第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループを取り巻くビジネス環境においては、「オールデジタル化」による大変革の時代が到来すると考えており、この変革には、大きく以下の3つの動きがあるとみています。
 まず、これまでなかったサービスやインフラが整備され、情報のデジタル化が日々の生活に波及し、生活全体がデジタル化する動きです。生活者は、身の回りの様々な場所に出現する、いわゆる「デジタルタッチポイント」を通じて、情報行動、購買行動など世の中のあらゆる動きをリードするようになります。つまり、生活者が中心となる社会がいよいよ本格的に到来する、ということです。
 また、ビッグデータ/IoT/AI/ロボットなどのデジタルテクノロジーの進化が起点となって、これまでの市場の垣根が融解し、産業構造の転換が進んでいきます。それに伴い、企業はこれまで以上に、先端テクノロジーの取り込みやビジネスモデルの変革など、ダイナミックなイノベーションの必要性に迫られるようになります。
 さらに、オールデジタル化は、企業活動のボーダレス化を加速します。これまで、国内企業は海外での事業拡大をめざし「グローバルシフト」を進めてきました。この動きは今後も継続すると見ていますが、それに、オールデジタル化の流れが加わることで、企業活動の「国境という概念を越えた“ボーダレス化”」が、ますます加速していくとみています。
 このような環境認識の下、当社グループは、今後の持続的成長を実現するため、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しました。以下の中期基本戦略に則り、3つの成長基盤を強化し、各種経営課題への対応を積極的に行うことで中期経営目標の達成に取り組んでまいります。

 

(1) 中期基本戦略

当社グループは、「生活者発想を基軸に、クリエイティビティ、統合力、データ/テクノロジー活用力を融合することで、オールデジタル時代における、企業のマーケティングの進化とイノベーション創出をリードすること。そのことで、生活者、社会全体に新たな価値とインパクトを与え続ける存在になること。」を中期基本戦略としております。
 この基本戦略に基づき、以下に掲げる3つの成長基盤を強化することで、未来をデザインし、社会実装を進め、生活者一人ひとりが自分らしく活きいきと生きられる「生活者中心の社会づくり」に貢献していきたいと考えています。

 

(2) 3つの成長基盤の強化

① 広義デジタル領域でのリーディングポジション確立

オールデジタル時代を見据えると、インターネットメディアのみならず、既存メディア由来のデジタルタッチポイント、新たに生成されるデジタルタッチポイントも含めた広義のデジタル領域に対応できる機能、体制を強化し、同領域でのリーディングポジションを確立することが必須となります。その実現のために、当社グループは「“生活者データ・ドリブン”マーケティングの高度化」、「多様化するデジタルタッチポイントへの対応」、「成長するインターネットメディア領域での体制の拡充」という3つの戦略施策を進めていきます。
 「“生活者データ・ドリブン”マーケティングの高度化」については、テクノロジー/データ・システム/ソリューションを常時アップデートし続け、統合的かつ効率的な運用を強化することに加え、クリエイティビティとの掛け算により、新たな市場や生活者価値の創造に繋がるような、より高付加価値なソリューションを提供してまいります。
 「多様化するデジタルタッチポイントへの対応」については、従来のオフラインメディアのデジタル化はもとより、AIスピーカーやコネクテッドカー、スマートストアなど、リアル空間に新たに出現する各種デジタルタッチポイントのメディア開発やマーケティングへの活用、ビジネス開発などに積極的に取り組んでいきます。そして、それらを横断的に統合管理するための機能の強化、対応体制の整備にも努めてまいります。
 
 「成長するインターネットメディア領域での体制の拡充」については、博報堂/大広/読売広告社など総合広告会社が統合マーケティング・ソリューションの提供の一環として、インターネットメディア領域での機能/体制強化を継続する一方で、高度なデジタルソリューションを提供し、いわゆるインターネット専業広告会社に対抗する「次世代型デジタルエージェンシー」の機能拡充にも注力します。加えて、総合広告会社、次世代型デジタルエージェンシーの両輪で構成されるフロントラインを支える総合メディア事業会社も、デジタルトランスフォーメーションを進め、オールデジタル時代に適した形へと進化させていきます。

 

