第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

2021年6月期の基本方針・戦略

 当社が事業ドメインとする非対面決済市場については今後一定の伸長を見込んでおり、ペーパーレス化、キャッシュレス化等の動きはますます活発化するものと予測しております。緊急事態宣言が解除された後も、新型コロナウイルス感染症への基本的対策として新しい生活様式の徹底が求められており、一人ひとりのライフスタイルは確実に変容していくことが予想されます。その変化に対応するサービスの提供を行ってまいります。

 なお、現状での環境変化は極めて激しいものがあり、新たな計画を発表するには適当な時期ではないと判断せざるを得ませんので、計画開示については今後の状況を見極めながら適宜判断してまいります。

 また、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2020年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

A.ウェルネットの“スマホ決済”「支払秘書」の現況

今後拡大が予想されるキャッシュレス社会に対応できるスマホ決済サービス「支払秘書」をファーストクライアント:関西電力として2017年8月3日にサービスイン。その後九州電力、北海道電力(当社単独採用)、東北電力、四国電力(当社単独採用)、北陸電力(当社単独採用)、中部電力(当社単独採用)、中国電力がサービスを開始、中部電力においては、電力業界としては日本初となるSMS(ショートメッセージサービス)による電気料金の電子請求を2020年4月から実現し、ペーパーレス化が加速しつつあります。提携銀行も三井住友銀行、ゆうちょ銀行など36行となり、さらに拡大予定であります。導入事業者も電力、バス、鉄道、航空など生活インフラ事業者の他、当社“マルチペイメントサービス”を導入済事業者にも拡大しております。

 

B.バスIT化プロジェクトを積極推進

2016年8月に投入したスマホアプリ“バスもり!”の取扱路線は順調に増加、スマホ一回券、スマホ回数券、スマホ定期券、スマホフリーパスなど取扱券種を拡大、さらにタブレット型車載端末などサービスバリエーション追加効果もあり、320路線に導入されました。当事業年度第3四半期に開始した北海道庁、函館市を中心とした道南地域の交通事業者11社とのMaas実証実験「DohNa!!(ドーナ)」も成功裏に終了、実験終了後も引き続きサービスを継続しております。

プロジェクトとしては、バス会社間の精算業務を大幅に省力化するサービスも投入するなど今後もトータルクラウドサービスへと発展させてまいります。新型コロナウイルス感染症の影響もあり今後は変動費型の本クラウドサービスへのニーズは高まるものと予想しております。

 

C.ウェルネットの“主力商材”「マルチペイメントサービス」の現況

経済産業省の「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査2019年5月16日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(B to C)の市場規模は2018年で18兆円と前年に比べ9.0%の増加となっており、非対面決済において「マルチペイメントサービス」は引き続き伸長するポテンシャルがあると見込んでおります。

さらにこれら決済のデジタル化、具体的には「支払秘書」への移行を促進してまいります。

 

D.未来に向けた研究開発

“IoT”“フィンテック”等の大きな波をとらえるため、必要に応じて様々な知見・技術を持つ大学などと連携し研究開発を的確に進めます。また、決済+αの付加価値創出をするためのベンチャー企業向けの投資も必要に応じて検討してまいります。

 

E.地域貢献活動

地域社会への貢献として、北海道の高等工業専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに設立した“ウェルネット奨学金”により、多くの学生を支援しております。支援を受けた学生から多数の感謝のお手紙をいただき、従業員のモチベーション向上にもつながっております。この活動は今後も継続してまいります。

また、2021年5月竣工予定の札幌新事業所では、従業員の健康・働く環境に配慮したオフィス設計により、「WELL認証」のプラチナランク取得を目指します。「WELL認証」は2014年に米国で始まったビルやオフィスなどの空間を「人間の健康」の視点で評価・認証する取り組みで、日本でもまだ取得件数の少ない先進的な試みです。この取り組みは当社の最大の資産である従業員への投資であり、ひいては生産性向上、働き方改革、SDGs達成など企業価値の向上に繋がると考えております。

