当社グループは、2019年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきましたが、コロナ禍の影響によりビジネス環境が激変したことを受け、2022年2月に同計画の見直しを行いました。
主要なビジネス環境変化として、まずコロナ禍に伴い、生活全体がデジタル化する「オールデジタル化」が急速に進行していることが挙げられます。あらゆるモノがインターネットとつながる世界が現実となり、モノと生活者の関係は単なる「接点」ではなく、相互に情報のやりとりをする「インターフェース」に進化してきています。この新しい市場のことを、当社グループは「生活者インターフェース市場」と名付けました。
生活者インターフェース市場では、身の回りのモノ、デバイス、店舗、メディアがネットワークにつながり、データ化され、インターフェース化します。企業はそれらを活用することで、一人ひとりの生活者に最適化したサービスを提供することが可能になります。
「生活者インターフェース市場」が拡大する中で、企業のマーケティングニーズも変化していきます。今後の企業と生活者のつながりは、広告などの「間接接点」のみならず、店舗やECサイトなどの「直接接点」が重要となり、それら全体をデータで統合管理することが求められます。
このような環境認識の下、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、得意先のマーケティングとイノベーション両課題の解決をリードし、得意先と自社のサステナブルな成長を実現するために「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けました。そして、これまで掲げてきた「中期基本戦略」は継続しつつ、変革に向けた4つの取り組みを進め、グループ全体をアップデートしてまいります。
当社グループは、「生活者発想を基軸に、クリエイティビティ、統合力、データ/テクノロジー活用力を融合することで、オールデジタル時代における、企業のマーケティングの進化とイノベーション創出をリードすること。そのことで、生活者、社会全体に新たな価値とインパクトを与え続ける存在になること。」を中期基本戦略としております。
この基本戦略に基づき、以下に掲げる4つの取り組みを進め、未来をデザインし、社会実装していくことで、生活者一人ひとりが自分らしく活きいきと生きられる「生活者中心の社会づくり」に貢献していきたいと考えています。
オールデジタル化が加速する中で、データをもとに、認知、興味、検討からCRMまで、一気通貫でアプローチする、いわゆる「フルファネル型のマーケティング」に対するニーズが高まっています。当社グループは、これまで先行してきた「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」をフルファネルで実践できる形、すなわち「“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティング」へと進化させ、企業のマーケティングニーズに的確に応え、リードしていける存在になりたいと考えております。その実現のために、「マーケティング実践領域の拡張」「メディアビジネスの変革」「生活者視点でのDX推進」という3つの戦略施策を進めております。
まず、「マーケティング実践領域の拡張」については、得意先企業と生活者のつながりが直接接点へと広がりをみせる中、必須要件となりつつあります。さらに生活者データと基盤テクノロジーをベースとしたフルファネルでの統合管理ニーズも高まってきております。同領域の戦略と実行の両機能をグループ内に保持することで、スピーディーかつ高質なサービス提供と、高い収益性の確保を両立してまいります。そして、当社のこのケイパビリティを、企業の課題解決のみならず、社会課題の解決にも活かしていきたいと考えております。
次に、「メディアビジネスの変革」については、当社グループオリジナルの「AaaS(アース)」という新たなモデルの導入を促進することで、「広告枠」というモノを売るビジネスから、広告効果の最大化という「サービス」を提供するビジネスへ、変革を推進しております。変革推進にあたっては、AI技術の活用は必要不可欠と考えており、H-AIシリーズに代表される先端技術を活用した効果的かつ効率的なソリューション提供にも積極的に取り組んでおります。加えて、グループ内に「得意先の成長に合わせたデジタルサービス提供のエコシステム」を構築し、デジタルビジネスのさらなる拡大を目指します。そのために、これまで整備してきた高度デジタル運用や、オンラインとオフラインの施策の統合、いわゆる「オンオフ統合」の体制に加え、地方や中小・ベンチャー企業に対応する機能の強化にも注力していきます。
「生活者起点でのDX」については、生活者のインサイト発掘力と、様々な生活者インターフェーステクノロジーを掛け合わせることで、企業のマーケティングや事業そのものに変革をもたらし、さらには社会に変革を生み出す、価値創造型のDXサービスを提供してまいります。
変革を加速し、グループ総体としての競争力を高めるために、従来のメディア機能に加え、新たに「グループのテクノロジー基盤となる新会社の設立」「グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する新会社の設立」「グループ連携を促進する経営管理の仕組みの強化」という、3つのグループ横串機能の強化を進めております。
「グループのテクノロジー基盤となる新会社」については、2022年4月に株式会社博報堂テクノロジーズを新たに設立しました。グループ内に点在するリソースを集約するとともに、専門機能会社として、エンジニアにマッチした人材マネジメント体系を整備することで、外部専門人材の採用、育成を強化しております。また、足元では、ビジネスへの活用が拡大しつつある大規模言語モデル等の業務活用にもいち早く取り組んでおり、同社を中心に、グループ全体をより「テクノロジー・ドリブン」な企業体へと進化させていきます。
