第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成27年4月~平成28年3月)において、6月の「経済財政運営と改革の方針(骨太方針)2015」により社会保障関係費の伸びの抑制策が具体的に示され、10月の「患者のための薬局ビジョン」(厚生労働省)では、調剤薬局のかかりつけ薬局への再編の道筋が示されました。これを踏まえ、平成28年度調剤報酬改定及び診療報酬改定では、「患者のための薬局ビジョン」の実現に向け、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の役割・評価が具体的に提示されました。“患者本位の分業を実現する”ために、地域医療機関との連携など高度な機能を備えた薬局、高度な服薬指導と服薬情報の一元的・継続的把握が可能な薬剤師への変革が求められています。また、後発医薬品の使用促進については、「経済財政運営と改革の方針(骨太方針)2015」にて設定された数量シェア目標80%を見据え、“引き続き強力に進める”ことが明記され、実現に向けた具体的な諸施策が盛り込まれました。医薬品・調剤薬局業界はかつてない大きな変革期に突入しつつあり、当社を取り巻く環境はまさに激変しようとしております。

 このような状況の下、当社グループでは、4月より新中期経営計画(期間:平成28年3月期から平成30年3月期)をスタートさせ、さらなる業容の拡大を図るべく、各事業間の連携を一層強化し事業の推進に取り組みました。

 当連結会計年度の連結業績は、前連結会計年度比大幅な増収増益となりました。連結売上高は219,239百万円(前年同期比20.6%、37,394百万円増)、営業利益は10,489百万円(同57.8%、3,842百万円増)、経常利益は9,878百万円(同64.5%、3,874百万円増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6,329百万円(同127.8%、3,551百万円増)となりました。前期に続き2期連続で最高益を更新する業績となり、新中期経営計画の初年度として順調なスタートを切ることができました。

 

各事業のセグメント別業績概況は次のとおりです。


①調剤薬局事業
 同事業では、当連結会計年度において、7月から処方せんの応需を開始した千葉県下での大型病院の分業に対応した3店舗を含め27店舗を新規出店し、11店舗を閉局いたしました。この結果、当連結会計年度末時点での総店舗数は527店舗(物販専業1店舗を含む)となりました。ジェネリック医薬品の全社での数量ベース使用比率は79.0%に達し、“平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする”とした政府目標の水準を確実に捉えた状況にあります。在宅医療の実施店舗は全営業店舗の95.4%に達し、全社一丸となった在宅医療への積極的な取り組みを数字として示すことができました。また、自社開発の電子お薬手帳「お薬手帳プラス」については、機能改修・改善などにより利用者の利便性向上に努めた結果、平成28年3月末時点において登録会員数が6万人を突破いたしました。

 同事業の業績は、売上高190,874百万円(前年同期比20.8%増)となりました。売上高増加の主な要因は、大型の新規出店と既存店実績の堅調な進展に加え、C型肝炎治療薬の処方せん応需の増加などがあげられます。利益面においては、改定のない年度でもあり、営業利益10,707百万円(同39.1%増)と大幅な増益となりました。営業利益増加の主な要因は、売上高増加による増益及び各種経費の抑制に加え、ジェネリック医薬品の使用促進並びに在宅医療への取り組みの強化などによる調剤報酬の増加などがあげられます。

②医薬品製造販売事業
 同事業では、当連結会計年度において、国のジェネリック医薬品の数量シェア目標について、“平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする”との政府目標が発表され、ジェネリック医薬品の使用促進が従来にも増して強力に進められたことなどにより、大病院をはじめ各医療機関におけるジェネリック医薬品の使用が引き続き増加傾向にありました。併せてグループ会社間の連携を一層進めたことにより、売上高は32,598百万円(前年同期比18.3%増)と増収となりました。利益面においても、売上高増加による増益及び各種業務の効率化の推進などによる各種経費の抑制、販売戦略の再構築などが奏功し、営業利益2,668百万円(同41.3%増)と大幅な増益となりました。また、ジェネリック医薬品市場の拡大に向け、万全な生産・供給体制を構築すべく、9月につくば第二工場の建設計画を決定・公表し、12月には工事に着手いたしました。販売品目数につきましては、新製品発売の一方で導入品と自社グループ生産品の重複品目整理を行い、当連結会計年度末で前連結会計年度末比13品目増加し574品目となっております。