 

F.収益予想と株主還元

新型コロナウイルス感染症による経済活動の変化による影響により、予測がより困難な状況となったため、収益予想は今後合理的に見積ることが可能となった時点で速やかに開示することといたします。一方で株主様への配慮として、配当性向については50%以上とする予定です。

 

 

2【事業等のリスク】

以下については、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、当社として必ずしも特に重要なリスクとは考えていない事項についても投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、株主及び投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行う必要があります。また、以下の記載は本株式への投資に関連するすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意ください。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2020年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

① 法令による規制について

当社の決済代行事業については、「割賦販売法の一部を改正する法律」(「改正割賦販売法」2018年6月1日施行)の施行に伴い、加盟店に対する管理の強化等が実施される規制の中で事業を行っております。今後、同法がさらに改正された場合、その内容によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 収納代行預り金について

当社のマルチペイメントサービスでは、当社が事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金する仕組みとなっております。収納代行により当社が一時保管する代金につきましては、貸借対照表上「現金及び預金」(資産)及び「収納代行預り金」(負債)として両建計上しております。

なお、当該収納代行代金につきましては、事業者財産保護のために金融機関の決済性預貯金口座において当社自身の決済用資金と分別管理し、また貸倒リスク軽減のために契約に基づき事業者に送金する際に手数料(当社売上)を相殺するスキームを主としておりますが、ペイオフ等に関する金融行政の方針が変更され、当該口座が預金保護の対象とならなくなった場合、収納代行代金の保管方法の変更や、当社売掛金の回収方法変更等により当社の事業運営や業績に影響が生じる可能性があります。

 

③ コンビニ業界のインフラへの依存について

マルチペイメントサービスのうちコンビニ決済におきましては、コンビニのKIOSK端末などが前提となります。コンビニ各社が同時期に端末自体の変更などのサービス提供方法の変更を行った場合、これに対応するコストが当社側に発生するなど、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

④ システムトラブル及び事務リスクについて

当社においてシステム停止は重大な問題となるため、当社はサーバ設備及び通信回線の冗長化などによるシステム停止への対応や保守要員の24時間常駐化などの対策を講じております。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故など不測の事態が起こった場合、予測できない外部からのシステムへの侵入・コンピューターウィルス・サイバー攻撃等による不正行為が生じた場合、当社のシステムの機能低下、誤作動、故障などの事態を招くなどによって、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、当社の業務は収納金等の金銭を扱う重要な業務であることから、事務リスクを回避するよう、その管理は厳格に行われております。しかしながら、このような厳格な管理体制にもかかわらず、当社の信頼を損なうことなどによって、損害賠償請求や障害事後対応により営業活動に支障をきたし、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 外部環境について

a.決済サービス市場におけるパラダイムシフト

キャッシュレス化の進展が予見される中、当社はそれに先駆けて対応するスキーム開発を行っておりますが、当社の予見を超えるイノベーション等による新規決済スキーム出現によるパラダイムシフトなどが発生する場合、当社業績に影響を与える可能性があります。

 

b.新規事業の創出・育成に係る投資について

「支払秘書」「バスもり!」などの新規事業に積極的に投資をしておりますが、当社の計画通りに進捗せず十分な投資効果が得られないときは、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.特定取引先への依存について

当社は継続的に新規取引先の拡充に努めてきておりますが、現行の大口取引先向けの売上高減少などが発生する場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.知的財産権について

当社は、第三者の知的財産権を侵害することのないように、社内管理体制を強化しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の状況を、適時、完全に把握することは困難であるため、当社が第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償請求または差し止め請求を受ける可能性があります。

 

⑥ 個人情報の管理について

当社は各種業務を行うに際し、顧客の個人情報を保有することがあり、今後もサービス拡大に伴い当社が取り扱う個人情報は増加することが予想されます。当社はこれら個人情報の取り扱いについてはプライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS・札幌事業所)を取得し、これに準じて社内管理体制を整備し、情報管理への意識を高めております。

