第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営環境及び当社の経営方針

 当社は創業以来、「いい仕事・いい人生」の企業理念を掲げ、キャリア志向の高いエンジニア・営業・女性を主軸にした事業展開をすることで他社との差別化を図り、『type』ブランドによるひとつ上のキャリア転職マーケットの確立を目指して参りました。具体的には、メディア情報事業・人材紹介事業・新卒メディア事業・新卒紹介事業・IT派遣事業これら個々の商品・サービスを、メディアミックス展開して、『type』ブランドによるシナジー効果を高めつつ、質の高い人材の流動化を通して、企業の活性化と日本経済の発展に寄与していきたいと考えています。

 当事業年度においては、エネルギー価格の高騰による物価上昇、急激な円安の進行等により依然として先行き不透明な状況が続いているものの、コロナ禍からの経済活動正常化やインバウンド需要の回復に向けた動きが進みました。このような状況の中、現在、日本社会においては、少子高齢化による労働人口の減少という非常に深刻な問題が存在しております。今後においては、より一層採用が困難となり、日本経済の成長を抑制する要因になると予想されます。しかしながら、企業が成長を促進し企業価値を高めるためには、質・量ともに労働力の確保が必要不可欠です。新型コロナウイルス感染症に対する国内外の緩和的な財政・金融政策等により社会経済活動が正常化に向かう中で、企業の採用活動も回復傾向を示しており、このような回復局面において、企業の労働力確保に必要不可欠なのが「中途採用による人材の流動化」であり、当社が取り組むべきテーマであると考えております。

 

(2) 経営戦略と目標とする経営指標

 今後におきましても、エネルギー価格の高騰による物価上昇、急激な円安の進行等により、景気は先行き不透明な状況が続くものと予想しております。しかしながら、社会経済活動の正常化に向けた動きが進む中において、当社の経営戦略や目指す姿を定め、その達成に向けて再度高い成長を実現し、企業価値向上に努めていくことが株主の皆様を始めとする様々なステークホルダーの皆様に対する上場企業の責務であると考えております。

 当社では2021年11月に、2022年9月期を初年度とし5年後の2026年9月期において売上高200億円、経常利益24億円の実現を目指す中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画の3年目となる2024年9月期の業績は、前事業年度のコロナ禍からの回復局面において採用需要が急速に高まった求人企業の採用が充足され、採用需要に一服感が見られたことや、採用活動を継続している企業においては採用基準の厳格化が起こるなど、求人環境に変化が生じたことにより既存事業における売上高の伸びが鈍化しました。また、2024年9月期より計画策定時に含まれていなかった新規事業(無期雇用派遣)を開始するなど、事業への先行投資を強化しておりますが、中期経営計画における3年目も概ね順調に進捗していると評価しており、今後も業績の更なる拡大とサービス価値向上に繋げ、長期にわたって安定的に企業価値を向上できる基盤を構築するべく、中期経営計画の達成を中心とした企業価値を向上させるための施策に取り組んで参ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社ではサステナビリティは経営企画担当取締役が管掌し、経営企画局が方針・施策を企画・立案の上、経営会議、取締役会において付議・報告される体制としています。経営会議にて決定したサステナビリティに関わる対応方針及び施策等は経営企画担当取締役を中心として取りまとめ、社内の各部門と連携して推進します。企業の持続的成長と中長期的な企業価値を創出するためには、各ステークホルダーの皆様との適切な協働が不可欠であると認識しており、それぞれの立場を尊重するとともに経営の透明性を高め、意思決定の迅速化や監督機能の強化を図り、適正な企業統治のもと、企業価値を最大化することをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針としております。詳細については「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(2)戦略

 当社は、人材の雇用という側面から、“働く人々が「いい仕事」に巡り合い、「いい人生」を送ることができる社会”の実現を目指しています。働く人々がより豊かな人生を歩めるようにキャリアの選択から支援をし、適正な企業統治のもと、社会から信頼される企業として、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を目指して参ります。

 

 

(人的資本に関する基本的な方針)

 当社の競争力や価値創造の源泉となるのは当社で働く従業員そのものと捉え、従業員一人ひとりが個人の能力を最大限発揮できるよう、それぞれの個性を尊重することで多様性を認めるとともに、常にオープンで公平・平等であること、従業員が健康で安全に仕事ができること、従業員が自立して仕事に取り組めることを重視し、その環境づくりに努めています。