② ボーダレス化する企業活動への対応力強化

国境という概念を越えた企業活動のボーダレス化が、オールデジタル化の流れにより、一層加速していく中、当社グループは「得意先のグローバルシフト」、「専門性/先進性」、「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の3つの要素を起点に、海外事業の強化を行います。
 これまで、中核事業会社を中心に「国内外一体運営」を掲げ、得意先のグローバルシフトへの対応を進めるとともに、kyuの機能拡充の他、アジアでの専門企業の買収を進めるなど、「専門性と先進性」を起点とした海外事業の強化も推進してきました。これらの取組みは、引き続き、M&Aも含め、積極的なリソースの投下を行い強化していきます。
 また、「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の有効性は、万国共通であると考えており、今後は積極的な投資と外部企業とのアライアンスを強化し、メディアのみならず、CRM/デジタルプロモーション/EC対応など、幅広くデジタルアクティベーション領域の実行体制を整備していきます。

 

③ 外部連携によるイノベーションの加速

オールデジタル化に伴い、企業は先端テクノロジーの取り込みやビジネスモデルの変革など、ダイナミックなイノベーションの必要性に迫られるようになります。そして、これからの時代のイノベーションには、当社グループの持つ生活者発想、クリエイティビティ、生活者データの活用力のみならず、得意先や媒体社、コンテンツホルダーなど当社グループの取引先の持つ各種リソースや、先進的な外部企業のテクノロジーを統合していくことが重要であると考えています。
 多様な外部企業との連携基盤を構築し、提供サービスのイノベーションのみならず、自社のイノベーションも加速していきます。

 

今後、上記の3つの成長基盤強化のために、M&Aのみならず、データやテクノロジー、システムインフラ整備や人材の強化・育成などに資金を投入することで、スピーディーかつ着実な成長を目指してまいります。

 

(3) 中期経営計画における目標

中期経営目標、及び同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標は、以下の通りです。
 
 <中期経営目標(2024年3月期)>
 連結のれん償却前営業利益(注1)  :  950億円
 
 <重点指標>

調整後連結売上総利益年平均成長率(注2)

: +7%以上

調整後連結のれん償却前営業利益年平均成長率(注3)

: +8%以上

調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージン(注4)

: 20%以上

のれん償却前ROE(注5)

: 15%以上

株主還元   : 安定/継続的な配当、業績や財務状況に応じた還元

 

 

(注1)連結のれん償却前営業利益とは、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益のこと。投資事業を含む全ての事業を対象とする。
(注2)調整後連結売上総利益年平均成長率とは、投資事業を除いた主力事業における、2019年3月期の実績から2024年3月期までの5年間の年平均成長率のこと。
(注3)調整後連結のれん償却前営業利益年平均成長率とは、投資事業を除いた主力事業における、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益の、2019年3月期の実績から2024年3月期までの5年間の年平均成長率のこと。
(注4)調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージン=調整後連結のれん償却前営業利益÷調整後連結売上総利益
(注5)のれん償却前ROE=企業買収によって生じるのれんの償却額等(持分法適用会社分を含む)を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均)
(注6)上述の中期経営計画に関する事項は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
 
 上記に加え、SDGsへの取組みや働き方改革等の経営課題に関しては、中期経営計画の計画期間に留まらず、継続的に注力すべきテーマとして認識しており、これらの課題に対しても積極的に取り組み、企業価値の一層の向上に努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業及びその他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
 なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいりますが、当社の株式に関する投資判断は、本項目及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、本項目に記載した予想、見通し、方針等、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来実現する実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。

 

(1) 経済状況・市場環境の変動

 国内企業の広告費の支出は、企業が景況に応じて広告費を調整する傾向にあるため、国内の景気動向に大きく影響を受ける傾向にあります。当社グループの国内売上高は、連結売上高全体に占める割合が非常に高く、国内景況が悪化すると当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループは、景況の悪化による影響を軽減するため、広範囲の業種にわたる顧客基盤の構築、マーケティング・コミュニケーションサービスの多様化、海外展開等をはかる所存でありますが、日本経済の回復が遅いもしくは不十分な場合、又は当社グループの対応が十分ではない場合もしくは十分にはかかる影響を軽減できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 当社グループの事業活動に関するリスク

