文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは以下のとおり経営理念を掲げ、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略および優先的に対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国内においては、好調な企業業績や雇用・所得環境の改善、設備投資等に支えられ、緩やかな回復が続くと見込まれ、日銀の政策金利の更なる引き上げも想定されます。一方、米国の貿易・関税政策、米中対立の影響による世界経済の不確実性の高まり、ウクライナや中東情勢といった地政学リスク等には引き続き留意を要する状況にあり、経済・金融市場の動向については、一層意を用いる必要があると認識しております。
国内のリース業界を取り巻く環境については、テクノロジーの進化、脱炭素社会への移行等により大きく変化しており、労働力不足や環境負荷低減への対応として、リース会社が提供するソリューションの重要性は一層高まっております。一方で、政策金利引き上げやリース会計基準変更等、外部環境の変化に対応する必要があります。こうした中で、社会的課題やお客さまニーズを的確に捉え、金融の枠を超えた新たな価値を創造することが求められております。
こうした状況下、当社グループは、「中期経営計画2025」で掲げた諸課題への取り組みに加え、更なる成長に向け一層注力してまいります。金融にとどまらない高い自由度を活かしたサービスを提供することで、お客さまの抱える事業戦略上の課題や社会的課題に率先して取り組み、ステークホルダーの皆さまと共有できる新しい価値を創造し、お客さまの事業活動の発展と、それを通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、成長を支える経営基盤の強化・高度化に向け、ガバナンス強化・リスクマネジメント高度化やDXの加速・人財戦略の高度化にも取り組んでまいります。
<ガバナンス強化・リスクマネジメント高度化>
ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、事業ポートフォリオ変革に向け、各事業の戦略策定・意思決定を迅速かつ機動的に行うために、資本コストを意識した収益管理、投資規律の導入、モニタリング体制の構築によるガバナンスの強化を行うとともに、多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化を図ってまいります。
<DXの加速・人財戦略の高度化>
ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向けたデジタル技術の活用、次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上によりビジネス開発を加速させてまいります。
また、人財への積極的な投資を行うことで、「最適な人財ポートフォリオの構築」、「個の強さの最大限の発揮」を目指し、人財戦略の高度化を図ってまいります。
中期経営計画2025の概要は以下のとおりであります。
① 事業ポートフォリオ運営の変革・高度化
・事業ポートフォリオを成長の時間軸が異なる3つの分野(コア、グロース、フロンティア)に分け、マネジ
メントを実施
1.期間利益の追求と成長投資を両軸で推進。投資効果の発現に一定期間を要する領域は、中長期目線での
収益化に向けビジネス基盤を強化
2.コア分野の着実な積み上げと、グロース分野のビジネス領域拡大が成長を牽引。フロンティア分野は長
期目線で新たな収益源とすべく経営資源を投下、ビジネス基盤を整備
3.みずほグループ・丸紅グループとの連携を強化、ビジネス領域・顧客基盤を更に拡大。スタートアップ
やDXプレーヤーといった事業法人とのアライアンスを推進
4.良質な営業資産を積極的に積み上げ(2022年度比+7,000億円超)。インオーガニック戦略の推進に注力(2025年度までに累計1,500億円規模の投資)
<事業ポートフォリオの分類>
コア分野:成熟したマーケット、あるいは相応のプレゼンスを擁する領域。安定的・継続的な成長に向け、
良質な資産を積極的に積み上げ(例:国内リース、不動産等)
グロース分野:顕在化した成長領域。本中期経営計画期間における成長ドライバーであり、コア分野に次ぐ
収益の柱として積極的に経営資源を投下(例:グローバル、航空機、環境エネルギー等)
フロンティア分野:長期的にマーケットが形成され、大きく花開くことを展望する領域。先行的に経営資源を投下、ビジネス基盤を整備(例:サーキュラーエコノミー、XaaS等)
② サステナビリティ経営の推進
・ファイナンスを超える新たな発想と飽くなき挑戦により循環型社会を共創し、持続可能な社会の実現に貢献
1.脱炭素社会実現への貢献
- 再生可能エネルギー電源を確保(発電設備容量:2025年度までに1ギガワット)
発電・送電・蓄電・利用についてトータルマネジメントを実施し、需要家へ供給
- SCOPE1,2 CO2排出量削減:2030年度にカーボンニュートラルを実現
2.サーキュラーエコノミーへの取り組み
- 製品ライフサイクルの一連のプロセスにおけるトレーサビリティーを提供。透明性の高い、資源利用
の最適化を促進するプラットフォームを構築
③ 成長を支える経営基盤の強化・高度化
・中期経営計画2025で掲げるビジネス戦略を遂行するため、経営基盤の強化・高度化に向けて積極的に経営資
源を投下
1.デジタルトランスフォーメーションの加速
- ビジネス領域の拡大、新たなビジネスモデル実装に向け、デジタル技術を活用
- 次期システム導入等を通じた更なる業務効率化と顧客利便性の向上、ビジネス開発の加速(ITシステム
投資額:2025年度までに累計100億円超)
2.人財戦略の高度化、企業カルチャーの変革
- ビジネス戦略に即した人財ポートフォリオの構築(専門ビジネス人財:2022年度比+80名超、人財育成
のための投資額:同3倍以上)
- 社員一人一人が、より一層、働きがいや充実感を覚える組織へ
3.ガバナンスの強化
- ビジネスの多様化、専門性の高まりを踏まえ、本部・グループ制を導入するなど、各事業の戦略策定・意思決定を迅速且つ機動的に実施
4.リスクマネジメント態勢の高度化
- 多様化するリスクカテゴリに応じたリスクコントロールの高度化、モニタリングの強化
- リスク・リターン運営の更なる高度化
当社グループは、お客さまの抱える課題を金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして解決し、事業活動に貢献する、マルチソリューション・プラットフォーマーを目指してまいります。中期経営計画の3年間は、目指す姿の実現に向け、飛躍的な成長を遂げるために、ビジネス基盤・経営基盤双方に対し、積極的な経営資源投下を行う、変革に挑戦するための期間として位置づけ、ビジネスを推進してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
中期経営計画2025では、当社グループの更なる成長とステークホルダーに提供する価値の向上を実現するため、計画最終年度(2025年度)の経営目標数値(連結)を以下のとおり設定しております。
当社グループは、「ニーズをつなぎ、未来を創る」という経営理念に基づき、事業活動を通じてステークホルダーの皆さまと共有できる価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
環境・社会課題への取り組みの重要性はますます高まっており、当社グループは更なる持続可能な社会の実現と成長を目指していくため、社会と当社グループのそれぞれの機会とリスクの観点から、優先的に取り組むべき6つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、これらのマテリアリティに対する取り組みを事業戦略と一体化させて推進しております。
気候変動や健康・福祉、都市・インフラ・モビリティ等の社会環境課題に対し、新たなテクノロジーの活用やサプライチェーン支援、モノ・サービスの利用価値の提供等も用いて循環型社会へ移行を推進しながら解決に貢献していきます。これらすべてを支える基盤として、人財・教育・ガバナンスの強化・拡充や人権ポリシーの浸透・徹底にも努めてまいります。なお、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
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マテリアリティ |
主要な取り組み |
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脱炭素社会実現への貢献 |
・発電・送電・蓄電・利用のマネジメントシステムの構築 ・再生可能エネルギー事業へ参画しビジネスフィールドを拡大 ・省エネ、エネルギー効率化ソリューションの拡充 |
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健康で豊かな生活への貢献 |
・医療メーカーとのアライアンスを通じた、メンテナンスやデータ分析など と一体化したサービスの提供 ・施設、設備、機器を内包したトータルソリューションの提供 |
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生活を支える社会基盤づくりへの貢献 |
