文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、地球温暖化や大規模な災害、ウイルスなどによる衛生リスクが高まる社会を背景に、「私たちを取り巻く脅威に対処し、遠い未来、近い将来、今の社会に貢献する」ことを経営理念とし、事業活動をしております。
また、当社グループでは、創業以来、省エネルギー事業を中心とした事業を推進していますが、長年にわたり赤字を計上していることから、この経営理念の下、将来にわたって、どのように利益を生み出し、企業価値を増大するのかを、各ステークホルダーの皆様へ、より明確に開示することが重要であるとの認識をしております。
(2) 経営環境
当社グループでは、経営理念を実現するため、前々年度より、主に自家消費太陽光発電関連事業などの省エネ事業、リノベーション事業、HACCP(食品衛生法で定められた国際的衛生管理手法)関連事業、を進め、また、今年度より、Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル(以下PPA)としての太陽光発電事業を開始しております。
これらの事業は、それぞれ、足下の経済環境において需要の拡大を見込んでおりますが、以下のような事業環境にあると考えております。
1.省エネルギー・環境ソリューション事業
当社がコア事業としてきた当該事業では、「2050年カーボンニュートラル」を掲げる温室効果ガス削減の国家目標(2030年温室効果ガス46%削減―2013年度比―)の下、企業の脱炭素、SDGsへの取組意欲が急速に高まっております。このような需要の高まりは、当面継続すると考えられますが、これまでのような単純な、照明のLED化などの需要は漸減し、より大きな視野に立った提案が必要とされています。
当社では、これまでの省エネコンサル企業の草分けとしての先行性を活かし、自家消費型太陽光発電設備の導入、空調関連設備の提案など、より幅広い提案を行って参ります。
2.リノベーション事業
リノベーション事業は、住宅のリサイクルを進め、温暖化ガス削減の効果を推進する事業です。国土交通省によれば、2022年末における、リノベーションが必要な築40年経過のマンションストックは125.7万戸ですが、2032年末には、この件数は2倍強の260.8万戸になるとされています(国土交通省HPより)。一方で、2016年以降、中古マンションの成約数は、新築マンションの供給数を超えており、「マンションは新築を」という固定観念は、大きく変化したと考えられます。
こういった消費活動や住宅供給の構造変化は、今後もリノベーション業界の成長を後押しすると考えられます。金利情勢や価格変動による需要変化のリスクはありますが、基本的な需要拡大に変化は無いと考えられます。
また、事業用不動産最大手のCBREの調査では、日本の不動産に対する海外からの投資は、2021年には年率24%の成長をしたとされています。このような成長率を実現した要因として、海外から、金融的な投資に留まらず、実需に基づいた投資需要があったと考えられます。当社グループでは、このような海外からの需要に着目し、海外からの国内不動産に対するオーダーを取り込む仕組みを検討して参ります。
3.HACCP関連事業
HACCP関連事業につきましては、2021年の食品衛生法改正によるHACCP導入の義務化後においても、新型コロナ感染症拡大による飲食業界における再編が進む中、レストラン等の飲食業界については、HACCP対応が未だ大きく遅れています。一方で、コロナ後の需要拡大に対応を迫られている食品製造業者においては、工場・設備の増改築が急務となっており、設計・建築という段階におけるHACCP対応需要が急増しております。そのような状況を背景に、本年3月の日本政策金融公庫の調査によれば、本年1月における食品産業における設備投資DIは、13.5と統計開始以来の最高値となっており、当事業の足下の需要は強くなっております。
4.PPA事業及びリサイクル太陽光発電設備事業
PPA事業(太陽光発電の第三者所有モデル)は、施設の所有者(電力需要家)が提供する屋根などに、太陽光発電設備を所有・管理をする事業者(PPA事業者)が設備を設置し、需要家に売電するビジネスモデルです。この事業は、国による電力買取制度に代わる、再生可能エネルギー利用促進の切り札とされており、富士経済研究所によれば、2021年度には38億円程度であった市場規模は、2030年度には700億円に拡大するだろうと予測されています。
当社では、長年培ってきた太陽光発電設備の構築ノウハウを活かし、このPPA事業の普及拡大に寄与して参ります。
また、2012年に始まったFIT制度(電力の固定価格買取制度)と共に構築された大量の太陽光発電設備は、今後、大量廃棄の時代を迎えます。それと共に、太陽光発電設備の流通市場の拡大が見込まれますが、当社は当該市場に関連したビジネスを展開する予定です。
これらの展開に加え、中期的な再生可能エネルギーの拡大に資する為、発電設備設置が可能な土地を有効活用する為、それらの土地を調査し、発電設備を構築した上で、電力需要家に販売する事業などを検討して参ります。
(3) 経営戦略
経営環境を踏まえ、当社グループでは、以下のような基本戦略を立案しております。
1. 経営体制
当社経営陣では、1事業1役員を配置する体制を敷き、各事業の連携を図るため、毎週事業戦略会議を開催しております。
株式会社SDSホールディングス
各グループの経営管理
担当:渡辺代表取締役
株式会社 省電舎
省エネ・施設ソリューション事業及び、HACCP関連事業
担当:本清取締役副社長
株式会社イエローキャピタルオーケストラ
リノベーション事業
担当:小野澤取締役
株式会社 SDSおひさま1号
PPA事業・太陽光発電設備セカンダリー事業
担当:関原取締役
2. 経営戦略
各事業における経営戦略は以下の通りです。
省エネ・環境ソリューション事業・HACCP関連事業
① 省エネ・環境ソリューション事業については、一部分だけではない、施設全体への総合的な提案営業による、温室効果ガス排出抑制・SDGsに関連する既存顧客の需要を取り込む
② 担当役員の地元である千葉県などを中心に、地域の有力企業をパートナーとし、地域における大規模施設のSDGs対応受注に積極的に挑戦する。
③ HACCP関連事業では、提携金融機関7行との連携によるウェブセミナーなどを全行で展開し、対象先を拡大する。
④ HACCP認証コンサル顧客との関係性を深め、設備更新・設備増改築の受注営業を開始する。
リノベーション事業
⑤ 省エネ・環境ソリューション事業との協業による物件の高付加価値化を図る
⑥ 借入が長期化し金利負担が大きい利回り物件を売却し、資産圧縮を図る。
PPA事業・リサイクル太陽光発電事業
⑦ PPA事業では、提携先のF社等と強固に連携し、PPA事業の電力需要家を開拓すると同時に、HACCP提携先の地方銀行にも提案を行い、地方の需要を開拓する。
