第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営環境

 当社グループは「財産の承継・運用・管理を通じてお客様の幸せに貢献していきます」を経営目的に掲げている財産コンサルティングファームです。相続による資産移転規模の拡大や事業承継の社会課題化など、当社グループのお客様である個人資産家や企業オーナーを取り巻く環境は大きな変化を迎えており、財産承継・事業承継・財産運用コンサルティングのニーズはますます増大していると認識しております。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置の終了により社会活動の正常化が徐々に進み、景気の持ち直しの動きがみられました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大やウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。さらには米国の金利上昇に伴う日米金利格差の拡大による急速な円安の進展、世界的なインフレや景気後退懸念に伴う株式市場の乱高下など、当該厳しい経済情勢下において、円滑な経営承継、円滑な財産承継、納税資金の確保、財産の運用と保全、まさかへの備えなどについてのコンサルティングニーズはますます高まっていくと考えられます。

 このような状況のもと、当社グループは「財産のことなら青山財産ネットワークス」をビジョンとして掲げ、多くのお客様からご支持いただける日本一の財産コンサルティングファームを目指しております。また、2022年からの3ヵ年を「拡大成長期」と位置付けた第三次中期経営計画を策定しております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは2022年からの3ヵ年を「拡大成長期」と位置付けた第三次中期経営計画を策定し、以下の課題に積極的に取り組んでおります。

①「戦略的個別サービス」と「総合財産コンサルティングサービス」の両輪によるお客様サービスの品質向上と、量的拡大を実現する

 当社グループの成長の鍵となるのは顧客数の拡大による将来組換え財産の拡大と認識しております。戦略的個別サービスから新規顧客を拡大し、総合財産コンサルティングと戦略的個別サービスのクロスセルにより収益を拡大してまいります。また、お客様の相続や事業承継を乗り越えるための最適な財産構成の実現により、お客様に喜んでいただける企業に成長してまいります。

 

②スマートフォンとオンラインコミュニケーションツールを活用した財産コンサルティングサービスを標準サービスとする

 コンサルティング業務の品質向上と標準化及び生産性向上を目的として開発されたARTシステムが2021年2月に本格稼働しました。今後はカスタマージャーニーの各フェーズでDX化を推進し、さらなる生産性向上と顧客拡大を目指してまいります。2022年度はADVANTAGE CLUBアプリの開発を実施いたしました。ADVANTAGE CLUBアプリはADVANTAGE CLUBの申し込み、契約、分配金の通知、決算報告、運用状況の確認を行える仕組みであります。このアプリの導入により対面やWEBでの申し込みや契約手続きがアプリ上で完結することになり、また、ADVANTAGE CLUBの郵送等の事務処理が大幅に削減されることから効率化・生産性の改善に繋がるものです。

 

③「人間力」が高いコンサルティング集団への成長

 お客様の大切な財産や事業についてご相談いただくためには、誠実さ、優しさ、利他心など、高い人間力を身に着けたコンサルタント集団に成長することが不可欠です。社内における人間力向上の取組みに加え、社員自身が社会貢献活動を通じて、人間力の向上につながる取組みを行っております。

 

④社会貢献活動への積極的な取組み

 事業を通じて得た収益の一部を継続的な寄付等、多くの方々が幸せに暮らせる社会に役立てるため、全社を挙げて継続的な貢献を行ってまいります。当社はこれまでも東京都医師会への寄付、医療機関への物資提供などを行ってまいりました。2022年度は「ペット殺処分の撲滅支援」や「子供食堂支援」など、社会課題に取組んでいる団体への寄付に加え、社員自身が社会貢献活動を行ってまいりました。

 

(3)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

 当社グループは、土地やその他天然資源等のエネルギーを利用した事業活動を行っており、気候変動への対応は事業継続に大きな影響を及ぼす重要な経営課題であると認識しております。また、不動産をはじめとする当事業活動にともない排出される温室効果ガスが気候変動に大きな影響を与えると考えており、主要なリスクだと捉えています。そのため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言へ賛同し、また環境に配慮した取り組みを資産価値の向上と社会的課題解決に貢献できるものと位置付け、お客様・テナント様のニーズに応えられるよう取り組んでまいります。