 従業員が生み出す事業の収益を、さらなる事業への投資だけでなく、従業員に対して還元をしていくことで、従業員の豊かな人生を支える。この好循環で、私たち自身が持続可能な企業であることを実現しつつ、先々の持続可能な社会の実現を目指します。

 

(人材育成に関する基本的な方針)

 各事業の業務に即した経験や知識を活かすこと、同僚・先輩・上司による仕事を通じた適切な指導が人材育成の根幹と考える一方、近年働き方を取り巻く環境が急速に変化していることから、より主体的なキャリア形成を図ることのできるよう、新入社員時から、階層別のキャリア開発研修を実施しています。

 今後についても、長期的視点をもって一貫した人材育成を目指していきたいと考えています。そのためには、各研修を一回きりで終わらせるのではなく、その後の変化の確認を行うとともにデータを蓄積していくことで従業員が成長を実感できるような仕組みをつくります。従業員が増加しても各部門のOJTに依存することなく、従業員全員がいい仕事に巡り合い、人生を豊かに過ごせるように、主体的なキャリア形成の支援を継続していきます。

 

(社内環境整備に関する基本的な方針)

 従業員には、当社で「いい仕事に巡り合い、生き生きと輝き、人生を豊かに過ごしてほしい」という考えのもと、創業時より従業員は平等な機会を得る権利を有するという基本的な原則を支持し、だれもが本来持っている一人ひとりの個性や能力を尊重するとともに、個を最大限に生かせるような環境づくりに努め、制度の整備などを推進してきました。

 今後についても、事業規模の拡大に伴い従業員数が増える中、一人ひとりが健康で長く活躍できるように、臨機応変かつスピーディーに働く環境を整えていきます。

 

(3)気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)

 当社では、企業倫理に関する方針にて「社会の一員であることを認識し、事業活動と地球環境保全の調和を目指して資源保護活動に努める」ことを定めております。当社の事業の特性上、環境への影響は少ないですが、事業におけるGHG(温室効果ガス)の排出量を測定・開示し、環境負荷の軽減に取り組むとともに、社員の環境に関する教育・啓発等を行っております。

 また、2023年10月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、同時にTCFDコンソーシアムに加入。国際エネルギー機関(IEA)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などの外部機関が公表している4℃シナリオ、2℃シナリオを参考として、当社事業に関するリスクと機会の特定と評価を実施した上で、これに対応するための戦略を立案しています。また、それぞれリスク・機会の項目において、影響が大きい方のシナリオを参照しました。

 

リスク・機会

具体的な事象

期間

影響度

対応策

リスク

移行

リスク

政策・

法規制

リスク

・炭素税の導入によるコスト増加

・石炭石油税の上昇による、電力コストの増加

中期的

・CO2の削減活動(省エネに関する取り組み)

・再生可能エネルギーの採用

・低炭素製品への切り替え

情報開示義務の拡大

短期的

・2023年度よりTCFDに基づく気候変動に関する開示を開始

・CDP質問書への回答

市場

リスク

消費者に対する環境配慮を怠った場合の売上・ブランドの低下

中期的

評判

リスク

TCFDへの賛同や開示をしない・遅れることによるステークホルダーからの信用低下

短期的

物理的

リスク

急性

リスク

異常気象や災害などにおけるサーバーダウン

長期的

・BCPの策定と継続的な見直し

・サーバーの冗長化

慢性

リスク

平均気温の上昇による消費電力(エアコン)の増加

長期的

・エネルギー効率のよい設備への交換

・省エネの取り組み

機会

市場

・市場開拓による収益増加

・環境関連業界、職種に対する採用支援(求人広告、人材紹介、人材派遣)

中期的

・環境配慮を重視している求人案件の提供

・環境削減における採用支援(求人広告・人材紹介)

 

(4)リスク管理

 当社では、リスク管理の基本的事項について「リスク管理規程」を定め、経営企画担当取締役を中心として各所管部署と連携を図り、日常的なリスク監視に努めるとともに新たな想定リスクの対応方法について検討を行っております。特に重要なリスクについては、取締役会に報告され、対応について協議・指示を行います。サステナビリティに関するリスクについても、この枠組みにのっとり、リスク管理・評価・モニタリングを行っています。特に重要なリスクについては、経営企画担当取締役より取締役会に報告され、対応について協議・指示を行います。

