第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供し、全従業員とその家族の幸せを追求することを企業理念として掲げ、事業を展開しております。この企業理念のもと、高齢化社会が進むに伴い拡大が予想される介護業界において、東京23区を中心とした地域密着型企業としてブランドを確立するとともに、株主、地域社会、ご利用者及び従業員等すべてのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは当面の間、経常利益率の向上を目指してまいります。さらに中長期的には収益性と資本効率をより高めて総合的な企業価値を増大させていく方針であります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、前述の「(1)会社の経営の基本方針」を具現化するために、以下を中長期的な経営戦略として位置づけております。

①介護事業における首都圏ドミナント戦略の推進

引き続き、東京23区を中心としたドミナントエリア拡充と事業内容の深化に取り組んでまいります。

②経営基盤の強化

長期的な成長に向けた強い組織を作り上げるために、質の高いサービスを提供できる体制を整備いたします。

③在宅介護事業への集中と選択

当社グループは、ドミナントエリアを活かし、地域の医療機関等と連携することにより、現在、厚生労働省が推し進める地域包括ケアシステム構築の中で、「通い」及び「訪問」を担う介護体制の構築を進めてまいります。

 

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

当社グループが所属する国内の介護サービス産業は高齢化がさらに進み、今後も拡大傾向が続くと予想されます。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い各行政からの外出自粛や景気後退懸念による利用控えなどにより、介護業界を取り巻く環境は依然厳しい状況が続くと想定されます。

このような経営環境に対応するために、当社グループの強みである東京23区を中心としたドミナント戦略の推進により生み出される、各サービス間のシナジー効果を十分に活用してまいります。人口密度が高く、移動効率性の良い東京23区は、介護報酬において全国で最も高い地域区分単価が適用されており、当社グループでは今後も引き続き東京23区を中心としたドミナントエリアでの拠点の展開を継続してまいります。しかしながら、新規出店においては、今後の介護保険法改正の動向に加えて、地域の顧客データやテナント賃料、建設コストなどを慎重に見極めて進めてまいります。

また、国内のあらゆる産業において、従事する人材の採用が年々難しくなっており、介護業界においても、サービスを提供するために必要な有資格者をはじめとした介護スタッフの確保と定着は、引き続き大きな経営課題となっております。当社グループでは、人材事業子会社である「株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル」を通じて、介護業界全体の課題である介護人材の採用に向けて、当社グループ全体の採用力の向上を進めております。加えて、優秀な従業員の育成・定着のために職能や経験に応じたキャリアパスや、各種手当の拡充、新型コロナウイルス禍での労働市場の変化に適切に順応を図り、また2019年10月より特定処遇改善加算の取得を推進し、事業所従業員に手当を拡充することで、経験を持った優れた人材が引き続き当社グループで活躍できる環境を整備しております。

新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症拡大下での当社の基本方針としまして、当社グループが提供する在宅介護サービス事業、シニア向け総合サービス事業は、公共性の高いサービスであるため、行政機関と連携のうえ、可能な限りサービスの提供を維持、継続してまいります。ただし、お客様やそのご家族、従業員と家族の安全確保を第一に努め、行政や保健所等による要請、指示に従い、適宜各サービスの休止、規模の縮小、時間変更、代替サービスへの振替等の対応を講じてまいります。

 

また、中国では上海市に設立した関係会社を通じて、現在、日本式の在宅介護サービスとエンゼルケアサービスを展開しております。引き続き、経済の発展とともに高齢化の進行が予想される中国において、日本と同様のサービス品質を提供していくため、当社グループの企業理念である「お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供する」を理解・実践できる現地スタッフの採用と人材育成を重要視し、体制の構築を図ってまいります。   
 今後、さらに高齢化が進行する中で、お客様の人生を最後まで支えるために当社グループの「介護からエンゼルケアまで」の一貫したサービスを提供するための基盤構築を引き続き推し進めてまいります。

株主や投資家の皆様との対話や、IR・広報活動の充実、内部統制の整備を通じて、社会からさらに厚い信頼を得ることができるように努めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

なお、当社はこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、以下の記載は当社株式への投資リスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

なお、以下の事項は、特に断りがない限り、当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 介護保険制度について