加えて、グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する新会社「博報堂DYコーポレートイニシアティブ」も2023年4月に設立しました。育成/採用などによるコーポレート機能のケイパビリティ強化や、業務集約/標準化およびDXなどによるグループ横串機能としてのシナジー創出を進めてまいります。
成長市場である海外への積極的な投資を行い、「得意先のグローバルシフト」「専門性/先進性」「“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティング」の3つの要素を起点とした海外事業の強化を継続しております。また、当社のグループ戦略立案・推進機能を強化し、博報堂などの「海外ネットワーク」と、kyuの「専門性/先進性」の連携を深めていくことで、海外事業のさらなる拡大に取り組んでいきます。
取引先企業/ベンチャー企業/当社グループをつなぐ連携基盤を拡張し、3者の強みの相乗効果による「提供サービスと自社のイノベーション」を加速しております。生活者インターフェース市場における新たな事業の開発、ソーシャルグッドな事業の創出など、生活者に対して新たな価値を提供する新規事業開発を、「クリエイティビティ×テクノロジー」を起点に推進してまいります。
当社グループは、持続的な事業成長を遂げながら、同時に生活者のパートナーとして社会の発展に寄与する「新しい価値」を創造し続けていくという「循環型の価値創造モデル」に基づき、サステナビリティゴールである「生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現」を目指しています。
当社グループのサステナブルな成長を支える最大の要素は「ヒト」であり、短期的にはコスト先行となるような施策も含め、人財への積極投資を行い、社員がクリエイティビティを最大限発揮できる環境を整備していきます。
2022年3月期から2024年3月期までの3年間を、「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けているため、中期経営目標についても「成長性の維持・向上」と、中長期の継続的な成長に向けた「構造改革のための戦略投資」を踏まえた計画値といたしました。新たな中期経営目標、及び同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標は、以下のとおりです。
2024年3月期までの3年間は、短期的な利益成長を追うのではなく、事業構造の変革を進め、中長期的な大きな成長を目指す土台をより盤石なものとする期間と位置付けております。掲げた中期戦略に則り、グループの変革を着実に進め、中長期での大きな成長と、企業価値の向上を目指してまいります。
なお、2022年9月27日に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のスポンサー選考に関し連結子会社である株式会社大広の執行役員1名が贈賄の疑いにより東京地方検察庁に逮捕され、同年10月18日に起訴されました。これを受けて同社ではコーポレートガバナンス改革委員会を設置し、原因究明と再発防止策を策定いたしました。これに基づき各種施策を実施してまいります。
また、2023年2月28日に同大会に関して実施された各テストイベント計画立案等業務委託契約等(本業務)に関し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、連結子会社である株式会社博報堂と本業務に従事していた株式会社博報堂DYメディアパートナーズの社員1名が、公正取引委員会からの告発を受け東京地方検察庁より起訴されました。これを受けて当社は、2023年3月7日に独立社外取締役を委員長とする特別検証委員会を設置し、独占禁止法違反の疑いで起訴されたことに関する原因究明と再発防止策の検討を要請しました。同年5月11日に同委員会より得た提言に基づき、各種施策を実施してまいります。
株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。引き続き、法令遵守の徹底と再発防止及びコンプライアンス意識のさらなる向上により信頼の回復に努めてまいります。
当社グループは、サステナブルな経営環境の整備を重要なテーマのひとつとして位置付けており、中期経営計画における第四の柱として「サステナブルな経営基盤の強化」を掲げ、サステナビリティゴール「生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現」を目指しています。
当社グループでは、社会の大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大を目指し、ESGガバナンスを構築しています。具体的には、2022年4月よりサステナビリティ委員会を設置し、グループESG全体の業務の執行を行っております。サステナビリティ委員会は、当社代表取締役社長を委員長、取締役を構成員として、環境及び人権、DE&I、サプライチェーンなどのサステナビリティに関する基本方針、テーマ及び施策案の検討・策定を行います。また、当該委員会より取締役会に対して活動状況を報告するとともに、サステナビリティに関連した重要なテーマに関しては取締役会での決議を図っております。
当社グループではサステナビリティゴールの実現に向けて社会と当社グループが持続的に成長を遂げるための重要課題として、顧客やパートナーに対する「提供価値」及び「経営基盤」の観点から、以下の3つのマテリアリティを設置しました。
ⅰ. マーケティングの進化とイノベーションの創出による新しい価値の創造
ⅱ. 高度なクリエイティビティを発揮できる人材マネジメント(投資・育成・環境整備)
ⅲ. 生活者や社会との共生を目指すコーポレートガバナンスの強化
上記マテリアリティに取り組むことで、「未来をつくるクリエイティビティの向上」を目指してまいります。また、現代の深刻な社会課題に対応し、生活者にとって価値ある市場を創出することで、サステナビリティゴール「生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現」を目指してまいります。