⑧ リサイクル太陽光パネルの活用によるコスト削減と利回り向上、太陽光発電設備のデューデリジェンスレポート発行による案件の信用確保などにより、発電設備流通の健全化を図り、その一角を担うようにする。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 業績目標及び、事業ごとの計画数値(KPI)などについては以下の通り
表1:決算期別最重要目標と主要な営業推進計画数値
上記計画達成時の業績数値(連結及び各子会社)
連結及び個社別の業績計画数値
連結
単位:千円
株式会社省電舎
省エネ・環境ソリューション事業・HACCP関連事業
単位:千円
株式会社イエローキャピタルオーケストラ
リノベーション事業
単位:千円
SDSおひさま1号
PPA事業
単位:千円
当社では、短期的な営業利益の成長及び、中期的なROEの向上を、経営指標の重要な目標といたします。
当社の企業規模は小さく、しかしながら展開する事業分野は、成長産業に位置付けられることから、今後も資金調達と、中期的な視野に立った投資を必要といたします。従いまして、短期的には当社企業価値の向上は、利益成長率によって決まると考えております。今後3年間は、本業による利益の成長にこだわり、積極的な投資も行って参ります。当社グループの今期以降の営業利益は、今期の黒字化以降、2026年3月期の2億円超の水準まで、アグレッシブな挑戦をして参ります。
そして、このことが、中期的なROEの向上につながっていくと考えております。ROEについては、今来期については目標値を設定せず、2026年3月期の5%を最初の目標とし、同水準をクリアした場合、随時、目標を引き上げることを検討して参ります。
またM&Aについて当社グループでは、昨年4月に、株式会社イエローキャピタルオーケストラをグループに迎え、業容が大きく拡大しましたが、今後も、M&Aは積極的に行っていく予定です。
当社のM&A戦略は、「基幹収益を持つ事業体に付加価値をつける」ことにあります。基盤となる収益が見込める事業に対して、当社のコアである環境ソリューションを付加価値として加え、その結果、当社グループの成長が加速するような効果が見込める企業には、積極的にアプローチをしていく考えです。
これらのM&Aによる収益寄与については、本中期経営計画の業績数値には含まれていませんが、経営計画の変更が必要となった場合には、十分に検討の上、変更をして参ります。
(5)会社の対処すべき課題
① コーポレート・ガバナンスの充実
当社では、様々なステークホルダーからの信頼を高め、企業価値を向上させていくためには、適切なグループ経営を可能にする、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。そこで当社では、常勤取締役4名がグループ内の各企業4社をそれぞれ担当し、経営会議、リスクマネジメント委員会等において、情報共有を行っております。これらの情報に基づき、取締役会においては、様々な決定を行っておりますが、このような管理体制が機能していることについて、独立役員3名(社外取締役監査等委員)を選任して客観的かつ中立的な視点から経営監視を依頼しております。今後は各担当役員の活動について、社外役員への報告、情報提供を、より一層充実させ、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めてまいります。今後も、持株会社として、グループ各社のコーポレート・ガバナンスを徹底し、連結経営の基盤強化、企業体質の健全性を高めてまいります。
② 財務基盤の強化
当社グループは、長年に渡る事業赤字の計上、過年度決算訂正及び内部管理体制強化に係るコストなどが嵩んだことなどにより、2023年3月末における連結純資産は620百万円まで棄損しております。今期は、経営体制の充実や全体の販売管理費の削減を行い、まずは営業利益の黒字転換を確実なものにするべく、収益体制を強化しております。また、中期経営計画を発表し、今後3年間の収益計画を内外に示すことで、収益実現の具体的な戦略を明らかにしております。これらの事業活動に加え、今後の財務基盤の強化には、さらなる資金調達・M&Aが必要となると考えられます。当社をとりまく事業環境等を見据えながら、これらの経営戦略を実行してまいります。
③ コスト管理の徹底
原材料価格の高騰が進む中で、コスト管理の徹底は、足下の経営課題として極めて重要な課題となっております。当社グループでは、パートナー企業との連携を深め、原材料・人員の確保を進めるとともに、見積もりから工事、完成にいたるまでの案件ごとのコスト管理について、社内システムの活用による徹底を行って参ります。
④ 人材の確保・育成
業績の回復、業容の拡大及び経営体質の強化を図っていく上で、優秀な人材の確保・育成は極めて重要なものと認識しております。そこで、当社グループは、社員のスキル育成のための効果的な仕組みを構築するとともに、省エネルギーシステム、設備構築に関する資格保有者、またはこれらを確実にマネジメントし、技術的な問題等を理解し、解決できる人材については積極的に確保を図ってまいります。
⑤ 事業環境の変化への対処
当社グループでは、今後の収益安定化及び成長性確保のためには、金利上昇・不動産価格の激しい変動などの事業環境の変化に対処する安定収益の確保と対応能力の強化が必要だと認識しております。
これらの実現のために、付加価値の向上と他社との差別化、事業ポートフォリオの多様化が必要となっており、当社の保有する省エネルギー・再生可能エネルギー関連のノウハウをそのために応用し、パートナー企業との連携をより深めてまいります。
(6)買収防衛策について
該当事項はありません。
当社は、「環境・衛生ソリューションの提供を通じて社会に貢献すること」を経営目標として、事業活動を行っております。具体的には、「温暖化ガスの削減」「災害に強い社会の構築」「衛生的な社会の実現」を目指しており、当社の営業活動・事業活動そのものが、持続可能な社会の構築に貢献するものと考えております。
当社では、上記経営目標に沿った経営が、適切に行われているかどうかを、監査等委員会が取締役会において、チェックし、評価をしております。
当社はこれまで、「エネマネ事業者」として、多くのクライアントに対し、省エネルギー対策をアドバイスして参りましたが、近時、単にコスト面だけでなく、温暖化ガスの排出量削減そのものに対する需要が増加し、当社においても、より質の高い提案を目指し、営業活動をしております。
クライアントの環境への意識が大きく高まる中、当社が行う提案・事業及び活動が、持続可能な社会の実現にどのように寄与するか、また、どのような社内活動が必要かを議論するため、昨年7月、SDGs委員会を設立いたしました。初年度に当たる2023年3月期においては、役職員の中からSDGsの活動について中心となると思われる人員を選抜し、社内講師を中心として、SDGsに関する見識を高める為の研修を行って参りました。