当社グループの在宅介護サービス事業セグメントに属する各サービスは、主に介護保険法の適用を受けるサービスの提供を行うため、介護保険制度の改正及び介護報酬の改定の影響を強く受けることとなります。介護保険制度は5年を目途に見直しが行われ、3年毎に介護報酬の改定が行われることとされておりますが、後期高齢者の増加により当該制度の財政基盤は悪化しつつあり、今後、介護報酬の引き下げ、介護サービス料金の自己負担割合の引き上げ等、介護給付費の伸びを抑えるための制度改正や報酬改定が行われた場合、売上単価の減少等の採算性に問題が生じ、当社グループの主力である在宅介護サービス事業の収益に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループはシニア向け総合サービス事業をもう一つの柱として展開し、エンゼルケア事業のほかにも介護保険外サービスの新規事業開拓を積極的に進めております。

 

(2) 法的規制について

介護保険法に基づく介護サービスを行うには、事業所毎に指定事業者としての指定を都道府県知事(地域密着型サービスについては市区町村長)から受ける必要があります。指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設置及び運営に関する基準」(介護保険法に基づく厚生労働省令)を満たしていなければなりませんが、従業員の退職等により当該基準を満たせなくなった場合には、事業の停止や介護報酬の減額等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは事業所の運営体制を常時指導・監督するとともに、人材教育部門を中心として、各種マニュアルの整備及び研修を充実させることで管理体制の強化や教育の徹底をしております。

ドミナント展開している事業所間においては相互サポートできる体制を整備するなどして適切な事業運営に努める一方で、介護人材に特化した人材事業会社「株式会社東京ケアサービスヒューマンキャピタル」を設立し、採用力の向上を進めて、根本的な人材不足の解消に努めております。

また、その他の指定取消事由として、介護報酬の不正請求、帳簿書類等の虚偽報告等が定められております。現時点では当社グループでは指定の取消事由に該当する事実は発生しておりませんが、遵守できなかった場合に指定の取消や停止処分を受ける可能性があります。さらに、事業所の指定取消処分がなされ、その理由となった不正行為に対して当社グループの組織的関与(連座制)が認められた場合は、同一のサービス類型の事業所の新規指定及び6年毎の更新を受けることができなくなり、計画している収益を達成できない可能性があります。

 

当該リスクに対応するため、当社グループは介護保険の請求業務の専門部署を配置し、不正請求、帳簿書類等の虚偽報告等が起こらないように複数チェックの管理体制をとっております。

 

(3) 競合について

2000年4月の介護保険法施行を契機に介護保険制度に基づく地方自治体単位での介護サービスが開始され、医療法人等の公的非営利主体及び異業種を含めたさまざまな企業が参入しました。高齢化社会の進展に伴い要介護認定者数の増加基調が予想されるとともに、介護保険法の施行から20年以上が経過し、社会全般における介護保険制度に対する認識が着実に深まりつつあります。このため、介護関連ビジネスの市場は今後の拡大が予測され、既存事業者の活動の活発化に加え、新規参入が再び激しくなってきております。したがって、今後の競争の激化に伴い当社グループの事業所において、利用者の確保が困難になった場合等には、当社グループの在宅介護サービス事業の業績が影響を受ける可能性があります。

 当該リスクに対応するために一部デイサービス事業所では、日曜営業を実施するほかに、デイサービスへ通う利用者が、事業所で過ごす時間の中で、「やらされ感」を払拭し、「やってみたかった」「やりたい」という思いを実現することができるよう、プロの講師による各種の教室活動を開催しております。具体的には、陶芸教室、編み物教室、絵手紙教室、書道教室、水彩画教室、メディカルアロマ教室、フラワーアレンジメント教室、カルトナージュ、フラワーセラピー教室、手作りライト教室、ガラス工芸教室、折り紙教室、ヨーガ教室、フラダンス教室、音楽療法の開催実績があります。その他に自社配食センターによる食事の質の向上等に努めております。

シニア向け総合サービス事業においては、湯灌サービスの認知度が高まることにより、他の事業者の参入により、競争が激化する可能性があります。更に葬儀形態の多様化により、湯灌サービスの利用が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは経済成長が著しく少子高齢化が進行する中国への進出、介護業界を対象とする人材紹介サービスの開始、介護サービス及び介護施設の紹介サービスの開始等、新たな市場開拓や新規事業への参入を進めております。

 