当社グループでは、リスク低減と事業機会創出を目的として、リスク管理及び機会管理を強化しています。具体的には、サステナビリティ委員会にて、環境や人権に関するリスクを経営レベルで監督及び、進捗管理や見直しを行っております。必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申するなどの適切なリスク管理体制を構築しています。
当社グループでは、以下の3つのマテリアリティに対し指標及び目標数値を設定しております。サステナビリティ委員会によって各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果にもとづき取り組みに反映しております。なお、2023年3月期実績に関しては、2023年度統合報告書にて開示予定としております。
(注)1 2021年3月期を基準とした2024年3月期までの年平均成長率
2 気候変動対応項目の目標数値はいずれも2019年度より算定
3 実績管理
当社グループでは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しています。気候変動が及ぼす重要リスク・機会の洗い出しと、定量的な財務面の評価を2022年度より開始し、気候変動への積極的な対応は、将来の財務効果を生み出す可能性があることが確認できました。
気候変動に関するガバナンスは、ESG戦略のガバナンスに組み込まれています。
毎年サステナビリティ委員会において経営レベルで監督及び、進捗管理や見直しを行っており、必要に応じてグループコンプライアンス委員会へ上申する、適切なリスク管理体制を構築しています。 詳細は「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(1)サステナビリティ戦略 ①ガバナンス」に記載しております。
気候変動により平均気温が4℃上昇することは、社会に非常に大きな影響を及ぼすことから、世界全体が気温上昇を1.5℃に抑えることを目指していることに貢献することが重要であると認識しています。当社グループでは、シナリオ分析の範囲として、当社グループの主要事業地域である日本国内を中心に、研究開発・調達・生産・サービス供給までのバリューチェーン全体について、平均気温の増加幅別に2つのシナリオを想定し、2030年以降の長期想定で考察しました。
ⅰ. 1.5℃シナリオ:今世紀末の地球の平均気温が産業革命前と比較して1.5℃上昇以内に抑えられるシナリオ(一部2℃シナリオも併用)
ⅱ. 4℃シナリオ:今世紀末の地球の平均気温が産業革命前と比較して4℃前後上昇するシナリオ
1.5℃シナリオでは、炭素税導入や電力等のエネルギー価格上昇に伴うコスト増のリスクがある一方、一般消費者の嗜好変化による低炭素排出製品・サービスを取り扱う顧客からの売り上げ増や、脱炭素に貢献するサービスの提供により、当社の企業価値向上の機会があることを確認しています。一方で、このことは、脱炭素への取り組みが遅れることが事業リスクにもなり得ることも意味しています。
4℃シナリオでは、台風・洪水等の激甚的な風水害増加が、当社の事業を支えるオフィスビルの操業停止などのリスクになり得ますが、テレワークの推進等の非常時でも滞りなく事業が継続できるように対応策を進めています。
これらの分析・対応策の検討は、環境マネジメント分科会より報告を受けたサステナビリティ委員会委員長、および環境管理責任者にて、承認・実施されたものです。今後も継続的にシナリオ分析を実施することで質と量の充実を図り、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に対応できるレジリエンス(強靭さ)を高めていきます。
当社グループでは、2050年度のカーボンニュートラルを達成するために、中間目標として、2030年度のスコープ1+2の排出量を2019年度(2020年3月期)比で50%削減、2030年度のスコープ3の排出量を2019年度(2020年3月期)比で30%削減を設定いたしました。また、その実現のために、従来の省エネルギー削減活動だけでなく、再生可能エネルギー由来電力の比率を2030年度時点で全体の60%、50年時点で100%の導入を目指します。
今後、TCFD提言に則って、情報開示の質と量の充実を進めて参りますが、算定範囲及び目標設定範囲の拡大や各種イニシアティブ参加についても検討をしていきます。再生可能エネルギー導入、省エネルギー(ペーパレス)、廃棄物削減、リサイクルの主要4分野に関しましても目標設定および対応策の策定を進めてまいります。第三者保証として2021年度のCO2排出量スコープ1、2、3の一部に関しては、ウェブサイトで開示している「CO2排出量 算定報告書」において、デロイト トーマツ サステナビリティ㈱より独立した第三者保証を受けています。なお、2023年3月期実績に関しては、2023年度統合報告書にて開示予定としております。
<目標と実績>
(注)1 博報堂DYグループ国内全拠点合算
2 博報堂、大広、読売広告社、博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂プロダクツの合算
3 博報堂東京本社分
4 2022年度には読売広告社本社ビル、2023年度は博報堂およびグループ数社が入居する赤坂Bizタワーで導入開始。
比率は、2023年度中を目標に計測予定。
当社グループは、最大の資産であるクリエイティビティを発揮する人財を通じて、サステナビリティゴールである「生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現」を目指しています。人権の尊重はグループの存立基盤であり、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなすものとして推進しています。私たちは、人権を尊重する責任をよりいっそう果たすべく、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」が掲げる保護・尊重・救済のフレームワークに依拠し、取締役会の承認を経て、グループの人権方針を制定しました。本方針は、当社グループで働く全役職員等(役員、正社員、契約社員、派遣社員のすべて)を適用の対象としています。
