアウトソーシングが引き続き堅調です。このようなトレンドを受け、当社は顧客から選ばれ続けるパートナーとなるべく、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上並びに継続的な質の向上に注力しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は軽微であると判断しております。
(b) CRO事業
前臨床事業において国内ナンバーワンCROとして顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼と品質で選ばれるCROを目指すとともに、新しい創薬モダリティに対応した、新しい技術分野におけるサービスも強化しております。当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。
・CROとして唯一構築できている「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増し、海外顧客からの受注増に繋がっております。
・新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、試験評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、新たな創薬モダリティに関連した受注に繋がっております。
・大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移し、既に複数の企業から創薬段階の研究を受注しております。
2022年3月期受注高につきましては、過去5年間の年次平均成長率が18.2%となり、同期末受注残高とともに過去最高を更新いたしました。当社では長年培ってきた技術とノウハウにより、従来よりも著しいリードタイムの短縮を実現し、臨床試験の早期開始に貢献しております。そうした中、試験室は高稼働となり、内部業務プロセスのイノベーションによる経費節減と合わせて高利益率を維持しております。国内製薬企業からの受注も堅調に伸長しておりますが、2022年3月期で特筆すべき特徴は、海外顧客からの受注の大幅伸長です。海外製薬企業からの受注額は総受注額の27.4%となり、過去5年間の年次平均成長率は52.2%を超えております。以下の3点の競争優位性を背景にグローバル製薬企業からの継続的受注に成功しております。
・20年間における米国での前臨床事業運営で培ったノウハウと信頼
・米国において勤務経験を積んだ人材資産の活用
・新規創薬モダリティに対応した試験評価系の確立
特に、当社が世界で唯一構築している「自社グループ内での大型実験動物の繁殖・供給体制」とサプライチェーンマネジメントにより安定的な実験動物の供給を実現しており、このことが顧客に高く評価され、大型試験の受注へと繋がっています。今後もサプライチェーンマネジメントを強化するとともに東南アジアにおける当社グループ施設の繁殖体制を強化し、日本国内においても十分な繁殖体制を確立させます。加えて、顧客ニーズに完全に応えられる体制を構築するため、施設の拡張や研究スタッフの増加を進めております。
(c) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための改良技術研究に関わる結果に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化検討を進めてまいりました。併せて、高い噴射性能に加えて、使い勝手の更なる向上や製造コストの更なる低減を目的とした新規投与デバイスの基本設計を概ね完了いたしました。未充足医薬品市場を確実に予測しつつ製剤開発を進め、フィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発品として決定しました。この開発は、2020年10月に設立した連結子会社である株式会社SNLDが引継ぎ、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。当社が2016年6月に設立し、当社とのライセンス契約の下で経鼻偏頭痛治療薬を開発中のSatsuma社は、2019年9月に米国ナスダック市場に上場を遂げ、安全性と有効性に関する第Ⅲ相臨床試験を米国で進めております。Satsuma社に対しては、創設以来当社から技術支援と助言、更に資金面での支援を継続して行っており、上市に向けた開発の最終段階にあります。これら2つの開発品に関しては、臨床試験遂行のため、相応の出資が必要であります。鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しています。現在、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めています。
新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るっている状況において、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおります。このアジュバント製剤に関する研究は、注射用途と鼻粘膜用途としてそれぞれ実施しており、様々な応用展開が期待できます。今後、ワクチン開発会社や研究機関との連携を深め、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを目指しております。
また、子会社の株式会社Gemsekiにおいては、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しており、本年度は6社に対して出資を行いました。
(d) メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地(メディポリス指宿)を保有しており、この自然資本(約9割が森林)を活用した環境に配慮した社会的利益創出事業を行っています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)などを行っております。
発電事業は、2015年2月に地熱発電所が稼働以来、順調に発電を継続しており、当連結会計年度は過去最高発電量を記録しました。また、新規発電プロジェクトとして、ホテルで浴用や床暖房に使用している泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所の建設が完了し、2023年3月期中の稼働に向けて準備を進めています。
ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形で宿泊施設(合計宿泊部屋数74室)を宿泊棟ごと、機能ごとに3つのホテルに分けており、それぞれヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」、メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」が稼働しております。「別邸 天降る丘」はCOVID-19の影響で高級リゾートを好む観光客が激減している影響を受けていますが、客室数が15室と少数であり、スタッフを他部門に異動させることで効率化をはかっていることから、経営に与える影響は軽微です。「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」は33室を有し、COVID-19を回避したい中長期滞在を希望する宿泊者に人気があり、リピーターが着実に増えております。患者専用宿泊施設の「HOTELフリージア」は26室が75%以上の高稼働状況となっています。
