第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 中期的な経営方針

今後の経済見通しにつきましては、継続的な物価上昇が見込まれるものの、賃金の上昇などを背景に雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復が続くことが期待されております。一方、日本銀行による政策金利の引き上げや為替の変動による影響には留意する必要があります。また、米国の保護主義的な通商政策などにより世界経済が減速する可能性もあり、先行きに不透明感を抱えながら推移すると予測しております。

このような状況の下、当社グループは、事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSVの実践により、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

 

(2) 価値創造ストーリー

当社グループは、ミッションとして「事業の領域拡大と更なる進化による新たな価値創造に果敢に挑戦し、豊かな社会の実現と持続的な成長に貢献する。」を掲げています。その実現に向けて、「社会課題の解決」・お客様との「相互信頼と共創」・「社員の挑戦と成長」をキーワードにした3つのビジョン(実現したい姿)を定め、役職員がコーポレートスローガン「前例のない場所へ。」に集約されるバリュー(行動指針)を共有し実践することで、CSV、すなわち社会価値と企業価値の持続的な向上に取り組んでまいります。

 

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持続的な価値創造を支える基盤の強化に向けては、当社グループ最大の財産である社員の「挑戦と成長」を後押しすべく、積極的な人材投資を行ってまいります。

 

事業領域の多様化・高度化に対応した高付加価値を創出する人材の育成に向けて、高い専門性の構築を目指す社員の成長をサポートするとともに、研修専用施設「Fuyo Shared Value Creation Center」のグループベースでの継続的な活用などを通じた戦略的な人材育成を進めてまいります。

また、ビジネス部門のグローバル化を見据えた人材育成にも戦略的に取り組み、組織体制の整備・強化を進めるとともに、コーポレート部門とビジネス部門の連携を通じたより実践的な取組も進めてまいります。

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」においても、当社ビジネスの礎となる社員の「挑戦と成長」により、事業を通じたお客様との「相互信頼と共創」、並びにその先の「社会課題の解決」を実現していくことで価値創造の好循環を生み出し、経済価値と社会価値の同時実現による持続的な成長を実現してまいります。

 

(3) 中期的な事業戦略

持続的な成長に向けた中期経営計画の事業戦略につきましては、環境変化やこれまでの進捗状況・実績を踏まえ、計画最終年度の経営目標達成に向けた見直しを実施しました。

引き続き、事業環境や社会の変化を捉えた経営資源の機動的な配分を進め、事業の領域拡大と更なる進化による新たな価値創造に果敢に挑戦してまいります。

 

経営資源を集中的に投下する事業領域における具体的な取組・戦略は以下のとおりです。

 

●モビリティ/ロジスティクス

物流領域における事業基盤の拡充に伴い、「モビリティ物流」を「モビリティ/ロジスティクス」として再整理し、従来以上に専門性を高め、より機動的な事業展開を進めてまいります。

 

具体的には、アライアンス先と連携したEV関連ビジネスの拡充を通じて、国内外においてEVワンストップサービスの機能拡充を図ります。また、新たにグループに加わった株式会社ワコーパレットや日本パレットレンタル株式会社との連携を深め、物流領域における様々な課題の解決への貢献を目指します。

 

●エネルギー環境

欧米を中心に再生可能エネルギー事業の更なる拡大を図るとともに、株式会社グローバルエンジニアリングやアライアンス先との協働による蓄電池関連事業の取組を進めていきます。

また、洋上風力建設に用いる大型作業船の共同保有などの新たなビジネスへの取組を通じて、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

 

●BPO/ICT

特色あるAIスタートアップ企業との連携による新規ビジネスの事業化を推進するとともに、国内外におけるデータセンター領域への投資を加速し、サービスメニューの拡充・高度化を推進するとともに、豊かなデジタル社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

 

●ヘルスケア

新たに連結子会社となった株式会社CBホールディングスを非ファイナンス領域における中核企業と位置付け、同社が有する幅広いコンサルティング機能と当社グループのファイナンスやBPO機能などを融合させることで、医療・介護事業者が抱える様々な経営課題の解決に貢献し、健康と福祉における安心を創出してまいります。

 

また、既存の事業領域にとどまらない新たな価値創造領域の探索にも注力してまいります。

 

(新たな価値創造領域の具体的な事例)

・脱炭素実現への貢献を目指すカーボンクレジットの創出

・地域活性化に資するまちづくりへの参画 など

 

(4) 目標とする経営指標

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」では、計画最終年度である2026年度の財務目標及び非財務目標を以下のとおり設定しております。

 

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

芙蓉リースグループは、SDGsに代表される社会課題の解決に事業を通じて取り組み、持続可能な社会の構築と企業としての持続的な成長の両立を実現するCSVの考え方を軸に、サステナビリティの諸課題に対応しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ及びCSVにかかる基本的な考え方を「持続的な価値創造を支える体制にかかる基本方針」に定め、その取組みを推進するため「CSV推進委員会」を設置しています。

同委員会は企画・管理部門統轄役員を委員長とし、主要なコーポレート部門及びビジネス部門<プロダクト・機能提供>の部長を構成員として、サステナビリティ及びCSVに関するリスク及び機会を踏まえた方針、戦略、指標・目標の策定、取り組みの進捗モニタリングを行い、経営会議及び取締役会に付議・報告を行うことで、ガバナンス体制を整えています。

具体的には、CSV経営を通じた社会価値創造の要となる「環境」「社会とひと」の分野における重要な課題、及び「持続的な価値創造を支える組織・体制」に関する重要事項を、「マテリアリティ」として特定しています。そのプロセスは以下のとおりです。

 

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この特定プロセスを経てマテリアリティ(重要な課題)を下表のとおり特定しました。中期経営計画 Fuyo Shared Value 2026においては、各マテリアリティにおいて目指すべき指標を非財務目標として定め、財務目標とともに非財務目標を等しく追求しています。

 

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*1 ダイバーシティ&インクルージョン

*2 ワークライフバランス  その他、男性育児休暇取得率などの目標を設定

 

非財務目標については定期的にその進捗状況のモニタリングを行い、進捗状況について4半期毎に取締役会に報告するとともに、適時に施策の見直し等を行うことを通じて、取り組みの実効性を高めています。2024年度はEVを取り巻く環境の変化を踏まえて戦略や目標水準を見直し、2025年度以降の計画に反映しました。

また、CSV推進委員会においては、定例議案とともに、サステナビリティ及びCSVに関する動向を委員会で報告し構成員の知見を高めることにより、機能強化に努めています。

同委員会の審議・報告内容は経営会議に付議され、グループ全体のサステナビリティ及びCSVに係る方針については年に1回以上、取締役会への報告を実施し、取締役会がこれを監督しています。