これらの対策により個人情報が漏洩する可能性は極めて低いと考えておりますが、今後何らかの原因により重要な情報の外部流出が発生した場合には、損害賠償請求を受けるとともに、社会的信用が失墜することなどにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 不正対策、セキュリティ対応コストについて

新サービス「支払秘書」は、電子マネー関連金融サービスであるため、不正対策が極めて重要となっております。当社は生体認証、リアルタイムモニタリングなどサーバ側のセキュリティ対策を進めてきておりますが、今後も継続的に対応が必要になるものと考えております。また、外部からの攻撃に対しては外部機関にストレステストを依頼するとともに、情報セキュリティ専門家とコンサルティング契約を締結しております。これらセキュリティ対応コストが当社業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 革新的技術の出現について

当社が提供するサービスは、技術革新のスピードが非常に速く、従来とは違う全く新しい決済スキーム等の出現により、当社サービスが著しく陳腐化することにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 競合について

当社の提供する収納代行サービスは参入障壁は必ずしも高いものではなく、既存の決済代行業者間の競争は激化しております。また、全く新しい技術を活用した画期的なサービスを展開する競合他社が出現したり、競合他社が低価格を前面に打ち出した営業を展開する等の結果として、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 災害リスクについて

当社はシステムダウンが発生しないよう然るべき対応を適宜図っておりますが、地震や台風等の自然災害や、火災・停電・テロ行為・パンデミック等が発生した場合、システムダウン以外にも人的・物的な損害の発生や、営業活動が制限される等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 新型コロナウイルス感染症のリスクについて

新型コロナウイルス感染症の拡大は当社の事業活動に影響を及ぼす可能性がありますが、現段階では不透明かつ未確定要素が多いことから、引き続き今後の状況を注視してまいります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要

① 財政状態及び経営成績に関する説明

当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益と雇用情勢の改善を背景に、緩やかな景気回復基調で始まりましたが、米中貿易摩擦の長期化に伴う中国経済の減速、各地に甚大な被害をもたらした大型台風襲来などの自然災害や国内における消費税増税の影響に加え、特に、当事業年度第3四半期の後半から第4四半期にかけては、新型コロナウイルス感染症拡大による急速な世界経済の停滞がもたらされるなど、かつてない規模での社会混乱が発生しました。国内大都市における緊急事態宣言の解除後も、日本経済の先行きは引き続き不透明な状況が続いております。

これらは当社のビジネスにも大きな影響を及ぼしました。特に、大規模な運航・運行のキャンセルとなった航空・バス・鉄道などの輸送機関関連への影響は、当事業年度第4四半期には甚大なものとなりました。一方、当社が手掛ける送金サービスでは、航空券、乗車券のキャンセルや各種イベントの中止による払戻し、また、学生の金銭的負担を大学当局が補填する緊急支援金の支給など、明治学院大学を始めとする大学からの送金にも使命感をもって機敏に対応してまいりました。

2020年5月、KDDIの通信料金支払いにおいていつでもどこでもスマホで支払いが出来る「支払秘書」が導入されました。当社が事業ドメインとする非対面決済市場も、いわゆるウィズコロナ時代の新しい生活様式を模索する経済潮流のなかで、継続して伸長しております。

 

当社は、新たなビジネスチャンスに積極果敢にチャレンジする「新中期経営5か年計画(2016年7月-2021年6月)」を2016年6月期第1四半期決算短信にて公表し、重点施策「電子マネー化時代への対応」「バスIT化プロジェクトの推進」「事業者サイドに立ったコンシューマ向けサービス支援」を推進してまいりました。