(e) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,340百万円(6.3%)増加し、39,312百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,354百万円(9.2%)増加して16,134百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産のその他が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ985百万円(4.4%)増加して23,178百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,544百万円(7.3%)減少し、19,589百万円となりました。流動負債は、前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ1,458百万円(12.2%)増加して13,373百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ3,002百万円(32.6%)減少して6,215百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を7,127百万円計上しましたが、投資有価証券の時価評価額が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3,884百万円(24.5%)増加し、19,723百万円となりました。
(f) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(g) 戦略的現状と見通し
CRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件を受託できております。また、新型コロナウイルスに対するワクチンあるいは治療薬の研究・開発についても、当社のリードタイム短縮などの取り組みを顧客に評価いただき、多くの案件を受託しております。
TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術であるNDSを用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発など、パートナー企業とのアライアンス構築を進めており、特に国外の製薬企業との、複数の候補薬剤ライセンスアウト・共同開発交渉を継続します。また、経鼻偏頭痛治療薬第Ⅲ相臨床試験を継続しているSatsuma社に対し、知財のライセンス供与元としてさらなる技術支援をしてまいります。
子会社SNLD社では、当社TRカンパニーが業務委託契約を結び、ハンズオンで開発をサポートしています。経鼻神経変性疾患レスキュー薬の第Ⅰ相臨床試験を準備するとともに、それに続くポートフォリオとして、NDSに親和性のあるレスキュー薬として主に中枢神経作動薬を調査中です。
また、子会社Gemseki社は、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、投資事業を推進してまいります。
メディポリス事業では、従来の地熱発電事業に加えて、既存の泉源を活用した温泉発電の設置を進めております。ホテル事業は、新型コロナウイルス感染対策に注力し、三密対策を徹底して安心して宿泊できる体制整備、部屋数を限定した高級志向のウエルネスリゾートホテルの開設など、新たなスタイルでの営業を行っております。その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、地熱由来の電力を使用したグリーン水素製造を含む様々な取組みを検討しております。
(h) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
CRO事業においては、海外顧客からの引き合いは引き続き活発に推移しており、グローバルな大手製薬企業からも継続的な受注に成功しております。この20年間、米国前臨床事業運営で培ったノウハウと米国での勤務経験を積んだ人材資産を活用して、海外顧客からの受託拡大を実現しております。
これら顧客ニーズに応えている大きな要因は、当社が世界で唯一構築している「自社グループ内での実験動物(霊長類)の繁殖・供給体制」、サプライチェーンマネジメントであります。新型コロナウイルス感染の蔓延などによる医薬品開発への実験動物需要増加が世界的に顕著となっており、その供給不足がCRO業界の課題となっております。当社では長年にわたり確立してきたサプライチェーンにより、以前と同様に安定的な実験動物の供給を実現しております。今後もこれらサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、中国における実験動物繁殖・供給施設であるSNBL CHINAを中国上場企業のPharmaronグループとの合弁事業とすることで拡充し、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、さらなる繁殖・供給能力の増大を企図しております。今後も効率的かつ効果的に各種実験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。
TR事業では、経鼻投与の新たな応用領域として、Nose-to-Brain送達技術の研究開発を世界に先駆けて加速しております。中枢疾患におけるアンメットメディカルニーズは非常に高く、その治療薬開発は製薬企業における重点注力領域となっています。血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、Nose-to-Brain送達技術の応用が期待されています。今後の目標は、アカデミアとの共同研究推進させること、そしてそれらのデータを基に複数の大手製薬企業と共同研究やフィージビリティ試験の契約を結ぶことです。またNDSに関しては、どのように投資を回収し収益をあげうるか、出口戦略の練り込まれた事業開発が必要であると認識しています。
昨今の医薬品開発においては、低分子医薬品から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化が進んでおります。当社グループは、こうした業界の動きに一早く対応し、常に新たな創薬ニーズに応えるべく取り組んで参りました。特に再生医療分野においては、京都大学iPS細胞研究所との共同研究に基づくiPS細胞を用いた治療に向けた安全性試験に関する研究開発経験を活かして受託しているほか、重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンスを通じたライセンス事業にも取り組んでおります。
今後とも創薬モダリティの多様化により生じる顧客からの様々な新規ニーズに迅速に対応し、付加価値の高いサービスを効率的に提供してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b) 資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は4,548百万円となっております。
(c) 有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は9,281百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束時期を見通すことが依然困難な状況にあるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。
子会社株式の譲渡
当社及び当社100%連結子会社である新日本科学(亜州)有限公司(以下「SNBL ASIA」)は、2021年4月7日開催の取締役会決議に基づき、SNBL ASIAの100%子会社である肇慶創薬生物科技有限公司の既存持分の譲渡及び第三者割当増資を実施しました。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動は、科学技術の急速な進展により医薬品の開発環境が大きく変化している中、新しい環境にも迅速に対応した質の高い開発支援ができるよう、当社グループの各セグメントにおいて最先端と思われる技術を開発利用しております。