また、新たに※PPA事業に投資を行い太陽光発電によるエネルギーの有効利用に寄与する取り組みを行っております。
今後は、当社の事業計画の中で、社内外における活動を推進して参ります。
※「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略で、施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有、管理を行う会社(PPA事業者)が設置した太陽光発電システムで発電された電力をその施設の電力使用者へ有償提供する仕組みです。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
企業経営において、従来型の株主資本主義経済から、サステナビリティを重視した資本主義経済への移行に対応するための取り組みとして組織の人的資本全体を、社会のサステナビリティを重視した方向に変化させるために担い手となる「サステナビリティ人材」を人の成功や成長だけを目指すのではなく、現在と将来の人を含む地球という存在そのものの豊かさを目指して行動し現在の人の世界での経済的な成功ではなく、より大きな生命の世界の担い手となり、数十年後の未来を想像できるサステナビリティ人材の育成を目指します。
当社では、毎月1度、担当取締役、幹部職員、弁護士によるリスク管理委員会を開催し、案件ごとの事業リスク、温暖化ガス削減提案における精査を行っております。また当該委員会から抽出されたリスクについては、必要なものは、取締役会及び監査等委員会でその対処方法の検討及びモニタリングを行っております。
今期における当社事業の中で、クライアントへの省エネ・衛生管理・災害対策の提案による売上は、7億50百万円を予定しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社では継続してSDGs委員会における社内研修を継続し、研修参加人員(前期3名)を、新たに3名追加し、社内の人材育成に努めてまいります。
取り組みの成果を測るための指標として、具体的に目に見えて成果の示せるものとして地球環境に貢献できた製品、DXの活用、離職率、男女格差是正等を推進していき、サステナビリティを意識できる人材を育成していきます。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、投資判断は以下の特別記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があります。また、以下の記載は投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありませんのでご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境によるリスク
①法的規制について
当社グループが施工業務を行うにあたり、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによる適正な施工品質の維持や発注者の保護等を定めた建設業法の規制を受けております。建設業法第3条第1項の規定により建設工事の種類ごとの許可制となっているため、当社グループは以下に記載する特定建設業許可を取得しております。
当社グループの主要な事業活動の継続には下記許可が必要ですが、現時点において、当社は建設業法第8条、第28条及び第29条に定められる免許の取消(当社の役員が禁固以上の刑に処せられ、あるいは傷害、脅迫、背任等の罪により罰金の刑に処されたとき等)、営業停止(請負契約に関し不誠実な行為をしたとき等)又は更新欠格(免許の取消事由に該当する場合及び許可の有効期限までに更新を行わなかった場合等)事由に該当する事実はないと認識しており、また、現時点において、それらについての具体的なリスクが顕在化する見通しはありません。しかしながら、当社では、これらの潜在的リスクに対応する為の人材教育と確保は、重要な施策であると考えております。その為、当社では、今後展開する事業の提携先様等による、有資格者を含む人材のご紹介や、社内勉強会などについて、積極化して参ります。こういった施策にも関わらず、将来、許可の取消し等の事由が生じた場合、当社グループの事業遂行に支障をきたし、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは施工業務に係る経営資源を当社の100%子会社である株式会社省電舎に集約し、事業を推進してまいります。このため、株式会社省電舎で新たに電気工事業、管工事業、土木工事業他さまざまな工事業に係る建設業許可を取得しております。
当社グループであるイエローキャピタルオーケストラ社においては、その主たる事業を行うに当たり、「宅地建物取引業法」の許認可を受けております。今後、宅地建物取引業法、及び関連法令の改廃、及び新たな法的規制が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記許認可には、原則として有効期間があり、当社グループとしては、現時点では許認可の取消しまたは更新拒否の事由に該当する事実はなく、具体的なリスクが顕在化する見通しはありません。今後もその円滑な更新に努めて参りますが、将来、なんらかの理由で当該許認可等が取り消され、又はそれらの更新が認められない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社では、これらの潜在的リスクに対して、同業他社との業務提携等や、有資格者の人材の確保等、様々な角度から検討して参ります。
その他に不動産事業において、建物の区分所有等に関する法律等の法的規制を受けるほか、会社法、金融商品取引法、法人税法、独占禁止法など、様々な法的規制を受けており、社会情勢の変化により、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。規制の内容によっては、当社グループの業績等に影響を与える可能性がありますが、現時点においては具体的なリスクが顕在化する見通しはありません。今後もそれらの規制リスクについては、あらかじめ規制の対象に該当しないように様々な情報収集に努め対処して参ります。
②競争激化に伴うリスク