③医療従事者派遣・紹介事業
 同事業においては、10月に厚生労働省より示されました「患者のための薬局ビジョン」にて薬剤師の果たすべき役割が一層拡充・強化されたことなどに伴い、在宅医療の担い手としての薬剤師の派遣・紹介の需要がさらに高まりました。こうした状況の下、派遣・紹介先の新規開拓による求人数の増強及び登録者数の確保などの取り組みを強力に進めた結果、当連結会計年度におきましては、売上高は8,934百万円(前年同期比36.3%増)、営業利益は1,599百万円(同26.3%増)となり、引き続き高い水準での増収増益実績となりました。

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが19,327百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△7,823百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが7,031百万円となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ18,535百万円増加し、32,380百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 主要な収入項目は、税金等調整前当期純利益9,681百万円、仕入債務の増加額11,212百万円であります。一方、主要な支出項目は売上債権の増加額△5,339百万円、法人税等の支払額△2,695百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 主要な支出項目は、調剤薬局事業における新規出店展開及び医薬品製造販売事業における設備投資を主とした有形固定資産の取得による支出△6,880百万円及び事業譲受による支出△454百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 主要な収入項目は、長期借入れによる収入10,400百万円、自己株式の処分による収入9,194百万円であります。一方、主要な支出項目は長期借入金の返済による支出△6,069百万円であります。

2【生産、仕入及び販売の状況】

(1)生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

金額(百万円)

医薬品製造販売事業

11,360

14,424

  (注)1.金額は製造原価によっております。

    2.日本ジェネリック株式会社及び長生堂製薬株式会社の工場における生産実績を示しております。

 

(2)仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称及び区分

前連結会計年度

当連結会計年度

 金額(百万円)

 金額(百万円)

調剤薬局事業

調剤薬品

97,932

118,343

一般薬等

1,553

1,496

医薬品製造販売事業

11,334

10,227

医療従事者派遣・紹介事業

合計

110,819

130,068

 (注)1.金額に消費税等は含まれておりません。

2.一般薬等部門とは、一般大衆薬、衛生用品、健康食品、雑貨等の販売部門であります。

3.医療従事者派遣・紹介事業については、仕入はありません。

4.医薬品製造販売事業の仕入実績は、製造委託品等の仕入実績を示しております。

 

(3)受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

受注残高(百万円)

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度

当連結会計年度

医薬品製造販売事業

6,705

8,141

1,866

2,945

 (注)金額に消費税等は含まれておりません。

(4)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称及び区分

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

調剤薬局事業

調剤売上

155,727

85.6

188,596

86.0

一般薬等売上

2,266

1.3

2,270

1.0

小計

157,993

86.9

190,866

87.0

医薬品製造販売事業

18,335

10.1

20,351

9.3

医療従事者派遣・紹介事業

5,515

3.0

8,021

3.7

合計

181,844

100.0

219,239

100.0

 (注)1.金額に消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間取引は相殺消去しております。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

セグメントの名称及び区分

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売先

請求先

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

調剤薬局事業

調剤売上

患者

国民健康保険団体連合会

83,405

45.9

102,825

46.9

社会保険診療報酬支払基金

48,094

26.4

58,968

26.9

その他

436

0.2

482

0.2

患者負担

23,791

13.1

26,319

12.0

小計

155,727

85.6

188,596

86.0

一般薬等売上

患者他

2,266

1.3

2,270

1.0

小計

157,993

86.9

190,866

87.0

医薬品製造販売事業

医薬品卸企業

18,335

10.1

20,351

9.3

医療従事者派遣・紹介事業

派遣紹介先企業

5,515

3.0

8,021

3.7

合計

181,844

100.0

219,239

100.0

 