当連結会計年度における研究開発費は、
(1) CRO事業
当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センターをはじめとする研究施設では、質の高い試験成績を迅速に委託者に提供できるよう、基礎データの蓄積や解析を行うだけではなく、評価方法の妥当性を検証するための事前検討や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、国際的な認証団体であるAAALAC Internationalにより適合施設として認証されております。
医薬品開発の主流は、低分子化合物から抗体や核酸、ペプチドに代表されるバイオ医薬品、iPS細胞に代表される再生医療あるいは遺伝子治療に移行しております。当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の評価系や試験系の検討を実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差反応性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。さらに、既存技術より高感度にバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置SMC PROやElispotを用いた受託では、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。抗体医薬は霊長類のみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の霊長類を用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。
近年新たながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターの最上位機種を導入しました。当該機種LSRFortessa X-20は、国内CROでいち早く立ち上げ、前臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。
遺伝子治療の領域では、PCR装置を用いた評価系が必須となっております。当社では他社に先駆けてPCR検査エリアの設置と処理能力の増強を図りました。その上で、第二世代のdigital droplet PCRを2020年に導入し、実績を積み上げております。
血漿あるいは血清中の薬物の濃度測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)が使用されますが、最上位機種であるSCIEX Triple Quad7500を導入しました。当該機種はこれまでにない感度で微量分析物の定量を実現可能です。核酸医薬品や生体内に含まれる微量な物質の血漿あるいは血清中濃度の測定が可能であり、前臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。
また、霊長類の感染実験が実施可能な施設を活用し、各種ウイルスに対するワクチンなどに関して企業や大学との
共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。
これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は霊長類を用いた前臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に霊長類を主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。
有効性評価の実績には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた前臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。そのうち近年更新したMRIでは脳活動の機能的評価も可能となりました。すなわち、霊長類などの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、前臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではありませんでしたが、新薬創出の難易度が高まり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も増加することが予想されます。
これらの研究活動には、外部アカデミア等との共同研究も含まれております。すなわち、京都大学iPS細胞研究所とは再生医療分野の安全性研究について、岐阜薬科大学とは寄附講座を開設した上で眼科疾患を中心とした病態モデル作出について、九州大学とは共同研究講座を開設した上でがん免疫研究について協働しております。
なお、これらの研究成果については海外や国内の学会等において発表したり、国内外の学術雑誌へ論文として掲載
されたりしております。
以上の活動における研究開発費は、
(2) トランスレーショナル リサーチ(TR)事業
TRカンパニーにおいては、血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発活動に注力しております。中枢神経系疾患にする医薬へのアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬の開発は製薬企業における重点領域となっています。アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めています。中枢における様々な薬物の動態解析方法や既存薬の新規薬理作用を同定して、具体的な開発薬品を定め臨床研究ステージへと飛躍させることを目標としており、開発化合物候補の調査も実施しております。併せて大手製薬企業との共同研究を幅広く行う予定です。また、新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るっている状況において、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおります。
さらに、経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための改良技術研究を通じて、自社開発候補化合物の拡充検討を進めており、経鼻吸収用に応用するための有力な中枢神経系化合物候補が挙がっております。また、経鼻投与デバイスについては、高い噴射性能に加えて、使い勝手の更なる向上や製造コストの更なる低減を目的とした新規投与デバイスの基本設計を概ね完了いたしました。当社よりスピンアウトした経鼻偏頭痛薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国 カリフォルニア州)は、2019年3月に米国NASDAQ市場への上場を遂げ、第Ⅲ相臨床試験を実施中であり、当カンパニーは引き続きその研究開発支援及び知財管理をしております。また、神経変性疾患の患者に対してレスキュー投与で速やかに症状の改善を目的とする治療薬の臨床開発を担う株式会社SNLDが、国内での第Ⅰ相臨床試験を開始しました。一方で、TRカンパニー内に設置した基礎研究室において、遺伝子情報をwet(実験)とdry(大容量ICT)の両環境で扱い、特定の疾患で発現遺伝子の量的変化を解析し、マーカーの同定や治療法の特定について取り組んでおります。現在、神奈川がんセンター等のアカデミアと共同研究を進めております。
以上の活動における研究開発費は、
(3) その他
その他の研究開発費は、51,081千円であります。