取締役の業績連動報酬(金銭報酬)においては、会社の連結業績等の適用指標において非財務目標の「脱炭素推進に向けた資金投下額(単体)」及び「人材育成関連費用(単体)」を評価項目として設定しており、取締役のサステナビリティ及びCSVにかかる取り組みへのコミットメントを高めています。

 

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(2)リスク管理

気候変動リスクと機会については、CSV推進室が所管部となり各事業部門と連携して洗出しを行い、事業に及ぼす影響の大きさの観点から気候変動リスク等を特定しています。特定したリスク等の事業への影響度について、時間軸とシナリオ別に分析、評価を行ったうえで、リスクの最小化、及び機会の最大化に向けた方針を定めています。<詳細は後記 戦略/目標と指標をご参照>

人的リスクについては人事部が所管部となり、人的リスクの管理に関する基本方針、手続等の検討・策定、及び企画、立案、施策の推進を行っています。リスク事象ごとに、状況・傾向及びリスク顕在化を把握・分析するための係数・指標等を定め、これを定期的かつ継続的にモニタリングすることを通じてリスクを把握しその低減に努めています。

「リスク管理規程」に定める統合リスク管理体制のもとで、重要なリスクの発生時には速やかにリスク管理統括部である経営企画部に報告を行い、経営企画部はそれぞれのリスク所管部に対してリスクの管理について適宜指示を行っています。また、経営企画部は、当社グループ全体のリスク管理状況について取り纏めを行い、経営会議において各リスクの管理状況を報告するとともに、取締役に定期的に報告しています。

 

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(3)戦略/指標と目標

 ①気候変動

a.気候関連シナリオ分析

当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、TCFD(※1)が提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境変化を予測し分析を実施しています。分析にあたっては、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討とすべく、パリ協定の目標である「2℃より十分に低い」に則した「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つの気候変動シナリオを基に分析を実施しています。

また、当社グループの事業は多岐にわたることから、分析にあたってはまず全社的な影響を特定した後、資産規模の大きい不動産部門、及び事業の特性上、特に気候変動影響が大きいと想定される3事業部門(エネルギー環境、モビリティ、航空機)についてシナリオ分析を実施しました。

 

※1 TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)

 

 

b.気候変動に係るリスクと機会

(主な気候変動リスク)(※2)

全社的な気候変動リスクとして、炭素税の導入によりRE100及びカーボンニュートラル実現を目指す為のコストが増加するリスクが特定されました。ただし、当社グループのCO排出量を基に影響額を算定した結果、財務面に与える影響は軽微であると認識しています。その他、特に気候変動影響が大きいと想定される事業部門におけるリスクは以下の通りです。

 

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

全社

移行リスク

炭素税の導入(政策・法規制)

炭素税が導入されることで、RE100・カーボンニュートラル実現に向けたコストが増加するリスク

中期~長期

不動産

移行リスク

顧客嗜好変化による競争力低下(市場)

不動産ファイナンス取引等で投資先の物件に環境対応の遅れがあった場合に、収益性や借入人の信用力が低下するリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

エネルギー環境

移行リスク

エネルギー買取制度(FIT・FIP)等の制度変更(政策・法規制)

想定し得ない制度変更が発生した場合、売電収入減少・運営コストの増加等のリスク

短期~長期

再生可能エネルギー発電事業における事業環境の変化(市場)

出力抑制による売電収入減少のリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

モビリティ

移行リスク

CO₂排出量に関する規制の強化(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等によりガソリン車の需要が低下し、従来のディーゼル・ガソリン車のリース需要が減少するリスク

中期~長期

小~中

事業環境の変化(市場)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うガソリン車の再販売価格の下落リスク

中期~長期

メンテナンス収益の減少(技術)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うメンテナンス関連の売上・収益の減少リスク

長期

航空機

移行リスク

法規制強化に伴う航空機需要の減少(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等により航空機の需要が低下し、リース収益が減少するリスク

中期~長期

事業環境の変化(市場)

低燃費航空機へのシフトに伴い、リース期間終了後の旧型モデル航空機の再販売価格の下落による収益減少リスク

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2027年、「中期」:2027~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円 「小」:1億円未満

 

※2 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(気候変動に係る主な機会)(※3)

当社グループでは気候変動問題の解決を通じた社会価値の創造を重要なビジネス機会と位置付け、中期経営計画 「Fuyo Shared Value 2026」 において社会が1.5℃の世界を目指すことを想定し戦略を策定しました。その中でも当社グループが特に積極的に取り組む項目を機会として開示しています。

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

エネルギー環境

機会

再生可能エネルギー需要の増加(製品・サービス、市場)

国内の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

海外の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

新技術・新制度等による事業機会(製品・サービス、市場)

二次エネルギー等の新規ビジネス分野への取り組み増

短期~長期

モビリティ

機会

電気自動車の需要増加(市場)

・EVワンストップサービスの推進

・自動車メーカーやディーラー連携、電力会社、商社等とのアライアンス戦略推進

・メンテネット構築

・FCVを他社に先駆け推進

短期~長期

電気自動車関連サービスの需要増加(製品・サービス)

航空機

機会

航空機関連の新技術の導入・新たなマーケットの形成(製品・サービス)

・周辺事業者への出資・協業、シナジーによる既存プロダクトの引合獲得・採算性向上

・新技術分野(SAF(持続可能な航空燃料)・水素・電動・eVTOL(電動垂直離着陸機)等)へのベンチャー出資、協業等

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2027年、「中期」:2027~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円「小」:1億円未満

 

※3 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(当社グループ事業への影響)

1.5℃/4℃シナリオのいずれにおいても、当社グループの事業に対する気候変動リスクの影響は限定的であり、機会の方が大きいという分析となりました。また、双方のシナリオにおいて連結売上総利益の増加が見込まれるものの、1.5℃シナリオの方がより利益の増加余地が大きいということが分かりました。

 

c.気候変動にかかる対応/指標と目標

当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会が当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼすことを認識し、当社グループの脱炭素の推進、及び事業を通じたお客さま・社会の脱炭素の推進の両面から積極的に対応しています。

当社グループの脱炭素推進の観点からは、2018年に国内の総合リース会社として初めて「RE100」に参加し、消費電力の再エネ化への取り組みを開始するとともに、2021年にはカーボンニュートラルを2030年に達成することを宣言し推進しています。

また、広範な事業領域や顧客基盤を有する当社グループとして、ビジネスを通じてお客さまそして社会全体の脱炭素化に貢献することが重要な課題と考え、「脱炭素社会の実現」をマテリアリティ(重要な取り組み課題)の一つに掲げ、社会が1.5℃の世界を目指すことを想定した事業機会を前提に中期計画「Fuyo Shared Value 2026」の策定を行いました。