 最近2連結会計年度の調剤薬局事業の処方せん枚数は以下のとおりであります。

地域

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比(%)

処方せん枚数(千枚)

(構成割合)

処方せん枚数(千枚)

(構成割合)

北海道

974

(8.3%)

962

(7.8%)

98.8

東北

1,003

(8.6%)

988

(8.0%)

98.5

関東甲信越

6,423

(54.9%)

6,911

(56.2%)

107.6

東海

737

(6.3%)

774

(6.3%)

105.0

関西北陸

1,340

(11.5%)

1,379

(11.2%)

103.0

中国

508

(4.3%)

532

(4.3%)

104.7

四国

208

(1.8%)

215

(1.8%)

103.4

九州沖縄

500

(4.3%)

536

(4.4%)

107.3

合計

11,695

(100.0%)

12,301

(100.0%)

105.1

 

 

3【対処すべき課題】

 「患者本位の分業」実現に向けた施策が厚生労働省により着々と進められ、当社の企業理念である「真の医薬分業を実現する」道筋も明確に示される状況にある一方で、同業他社においては薬歴未記載など医薬分業の意義が改めて問われるような事象が発生しており、調剤薬局業界をリードする当社グループの果たすべき役割は従来以上に重要度が増しているものと考えております。かかる状況を踏まえ、当社グループでは、昨年12月にコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を再検討のうえ整備いたしました。今後さらに経営の健全性と透明性を向上させるべく、コンプライアンス体制をはじめとする内部統制システムのグループ全社での徹底を図り、コーポレート・ガバナンスを強化してまいります。

 また、医薬品・調剤薬局市場においては、マイナス基調である薬価改定、薬価差益の縮小及び診療報酬・調剤報酬改定に伴う調剤薬局の収益構造変化、医療機関の経営行動の変化など、事業環境に大きな変化が表れてきております。当社グループでは、国や患者さまに経済的メリットのあるジェネリック医薬品への積極的な取り組み、厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」を踏まえたかかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師実現に向けた取り組みなど、各種の制度変更に対して速やかな対応を図ることにより、医療サービス提供企業としての質と競争力を維持・強化してまいります。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について記載しております。当社グループはこれらのリスクを認識した上で、それが現実化した際には適切に対処する方針ですが、投資対象としての判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて慎重に検討した上、行われる必要があると考えております。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、さまざまな要因によって実際の結果と異なる可能性があります。

 

Ⅰ.各事業に係るものについて

1.有利子負債依存度について

 当社グループは、主として借入金により資金を調達することにより調剤薬局事業における新規出店展開及び医薬品製造販売事業における設備投資などを行っております。今後も借入金等による出店・設備投資等を行う予定であり、その場合、支払利息が増加する可能性があります。また、各事業の運営によるキャッシュ・フローが十分得られない等の場合には追加借入が困難となること等により、当社グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。さらに、現時点で、借入金の大半は固定金利となっておりますが、金利の上昇に伴い支払利息が増加することにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

2.個人情報管理について

 当社グループは、調剤薬局事業及び医療従事者派遣・紹介事業において、顧客の病歴及び薬歴、並びに派遣労働者の経歴などの個人情報を取り扱っております。当社グループにおいては、個人情報について厳重な管理を行っておりますが、これらの個人情報が漏洩した場合には、住所・氏名などの一般的な個人情報の漏洩の場合と比較し、より多額の賠償責任が生じる可能性があります。また、個人情報の保護に関しては、「個人情報の保護に関する法律」により、当社及び連結子会社を含む個人情報取扱事業者が本人の同意を得ずに個人情報を第三者に提供した場合等には、行政処分が課され、場合によっては刑事罰の適用を受けることもあります。さらに、調剤薬局において個人情報を扱う当社の従業員は、その多くが薬剤師であり、薬剤師には重い守秘義務が法律上課せられております(刑法第134条)。これらのため、当社グループにおいて、万一個人情報の漏洩があった場合には、多額の賠償金の支払いや行政処分、それらに伴う既存顧客の信用及び社会的信用の低下等により当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

