文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の対処すべき課題
① コーポレート・ガバナンスの充実
当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーと良好な関係を築いていくためには、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。当社では、当社グループのコーポレート・ガバナンスのあり方について、独立役員3名(社外取締役監査等委員)を選任して客観的かつ中立的な視点から経営監視を依頼することなどにより、コーポレート・ガバナンスの充実を図っておりますが、社外役員への情報提供のより一層の充実を図るなど、今後も、持株会社として、グループ各社のコーポレート・ガバナンスを徹底することで、連結経営の基盤強化、企業体質の健全性を高めてまいります。
② 財務基盤の強化
当社グループは、長年に渡る事業赤字の計上により、2024年3月末における連結純資産は782百万円まで棄損しており、経営成績のみによる連結純資産の急速な回復は困難な状況であります。このため、当社グループが、業容拡大、収益力の強化を推し進めるためには、著しく減少している連結純資産の増強が喫緊の課題であり、早期に新株発行による増資を行い、連結純資産の増強を目指します。
③ 低コスト体制の徹底
企業間競争が進む中で、低コスト体制の徹底は極めて重要な課題と認識しております。当社グループでは、コスト管理に注力を続け、低コスト体制の強化に取り組んでまいります。
④ 人材の確保・育成
業績の回復、業容の拡大及び経営体質の強化を図っていく上で、優秀な人材の確保・育成は極めて重要なものと認識しております。そこで、当社グループは、社員のスキル育成のための効果的な仕組みを構築するとともに、省エネルギーシステム、設備構築を確実にマネジメントし、技術的な問題等を理解し、解決できる人材については積極的に確保を図ってまいります。
⑤ 事業基盤の強化
当社グループでは、常に進展する技術等に対応し、より幅広い顧客層を開拓するため、パートナー企業とのより強固な連携が課題となっております。特に、商材の開発及び顧客開拓においては、これまでの業務提携先、取引先等と積極的な事業協力を行ってまいります。
(2)買収防衛策について
該当事項はありません。
当社は、「環境・衛生ソリューションの提供を通じて社会に貢献すること」を経営目標として、事業活動を行っております。具体的には、「温暖化ガスの削減」「災害に強い社会の構築」「衛生的な社会の実現」を目指しており、当社の営業活動・事業活動そのものが、持続可能な社会の構築に貢献するものと考えております。
当社は、当社グループ全体のサステナビリティの取組みを、中長期的な視野で体系的に拡充し推進させていく目的から、当社取締役会の任意の諮問機関として「SDGs委員会」を設置しています。 SDGs委員会は、サステナビリティに関する自社の取組・顧客への提案等について審議し、それらの定量的効果について、クライアントの協力の下、効果測定及びメンテナンスを検討します。対処すべき課題が残る活動・案件については、社内のリスク案件を精査検討する、リスクマネジメント委員会と共同し、その対策を図り、取締役会ではSDGs委員会及びリスクマネジメント委員会からの報告を基に、サステナビリティに関する基本方針や重要事項を決定の上、社内の取組みに関する監督が適切に図られるように体制を整えています。
2023年9月に公表した、中期経営計画におきまして、今年度以降の新たな事業として、自社による太陽光発電設備の取得・運営を挙げております。当社ではこれまでも、自家消費型太陽光発電設備の構築を、事業として行って参りましたが、今後は、その実績を活かし、太陽光発電設備の運営を自社で行うとともに、同設備のセカンダリー市場に、積極的に参加することで、我が国の再生可能エネルギー市場の拡大及び脱炭素社会の実現に、寄与したいと考えております。
また当社グループでは、前々期からグループ化しております連結子会社において、リノベーション事業を行っております。当該事業は、個人の住宅需要における、既存住宅の再活用を進め、サステナブルな社会の構築に貢献して参ります。今後は、リノベーションの資材などの選別においても、より持続可能な社会の実現に貢献するものを意識し、事業展開をしてまいりたいと考えています。
これらの事業の他にも、当社は創業来、省エネ事業の草分け的存在として、長年にわたり、省エネ・脱炭素に有効な事業を展開して参りました。今後も、独立系企業の強みを生かし、常に省エネ・温室効果ガス排出量の削減に効果的な商材を開発し、クライアントに提供して参ります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
外部環境の変化に対応しながら企業価値を高めていくには、多様な価値観を持った人材の確保と成長できる機会が重要であると考え、研修プログラムや制度の充実を推進し、当社グループの持続的成長を支える人財の育成を目指します。
これまでも、eラーニングによるコンプライアンス研修の実施や、社員が希望する資格取得への支援を行って参りましたが、今後はより幅広い分野で、人材の育成につながる研修を行って参ります。
当社グループにとって、社員が働きやすい環境を整えることは、重要な課題です。ジェンダー差別や児童労働に反対の意思を明確に示し、すべての社員が平等で多様性を活かせるよう、仕事もプライベートも充実した時間が過ごせる環境の整備に取り組み、誰もが安全・安心・健康に働ける環境づくりに努め、多様な人材が個性と能力を最大限に発揮できる職場環境を目指します。
当社グループでは男女の区別なく、営業・企画・管理と、多領域で女性が活躍しています。また、キャリア志向や環境の変化を踏まえ、女性の活躍推進を図っています。現在、当社グループの女性管理職の割合はまだまだ少ないですが、事業環境や職場環境の改善に取り組み、能力に応じて性別にかかわらず管理職登用を進めてまいります。
当社は、「人権尊重に関するポリシー」を制定しています。「ビジネスと人権に関する指導原則」の理念に賛同し、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」等の人権に関する国際規範ならびに国内の関連法令などをふまえて、役職員、取引先、地域コミュニティ等の全ステークホルダーに対して人権を尊重した事業活動を推進してまいります。