再生可能エネルギー発電事業の拡大や、EV・FCV車へのファイナンスの強化等を通じてお客様や社会の脱炭素化を推進し、同時に利益の獲得を図ります。これらの戦略の推進にあたっては非財務目標を設定しています。

 

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(リスクにかかる指標と目標:当社グループの脱炭素化)

 

2030年度 目標

2023年度 実績(※5)

RE100目標(※4)

再生可能エネルギー使用率100%

再生可能エネルギー使用率85%

CO₂排出量(※4)
(スコープ1,2)

カーボンニュートラル達成

2020年度比55%削減

排出量

899 t-CO₂

※4 対象はともに芙蓉総合リース及び連結子会社

※5 実績は2023年度の実績を掲載。2024年度実績は、2025年8月発刊予定の統合報告書をご参照ください。

 

(機会にかかる指標と目標:お客さま・社会の脱炭素化)

EV普及を取り巻く環境変化を踏まえ、EV・FCVに関する指標と目標の見直しを実施

 

2026年度
目標

2024年度

ラップ目標

2024年度
実績

CO₂の削減貢献

50万t-CO₂/年

38万t-CO₂

45万t-CO₂

脱炭素推進に向けた
資金投下額(※6)

3,000億円

1,430億円

2,558億円

再エネ発電容量(※7)

1,000MW

750MW

876MW

<変更前>保有台数におけるEV・FCV比率

(※8)

30%

10%

1.3%

<変更後>新規保有台数におけるEV・FCV比率

(※9)

5%

脱炭素推進ファイナンスの取扱金額(※10)

150億円

110億円

349億円

※6 対象は、再エネ設備、省エネ設備、電動車(充電設備含む)、水素・アンモニア関連設備、CO分離・回収技術(CCUS、DAC)、サーキュラー関連設備、ZEB・グリーンビル、SAF、ベンチャー設備への投資等。エネ環再エネ、エネ環省エネ・ESCO、EV、EVバイク、バッテリーフォークは計量に含み、エリア再エネ、エリア省エネ、HV、CE関連、グリーンビル、M&A、ベンチャー投資は含まず。

※7 再生可能エネルギー発電事業に対する出資及びプロジェクトファイナンス等が対象(発電容量は持分比率・シェアに応じて算出)。

※8 芙蓉オートリースにおける保有台数。

※9 芙蓉オートリース、ヤマトリースにおける成約台数

 

※10 「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」「芙蓉サーキュラーエコノミーリース」が対象。

 

②人的資本

a.戦略ならびに環境整備

芙蓉リースグループは「人」すなわち社員が当社グループの持続的な価値創造を支える基盤であり最大の財産であると考え、積極的な人材投資を行っています。人材投資の柱は以下の3つです。

 

・事業領域の多様化、高度化に対応する「戦略的人材育成」

・多様な個性や才能、能力が最大限発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」

・健康で生き生きと働ける職場環境の整備「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」

また、従業員エンゲージメントを定期的に測定し、その向上に努めています。

 

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b.戦略的人材育成

当社グループはCSVを軸に据え、持続的な成長を可能とするために、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」 及び 「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」を求める人材像とし、こうした人材の育成のために、人材育成投資を積極的に増加させ、人材育成関連費用(1人あたりの教育研修費/単体)を2024年度に300%(2021年度比)まで高めることとしています。(中期経営計画において非財務目標として設定)

まず、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」の育成のため、スキル構造を3階層に分類し、特に第2階層以降を強化するプログラムを重点的に整備・拡充しています。

 

第1階層

リース・ファイナンスに必要な会計・税務・法務などの知識や、コミュニケーション・思考力等の一般的なビジネススキル

第2階層

語学やDX、先鋭的なファイナンス等、全事業領域において必要かつ付加価値創出を底上げするためのスキル

第3階層

エネルギー、BPO、ヘルスケア等の事業領域ごとの高い付加価値の源泉となる専門的なスキル

 

2024年度も第2階層において海外ビジネスパーソンとの協業研修、個別専門テーマ毎のファイナンス研修、DX関連の各種研修(新規ビジネス創出のためのアイディア創出研修や業務効率化のためのOAスキル研修等)を実施してまいりました。さらに、第3階層では、事業領域毎に必要となるスキルの強化を狙いに、航空機部門社員へのデータアナリティクス研修やエネルギー部門社員への財務モデリング研修等を実施しました。

さらに「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」の育成のため、上司が部下の自律性を引き出すコーチングスキルの習得を目的とした研修を2019年度から継続し、2024年度までに60名が受講しました。また、2022年度に導入した自己啓発制度「カフェテリアプラン」の利用も定着し、社員の自律的な学習を支援しています。

これらの取り組みの結果、「人材育成関連費用」は、2024年度に337%(2021年度比)に達し、目標値の300%(2021年度比)を2年前倒しで達成しました。また、スキル階層別でも、第1階層から第3階層までバランス良く投資しています。

 

スキル階層別の人材育成関連費用支出

 

伸び率

構成比

2021-2024年度

2024年度

(参考)2021年度

第1階層

152%

35%

66%

第2階層

567%

33%

17%

第3階層

564%

32%

17%

※スキル階層別の分類ができない自己啓発や研修専用施設に関連する費用を除いて算出しています。

 

また、2024年3月に研修専用施設「Fuyo Shared Value Creation Center」を江東区豊洲に開設し、初年度は同施設で130日間にわたり研修を開催しました。専用施設の利点を活かし、より「学び」に専心できる環境を社員に提供しています。

 

c.ダイバーシティ&インクルージョン

当社グループでは、人材の多様性こそが持続的な成長の原動力であると考えています。異なる強み、視点や価値観を尊重し、年齢、性別、国籍、性的指向、性自認、障がいの有無、雇用形態等にかかわらず、一人ひとりが能力を最大限発揮し、働きがいのある職場の実現を目指してダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。

具体的には、アンコンシャス・バイアス、LGBTQ+等をテーマとしたeラーニング研修をグループ合同で実施し、ダイバーシティ&インクルージョンの基盤を醸成しています。受講した社員からは「事実に基づきフラットに物事を捉えることの重要性を再認識した」といった声が寄せられました。この様な取り組みが奏功し、当社は、一般社団法人 work with Pride が策定する、職場における性的マイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE指標2024」で「シルバー」に認定されました。

ダイバーシティ&インクルージョンの基盤をベースに、ワークとライフの調和をとり、働き続けられる職場の実現も推進しています。性別不問の「育児と仕事の両立セミナー」や男性社員の育休取得推進に取り組んでいます。男性育休取得率は100%となり、優良な子育てサポート企業として厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けています。また、介護に対しては、「介護と仕事の両立セミナー」を社員向け、管理職向けに開催しました。参加した社員からは「介護に直面したときに何から始めればよいかが分かった」「介護が始まった部下との向き合い方が分かった」といった感想が寄せられました。外部の介護福祉士が対応する介護相談窓口も設置し両立を支援しています。

