第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社が事業ドメインとするオンライン決済市場については今後も一定の伸長を見込んでおりますが、電子決済拡大による決済自体のコモディティ化が進むとみており、決済+αの具体的な形として、事業者側のDX化を支援するクラウドサービスの拡充に尽力しております。

文中における将来に関する事象は、当事業年度末(2023年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。

 

A.ペーパーレス化・キャッシュレス化における“スマホ決済”「支払秘書」

決済を銀行口座と連携するスマホで行う「支払秘書」は、8電力会社に導入済、また公金支払いでも提携銀行が多い地域を中心に「支払秘書」で支払える案件が増加しているほか、当社が提供するクラウドサービスである下記B項記載の「バスもり!」、「アルタイルトリプルスター」及び、ekaiin.comとのシームレスな連携を中心とした展開を行うとともに、組み込み型電子マネーの開発を進めております。

請求の電子化と様々な費用の決済を「支払秘書」とクレジットカードで行える会員管理サービス「ekaiin.com(e会員ドットコム)」においては従来の用途に加え、ジェイアールバス関東株式会社の旅行・ツアー代金の回収、令和4年度札幌市飲食店の未来応援クラウドファンディング(第二弾)の支援金募集、日本作曲家協会創立65周年記念事業「全国歌謡選手権大会」の募集、DMM英会話の申込みと集金など幅広い分野に採用が広がってまいりました。今後も提供分野拡大と共に実績分野の水平展開に力を入れてまいります。

一方、支払秘書の提携銀行は三井住友銀行、ゆうちょ銀行など36行と提携いたしましたが、一連の不正使用発生によるセキュリティ対策を完了後の再開作業を進めており、2023年6月30日現在、利用可能銀行数は25行まで回復しております。この中には、2023年5月に新たに接続したメガバンク三菱UFJ銀行も含まれており、今後の利用拡大を期待するとともに、継続的な増加努力を行ってまいります。

 

B.交通事業者向けIT(DX)化プロジェクトを積極推進中

2016年8月に開始したスマホ電子チケットアプリ「バスもり!」は、1回券、回数券、定期券、フリーパス、企画券など電子化券種を拡大し、バス・鉄道の取り扱い路線は610を超えております。コロナ禍で非対面で購入できるスマホ定期やスマホ回数券は拡大しております。また、2017年から開発してきたオールインワンの交通事業者向けクラウドサービス「アルタイルトリプルスター」は、乗物やイベントの在庫・時刻表管理、チケット予約・購入・発券・認証、そして売上情報の集計と精算処理に至るまでの一連の業務の自動化を実現できるトータルクラウドサービスです。特に複数事業者が共同提供するMaaSにおいて、多大な労力を要する精算業務に関する十分な知識と経験を当社が持っていることは大きなアドバンテージです。

MaaS領域においては、次のとおり導入実績が拡大してまいりました。前記のとおり、2024年春に「スルッとKANSAI協議会」のQRコードを活用したデジタル乗車券サービスの導入も控えており、多くの地域での提案活動を精力的に進めております。

2020年1月 函館市「DohNa!!(ドーナ!!)」

2021年10月 「仙台MaaS」

2022年1月 北海道オホーツクエリア「OkhoNavi(オホナビ)」

2022年2月 「JAL MaaS」

2022年5月 北海道「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」

2022年6月 「熊本都市圏パークアンドライド社会実験定期券及び回数券」

2022年9月 「仙台MaaS」における仙台市交通局の地下鉄一日乗車券(QR付き電子チケット)

2023年5月 東北学院大学生向けのデジタル乗車券

当社が展開するサービスは、クラウドの本筋であるシステムコストの変動費化を実現しているため、いわゆる実証実験期間終了後も継続して使われている持続可能なスキームであることが大きな特徴です。

 