・インフラ整備、モビリティ普及のためのソリューション提供 ・防災や災害に備えた設備導入の仕組みづくり ・スマートシティ、地方創生事業への参画 |
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循環型経済の牽引 |
・サプライチェーンの中のあらゆる段階での支援 ・メーカーとの連携によるライフサイクルコスト低減 ・モノの利用価値の最大化(サブスクリプション、シェアリングなど) |
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テクノロジーによる新しい 価値の創出 |
・ビックデータやAIを利用したプラットフォームの提供 ・スタートアップ企業への出資を通じた新ビジネスの創出 ・テクノロジーを活用した業務効率化 |
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あらゆる人が活躍できる 社会・職場づくり |
・キャリア採用による多様な人財の確保、女性の活躍支援 ・労働時間と勤務場所の自由度の向上 ・ガバナンス、内部統制の強化 ・人権ポリシーの浸透・徹底 |
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関わる全社横断的な協議、報告を行うサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会は、サステナビリティ統括責任者および人事・総務グループ長を共同委員長とし、財務・主計グループ長、企画グループ長、リスク管理グループ長、ITシステム・事務グループ長、法務・コンプライアンスグループ長、審査グループ長、サーキュラー・ソサイエティ・プラットフォーム本部長、サーキュラー・ソサイエティ・プラットフォーム副本部長、その他社長の指名する役員で構成し、議題に応じてほかの関係者も出席して、幅広い議論を原則四半期ごとに行っております。
具体的には、ESGを含むサステナビリティに関わる情報共有、サステナビリティ経営の基本方針・目標の立案、計画の実行状況のモニタリングと対策協議等を行い、気候変動への対応やサステナビリティへの取り組み、環境変化に対応した経営等についての議論を行っております。
(2)リスク管理
当社グループは、業務に伴って発生するリスクを、定量的管理を行うフィナンシャルリスクと、定性的管理を行うオペレーショナルリスクに分け、各々のリスク管理体制を定めるとともに、フィナンシャルリスク、オペレーショナルリスクを一元的に管理する総合的なリスク管理体制を構築しております。フィナンシャルリスクについては、信用リスク・市場リスク・アセットリスク・エクイティリスクに区分したうえで、カテゴリごとにリスクキャピタルを配賦する管理の枠組みをもとに、リスクの所在と大きさをモニタリングしております。また、オペレーショナルリスクについては、事務リスク・システムリスク・法務リスク等のリスク事象の発生、対応、予防の状況等をモニタリングしております。
当社グループは、サステナビリティに関するリスクをオペレーショナルリスクと捉え、リスク管理委員会および総合的なリスク管理体制のもとで、既往のリスク管理プロセスへの反映を開始しておりますが、今後も関係機関の分析手法や研究成果を踏まえ、高度化を検討してまいります。
(3)戦略/指標および目標
当社グループは、事業に与える影響の大きさという観点から、「気候変動対応」、「人的資本」および「人権」を特に重要と捉えており、以下にその取り組み内容を記載いたします。
①気候変動対応
a.シナリオ分析
当社グループは、気候変動に伴うさまざまなリスク・機会を、戦略上の重要な観点のひとつとして捉え、「脱炭素社会実現への貢献」 をマテリアリティとして特定し、短期だけでなく中長期の時間軸でも気候変動の影響を評価・分析しております。影響を受ける時期については、1~5年程度を短期、10年程度を中期、30年程度の時間軸を長期と想定しております。当社グループにとっての気候変動に伴う移行リスク・機会と物理的リスク・機会の影響は、主に下表に示すとおりです。
また当社グループにおいては、これらのリスク・機会との関連が強い電力セクターと不動産セクターを対象に、定性的なシナリオ分析を行い、より具体的な影響の評価や対応策を策定しております。
<電力セクター>
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1.5~2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
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リスク |
2030年以降、炭素税導入・炭素排出規制強化・エネルギーミックスの変化等を通した化石燃料の削減が想定されるため、電力会社の収益性への影響が想定されるが、当社の場合、与信コストへの影響は限定的 なお、当社は火力石炭発電等に関する事業運営は行っていない |
将来的に洪水被害が頻発するため、発電設備等への損害が想定される。また、原油価格の上昇により発電コストが上昇し、電力会社の収益性に影響が想定されることから、当社与信コストへの間接的影響が想定される。ただし、当社事業への直接的影響は限定的 |
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機会 |
再生エネルギー事業の成長が見込まれることから、事業参入や投資機会の拡大が期待される |
- |
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対応 |
[機会を活用するための施策] ・太陽光のみならず、バイオマス、水力、風力等、様々な再エネビジネスに対し、事業リスクを取って開発 ・蓄電池や水素等の新しい電源にもリーチを拡大 ・事業運営管理ノウハウの蓄積や新技術の導入により、保有事業の収益の極大化を図る ・補助金等を活用した設備投資 ・座礁設備や中古パネル等のリサイクルビジネスの収益化 |
[リスク低減策] ・当社を取り巻く環境変化に応じたセクターポリシーも踏まえて、個別案件に対する多面的で慎重なリスク判断の実施 |
1.5~2℃以下シナリオでは、電力会社の収益性への影響が想定されますが、当社に影響するリスクは限定的な一方、機会の面では再生エネルギー事業の成長が見込まれます。4℃シナリオでは、将来的な洪水被害の頻発による発電設備等への損害が想定され、また、電力会社の収益性低下から、当社への負の影響も想定されます。
<不動産セクター>
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1.5~2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
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リスク |
省エネ水準規制の厳正化による設備投資の増加や、ZEB(*1)/ZEH(*2)の義務化によるコスト上昇が想定され、テナントに転嫁できない場合等は長期的にはお客さまの事業への影響による当社与信コストへの影響が想定されるが、リスクは限定的 |
将来的に洪水被害が頻発するため、当社関連物件が被災した場合には不動産の資産価値の毀損や修繕コスト等が発生することが想定され、お客さまの事業への影響による当社与信コストへの影響が想定される |
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機会 |
物件によっては競争力の向上、また、低炭素への意識の高まりによる高環境性能に対する賃料の増加が想定されるため、ビジネスの拡大が見込まれる |
立地条件・防災性能向上等により災害に強い物件の場合は、競争力が向上することが想定され、当社の事業への影響も想定される |
|
対応 |
[機会を活用するための施策] ・環境を配慮した不動産への投融資を強化する ・アライアンスを活用し、物件開発フェーズまでビジネス領域を広げていくことで環境対応による機会を捉えていく |
[リスク低減策] ・より詳細なハザードマップ等の活用によるファイナンス・投資リスク判断 ・長期保有案件に関してはより慎重な信用力評価を行う |
1.5~2℃以下シナリオでは、物件によっては競争力の向上等が想定され、環境性能の優位性を確保することによりお客さまの脱炭素社会への移行をサポートする等、当社グループのビジネスの拡大が期待されます。4℃シナリオでは、将来的に当社グループが関与する物件が洪水等による被害を受けた場合には不動産の資産価値の毀損等が想定され、当社グループへの負の影響も想定されます。
*1 ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
*2 ZEH:Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
これらの結果も踏まえ当社グループは、より具体的に気候変動の影響を考慮し、経営計画等に反映し、再生可能エネルギーの普及と、新たな社会インフラの再構築による環境負荷の低減を目指した事業の拡大に取り組んでおります。
脱炭素に向けたファイナンスを推進し、エンゲージメントを通じて、お客さまが気候変動を含む
SDGs/ESGへの取り組みを進めることを支援しつつ、自らも事業領域を広げていくことで、お客さまのニーズに沿ったソリューションを提供し、環境対応による機会を捉えてまいります。