さらに女性は活躍のすそ野をより一層広げることを狙いとし、新卒採用における女性採用を安定的・計画的に行うとともに女性管理職登用を推進しています。多様なキャリアやロールモデルに触れる機会としてグループ合同で先輩社員座談会等を開催するほか、定期的な女性キャリア面談も継続しています。管理職に占める女性労働者の割合は33.4%となり、女性活躍推進の実施状況が特に優良な企業を認定する「プラチナえるぼし」を取得しています。2023年度に導入したキャリアコンサルティング(雇用形態を問わず任意で利用できる社内・社外の有資格者2名によるキャリア相談)を通じた個別のキャリア・能力開発支援に取り組んでいます。

 

d.健康経営、ワーク・ライフ・バランス

当社グループでは、社員が健康で安全に生き生きと働くことのできる職場環境を整えることが、組織の活性化、社員一人一人の生産性の向上、優秀な人材の獲得・維持につながり、持続的な価値創造を支えると考えています。そのための「健康投資」(健康保持に向けた取り組み)は人材育成と並ぶ「人的資本に対する投資」と捉え、「健康経営」を推進しています。

「社員の疾病の予防・早期発見」を重点課題と考え、2022年度から、自己負担なしでの人間ドック受診可能年齢を40歳以上から35歳以上に引き下げ、毎年、対象者全員が受診しています。2024年度からは、産業保健師とも連携し、再検査や精密検査が必要となる社員への受診勧奨を強化しています。さらに、女性の健康課題にも重点的に取り組み、オンラインセミナーや女性医師による毎月の個別相談会、35歳未満の女性社員の婦人科健診費用の全額補助制度を導入しました。

こうした取り組みもあり、4年連続で「健康優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されています。

また、全ての社員が自律的にワーク・ライフ・バランスを実現できる職場作りを推進しています。具体的には「時差勤務制度(始業時間を午前7時~11時の間で日々選択できる制度)」「テレワーク勤務制度」「リフレッシュデー(毎週1回各人で設定する早帰り日)」「+Friday(プラスフライデー。毎月1回いずれかの金曜日を選択し半日で退社できる早帰り日)」及び「有給取得推進」により、長時間労働の是正及び、育児や介護等をはじめ自らの生活スタイルに応じて社員が自律的にワークとライフ双方のクオリティを高めることが出来る環境の実現を目指しています。

 

e.従業員エンゲージメント

当社グループでは、「社員一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、お互いが成長することに対して貢献する関係」を「エンゲージメント」と定義しています。年1回のグループ従業員意識調査にてエンゲージメント指数を計測し、各施策に活かしています。2024年度はグループ連結で3.46となりました(※)。

(※)5段階で回答(4.0以上:非常に高い/3.5以上:高い/3.0以上:普通/3.0未満:低い)

 

f.指標と目標

 

 

2026年度目標

2024年度実績

戦略的人材育成

人材育成関連費用

300

2021年度対比

337

2021年度対比

ダイバーシティ&インクルージョン

新卒採用女性比率

40

45.5

管理職女性比率

35

33.4

男性育児休業取得率(※11)

100

100.0

健康経営、ワーク・ライフ・バランス

35歳以上人間ドック受診率

100

100.0

有給休暇取得率

90

92.8

プラスフライデー取得率

定量目標は設定せず

90.8

エンゲージメント指標向上率(※12)

定量目標は設定せず

3.46

・指標に関する目標は、中期経営計画(2022~2026)において設定した提出会社単体のものとなります。また、指標に関する実績は、提出会社単体では関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないことから、提出会社である芙蓉総合リース単体のものとなります。

 

※11 育休取得率は、当該年度の育休対象社員(年度内に子どもが生まれた人数)に対して当該年度に育休を取得した社員数の割合で算出。過年度に配偶者が出産し、当該年度に育児休業を取得した男性社員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。

※12 従業員意識調査における「仕事の充実感」「社会への価値提供」「成長」等指標8項目の平均値を計測したものであり、主要企業のうち国内14社のものとなります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築し、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した際の影響の極小化に努めております。

なお、文中における将来情報に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。

 

① 信用リスクが業績に与える影響について

当社グループの事業は、取引先に対する与信期間が中長期(リース取引の平均期間は5年程度)にわたることから、与信期間中に取引先の倒産等が発生し、リース料等の回収が困難となるリスクがあります。

当社グループは、信用リスクの損失を極小化するため、個々の取引先の信用状況を審査・モニタリングするとともに、ポートフォリオにおける信用リスクの状況を定量的に評価・モニタリングし、資産の健全性を維持、改善するよう努めております。また、日本公認会計士協会の「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」(業種別監査委員会報告第19号)に基づき、銀行等金融機関に準じた資産の自己査定を実施しており、決算において、「一般債権」は過年度の貸倒実績に基づく予想損失額を、「貸倒懸念債権及び破産更生債権等」は取引先個別の回収不能見込額を算定して貸倒引当金等を計上しております。さらに、「ビジネス・リスク・レビュー委員会」を設置して大口与信先の状況等についてモニタリングを行い、経営陣に定期的に報告しております。

しかしながら、今後の景気動向によっては、取引先の信用状況の悪化により新たな不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利・為替・株価等の変動及び資金調達が業績に与える影響について

当社グループは、顧客にリースや割賦販売を行う物件や当社が保有する事業資産の購入資金を主に金融機関や市場からの調達により賄っております。また、航空機等の外貨建て資産を保有している他、社債等の市場性のある債券投資やファンドを通じた投資等を行っております。

当社グループでは、金融市場情勢に対し注意を払うことはもとより、資産運用と資金調達のギャップを常時把握し、金利・為替・株価等の変動リスク等(=市場リスク)の管理、新規調達等の方針を協議・検討する「ALM委員会」を開催し、これらリスクの適切なコントロールに努めております。また、当社は、健全な財務体質を背景に、複数の格付機関から優良とされる格付けを取得しています。

 

格付機関名

発行体格付

CP格付

株式会社日本格付研究所

AA-

J-1+

株式会社格付投資情報センター

A+

a-1

 

しかしながら、今後の金利・為替・株価や金融市場の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後当社の格付けが引き下げられた場合、コマーシャル・ペーパー等による有利な調達が制限されるほか、通常より高い金利での資金調達を余儀なくされるなど、必要な資金の適切な確保が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 諸制度の変更が業績に与える影響について

当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業展開しております。当社グループにおいては、これらの諸制度及び基準の変更に備え、様々な情報収集及び検討を行っておりますが、将来、これらの諸制度及び基準が大幅に変更された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、会計制度については、2024年9月に企業会計基準委員会が、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を新たに公表しております。