C.ウェルネットの“主力商材”「マルチペイメントサービス」の現況

非対面決済において「マルチペイメントサービス」は引き続き伸長するポテンシャルがあると見込んでおります。当社は、30年以上にわたり様々な事業者に決済サービスを採用いただいておりますが、今後も事業者・コンシューマ双方の利便性向上に資する決済ゲートウェイの拡充を目指します。当社は決済+αのサービス開発を推進してまいりますが、その際決済基盤を持っている当社は大きなアドバンテージを持っていると考えております。

2022年9月には当社が新たに開発したスマホバーコード決済「stanp」がファミリーマートの全国の店舗で採用され、利用者が当社の「マルチペイメントサービス」を利用する際に、スマートフォンに表示されるバーコードを店頭レジで直接読み取ることにより、マルチコピー機を介さずにリアルタイムに支払いが完了できるようになりました。引き続きファミリーマート以外のコンビニでの採用に向け、積極的に営業活動を進めてまいります。

 

D.地域貢献活動・SDGs

当社のビジネスである「IT利活用・DX化」そのものが、環境に優しいビジネスモデルへの転換を支援するものであり、ビジネス拡充自体が地球環境保全に資するものと認識しております。

地域社会への貢献として、北海道の工業高等専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに設立した「ウェルネット奨学金」により多くの学生を支援しております。2022年度までの累計で768名に対して約86百万円の奨学金を支給しており、支援を受けた学生から多数の感謝のお手紙をいただき、従業員のモチベーション向上にもつながっております。新型コロナウイルス感染症により2022年度も多くの学生が影響を受けましたが、この支援の効果もあり北海道の4高専においては昨年に引き続き経済的な困窮を理由に退学した学生0を達成したとのご報告をいただきました。2022年11月にはこの活動の教育研究活動への協力が認められ、一般社団法人全国高等専門学校連合会から感謝状を頂戴しております。本活動は今後も継続してまいります。

さらに、地元のスポーツ振興に寄与することを目的とし、北海道・札幌市などと連携して2030年の札幌オリンピック・パラリンピック招致を目指す北海道オール・オリンピアンズが推進する「スクラム札幌」構想へ参画、男子1000メートルの日本記録を持ち、オリンピック出場が期待されるスピードスケートの山田将矢選手と2022年4月にスポンサー契約を締結して支援を開始しました。その後2023年4月から同選手は当社の社員となり当社に所属して活動を行っております。今後はekaiin.comをスポーツ選手の支援にも積極活用し、当社のサービスによるスポーツ支援を拡大する方針であります。

また、2021年に竣工し、運用開始した札幌本社新社屋は、働く環境や従業員の健康に配慮したオフィス設計を行っており、2022年9月に「WELL認証」最高ランク「プラチナ」を取得いたしました。「WELL認証」は2014年に米国で始まったビルやオフィスなどの空間を人間の健康の視点で評価・認証する先進的な取り組みであります。この取り組みは、人的資本である従業員への投資であり、ひいては生産性向上、働き方改革、SDGs達成への寄与など企業価値向上につながると考えております。現在のところ、日本国内で「プラチナ」ランクを取得した企業は建築関連の企業がほとんどであり、フィンテック系企業として初、北海道内で初の取得です。

 

E.収益予想と株主還元

2022年9月6日に中期経営計画(2023年6月期~2025年6月期)並びに2023年8月14日に2024年6月期の業績予想及び配当予想を公表いたしました。

2024年6月期の業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みからの回復傾向を踏まえ、主に交通系DX化商材の業績が好調であることから、売上高及び各利益項目共に2023年6月期と比べて増加となる見込みであり、次のとおり予想しております。

売上高

経常利益

当期純利益

10,160百万円

1,150百万円

790百万円

2023年6月期の期末配当につきましては、株主様への利益配分の基本方針(配当性向50%以上)に基づき、前回予想の16.43円から0.41円増配し16.84円に修正することといたしました。また、2024年6月期の期末配当につきましては21円を予想しております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2023年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、サステナビリティに関するリスク及び機会の監視及び管理、統制等については、会社の重要事項であると捉え、取締役会において検討することとしております。

 