当社の取締役会は、本方針で規定する人権尊重の活動全般を持続的に監督する責務を持ちます。とりわけ顕著な人権課題への取り組みに関するモニタリング機能を果たしながら、人権侵害への直接的または間接的な関与を回避するため、合理的措置を講じます。サステナビリティ管轄部門である「サステナビリティ推進室」は、サステナビリティ担当取締役のもと、本方針の浸透および人権尊重全般に関する取り組みを推進します。
当社グループは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権尊重の責任を果たすために人権デュー・ディリジェンスを実施することで、グループの事業活動による人権面での影響について説明責任を果たすよう努めていきます。
さらに、人権デュー・ディリジェンスの結果をもとに、顕著な人権問題に対する取り組みに注力するよう努めます。さらには既存事業に加え、M&Aを実施した企業を含む事業会社を対象に、グループ各社の内部統制部門と連携しながら、リスクマネジメントの取り組みの一環として、事業活動で起こりうる人権に対する負の影響の整理・評価・対策を検討していきます。
人権リスクを特定するにあたり、下記の対応ステップを通じて顕著な人権課題の特定を実施しております。
ⅰ.人権課題の網羅的な把握
国際的規範及び業界動向等から想定される重要な人権課題を網羅的に列挙の上、事業展開国・地域における人権課題の調査及び担当者へのヒヤリングを実施。上記を踏まえ、当社グループのバリューチェーン上でどのような人権課題が発生しうるか、候補リストを作成いたしました。
ⅱ.重要度評価
人権への負の影響(発生可能性及び深刻度)、当社グループ事業との関連性に基づき、過去及び将来的な発生可能性を考慮し、各人権課題に対して重要度を評価し、優先度を検討いたしました。
ⅲ.顕著な人権課題の特定
ⅱ.の重要性評価に基づき、サステナビリティ委員会で協議の上、顕著な人権課題を特定しております。
当社グループでは、全役職員等に対して、企業内通報・相談窓口を設置しており、人権に関する通報や相談を極めて高い匿名性と秘匿性を確保した上で受け付け、人権侵害を受けた方が救済を受けられるように誠実に対応します。さらに、グループ各社における人権に対する負の影響の評価および対応を検討するため、企業内通報・相談窓口に届く人権侵害に関する通報件数および傾向を定期的に確認し、深刻な侵害につながる可能性のある事案に対しては対応策を議論し、グループコンプライアンス委員会への報告を行っています。
人権に関わる影響について、関連するステークホルダーとの対話と協議を通じて、適切な対応を行います。また、本方針に規定する取り組みを含む、人権尊重に対する活動の進捗および結果をコーポレートサイトにて情報開示することで、より積極的な取り組みを図ります。
当社グループは、事業活動において本方針の実効性を高めるよう、全役職員等に対する本方針の浸透、周知徹底、および人権に関する理解を深める教育を実施します。また、現在行っている各種ハラスメントに関する研修、広告における表現リスク研修についてもいっそう強化していきます。
今後人権デューデリジェンスに基づきモニタリング指標や目標を検討してまいります。
以下において、当社グループの事業及びその他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいりますが、当社の株式に関する投資判断は、本項目及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、本項目に記載した予想、見通し、方針等、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来実現する実際の結果とは異なる可能性がありますのでご留意ください。
国内企業の広告費の支出は、企業が景況に応じて広告費を調整する傾向にあるため、国内の景気動向に大きく影響を受ける傾向にあります。当社グループの国内売上高は、連結売上高全体に占める割合が高く、国内景況が悪化すると当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、景況の悪化による影響を軽減するため、広範囲の業種にわたる顧客基盤の構築、マーケティング・コミュニケーションサービスの多様化、海外展開等をはかる所存でありますが、日本経済の回復が遅いもしくは不十分な場合、又は当社グループの対応が十分ではない場合もしくは十分にはかかる影響を軽減できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディア広告の国内売上高は、ここ数年、売上高全体に占める構成比が減少してきているものの、2023年3月期においても、32%程度と大きなシェアを占めております。また、今後も引き続き、広告主のマーケティング活動に活用され、当社グループの中心的な事業のひとつであり続けると認識しております。
また、インターネット広告は急速に成長しており、今や最大の種目になっております。インターネット広告は従来のマスメディア広告と組み合わせることでより高い広告効果が得られるため、複数のメディアを最適化するプラニングが求められます。
さらに、近年生活全体のデジタル化が進み、当社グループを取り巻くビジネス環境は大きく変化しております。従来の広告領域の枠を超え、企業のマーケティング活動の実践をもサポートするべく機能拡張を継続しています。
当社グループは、環境変化に対応するため事業構造の転換を進めています。しかし、このような取り組みを迅速かつ十分に行うことができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