当社グループは、価格設定、取引条件などにおいて、他社との競合に晒されております。競合他社が、収益性を度外視した価格設定、取引条件を提示してきた場合、当社は商機を逸する可能性があります。また、競合他社が、当社グループより規模が大きい場合、又は資金調達コストが低い場合など、価格を抑えつつ利益を確保できる可能性があります。当社グループが、これら他社と競り合う場合、利益が減少する可能性があります。このような場合、当社グループの事業活動や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの価格リスクは、当社が主力事業を推進する上で日常的に晒されているリスクです。当社では、このような競合に勝つ最も重要な要因は、工事の品質であり、当社が得意とする省エネ提案の提案力だと考えております。お客様に対し、当初の工事コストだけでなく、将来にわたる施設運営のコストの削減を訴えることで、他社との差別化を図ってまいります。また、当初工事の利益率が低下したとしても、省エネ設備などの導入により、それをカバーするような営業展開をして参ります。
③国内の住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの業績は、国内における住宅市場の動向に大きく依存しております。国内の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動、木材等の資材価格の変動による建築コストの変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況やコスト構造を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。個人の住宅需要に影響する住宅ローンの金利は、足下ですでに上昇傾向にあります。また、区分所有マンションの価格も長らく上昇し続けており、これらのリスクは、現在顕在化しております。このリスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っております。
リノベーション事業への本格的な参入による収益の拡大
不動産の仕入れについては十分な精査をするとともに、収益性を重視し、継続して機動的な事業活動を展開してまいります。しかしながら、これらの施策を講じても、想定外の市場環境の悪化や、予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの経営基盤に関するリスク
①資金調達に伴うリスク
当社グループは長期に渡って赤字を継続しており、担保として使用できる資産も保有していないため、現状、銀行を始めとする金融機関等からの借り入れによる資金調達は困難な状況であります。このため、当社は、投資家からの借入、エクイティ・ファイナンスなどによる資金調達を図っております。しかしながら、当社グループの業績回復の遅れ、経済情勢の変動などの要因により、資金調達が困難となった場合、又は、通常より著しく不利な条件での資金調達を余儀なくされた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、今期営業利益の黒字化を最優先の経営課題であると考えており、投資家へのご説明と同時に資金調達を図っておりますが、今期も前期と同程度以上の赤字となり、その後の見通しについても業績回復の兆しが見られない場合には、資金調達に悪影響を及ぼすと考えております。従いまして、今期業績の向上が、当該リスクへの最大の対処法と考えております。
②財務基盤が脆弱であることによるリスク
当社グループの当連結会計年度末における純資産は620百万円となっており、財務基盤が脆弱な状況となっております。当社は、省エネルギー設備の導入に関連する企画・設計・販売・施工ならびにコンサルティングをコアな業務とする事業展開、低コスト体制の確立などにより業績の回復に注力する一方で、エクイティ・ファイナンスによる資本増強も検討しておりますが、これらの取り組みに遅れが生じた場合、あるいは実現しなかった場合、当社は債務超過となり、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの顕在化は、前項①と連携しております。
(3)その他のリスク
①役職員の不正によるリスク
当社グループは、役職員に対するコンプライアンスマインドの徹底、内部管理体制の整備を通じ、役職員による不正の探知、又は事前防止に努めておりますが、これによっても防げない不正、予測し得ない不正等によって当社グループに著しい損害が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、現時点では過去の開示済みの事項以外にはそのようなリスクは顕在化しておりませんが、そのようなことが起こらないように役職員向けの社内研修などに力を入れて参ります。
②情報漏えいによるリスク
当社グループは、大量の機密情報、顧客情報を取り扱っており、これらの情報漏えいを防止することは重要な経営課題であると認識しております。
しかしながら、機密情報、顧客情報等の漏えいが生じ、損害賠償請求や監督官庁による行政処分等を受けた場合には、損害賠償額の支払や対応コスト等の発生、あるいは、顧客、取引先、株主等からの信用が低下することなどによって、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、多くの個人情報を直接保有することはありませんが、企業情報等については機密的情報を保有しております。これらについて、当社では主に電磁的方法によって保管がされておりますが、近時、他社においてはこれら電磁的情報に対するハッキングなどの情報流出事例が増加し、当社においても、情報漏えいによるリスクは高まっております。このような状況を受け、当社では、電子メールなどの取扱いについて、社員向け説明会を行って参りましたが、今後も、定期的に、社員教育を行うなど、必要な措置を講じて参ります。
③小規模組織であることによるリスク
当社グループは2023年11月30日現在、役員7名(監査等委員でない取締役4名、監査等委員である社外取締役3名)、従業員16名の小規模組織であり、内部管理体制も現在の組織規模に応じたものとなっております。当社グループは、今後の事業の拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努める方針でありますが、当社グループが必要な人員が確保できない場合や内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、当社グループの業務遂行及び事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、前期末から今期6月頃にかけ、管理部門を含め、人員が減少致しました。この減少による不足の一定分を補うため、外注先の選定または新規採用の動きを、これまで進めて参りました。現時点では、その不足は解消されましたが、今後も必要に応じて、体制の強化を行って参ります。また、一方で事業の拡大に向けて組織体制を拡充することは、固定費の増加につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④人的資源が確保できないことによるリスク
