第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 当社は、2020年3月期以降前事業年度にいたるまで、5事業年度連続で営業損失を計上しております。このため、継続企業の前提に関する重要事象等が存在している可能性があります。しかしながら、財務面におきましては、当中間会計期間末での現預金及び余資運用残高は1,672百万円、自己資本比率も95.5%と、いずれも高い水準にあります。当事業年度以降も堅固な財務体質を維持しつつ、新技術の開発と営業活動の強化を推し進め売上高の伸長を図るとともに、不要不急な経費の圧縮等に注力し、損益状況のさらなる改善、黒字化を図ってまいります。従いまして、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しており、中間財務諸表の注記には記載しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 (1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における我が国経済は、大企業・製造業の景況感は横ばいながら、非製造業の景況感は価格転嫁の進展で改善傾向に転じました。一方、国内個人消費については、実質賃金上昇の兆しは見え始めているものの、いわゆるステルス増税により実質可処分所得の上昇が進まず、内需の本格回復はみられないまま推移しました。一方、目を海外に転じると、米国やEUでは労働市場の悪化傾向やインフレ圧力の低減見通しを背景に政策金利の引き下げによる景気のソフトランディングを図り始め、また、中国でも利下げ等により不動産市場の低迷や個人消費の落ち込みなどによる景況感悪化の抑え込みに着手し始めた一方、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が収束の兆しを見せず、さらにはイスラエルとハマスの軍事衝突による中東情勢の悪化もあり、各種エネルギー/食料価格などの高騰によるインフレ再燃懸念は払しょくできず、先行き大きな不安を残しながら推移しました。

 このような中、当社の主要顧客業界である電子機器関連業界は、事業の再編を進めつつも、新興国向けに機能・性能を絞った製品の開発を進める一方、競争力の源泉である優れたアルゴリズムを用いた映像・画像・音声の圧縮伸張技術を追求し続けております。

 具体的には、携帯型端末においてもより高画質、大画面の方向に向かっていることから、映像・画像の圧縮伸張コア技術であるビデオコーデックにおける優れたアルゴリズムを市場が求めております。また、デジタル情報家電においても、高画質化に加え高音質化が求められており、低消費電力と合わせてそれらを実現するオーディオコーデックが期待されてきております。さらに、動画像の配信・伝送分野においても、低ビット・レートでも高画質、高音質、低遅延を実現する圧縮伸張技術が必要不可欠のものとなっております。

 このような状況下、DMNAアルゴリズムを用いて高画質、高音質、低遅延はもちろん、地球環境にやさしい省エネルギーなグリーン製品群を提供している当社は、国際標準規格に基づく圧縮伸張技術の機能強化ならびに受注活動を行うとともに、独自規格のオリジナル・コーデックや圧縮してもデータが劣化しないロスレス技術、ソリューション製品としての各種低遅延伝送装置、映像鮮明化装置などをさらに国内外の市場に投入すべく営業努力を重ねております。

 当中間会計期間におきましては、防衛装備向け低遅延映像伝送システム、フライトシミュレータ向け画像・音声エンコーダユニット、防衛装備向け映像伝送エンコーダソフトウェア開発、監視装置向けコーデックモジュールの追加受注等の獲得に成功しております。

 一方、費用・損益面では、売上高の伸び悩みにより販管費などのコストを賄うことができず、損失を計上することとなりました。

 なお、当社の売上高は、主要顧客の決算期末(主として9月と3月)に集中する傾向がある一方、販管費等のコストは、各四半期とも大幅な変動はない、という特徴を有しております。

 

 以上の結果、当中間会計期間の売上高は188百万円(前年同中間期比5.7%減)となり、経常損失173百万円(前年同中間期は経常損失121百万円)、中間純損失175百万円(前年同中間期は中間純損失122百万円)となりました。

 

 部門別の業績につきましては、次のとおりです。

 

(ソフトウェアライセンス事業)

 営業活動におきましては、単体IPでのライセンス営業から複数IPをモジュール化してのライセンス営業に力をいれました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

《評価ライセンス》

・ハンズフリー ソフトウェアIP:車載機器向け

 以上の結果、当中間会計期間の売上高は36百万円となりました。

 

(ハードウェアライセンス事業)

 営業活動におきましては、4K技術、ロスレス技術、H.265、スムージング技術を中心にライセンス営業活動、海外案件獲得活動を展開しました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

《量産ライセンス》

・固定長画像圧縮技術:LCDドライバ向け

《試作ライセンス》

・固定長画像圧縮技術:医療用カメラ向け

 以上の結果、当中間会計期間の売上高は82百万円となりました。

 

(ソリューション事業)

 営業活動におきましては、当社の既存技術と開発力をベースに顧客のカスタム案件の獲得およびオリジナル・コーデックを用いて低遅延・高画質を両立させた小型版画像伝送システムや放送局向け低遅延送り返しシステムの販売活動を中心に展開しました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

・画像・音声デコーダユニットのライセンスキー追加受注:フライトシミュレータ用

・H.264単機能LSI:防衛装備向け

・低遅延映像伝送システム:防衛装備向け

・画像・音声エンコーダユニット:フライトシミュレータ向け

・映像伝送エンコーダソフトウェア開発:防衛装備向け

・FPGA版コーデックモジュールの追加受注:監視装置向け

 以上の結果、当中間会計期間の売上高は69百万円となりました。

 

   ・財政状態

 当中間会計期間末における総資産は、現金及び預金の減少などにより前事業年度末より208百万円減少し、1,978百万円となりました。負債は、前事業年度末より26百万円減少し90百万円となり、純資産は、中間純損失の計上などにより前事業年度末から181百万円減の1,888百万円となりましたが、自己資本比率は、95.5%と高い水準を維持しております。

 

 (2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前中間純損失を173百万円計上したことなどにより、前事業年度末に比して81百万円減少し、当中間会計期間末には、764百万円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において営業活動の結果使用した資金は70百万円(前年同期は143百万円の使用)となりました。

 これは主に、売上債権が155百万円減少した一方で、税引前中間純損失を173百万円計上したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において投資活動の結果獲得した資金は0百万円(前年同期は2百万円の獲得)となりました。

 これは、投資有価証券の取得による支出が18百万円発生した一方で、投資有価証券の売却による収入が21百万円発生したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間において、財務活動による資金の増減はありません(前年同期も増減なし)。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間会計期間における研究開発活動の金額は、175百万円であります。

 なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、当中間会計期間末において現預金を865百万円有しており、また、長短借入金等の有利子負債はなく、自己資本比率は95.5%と極めて高い水準にあります。IPの開発を主業務とし、また、ファブレスメーカーである当社の資金需要は、運転資金需要が主なものであり、それにはすべて自己資金で対応可能となっております。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。