マスメディアの広告取引は、主として、広告主からの受注に基づき行いますが、各広告会社は自社の責任で媒体社等と取引を行うのが一般的です。そのため、広告主の倒産等により、広告料金を回収できなかった場合には、広告会社が媒体料金や制作費を負担することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、広告業界では、慣行上、広告計画や内容の変更に柔軟かつ機動的に対応できるよう契約書を締結することは一般的には行われておりません。当社グループにおいても、継続的な取引関係が成立している広告主との間であっても、個別取引に関する書面は存在するものの、基本契約書等を締結していないことが一般的であります。そのため、広告主との間で明確な契約書を締結していないことにより、取引関係の内容、条件等について疑義が生じたり、これをもとに紛争が生じたりする可能性があります。
なお、欧米では「一業種一社制」(同一業種では一社のみの広告主を広告代理店が担当する取引形態)が一般的であり、広告会社の報酬構造や報酬決定方法も異なっております。日本においてはこのような取引形態は一般的ではありませんが、欧米の広告主、広告会社が日本に進出してきている昨今の状況に鑑みると、今後これらの取引形態及び報酬構造や報酬決定方法が日本の広告の取引慣行に影響を与える可能性があります。当社グループにおきましては、こうした動向に対応し、サービス形態の多様化等に努めてきておりますが、今後、取引慣行の動向・変化に適切に対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
広告主の広告活動、メディアにおける広告の掲載・放送方法や内容等、広告会社の事業活動等に関する法令・規制・制度の導入や強化、法令等の解釈の変更等がなされる場合があります。法規制等の導入や強化等に対して当社グループが適切に対応できない場合又は広告主の広告活動が減少する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループと広告主の間は、継続的な取引関係が成立しておりますが、広告主がコスト削減、取引関係の合理化等の要請を強める昨今の状況の中で、今後取引関係が解消、縮減等されない保証はなく、また、報酬等の水準は当事者間の合意によるものであり、その水準が今後も保証されるものではありません。従前と同様の取引関係が継続されない場合又は従前の取引条件が変更される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。なお、2023年3月期における当社グループの上位広告主10社に対する売上高は、当社グループの国内売上高の21%程度となっております。
当社グループの広告事業においては、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディアの広告及びインターネット広告に関する事業が主体であるため、主要媒体社等からの仕入れの依存度は高くなっております。
当社グループと媒体社等は、長年の継続的な取引関係が成立しておりますが、媒体社等との取引が継続されない場合又は取引条件等が変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
日本の広告業界では、サービスの多様性、対応力、企画力、販売力等の観点から、売上高で上位の広告会社への集中傾向が高く、またインターネット広告専業を含む上位広告会社を中心に熾烈な競争が行われております。更には、大手の海外広告会社や各種プラットフォーマーも参入し、競争がますます激しくなる傾向にあります。
また、事業領域を拡大していく中で、コンサルティング会社など異業種企業と新たな競合が生じる機会も増加してきております。
当社グループは、サービスの多様化、企画力、創造的提案力、経験、広告主との長年の継続的な取引関係等により競争上の優位性を確保していく所存でありますが、今後かかる優位性を確保できる保証はなく、優位性を逸した場合あるいは競争の激化に伴い報酬が低下した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
近年、インターネット広告の進展は著しく、この分野においては技術の進化や多様な広告手法が生み出されております。当社グループは、早期の段階からインターネットメディアレップ会社であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を設立し、この分野に積極的な取り組みを行ってまいりました。また、新規メディアと既存メディアを組み合わせた統合的なソリューションを提供することを競争力の源泉としております。
しかしながら、今後、インターネットメディアの拡大をはじめとしたマーケティングのデジタル化の進展に対して当社グループが適切に対応できない場合、又は新しいメディアやマーケティング手法に対する当社グループの事業戦略や取り組みが功を奏しないもしくは十分でない場合には、当社グループのサービスの低下をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、総合広告会社である株式会社博報堂、株式会社大広、株式会社読売広告社、株式会社Hakuhodo DY Matrix、次世代型デジタルエージェンシーである株式会社アイレップ及びソウルドアウト株式会社、総合メディア・コンテンツ事業会社である株式会社博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の8社並びに専門性と先進性の継続的な当社グループへの取り込みを狙った当社傘下の事業組織「kyu」に加えて、各組織がそれぞれ所有する広告関連サービスを提供する子会社群等から形成されており、広告主に対しワンストップでのマーケティング・コミュニケーションサービスを提供すべく事業展開をしております。また、中期経営計画においては「提供サービスの変革」「変革を加速する横串機能の強化」「従来戦略に基づく変革の継続」「サステナブルな企業経営のための基盤強化」に向けて積極的な投資戦略をとることとしており、M&Aを成長基盤強化のための重要な手段のひとつとして位置づけております。