当社グループでは、省エネルギー関連事業を展開していくうえで人材が最も重要な経営資源であると考えており、優秀な人材を確保、育成していくことを重視しております。採用した人材が知識と経験を身に付け、これら事業における総合的な提案を実践可能になるには、教育期間が必要であります。
当社グループとしては今後の事業の拡大のため優秀な人材を確保していく方針でありますが、当社グループが求める人材が確保できない場合、または、当社グループから人材が流出するような場合には、当社グループの業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。
現時点では、事業の拡大を進めるに当たり、最低限度の人員は確保できており、必要なスキルの保有者などは、提携先からのご紹介などで契約をしております。しかしながら、今後、再生可能エネルギー関連事業の市場はさらに拡大することが考えられ、来年以降も、人員の確保が年々、困難になると考えられます。一方、当社では、ここ2年間、経営陣の平均年齢が下がるなど、高齢化への対応をして参りましたが、今後は、社員・幹部社員についても、より若年層の採用を検討し、社内教育を進められるような体制を検討して参ります。
⑤新型コロナウイルス等、感染拡大によるリスク
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に悪影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。
特に今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスに関しては、代表取締役社長を本部長とする新型コロナウイルス感染対策本部を設置し、以後、「在宅勤務、出張禁止、毎日の検温など、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底」、「マスク、消毒液等の確保」、「感染者が発生した場合のBCP対策」などの施策を通じ、新型コロナウイルスの影響の極小化を図っております。
現時点では、当該リスクが減少しておりますが、引き続き、対応を継続していく方針であります。
⑥リスク管理が十分に機能しないリスク
当社グループは、リスク管理の強化に取り組んでおりますが、当社グループが新しい分野へ事業進出した場合、既存事業が急速に拡大した場合、又は外部要因の急速な変化が生じた場合等の要因によりリスク管理が十分に機能しない可能性があります。この場合、当社の事業活動や財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このような事業拡大に伴う管理体制の強化については、SDSホールディングスにおいて、関連会社管理の専門部署を設置するなど、対応を検討して参ります。
(4)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、前連結会計年度以前から継続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、損失が継続することで資金繰りに懸念が生じる可能性があります。2024年3月期第2四半期連結累計期間の業績においては、営業利益39,434千円、経常利益1,788千円と前期より改善されましたが、親会社株主に帰属する四半期純損失3,021千円を計上しております。当該状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは、上記の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況を解消するために、以下の対応策を講じ、当該状況の解消又は改善に努めてまいります。
①営業利益及びキャッシュ・フローの確保
前連結会計年度に引き続き、各案件の精査を行い、継続的に原価の低減を図り、利益率の向上を進めてまいります。また、商業施設、食品関連設備などへの省エネルギー提案によるクライアント開発を積極的に進め、安定的な売上・利益を確保する体制の構築を進めてまいります。
また、前期より進出したリノベーション事業においては、利益の出せる体制となっており更にその拡大に努めます。
②案件精査、利益率確保のための体制
当社グループでは、営業管理・予実管理の実効性を上げるため、営業会議を毎週行い、予算の実行とコンプライアンスの向上に努めております。営業会議での課題・成果などは経営会議で報告され、タイムリーな対応策の検討、情報の共有化を行うことにより、案件の精査や解決策を着実に決定・実行してまいります。
③諸経費の削減
随時、販売費及び一般管理費を見直し、販売費及び一般管理費の削減を推進し、利益確保に努めてまいります。
④資金調達
財務体質改善のために、将来的な増資の可能性も考慮しつつ、借入金を含めた資金調達の協議を進めております。
しかしながら、これらの対応策を講じても、業績及び資金面での改善を図る上で重要な要素となる売上高及び営業利益の確保は外部要因に大きく依存することになるため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、当社グループの2024年3月期第2四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を2024年3月期第2四半期連結財務諸表に反映しておりません。
最近連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1.(業績等の概要)
文中における将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の国内経済は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気は、緩やかに持ち直す中、原材料価格、エネルギー価格の高騰等の影響もあり厳しい状況となりました。
このような状況の中、当社は「私たちを取り巻く脅威に対処し、遠い未来・近い将来・今の社会に貢献する」ことを経営理念として活動して参りました。地球温暖化・災害・衛生リスクという3つの脅威に対し、省エネルギー設備の導入、その他施設改修等のソリューションに加え、当期からはリノベーション事業を開始し、グループをあげて受注活動を行って参りました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、3,402百万円(前連結会計年度比2,367百万円増)となりました。損益に関しましては、販売費及び一般管理費が787百万円(前連結会計年度比353百万円増)となり、営業損失155百万円(前連結会計年度 営業損失260百万円)、経常損失210百万円(前連結会計年度 経常損失298百万円)となりました。純損益に関しましては、主に、前期より行っていた新規事業でのライセンス料等支出額について今後の回収可能性を鑑みて事業整理損失引当金繰入額75百万円を特別損失に計上したことと当連結会計年度より連結子会社となった株式会社イエローキャピタルオーケストラでは課税所得が見込めることから、繰延税金資産の計上により法人税等調整額として10百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失296百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失333百万円)となりました。