 当社グループの新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディア広告の売上高は、ここ数年、売上高全体に占める構成比が減少してきているものの、2019年3月期においても、43%程度と大きなシェアを占めております。また、今後も引き続き、広告主のマーケティング活動に活用され、当社グループの中心的な事業であり続けると認識しております。
 一方、インターネット、スマートフォン等の新たなメディアを活用した広告は、マスメディア広告などと組み合わせることにより、相乗効果が高まるものと考えられ、広告市場全体の拡大に寄与すると思われます。
 しかしながら、当社グループを取り巻くビジネス環境においては、「デジタル化の進展による企業のマーケティング活動の変化」と「企業のグローバルシフトの加速」という2つの大きな構造的変化が起きており、この流れは今後も更に進むと考えております。そのため、当社グループは、そのような構造的変化に対応した施策を随時行なっております。しかし、このような施策を迅速かつ十分に行うことができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(3) 広告業界における取引慣行

 マスメディアの広告取引は、主として、広告主からの受注に基づき行いますが、各広告会社は自社の責任で媒体社等と取引を行うのが一般的です。そのため、広告主の倒産や未払いの増加等により、広告料金を回収できなかった場合には、広告会社が媒体社や制作会社に媒体料金や制作費を負担することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 また、広告業界では、慣行上、広告計画や内容の変更に柔軟かつ機動的に対応できるよう契約書を締結することは一般的には行われておりません。当社グループにおいても、継続的な取引関係が成立している広告主との間であっても、個別取引に関する書面は存在するものの、基本契約書等を締結していないことが一般的であります。そのため、広告主との間で明確な契約書を締結していないことにより、取引関係の内容、条件等について疑義が生じたり、これをもとに紛争が生じたりする可能性があります。
 なお、欧米では「一業種一社制」(同一業種では一社のみの広告主を広告代理店が担当する取引形態)が一般的であり、広告会社の報酬構造や報酬決定方法も異なっております。日本においてはこのような取引形態は一般的ではありませんが、欧米の広告主、広告会社が日本に進出してきている昨今の状況に鑑みると、今後これらの取引形態及び報酬構造や報酬決定方法が日本の広告の取引慣行に影響を与える可能性があります。当社グループにおきましては、こうした動向に対応し、サービス形態の多様化等に努めてきておりますが、今後、取引慣行の動向・変化に適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4) 法規制等の導入や変更

 広告主の広告活動、メディアにおける広告の掲載・放送方法や内容等、広告会社の事業活動等に関する法令・規制・制度の導入や強化、法令等の解釈の変更等がなされる場合があります。法規制等の導入や強化等に対して当社グループが適切に対応できない場合又は広告主の広告活動が減少する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 広告主との関係

 当社グループと広告主の間は、継続的な取引関係が成立しておりますが、広告主がコスト削減、取引関係の合理化等の要請を強める昨今の状況の中で、今後取引関係が解消、縮減等されない保証はなく、また、報酬等の水準は当事者間の合意によるものであり、その水準が今後も保証されるものではありません。もし従前と同様の取引関係が継続されない場合又は従前の取引条件が変更される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。なお、2019年3月期における当社グループの上位広告主10社に対する売上高は、当社グループの全売上高の15%程度となっております。

 

(6) 媒体社との関係

 当社グループの広告事業においては、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディアの広告に関する事業が主体であるため、主要媒体社からの仕入れの依存度は高くなっております。
 当社グループと媒体社では、長年の継続的な取引関係が成立しておりますが、媒体社との取引が継続されない場合又は取引条件等が変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7) 競合に関するリスク

 わが国の広告業界では、サービスの多様性、対応力、企画力、販売力等の観点から、売上高で上位の広告会社への集中傾向が高く、また上位広告会社を中心に熾烈な競争が行われております。更には、大手の海外広告会社も日本市場に参入してきており、競争がますます激しくなる傾向にあります。
 また、事業領域を拡大していく中で、コンサルティング会社など異業種企業との競合や、インターネット、スマートフォン広告市場等における新規参入企業や新興企業との競合が生じる機会も増加してきております。
 当社グループは、サービスの多様化、企画力、創造的提案力、経験、広告主との長年の継続的な取引関係等により競争上の優位性を確保していく所存でありますが、今後かかる優位性を確保できる保証はなく、優位性を逸した場合あるいは競争の激化に伴い報酬が低下した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 

(8) インターネット広告等のニューメディアの進展

 近年、インターネット、スマートフォン等新たな広告メディアの進展も著しく、かかる分野における広告市場は拡大傾向にあります。また、この分野においては技術の進化や多様な広告手法が生み出されております。当社グループといたしましても、早期の段階からインターネットメディアレップ会社であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の設立に関与し、連携強化に努めていることを含め、積極的な取り組みを行い、また新規メディアと既存メディアを組み合わせた広告戦略を広告主に提案してきております。
 しかしながら、新しいメディアが既存のメディアの広告価値を低め、かかる状況に対して広告主等へ広告戦略の構築、推進等の対応を当社グループが適切に提案、実行できない場合、又は新しいメディアに対する当社グループの事業戦略や取り組みが功を奏しないもしくは十分でない場合には、当社グループのサービスの低下をきたし、もって当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(9) 当社グループの事業展開に関するリスク