 

 

 

(5)指標及び目標

 ・人的資本

 当社では、国籍、性別、年齢、障がいの有無等を区別することなく採用活動を行ってきており、従業員の男女比や女性管理職層の割合は男性50%:女性50%、また、管理職の中でも特に影響力の大きい部長職については、女性の割合を40%とすることを目標とし、バランスの取れた職場環境の実現を目指しております。これらの目標を達成するために、さらなる人材育成やキャリア支援を強化し、多様な従業員が一層活躍できる環境を整備してまいります。

当該指標に関する実績は、次のとおりであります。

 

項目

別項

2020年9月期

2021年9月期

2022年9月期

2023年9月期

2024年9月期

従業員数

 

660

662

695

783

835

男性(%)

42.3%

41.4%

42.4%

42.1%

43.1%

女性(%)

57.7%

58.6%

57.6%

57.9%

56.9%

女性管理職比率

課長職(%)

46.9%

46.2%

50.0%

50.0%

57.8%

部長職(%)

40.0%

46.5%

42.1%

44.4%

39.7%

育児休業取得者数

男性

0

1

2

0

1

女性

23

18

20

19

24

男女の賃金の差異

(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)

 

81.0%

82.3%

83.6%

80.3%

79.4%

正社員(%)

81.7%

81.7%

84.1%

82.1%

80.0%

契約社員(%)

90.1%

101.2%

113.0%

97.6%

88.2%

 

 ・気候変動対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)

 当社では、気候変動への対応として、温室効果ガスの排出量の測定・開示やエネルギー効率の改善に向けて取り組んでおります。ペーパーレス化の推進、オフィスでの省エネ活動などによって温室効果ガスの削減を推進します。当該指標に関する実績は、次のとおりであります。

 

項目

別項

2020年9月期

2021年9月期

2022年9月期

2023年9月期

2024年9月期

温室効果ガス排出量実績

(単位:t-CO2)

Scope1

(都市ガス使用量)

Scope2

(電気使用量)

323.5

326.6

334.9

290.7

345.0

Scope3

(上記以外の

間接排出量)

455.6

482.6

507.4

紙使用量実績

(2020年9月期を100とした場合の指数)

 

100

45.1

40.5

34.8

33.7

※データは当社の本社・赤坂オフィス、赤坂山王オフィスが対象となり、各契約事業会社の排出係数および入居ビル提供による排出係数を元に算出しています

※都市ガスは当社オフィスにおいて使用・排出しておりません。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。また、当社としては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社の事業または本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではなく、将来に関する部分の記載は、当事業年度末(2024年9月30日)現在において、当社が判断したものであります。

(1)経済状況の変動について

 当社が手がける人材サービス事業は、景気変動の影響を受けやすいビジネスモデルとなっており、当社の想定を超えた大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症のような感染症の流行等によって、景気が停滞し、転職市場や経済の低迷が長期化した場合、当社の経営成績に影響が及ぶとともに、大きな損失が発生する可能性があると考えております。

 

(2)競合について

 求人情報提供サービスは、求人広告(Web・情報誌等)事業、人材紹介事業、人材派遣事業等などに分類されますが、当社はこれら全ての分野のサービスを提供しており、中途採用における総合的なソリューションサービスの提供が可能であります。一方で、当社の求人情報提供サービスに関する事業それぞれに競合会社が存在しております。特にWeb媒体系求人広告事業は、比較的容易に参入が可能であるため、他社との差別化が必要な事業であると考えております。
 また当社は、単なる転職ではなく、キャリアアップ転職を目指すビジネスパーソン向けの求人情報を提供する企業として、自社ブランド力の更なる強化に努める所存であります。しかしながら、当社が考える差別化策は必ずしも十分であるとは限らず、競争力のある新規参入企業により当社の優位性が薄れた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。


(3)法的規制について

①求人広告事業

 求人広告事業における法的規制としては、求人広告に関して職業安定法において、職業紹介並びに労働者の募集方法、労働条件の明示及び虚偽の求人広告等に関する規制が定められております。また、職業安定法の他、労働基準法による「男女同一賃金の原則」等、法的規制の他、業界団体による自主的規制があります。これらの規制は直接的には求人企業である広告主が規制対象でありますが、当社も求人広告制作者として間接的に規制を受けているため、当社事業活動に制約を受ける可能性があります。