(4) 新規出店について

当社グループでは開設にあたり綿密なマーケットリサーチを行い、事業所等の新規開設を進めておりますが、地価の高騰等により好立地に物件を確保できない場合や、事業環境の変化及び経済的要因により開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社グループの3ヵ年計画等に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループでは、経済状況や各地域の人口動態等の市場分析を適時適切に行い、変化に対して迅速に対応できる店舗開発体制を整えております。

 

(5) 人材の確保について

当社グループが事業を拡大していくためには、人材の確保が必要となります。とりわけ介護事業においては、サービス提供にあたり介護支援専門員、看護師、介護福祉士など専門資格取得者の確保が必須であります。

景気の動向次第では、人材確保について同業他社だけでなく異業種を含めた競争となり、万一、十分な人材の確保が困難な場合には、「(2)法的規制について」のとおり、現在提供しているサービスを継続することができなくなる可能性があり、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、人件費が高騰した際にも当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは介護人材に特化した人材事業会社である「株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル」を設立し、介護業界全体の課題であり差別化要因である介護人材の採用と育成に向けて、当社グループ全体の採用力の向上を進めております。

 

 

(6) 人材紹介事業について

連結子会社(株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル)が行う人材紹介事業は、「職業安定法」第32条の4に基づく有料職業紹介事業許可を受けて行っている事業です。「職業安定法」では、人材紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法 第32条)及び当該許可の取消事由(同 第32条の9)に該当した場合には、事業の許可を取り消し、または、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において、上記に抵触する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合には、認可取消や業務停止となる可能性があります。

当該リスクに対して、当社グループでは、関係法令の遵守及び改正に対応するため、マニュアルの整備、内部監査等を実施しております。

 

(7) 高齢者介護における安全管理及び健康管理について

当社グループが提供する介護サービスの利用者は、要支援又は要介護認定を受けている高齢者であり、転倒事故、食物誤嚥事故及び感染症の集団発生等、高齢者の特性に起因する事故等が発生する可能性があります。万一、事故や感染症等が発生した場合、当社グループの信用が低下するとともに訴訟等で損害賠償請求を受ける恐れがあり、過失責任が問われた場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループでは、サービス提供中の安全衛生管理には細心の注意を払い、研修・マニュアルの整備等により従業員の教育指導を徹底しております。

 

(8) 情報管理について

当社グループが提供するサービスは、業務上、利用者あるいはその家族の重要な個人情報を取扱います。万一、システム等から個人情報が外部に漏洩する等のトラブルが発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、当社グループは、個人情報をはじめとした情報の適正な取得及び厳重な管理のために、各種規程や研修等を通じて、情報漏洩の防止に取り組んでおります。

 

(9) 地域との関係について

当社グループの事業の性格上、地域のお客様、自治体はじめ関係各機関等との信頼関係が何よりも重要であると考えております。このため、良質かつ安定的なサービスの提供が必要であり、業績が改善されない事業所があった場合でも、収益性の観点だけで直ちに撤退することが困難な場合は、当社グループの財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、エリア毎に業績を管理しておりますので、業績不振事業所が撤退困難となった場合でも、同一エリア内の他事業所の業績を向上させることにより、当該エリア全体の業績が悪化しないように対応できる体制となっております。

 

(10) 長期賃貸借契約について

介護事業における事業所の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資が必要であることから、投資リスクが生じます。当該リスクを抑制するために、各事業所の展開は賃貸を基本とした設備投資戦略を採用しております。このため、投資リスクは抑制されるものの、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金などの支払が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、長期間にわたり撤退の制約がかかる物件は極力避けるとともに、一定期間の制約が避けられない場合は、当該期間を極力短縮して契約するようにしております。

 

 

(11) 海外事業に関するリスクについて

当社グループは、中国において訪問入浴、エンゼルケア事業等を展開しております。海外における事業展開にあたり、以下のような事象が発生した場合には、当社グループの海外事業の推進に影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制・租税制度の変更

・テロ、戦争、伝染病の流行等の社会的混乱

・事業展開上不利な政治的要因の発生

・予期しえない労働環境の急激な変化

・想定以上の経済動向及び為替レートの変動

当該リスクに対して、当社グループでは、政府動向や法改正、治安情勢等に関する情報収集を適時行い、当該情報に基づき関係部署が連携して対応することにより、海外展開におけるリスクを低減しております。

 