①ガバナンス

 TCFD推進はサステナビリティ委員会内の分科会として位置づけられ、分科会の活動内容はサステナビリティ委員会へ毎月報告され、サステナビリティ委員会より取締役会へ3か月に一度報告を実施しています。本年度は気候関連のリスク及び機会の評価、戦略策定ならびに温室効果ガスの排出量算出等に取り組んでおります。取締役会ではサステナビリティ委員会からの報告をもとにリスク管理方針の検討を行い、経営計画や戦略、施策の決定を行っています。

 

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②戦略

 本検討では、「ADVANTAGE CLUB(アドバンテージクラブ、以下「AD」)」をシナリオ分析の対象といたしました。ADは2021年における総売上高比率約70%、CO2総排出量比率約73%を占め、当社における代表的な商品であり、また主要なCO2排出源となっております。シナリオ分析の結果を将来的に経営戦略へと反映させ、今後一層環境に配慮した施策に取り組み、資産価値の向上と社会的課題解決に貢献し、お客様・テナント様のニーズに応えてまいります。

前提条件

選択シナリオ:2℃、4℃

移行リスク:2030年時点を想定、物理リスク:2050年時点を想定

不動産業界(不動産小口化商品)におけるリスクと機会は以下のように推測します。

 

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 IEA、環境省等のデータに基づき、それぞれのシナリオ(2℃、4℃)における世界観を想定し、各リスクが財務へ及ぼす影響について、試算をいたしました。いずれのシナリオにおいても組成規模の拡大により粗利額は増加しますが、気候変動リスクによるインパクトまたはその対策費用により粗利額へ影響が出ることを想定しています。いずれのシナリオにも対応できるよう、社内外関係者からのフィートバックを通じて、戦略のブラッシュアップ・経営戦略への反映をサステナビリティ委員会が中心となって実施してまいります。

 引き続きADVANTAGE CLUBの安定した運用に努め、お客様の大切な資産を守ってまいります。

 

③リスク管理

 当社グループ全体に関わる中長期的な視点での気候変動リスク・機会についてはサステナビリティ委員会が統括し、取締役会と連携する体制で監督・モニタリングを実施し、経営戦略への反映をおこなってまいります。また、当社グループでは創業時より不動産ソリューションサービスを提供しており、都心部の高価な不動産を取り扱っております。個別案件ごとのリスク管理を行うため、「不動産プロジェクト諮問会議」、「コンプライアンス委員会」を以前より設置しており、所定の条件を満たす案件においては、本諮問会議・委員会での審議が実施されています。審議の一部として気候変動に関わるリスク管理も実施されています。

 

④指標と目標

 当社グループにおけるCO2総排出量の実績は以下の通りです。

 

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 ADVANTAGE CLUBの運用規模拡大、社員数の増加等に伴い、CO2総排出量は増加傾向にあります。しかしながら、省エネルギー設備の導入や電力契約をカーボンフリープランへ変更することにより、m2あたりのCO2排出量(CO2排出量原単位)を削減しております。2030年または2050年に向けた排出量削減目標につきましては現在検討中となります。今後もCO2排出量抑制の施策を継続・拡大し、気候変動リスクへの対応を行ってまいります。

 

(4)人的資本経営の取り組み

 当社グループにおいて、コンサルティングの源泉である「人的資産(資本)」は極めて重要な経営資本となります。社員の能力と人間力を向上させ高品質なサービスを提供するとともに、社員の多様性を高めることでお客様の様々な価値観・ご要望に応え、財産コンサルティングの更なる高付加価値化を促してまいります。

①ガバナンス

 人的資本に関わる施策・戦略はサステナビリティ委員会により監督・モニタリングを行っております。サステナビリティ委員会を構成する5つのセグメントのうち3つのセグメントが人的資本に関連し、「経営理念浸透・人材強化」では経営理念・教育制度・採用戦略等について、「働き甲斐のある会社創造」では会議の全社効率化・女性の活躍推進・健康経営等について、「社会貢献」では社会貢献活動の取組み等について重点的に取り組み、取締役会と連携しながら活動しています。

 

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②戦略

 経営目標の達成へ向け、人材戦略が「財産コンサルティング事業」の「営業利益」ならびに「営業利益率」の向上に寄与するための要素を検討いたしました。営業利益についてロジックツリー分析を実施し、今後事業を拡大していく当社が取り組むべき人材戦略上のポイントを「採用」「教育」「人間力の向上」「働く環境の整備」の4点に集約いたしました。