 当社では、このような規制の趣旨に沿って、ユーザーからの問い合わせやクレームに即座に対応できるよう「ユーザー相談窓口」を設けてユーザー保護に努めるとともに、「審査室」を設け「広告倫理綱領」及び「求人広告掲載基準」を定めることにより、事前に不適切な求人広告を排除するよう努めております。併せて、社内で判断できない場合に備え、公益社団法人広告審査協会に加入しております。また、必要に応じて労働環境問題専門の弁護士の協力を得ております。

 

②人材紹介事業

 当社が行う人材紹介(中途・新卒)事業は、職業安定法の適用を受けており、当社は手数料を徴収して職業紹介を行うことができる有料職業紹介事業の許可を厚生労働大臣より取得しております(厚生労働大臣許可13‐ユ‐040429)。職業安定法には、職業紹介事業の適正な運営を確保するために、職業紹介を行う者(職業紹介事業者)が、職業紹介事業者としての欠格事由(当社の役員が禁固以上の刑に処せられ、あるいは傷害、脅迫、背任等の罪により罰金の刑に処せられたとき、職業安定法の規定等に違反したとき等)に該当、あるいは当該許可の取消事由に該当した場合には、厚生労働大臣により事業許可の取り消しが行われ、事業の停止が命じられる旨が定められております。なお、現在当社において、欠格事由または取消事由に該当する事項はありません。

 

③人材派遣事業

 当社が行うIT派遣事業は、労働者派遣法に基づき、主として一般労働者派遣事業および無期雇用派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っている事業であります(厚生労働大臣許可 派13-315344)。労働者派遣法には、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(派遣元事業主)が、派遣元事業主としての欠格事由に該当、あるいは当該許可の取消事由に該当した場合には、厚生労働大臣により事業許可の取り消しが行われ、事業の停止が命じられる旨が定められております。

 なお、現在当社において、欠格事由または取消事由に該当する事項はないものと認識しておりますが、労働者派遣法及び関係諸法令については、労働市場を取り巻く状況の変化等に応じて今後も適宜改正が予想され、その変更内容によっては、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(4)個人情報について

 当社は、個人情報の保護を企業活動の最優先事項のひとつとして捉え、個人情報の適切な取り扱い、並びに安全管理に取り組むことが重要な社会的責任であると認識しております。当社では個人情報保護方針を定め、個人情報の取り扱いに関する管理体制を整備し、個人情報保護のため以下のとおりの取り組みを行っております。

 

①個人情報の取組みについて

 ・Webサイト『type』、『女の転職type』等について

 利用者(求職者)は、当社Webサイトを利用するにあたり、個人情報の利用目的に同意した上で、当社Webサイト上の登録フォームに個人情報を入力し、会員登録を行います。利用者がサイトに会員登録すると、会員個人の専用ページが作成され、検索条件の保存、希望条件の保存、希望の条件での求人情報メールの配信、作成した応募情報データの保存等、求職活動を行うにあたって便利なサービスが利用できます。当社は、会員登録された個人情報を当社指定サーバーにて厳重かつ適正に管理し、本人の同意なく第三者に提供することや、予め本人の同意を得た利用目的の範囲外において取り扱うことはありません。

・人材紹介事業、新卒メディア事業、新卒紹介事業、IT派遣事業について

 利用者(求職者)は当社サービスを利用するにあたり、個人情報の利用目的に同意した上で、必要とされる個人情報を当社に提供します。これらの情報は、当該サービスを提供する各事業部にて厳重かつ適正に管理されます。提供された個人情報にアクセスできるのは各事業部の従業員に限られており、これらの情報を、本人の同意なく第三者に提供することや、予め本人の同意を得た利用目的の範囲外において取り扱うことはありません。

 

②セキュリティについて

 当社のWebサイトでは、求人企業及び求職者がデータの送受信を行う際、安心して利用できるように、セキュリティモードとして、サーバー間通信を保護するSSLを採用しております。このSSLは、サーバーと求人企業及び求職者間で通信される内容を暗号化しているため、第三者の盗聴、改竄、成りすましから個人情報を保護することが可能となります。