 

④ 戦略的提携・企業買収等に伴うリスクについて

当社グループは、事業の更なる拡大・成長を目的としてベンチャー企業や国内外の新規事業への出資又は戦略的提携や企業買収等を行うことにより、ビジネス領域の拡充を図っております。

戦略的提携や企業買収等に際しては、対象となる企業のビジネス、財務内容、法務等について綿密なデューデリジェンスを行い、事前にリスクを把握するとともに、収益性や投資回収の可能性について十分な検討を行い、リスク回避に努めています。

しかしながら、デューデリジェンスの段階では確認されなかった問題が事後的に発覚した場合や、外部環境の変化等により提携・買収後の事業が想定どおり進捗しない場合には、当初に期待した業績への寄与やシナジー等を得られず、当社グループが行った投資額を十分に回収できないリスクがあり、のれんの減損等により当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、当連結会計年度末において46,304百万円となっております。

 

⑤ 気候変動リスクについて

気候変動により自然災害が激甚化し、物理的リスクが顕在化した場合や、脱炭素社会への移行に向けた炭素税の導入といった法規制の強化等がなされた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「CSV推進委員会」を設置し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候関連のリスクと機会を適切に特定して、気候変動が当社グループの財務面に与える影響の分析及び情報開示を実施しております。さらに、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を設定して気候変動リスクの低減に努めております。

詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

⑥ 災害等によるリスクについて

当社グループは、地震・噴火などの自然災害や事故、新型コロナウイルス等の感染症の流行など緊急時に備えて、人命・安全の確保及び事業の継続に向けたBCP(事業継続計画)基本原則を定めておりますが、被害の状況によっては、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスクについて

当社グループは、各事業においてITシステムを活用して多数の顧客情報を取扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。

また、不正アクセス等により、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、また損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「システム戦略委員会」を設置して、ファイアウォールなどのいわゆる入口対策・出口対策に加えてエンドポイントの監視等、多層防御の考え方で対策を図るとともに、役職員等に対して教育・研修の徹底を進めております。

 

⑧ DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に関連するリスクについて

DX戦略を牽引するデジタル人材の不足等によりDXへの対応の遅れが生じた場合やデジタル技術の適用が著しく遅延した場合、当社グループの競争力が相対的に低下することで経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

テクノロジーの進歩により、社会のデジタルシフトが加速する中、当社グループでは、事業を通じての様々な社会課題の解決と経済価値の同時実現を目指すため、デジタル技術を活用したビジネススタイルへの変革、新たなソリューションの創出に取り組んでいます。こうした活動を全社的に推進していくため「DX戦略推進委員会」を設置し、DX戦略推進に必要な組織・体制の整備等を図っております。

 

⑨ 設備投資動向の変動等が業績に与える影響について

当社グループが取扱うリース取引や割賦販売は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つという役割を担っており、民間設備投資額とリース設備投資額とは概ね正の相関関係があります。

当社グループは、営業基盤の拡充、顧客の多様かつ潜在的なニーズを捉えた様々なソリューション提案の実施等に努め、付加価値の創出に注力しておりますが、今後企業の設備投資動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 事業戦略に関連するリスクについて

当社グループは、中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に沿って事業領域の拡大や収益力強化に取り組んでおりますが、グループ経営上で重要度が高い事業分野(アセットビジネス、モビリティ物流ビジネス、エネルギー・環境ビジネス、BPOサービス等)において想定されるリスクとして以下のようなものがあります。

 

a.不動産

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資を行っております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績悪化や不動産の稼働率低下に伴うキャッシュ・フローの減少及び不動産市況の悪化により資産価値が下落するリスクがあります。景気悪化や事業環境の変化により、保有資産の価値が大幅に変動した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.航空機

当社グループは、国内外において航空機リース事業を展開しております。個別案件の取組みにあたっては、航空会社の信用力や物件の将来価値を見極めて検討を実施し、さらに航空業界の動向や航空機の機体価値の変動状況について定期的にモニタリングしております。

しかしながら、航空会社の業績が悪化した場合や経済環境の変動等により航空機の資産価値が著しく下落した場合には、機体の売却損や減損損失の計上等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.モビリティ・ロジスティクス

当社グループは、乗用車、トラック等のリース事業及び物流関連ビジネスを展開しております。取組みにあたっては、取引先の信用力や物件の将来価値を見極め、また、パートナー企業と事業提携を行う場合には、パートナー企業の信用状況や企業ビジョンを見極めておりますが、中古車市場の変動により資産価値が著しく下落するリスクや、パートナー企業の信用力や経営方針の違いにより、期待どおりに事業を展開できないリスク等があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.エネルギー・環境

当社グループは、国内外で再生可能エネルギー事業、系統蓄電池事業及び再生可能エネルギーファンド等への投融資を行っており、今後も事業拡大を後押しする経営環境が継続するものと見込んでおります。

大規模な太陽光発電所や風力発電所の運営においては、天候不順等の影響で発電量が減少するリスクがあります。また、市場取引が主な収入源となる系統蓄電池事業では、日本卸電力取引所の取引価格が変動することで、収益性が計画を下回るリスク等も存在します。これらのリスクに対応するため、当社グループでは事業計画を慎重に検証し、事業開始後も運用状況や市場動向を継続的にモニタリングする体制を構築しております。

しかしながら、異常気象によって年間発電量が想定より著しく減少した場合や、不測の事態で電力供給が困難となった場合や需給バランス等の影響により取引価格が著しく変動した場合には、評価上の損失計上あるいは追加拠出が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

e.BPOサービス・ICTソリューション

当社グループは、顧客の一部業務処理を受託するBPOサービスやICTソリューションを提供しております。IT化による人的ミスの削減、業務マニュアルの作成及び人材の育成等により、十分なサービスを提供する体制を整えておりますが、納期の遅れや業務品質の低下等が発生した場合、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

f.海外

当社グループは、グループ全体の持続的な成長を実現するため、海外での事業展開や投融資を進めております。現在、北米やアジアを中心に、リース・ファイナンス事業に加え、航空機のオペレーティング・リース事業や再生可能エネルギー発電事業等を展開しています。

個別案件に取り組む際には、地政学的要因を含むカントリーリスクを考慮し、資産価値や事業性を慎重に見極めております。

しかしながら、為替リスクのほか、進出先の国や地域における法令・規制の変更、政治・経済・社会情勢の変化に伴う予期せぬ事態が発生するリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 業務運営全般・コンプライアンスに関するリスクについて