 

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a.採用

 地域金融機関等の提携数の増加に伴い、コンサルティング案件や、ADVANTAGE CLUB等の商品販売に繋がる顧客の紹介を受けた結果、当社グループの顧客数は順調に増加傾向にあります。社内体制の効率化(システム導入や分業体制の確立)を推進しておりますが、それを上回る紹介数であるため、対応するコンサルタントの採用を進めております。人員ならびに採用に伴う費用は増加しておりますが一人当たり営業利益も増加傾向となっております。採用施策として採用要件の明確化と採用チャネルの強化・最適化について重点的に取り組んでおります。

 

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b.教育

 従来は中途採用による即戦力を重視しておりましたが、今後は在籍しているコンサルタントへの教育にも注力いたします。コンサルタント全体のレベルを引き上げることにより、当社の提供価値の向上と平準化を行います。当社グループの根幹であるコンサルティング分野の品質向上は新たなお客様からのご相談に繋がり、更なる好循環を生む起点となります。

 財産コンサルタント育成

 財産コンサルタントに関するスキルの体系化を行い、当社グループのコンサルタントとして必要な要件を整理いたしました。スキルの体系化により業務の平準化とスキルの均一化(底上げ)を促し、勤務効率を改善、お客様へ均一で高品質なコンサルティングを提供いたします。教育内容は「専門知識」と「営業総合力」に大別され、「専門知識」では税務・会計等の財産コンサルティングを行うにあたり必要となる専門知識を、「営業総合力」では商談をまとめていくために必要となる一般的な営業上の知識・テクニックを学習します。数年間におよぶ研修プログラムを通して、より難易度が高く高単価な案件に取り組める力を培います。

 経営人材育成

 次期役員を担い、当社グループを牽引する人材の育成にも取り組みます。外部研修を活用し経営において必要となる知識を学び、異業種との交流により見識を深めるプログラムと、現役役員とジュニアボードを開催し課題解決に取り組む高密度体験プログラムを並行して進めます。推薦を受けた候補者は数年をかけプログラムへ参加し、経営に必要な力を培います。

 

c.人間力向上

 お客様の大切な財産や事業についてご相談いただくには、コンサルタントがお客様から信頼を得ることが最も重要です。そのためには、誠実さ、優しさ、思いやりなどを兼ね備えた「人間力」が高いコンサルティング集団へと成長することが欠かせません。また、財産や事業の承継などに「正解」はありません。大切なのは合理的な「正解」ではなく、お客様にとっての「最適」を目指すことです。お客様の目線に立ち、お客様と伴走するためにも「人間力」が必須です。人間力向上は直接的に経営目標に寄与するものではございませんが、当社グループの基本的価値観として重要視しております。当社グループの価値は、一人一人の人間力の総和です。

 

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d.働く環境の整備

 従業員エンゲージメントと生産性には正の相関関係がみられることが各種調査で明らかになってきております。また、従業員エンゲージメントの向上は生産性に限らず、一般的に離職率の低下や採用成功率の上昇などにも寄与すると言われており、事業規模を拡大している当社グループにとって重要な課題です。

 健康経営

 当社グループは、これまでも社員の健康増進のために、専門家による社員向けの健康セミナーやリフレッシュルームへの酸素ボックスの設置、またマインドフルネスを導入し、瞑想ルームの設置等、様々な取り組みを行ってまいりました。また、2022年7月には健康経営宣言を制定いたしました。宣言の目的は、「弊社グループ社員の心と体の健康を守ることで、社員満足度を高めていくこと」、「社員満足度向上により、社員が自身の能力を最大限発揮でき、お客様への貢献にも繋がり、弊社グループの持続的成長と企業価値の向上につながること」の2点としています。

 健康経営宣言

 当社グループは「社員の健康が全ての基本」を経営課題とし、経営目的の「お客様の幸せに貢献し、共に働くメンバーの物心両面の幸せを目指す」を実現します。

 組織サーベイの実施

 2022年より会社と従業員の相互理解を測る目的で「組織サーベイ」を実施いたしました。エンゲージメントスコア(ES, サーベイ参加企業内における偏差値)を用いることで、今まで不明瞭であった心の充実・拡大について現在の立ち位置を計測いたしました。今後も定期的に調査を実施することで「会社と従業員の関係」を定量的に把握し組織改善に向けた社内施策立案に活用いたします。定期的なサーベイによりESの向上がされているかモニターしてまいります。調査の結果、共に働く社員の人柄や事業の優位性・社会的意義、財務基盤の健全性に強みがあること、一方で社内の体制やリソース、ナレッジの標準化等に課題があることが明確になりました。