(12) エンゼルケアサービスの季節変動について

エンゼルケアサービスは、葬儀需要により業績が変動します。葬儀需要は月間の平均件数に対し、夏場が少なく、冬場が多くなる傾向があり、それに伴い当社グループの業績も冬季に偏重する可能性があります。

 

(13) 減損会計の適用について

当社グループの保有する建物等について、今後、収益性が著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、出店地域を選定する際には、綿密なマーケットリサーチを行い、資産収益性の高い立地条件を選定し、減損損失の発生を未然に防ぐようにしております。

 

(14) 風評等の影響について

当社グループの事業においては、お客様をはじめ関係者の信用、評判が大きな影響力を持つと認識しております。何らかの理由により当社グループの評判が損なわれた場合または当社グループに対する好ましくない風評が立った場合には、当社グループの業績及び人材採用等に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、「企業理念」、「行動指針」、及びそれに基づく日々の行動目標を記した「ケアサービスフィロソフィ」を制定し、高い理念の下に細心の注意を払って事業を運営しております。

 

(15) 自然災害について

地震、台風、大雨、大雪等の自然災害が発生し、やむなく業務を停止せざるを得なくなる場合や、建物や設備が損傷し、その修復に多大な費用が必要になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社の重要な事業拠点である首都圏において想定を上回る大規模な自然災害が発生した場合には、正常な事業運営が行われなくなる可能性があり、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があるばかりでなく、事業の継続が困難になる可能性もあります。

当該リスクに対応するため、緊急時対応マニュアルを作成し周知徹底するほか、各事業所において定期的に防災訓練を実施しております。

 

(16) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症が長期化した場合には、当社グループのお客様の一時的な利用控え、また感染拡大の度合いにより行政の要請に基づいた事業所の一定期間のサービス停止など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、全従業員に対し、感染予防及び感染拡大防止に向けた行動を促すとともに、以下のような対策を講じております。

<対策>

「マスク着用」、「消毒液や石鹸での手洗い、うがいの徹底」、「入退室時の手指のアルコール消毒」、「職場の換気」、「WEB会議実施の推奨」、「密閉、密集、密接の「三密」の状況の回避の励行」、「時差出勤やテレワークの一部導入」、「出社直後の検温の徹底、本人および同居家族の体調不良・発熱時の報告」、「飛沫感染予防」

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞及び個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。また、景気の先行きにつきましては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されたものの、感染再拡大における国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、予断を許さない状況となっております。

国内の介護業界におきましては、高齢化社会の進行により介護サービスの需要は高まっているものの、サービスを担う人材を、適時適切に確保することは、非常に難しく、人件費及び採用コストの上昇が続く状況から、介護人材の管理と定着が引き続き介護事業者の大きな課題となっております。また、2020年4~5月、2021年1~3月の二度の緊急事態宣言により、サービスの利用控えが続きましたが、2021年4月末より感染力の強い変異株の拡がりにより再度、緊急事態宣言が発令され、今後の感染状況を注視する必要が続いております。

このような状況の下、当社グループは「介護からエンゼルケアまで」と一貫したサービスを提供するための基盤構築を引き続き図ってまいりました。

度重なる、緊急事態宣言により、サービスの利用控えが続きましたが、各事業のオペレーションを見直し、材料費、消耗品、水道光熱費をはじめとするコストコントロールの徹底を行い、本社共通部門の効率化、部門統合再編による労務費の削減など、経費圧縮を進め続けております。

国内事業では、営業・管理体制の一元化による事業運営の効率化、体制強化を目的とし、居宅介護支援事業および訪問介護事業を展開する当社子会社「株式会社ひだまり」を2020年10月1日に当社へ吸収合併し、また、大田区のドミナントエリアにおける更なる市場シェア拡大のため、「株式会社広域社会福祉会」が運営する訪問介護事業を2020年11月1日に譲り受けました。なお国内既存事業所数は、デイサービスの統廃合による減店2、エンゼルケアの事業所閉鎖による減店1により合計103事業所となりました。

海外事業においては、「上海福原護理服務有限公司」のエンゼルケア事業においてエンゼルケアサービスの認知度の高まりにより、施行件数が大幅に増加するなど着実な事業成長を示しております。