当社では、当社および子会社において生じうるリスクの発生防止に係る管理体制の整備、発生したリスクの対応等(以下「リスク管理」という。)を行うことにより、業務の円滑な運営に資することを目的として「リスク管理規程」を定めております。この規定に基づいて外部の有識者(弁護士)を委員長、とするリスクマネジメント委員会を設置しリスク全般を可視化し、予防と発生時における対応の整備を図ることによりリスク管理を行っております。サステナビリティを含むリスク関連の主な課題についてはリスクマネジメント委員会にて報告・議論がなされ、このうち重要なものについては取締役会に報告するプロセスとなっております。
当社グループは、2050年のカーボンニュートラル宣言に賛同し、CO2排出量削減目標についてグループ全体で省エネルギー関連事業拡大の目標を掲げております。
<今後の取組み>
省エネ・衛生管理・災害対策の提案として以下の取組みを予定しています。
・PPA事業(※)の推進
・全国の商業施設等における電力使用によるCO2排出量削減のため、太陽光パネルの追加設置など再生可能エネルギーの有効活用
・商業施設等おける照明のLED化、空調設備の入替、医薬品保冷庫の入替など省エネ設備への切替
(※) PPA(Power Purchase Agreement)モデルとは、電力を使用する需要家が提供する屋根や敷地に、PPA事業者が太陽光発電システムなどを無償で設置・運用し、需要家自身が発電した電気を購入して、その使用料をPPA事業者に支払うビジネスモデル
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
当社グループでは、人材戦略について、次の指標を用いております。当該指標及び実績は、次のとおりであります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、投資判断は以下の特別記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があります。また、以下の記載は投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありませんのでご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境によるリスク
①法的規制について
当社グループが施工業務を行うにあたり、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによる適正な施工品質の維持や発注者の保護等を定めた建設業法の規制を受けております。建設業法第3条第1項の規定により建設工事の種類ごとの許可制となっているため、当社グループは以下に記載する特定建設業許可を取得しております。
当社グループの主要な事業活動の継続には下記許可が必要ですが、現時点において、当社は建設業法第8条、第28条及び第29条に定められる免許の取消(当社の役員が禁固以上の刑に処せられ、あるいは傷害、脅迫、背任等の罪により罰金の刑に処されたとき等)、営業停止(請負契約に関し不誠実な行為をしたとき等)又は更新欠格(免許の取消事由に該当する場合及び許可の有効期限までに更新を行わなかった場合等)事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来、許可の取消し等の事由が生じた場合、当社グループの事業遂行に支障をきたし、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは施工業務に係る経営資源を当社の100%子会社である株式会社省電舎に集約し、事業を推進してまいります。このため、株式会社省電舎で新たに電気工事業、管工事業、土木工事業他さまざまな工事業に係る建設業許可を取得しております。
当社グループであるイエローキャピタルオーケストラ社においては、その主たる事業を行うに当たり、「宅地建物取引業法」の許認可を受けております。今後、宅地建物取引業法、及び関連法令の改廃、及び新たな法的規制が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記許認可には、原則として有効期間があり、当社グループとしては、現時点では許認可の取消しまたは更新拒否の事由に該当する事実はなく、今後もその円滑な更新に努めて参りますが、将来、なんらかの理由で当該許認可等が取り消され、又はそれらの更新が認められない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その他に不動産事業において、建物の区分所有等に関する法律等の法的規制を受けるほか、会社法、金融商品取引法、法人税法、独占禁止法など、様々な法的規制を受けており、社会情勢の変化により、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
②競争激化に伴うリスク
当社グループは、価格設定、取引条件などにおいて、他社との競合に晒されております。競合他社が、収益性を度外視した価格設定、取引条件を提示してきた場合、当社は商機を逸する可能性があります。また、競合他社が、当社グループより規模が大きい場合、又は資金調達コストが低い場合など、価格を抑えつつ利益を確保できる可能性があります。当社グループが、これら他社と競り合う場合、利益が減少する可能性があります。このような場合、当社グループの事業活動や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③国内の住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの業績は、国内における住宅市場の動向に大きく依存しております。国内の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動、木材等の資材価格の変動による建築コストの変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況やコスト構造を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っております。
リノベーション事業への本格的な参入による収益の拡大