 

③リスク管理

 当社グループでは、日常の個々の社員に関するリスク管理は主に人事部により実施されています。体と心に関するリスクが主要なリスクであると定義し、管理ならびに相談の受付を行っています。当社グループ全体に関するリスクについては「サステナビリティ委員会」ならびに「コンプライアンス委員会」によって管轄され、リスクを最小化するための管理体制を整えております。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)人材の確保及び育成

 当社グループの財産コンサルティング事業において、高度な専門知識と高い人間力を備えた人員の確保・育成が重要であります。優秀な人材の確保とテクノロジーを活用した育成と仕組作りに重点的に取り組んでおります。今後も優秀な人材を確保・育成していく方針でありますが、計画通りに人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)税制について

 当社グループの財産コンサルティング事業において、顧客の資産に係る相続税や租税特別措置法などの税制等は重要な要素であり、現行の税制に基づいてコンサルティングを実施しております。また、必要に応じて、税理士・弁護士等からの意見書の取得または事前に税務当局と相談をすることなどにより重大な問題の発生を回避するように図っております。しかしながら、将来、税制が改正されることにより課税の取扱いに変更等が生じ、顧客のコンサルティングニーズが減退する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)不動産市況の動向

 当社グループでは財産コンサルティング事業における「財産コンサルティング」として、不動産分野に関連する提案及び対策実行に係る報酬を得ております。また、財産コンサルティングの一環として生じる「不動産取引」を合わせると、不動産取引に関連する収益への依存度は高いものになっております。従いまして、不動産市況が悪化する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、金融庁長官・国土交通大臣より不動産特定共同事業者として認可を受けており、不動産小口化商品であるADVANTAGE CLUBを投資家向けに提供しています。当該商品を提供するため、組成用の不動産を取得し、取得後は速やかに任意組合へ譲渡することに努めております。不動産の選定にあたっては、資産価値の下落リスクが小さい都心の優良不動産に限定していますが、戦争や大規模の経済ショック等によって外部環境の大きな変化が生じ、投資家へ想定どおりに譲渡できず、当社グループで不動産を保有せざるを得ない状況となった場合、評価損を計上すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)個人情報等の管理について

 当社は、2009年5月に国際規格である情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度(JIS Q 27001:2006(ISO/IEC 27001:2005))の認証を取得し、更に2014年6月には、規格改訂されたJIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)へ移行するなど、積極的に個人情報等機密情報に関する管理体制の一層の強化を図っております。しかしながら、これらの対策にも関わらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

 当社グループが展開しております事業に関する主な法的規制は、次の通りです。

宅地建物取引業法(東京都知事(8)第62476号)

不動産特定共同事業法(金融庁長官・国土交通大臣第59号)

金融商品取引法(関東財務局長(金商)第1017号)第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業

 宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者免許の有効期間は2023年2月15日から2028年2月14日までとなっております。不動産特定共同事業法に基づく許可については、許可の取消しとなる事由は現状においては認識しておりません。金融商品取引法に基づく登録については、登録の取消しとなる事由は現状においては認識しておりません。今後、これらの関係法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。

(6)代表取締役社長への依存について

 当社の代表取締役社長 蓮見正純は財産コンサルティングに関する豊富な知識と経験を有し、また、経営方針や経営戦略の決定をはじめとして当社グループの企業活動全般において重要な役割を果たしております。現時点において、当社グループから退任することは想定されておりませんが、退任または不測の事態により経営から離脱する場合は、当社グループの経営戦略や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)新型コロナウイルス感染症について

 当社グループが取り組む財産コンサルティング事業においては、コロナ禍においてもコンサルティングニーズは高まっていくと考えられます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、長期にわたって行動に制限がされることによる顧客との対面での面談機会の喪失や顧客の投資意欲の減少などが生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じて業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは従業員の感染を防止するために、複数のサテライトオフィスの開設、在宅勤務や時差出勤を実施し、従業員の安全と健康に配慮して、業務への支障を抑えつつ感染拡大防止にむけた取り組みを実施しております。

 