その他の事業では、当社グループ子会社である、人材事業「株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル」が、介護業界を対象とした人材紹介サービスにおいて、登録者数の伸びに合わせ、事業拡大に向けた体制強化を図りました。しかしながら、緊急事態宣言下では外出自粛による選考プロセスの遅れなどの影響により、苦戦を強いられました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,686百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益は304百万円(前年同期比148.3%増)、経常利益は319百万円(前年同期比156.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は190百万円(前年同期比21.2%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。変更の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

(在宅介護サービス事業)

 当事業におきましては、主力のデイサービスでは、4月~5月及び1月~3月にかけての2度の緊急事態宣言により、休業や利用控えによる影響を受けました。一方で、訪問入浴等訪問系サービスでは中重度の要介護者の受け皿、通所介護の補完需要などにより堅調に推移しました。

なお、当連結会計年度での事業所数の推移は、デイサービスの2事業所が閉鎖いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,476百万円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は573百万円(前年同期比4.0%減)となりました。

(シニア向け総合サービス事業)

 当事業におきましては、エンゼルケアサービスが葬儀の在り方が変化する中、湯灌等の引き合いは強く、好調に推移しました。また中国子会社の上海福原護理服務有限公司では、現地でのエンゼルケアサービスの認知度の高まりにより、施行件数が増加するなど着実な成長を示しております。

なお、当連結会計年度での事業所数の推移は、前期末比でエンゼルケアの1事業所が閉鎖しました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,210百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は467百万円(前年同期比38.3%増)となりました。

 

財政状態は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より7百万円増加し、3,220百万円となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,404百万円(前連結会計年度末2,359百万円)となり、45百万円増加しました。現金及び預金の増加11百万円、売掛金の増加31百万円が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、815百万円(前連結会計年度末853百万円)となり、37百万円減少しました。有形リース資産(純額)の増加44百万円、建物(純額)の減少25百万円、のれんの減少13百万円、無形リース資産の減少23百万円、無形固定資産その他の減少16百万円が主な要因であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,008百万円(前連結会計年度末1,079百万円)となり、71百万円減少しました。未払法人税等の増加87百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少95百万円、賞与引当金の減少21百万円、流動負債その他の減少26百万円が主な要因であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、355百万円(前連結会計年度末437百万円)となり、82百万円減少しました。退職給付に係る負債の増加18百万円、長期借入金の減少112百万円が主な要因であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、1,857百万円(前連結会計年度末1,696百万円)となり、160百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加190百万円、配当金の支払いによる減少26百万円が主な要因であります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して11百万円増加し、969百万円(前連結会計年度末比1.3%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、340百万円(前年同期は126百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益332百万円、減価償却費115百万円に対し、未払消費税等の減少39百万円、法人税等の支払額49百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、48百万円(前年同期は165百万円の獲得)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出29百万円、無形固定資産の取得による支出5百万円、長期前払費用の取得による支出8百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、274百万円(前年同期は104百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出207百万円、リース債務の返済による支出39百万円、配当金の支払額26百万円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

在宅介護サービス事業(千円)

6,476,395

△0.6

シニア向け総合サービス事業(千円)

2,210,293

+5.6

合計(千円)

8,686,688

△4.1

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東京都国民健康保険団体連合会

5,157,112

56.9

5,153,894

59.3

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。

売上高は、8,686百万円と前連結会計年度から368百万円(4.1%)減少いたしました。これは、在宅介護サービス事業が主にデイサービス事業の減収により41百万円(0.6%)の減少、シニア向け総合サービス事業が主にエンゼルケアサービスの増収により117百万円(5.6%)の増加、サービス付き高齢者向け住宅事業が当該事業を前連結会計年度に譲渡したことにより444百万円(100.0%)の減少となったことによるものです。

利益面については、労務費を含めたコストの大幅な見直しにより、営業利益は304百万円と前連結会計年度から182百万円(148.3%)増加いたしました。また、経常利益は営業利益の増加に伴い、319百万円と前連結会計年度から194百万円(156.3%)増加いたしました。しかしながら、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において、サービス付き高齢者向け住宅事業の譲渡による事業譲渡益199百万円を特別利益に計上していたため、190百万円と前連結会計年度より51百万円(21.2%)減少いたしました。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」 に記載のとおりであります。

なお、当社グループは、施設の出店に際しては賃借によることを原則としており、重要な資本的支出の予定はないため、当面の設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、一定の仮定を置き合理的な基準に基づいて実施しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。