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「3.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、当社グループの事業はこれまで単一セグメントとしておりましたが、当連結会計年度より「省エネルギー関連事業」と「リノベーション事業」の2区分に変更しております。そのため「リノベーション事業」における売上高及び営業利益の前年同期との比較・分析を行っておりません。
セグメントの業績については、次のとおりであります。
(省エネルギー関連事業)
省エネルギー関連事業におきましては、省エネルギー事業の推進により、顧客企業にエネルギー・ソリューション・サービスの提供を行っております。また省エネルギー関連における設備導入、企画、設計、販売、施工及びコンサルティング業務を行っております。
当連結会計年度における業績は、売上高702百万円(前年同期比332百万円減)、セグメント損失(営業損失)は246百万円(前年同期 セグメント損失 260百万円)となりました。
(リノベーション事業)
リノベーション事業におきましては、リノベーション及びリノベーション後の物件販売、資産運用に関するコンサルティング、宅地建物取引業、不動産の分譲、売買、賃貸及び管理並びにそれらの仲介及びコンサルティングを行っております。当期連結会計年度における業績は、売上高2,699百万円、セグメント利益は93百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して87百万円減少し、381百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは717百万円の支出となりました。これは主に、資金の減少要因として、税金等調整前当期純損失281百万円の計上、たな卸資産の増加586百万円、仕入債務の減少63百万円、資金の増加要因としては、売上債権の減少163百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは657百万円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出465百万円と、子会社株式の取得による支出180百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,287百万円の収入となりました。これは主に、借入金による収入3,382百万円と借入金の返済による支出2,298百万円によるものであります。
当社グループの業態は、生産活動を行っておりませんので、記載を省略いたします。
当連結会計年度における受注状況を事業内容ごとに示すと次のとおりであります。
(注)受注高については、大型案件の施工工事の受注がなかった為、大幅に減少しております。
当連結会計年度における販売実績を事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.省エネルギー関連事業の販売高については、大型案件の施工工事の受注がなかった為、大幅に減少しております。リノベーション事業については、当連結会計年度より、株式会社イエローキャピタルオーケストラを連結子会社としたことにより新たな報告セグメントとしております。このため、前年同期比の記載を行っておりません。
2.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中における将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、2,848百万円(前連結会計年度末比1,949百万円増)となりました。これは主に、新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラを受け入れたことによる販売用不動産2,110百万円が増加したこと等によるものであります。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、1,607百万円(前連結会計年度末比1,585百万円増)となりました。これは主に、新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラを受け入れたことによる建物553百万円の増加、土地814百万円の増加等によるものであります。
③流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、2,481百万円(前連結会計年度末比2,209百万円増)となりました。これは主に、新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラを受け入れたことによる短期借入金の増加2,021百万円と1年内返済予定の長期借入金136百万円の増加等によるものであります。
④固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、1,353百万円(前連結会計年度末比1,300百万円増)となりました。これは主に、新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラを受け入れたことによる長期借入金の増加1,235百万円等によるものであります。
⑤純資産
当連結会計年度末における純資産は、620百万円(前連結会計年度末比24百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失296百万円を計上したことと新株予約権の行使による新株発行で222百万円の資本金等の増加によるものであります。
(3) 経営成績の分析
① 売上高及び売上総利益
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績」に記載したとおりであります。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は 787百万円(前年同期比353百万円増)となりました。これは主に新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラを受け入れたことによるものであります。
③ 営業利益