(8)気候変動に関するリスク

 当社グループは、気候変動に伴う自然災害や異常気象等によってもたらされる物理的な被害だけでなく、気候変動を抑止するための諸制度や脱炭素化・低炭素化社会への移行関連コストが当社グループの業績に影響を与える可能性があることを認識しております。また、コンサルティングの一環として不動産やエネルギー等を利用した事業活動を行っており、気候変動の対応は重要な課題だと認識し、当社が組成する不動産小口化商品(ADVANTAGE CLUB)のクリーンエネルギー化を推進しております。さらには、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の気候変動に関するフレームワークを活用した情報開示と透明性向上に努めるため、サステナビリティ委員会を設置しております。今後もさらなる情報開示を進めてまいります。

 

(9)災害等の発生に関するリスク

 地震、台風、洪水、津波、噴火等の自然災害や大規模なシステム障害、テロ等の人為的な災害が発生した場合、当社グループの従業員が被災し、会社資産が毀損する可能性があります。特に台風については年に複数回発生する可能性があり、被害の規模は年々大きくなっています。当社グループでは、安否確認システムを導入するなど情報技術を活用した情報収集基盤を整備しておりますが、想定を上回る大規模な災害等が発生した場合、発生確率は極めて低いと判断しておりますが、当社グループの事業が一時的に中断し、事業運営、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)サイバーセキュリティに関するリスク

 サイバー攻撃の手法は日々複雑化・巧妙化しており、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。サイバー攻撃への対策は、当社グループにおいても重要な課題として認識しており、今後も継続的に対策強化を行っていく予定です。しかしながら、サイバー攻撃により、当社グループが扱う個人情報や機密情報が外部に漏洩した場合は、取引先への補償費用の発生、行政処分、社会的な信用力の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)資金調達リスク

 当社グループは、金融機関からの借入金や社債により、事業に必要な資金を調達しております。それに加えて、長期間のコミットメントライン契約や当座貸越契約を締結することにより、安定的な資金調達に努めております。しかしながら、金融市場の混乱や当社グループの経営成績の悪化等が発生した場合、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)風評リスク・評判に関するリスク

 当社グループは、従業員に対する法令遵守意識の浸透、厳格な情報管理、コンプライアンス体制の構築等の取り組みを行うことにより、健全な企業経営を行っております。しかしながら、報道やインターネット上の投稿等により、当社グループのサービスや従業員に対して意図的に根拠のない噂や悪意を持った評判が流布された場合には、内容の真偽に関わらず、当社グループの社会的な信用が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、金融商品取引業者として高度な法令等遵守態勢の構築が求められます。当社グループでは、コンプライアンスに関するルールブックであるコンプライアンス・マニュアルを制定し、役員および従業員に対してコンプライアンス意識の徹底を図っております。しかしながら、当社グループの従業員がコンプライアンス違反を行った場合には、当社グループの信用失墜によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)訴訟に関するリスク

 当社グループは、法令の遵守に努めておりますが、事業遂行にあたり、当社グループの法令違反の有無に関わらず、顧客や取引先より損害賠償・訴訟等を提起される可能性があります。損害賠償の金額、訴訟の内容や結果によっては、当社グループの社会的な信頼性に影響が及ぶ可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)事業戦略に関するリスク

 当社では、サービス品質向上のため戦略的個別サービスを含む様々なビジネス戦略を実施しています。今後、高齢化社会の更なる進展に伴う相続・財産承継ニーズの増加が想定され、当社サービスへのニーズは高まるものと認識しています。しかしながら、事業戦略が功を奏さず、当初想定していた結果をもたらさない可能性があり、当社の収益拡大も限定的なものにとどまる可能性があります。

 

(16)顧客開拓に関するリスク

 当社グループは、提携している金融機関・会計事務所からの紹介をメインに顧客開拓を行っています。当社の総合財産コンサルティングサービスは高度な専門性を必要とするため、当該サービスの内製化が行われる可能性は低いと認識しておりますが、万が一、内製化が行われた場合、顧客開拓のための活動や手法が有効に機能しなくなる可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産)