グループ会社を通じた事業展開、すなわちインターネット分野等の特定の事業や専門マーケティングサービスに特化、注力する会社の設立、買収、資本業務提携等により出資を含むグループ会社関係を構築することについては、出資額あるいは場合によっては出資額を超える損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、出資会社の事業活動や経営成績によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
広告業一般におけると同様、当社グループにおいても、事業活動を行う過程で、当社グループが所有する又は使用許諾を受けている以外の知的財産権を侵害してしまうおそれ、また逆に当社グループが所有する知的財産権が侵害されてしまうおそれがあり、当社グループがかかる事態を防止し、あるいは適切な回復をすることができない可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの成長性及び競争上の優位性は、優秀な人材の確保に大きく依存します。人材に関しては、新卒者の安定的採用や即戦力となる中途採用の推進により確保をはかり、各職責、能力、市場環境の変化に対応した教育研修等による育成に努めておりますが、何らかの理由により優秀な人材が流出する可能性や人材の確保に支障をきたすおそれもあります。かかる事態が生じた場合、当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後もスポーツ等イベントの権利取得や興業、映画製作への投資、アニメ・キャラクター関連番組制作等のコンテンツ関連ビジネスを行ってまいります。しかしながら、メディア・コンテンツビジネスの事業展開には、投資リスクを伴うものもあり、計画通りに進行しない場合又は収益を確保できない場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、広告主のニーズに応えるため、また中期経営計画における成長の重点の一つとして、海外市場における更なる拠点拡充や専門マーケティングサービス企業のM&Aによるグループ内への取り込みを含め、積極展開をはかってまいりますが、これらの事業展開には、海外の事業投資に伴うリスク(為替リスク、カントリーリスク等)、出資額あるいは出資額を超える損失が発生するリスク、グループの信用低下リスク等を伴う可能性があり、計画通りに事業展開ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、持株会社体制という枠組みの持つ優位性等、経営統合の相乗効果を最大限活用し、グループ経営基盤の強化に努めてまいりますが、持株会社統治等の効果が十分発揮されなかった場合には当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、資金運用面においても、グループ内での資金運用、配分の効率化を進めておりますが、その効果が十分に発揮されない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
なお、グループ経営基盤の強化、資金運用の効率化などの効果が十分に発揮されたとしても、他の不確定要因により当社グループの財政状態及び経営成績が当社の予想している水準に達する保証はありません。
当社グループは、様々な要因により今後直接又は間接的に、何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できません。当社グループが訴訟・紛争に関与した場合、その経過・結果如何によっては、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。
なお、2022年9月27日に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のスポンサー選考において連結子会社である株式会社大広の執行役員1名が贈賄の疑いにより東京地方検察庁に逮捕され、同年10月18日に起訴されました。また、2023年2月28日に同大会に関して実施された各テストイベント計画立案等業務委託契約等(本業務)に関し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、連結子会社である株式会社博報堂と本業務に従事していた株式会社博報堂DYメディアパートナーズの社員1名が、公正取引委員会からの告発を受け東京地方検察庁より起訴されました。
当社グループは、投資有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうち時価のあるものについては期末の時価を適用し、株式市況等の変動により評価損を計上する可能性があります。そのほか、投資有価証券については、発行会社の財務状況や今後の見通しなどに鑑み、時価が著しく下落し、その回復が見込めない場合には、減損処理により評価損を計上する可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行っております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、その差額は将来にわたって規則的に損益認識されます。金利の低下、運用利回りの低下、年金資産の時価の下落等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合には、追加的な退職給付に係る負債の計上、未認識の過去勤務費用の発生又は将来の退職給付費用の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、これらの影響を軽減すべく退職給付制度の一部を2018年4月以降、確定給付年金から確定拠出年金に変更しておりますが、引き続き確定給付年金も残されているため、これらの可能性を完全になくすことはできません。また、退職給付に関する会計基準の変更等により、従来の会計方針を変更した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常的に、その役職員が法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、役職員の不正行為を完全に防止できる保証はありません。また、当社グループの取引先等の不正行為への関与が問題となる可能性もあります。そのほか、当社グループの役職員又はその取引先等により顧客情報その他の機密情報が漏洩したり不正に使用されたりする可能性もあります。これらの役職員等の不正行為により、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があります。