 

 以上のような対策を講じても、当社において個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、法的責任を問われる危険性があります。また、そのような事態になれば、社会的信頼を失い、ブランドイメージは悪化し、当社の事業運営、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。なお、当社は今後、個人情報の厳格な管理をより一層徹底すべく、2005年5月にプライバシーマークを取得し、以降2年毎に更新をし続けております。

 

 

(5)人材の確保及び育成について

 当社のビジネスを今後更に発展させるためには、各事業部における優秀な人材の確保及び育成が必要不可欠であると考えております。

 現在当社は、厳選した新卒採用活動及び中途採用活動を行っておりますが、当社の求める人材が十分に確保できない場合、現在在籍している人材が流出した場合、もしくは当社が採用した人材の成長が予想を下回った場合、当社のその後の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

 当社は当社ロゴマーク、社名、商品名称についてブランド戦略上重要性が高いと認識しており、よってこれらに関して商標権を取得しております。

 当社のサービスを表す商標を競合他社が取得した場合、当社がそれらの商標を使用できなくなること、当社への訴訟の提起等により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社サービスにおいて、特にWeb上での情報提供サービスにおいて、競合他社が技術面での特許を取得し、その権利を主張した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社は、それらの具体的事例を現時点では認識しておりませんが、本邦内外に限らず、当社の営む業務の全部もしくは一部についての特許等を第三者が既に取得しており、当社がそれに抵触していた場合、当社の事業遂行に影響を与える可能性があります。

 

(7)システムについて

 当社の事業の一部は、Web上での求人情報提供サイトの運営であることから、サイトのシステムそのものとコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークによる依存度が事業遂行上高いものと考えております。当社は現在、システム開発及びシステム管理・運用の一部を社外に委託しております。従って、これらの委託先との間にトラブルが発生した場合等には当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

 自然災害、コンピュータウィルスによる感染、電力供給の停止、通信障害、その他現段階では予測不可能な原因等によりコンピュータシステムがダウンした場合には、当社は事業の一部の遂行が困難になります。また、一時的な過負荷による当社またはインターネット接続業者のサーバーの作動不能、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入等の犯罪、従業員の過誤によるネットワーク障害等の可能性があります。予測可能な原因に対しては、未然に防げるよう万全の備えをしておりますが、万一これらの障害が発生した場合、当社に直接的な損害が生じるほか、当社に対する訴訟や損害賠償等により、当社信用は失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)広告宣伝について

 当社の事業の拡大及び収益の向上には、当社の商品・サービス(Webサイト『type』『女の転職type』等、適職フェア等、人材紹介事業『type転職エージェント』、新卒メディア事業『type就活』、新卒紹介事業『type就職エージェント』、人材派遣事業『typeIT派遣』)を多くの方々に認知して頂くことが必要不可欠であります。そのためには、当社既存媒体を含めた広告宣伝活動を戦略的かつ効果的に展開することが必要であると考えております。

 しかしながら、その効果について正確に予測することは不可能であり、同業他社との競合等から広告宣伝費が過大となった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要ならびに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度(2023年10月1日~2024年9月30日)における我が国経済において、2024年9月に発表された日銀短観では、大企業・製造業の景況感は改善傾向を示し、コロナ禍からの経済活動正常化やインバウンド需要の回復に向けた動きが進んでいる一方でエネルギー価格の高騰による物価上昇、急激な円安の進行等により依然として先行き不透明な状況が続いています。当社を取り巻く求人環境は、前事業年度のコロナ禍からの回復局面において採用需要が急速に高まった求人企業の採用が充足され、採用需要に一服感が見られたことや、採用活動を継続している企業においては採用基準の厳格化が起こるなど、期初の想定を上回る求人環境の変化が生じました。2024年9月の有効求人倍率は1.24倍と前回調査から横ばいで推移しております。

 このような状況において、当事業年度における当社の業績は、採用単価の高い人材紹介事業において、採用を継続している求人企業の採用基準が一層厳しくなり、採用内定率が低下し成約件数の伸びが鈍化したことにより、期初の業績予想を大幅に下回る結果となりました。また、新卒紹介事業においても2025年度卒業予定の学生の登録が鈍化したことに伴い成約件数が減少し、経常損失を計上する結果となりました。