脱炭素および関連する気候変動やエネルギー問題は、世界的な最重要課題であり、当社グループにおいても、排出しているCO2削減に関して目標を立てて取り組むことのみならず、再生可能エネルギーによる発電の推進や、資源・エネルギー・製品を可能な限りリサイクルし廃棄物の発生を最小限化する循環型経済の実現を目指すことで、社会的なCO2排出抑制に貢献していくため、下記の指標および目標を設定しております。
※気候変動対応に関する詳細は、当社ホームページに掲載している「
b.指標および目標
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再生可能エネルギー発電設備容量確保 |
1GW(2025年度) |
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SCOPE1,2 CO2排出量削減* |
排出量ゼロ(2030年度) |
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ケミカル・マテリアル資源循環率 |
85%以上(2027年度) |
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*単体+国内連結子会社7社
②人的資本
a. 基本的な考え方
当社グループでは、社員一人ひとりを大切な財産(人財)と考え、経営理念である「Mission」「Vision」「Value」を実現するために、心理的安全性を高め、長く活躍する社員の育成と活気ある職場環境の創出を重要な経営戦略の一環として位置付けています。
(1)人財育成方針
当社は更なる変革に挑戦し、ビジネス領域を拡大し、取引先の潜在ニーズや多様化したニーズに的確に対応するソリューションを提供し、取引先の社会課題の解決に貢献するビジネス戦略を推進していくことを目指しています。
当社の風土を「自発的・自律的にチャレンジするカルチャー」へと変革を図ると共に、下記の人財戦略の取り組みを有機的に結合させながら、今後の事業を支える人財ポートフォリオの実現を目指します。
・多様な価値観、スキルを持つ国内外の人財の採用強化と定着
・社会的課題の解決を志し専門性を備えた人財や次世代経営者候補の育成
・適切な評価・処遇の運用による人財登用
戦略に基づく適材適所の実現戦略を実現するにあたって、当社が求める人財像を以下のように考えています。
<求める社員像>
・共に挑戦し、共に変革し、共に成長していく人
<求める資質・能力>
・チャレンジ精神旺盛で、自発的かつ主体的に物事に取り組むことができる資質と能力
・さまざまなニーズや課題に向き合い、専門性を背景に適切なソリューションを提供し、実現することができる
資質と能力
・多様性を尊重し、協調性と柔軟性を持って相手に接することのできる資質と能力
(2) 社内環境整備方針
キャリア機会の提供や仕事への誇りが持てる、活躍できる職場環境を創り続けることを通して、社員一人ひとりが「やりがい」「働きがい」「充実感」のある組織を目指します。
(目標)
・社員がゆとりや豊かさを実感できるような、快適で安全な働きやすい環境を確保します
・職場で共に働く人々が互いに尊重しあい、差別・ハラスメントのない職場を作ります
これらの実現に向けて、社員の育成・能力開発・多様性の尊重等、以下のような取り組みを進めています。
b. 人財の確保・強化
(1)新卒採用
各々の個性を重視する選考を基本方針とし、「知的好奇心をかき立て、率先して行動できる人財」を採用しています。現在、当社では毎年の新卒総合職採用者の約半数は女性が占めています。
(2)キャリア採用
アライアンスパートナーとの連携によるビジネスフィールドの拡大やビジネスモデルの深化、他社との競合の激化など、当社グループを取り巻く環境の変化に対応し、専門性の高い人財を獲得するために、キャリア採用を強化しています。キャリア採用の社員の経験・知見が周囲の社員への刺激となり、当社グループ全体の更なる前進に大きく貢献しています。
また、一度退職した社員の再雇用を行うジョブリターン制度や、社員紹介によるリファラル採用等の制度も導入しており、多様な人財の採用に取り組んでいます。
c. 人財育成
(1)教育研修
新人から管理職までの各階層で必要な知識やスキルを習得できるよう、多彩な研修プログラムを提供し、人財の育成に取り組んでいます。また、営業力強化や業務上必要な知識の習得を目的とした社内講師によるオンライン講座を定期的に実施し、その内容を動画コンテンツとして社内ポータルサイトに掲載することで、キャリア採用者や新入社員も情報を効果的に受け取れるように整備しています。
(2)次世代経営リーダー候補(サクセッションプラン)
コーポレートガバナンス・コードの重視、計画性を持った経営層の育成、透明性のある役員選出という観点から、次世代経営者候補を明確化し、中長期的かつ計画的に育成するためのプログラム(サクセッションプラン)を推進しています。
d. 人財活用(ダイバーシティ&インクルージョン)
(1)女性の活躍推進
2025年度末までに女性管理職の比率を15%にすることを目標として掲げ、2025年3月末時点では13.0%に達しています。女性社員の活躍と女性管理職の増加を促進するために、毎年テーマを決めた取り組みを実施しています。ワークショップや他社で活躍する女性管理職との座談会などを通じて、自律的なキャリア形成を支援し、女性社員同士のコミュニティ形成や管理職向け女性部下育成研修などを通じて、個人だけでなく周囲も含めた取り組みを行っています。
なお、女性活躍推進法に基づく一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する積極的な取り組みが評価され、
2025年1月に「えるぼし(認定段階:2)」の認定を受けています。
(2)シニア社員の活躍
経験豊富な社員の知識や洞察を最大限に活用するために、2019年度から65歳定年制を導入しています。シニア社員向けにライフデザイン研修を実施し、キャリアの再構築を促し、将来に向けた包括的なライフプラン設計の支援を行っています。今後は、リスキリング教育や研修等による更なる活躍支援を展開する予定です。
(3)障がい者雇用
障がい者の能力やポテンシャルを重視し、適切なサポートを提供することで、多様な人財の活躍を実現しています。また、一般社団法人日本パラ陸上競技連盟のオフィシャルパートナーとして障がい者スポーツを支援し、障がい者に対する偏見や差別意識の排除、多様性の理解にも取り組んでいます。
e. 働きやすさ・働きがい
(1)エンゲージメントの強化
2021年8月から社員の「働きがい」をリアルタイムに把握し、より主体的に仕事に取り組めるように、3ヶ月ごとにエンゲージメントサーベイを実施しています。社員一人ひとりがエンゲージメントの概念を深く理解し、自らが活動に主体的に参加する風土を醸成するために、さまざまな取り組みを行っています。2023年度からは、部店からエンゲージメント向上を推進するメンバーを募集し、社内外での意見交換も行いながら活動を展開しています。
(2)社内公募
2023年度に公募制度を拡充し、社員の意欲や能力に応じたキャリアパスの実現と自律的なキャリア意識の醸成を目指しています。各部門への異動を募集する「キャリアチャレンジ公募」、挑戦意欲やライフスタイル変化に合わせてフレキシブルに職系を転換できる「職系転換公募」に加え、部店長へ立候補できる「ポストチャレンジ公募」も導入しています。
(3)健康経営への取組み
2023年から3年連続で、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。
健康宣言を策定し、健康管理や生活習慣に関するセミナーの開催、健康増進アプリの導入、社員参加型の健康促進イベント等を通じて、効果的かつ持続的な健康の自己管理を促しています。
快適で安全な働きやすい環境の確保のためには心の健康が重要であるとの認識のもと、年に1度、ストレスチェックも実施しています。
(4)ワークライフバランスと勤務場所の自由度の向上
テレワークの推進やサテライトオフィスでの勤務、休暇制度の充実などにより、ワークライフバランスの取れた柔軟な働き方を促進しています。有給休暇取得率は前年度比で約4%増加し、74.6%となりました。さらに、2025年2月からはフレックス勤務制度も導入しました。
オフィス環境のABW化(Activity Based Working)を進め、〝DANSHARI〟の取り組みも行ない、平均残業時間は前年度並みの18時間02分となりました。IT・事務部門と連携を強化してDX化を推進し、残業時間削減に取り組んでいます。
(5)両立支援に向けた取り組み
①仕事と育児の両立
育児休業取得に関する相談窓口を設け、出産・育児に関する制度案内の配布や対象となる男性社員に育児休業取得に関する個別説明を行うなど、女性・男性社員を問わず、仕事と出産・育児の両面に向けたサポートを行っています。2020年12月には、次世代を担う子供の育成支援に積極的に取組む企業として、「プラチナくるみん」の認定を受けています。
また、男性育児休業の取得率は前年度に引き続き、当社基準*で100%を達成しています。(*該当年に子が1歳の誕生日を迎える男性社員の内、該当年の前年から1歳の誕生日前日までの間に育児休業を開始した男性社員の割合)
②仕事と介護の両立
認知症に関するeラーニングや介護関連情報の提供、ケアマネージャーとして経験豊富な外部講師による「認知症セミナー」や介護に悩む社員同士での「介護座談会」、無料相談窓口を設け、介護に悩む社員をサポートしています。