3.社会保険料負担について

 当社グループにおいては、社会保険加入対象者を全員加入させることにしております。高齢者医療制度改革、雇用保険の充実など、制度の改正による保険料率上昇や、派遣労働者に係る被保険者の範囲の変更に伴い、会社負担金額が大幅に上昇する場合、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

4.災害等による影響について

 当社グループにおいては、各社の本社機能を主に東京都千代田区に集約しております。また、医薬品製造販売事業においては茨城県つくば市及び埼玉県春日部市に日本ジェネリック株式会社の生産設備を、徳島県徳島市に長生堂製薬株式会社の本社及び生産設備を設置しております。災害等がこれら地域に発生した場合、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

 

Ⅱ.調剤薬局事業について

1.調剤薬局事業の法的規制等について

(1)調剤薬局の開設等について

 当社が調剤薬局を開設し、運営するにあたり、必要とされる各都道府県等の許可・指定・登録・免許を受けることができない場合、更新及び登録・届出の手続きを怠った場合、関連する法令に違反した場合、または、これらの法令が改正された場合等において当社の出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当該法的規制の主なものは、「薬局開設許可」・「保険薬局指定」等であり、当社は必要とされる許可等を全ての店舗で取得しております。また、許可等の取消事由について、有価証券報告書提出日現在、該当事項はありません。

(2)薬剤師の確保について

 調剤薬局においては、薬剤師法第19条において薬剤師以外の調剤を禁じていることや、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧 薬事法、以下「薬機法」といいます)及び厚生労働省令によって、薬局における薬剤師の配置のみならず、その配置人数においても厳しく規制されており、1日当たり40枚の受取処方せんに対して1人の薬剤師を配置する必要があります。このため、薬剤師の必要人員数が確保されない場合には、当社の出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)調剤業務について

 当社では調剤過誤の防止を図るため、さまざまな対策を講じております。例えば、調剤過誤により重篤な症状を来たす危険薬剤等の自動チェックシステムを導入するとともに当該危険薬剤等については薬剤師が重点的に鑑査を実施しております。さらには、万一に備え、全店舗において「薬剤師賠償責任保険」に加入することにより、業績への影響を緩和する措置を講じております。しかしながら、調剤過誤が発生し、多額の賠償金の支払いや、それに伴う既存顧客の信用及び社会的信用の低下等があった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

2.調剤薬局事業の事業環境について

(1)医薬分業率の動向について

 医薬分業は、医療機関が診察等の医療行為に専念し調剤薬局が薬歴管理や服薬指導等を行うことで医療の質的な向上を図るために国の政策として推進されてきました。今後、医薬分業率の伸び率が低下する場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)医療制度改革について

①薬価基準及び調剤報酬の改定について

 当社グループの主たる事業である調剤薬局事業の調剤売上は、健康保険法に定められた薬価基準に基づく薬剤収入と、同法に定められた調剤報酬点数に基づく調剤技術に係る収入との合計額であります。このため、薬価基準の改定によって薬価基準が引き下げられる一方、実際の仕入価格が同程度引き下げられなかった場合、または、調剤報酬の改定によって調剤報酬点数の引き下げ等があった場合には、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

②その他の制度改革について

 近年、医療に対する患者さまの権利意識の向上や医療財政の窮迫化等を原因とする各種医療制度改革が進行しております。今後も引き続き各種医療制度改革の実施が考えられますが、その動向によっては患者数の減少等により当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

3.事業展開について

 当社グループの調剤薬局事業においては、店舗の買収を含め、店舗数の拡大等を図っていく方針でありますが、出店条件に合致する物件が確保できないこと等により計画どおりに出店できない場合、競合状況や医薬分業の進展が芳しくない等の状況により出店後に当初計画どおりの売上が計上できない場合、医療機関の移転又は廃業等により店舗の売上高が減少する場合、賃借先の経営状況により店舗営業の継続及び敷金保証金の返還に支障が生じる場合等には、当社グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。