不動産の仕入れについては十分な精査をするとともに、収益性を重視し、継続して機動的な事業活動を展開してまいります。しかしながら、これらの施策を講じても、想定外の市場環境の悪化や、予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの経営基盤に関するリスク
①資金調達に伴うリスク
当社グループは長期に渡って赤字を継続しており、担保として使用できる資産も保有していないため、現状、銀行を始めとする金融機関等からの借り入れによる資金調達は困難な状況であります。このため、当社は、投資家からの借入、エクイティ・ファイナンスなどによる資金調達を図っております。しかしながら、当社グループの業績回復の遅れ、経済情勢の変動などの要因により、資金調達が困難となった場合、又は、通常より著しく不利な条件での資金調達を余儀なくされた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
②財務基盤が脆弱であることによるリスク
当社グループの当連結会計年度末における純資産は782百万円となっており、財務基盤が脆弱な状況となっております。当社は、省エネルギー設備の導入に関連する企画・設計・販売・施工ならびにコンサルティングをコアな業務とする事業展開、低コスト体制の確立などにより業績の回復に注力する一方で、エクイティ・ファイナンスによる資本増強も検討しておりますが、これらの取り組みに遅れが生じた場合、あるいは実現しなかった場合、当社は債務超過となり、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
①役職員の不正によるリスク
当社グループは、役職員に対するコンプライアンスマインドの徹底、内部管理体制の整備を通じ、役職員による不正の探知、又は事前防止に努めておりますが、これによっても防げない不正、予測し得ない不正等によって当社グループに著しい損害が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
②情報漏えいによるリスク
当社グループは、大量の機密情報、顧客情報を取り扱っており、これらの情報漏えいを防止することは重要な経営課題であると認識しております。
しかしながら、機密情報、顧客情報等の漏えいが生じ、損害賠償請求や監督官庁による行政処分等を受けた場合には、損害賠償額の支払や対応コスト等の発生、あるいは、顧客、取引先、株主等からの信用が低下することなどによって、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③小規模組織であることによるリスク
当社グループは2024年3月31日現在、役員7名(監査等委員でない取締役4名、監査等委員である社外取締役3名)、従業員18名の小規模組織であり、内部管理体制も現在の組織規模に応じたものとなっております。当社グループは、今後の事業の拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努める方針でありますが、当社グループが必要な人員が確保できない場合や内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、当社グループの業務遂行及び事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。また、一方で事業の拡大に向けて組織体制を拡充することは、固定費の増加につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④人的資源が確保できないことによるリスク
当社グループでは、省エネルギー関連事業を展開していくうえで人材が最も重要な経営資源であると考えており、優秀な人材を確保、育成していくことを重視しております。採用した人材が知識と経験を身に付け、これら事業における総合的な提案を実践可能になるには、教育期間が必要であります。
当社グループとしては今後の事業の拡大のため優秀な人材を確保していく方針でありますが、当社グループが求める人材が確保できない場合、または、当社グループから人材が流出するような場合には、当社グループの業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤新型コロナウイルス等、感染拡大によるリスク
当社グループの従業員に新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に悪影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。
特に今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスに関しては、代表取締役社長を本部長とする新型コロナウイルス感染対策本部を設置し、以後、「在宅勤務、出張禁止、毎日の検温など、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底」、「マスク、消毒液等の確保」、「感染者が発生した場合のBCP対策」などの施策を通じ、新型コロナウイルスの影響の極小化を図っております。
⑥リスク管理が十分に機能しないリスク
当社グループは、リスク管理の強化に取り組んでおりますが、当社グループが新しい分野へ事業進出した場合、既存事業が急速に拡大した場合、又は外部要因の急速な変化が生じた場合等の要因によりリスク管理が十分に機能しない可能性があります。この場合、当社の事業活動や財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、前連結会計年度以前から継続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、損失が継続することで資金繰りに懸念が生じる可能性があります。当連結会計年度の業績においては、営業利益は25,661千円と前期より改善されましたが、経常損失51,085千円、親会社株主に帰属する当期純損失105,390千円を計上しております。当該状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは、上記の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況を解消するために、以下の対応策を講じ、当該状況の解消又は改善に努めてまいります。
①営業利益及びキャッシュ・フローの確保