当連結会計年度における営業損失は 155百万円(前年同期 260百万円の営業損失)となりました。これは新規連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラのリノベーション事業が大きく利益に寄与したものの既存の省エネルギー関連事業が受注競合等で粗利率が下がってしまったため営業損失となっております。
④ 経常利益
当連結会計年度における経常損失は 210百万円(前年同期 298百万円の経常損失)となりました。これは借入金の支払利息58百万円の計上等によるものであります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は296百万円(前年同期 333百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは主に経常損失の計上と新規事業のライセンス料等を事業整理損失引当金繰入額として75百万円の特別損失の計上等によるものであります。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、381百万円(前年同期比 87百万円減)となりました。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「脅威に立ち向かい、社会に貢献する」ことを重点テーマに、地球温暖化、災害、衛生リスクという3つの脅威に対するソリューションを、社会に提供することを基本方針としております。
2050 年のカーボンニュートラルという政府目標の実現、異常気象や震災など非常事態に対する対応の需要増大、新型コロナ感染症拡大による衛生需要の急増、などを背景に、当社グループが推進する事業には、中期的な成長が見込まれます。
その一方で、現状では、原材料の供給制限や価格高騰などの事業環境の変化が、業績回復の妨げとなっており、このような状況への対処が急がれています。そうした中、当社グループでは、これらの環境変化に対し、自助努力による業績回復が困難な体質を改革するため、受託事業や補助金関連事業への依存から脱却し、自らの力で付加価値を作り、市場を開拓することが可能な事業を、新たな柱とすることを検討して参りました。
その結果、リノベーションによる住宅販売を主要な事業とする、株式会社イエローキャピタルオーケストラをグループに加え、LED、空調設備機器、非常用電源等を活用した、省エネ・BCP 対応のコンセプト住宅等の企画・開発・販売を行うことを企図しております。
不動産事業と省エネソリューション事業の融合によるシナジー効果で、株式会社イエローキャピタルオーケストラが行う中古マンション等の不動産販売事業を、より付加価値が高いものとすると同時に、当社グループとしては、「脱炭素」をコンセプトとした、より収益規模の大きな事業の展開が可能になるものと考えております。
また当社グループは、新たに個人向けの市場へ参入することとなりますが、これまでに比べ、より幅広い市場に向けて、成長性のある事業を展開することにより、業容の拡大をはかってまいります。
現時点での2024年3月期の連結業績見通しは、次のとおりであります。
売上高 3,450百万円
営業利益 10百万円
経常利益 △60百万円
親会社株主に帰属する当期純利益 △120百万円
(注)業績予想に関しましては現時点で入手可能な情報に基づき当社にて判断したものであり、リスクや不確定要素が含まれております。そのため、様々な要因の変化により、実際の成果や業績等は記載の予測とは異なる可能性があります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資金需要
当社における資金需要は主に運転資金需要があります。運転資金需要のうち主なものは、当社の施設工事業者への材料費、外注費、労務費及び保守サービス、メンテナンスにかかわる経費であります。また、リノベーション事業では、不動産物件を購入する資金を必要としております。各事業に共通するものとしては、販売費及び一般管理費の人件費があります。これに加えて収益性の高い新規事業を行う為の投資資金を必要としております。
財務政策
当社は現在、運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当しております。不足が生じた場合は大株主様からの短期借入金で調達して運営しております。
投資に係る資金につきましては、増資により賄うこととしておりますが、必要に応じて長期借入金により資金調達を行う等、柔軟に対応することとしております。
第38期事業年度末における当社の長期借入金の残高は、1年内返済予定の長期借入金の残高を含め、ありません。
手元資金の流動性について
当社は第38期事業年度末において、22百万円の現金及び預金を保有しておりますが、これは十分な手元流動性を確保しているとはいえません。今後、必要に応じて金融機関との間で資金調達を検討するとともに、経費抑制によりキャッシュ・フロー管理を徹底し、十分な手元流動性の確保に努めてまいります。
(8) 経営者の問題意識と今後の方針
当社が今後、事業を拡大し、継続的な成長を実現するためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますとおり、PPA事業、施設ソリューション、省エネソリューション事業、HACCP事業、リノベーション事業で収益性の高い企業体質にしていくことと、さらに新たな収益の柱としての投資を積極的に行っていくことと認識しております。
それらの課題に対応するための経営者の方針として、経営者は、常に市場のニーズや内部環境並びに外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に行い、当社経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
(9) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループには、「3.事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該重要事象等を解消し、経営基盤の安定化への対応策は、「第2「事業の状況」3「事業等のリスク」(4) 継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載のとおりであります。
(10)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
中長期的には、HACCP関連事業やPPA事業及びリサイクル太陽光発電設備事業を推進し、新たな収益の柱となる事業に積極的に投資していく予定であります。