 一方、新卒メディア事業・IT派遣事業は概ね業績予想通りに推移し、メディア事業においては関西エリアの拡販や販売価格の上昇などを進めたことにより、経常利益の伸びが顕著でありました。また、全社的に広告宣伝費や自社採用を抑制したことによる採用費や人件費などの削減に取り組みましたが、人材紹介事業・新卒紹介事業における売上高の減少を補いきれず、売上高・経常利益ともに期初の業績予想を下回る結果となりました。

以上の結果、当事業年度における売上高は、17,734,862千円(前年同期比2.0%増)、利益については、営業利益1,432,861千円(前年同期比9.6%減)、経常利益1,438,164千円(前年同期比8.8%減)、当期純利益984,351千円(前年同期比15.4%減)となりました。

 

<事業の種類別の業績>

  当社は人材サービス事業の単一セグメントでありセグメント情報の記載を省略しているため、事業の種類別に記載しております。

 

①メディア情報事業

 メディア情報事業は、Web求人広告・適職フェア等の商品・サービスを展開しております。

 当事業年度においては、採用基準の厳格化により下半期以降、「エンジニア」領域の売上高の伸びは落ち着きを見せましたが、新規開拓を強化するための商談数を増加し、引き続き販売価格の上昇や女性エンジニアの取り込み、関西エリアの拡販等を進めました。職種別の売上高は、「エンジニア」領域前年同期比0.1%減、「営業」領域同25.5%増、「女性」領域同8.2%増となりました。

 以上の結果、当事業年度におけるメディア情報事業の売上高は6,016,885千円(前年同期比7.2%増)、事業別経常利益は736,380千円(前年同期比83.6%増)となりました。

 

②人材紹介事業

 人材紹介事業は、ご登録いただいた求職者の方に最適な求人案件をご紹介する登録型人材紹介を運営しております。当事業年度より、営業・IT・販売・サービス等幅広い業種・職種をターゲットとする一般領域と専門職や管理職をターゲットとするミドル領域に分かれて事業運営を行っております。

 当事業年度においては、一般領域では新規顧客の案件開拓及びITエンジニアを中心とした求職者の登録獲得及び面談などの接点数を強化し、歩留まりの向上に向けた施策を実行したものの、求人環境の変化に対して新規顧客の開拓が遅れ、結果として転職者と求人案件のマッチング率が低下したことにより成約件数の伸びが鈍化いたしました。

 ミドル領域では、新規の案件や登録者の獲得に注力をしたものの、企業における採用基準の厳格化などの影響を受け、成約件数の伸びは鈍化いたしました。

 以上の結果、当事業年度における人材紹介事業の売上高は3,267,645千円(前年同期比2.8%減)、事業別経常利益は277,038千円(前年同期比34.9%減)となりました。

 

③新卒メディア事業

 新卒メディア事業は、新卒者を対象とする就職イベント・情報誌等の商品・サービスを展開しております。

 当事業年度においては、新規案件の開拓を強化したことや2025年度卒業予定の学生を対象としたイベントの拡販に加え、イベントは引き続きオンラインでの開催をするとともに、求人企業の個社別の採用ニーズに合わせた個別セミナーの販売も順調に推移いたしました。

 以上の結果、当事業年度における新卒メディア事業の売上高は825,197千円(前年同期比4.3%増)、事業別経常利益は316,195千円(前年同期比5.6%増)となりました。

 

④新卒紹介事業

 新卒紹介事業は、ご登録いただいた学生の方に最適な新卒採用案件をご紹介する登録型新卒紹介を運営しております。

 当事業年度においては、2025年度卒業予定の学生登録や顧客開拓が鈍化したことにより、成約件数は減少いたしました。さらに、想定を上回る内定辞退が発生したことに伴い売上高が減少し、経常損失を計上する結果となりました。

 以上の結果、当事業年度における新卒紹介事業の売上高は188,330千円(前年同期比27.4%減)、事業別経常利益は△60,575千円(前年実績30,913千円)となりました。

 

⑤IT派遣事業

 IT派遣事業は、当社にご登録いただいた登録者の中から、求人企業の採用ニーズに最適な人材を派遣する一般労働者派遣を運営しております。当事業年度より、有期雇用派遣と無期雇用派遣に分かれて事業運営を行っております。