新中期経営計画4年目にあたる当事業年度の経営成績は、新規取引先導入による増加や送金サービスによる取扱額の増加はあったものの、先述の環境要因も含めた既存事業者の取扱金額減少などにより、売上高9,379百万円(前事業年度比6.5%減)と減少いたしました。損益面では、大規模開発が一段落したことに加え、開発・運用に関するノウハウを社内蓄積し、内製化を進めるなど経費削減等の取り組みを行った結果、営業利益817百万円(前事業年度比62.4%増)、経常利益826百万円(前事業年度比55.8%増)を計上し、特別損失112百万円を計上したものの当期純利益は494百万円(前事業年度比31.9%増)となりました。なお、特別損失112百万円は投資額の回収が見込めない遊休資産を減損処理したものであります。

しかしながら、新中期経営5か年計画策定時には想定出来なかった事象が重なったこと、さらに、先述の世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大で企業活動が減退するなど、経済金融情勢は急速に悪化し、現在の当社を取り巻く経営環境は、本計画公表時に想定し得ない先行き不透明な状況になったことから、2020年5月29日の「業績予想の修正および中期経営計画の見直しに関するお知らせ」での公表のとおり、「新中期経営5か年計画(2016年7月-2021年6月)」の利益目標値については取り下げることとさせていただきました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は8,609百万円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において営業活動により支出した資金は1,826百万円となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益718百万円であり、主な減少要因は、収納代行預り金の減少3,053百万円、法人税等の支払いによる減少144百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において投資活動により支出した資金は1,201百万円となりました。主な減少要因は、敷金及び保証金の差入による支出1,086百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において財務活動により支出した資金は196百万円となりました。主な減少要因は、配当金の支払い額936百万円であります。

③ 受注及び販売の状況

a. 受注状況

当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

59,385

248.4

33,980

152.5

(注)1.当社における受注の内容は、相手先からの受託開発であります。

2.金額は販売価格によっております。

3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b. 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年7月1日

  至 2020年6月30日)

前年同期比(%)

決済・認証事業(千円)

9,379,528

93.5

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

当事業年度

(自 2019年7月1日

至 2020年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン(同)

3,388,460

33.8

3,405,621

36.3

ヤフー(株)

1,579,437

15.7

1,115,962

11.9

(注)3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、重要な会計方針の適用において以下のとおり見積りを行っております。

 

a. 繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得等を検討し、全額が回収可能と判断し資産計上しております。しかしながら、将来の課税所得等を検討し、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加計上する可能性があります。また、法人税率が引き下げられた場合、貸借対照表に計上する繰延税金資産の計上額を減額する可能性があります。

 

b. ソフトウエアの減損

 ソフトウエアについては、将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められたものを資産計上しております。しかしながら、計画の変更、使用状況の見直し等により収益獲得または費用削減効果が損なわれた場合には、資産の減損が必要となる可能性があります。

 

c. 投資の減損

 投資価値の下落が著しく、かつ回復可能性がないと判断した場合に投資の減損を計上しております。時価のある有価証券については、時価が取得価額に比べて50%以上下落している場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性があると総合的に判断した場合を除いて減損処理を行っております。将来の市況悪化等により現在の帳簿価額に反映されていない損失または投資簿価の回収不能が発生した場合、投資の減損が必要となる可能性があります。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに関しては、「 第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績の分析

 当事業年度の経営成績は、新規取引先導入による増加や送金サービスによる取扱額の増加はあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大等の環境要因も含めた既存事業者の取扱金額減少などにより、売上高9,379百万円(前事業年度比6.5%減)と減少いたしました。損益面では、大規模開発が一段落したことに加え、開発・運用に関するノウハウを社内蓄積し、内製化を進めるなど経費削減等の取り組みを行った結果、営業利益817百万円(前事業年度比62.4%増)、経常利益826百万円(前事業年度比55.8%増)を計上し、特別損失112百万円を計上したものの当期純利益は494百万円(前事業年度比31.9%増)となりました。なお、特別損失112百万円は投資額の回収が見込めない遊休資産を減損処理したものであります。