(6)副業・兼業
多様な働き方を推進し、イノベーションを促進し、視野を広げるために、2022年12月から「副業・兼業制度」を導入しています。本業への影響を最小限に抑えるルールの下で、外部知識習得を支援しています。
f. 指標および目標と実績
<指標・目標>
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+ |
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<実績>
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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30人 |
37人 |
24人 |
|
29人 |
|
|
24人 |
22人 |
18人 |
|
23人 |
|
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
269人 |
295人 |
316人 |
|
326人 |
|
|
36.4% |
37.6% |
38.8% |
|
39.8% |
|
|
53.3% |
59.5% |
58.3% |
|
55.2% |
|
|
5.7% |
7.3% |
7.9% |
|
13.0% |
|
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
21時間38分 |
21時間20分 |
18時間25分 |
|
18時間02分 |
|
|
60.7% |
68.2% |
65.0% |
|
74.6% |
* 法定外残業時間
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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42.9% |
100% |
50.0% |
|
100% |
|
|
100% |
100% |
100% |
|
100% |
** 当社定義:該当年度に子が1歳の誕生日を迎える男性社員の内、該当年度の前年度から1歳の誕生日前日までの間に育児休業を開始した男性社員の割合
|
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
- |
- |
+47.2% |
+ |
+65.1% |
|
|
- |
37,210円 |
52,760円 |
|
114,713円 |
|
|
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
- |
70 |
70 |
|
71 |
*** 年度平均
人財育成方針及び社内環境整備方針に係る指標については当社においては具体的な取り組みと関連する指標のデータ管理を行っているものの、現時点では連結グループに属する全ての会社では行われていないため、単体での記載としております。
g. 人権
当社グループは、社会課題を率先して解決し、持続可能な社会の実現へ貢献していくことを目指しており、自らの経営理念を実現していく上で、人権の尊重が不可欠の前提であると認識しています。「みずほリースグループの企業行動規範」を制定し、役員および社員の具体的な行動指針を示すとともに、人権に対する当社グループの責任と決意を対外的に示すべく「人権ポリシー」を策定しております。
自社グループを対象とした人権デュー・デリジェンスを継続して実施しており、2024年度は社内モニタリング強化として、人権教育の浸透度を探り、人権デュー・デリジェンスの進捗を評価するため、社員へのアンケートを実施しました。
社員一人ひとりの人格や個性を尊重し、一切のハラスメント行為を断じて許さず、働きがいのある職場環境の維持に努めるべく、ホットラインや各種相談窓口にて問題行為への継続した対応を実施し、今後さらに防止・軽減・モニタリング等に向けて取り組んでまいります。
当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況など、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等に関する主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、これら個々のリスクに対する施策を講じるとともに、リスクが顕在化した際には適切な対応が迅速に行えるように、リスク管理体制の整備・強化を図っております。
また、本項に含まれている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営環境に関するリスク
当社グループは、お客さまの事業活動に対して、リース取引を基盤とした事業展開を行っております。
地域間の紛争等を背景にしたエネルギー価格・資源価格の高騰、世界的な供給網の混乱による製造業の生産活動の停滞、国際金融市場における金利や為替の急激な変動により、お客さまの事業活動に支障をきたし、設備投資が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 信用リスク
当社グループの主たる事業活動であるリース取引等は、比較的長期間(平均5年程度)に亘り、お客さまに賃貸という形で信用を供与する取引で、お客さまからリース料等を全額回収して当初の期待収益が確保されますが、経済状況の低迷により、お客さまの業況が悪化し、当初想定したリース料等の回収ができなくなるリスクがあります。
このような事態に対応するため、当社グループは、取引開始時に厳格な与信チェック、リース物件の将来中古価値の見極め等により契約取組の可否の判断を行うとともに、取引開始後は、お客さまの信用状況につき定例的にモニタリングを行い、必要に応じ債権保全等の措置を講じております。
また、お客さまの信用状況が悪化しリース料等の不払いが生じた場合には、リース物件の売却または他のお客さまへの転用等により可能な限り回収の促進を図っております。
しかしながら、経済環境の急激な変化、お客さまの信用状況の悪化等により、想定以上の信用コストが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 流動性リスク(資金調達)
当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。金融市場の急激な変動や当社グループの財務状況の悪化によって調達が困難となった場合、資金調達の制約が当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このような流動性リスクに対応するため、資金調達手段の多様化、市場環境を考慮した調達構造や手元流動性
の調整を行っております。
(4) 金利変動リスク
当社グループは、事業に必要な資金を賄うため、銀行借入のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等によって資金調達を行っております。
当社グループの収入であるリースや有価証券投資の金利条件(水準・期間・固定または変動の別など)と、当社グループの支払である資金調達の金利条件が異なることにより、金利の変動が金利収支に影響を与える可能性があります。
このような金利変動に対応するため、資産の金利条件に合わせた資金調達を実行するほか、デリバティブ取引を利用したヘッジを行っております。
具体的には、ALM(資産負債の統合管理)の手法によるマッチング比率(固定・変動金利の資産に対して固定・変動金利の負債・デリバティブを割り当てることにより、資産のうち金利リスクを負っていない部分の割合)をコントロールすることにより金利変動リスクの管理を行っております。
(5) アセットリスク
当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資事業、航空機リース事業等を展開しております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績が悪化した場合や物件の資産価値が著しく減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような資産価値の下落に対する対応として、取引先の信用状況や資産価値の動向、将来収支の見込みに関して社内における管理体制を整備し、機動的な対応を実施し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の運営を行っております。
(6) エクイティリスク
当社グループは、再生可能エネルギー事業やその他事業への投資及びファンドへの出資などの投資を行っております。これらの投資については、景気変動や需給関係などの事業環境の変化により、その資産価値が棄損するリスクやキャッシュ・フローの変動に伴い当初期待していた収益が上げられず、投資額の回収可能性が低下するリスクがあります。
個別案件の取組みにあたっては、幅広い視点で将来の収支や資産価値を慎重に見極め、またリスクに見合ったリターンが確保できるかを総合的に判断しております。また、状況の変化に迅速に対応できるよう、取組み後も継続的に運用状況や外部環境の変化のモニタリングを実施しております。
(7) 事業活動に関して生じるリスク