業務運営全般に関するリスクとして、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、コンピュータシステムのダウンもしくは誤作動等のシステムリスク、必要な人材の育成・確保が困難となる等の人的リスク等があり、これらのリスクが顕在化した場合、円滑な業務運営が損なわれることにより、事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、リスク管理規程等に基づき、リスクの特性や重要性に応じた管理を実施し、これらのリスクのコントロールに努めております。

また、コンプライアンスに関するリスクについては、当社グループのコンプライアンス基本方針を定めるとともに、コンプライアンス運営体制強化と実効性確保を目的に「コンプライアンス委員会」を設置し、年度毎にコンプライアンス・プログラムを策定して内部管理体制の強化に取り組んでおります。さらに、グループ全体で法令遵守や人権尊重の意識を高めるため、継続的に研修を実施しております。

 しかしながら、国内外の各種関連法令や社会規範・社内ルール等が遵守されなかった場合や当社グループの事業活動において人権侵害に該当する事象が生じた場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信用の喪失等により、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や堅調な企業業績を背景に緩やかな回復基調で推移するとともに、日本銀行による政策金利の引き上げなどの金融政策正常化が進みました。一方、米国の通商政策による影響が国内景気を下押しするリスクもあり、先行きに対する不確実性は高まっております。

こうした環境の下、当社グループは、ひとの成長と対話を通じた社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的成長を目指す、5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に取り組んでおります。中期経営計画の3年目となる2024年度も外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

この結果、当連結会計年度の契約実行高は前年度比5.8%増加の1兆8,439億8千1百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比1,946億9千4百万円(6.8%)増加して3兆721億4千3百万円となりました。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比1,767億8千5百万円(5.2%)増加して3兆5,671億1千万円となりました。

調達残高は、社債の発行や長期借入金の増加等により、前連結会計年度末比4.7%増加の2兆8,082億4千9百万円となりました。

損益面では、売上高は前年度比4.3%減少の6,783億9千5百万円、営業利益は前年度比7.9%増加の647億6千万円、経常利益は前年度比1.0%増加の690億3千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比4.1%減少の452億7千7百万円となりました。

営業利益及び経常利益は前年度を上回る実績となり、連結会計年度の過去最高益を更新しております。

なお、中期経営計画の経営目標に設定している経常利益は、8期連続で最高実績を更新しております。

 

② セグメントごとの経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントにおける売上高については「外部顧客への売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。

 

[リース及び割賦]

リース及び割賦の契約実行高は前年度比16.7%減少して5,280億5千8百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比4.6%増加して1兆9,296億7千3百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比5.8%減少して5,836億7千7百万円となり、セグメント利益は前年度比4.0%増加して437億4千4百万円となりました。

 

[ファイナンス]

ファイナンスの契約実行高は前年度比19.9%増加して1兆3,146億5千6百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比11.6%増加して1兆1,096億2千8百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比19.4%増加して390億3百万円となり、セグメント利益は前年度比34.1%増加して250億9千万円となりました。

 

[その他]

その他の契約実行高は前年度比89.7%減少して12億6千7百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比15.3%減少して328億4千1百万円となりました。その他の売上高は前年度比0.6%減少して557億1千4百万円となり、セグメント利益は前年度比1.2%減少して114億2千9百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比741億8百万円減少して665億6千5百万円となりました。区分ごとのキャッシュ・フローの状況の内訳は以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 税金等調整前当期純利益が688億6千3百万円、賃貸資産減価償却費が490億3千9百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が372億4百万円、資金原価及び支払利息が331億6千万円となったことなどに対し、賃貸資産の取得による支出が1,569億6千4百万円、営業投資有価証券の増加額が546億4百万円、営業貸付金の増加額が371億8千1百万円となったことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,363億7千7百万円の支出(前連結会計年度は1,120億9千8百万円の支出)となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資有価証券の売却及び償還による収入が36億2千1百万円となったことなどに対し、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が294億4千8百万円、投資有価証券の取得による支出が63億5千万円、社用資産の取得による支出が34億2千8百万円、となったことなどにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、356億5千7百万円の支出(前連結会計年度は30億6千2百万円の支出)となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 長期借入れによる収入が5,269億4千7百万円、社債の発行による収入が1,095億2千万円となったことなどに対し、長期借入金の返済による支出が4,536億3千7百万円、コマーシャル・ペーパーの減少額が630億円、社債の償還による支出が350億円となったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、979億9千4百万円の収入(前連結会計年度は1,318億円の収入)となりました。

 

④ 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況

 「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社における貸付金の状況は次のとおりであります。

a.貸付金の種別残高内訳

2025年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

有担保(住宅向を除く)

住宅向

2

0.08

34

0.01

1.83

2

0.08

34

0.01

1.83

事業者向

 

 

 

 

 

2,508

99.92

604,028

99.99

3.08

合計

2,510

100.00

604,063

100.00

3.08

 

b.資金調達内訳

2025年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

 

1,632,939

1.10

その他

 

660,697

1.11

 

社債・CP

628,966

1.12

合計

2,293,637

1.10

自己資本

 

321,067

 

資本金・出資額

10,532

 

c.業種別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

31

8.88

7,212

1.19

農業・林業・漁業・鉱業

2

0.57

1

0.00

建設業

7

2.01

12,952

2.15

電気・ガス・熱供給・水道業

7

2.01

8,653

1.43

情報通信業

3

0.86

30,399

5.03

運輸業

6

1.72

60

0.01

卸売・小売業

74

21.20

5,810

0.96

金融・保険業

21

6.02

89,777

14.86

不動産業

88

25.22

336,306

55.68

飲食店,宿泊業

2

0.57

9

0.00

医療,福祉

39

11.17

1,376

0.23

教育,学習支援業

1

0.29

1,099

0.18

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

48

13.75

109,512

18.13

公務(他に分類されないもの)

個人

2

0.57

34

0.01

分類不能の産業

18

5.16

856

0.14

合計

349

100.00

604,063

100.00

 

d.担保別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

156,564

25.92

 

うち株式

債権

 

1,309

0.21

 

うち預金

商品

 

不動産

 

8,992

1.49

財団

 

その他

 

13,641

2.26

180,508

29.88

保証

 

24,863

4.12

無担保

 

398,691

66.00

合計

604,063

100.00

 

e.期間別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

130

5.18

173,744

28.76

1年超 5年以下

2,218

88.36

311,382

51.55

5年超 10年以下

82

3.27

106,187

17.58

10年超 15年以下

7

0.28

3,178

0.53

15年超 20年以下

15

0.60

5,520

0.91

20年超 25年以下

3

0.12

2,450

0.41

25年超

55

2.19

1,598

0.26

合計

2,510

100.00

604,063

100.00

1件当たりの平均期間(年)

3.90

 (注) 期間は、約定期間によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、以下のとおりであります。

 