 当社グループは、総合広告会社である株式会社博報堂、株式会社大広、株式会社読売広告社及び総合メディア・コンテンツ事業会社である株式会社博報堂DYメディアパートナーズの4社並びに専門性と先進性の継続的な当社グループへの取り込みを狙った当社傘下の事業組織「kyu」に加えて、各組織がそれぞれ所有する広告関連サービスを提供する子会社群等から形成されており、広告主に対しワンストップでのマーケティング・コミュニケーションサービスを提供すべく事業展開をしております。また2024年3月期までの中期経営計画においては、積極的な投資戦略をとることとしており、成長の手段の一つとして、M&Aを実施することがあります。
 グループ会社を通じた事業展開、すなわちインターネット分野等の特定の事業や専門マーケティングサービスに特化、注力する会社の設立、買収、資本業務提携等により出資を含むグループ会社関係を構築することについては、出資額あるいは場合によっては出資額を超える損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、出資会社の事業活動や経営成績によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(10) 知的財産権

  広告業一般におけると同様、当社グループにおいても、事業活動を行う過程で、当社グループが所有する又は使用許諾を受けている以外の知的財産権を侵害してしまうおそれ、また逆に当社グループが所有する知的財産権が侵害されてしまうおそれがあり、当社グループがかかる事態を防止し、あるいは適切な回復をすることができない可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

(11) 人材の確保及び育成

 当社グループの成長性及び競争上の優位性は、優秀な人材の確保に大きく依存します。人材に関しては、新卒者の安定的採用や即戦力となる中途採用の推進により確保をはかり、各職責、能力、市場環境の変化に対応した教育研修等による育成に努めておりますが、何らかの理由により優秀な人材が流出する可能性や人材の確保に支障をきたすおそれもあります。かかる事態が生じた場合、当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。

 

(12) メディア・コンテンツビジネスに関わるリスク

 当社グループは、今後もスポーツ等イベントの権利取得や興業、映画製作への投資、アニメ・キャラクター関連番組制作等のコンテンツ関連ビジネスを行なってまいります。しかしながら、メディア・コンテンツビジネスの事業展開には、投資リスクを伴うものもあり、計画通りに進行しない場合又は収益を確保できない場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(13) アジア等の海外市場展開

 当社グループは、広告主のニーズに応えるため、また中期経営計画における成長の重点の一つとして、海外市場(特にアジア)における更なる拠点拡充や北米・欧州の専門マーケティングサービス企業のM&Aによるグループ内への取り込みを含め、積極展開をはかってまいりますが、これらの事業展開には、海外の事業投資に伴うリスク(為替リスク、カントリーリスク等)、出資額あるいは出資額を超える損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、計画通りに事業展開ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(14) グループ経営基盤に関わるリスク

 当社グループは、持株会社体制という枠組みの持つ優位性等、経営統合の相乗効果を最大限活用し、グループ経営基盤の強化に努めてまいりますが、持株会社統治等の効果が十分発揮されなかった場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 また、資金運用面においても、グループ内での資金運用、配分の効率化を進めておりますが、その効果が十分に発揮されない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
  なお、グループ経営基盤の強化、資金運用の効率化などの効果が十分に発揮されたとしても、他の不確定要因により当社グループの財政状態及び経営成績が当社の予想している水準に達する保証はありません。

 

(15) 訴訟等に関わるリスク

 当社グループは、現在においてその業績に重大な影響を与え得る訴訟・紛争には関与しておりませんが、様々な要因により今後直接又は間接的に、何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できません。当社グループが訴訟・紛争に関与した場合、その経過・結果如何によっては、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

(16) 投資有価証券に関わるリスク

 当社グループは、投資有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうち時価のあるものについては期末の時価を適用し、株式市況等の変動により評価損を計上する可能性があります。そのほか、投資有価証券については、発行会社の財務状況や今後の見通しなどに鑑み、時価が著しく下落し、その回復が見込めない場合には、減損処理により評価損を計上する可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(17) 退職給付債務に関わるリスク