事業活動に関して生じるリスクとして、事務の不適切な対応、システムの障害・誤作動によるシステムリスク、情報の紛失、漏洩、持ち出し等による情報セキュリティに関するリスク、法令や社会規範が順守されなかった場合に社会的信用の喪失に繋がるコンプライアンスリスク、事業活動に伴い当社グループに対して訴訟が提起されるリスク等があります。これらのリスクが顕在化した場合、収益機会の逸失や損害賠償への対応が生じ、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
このような事態に対応するため、当社は、各種事案への対応を全社横断的かつ機動的に実施するよう、リスク管理体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめるよう、リスクのコントロールを行っております。
(8) 災害等によるリスク
地震、風水害、感染症の拡大等の予測不能な事象が発生することにより、想定外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
このような事態への対応として、事業継続計画を策定し、事業活動の継続体制を整備し、当社グループへの影響を最小限にとどめる為の対策を講じております。
(9) サイバーセキュリティリスク
当社グループは、様々な情報システムを利用し、事業活動に関する管理を行うほか、電子メール等の外部への接続手段を利用しており、これらの情報システムについては、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃を受けるリスクがあります。その結果、システムの停止や障害、情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、損害賠償への対応、信用の失墜、営業活動の停滞による経済的損失により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
このような事態への対応として、サイバーセキュリティリスク管理の基本方針を策定し、グループ全体の対応方針や責任者や管理の枠組み、関係者の役割と責任等のリスク管理態勢を明確にしております。また、セキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しております。SOC(Security Operation Center)による24時間365日の監視体制を整え、ウイルス解析、多層的防御等、レジリエンス態勢強化に取り組む等、対策強化を図っています。クラウド活用や働き方の多様化で増大する脅威に適合するために、内部における攻撃者の自由な行動を阻害しようとするセキュリティ対策としてゼロトラストアーキテクチャーの導入を推進する等、最新のセキュリティ脅威への対応に向けての対応も進めております。社員に対しては、フィッシングメール訓練、全社横断的な初動対応訓練の実施の他、eラーニングを通じたセキュリティ意識の向上に努めております。
(10) 気候変動に関するリスク
当社グループでは、シナリオ分析や情報開示等を通じて気候変動への対応を進めています。台風や豪雨などの異常気象の発生、気候変動対策に関する法規制の強化、そしてそれらに対処するための技術革新やビジネスモデルの転換が進まない場合、お客さまの事業活動や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(リスク管理体制)
上記に係る各リスクの発生の可能性、程度、時期、ならびに当社グループの経営成績および財務状況等に与える影響を正確に見積ることは困難ではありますが、経済環境の変化に伴う与信状況の悪化や、金利の変動が当社グループに与える影響については、一定の統計的手法により想定される最大損失額を算出しております。
当社グループは、事業活動にかかわるリスクを的確に把握・分析・制御し、経営への影響を低減していくため、リスク管理グループ長が全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対し迅速かつ機動的に対応する体制を整備しております。
各リスクの所管部門は、事業に関連するリスクの把握、制御を適時に実施するとともに、実効性を検証し、「リスク管理委員会」において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況や施策の浸透状況、有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告しております。
(「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」にリスク管理体制を含めた取締役会決議の概要およびその運用状況について記載しております。)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態および経営成績の状況
2024年度の経済情勢を顧みますと、米国では個人消費に牽引され、底堅い経済成長が続いた一方、欧州では個人消費が停滞しているほか、金融引き締めの影響で低成長が続きました。アジアでは、中国の不動産市場の調整長期化や個人消費の低迷等、景気は力強さを欠きました。
国内においては日銀の2度にわたる政策金利の引き上げが行われましたが、企業収益の改善を背景とした設備投資や雇用の増加、所得環境の改善に伴う個人消費の増加等により、緩やかな景気回復が続いております。
リース業界におきましては、設備投資の増加傾向を背景に、リース取扱高は前年度を上回る実績となりました。
当社グループは、2023年度より2025年度までの3年間を「変革に挑戦する3年間」とし、「中期経営計画2025」を推進しております。お客さまの事業や社会的課題の解決に寄与するマルチソリューション・プラットフォーマーを目指す姿とし、その実現に向けて飛躍的な成長を遂げるため、「挑戦」「変革」「成長」をキーワードとして掲げ、ビジネス基盤・経営基盤双方に対し、積極的に経営資源を投下するとともに、「事業ポートフォリオ運営の変革・高度化」、「アライアンス/インオーガニック戦略」、「サステナビリティ経営の推進」、「成長を支える経営基盤の強化・高度化」を重点戦略としております。
また、当社グループの更なる成長とステークホルダーの皆さまに提供する価値の向上を目指し、最終年度の連結数値目標として「当期利益420億円」、「ROA1.6%以上」および「ROE12%以上」を掲げております。
このような中、2024年度は、各事業分野で様々なソリューションの提供に注力してまいりました。
損益状況につきましては、売上総利益は、前期(2024年3月期)比12,722百万円(17.3%)増加して86,343百万円となりました。営業利益は、人件費、物件費の増加等があったものの、売上総利益が好調に推移したことから、同9,454百万円(23.9%)増加して48,966百万円となりました。経常利益は、持分法による投資利益の増加等により、同15,321百万円(30.1%)増加して66,219百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、同6,817百万円(19.4%)増加して42,038百万円となりました。
財政状態につきましては、以下のとおりであります。
契約実行高は、リース・割賦セグメントでは、注力する不動産分野等における案件の積み上げもあり、前期(2024年3月期)に比べ、41.6%増加して957,031百万円となり、ファイナンスセグメントでは、同2.8%増加して814,940百万円となりました。この結果、契約実行高全体では、22.3%増加の1,795,684百万円となりました。営業資産残高は、〈みずほ〉との連携を中心に主に不動産や国内リース分野において、お客さまへの経営課題解決に資する提案での成果があがったことで残高を積み上げ、前期末比422,958百万円増加して3,281,857百万円となり、資産合計額は同534,725百万円増加して3,898,061百万円となりました。
また、負債合計額は前期末比463,029百万円増加して3,496,565百万円となり、このうち有利子負債は営業資産の増加に伴い、同435,643百万円増加して3,278,071百万円となりました。
純資産は丸紅㈱との資本業務提携に伴う増資および期間利益の蓄積により増加し、401,495百万円となりました。
② セグメントごとの経営成績
セグメントの業績は次のとおりであります。(売上高は外部顧客への売上高を記載しております。)
〔リース・割賦〕
リース・割賦の売上高は、前期(2024年3月期)比3.9%増加して645,193百万円となり、営業利益は同11.7%増加して28,356百万円となりました。
当期(2025年3月期)末の営業資産残高は、前期末比275,422百万円増加し1,970,339百万円となりました。
〔ファイナンス〕
ファイナンスの売上高は、前期比22.9%増加して41,488百万円となり、営業利益は同18.6%増加して23,808百万円となりました。
当期末の営業資産残高は、前期末比120,016百万円増加し1,217,493百万円となりました。
〔その他〕
その他の売上高は、前期比455.2%増加して8,742百万円となり、営業利益は同431.3%増加して1,402百万円となりました。