4.業績の季節変動について

 当社グループの売上高合計のうち、調剤薬局事業の売上高が当連結会計年度においても大半を占めており、当社で行っている調剤薬局事業の業績の変動が当社グループ業績の変動に大きく影響することになります。当該調剤薬局事業においては、冬季に流行するインフルエンザ等や春先を中心に発生する花粉症(アレルギー性鼻炎)に係る処方せんの増加状況により影響を受ける可能性があります。

5.消費税等の影響について

 調剤薬局事業において、調剤売上は消費税法により非課税となる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。このため、調剤薬局事業において当社は消費税等の最終負担者となっており、当社が仕入先に支払った消費税等は、販売費及び一般管理費の区分に費用計上されております。過去の消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価基準の改定において考慮されておりましたが、今後、消費税率が改定され、薬価基準がその消費税率の変動率に連動しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅲ.医薬品製造販売事業について

1.医薬品製造販売事業の法的規制等について

 平成17年4月の改正薬事法(現 薬機法)施行により、医薬品の販売承認制度が導入され、医薬品の全面委託製造が可能となったことを契機として、当社グループでは、当社の連結子会社である日本ジェネリック株式会社において平成17年4月に医薬品製造販売業許可を取得しました。平成18年4月からは他社製造のジェネリック医薬品の販売、平成19年7月からは自社による承認取得をした同医薬品の製造販売を開始しております。当社グループの医薬品製造販売事業においては、開発コストの負担が新薬に比較して少ないジェネリック医薬品の製品化、販売を行い、実際の製造にあたっては自社工場での製品製造を本格化させており、製造物責任に係る訴訟リスク及び以下のような医療用医薬品の製造販売に関する法的規制等の同事業に係るリスク要因が、当社グループの業績等に大きな影響を与える可能性があります。医療用医薬品の製造販売に関しては、主に薬機法関連法規等の規制を受け、各都道府県知事等による許可・指定・登録・免許及び届出を必要としております。その主なものは、「第1種医薬品製造販売業許可」・「第2種医薬品製造販売業許可」医薬品の「卸売販売業許可」等であります。万一法令違反等があった場合、監督官庁からの業務停止、許認可の取消等が行われ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、当事業において開発・申請した製造販売品目ごとの承認を厚生労働大臣から取得しておりますが、これらの承認を計画どおりに得られない場合、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

2.医薬品製造販売事業の事業環境について

 医療用医薬品は、厚生労働省が定める薬価基準により、医療機関、調剤薬局での調剤報酬における薬剤費算定の基礎となる薬価が定められます。国の財政改革を背景とした医療費抑制化の動きから、薬価は2年に一度の薬価基準改定のたびに低下する傾向があり、その低下率は改定ごとに大きくなる可能性があります。こうした薬価の動向は、当社グループの製品価格政策に影響を与える可能性があります。また、当事業において取り扱うジェネリック医薬品の製造販売市場においては、今後、医療制度の大幅な変更により急速に需要が拡大する可能性がある一方で、医薬品業界全体を巻き込んで競争が激化する可能性があります。これらの事業環境の変化は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

3.医薬品製造の外部委託について

 当事業は、平成17年4月に施行された改正薬事法(現 薬機法)に基づいた製造販売承認制度に則り、国の承認を得てジェネリック医薬品製造販売の製造部門を外部へ委託する形式、あるいは製造販売元の医薬品を自社販売する形式にて市場への製品供給を行っております。複数のジェネリック医薬品メーカーとの間で継続的な製品供給契約を締結しておりますが、製造委託先の諸事情により該当製品の契約終了、契約内容変更等により製品供給が行われなくなる可能性があります。これらの場合、当社グループの業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

4.特許訴訟について

 当社グループの医薬品製造販売事業においては、知的財産権及び不正競争防止法に十分に留意した製品開発を行っておりますが、ジェネリック医薬品の商品としての特性上、先発医薬品メーカーから特許訴訟を提起される場合があります。このような事態になった場合には、当社グループの業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