 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行なっております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、その差額は将来にわたって規則的に損益認識されます。金利の低下、運用利回りの低下、年金資産の時価の下落等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合には、追加的な退職給付に係る負債の計上、未認識の過去勤務費用の発生又は将来の退職給付費用の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、これらの影響を軽減すべく退職給付制度の一部を2018年4月以降、確定給付年金から確定拠出年金に変更しておりますが、引き続き確定給付年金も残されているため、これらの可能性を完全になくすことはできません。また、退職給付に関する会計基準の変更等により、従来の会計方針を変更した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(18) 役職員等の不正行為のリスク

 当社グループは、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常的に、その役職員が法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、役職員の不正行為を完全に防止できる保証はありません。また、当社グループの取引先等の不正行為への関与が問題となる可能性もあります。そのほか、当社グループの役職員又はその取引先等により顧客情報その他の機密情報が漏洩したり不正に使用されたりする可能性もあります。これらの役職員等の不正行為により、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

(19) 災害、事故等に関わるリスク

 当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(20) 情報システムに関わるリスク

 当社グループは、広告主のマーケティング又は広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業のために、情報システムを使用し、情報インフラに依存しております。当社グループ又は当社グループが利用する第三者の情報システムに、システムの障害や停止、システムへの不正なアクセス、コンピュータウィルスの侵入、サイバーアタック、従業員の不適正な事務・事故・不正等による人為的過誤などが発生した場合、また同様の要因により情報の外部漏洩・不正使用等が発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動あるいは当社グループの社会的信用に悪影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度の日本経済は、企業の設備投資拡大、底堅い個人消費等を背景とした緩やかな回復傾向が基調としてありつつも、第2四半期の度重なる自然災害や米中通商問題の長期化、先行き不透明感からくる消費者/企業マインドの低下など景気下押しの要素が重なり、弱含みの展開となりました。国内広告市場(注1)は、国内経済の弱い流れの影響もあり、年度を通じて低調な動きとなっております。
 このような環境下、当社グループは、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画に則り、積極的な事業展開を継続してまいりました

 

① 売上高 

 当連結会計年度における売上高は1兆4,456億14百万円と前年同期比8.3%の増収になりました。
 サービスの種目別に見ますと、4マスメディアでは、「ラジオ」が前期を若干上回ったものの、「新聞」「雑誌」「テレビ」が減少し、4マスメディア取引合計は前期を下回りました。また、4マスメディア以外では、アウトドアメディアが前期を下回ったものの、インターネットメディアの大きな伸びに加えマーケティング/プロモーションとクリエイティブが好調に推移し、4マスメディア以外取引合計は前期を上回りました。
 また、得意先業種別に見ますと、主な増加業種としましては、「外食・各種サービス」「情報・通信」「流通・小売業」、また、主な減少業種としましては、「自動車・関連品」「食品」「家庭用品」となっております。(注2)
 

② 売上総利益および営業利益

 売上総利益に関しては、既存事業の順調な拡大に加え、新規連結子会社の取り込みによる押し上げ効果、㈱メルカリ株式売却の影響もあり、前期より525億81百万円増加し、3,249億16百万円(前期比19.3%増加)となりました。販売費及び一般管理費は、新規連結子会社の費用取り込み、のれん等償却額の増加などにより同17.9%増加となり、その結果、営業利益は653億92百万円(同25.3%増加)となりました。
 

③ 営業外損益及び経常利益  

 営業外収益は、投資事業組合運用益が7億15百万円増加し、受取配当金が3億91百万円増加したため、前年同期比13億67百万円増加41億75百万円となりました。

 営業外費用は、支払利息が2億27百万円増加したため、前年同期比1億27百万円増加7億58百万円となりました。

 以上の結果、経常利益は前年同期比26.6%増加688億9百万円となりました。

 

④  特別損益及び税金等調整前当期純利益

 一部の連結子会社において確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行したことに伴う退職給付制度終了益を35億64百万円、企業年金制度に係る退職給付信託財産が返還されたことに伴う退職給付信託返還益を162億32百万円計上した結果、特別利益は218億48百万円となりました。また当社が公開買付にて取得した連結子会社であるD.A.コンソーシアムホールディングス㈱の新株予約権に関する自己新株予約権消却損を13億74百万円計上した結果、特別損失は47億92百万円となりました。以上を加味した税金等調整前当期純利益は858億66百万円(同69.6%増加)となりました。

 