当期末の営業資産残高は、前期末比27,519百万円増加し94,024百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当期(2025年3月期)のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、393,324百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、53,184百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による10,994百万円の支出に対し、間接調達で345,694百万円の収入、コマーシャル・ペーパーおよび社債の発行に加え、丸紅㈱および㈱みずほフィナンシャルグループを割当先とする第三者割当増資等による直接調達で131,492百万円の収入となり、財務活動全体では457,132百万円の収入となりました。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期(2024年3月期)末比11,805百万円増加し、67,999百万円となりました。
(2)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金およびその他の営業貸付債権)の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次のとおりであります。
① 貸付金の種別残高内訳
|
2025年3月31日現在 |
|
貸付種別 |
件数(件) |
構成割合(%) |
残高(百万円) |
構成割合(%) |
平均約定金利 (%) |
|
消費者向 |
|
|
|
|
|
|
無担保(住宅向を除く) |
- |
- |
- |
- |
- |
|
有担保(住宅向を除く) |
- |
- |
- |
- |
- |
|
住宅向 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
計 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
事業者向 |
|
|
|
|
|
|
計 |
1,436 |
100.00 |
718,948 |
100.00 |
3.38 |
|
合計 |
1,436 |
100.00 |
718,948 |
100.00 |
3.38 |
② 資金調達内訳
|
2025年3月31日現在 |
|
借入先等 |
残高(百万円) |
平均調達金利(%) |
|
|
金融機関等からの借入 |
1,745,864 |
1.25 |
|
|
その他 |
1,116,989 |
0.59 |
|
|
|
社債・CP |
1,019,026 |
0.57 |
|
合計 |
2,862,853 |
0.99 |
|
|
自己資本 |
205,578 |
- |
|
|
|
資本金・出資額 |
46,925 |
- |
③ 業種別貸付金残高内訳
|
2025年3月31日現在 |
|
業種別 |
先数(件) |
構成割合(%) |
残高(百万円) |
構成割合(%) |
|
製造業 |
70 |
13.73 |
48,547 |
6.75 |
|
建設業 |
8 |
1.57 |
906 |
0.13 |
|
電気・ガス・熱供給・水道業 |
20 |
3.92 |
42,451 |
5.90 |
|
運輸・通信業 |
55 |
10.78 |
156,756 |
21.80 |
|
卸売・小売業、飲食店 |
66 |
12.94 |
9,642 |
1.34 |
|
金融・保険業 |
15 |
2.94 |
91,312 |
12.70 |
|
不動産業 |
106 |
20.78 |
297,688 |
41.42 |
|
サービス業 |
151 |
29.61 |
41,660 |
5.79 |
|
個人 |
- |
- |
- |
- |
|
その他 |
19 |
3.73 |
29,983 |
4.17 |
|
合計 |
510 |
100.00 |
718,948 |
100.00 |
④ 担保別貸付金残高内訳
|
2025年3月31日現在 |
|
受入担保の種類 |
残高(百万円) |
構成割合(%) |
|
|
有価証券 |
- |
- |
|
|
|
うち株式 |
- |
- |
|
債権 |
95 |
0.01 |
|
|
|
うち預金 |
- |
- |
|
商品 |
- |
- |
|
|
不動産 |
1,433 |
0.20 |
|
|
財団 |
- |
- |
|
|
その他 |
244,378 |
33.99 |
|
|
計 |
245,907 |
34.20 |
|
|
保証 |
33,360 |
4.64 |
|
|
無担保 |
439,680 |
61.16 |
|
|
合計 |
718,948 |
100.00 |
|
⑤ 期間別貸付金残高内訳
|
2025年3月31日現在 |
|
期間別 |
件数(件) |
構成割合(%) |
残高(百万円) |
構成割合(%) |
|
1年以下 |
219 |
15.25 |
33,127 |
4.61 |
|
1年超 5年以下 |
749 |
52.17 |
459,589 |
63.93 |
|
5年超 10年以下 |
330 |
22.98 |
177,140 |
24.64 |
|
10年超 15年以下 |
47 |
3.27 |
28,057 |
3.90 |
|
15年超 20年以下 |
74 |
5.15 |
16,427 |
2.28 |
|
20年超 25年以下 |
16 |
1.11 |
3,483 |
0.48 |
|
25年超 |
1 |
0.07 |
1,122 |
0.16 |
|
合計 |
1,436 |
100.00 |
718,948 |
100.00 |
|
1件当たり平均期間 |
5.55年 |
|||
(注)期間は、約定期間によっております。
(3) 営業取引の状況
① 契約実行高
当連結会計年度における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
契約実行高(百万円) |
前年度比増減率(%) |
|
|
リース・割賦 |
情報・事務用機器 |
175,308 |
92.5 |
|
産業・土木・建設機械 |
127,205 |
30.0 |
|
|
その他 |
87,318 |
15.5 |
|
|
ファイナンス・リース計 |
389,832 |
47.4 |
|
|
オペレーティング・リース |
507,350 |
42.1 |
|
|
リース計 |
897,183 |
44.3 |
|
|
割賦 |
59,848 |
10.8 |
|
|
|
|
957,031 |
41.6 |
|
ファイナンス |
814,940 |
2.8 |
|
|
その他 |
23,712 |
- |
|
|
合計 |
1,795,684 |
22.3 |
|
(注)リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の取得金額、割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。
② 営業資産残高
連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|||
|
期末残高 (百万円) |
構成比(%) |
期末残高 (百万円) |
構成比(%) |
||
|
リース・割賦 |
情報・事務用機器 |
283,173 |
9.9 |
307,390 |
9.4 |
|
産業・土木・建設機械 |
355,911 |
12.4 |
326,285 |
9.9 |
|
|
その他 |
411,625 |
14.4 |
407,296 |
12.4 |
|
|
ファイナンス・リース計 |
1,050,711 |
36.7 |
1,040,972 |
31.7 |
|
|
オペレーティング・リース |
539,846 |
18.9 |
815,415 |
24.8 |
|
|
リース計 |
1,590,557 |
55.6 |
1,856,387 |
56.5 |
|
|
割賦 |
104,359 |
3.7 |
113,951 |
3.5 |
|
|
|
|
1,694,916 |
59.3 |
1,970,339 |
60.0 |
|
ファイナンス |
1,097,477 |
38.4 |
1,217,493 |
37.1 |
|
|
その他 |
66,504 |
2.3 |
94,024 |
2.9 |
|
|
合計 |
2,858,898 |
100.0 |
3,281,857 |
100.0 |
|
(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。
③ 営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a)前連結会計年度
|
セグメントの名称 |
売上高 (百万円) |
売上原価 (百万円) |
差引利益 (百万円) |
資金原価 (百万円) |
売上総利益 (百万円) |
|
|
リース・割賦 |
ファイナンス・リース |
361,029 |
- |
- |
- |
- |
|
オペレーティング・リース |
252,110 |
- |
- |
- |
- |
|
|
リース計 |
613,139 |
560,666 |
52,472 |
9,987 |
42,485 |
|
|
割賦 |
7,643 |
3,085 |
4,558 |
641 |
3,916 |
|
|
|
|
620,783 |
563,752 |
57,031 |
10,628 |
46,402 |
|
ファイナンス |
33,769 |
318 |
33,451 |