5.製品回収・販売中止について

 ジェネリック医薬品は、先発品でその有効性と安全性が一定期間にわたって確認された使用実績に加え、再審査の後発売されるため、先発品に発生する以外の重篤な副作用が発生するリスクは極めて小さいと考えられます。ただ万一予期せぬ新たな副作用の発生や製品への不純物混入といった事故が発生した場合、製品回収・販売中止を余儀なくされ、当社グループの業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

6.原材料・商品の仕入について

 原材料及び商品の仕入先において、規制上の問題または火災・地震、その他の災害及び輸送途中の事故等により原材料及び商品の仕入が不可能となった場合、製品の製造及び供給が停止し、当社グループの業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅳ.医療従事者派遣・紹介事業について

1.医療従事者派遣・紹介事業の法的規制等について

 平成11年12月の労働者派遣法改正に伴い薬剤師の派遣が認められたことから、平成12年7月に当社の連結子会社である日本調剤ファルマスタッフ株式会社(現 株式会社メディカルリソース)において薬剤師に特化した労働者派遣事業を開始しており、当社に対しても薬剤師の派遣を行っております。また、平成14年6月1日から薬剤師の人材紹介事業を行っております。当事業においては、「一般労働者派遣事業許可」・「職業紹介事業許可」等の厚生労働省の許可が必要となっており、また同省の定める「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針」の規制も受けております。当該法令、指針に違反したことにより許可を取り消された場合等において、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 当社の連結子会社である日本ジェネリック株式会社では、今後のジェネリック医薬品市場の急速な拡大を飛躍的な業容拡充につなげるとともに、ジェネリック医薬品メーカーとしての安定供給責任を果たすべく、生産設備の増強に向け様々な選択肢について検討を重ね、つくば第二工場の建設を決定しております。

 この度、当該工場建設計画について、日本ジェネリック株式会社では、平成28年6月30日付で株式会社大林組と請負金額123億円の工事請負契約を締結することを、平成28年6月20日開催の取締役会決議で決定しております。

 

6【研究開発活動】

 医薬品製造販売事業において連結子会社の日本ジェネリック株式会社及び長生堂製薬株式会社は、特許切れが見込まれる医療用医薬品に対応するジェネリック医薬品の自社製品の製造販売に向け、自社の研究所を中心に研究開発を行っており、当連結会計年度に支出した金額は1,913百万円となっております。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結会社)が判断したものです。また、記述中の数値は、当社グループの連結財務諸表及び当社の財務諸表、並びにその他の会計上又は業務上のデータをもとにしております。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。使用する仮定や見積りは、これまでの経験、業界での標準的考え、経済状況及び業界動向、現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられるものを継続して採用しております。実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があり、また、これらの見積りは異なった仮定のもとでは結果に差異が生じることがあります。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の連結業績は、前連結会計年度比大幅な増収増益となりました。連結売上高は219,239百万円(前年同期比20.6%、37,394百万円増)、営業利益は10,489百万円(同57.8%、3,842百万円増)、経常利益は9,878百万円(同64.5%、3,874百万円増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6,329百万円(同127.8%、3,551百万円増)となりました。前期に続き2期連続で最高益を更新する業績となり、新中期経営計画の初年度として順調なスタートを切ることができました。

 当連結会計年度末における資産の部は157,609百万円となり、前連結会計年度末の130,141百万円に対し、21.1%、27,468百万円増加いたしました。また、当連結会計年度末の負債の部は125,136百万円となり、前連結会計年度末の112,505百万円に対し、11.2%、12,630百万円増加いたしました。