 

③ 財政状態の分析

(資産)

当事業年度末の流動資産につきましては、14,504百万円となりました。主な内訳は現金及び預金8,689百万円、預け金4,394百万円、売掛金474百万円であります。現金及び預金には、回収代行業務に係る収納代行預り金が6,339百万円含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであり一時的に当社が保管するものであります。また、固定資産は5,570百万円となりました。主な内訳は、土地1,739百万円、差入保証金1,285百万円、ソフトウエア874百万円、建設仮勘定869百万円であります。以上の結果、資産合計は20,074百万円となりました。

 

(参考)現金及び預金の純額(回収代行業務に関する預り金を相殺した、正味の現預金残高)

 

前事業年度

(2019年6月30日)

当事業年度

(2020年6月30日)

(A)現金及び預金(千円)

12,915,351

8,689,868

(B)収納代行預り金(千円)

9,393,868

6,339,896

(A)-(B)現金及び預金純額(千円)

3,521,483

2,349,972

 

(負債)

当事業年度末の流動負債につきましては、12,867百万円となりました。主な内訳は収納代行預り金6,339百万円、預り金4,903百万円であります。また、固定負債は197百万円となりました。主な内訳は長期未払金119百万円であります。以上の結果、負債合計は13,064百万円となりました。なお、2021年5月竣工予定である札幌新事業所建設資金として、2,000百万円の資金借入を分割で行うこととしており、当事業年度には740百万円の銀行借入を行いました。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産につきましては、7,009百万円となりました。主な内訳は株主資本6,940百万円であります。

 

④ 資金の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b. 資金需要

 当事業年度における当社の主な資金需要は、サーバ設備やソフトウエアの取得による設備投資等によるものと、札幌事業所新社屋建設によるものであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社におきましては、コンビニインフラへの依存、システムトラブル及び事務リスク、競合他社との競争激化、新サービスへの対応、新規事業への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

キャッシュレス社会に向けた大きな時代の変革期が予測されております。当社はこの変革期を大きなビジネスチャンスに変えるべく、積極的な経営姿勢に転換しております。かつてコンビニ決済など斬新なアイディアで現在の地歩を確立したように、強い思いをもってチャレンジを続けてまいります。

当社の目指すサービスプラットホームは「ストック型」であり、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めております。重要なことは、ビジネスボリューム拡大に伴う人件費増加を避けることで、そのために運用など後方処理自動化に相当額の投資を継続的に行っております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

仕入先との契約

提携先

契約年月日

提携内容

備考

(株)ファミリーマート (注)1

1998年6月11日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

(株)セブン-イレブン・ジャパン

1998年6月30日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

(株)ローソン

1998年8月1日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

(株)みずほ銀行

2003年1月10日

収納事務に関する委託契約

業務委託契約

(株)三井住友銀行

2008年7月31日

送金受付サービスに関する契約

業務提携契約

(注)1.(株)ファミリーマートとの契約は一部、2004年3月1日付で(株)ファミマ・ドット・コム
(現(株)ファミマデジタルワン)に継承されております。

2.上記の契約の契約期間に関しましては、全て一定年数経過以降、双方とも解約または変更の意思表示がない場合は、1年間の自動更新となっております。

 

 

5【研究開発活動】

当社は、将来に向けて成長スピードを維持していくため、「次世代を担うビジネススキームの確立」と「カイゼン(機能拡充・システムの安定運用・コストパフォーマンスの向上、いわば筋肉質の企業体質づくり)」を行っていくことが必要と考えております。

当事業年度においては、データセンターのコスト削減とベストパフォーマンスの実現に取組んだほか、バスチケットの革新的直売モデルの研究開発、コンシューマーを意識した新たなサービスモデルの研究開発、決済の周辺事業領域への機能拡充に取組みました。

その結果、当事業年度における研究開発費は、11,344千円となりました。なお、当社は決済・認証事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。