6,873 |
26,577 |
|
|
その他 |
1,574 |
860 |
714 |
73 |
641 |
|
|
合計 |
656,127 |
564,930 |
91,197 |
17,575 |
73,621 |
|
(b)当連結会計年度
|
セグメントの名称 |
売上高 (百万円) |
売上原価 (百万円) |
差引利益 (百万円) |
資金原価 (百万円) |
売上総利益 (百万円) |
|
|
リース・割賦 |
ファイナンス・リース |
353,163 |
- |
- |
- |
- |
|
オペレーティング・リース |
279,208 |
- |
- |
- |
- |
|
|
リース計 |
632,372 |
569,286 |
63,086 |
14,730 |
48,355 |
|
|
割賦 |
12,820 |
7,181 |
5,638 |
913 |
4,725 |
|
|
|
|
645,193 |
576,467 |
68,725 |
15,643 |
53,081 |
|
ファイナンス |
41,488 |
522 |
40,965 |
9,707 |
31,258 |
|
|
その他 |
8,742 |
6,131 |
2,610 |
606 |
2,003 |
|
|
合計 |
695,423 |
583,122 |
112,301 |
25,957 |
86,343 |
|
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績および財政状態
当社グループは、2023年度より2025年度までの3年間を計画期間とする「中期経営計画2025」において、お客さまを取り巻く社会的課題・事業課題に対し、金融の枠を超えた価値共創のパートナーとして、各事業分野で様々なソリューションの提供に注力しております。
2024年度の各事業分野における具体的な取り組みにつきましては、次のとおりであります。
〔国内リース事業〕
国内リース事業では、お客さまの事業戦略パートナーとして、価値を共創することを目指しております。〈みずほ〉を中心としたアライアンスパートナーとの連携も活かし、業務用自動掃除ロボットや自動配膳ロボット等の導入促進ビジネスをお客さまと共創するなど、お客さまの事業拡大と社会的課題である人手不足解消に貢献することを通じて、営業資産を積み上げ、収益基盤を拡充いたしました。
〔不動産・環境エネルギー事業〕
不動産事業では、既存コア事業の拡大と新たなビジネス領域を両輪で推進することを目指し、オフィス、物流施設等のさまざまな不動産を対象としたローンや不動産リース、オリジナルブランド物件の開発・取得に注力することで、不動産事業のバリューチェーン拡大・高度化を推進しました。
環境エネルギー事業では、子会社であるエムエル・パワー㈱等を通じて再生可能エネルギー電源を確保し、新たなビジネス機会を創出することを目指し、太陽光発電等による電力や非化石証書(環境価値)を長期的かつ安定的にお客さまに供給するスキームに取り組んだほか、系統蓄電池事業では、2025年3月に当社グループ初の系統蓄電所の運転を開始するなど、新分野への取り組みにも注力することで、サプライチェーンにおけるサービス提供領域を拡充しました。
〔海外・航空機事業〕
海外事業では、M&Aを通じた新たな成長マーケットへの進出を重点戦略と位置付けております。2024年8月に「Rent Alpha Pvt. Ltd.」への出資比率を87.6%に引き上げ、2025年3月に「Mizuho RA Leasing Pvt. Ltd」へ社名変更いたしました。株式の追加取得に加え、Mizuhoを社名に冠することにより、みずほフィナンシャルグループならびにみずほリースグループの一員として、今後更なる成長が見込まれるインド市場におけるビジネス拡大を追求してまいります。
航空機事業では、丸紅㈱との協働を通じた航空機関連金融サービスの拡充を目指し、当社と丸紅㈱、両社の持分法適用会社である米国航空機リース会社Aircastle Limitedを通じた航空機リースに注力しました。また、当社による航空機担保ローン等の航空機関連金融サービス、本邦投資家に対する運用商品の提供にも注力し、これらの取り組みを通じてお客さまへの価値提供に貢献いたしました。
〔ファイナンス・投資事業〕
ファイナンス・投資事業では、事業承継やMBO等のエクイティニーズに対応するため、当社連結子会社でファンド運営会社であるミライズ・キャピタル㈱を設立しました。今後、エクイティを含めたファイナンス機能によるリスクマネーの供給を通じて、お客さまの企業価値向上や社会的課題解決に向けた価値共創を目指し、ファンド形態での取り組みに挑戦してまいります。
アライアンスパートナーとの連携、協業につきましては、2024年5月に丸紅㈱と資本業務提携契約を締結し、同年6月に丸紅㈱および㈱みずほフィナンシャルグループを割当先とする第三者割当増資を実施した結果、丸紅㈱は当社の発行済株式総数の20%を保有し、当社は丸紅㈱の持分法適用会社となりました。また、㈱みずほフィナンシャルグループは保有持分比率23.6%(間接所有分含む)を維持し、強固なパートナーシップを維持・強化しました。第三者割当増資による資金調達を通じて財務基盤を強化し、リスクテイク能力の量的拡大を図ることで、良質な営業資産の積み上げを更に促進するとともに、インオーガニック手法を積極活用することで、事業および投資機会の拡充を図っております。
また、2024年4月にJFEグループの重仮設事業者大手であるジェコス㈱と資本業務提携契約を締結し、同年5月に同社の議決権20.03%を取得いたしました。両社の有する強みや事業基盤等を有効活用し、省人化・省力化に寄与する技術開発による重仮設事業や建設機械事業での協業、共同事業展開による海外での協業など、新たな事業機会を創出してまいります。
経営成績および財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況、②セグメントごとの経営成績」に記載のとおりであります。
② 資本の財源および資金の流動性
当社グループは、お客さまのニーズに対応して幅広い金融サービスを提供するため、資金調達については安定性の確保とコストの抑制を図るよう努めております。また、各年度の資金計画と金融環境の変化に即したALM(資産負債の統合管理)運営方針のもと機動的な資金調達を行っております。
当社グループの資金調達につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達による長期および短期の資金により構成されております。当期(2025年3月期)末において、間接調達は前期(2024年3月期)末比345,764百万円増加し2,031,163,百万円となりました。直接調達はコマーシャル・ペーパーおよび社債の発行などにより、同89,878百万円増加し1,246,907百万円となりました。
また、運転資金の流動性や調達の機動性を確保するため、当期末において取引金融機関50社と総額1,186,083百万円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約による借入未実行残高は537,651百万円であり、資金の流動性は十分に確保しております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
(a)貸倒引当金の計上
当社グループの貸倒引当金は、予め定めた償却・引当基準に則り、次のとおり計上しております。
破産、特別清算等法的に経営破綻の事実が発生している債務者に係る債権およびそれと同等の状況にある債務者に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額および保証による回収可能見込額を控除し、その残額を直接減額しております。
また、現在は経営破綻の状況にないものの、今後経営破綻に陥る可能性が高いと認められる債務者に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額および保証による回収可能見込額を控除し、その残額のうち、将来の予想損失額を算定し、計上しております。
上記以外の債権については、過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率等に基づき計上しております。
すべての債権は、資産の自己査定基準に基づき、営業関連部署が自己査定を実施し、当該部署から独立した部署が査定結果を確認しております。
当社グループは、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分な額を計上しており、債権額から貸倒引当金を控除した額は回収可能な額として計上していると判断しております。
ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれております。
このため予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合には、将来、当社グループが貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。
(5) 客観的な指標等の進捗状況・分析等
「中期経営計画2025」の財務目標・非財務目標に対する実績は下表のとおりです。
財務目標については、当期純利益420億円と過去最高益を更新し、ROA、ROE含め、1年前倒しで達成いたしました。