当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼすことが想定されます。
近年では、こうした災害、事故、紛争(あるいは戦争)、感染症の流行、及びその回復状況等が、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、広告主のマーケティング又は広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業のために、情報システムを使用し、情報インフラに依存しております。当社グループ又は当社グループが利用する第三者の情報システムに、システムの障害や停止、システムへの不正なアクセス、コンピュータウィルスの侵入、サイバーアタック、従業員の不適正な事務・事故・不正等による人為的過誤などが発生した場合、また同様の要因により情報の外部漏洩・不正使用等が発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動あるいは当社グループの社会的信用に悪影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、内需主導での緩やかな回復を基調としつつも、ウクライナ問題に伴う資源価格高騰や世界的な金利上昇、急激な円安進行など景気後退の懸念材料もあり、景気持ち直しの動きに一部弱さが見られました。国内広告市場(注1)は、夏場に東京五輪の反動影響によって大きく前年を下回ったことに加え、下期以降も軟調な経済環境を背景に前年並みの水準に留り、1年を通じて低調な市場動向となりました。
当連結会計年度の売上高(注2)は1兆6,343億40百万円(前期比7.6%増収)、収益は9,911億37百万円(同10.7%増収)となりました。
当連結会計年度の売上高を種目別に見ますと、4マスメディアでは雑誌を除いて前年を下回りました。一方、インターネットメディアが高い伸びとなり、マーケティング/プロモーションにおける大型案件の寄与もあり、その他の全種目で前年を上回りました。
また、得意先業種別では、「飲料・嗜好品」及び「交通・レジャー」などで前年を下回りましたが、「官公庁・団体」及び「外食・各種サービス」で前年を大きく上回り、21業種中、約半分の11業種が前年を上回りました。(注3)
売上総利益に関しても、4,035億64百万円(前期比4.3%増加)と前期より164億70百万円の増加となりました。なお、このうち国内事業については3,075億37百万円と1.1%の減少、海外事業についてはアジアにおける回復基調に加えて為替影響もあり、1,020億49百万円と29.1%の増加となりました。販売費及び一般管理費において、中期的な成長を見据えた戦略費の投下や活動費の戻りによる費用の増加があった結果、営業利益は554億9百万円(同22.7%減少)となりました。
営業外収益は、受取配当金が22億22百万円、条件付取得対価に係る公正価値変動額が16億84百万円計上されたこと等により、前年同期比2億27百万円減少の74億56百万円となりました。
営業外費用は、支払利息が6億70百万円、投資事業組合運用損が5億97百万円計上されたこと等により、前年同期比10億98百万円減少の24億86百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前年同期比20.3%減少の603億78百万円となりました。
投資有価証券売却益を24億78百万円計上したこと等の結果、特別利益は44億88百万円となりました。また投資有価証券評価損を17億19百万円、特別退職金を12億6百万円計上したこと等の結果、特別損失は56億56百万円となりました。以上を加味した税金等調整前当期純利益は592億10百万円(前期比37.5%減少)となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前年同期比101億22百万円減少の257億24百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は、前年同期比12億7百万円減少の24億76百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は310億10百万円(前期比43.8%減少)となり、前期より241億69百万円の減益となりました。
(注1)「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省)によります。
(注2)「売上高」は従前の会計基準に基づくものですが、財務諸表利用者にとって有用であると考えていることから、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等に準拠した開示ではないものの、自主的に開示しております。
(注3) 当社の社内管理上の区分と集計によります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ266億円減少し、1兆264億15百万円となりました。