当第2四半期連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行されたことにより経済活動の正常化が進み景気は緩やかに回復しつつあります。一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行、物価の上昇、中国不動産業の債務問題や米国の金融引き締め長期化等により先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、「エネルギー・ソリューションを通じて地球環境と社会に貢献する。」という理念の下、引き続き、省エネルギー設備の導入に関連する企画・設計・販売・施工並びにコンサルティングをコアな業務として事業展開し前期よりリノベーション事業にも進出しており収益の改善に取り組んでおります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は、2,031百万円(前年同期比535百万円増)となりました。
損益に関しましては、販売費及び一般管理費が268百万円(前年同期比115百万円減)となり、営業利益39百万円(前年同期 営業損失91百万円)、経常利益1百万円(前年同期 経常損失119百万円)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は3百万円(前年同期 親会社株主に帰属する四半期純損失131百万円)となりました。
セグメントの業績については、次のとおりであります。
(省エネルギー関連事業)
省エネルギー関連事業におきましては、省エネルギー事業の推進により、顧客企業にエネルギー・ソリューション・サービスの提供を行っております。また省エネルギー関連における設備導入、企画、設計、販売、施工及びコンサルティング業務を行っております。当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高473百万円(前年同期比166百万円増)、セグメント損失(営業損失)は35百万円(前年同期 セグメント損失 132百万円)となりました。
(リノベーション事業)
リノベーション事業におきましては、リノベーション及びリノベーション後の物件販売、資産運用に関するコンサルティング、宅地建物取引業、不動産の分譲、売買、賃貸及び管理並びにそれらの仲介及びコンサルティングを行っております。当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高1,558百万円(前年同期比368百万円増)、セグメント利益は72百万円(前年同期 セグメント利益 45百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末より344百万円減少し、4,111百万円となりました。これは主に、売掛金88百万円、販売用不動産136百万円が各々増加したことと現金及び預金123百万円、建物195百万円、土地180百万円が各々減少したこと等によるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の負債は前連結会計年度末より348百万円減少し、3,486百万円となりました。これは主に、短期借入金164百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)160百万円等が減少したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間末の純資産は前連結会計年度末より4百万円増加し、624百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失3百万円を計上したことと非支配株主持分の増加7百万円によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は前連結会計年度末より97百万円減少し、284百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは265百万円の収入(前年同期は382百万円の支出)となりました。主な増加要因としましては、税金等調整前四半期純利益21百万円の計上、棚卸資産の減少275百万円、主な減少要因としては、売上債権の増加88百万円、前受金の減少39百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、37百万円の支出(前年同期は469百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出57百万円、定期預金の預入れによる支出13百万円、増加要因として定期預金の払戻による収入39百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、325百万円の支出(前年同期は781百万円の収入)となりました。これは短期借入による収入1,018百万円、長期借入による収入150百万円、短期借入金の返済による支出1,183百万円、長期借入金の返済による支出311百万円によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間において特記すべき事項はありません。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は、4名減少しております。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間においては省エネルギー関連事業およびリノベーション事業に注力しており「(1) 業績の状況」に記載のとおりであります。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因および経営戦略の現状と見通し
当社グループでは新たに2026年3月期までの3カ年の中期経営計画を策定し、2023年9月27日に公表いたしました。中期経営計画の骨子としては、省エネ・環境ソリューション事業・HACCP 関連事業、リノベーション事業、PPA事業(Power Purchase Agreement(電力販売契約))を推進していき1年目で営業利益の黒字化、2年目で経常利益の黒字化、3年目で当期純利益の黒字化(ROE5%)を目指します。
詳細は当社HPの中期経営計画の資料をご覧ください。
https://sds-hd.com/newsrelease
(9) 継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策
当社グループには、「3.事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該重要事象等を解消し、経営基盤の安定化への対応策は、「第2「事業の状況」3「事業等のリスク」(4) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。