 流動資産は15,416百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,353百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が1,938百万円、販売用不動産が1,632百万円それぞれ増加したことなどによります。現金及び預金の比率が高い理由は、ADVANTAGE CLUB販売時に何らかの経済危機が発生し、不動産在庫リスクが発生する場合に備え、継続的に経営を維持できるよう保守的な財務運営によるものであります。但し、ADVANTAGE CLUB用の不動産仕入については、不動産の仕入決済時にADVANTAGE CLUBを組成するなど不動産在庫リスクを発生させない方針を継続しております。

 固定資産は6,341百万円となり、前連結会計年度末に比べて977百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が1,140百万円増加したことなどによります。

 これらにより、資産合計は21,757百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,330百万円の増加となりました。

 

(負債)

 流動負債は5,142百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,295百万円の増加となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が651百万円、未払法人税等が482百万円それぞれ増加したことなどによります。

 固定負債は8,295百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,842百万円の増加となりました。これは、長期借入金が1,324百万円、長期預り敷金保証金が651百万円それぞれ増加したことなどによります。主な長期借入金の増加はシンジケートローンの組成によるものです。

 これらにより、負債合計は13,437百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,138百万円の増加となりました。

 

(純資産)

 純資産合計は8,320百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,192百万円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により1,694百万円増加し、配当金の支払いにより726百万円減少したことなどによります。

 これらにより自己資本比率は38.0%(前連結会計年度末は40.8%)となりました。

 

b.経営成績

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高35,952百万円(前年同期比48.5%増)、営業利益2,629百万円(同41.6%増)、経常利益2,499百万円(同39.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,694百万円(同14.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,938百万円増加し、12,801百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益2,477百万円等があったことから、2,219百万円の収入(前年同期は2,389百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資有価証券の取得による支出1,243百万円等があったことから、1,256百万円の支出(前年同期は631百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入れによる収入3,800百万円、長期借入金の返済による支出1,823百万円、社債の償還による支出232百万円、配当金の支払額726百万円等があったことから、882百万円の収入(前年同期は374百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績、受注実績

該当事項はありません。

b.販売実績

当社グループは、財産コンサルティング事業のみの単一セグメントであります。当連結会計年度における売上高を区分別に示すと、次の通りであります。

売上高の種類

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比増減(%)

財産コンサルティング(百万円)

6,204

11.9

不動産取引(百万円)

29,747

59.4

合計(百万円)

35,952

48.5

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

銀座花椿通り任意組合

4,782

19.8

大手町Ⅱ任意組合

3,411

14.1

溜池山王任意組合

3,214

13.3

銀座六丁目西銀座通り任意組合

10,136

28.2

西麻布任意組合

6,101

17.0

表参道任意組合

4,663

13.0

築地任意組合

4,653

12.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高35,952百万円(前年同期比48.5%増)、営業利益2,629百万円(同41.6%増)、経常利益2,499百万円(同39.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,694百万円(同14.4%増)となりました。

 当社グループは、財産コンサルティング事業のみの単一セグメントであります。売上高の区分別業績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

財産コンサルティング

5,545

6,204

不動産取引

18,667

29,747

合計

24,213

35,952

 

a.財産コンサルティング

 当社グループは個人資産家及び企業オーナーに対して財産承継及び事業承継コンサルティングを提供しております。また独自の商品を開発してお客様の財産運用及び財産管理のコンサルティングも手掛ける総合財産コンサルティングファームです。

財産コンサルティングの売上高の内訳は次の通りであります。

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

財産承継

2,734

2,974

事業承継

1,417

1,442

商品組成等

1,392

1,787

合計

5,545

6,204

 

財産承継につきましては、個人資産家に対して相続の事前・事後対策、保有不動産の有効活用、広大地活用、不動産の購入・売却に関するコンサルティングなどから得られる売上を計上しております。

当連結会計年度においては、コンサルタントは資産規模の大きな顧客に注力してコンサルティングを行うよう営業方針を転換しております。当第4四半期連結会計期間において、複数の大型案件が成約したことにより、前連結会計年度の売上高を上回っております。なお、当連結会計年度より、金融機関からのお客様の紹介ルートが多様化したためご紹介頂くお客様が従来の土地持ち資産家から企業経営者等の属性の多様化がみられ、このお客様への対応力の強化を図るために、若手コンサルタント向けの教育機関であるコンサルティングエデュケーションセンターを設立し、場数と経験を積ませることに注力しております。