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〔財務目標〕 |
2024年度実績 |
最終年度(2025年度)の 数値目標 |
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当期利益 |
420億円 |
420億円 |
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ROA *1 |
1.8% |
1.6%以上 |
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ROE |
12.2% |
12%以上 |
*1 ROA:経常利益/総資産
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〔非財務目標〕 |
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2024年度実績 |
数値目標 |
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Carbon Neutral
脱炭素社会実現 |
再生可能エネルギー発電設備容量確保 |
708MW |
1GW(2025年度) |
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Scope1,2 CO2排出量削減 *2 |
22% (2016年度比) |
排出量ゼロ(2030年度) |
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Circular Economy
循環型経済実現 |
ケミカル・マテリアル資源循環率 |
84.3% |
85%以上(2027年度) |
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Human Capital
土台としての 人的資本経営 |
専門ビジネス人財の拡充 |
+47名 |
+80名超(2025年度) |
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人財育成のための投資額 |
2.93倍 |
3倍以上(2025年度/2022年度比) |
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デジタルIT人財の育成 |
337名 |
200名以上(2025年度) |
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有給休暇取得率 |
74.6% |
80%以上(2025年度) |
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女性管理職比率 |
13.0% |
15%(2025年度) |
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男性の育児休暇取得率 |
100.0% |
100%(毎年) |
*2 単体及び国内連結子会社7社
(1)当社は、2024年5月14日開催の取締役会において、丸紅㈱(以下「丸紅」といいます。)と資本業務提携(以下「本資本業務提携」といいます。)に関する契約を締結すること、並びに、丸紅および㈱みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほFG」といいます。)を割当予定先とする第三者割当による新株式の発行(以下「本第三者割当増資」といいます。)を決議し、同日付で本資本業務提携契約を締結いたしました。本第三者割当増資は、2024年6月18日に払込が完了しております。
[本資本業務提携の概要]
① 業務提携の内容等
丸紅および当社は、両社の更なる企業価値向上の実現に向け、活発な人財交流、全社レベルでの営業連携体制の構築を通じて、地域・事業領域を限定することなく、幅広い分野における協業について、検討を進めてまいります。
現在、国内外の環境・エネルギー、不動産、航空・船舶、情報・物流・XaaSといった分野で、既に具体的な検討を開始しておりますが、これら以外にも、両社の保有する顧客ネットワーク、事業開発・運営ノウハウやテクノロジー等を融合させることで、幅広い分野において新たな価値を創出することに努めてまいります。
なお、丸紅は当社に対して、当社の取締役の候補者を、当社の要望に応じて推奨することができますが、当社はかかる者を取締役候補者とする義務は負っておりません。
② 資本提携の内容等
上記の業務提携の効果をより早期に発揮するべく、丸紅は、本第三者割当増資の一部を引受け、また、当社の既存株主との間で当該既存株主が保有する当社普通株式を市場外の相対取引により取得しました。これらにより、丸紅は、既存の保有株式と合わせて、本第三者割当増資後の当社の発行済株式総数のうち20.00%を保有することとなり、当社は丸紅の持分法適用関連会社となりました。
[本第三者割当増資による新株式の発行の概要]
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① 払込期日 |
2024年6月18日 |
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② 発行新株式数 |
普通株式 37,646,300株 |
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③ 発行価額 |
発行価額 1株につき1,107円 発行価額の総額 41,674,454,100円 |
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④ 調達資金の額 |
41,308,454,100円(差引手取概算額) |
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⑤ 資本組入額 |
資本組入額 1株につき553.50円 資本組入額の総額 20,837,227,050円 |
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⑥ 割当方法 |
第三者割当の方法により、以下のとおり割り当てました。 丸紅 28,785,800株 みずほFG 8,860,500株 |
(2)財務制限条項が付された借入金契約
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契約年月日 |
借入先(属性) |
期末残高 |
弁済期限 |
担保の有無 |
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1 |
2022年3月31日 |
金融機関3社 |
USD40百万 |
2025年4月20日 |
無 |
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2 |
2023年3月23日 |
金融機関6社 |
USD60百万 |
2026年3月27日 |
無 |
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3 |
2023年3月24日 |
金融機関4社 |
USD35百万 |
2028年3月28日 |
無 |
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4 |
2024年3月22日 |
金融機関6社 |
USD50百万 |
2026年3月26日 |
無 |
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5 |
2024年3月26日 |
金融機関8社 |
22,500百万円 |
2029年3月29日 |
無 |
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6 |
2024年7月29日 |
金融機関7社 |
25,000百万円 |
2027年7月30日 |
無 |
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7 |
2024年12月18日 |
金融機関8社 |
20,000百万円 |
2027年12月20日 |
無 |
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8 |
2025年3月27日 |
金融機関5社 |
8,300百万円 |
2030年3月29日 |
無 |
上記契約(注)についての財務上の特約の主な内容は、以下の通りです。
① 各事業年度の末日および第2四半期会計期間末日における連結貸借対照表および当社単体の貸借対照表上の純資
産合計の金額(但し、新株予約権および繰延ヘッジ損益の合計金額を控除する。)を、前年同期比75%以上の金額
に維持すること。
② 株式会社格付投資情報センターの短期格付をa-2以上および発行体格付をBBB-以上に維持すること。
(注)但し、上記7の2024年12月18日付借入金契約についての財務上の特約の主な内容は、以下の通りです。
各事業年度の末日における連結貸借対照表および当社単体の貸借対照表上の純資産合計の金額(但し、新株予約
権および繰延ヘッジ損益の合計金額を控除する。)を、前年同期比75%以上の金額に維持すること。
該当事項はありません。