(2)戦略

 当社は2023年1月に以下を骨子とする「サステナビリティ基本方針」を定め、活動しております。

  ①社会・環境問題の解決への貢献

  ②社会からの信頼の確立

  ③Well-beingの尊重

  ④地域社会への貢献

 当社におけるサステナビリティへの取り組みについては、まず、経営理念「安全・安心・快適・便利を最大効率で実現する。」に基づき、様々な仕組みをITで実現することを目指して、請求・決済の電子化等の事業推進を通じてペーパーレス社会の推進に資する企業活動そのものにあると言えます。

 当社は、地域社会への貢献として、何らの義務を課さない奨学金の設立と運営によって、高等専門学校苦学生の就学支援を継続している他、スポーツ振興への支援も行っております。

 また、札幌本社の新社屋の建設にあたっては、従業員の健康・働く環境や地域社会にも配慮したオフィス設計を行い、先進的な取組である米国発祥の「WELL認証」において、最高ランクのプラチナを2022年9月に取得し、さらに2023年8月には創意と工夫を凝らしたオフィスを表彰する制度である「第36回日経ニューオフィス賞」を受賞しております。

 なお、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関しては、次の事項を掲げて実施しており、女性従業員がいきいきと働き、かつ様々なフィールドで継続的に活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた支援策を積極的に推進してきております。

 ①育児・介護等に関する両立支援制度の整備(2019年度、育児支援対象者の子女年齢の引き上げ)と社内周知

 ②女性活用支援策「育休復帰プラン」(厚労省)への参画検討

 ③女性従業員の職域拡大および女性従業員の積極的な採用・登用

 ④残業時間の抑制の促進

 ⑤病気治療等により出勤が困難な従業員を対象に在宅勤務制度を制定

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティに関連するリスクについては、取締役会で検討することとしております。

 

(4)指標及び目標

 当社は、前記のとおり、請求・決済の電子化等の事業推進を通じてペーパーレス社会の推進に資する企業活動そのものがサステナビリティの最重要項目と考えており、業績予想や中期経営計画での経営目標を重要な指標及び目標として考えております。

 なお、人材の多様性を含む育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関しては、次の重点目標を掲げて活動しており、当事業年度の実績は以下のとおりであります。

(目標)

 全社員に育休に関連する制度を定期的に周知し、育休取得しやすい環境を構築する。

 具体的には、女性の育児休業取得率100%達成と男性の育児休業取得率50%達成を目指す。

(当事業年度の実績)

 女性の育児休業取得率:-(対象者なし)

 男性の育児休業取得率:50%

 

3【事業等のリスク】

以下については、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、当社として必ずしも特に重要なリスクとは考えていない事項についても投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、株主及び投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行う必要があります。また、以下の記載は本株式への投資に関連するすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意ください。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2023年6月30日)現在において当社が判断したものであり、現時点で予測できない下記以外の事象の発生により、当社の経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

① 法令による規制について

当社の決済代行事業については、「割賦販売法」の施行に伴い、加盟店に対する管理の強化等が実施される規制の中で事業を行っております。また、当社の送金サービス、支払秘書サービス等については、「資金決済に関する法律」及び「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の施行、並びに金融庁による「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の策定に伴い、取引に対する運用・管理の強化が要求されている中で事業を行っております。今後これらの法令等が改正された場合は、その内容によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 収納代行預り金について

当社のマルチペイメントサービスでは、当社が事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金する仕組みとなっております。収納代行により当社が一時保管する代金につきましては、貸借対照表上「現金及び預金」(資産)及び「収納代行預り金」(負債)として両建計上しております。

なお、当該収納代行代金につきましては、事業者財産保護のために金融機関の決済性預貯金口座において当社自身の決済用資金と分別管理し、また貸倒リスク軽減のために契約に基づき事業者に送金する際に手数料(当社売上)を相殺するスキームを主としておりますが、ペイオフ等に関する金融行政の方針が変更され、当該口座が預金保護の対象とならなくなった場合、収納代行代金の保管方法の変更や、当社売掛金の回収方法変更等により当社の事業運営や業績に影響が生じる可能性があります。

 