また、直接的な戦略的個別サービスによる顧客の拡大に加え、当社グループの総合力を活用すべく、青山合同税理士法人や税理士法人税務総合事務所、社会保険労務士法人プロジェストによるセカンドオピニオンや提携サービスの提供により、様々な属性のお客様と長期的かつ継続的にコンサルティング契約が受託できるような関係を構築してまいりました。

事業承継につきましては、企業オーナーに対して後継者決定支援、組織再編・財務改善・成長戦略支援、転廃業支援、M&A後の財産承継支援やM&A支援、事業承継ファンドを活用したコンサルティングなどから得られる売上を計上しております。

当連結会計年度においては、大型案件を含む複数のM&A案件を受託・クロージングしております。また、事業承継プランが堅調に推移したことから、事業承継の売上高は増加しております。事業承継ファンドについては、売上177百万円と前年同期の436百万円を大幅に下回っているものの、引き続き旺盛なニーズがあることから複数の投資意思決定を行っており、来期の収益計上を予定しております。

商品組成等につきましては、当連結会計年度においては、ADVANTAGE CLUBの組成が順調に推移したことから大幅に増加しております。また、地域創生事業第2号案件の売上も計上しております。

以上の結果、財産コンサルティングの売上高は6,204百万円(前年同期比11.9%増)となりました。また、財産コンサルティングの売上高、売上原価及び売上総利益は下表の通りです。

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

売上高

5,545

6,204

売上原価

2,799

3,326

売上総利益

2,745

2,878

 

 

b.不動産取引

 当社グループは財産コンサルティングの一環として、顧客の資産運用ニーズへの対応を図る目的から、不動産を仕入れ、不動産に関連した商品の開発を行い当社顧客等への販売を行っております。

 不動産取引の売上高の内訳は次の通りであります。

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

ADVANTAGE CLUB

15,800

27,540

その他不動産取引

2,867

2,207

合計

18,667

29,747

 

ADVANTAGE CLUBにつきましては、当連結会計年度においては6件組成(組成額284.9億円)し27,540百万円の売上を計上いたしました。

その他不動産取引につきましては、ADVANTAGE CLUB以外の不動産の提供や不動産保有時の賃料収入を計上しております。

以上の結果、不動産取引の売上高は29,747百万円(前年同期比59.4%増)となりました。また、不動産取引の売上高、売上原価及び売上総利益は下表の通りです。

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

売上高

18,667

29,747

売上原価

17,082

26,925

売上総利益

1,584

2,822

 

②資本の財源及び資金の流動性について

当社グループにおける主な資金需要は当社の顧客向けにADVANTAGE CLUB及び収益不動産を提供する際に、一時的に保有する不動産の取得資金であります。当社グループは不動産の見込在庫を保有しない方針であり、顧客のニーズを勘案して不動産を取得します。不動産の取得時点で提供先が概ね決まっており、保有期間は比較的短期なことから、取得資金の財源は自己資金又は金融機関からの短期の借入で充当しております。また、賃貸用不動産については、当該不動産から得られるキャッシュ・フローで返済できる期間での資金調達を行っております。当連結会計年度末の資金の残高は、12,801百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,938百万円増加しました。詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

当社グループは各地域有力会計事務所と「青山財産ネットワークスグループ全国ネットワーク加入契約」、「NSSTPSビジネスモデル協会加盟契約」または「AZN全国ネットワーク加盟契約」を締結し、AZN全国ネットワークという全国ネットワークを構築しております。

当該契約の概要は、以下の通りであります。

①青山財産ネットワークスグループ全国ネットワーク加入契約

・全国経営者会議、全国ネットワーク会議を開催する。

・国内外の経済・金融・不動産・法改正・商品・サービス・マーケットなどの各分野の研究会、研修会を企画立案し、実施する。

・会員各社との共同セミナーを主催する。

・その他の会員相互の利益に資する業務・情報発信を行う。

②NSSTPSビジネスモデル協会加盟契約

・資産コンサルティングの相談、資産コンサルティングの支援を行う。

・セミナー支援、顧客等への情報ツールの提供を行う。

・必要に応じ各種専門家等のビジネスパートナーを紹介する。

・情報交換会、案件相談会を実施する。

③AZN全国ネットワーク加盟契約

・財産コンサルティングの相談、財産コンサルティングの支援を行う。

・紹介する顧客に対して当社が組成する投資商品を提供する。

・事例研究会に出席、海外研修に参加することができる。

・定期的に情報誌を提供する。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。