前連結会計年度に引き続き、各案件の精査を行い、継続的に原価の低減を図り、利益率の向上を進めてまいります。また、商業施設、食品関連設備などへの省エネルギー提案によるクライアント開発を積極的に進め、安定的な売上・利益を確保する体制の構築を進めてまいります。また、前期より進出したリノベーション事業においては、利益の出せる体制となっており更にその拡大に努めます。
②案件精査、利益率確保のための体制
当社グループでは、営業管理・予実管理の実効性を上げるため、営業会議を毎週行い、予算の実行とコンプライアンスの向上に努めております。営業会議での課題・成果などは経営会議で報告され、タイムリーな対応策の検討、情報の共有化を行うことにより、案件の精査や解決策を着実に決定・実行してまいります。
③諸経費の削減
随時、販売費及び一般管理費の見直しを実施し、販売費及び一般管理費の削減を推進し、利益確保に努めてまいります。
④資金調達
2023年12月28日に発行した第9回新株予約権の行使が2024年1月~2024年3月に行われ249,700千円を調達いたしました。今後、全てが行使された場合には204,300千円を調達できる見込みでおります。今後も、財務体質改善のために、将来的な増資の可能性も考慮しつつ、借入金を含めた資金調達の協議を進めております。
⑤事業領域拡大
前連結会計年度より開始したリノベーション事業、今後需要が高まるPPA(※)事業を開始することで事業基盤の確保と収益基盤の獲得を図っております。
(※) PPA(Power Purchase Agreement)モデルとは、電力を使用する需要家が提供する屋根や敷地に、PPA事業者が太陽光発電システムなどを無償で設置・運用し、需要家自身が発電した電気を購入して、その使用料をPPA事業者に支払うビジネスモデル
しかしながら、これらの対応策を講じても、業績及び資金面での改善を図る上で重要な要素となる売上高及び営業利益の確保は外部要因に大きく依存することになるため、また、新株予約権による資金調達は行使が約束されているものではないため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、当社グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたことで経済活動が正常化に向かう一方、東欧・ロシアや中東地域をめぐる世界情勢の不安、国内における円安基調の長期化など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社は「私たちを取り巻く脅威に対処し、遠い未来・近い将来・今の社会に貢献する」ことを経営理念として活動して参りました。地球温暖化・災害・衛生リスクという3つの脅威に対し、省エネルギー設備の導入、その他施設改修等のソリューションに加え、リノベーション事業に進出し、グループをあげて受注活動を行って参りました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、4,135百万円(前連結会計年度比733百万円増)となりました。損益に関しましては、販売費及び一般管理費が522百万円(前連結会計年度比265百万円減)となり、営業利益25百万円(前連結会計年度 営業損失155百万円)、経常損失51百万円(前連結会計年度 経常損失210百万円)となりました。純損益に関しましては、主に、不正会計時の経営陣等との和解により特別利益として受取和解金20百万円の計上と前期以前より行っていた省エネルギー関連事業での施設工事の導入設備が当初想定していた効果が得られないものとなったため、この事業を協議の上清算し事業撤退損として特別損失35百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失105百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失296百万円)となりました。
セグメントの業績については、次のとおりであります。
(省エネルギー関連事業)
省エネルギー関連事業におきましては、省エネルギー事業の推進により、顧客企業にエネルギー・ソリューション・サービスの提供を行っております。また省エネルギー関連における設備導入、企画、設計、販売、施工及びコンサルティング業務を行っております。
当連結会計年度における業績は、売上高890百万円(前年同期比188百万円増)、セグメント損失(営業損失)は113百万円(前年同期 セグメント損失 246百万円)となりました。
(リノベーション事業)
リノベーション事業におきましては、リノベーション及びリノベーション後の物件販売、資産運用に関するコンサルティング、宅地建物取引業、不動産の分譲、売買、賃貸及び管理並びにそれらの仲介及びコンサルティングを行っております。当連結会計年度における業績は、売上高3,245百万円(前年同期比545百万円増)、セグメント利益は136百万円(前年同期 セグメント利益 93百万円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して221百万円増加し、602百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは924百万円の収入となりました。これは主に、資金の増加要因として、たな卸資産の減少861百万円、売上債権の減少59百万円、資金の減少要因としては、税金等調整前当期純損失の計上66百万円、仕入債務の減少56百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは150百万円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出148百万円と、投資有価証券の取得による支出7百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは552百万円の支出となりました。これは主に、借入金による収入2,490百万円と借入金の返済による支出3,286百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入239百万円によるものであります。
当社グループの業態は、生産活動を行っておりませんので、記載を省略いたします。