 流動資産は、前連結会計年度末60,096百万円に対し、41.2%、24,742百万円増加し、84,838百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加18,432百万円、売掛金の増加5,838百万円などによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末70,044百万円に対し、3.9%、2,726百万円増加し、72,770百万円となりました。うち、有形固定資産は、前連結会計年度末48,819百万円に対し、6.5%、3,177百万円増加し、51,997百万円となりました。その主な要因は、調剤薬局事業における新規出店展開及び事業譲受、医薬品製造販売事業における設備投資によるものであります。無形固定資産は前連結会計年度末10,376百万円に対し、△2.4%、253百万円減少し、10,122百万円となりました。投資その他の資産は、前連結会計年度末10,848百万円に対し、△1.8%、198百万円減少し、10,650百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末53,474百万円に対し、29.0%、15,510百万円増加し、68,985百万円となりました。その主な要因は、買掛金の増加10,683百万円によるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末59,031百万円に対し、△4.9%、2,880百万円減少し、56,151百万円となりました。その主な要因は長期借入金の増加4,436百万円、社債の流動負債への振替による減少7,000百万円であります。

 純資産は、前連結会計年度末17,635百万円に対し、84.1%、14,837百万円増加し、32,473百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金の増加5,803百万円、自己株式の売出しによる資本剰余金の増加6,172百万円であります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の13.6%から増加し20.6%となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループのコア事業である調剤薬局事業、また医薬品製造販売事業においては、薬価改定・調剤報酬改定の動向が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国の医療費抑制方針を背景に、今後も実質マイナス傾向の改定が行われることが予想されるため、国の方針及び事業環境変化を注視しながら鋭意事業を行ってまいります。

 政府によるジェネリック医薬品使用促進政策の進捗及びその結果としての普及率も経営成績に重要な影響を与える要因となっております。平成25年4月には、『後発医薬品の数量シェアを平成30年3月末までに60%以上とする(数量シェアについては、後発医薬品に置き換えられる先発医薬品及び後発医薬品をベースとした数量シェアとする)』という新たな目標が政府より示されています。さらに平成27年には「経済財政運営と改革の方針(骨太方針)2015」にて数量シェア目標は80%に引き上げられています。両事業の事業計画(損益計画・投資計画)は、この政府目標達成に向けた取り組みが積極的に推進されることを前提として策定・実行されており、当社グループの会計処理もこの目標及び事業計画を前提にして行っております。平成28年度以降もこの目標に沿った計画を実行する予定であり、会計処理に使用する仮定や見積りもこれに拠っています。なお、この想定に変更が生じた場合には、経営成績に重要な影響を与えることがあります。

 

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社グループといたしましては、超高齢社会に突入し、国の医療費抑制を目的とした施策がさらに実施されることにより、今後、医薬品業界全般、また当社のコア事業である調剤薬局事業にとって大変厳しい経営環境を予想しております。一方これは業界全体に大きな変革を求めるものであり、新事業展開への大きなチャンスと捉えております。

 こうした中、当社グループでは、平成28年3月期をスタートとする「日本調剤グループ 第4期中期経営計画」を策定いたしました。企業理念である「真の医薬分業の実現」の下、調剤薬局と医薬品製造を車の両輪とし、また医薬を中心とした関連事業も含めた競合他社にはないビジネスモデルの基盤を一層強固なものとして次のステージでの飛躍へ向け体制固めを進めて参ります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の20.5%を占める32,380百万円となっております。当該残高に加え、営業活動によるキャッシュ・フローの実績及び未使用の借入枠から勘案すると、現状の事業活動維持の観点からは、将来資金に対して十分な財源が存在すると考えております。

 資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローが、前連結会計年度より13,496百万円増の19,327百万円となっており、その主な内訳は税金等調整前当期純利益の9,681百万円、減価償却費4,461百万円、仕入債務の増加額11,212百万円であります。今後も引き続き、キャッシュ・フローを重視した財務戦略を推進してまいります。

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づく迅速かつ最善な経営戦略・施策の着手に努めております。しかしながら国の重要施策である医療制度改革を中心に、社会的な様々な要因が絡み合う国内の医療動向は、当社の想定の範囲を超える場合もあり、正確な長期方針の立案・策定は難しいものと思われます。過去の事例や業界環境の推移はもちろんのこと、政府・行政等の中長期のマクロ的な方針や施策も注視しつつ、常にスピーディーで最適な経営方針・施策を展開してまいります。