③ コンビニ業界のインフラへの依存について

マルチペイメントサービスのうちコンビニ決済におきましては、コンビニのKIOSK端末などが前提となります。コンビニ各社が同時期に端末自体の変更などのサービス提供方法の変更を行った場合、これに対応するコストが当社側に発生するなど、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

④ システムトラブル及び事務リスクについて

当社においてシステム停止は重大な問題となるため、当社はサーバ設備及び通信回線の冗長化などによるシステム停止への対応や保守要員の24時間常駐化などの対策を講じております。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故など不測の事態が起こった場合、予測できない外部からのシステムへの侵入・コンピューターウィルス・サイバー攻撃等による不正行為が生じた場合、当社のシステムの機能低下、誤作動、故障などの事態を招くなどによって、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、当社の業務は収納金等の金銭を扱う重要な業務であることから、事務リスクを回避するよう、その管理は厳格に行われております。しかしながら、このような厳格な管理体制にもかかわらず、当社の信頼を損なうことなどによって、損害賠償請求や障害事後対応により営業活動に支障をきたし、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 外部環境について

a.決済サービス市場におけるパラダイムシフト

キャッシュレス化の進展が予見される中、当社はそれに先駆けて対応するスキーム開発を行っておりますが、当社の予見を超えるイノベーション等による新規決済スキーム出現によるパラダイムシフトなどが発生する場合、当社業績に影響を与える可能性があります。

 

b.新規事業の創出・育成に係る投資について

新規事業に積極的に投資をしておりますが、当社の計画通りに進捗せず十分な投資効果が得られないときは、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.特定取引先への依存について

当社は継続的に新規取引先の拡充に努めてきておりますが、現行の大口取引先向けの売上高減少などが発生する場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

d.知的財産権について

当社は、第三者の知的財産権を侵害することのないように、社内管理体制を強化しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の状況を、適時、完全に把握することは困難であるため、当社が第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償請求または差し止め請求を受ける可能性があります。

 

⑥ 個人情報の管理について

当社は各種業務を行うに際し、顧客の個人情報を保有することがあり、今後もサービス拡大に伴い当社が取り扱う個人情報は増加することが予想されます。当社はこれら個人情報の取り扱いについてはプライバシーマーク及び情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS・札幌事業所)を取得し、これに準じて社内管理体制を整備し、情報管理への意識を高めております。

これらの対策により個人情報が漏洩する可能性は極めて低いと考えておりますが、今後何らかの原因により重要な情報の外部流出が発生した場合には、損害賠償請求を受けるとともに、社会的信用が失墜することなどにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 不正対策、セキュリティ対応コストについて

新サービス「支払秘書」は、電子マネー関連金融サービスであるため、不正対策が極めて重要となっております。当社は生体認証、リアルタイムモニタリングなどサーバ側のセキュリティ対策を進めてきておりますが、今後も継続的に対応が必要になるものと考えております。また、外部からの攻撃に対しては外部機関にストレステストを依頼するとともに、情報セキュリティ専門家とコンサルティング契約を締結しております。これらセキュリティ対応コストが当社業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 革新的技術の出現について

当社が提供するサービスは、技術革新のスピードが非常に速く、従来とは違う全く新しい決済スキーム等の出現により、当社サービスが著しく陳腐化することにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 競合について

当社の提供する収納代行サービスは参入障壁は必ずしも高いものではなく、既存の決済代行業者間の競争は激化しております。また、全く新しい技術を活用した画期的なサービスを展開する競合他社が出現したり、競合他社が低価格を前面に打ち出した営業を展開する等の結果として、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 災害リスクについて

当社はシステムダウンが発生しないよう然るべき対応を適宜図っておりますが、地震や台風等の自然災害や、火災・停電・テロ行為・パンデミック等が発生した場合、システムダウン以外にも人的・物的な損害の発生や、営業活動が制限される等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要

① 財政状態及び経営成績に関する説明

当事業年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの継続、資源価格及び光熱費等の物価高騰による景気下振れが懸念され、今後の行く先の不透明な状況が続いております。一方、新型コロナウイルス感染症の経済活動への影響は、2023年5月8日から「5類」への移行に伴う社会活動の正常化により、当社を取り巻く事業環境も改善傾向にあります。