⑤  法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前年同期比133億42百万円増加307億80百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は、前年同期比43億21百万円増加76億77百万円となりました。
 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は474億8百万円(前年同期比58.9%増加)となり、前年同期より175億73百万円の増益となりました。

 

(注)1 「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省)によります。

    2 当社の社内管理上の区分と集計によります。

 

(2) 財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ1,074億11百万円増加し、9,055億47百万円となりました。
 主な増減は、有価証券の増加371億19百万円、受取手形及び売掛金の増加280億59百万円、投資有価証券の増加432億88百万円、退職給付に係る資産の減少202億26百万円であります。

 負債は、前連結会計年度末に比べ1,580億84百万円増加し、5,888億52百万円となりました。主な増減は、長期借入金の増加1,049億83百万円、支払手形及び買掛金の増加159億6百万円であります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ506億72百万円減少し、3,166億94百万円となりました。主な増減は、資本剰余金の減少877億42百万円、利益剰余金の増加319億95百万円であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて83億4百万円増加し、1,521億54百万円となりました。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(858億66百万円)の計上等に対して、売上債 権の増加(△186億11百万円)、仕入債務の増加(64億48百万円)、法人税等の支払(△210億77百万円)等があり、535億22百万円の増加(前連結会計年度末は323億72百万円の増加)となりました。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(△53億14百万円)、連結範囲の変更を伴う子会社株式及び出資金の取得による支出(△115億53百万円)等により、228億15百万円の減少(前連結会計年度末は204億99百万円の減少)となりました。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払(△100億55百万円)等により、219億74百万円の減少(前連結会計年度末は144億1百万円の減少)となりました。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

 当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としており、その内容、構造、形式が必ずしも一様ではないため、生産実績及び受注実績について、その金額あるいは数量を記載しておりません。

 また、販売実績については、(1)経営成績に含めて記載しております。

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画において、以下の通り、中期経営目標および同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標を掲げ、積極的に事業を展開してまいりました。

 当連結会計年度においては、㈱メルカリ株式売却にともなう一時的な損益の押し上げが発生しましたが、同影響を除外した実質比較でみても、掲げたすべての指標において目標水準を上回る実績となりました。

 なお、2020年3月期以降については、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載の通り、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画及び中期経営目標、重点指標を新たに設定しております。

 

<中期経営目標>

 

中期目標

2019年3月期実績

(中期経営計画最終年度)

(注1)

連結のれん償却前
  営業利益(注2)

570億円

589億円

 

 

<重点指標>

 

計画

2019年3月期実績
(中期経営計画最終年度)

(注1)

連結売上総利益
  年平均成長率(注3)

3ヵ年平均
+7~10%

3ヵ年平均
+10.2%

連結のれん償却前
  オペレーティング・マージン(注4)

18~20%

18.9%

のれん償却前ROE(注5)

10%以上

12%強(注6)

 

 

(注1)2019年3月期実績は、㈱メルカリ株式売却にともなう損益影響を除外した数値

(注2)連結のれん償却前営業利益とは、企業買収によって生じるのれんの償却額等を除外して算出される連結営業利益

(注3)連結売上総利益年平均成長率は、2016年3月期の実績から2019年3月期までの年平均成長率

(注4)連結のれん償却前オペレーティング・マージン=連結のれん償却前営業利益÷連結売上総利益

(注5)のれん償却前ROE=企業買収によって生じるのれんの償却額等(持分法適用会社分を含む)を除外して算出される親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均)

(注6)㈱メルカリ株式売却の他、退職給付制度関連の特別利益の影響も除外して算出されるのれん償却前ROE

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、経営環境のいかなる変化のもとでも事業活動を安定的に継続させる為に必要な手元流動性を確保した上で、事業活動から生み出されるネットキャッシュを、中期経営計画に基づき成長分野に重点的に投下することを基本方針としております。また、安定かつ継続的に株主に配当を実施することを株主還元の基本方針とし、資金需要の状況、業績の動向及び内部留保の充実等を総合的に勘案の上、配当額を決定しております。
 将来の成長の為に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述の通り自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、M&Aや設備投資は個別案件毎の規模やタイミングにも依存するため、状況次第では手元資金のみで賄えない場合も想定されます。このような場合には、当社グループの財務状況や金融・資本市場の動向を鑑み、コストや機動性等を精査した上で、金融機関からの借入等の適切な手段で資金調達を実行する所存であります。

 なお、現在の当社グループの財政状態等から勘案すると、十分な資金調達能力を有していると判断しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

  該当事項はありません。