 当事業年度においては、有期雇用派遣ではITエンジニアの登録者の獲得を強化するとともに、新規顧客の案件開拓と派遣スタッフに対する求人案件の提案数の増加を図ったことで前事業年度末にかけて減少した派遣スタッフの稼働人数は増加いたしました。

 無期雇用派遣では、前四半期末までに採用決定したエンジニアが稼働しており、エンジニアの採用について中途採用は計画を上回るペースで進捗しており、新卒採用についても計画通りに進捗しております。引き続きエンジニアの採用を強化するとともに、求人案件の開拓を強化することで、稼働人数の増加を目指して参ります。

 以上の結果、当事業年度におけるIT派遣事業の売上高は7,436,804千円(前年同期比1.0%増)、事業別経常利益は169,125千円(前年同期比59.7%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,821,967千円減少し、2,612,308千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度の営業活動の結果得られた資金は、859,187千円(前年同期比1,079,279千円の収入減)でありました。これは、税引前当期純利益を1,435,095千円計上し、減価償却費が460,752千円、売上債権の減少額が67,242千円、未払金の減少額が90,116千円、未払費用の減少額が83,176千円、契約負債の減少額が33,796千円、未払消費税等の減少額が236,313千円、法人税等の支払額が565,958千円あったこと等によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度の投資活動の結果使用した資金は、838,998千円(前年同期比360,933千円の支出増)でありました。これは、無形固定資産の取得による支出が586,641千円、有形固定資産の取得による支出が173,266千円あったこと等によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度の財務活動の結果使用した資金は、1,842,156千円(前年同期比1,493,823千円の支出増)でありました。これは、長期借入金の返済による支出が808,341千円、自己株式の取得による支出が645,562千円、配当金の支払額が388,253千円あったことによるものであります。

 

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

 当社は人材サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

①生産実績

 当社の主たる業務は、Web・情報誌による求人情報提供サービス、人材紹介、人材派遣等の事業であり、いずれも製造会社のような生産設備を保有しておりません。

 したがって事業の性格上、生産能力及び生産実績の記載は行っておりません。

②受注実績

 生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。

③販売実績

 当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。

事業別の名称

当事業年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

前年同期比(%)

メディア情報事業           (千円)

6,016,885

7.2

人材紹介事業             (千円)

3,267,645

△2.8

新卒メディア事業           (千円)

825,197

4.3

新卒紹介事業             (千円)

188,330

△27.4

IT派遣事業             (千円)

7,436,804

1.0

合計

17,734,862

2.0

 

(4) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は4,267,997千円となり、前事業年度末に比べ1,856,176千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,821,967千円減少、売掛金が68,225千円減少、その他が35,684千円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は2,238,415千円となり、前事業年度末に比べ363,222千円増加いたしました。これは無形固定資産が131,162千円増加、有形固定資産が128,440千円増加、投資その他の資産が103,619千円増加したことによるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は2,295,513千円となり、前事業年度末に比べ805,142千円減少いたしました。これは主に未払消費税等が236,313千円減少、未払金が126,600千円減少、その他が122,088千円減少、未払法人税等が103,121千円減少、1年内返済予定の長期借入金が99,996千円減少、契約負債が33,796千円減少したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は271,447千円となり、前事業年度末に比べ693,858千円減少いたしました。これは主に長期借入金が708,345千円減少、退職給付引当金が15,979千円増加、資産除去債務が64千円増加したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は3,939,452千円となり、前事業年度末に比べ6,046千円増加いたしました。これは主に自己株式が1,317,382千円減少、繰越利益剰余金が1,159,521千円減少、その他資本剰余金が151,814千円減少したことによるものであります。

 

 

 

②経営成績の分析

 経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照下さい。

 

③キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照下さい。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、Webシステム開発等の設備投資によるものであります。

 当社の運転資金は、営業活動によって獲得した自己資金の充当を基本とし、資金需要等を考慮した上で外部資金調達手段として金融機関からの借入により調達することとしております。なお、当社は、運転資金の安定的かつ効率的な調達を行うため、借入限度額2,500,000千円のコミットメントライン契約を主幹事の株式会社三菱UFJ銀行と締結しております。当該契約に基づく2024年9月30日現在の借入れ実行残高はございません。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この 財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております が、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、 「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社は、研究開発活動を行っておりません。