このような状況のなか、当社の主要事業ドメイン市場においても、航空、バス、鉄道など交通関連事業において回復傾向にあります。また、様々な業種業態において、DX(デジタルトランスフォーメーション)が積極推進されており、非対面サービスも増加、IT企業が果たすべき社会的役割も増してきております。

当社においても、「ペーパーレス化」「キャッシュレス化」をキーワードに、重点施策「電子決済時代への対応」「交通業界向けDX化/MaaS事業」などを推進、その文脈上にある生活密着フィンテック・プラットフォームを見据えた施策を行っており、会員管理のDX化ツール「ekaiin.com(e会員ドットコム)」)の利用拡大や電子請求書発行及び保存を行う新サービス「しまえーる」の提供など、「決済+αプラットフォーム」に注力しております。また、2023年3月には自治体向けに先進的なクラウドサービスを提供する株式会社HARPの一部株式を取得、自治体など向けの決済の全国展開を進めております。

交通関連事業では、2022年11月18日付「QRコードを活用したデジタル乗車券の開発着手について」で発表したとおり、関西を中心に岡山、静岡を含めた61の鉄道・バス事業者で構成される「スルッとKANSAI協議会」が2024年春にサービス開始予定のQRコードを活用したデジタル乗車券関連サービスのシステムパートナーとして、広域的なQRコード乗車券による非接触化とキャッシュレス化を推進することでICカード以外のデジタル化を目指しております。本プロジェクトへの参画を通じ当該協議会加盟事業者様との関係性を強化するとともに、関連する知見を蓄積し、交通事業者向けシンクライアントサービスを展開してまいります。

2023年7月にはスルッとKANSAI協議会加盟事業者様をはじめとして、関西・中国・四国・九州・沖縄も含めた西日本地区の事業者様及びお客様のサポートを強化するため、新たに大阪(梅田)に西日本支店を開設いたしました。

2016年以降「交通事業者向けオールインワンクラウドサービス」「電子マネー」など次世代向けプラットフォームの開発を推進してまいりましたが、今後はこれらソリューションの本格的な営業活動を行うフェーズに入ります。そのため西日本支店開設以外にも、2023年4月に東京本社を移転・拡張し、当社の営業体制は札幌、東京、大阪の3拠点体制となり、より地域に密着した本格的な営業活動を行ってまいります。

なお、本日(2023年8月14日)付で発表したとおり、当社は本日開催の取締役会において、上場市場を東京証券取引所のスタンダード市場を選択することとし、当社のリソースをこれら事業に集中させることにより企業価値の向上を図ることといたしました。

これらの活動の結果、当期の経営成績は、売上高9,424百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益939百万円(前年同期比27.7%増)、経常利益935百万円(前年同期比24.0%増)、当期純利益635百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は14,070百万円(前年同期比7.8%増)となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において営業活動により獲得した資金は1,114百万円(前年同期比66.1%減)となりました。主な増加要因は税引前当期純利益961百万円、減価償却費の計上404百万円、預り金の増加727百万円であり、主な減少要因は預け金の増加811百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において投資活動により獲得した資金は268百万円(前年同期は267百万の資金の支出)となりました。主な増加要因は有形固定資産の売却による収入251百万円、投資有価証券償還による収入200百万円であり、主な減少要因は有形固定資産の取得による支出103百万円、無形固定資産の取得による支出119百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において財務活動により支出した資金は360百万円(前年同期は390百万の資金の支出)となりました。主な減少要因は配当金の支払による支出266百万円、長期借入金の返済による支出100百万円であります。

 

 

③ 受注及び販売の状況

a. 受注状況

当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

73,032

139.1

31,895

8,114.9

(注)1.当社における受注の内容は、相手先からの受託開発であります。

2.金額は販売価格によっております。

b. 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

決済・認証事業(千円)