当社グループは、ひとの成長と対話を通じた社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的成長を目指す、5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に取り組んでおります。中期経営計画の3年目となる2024年度も外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

2024年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

 

<ビジネス戦略>

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」のビジネス戦略を着実に推進するため、社会の変化に応じた経営資源の機動的な配分を行い、3つの成長ドライバーに区分した7つの事業領域を中心にビジネス領域の拡大に取り組みました。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

1 ライジングトランスフォーメーション<社会的な地殻変動を捉えた戦略的成長>

●モビリティ物流

国内外における電気自動車(EV)の普及促進に向けたアライアンス先との連携を進め、サービスメニューの拡充を図りました。

また、物流領域における機能強化を目的に、2025年3月に物流機器の販売・レンタルを手掛ける株式会社ワコーパレットを連結子会社化しております。

 

●サーキュラーエコノミー

「資源循環の実現」と「収益機会の拡大」の同時実現を図るべく、リユース・リセール機能の集約と強化を目的とした施設「Fuyoリユースセンター」を開設しました。

 

2 アクセラレーティングトランスフォーメーション<市場トレンドを捉えた加速度的成長>

●エネルギー環境

再生可能エネルギー事業では、2024年4月に営業を開始した英国現地法人との連携を通じた欧州での取組拡大に加え、米国においてもアライアンス先との連携が進み、グローバルベースで実績を積み重ねております。 また、電力需給調整事業などの多角的な電力サービス事業を展開する株式会社グローバルエンジニアリングを持分法適用関連会社化するとともに、同社との連携による系統用蓄電池事業への参画を進めました。

 

●BPO/ICT

BPO領域においてアライアンス先との連携を通じた顧客基盤の更なる拡大に努めるとともに、お客様のサステナビリティ経営を支援する、新たなサービスの提供を開始しました。また、ICT領域においては高い需要が見込まれるデータセンター関連事業の取組拡大に向けて、米国のデータセンターを対象とする開発型ポートフォリオへの出資を実行するなど、新たな事業領域の創出を進めました。

 

●ヘルスケア

地域金融機関等との連携を進め、九州エリアを対象とする「地域特化型ヘルスケアファンド」を立ち上げるとともに、アライアンス先との関係強化を図り、診療・介護報酬債権早期支払サービス「FPSメディカル」の取扱いが拡大しました。2025年1月には医療・介護・福祉業界に特化した専門性の高い経営ソリューションサービスを提供する株式会社CBホールディングスを連結子会社化し、非ファイナンス領域における機能強化を進めました。

 

 

3 グロウイングパフォーマンス<中核分野の安定的成長>

●不動産

事業ポートフォリオ全体のバランスを意識し、リスクとリターンを踏まえたアセットコントロールを進めるとともに、英国においてアライアンス先と連携した環境配慮型不動産の開発に取り組むなど、海外におけるビジネスも着実に広がりつつあります。

 

●航空機

リースニーズの高まりを捉え、保有機体数は着実に増加しております。 また、ターキッシュ・エアラインズと契約を締結したサステナビリティ・リンク・ローン(※)付きオペレーティング・リースの取扱いを開始し、航空業界における脱炭素化の実現に貢献しております。

 

※ サステナビリティ・リンク・ローン

借入人の包括的なサステナビリティの取組成果と金利等の借入条件を連動させるローン

 

<事業を通じた社会価値の創出>

事業を通じた持続可能な社会の構築と企業としての継続的な成長の両立を実現するため、当社グループはCSV(Creating Shared Value)の考え方を経営の根幹に位置付け、サステナビリティに関する取組を強化しております。

中期経営計画においては、事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めております

 

「環境」分野では、国内外におけるカーボンクレジット創出プロジェクトへの参画や、リユース・リセール機能の集約と強化を目的とした施設「Fuyoリユースセンター」の開設などを通じて、気候変動問題の解決や循環型社会の実現に向けた取組を強化しました。「社会とひと」の分野では、スポーツを活用したまちづくりの推進を通じたCSVの実践などを進めております。このような取組を推進していくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

<マネジメント戦略>

ビジネス戦略を支える経営基盤を強化するため、マネジメント戦略では以下の取組を進めました。

 

・より「学び」に専心できる環境として2023年度に開設した研修専用施設「Fuyo Shared Value Creation Center」の活用などを通じて、高付加価値人材の継続的な創出に向けた人的投資を積極的に進めております。なお、人的資本への積極的な投資を通じて、非財務目標の「人材育成関連費用(単体)300%(2021年度比)」を前倒しで達成しております。

・DXを軸とする業務改革を強力に推進し、業務プロセスの“高度化”や“見える化”を通じた生産性の向上に取り組みました。

・財務健全性及び資本効率向上の両立に資する資金調達手段としてのハイブリッド社債(劣後特約付き)を、国内初となる「役員報酬の連動」を債券特性とするサステナビリティ・リンク・ボンド(※)として発行しました。

 

※ サステナビリティ・リンク・ボンド

発行体の包括的なサステナビリティの取組成果と金利等の債券条件を連動させる債券

 

以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

 

<営業取引の状況>

[契約実行高]

 当連結会計年度における契約実行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

契約実行高(百万円)

前年同期比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

117,964

96.4

産業・土木・建設機械

14,580

126.4

その他

155,126

134.9

ファイナンス・リース計

287,670

115.5

情報・事務用機器

8,002

190.8

産業・土木・建設機械

825

33.3

その他

201,732

57.3

オペレーティング・リース計

210,559

58.7

リース計

498,230

82.0

割賦

29,827

112.9

リース及び割賦計

528,058

83.3

ファイナンス

1,314,656

119.9

その他

1,267

10.3

合計

1,843,981

105.8

(注)1.オペレーティング・リースは、賃貸物件の取得価額を記載しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。

2.リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の購入金額、割賦については、実行時の割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

契約実行高は前年同期比5.8%増加となっております。

「リース及び割賦」については、ファイナンス・リース、オペレーティング・リースともにモビリティ物流の輸送用機器の実行高が国内外で増加したものの、不動産のオペレーティング・リースが減少したこと等により、減少しております。

「ファイナンス」については、国内子会社のアクリーティブ株式会社における診療・介護報酬ファクタリングの取扱高の増加等により、増加しております。

「その他」については、福島県の「鮫川青生野太陽光発電所」が新規稼働した前年同期間比で減少しております。

 

 

[営業資産残高]