当連結会計年度における受注状況を事業内容ごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績を事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、2,509百万円(前連結会計年度末比339百万円減)となりました。これは主に、販売用不動産の減少424百万円、売掛金の減少59百万円、現金及び預金の増加217百万円等によるものであります。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、1,281百万円(前連結会計年度末比326百万円減)となりました。これは主に、建物185百万円の減少、土地136百万円の減少等によるものであります。
③流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、1,778百万円(前連結会計年度末比703百万円減)となりました。これは主に、短期借入金の減少643百万円と1年内返済予定の長期借入金12百万円の減少、未払金の減少65百万円等によるものであります。
④固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、1,228百万円(前連結会計年度末比125百万円減)となりました。これは主に、長期借入金の減少139百万円、長期未払金の増加22百万円等によるものであります。
⑤純資産
当連結会計年度末における純資産は、782百万円(前連結会計年度末比162百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失105百万円を計上したことと新株予約権の行使による新株発行で251百万円の資本金等の増加によるものであります。
(3) 経営成績の分析
① 売上高及び売上総利益
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 業績」に記載したとおりであります。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は 522百万円(前年同期比265百万円減)となりました。これは主に体制の見直しによる人員削減や営業経費等のコストカットを進めたためであります。
③ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は 25百万円(前年同期 155百万円の営業損失)となりました。これは連結子会社とした株式会社イエローキャピタルオーケストラのリノベーション事業が大きく利益に寄与したためであります。
④ 経常利益
当連結会計年度における経常損失は 51百万円(前年同期 210百万円の経常損失)となりました。これは借入金の支払利息70百万円の計上等によるものであります。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は105百万円(前年同期 296百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは主に経常損失の計上と不正会計時の経営陣等との和解により特別利益として受取和解金20百万円の計上と前期以前より行っていた省エネルギー関連事業での施設工事で導入設備が当初想定していた効果が得られないものとなったため、この事業を協議の上清算し事業撤退損として特別損失35百万円を計上したこと等によるものであります。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、602百万円(前年同期比 221百万円増)となりました。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、環境・衛生ソリューションの提供を通じて、社会に貢献することを、経営の目標としております。特に、温暖化ガスの削減、災害への備え、衛生的な社会の実現、という3つの脅威に対するソリューション提供体制の構築を、重要な課題として活動しております。
近年高騰する電力料金や、2050年カーボンニュートラルを目指す我が国のエネルギー政策を背景に、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーへの需要は大きく高まっており、当社グループでは、この機を逃さず、適切な投資によって業績を伸ばし、企業価値を向上させることを最大の課題としておりますが、その為には、当社グループが得意とする領域において、より利益率が高く、規模の拡大を図ることができるビジネスモデルの構築によって、需要を積極的に取り込んでまいります。
そこで今期は、2024年5月17日に発表した中期経営計画に基づき、前期参入した再生可能エネルギー事業のノウハウをさらに進め、当該事業に積極的に投資をすることで、安定収益の確保と、新たな成長戦略としてのPPA(※)事業への取組を進めてまいります。これにより、環境・衛生ソリューション事業、再生可能エネルギー事業、リノベーション事業の3つの事業を、それぞれ確実な収益部門として確立させ、次なる成長へ繋げることを、今後の目標としております。
(※) PPA(Power Purchase Agreement)モデルとは、電力を使用する需要家が提供する屋根や敷地に、PPA事業者が太陽光発電システムなどを無償で設置・運用し、需要家自身が発電した電気を購入して、その使用料をPPA事業者に支払うビジネスモデル
現時点での次期の連結業績見通しは、次のとおりであります。
売上高 3,998百万円
営業利益 2百万円
経常利益 △107百万円
親会社株主に帰属する当期純利益 △115百万円
(注)業績予想に関しましては現時点で入手可能な情報に基づき当社にて判断したものであり、リスクや不確定要素が含まれております。そのため、様々な要因の変化により、実際の成果や業績等は記載の予測とは異なる可能性があります。
(7) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループには、「3.事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該重要事象等を解消し、経営基盤の安定化への対応策は、「第2「事業の状況」3「事業等のリスク」(4) 継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。