主な増減は、現金及び預金の減少210億2百万円、受取手形及び売掛金の減少272億96百万円、棚卸資産の減少191億98百万円、のれんの増加265億80百万円であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ290億円減少し、6,366億1百万円となりました。主な増減は、1年内返済予定の長期借入金の増加1,045億7百万円、賞与引当金の減少122億8百万円、未払法人税等の減少219億36百万円、長期借入金の減少1,048億30百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ24億円増加し、3,898億14百万円となりました。主な増減は、その他有価証券評価差額金の減少107億50百万円、利益剰余金の増加169億61百万円であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて216億15百万円減少し、1,590億81百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(592億10百万円)の計上等に対して、売上債権の減少(361億28百万円)、前受金の減少(△253億17百万円)、法人税等の支払額(△519億19百万円)等があり、380億35百万円の増加(前連結会計年度末は208億52百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出(△109億3百万円)、子会社株式及び出資金の取得による支出(△86億30百万円)等により、327億92百万円の減少(前連結会計年度末は112億92百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出(△67億13百万円)、長期借入金の返済による支出(△49億82百万円)、配当金の支払額(△123億25百万円)等により、288億39百万円の減少(前連結会計年度末は86億98百万円の減少)となりました。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としており、その内容、構造、形式が必ずしも一様ではないため、生産実績及び受注実績について、その金額あるいは数量を記載しておりません。
また、販売実績については、(1) 経営成績に含めて記載しております。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2019年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきましたが、コロナ禍の影響によりビジネス環境が激変したことを受け、一旦目標をとり下げ、2022年2月に、2022年3月期から3ヵ年の見直し中期経営計画を発表しました。同計画では、中期経営目標及び同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標を掲げております。
当連結会計年度においては、広告需要の回復の取り込みに加えて、為替影響やM&Aの押し上げ効果もあり、積極的な戦略投資を行いながらも、中期経営目標として掲げた投資事業の影響を除外した調整後連結売上総利益及び調整後連結のれん償却前営業利益の基準年(注)からの年平均成長率は、ともに二桁増の水準を維持しております。投資事業の損益を含めた連結のれん償却前営業利益も同様に、基準年から年平均二桁以上の伸びを継続しております。
重点指標として掲げている、調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージンは、変革を進めるための積極的な戦略投資や行動制限の緩和にともなう活動費の戻りといったコスト増の要因がある一方で、これまで取り組んできたコスト構造改革の効果もあり、目標として掲げている15%を上回る水準での着地となりました。のれん償却前ROEについても、13.1%と目標値である10%以上の水準を維持しております。
また、中期経営計画では本計画期間を「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けておりますが、“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの実践をはじめとする、掲げた各種戦略は着実に進捗しています。具体的な取り組みとしては、2022年4月に子会社化した、地方や中小、ベンチャー企業向けのデジタルサービスの提供に強みを持つソウルドアウト㈱のグループ内連携や、H-AIシリーズに代表されるAI技術を活用した多様なソリューションの開発/提供の積極的な推進、グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する博報堂DYコーポレートイニシアティブの設立などが挙げられます。
依然として、国内外の経済の先行きは不確実性の高い状況にありますが、引き続き、掲げた中期戦略の推進に一層注力し、中期経営計画の達成を目指してまいります。
(注)基準年:2021年3月期
(6) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、経営環境のいかなる変化のもとでも事業活動を安定的に継続させる為に必要な手元流動性を確保した上で、事業活動から生み出されるネットキャッシュを、中期経営計画に基づき成長分野に重点的に投下することを基本方針としております。また、安定かつ継続的に株主に配当を実施することを株主還元の基本方針とし、資金需要の状況、業績の動向及び内部留保の充実等を総合的に勘案の上、配当額を決定しております。
将来の成長の為に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述の通り自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、M&Aや設備投資は個別案件毎の規模やタイミングにも依存するため、状況次第では手元資金のみで賄えない場合も想定されます。このような場合には、当社グループの財務状況や金融・資本市場の動向を鑑み、コストや機動性等を精査した上で、金融機関からの借入等の適切な手段で資金調達を実行する所存であります。
なお、現在の当社グループの財政状態等から勘案すると、十分な資金調達能力を有していると判断しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。