 連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

311,115

10.8

304,710

9.9

産業・土木・建設機械

75,861

2.7

69,351

2.3

その他

471,754

16.4

477,416

15.5

ファイナンス・リース計

858,731

29.9

851,478

27.7

情報・事務用機器

6,590

0.2

10,680

0.4

産業・土木・建設機械

33,348

1.2

23,903

0.8

その他

896,188

31.1

990,028

32.2

オペレーティング・リース計

936,126

32.5

1,024,612

33.4

リース計

1,794,858

62.4

1,876,091

61.1

割賦

49,906

1.7

53,582

1.7

リース及び割賦計

1,844,765

64.1

1,929,673

62.8

ファイナンス

993,887

34.5

1,109,628

36.1

その他

38,796

1.4

32,841

1.1

合計

2,877,449

100.0

3,072,143

100.0

(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

営業資産残高は、前連結会計年度末比6.8%の増加となっております。

「リース及び割賦」については、航空機及びモビリティ物流の輸送用機器を中心にオペレーティング・リースの積上げが進んだことにより増加しております。

「ファイナンス」については、再生可能エネルギー事業等の事業参画型取引が拡大したこと等により増加しております。

「その他」については、太陽光発電設備等の減価償却が進んだことにより減少しております。

 

[営業実績]

 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

前連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

319,722

オペレーティング・リース

271,608

リース計

591,330

517,082

74,247

8,461

65,786

割賦

28,503

27,374

1,129

329

800

リース及び割賦計

619,834

544,457

75,377

8,790

66,586

ファイナンス

32,670

5,142

27,528

9,850

17,677

その他

56,032

30,368

25,664

358

25,305

合計

708,538

579,967

128,570

19,000

109,570

 

当連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

338,544

オペレーティング・リース

218,174

リース計

556,719

470,788

85,931

13,883

72,047

割賦

26,958

25,748

1,209

402

807

リース及び割賦計

583,677

496,536

87,141

14,286

72,854

ファイナンス

39,003

1,207

37,795

15,493

22,302

その他

55,714

30,801

24,912

439

24,473

合計

678,395

528,545

149,849

30,218

119,630

 (注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[売上高、売上原価、差引利益]

(リース及び割賦)

リース及び割賦の売上高は、前年度比361億5千6百万円(5.8%)減少して5,836億7千7百万円となりました。売上原価は前年度比479億2千万円(8.8%)減少して4,965億3千6百万円となり、リース及び割賦における差引利益は前年度比117億6千3百万円(15.6%)増加して871億4千1百万円となりました。これは主として、航空機・モビリティ物流を中心に成長ドライバーに位置付ける事業領域が伸長したことによるものであります。

 

(ファイナンス)

ファイナンスの売上高は、前年度比63億3千2百万円(19.4%)増加して390億3百万円となりました。売上原価は前年度比39億3千4百万円(76.5%)減少して12億7百万円となり、ファイナンスにおける差引利益は、前年度比102億6千7百万円(37.3%)増加して377億9千5百万円となりました。これは主として、貸付金利息や営業投資有価証券の受取利息、受取配当及び出資利益の増加によるものであります。

 

(その他)

その他の売上高は、前年度比3億1千8百万円(0.6%)減少して557億1千4百万円となりました。売上原価は前年度比4億3千2百万円(1.4%)増加して308億1百万円となり、その他における差引利益は前年度比7億5千1百万円(2.9%)減少して249億1千2百万円となりました。これは主として、太陽光発電所の売上高が減少したこと及びBPO/ICT分野で製造原価が増加したこと等によるものであります。

 

[営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益]

成長ドライバーに位置付ける航空機、モビリティ物流等の事業領域が伸長したことにより、利益の源泉である基礎的な収益、即ち「差引利益」(資金原価控除前売上総利益)が前年度比212億7千8百万円(16.6%)増加して1,498億4千9百万円となりました。

コスト面では、人的資本への積極的な投資に加え、前期に発生した退職給付費用の一時的な減少が影響して人物件費は前年度比59億1千万円(12.2%)増加して541億7千9百万円となりました。資金原価は国内金利の上昇に伴い調達コストが増加したことなどにより、前年度比112億1千8百万円(59.0%)増加して302億1千8百万円となりました。

この結果、営業利益は前年度比7.9%増加の647億6千万円、経常利益は前年度比1.0%増加の690億3千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比4.1%減少の452億7千7百万円となりました。

 

[純資産、自己資本比率]

株主資本合計は利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比8.7%増加の3,839億9千1百万円となり、当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比538億8千6百万円(11.3%)増加して5,312億1千3百万円となりました。

自己資本比率は、前連結会計年度末比0.6ポイント上昇して13.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,363億7千7百万円の支出(前連結会計年度は1,120億9千8百万円の支出)となりました。主な変動要因は、賃貸資産の取得による支出の減少、賃貸資産除去損及び売却原価の減少、営業貸付金の増減額が増加したことなどによるものであります。

 

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、356億5千7百万円の支出(前連結会計年度は30億6千2百万円の支出)となりました。主な変動要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、979億9千4百万円の収入(前連結会計年度は1,318億円の収入)となりました。主な変動要因は、間接調達では長期借入れによる収入の減少及び短期借入金の純増減額が増加したこと、直接調達ではコマーシャル・ペーパーの減少額が増加したことなどによるものであります。

 

b.契約債務

2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

608,320

長期借入金

441,624

395,917

293,299

171,266

132,583

41,420

リース債務

1,561

921

520

434

301

848

合計

1,051,506

396,838

293,820

171,701

132,885

42,269

当社グループの第三者に対する保証は、取引先等の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2025年3月31日現在の債務保証額は、923億6千7百万円であります。

 

c.財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達により資金調達することとしております。

当連結会計年度は、営業資産の積上げを背景に社債(ハイブリッド社債含む)や長期借入金及び短期借入金による調達を拡大しました。また非財務目標に紐づくESGファイナンスの取組みを推進しております。

当連結会計年度末において、間接調達は、長期借入金及び短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比6.5%増加して2兆844億3千3百万円となり、直接調達は、社債の発行額は増加したもののコマーシャル・ペーパー及び債権流動化に伴う支払債務が減少したことなどにより、前連結会計年度末比0.3%減少して7,238億1千6百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の調達残高は、前連結会計年度末比4.7%増加して2兆8,082億4千9百万円となりました。直接調達比率は25.8%となり、前連結会計年度末比1.3ポイント低下いたしました。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸資産及び割賦販売物件の購入、営業投資有価証券の購入、太陽光発電設備の設備投資のほか、営業費用、販売費及び一般管理費等であります。

2025年3月31日現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前連結会計年度末比4.6%増加して2兆8,128億3千7百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は665億6千5百万円となっております。

当連結会計年度末において、取引金融機関82行等と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高5,742億6千9百万円、借入未実行残高7,579億6千9百万円)

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせております。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 

a.貸倒引当金

当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額に対して貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。貸倒引当金の金額は、以後の各連結会計年度の貸倒の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b.固定資産(賃貸資産等)の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益が見込めなくなった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。

 

c.のれんの減損

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、当期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。