9,424,198

105.3

(注)最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

2,594,155

29.0

2,397,340

25.4

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

詳細は、「 第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の経営成績は、売上高9,424百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益939百万円(前年同期比27.7%増)、経常利益935百万円(前年同期比24.0%増)、当期純利益635百万円(前年同期比19.4%増)となりました。

 

③ 財政状態の分析

(資産)

当事業年度末の流動資産は18,756百万円(前年同期比11.2%増)となりました。主な内訳は現金及び預金14,070百万円、預け金3,449百万円、売掛金及び契約資産604百万円であります。現金及び預金には、回収代行業務に係る収納代行預り金が10,441百万円含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであり、一時的に当社が分割管理により保管するものであります。また、固定資産は6,136百万円(前年同期比9.5%減)となりました。主な内訳は建物2,096百万円、土地1,602百万円、差入保証金1,455百万円、ソフトウエア443百万円であります。以上の結果、資産合計は24,892百万円(前年同期比5.3%増)となりました。

(負債)

当事業年度末の流動負債は15,105百万円(前年同期比6.3%増)となりました。主な内訳は収納代行預り金10,441百万円、預り金3,584百万円であります。また、固定負債は1,959百万円(前年同期比3.3%減)となりました。主な内訳は長期借入金1,725百万円であります。以上の結果、負債合計は17,065百万円(前年同期比5.1%増)となりました。

(純資産)

当事業年度末の純資産は7,826百万円(前年同期比5.6%増)となりました。主な内訳は株主資本7,737百万円であります。

(参考)現金及び預金の純額(回収代行業務に関する預り金を相殺した、正味の現預金残高)

 

前事業年度

(2022年6月30日)

当事業年度

(2023年6月30日)

(A)現金及び預金(百万円)

13,129

14,070

(B)収納代行預り金(百万円)

10,170

10,441

(A)-(B)現金及び預金純額(百万円)

2,958

3,629

 

④ 資金の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b. 資金需要

当事業年度における当社の主な資金需要は、サーバ設備やソフトウエアの取得による設備投資等であります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社におきましては、コンビニインフラへの依存、システムトラブル及び事務リスク、競合他社との競争激化、新サービスへの対応、新規事業への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

キャッシュレス社会に向けた大きな時代の変革期が予測されております。当社はこの変革期を大きなビジネスチャンスに変えるべく、積極的な経営姿勢に転換しております。かつてコンビニ決済など斬新なアイディアで現在の地歩を確立したように、強い思いをもってチャレンジを続けてまいります。

当社の目指すサービスプラットホームは「ストック型」であり、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めております。重要なことは、ビジネスボリューム拡大に伴う人件費増加を避けることで、そのために運用など後方処理自動化に相当額の投資を継続的に行っております。

 

5【経営上の重要な契約等】

仕入先との契約

提携先

契約年月日

提携内容

備考

株式会社ファミリーマート (注)1

1998年6月11日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

1998年6月30日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

株式会社ローソン

1998年8月1日

料金収納業務の委託等に関する契約

業務委託契約

株式会社みずほ銀行

2003年1月10日

収納事務に関する委託契約

業務委託契約

株式会社三井住友銀行

2023年1月16日

送金サービス等に関する業務提携契約書

業務提携契約

(注)1.株式会社ファミリーマートとの契約は一部、2004年3月1日付で株式会社ファミマ・ドット・コム(現 株式会社ファミマデジタルワン)に継承されております。

2.上記の契約の契約期間に関しましては、全て一定年数経過以降、双方とも解約または変更の意思表示がない場合は、1年間の自動更新となっております。

 

6【研究開発活動】

当社は、将来に向けて成長スピードを維持していくため、「次世代を担うビジネススキームの確立」と「カイゼン(機能拡充・システムの安定運用・コストパフォーマンスの向上、いわば筋肉質の企業体質づくり)」を行っていくことが必要と考えております。

当事業年度においては、組込型のハウス電子マネーサービスの開発に取組みました。その結果、当事業年度における研究開発費は、19,892千円となりました。

なお、当社は決済・認証事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。