当中間会計期間において、新たな事業等のリスク発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
① 経営成績に関する分析
当中間会計期間(2024年7月1日から2024年12月31日まで)におけるわが国経済は、不安定な国際情勢や政情、為替相場、資源価格などにより不透明な状況が続いております。
このような状況のなか、当社の主要事業ドメイン市場においては様々な業種業態において、DX(デジタルトランスフォーメーション)が積極推進されており、ITが果たすべき社会的役割も増してきております。
当社も「ペーパーレス化」「キャッシュレス化」に取り組み、重点施策「電子決済」「交通業界向けIT化プロジェクト/MaaS事業」などを推進、その文脈上にある生活密着フィンテック・プラットフォームを見据えた施策を行っており、会員管理のDX化ツール「ekaiin.com(e会員ドットコム)」の利用拡大や電子請求書発行及び保存を行う新サービス「しまえーる」の提供など、「決済+αプラットフォーム拡大」に注力しております。また「札幌生活応援プレミアム商品券」において当社の支払ポータルサイトと送金システムの活用、様々な機能を提供いただく会社との連携によるトータルサービスを提供しております。また、日本通信株式会社(証券コード:9424)の認証基盤を活用して安全・安心・快適・便利な『本人認証付き電子マネー』の仕組みを最大効率で実現する協業を開始しました。
2024年6月よりサービスを開始した「スルッとQRtto(クルット)」の基幹システムであるクラウドサービス「アルタイルトリプルスター」の機能拡充による交通事業者へのDX化支援を推進し、また、大規模開発の成果物である「組み込み型電子マネーサービス」につきましても、各企業が自社マネーとして利用できる対応を進める等、引き続き次世代を見越したサービス展開の準備を行っております。
これら活動を継続するなか、当社の主力商材である「マルチペイメントサービス」及び「送金サービス」の需要拡大もあり、当中間会計期間の経営成績は、売上高5,599百万円(前年同期比14.3%増)、営業利益816百万円(前年同期比44.9%増)、経常利益819百万円(前年同期比45.3%増)、中間純利益563百万円(前年同期比46.4%増)となりました。
② 当社を取り巻く環境変化と対応戦略
当社が事業ドメインとするオンライン決済市場については今後も一定の伸長を見込んでおりますが、電子決済拡大による決済自体のコモディティ化が進むとみており、決済+αの具体的な形として、事業者側のDX化を支援するクラウドサービスの拡充に尽力しております。
A.ペーパーレス化・キャッシュレス化における“スマホ決済”「支払秘書」・電子マネー対応
決済を銀行口座と連携するスマホで行う「支払秘書」は、みずほ銀行との接続で主要銀行との接続を完了しました。また、電力会社各社に加え、公金支払いでも提携銀行が多い地域を中心に支払可能案件が増加しているほか、当社が提供する「バスもり!」、「アルタイルトリプルスター」及び「ekaiin.com」とのシ-ムレスな展開を行うとともに、電子マネーを自社のサービスに組み込む流れが今後出てくると予測し、組み込み型電子マネーの提供準備を進めております。今後は交通事業者向けのクラウドサービスと連携させたサービスへ進化させてまいります。
B.交通事業者向けIT化プロジェクトを積極推進
2016年8月に開始したスマホ電子チケットアプリ「バスもり!」は、1回券、回数券、定期券、フリーパス、企画券など電子化券種を拡大し、バス・鉄道の取り扱い路線は650となりました。コロナ禍を契機として、非対面で購入できるスマホ定期やスマホ回数券の利用は拡大し続けております。また、2017年から開発開始したオールインワンの交通事業者向けクラウドサービス「アルタイルトリプルスター」は、乗物やイベントの在庫・時刻表管理、チケット予約・購入・発券・認証に加えて売上情報の集計と精算処理に至るまでの一連の業務の自動化を実現できるトータルクラウドサービスであり、全国各地のMaaS基盤及び、交通系各社様のDX化支援の有効ツールとしてその利用が拡大しております。2024年6月には、関西の大手私鉄で利用できるサーバ型QR乗車券サービス“スルッとQRtto”がサービス開始されました。また、利用が拡大している複数事業者共同利用MaaSにおいて、多大な労力を要する精算業務に関する十分な知識と経験を当社が持っていることは大きなアドバンテージとなっております。
C.ウェルネットの“主力決済商材”「マルチペイメントサービス」「送金サービス」
非対面決済「マルチペイメントサービス・送金サービス」は引き続き伸長するポテンシャルがあると見込んでおります。当社は、30年以上にわたり様々な事業者に決済サービスを採用いただいておりますが、今後も事業者・コンシューマ双方の利便性向上に資する決済機能の拡充を目指します。当社は決済+αのサービス開発を推進しますが、決済基盤を持っている当社は大きなアドバンテージを持っております。
また、2022年9月にファミリーマートでサービスインしたスマホバーコード決済「stanp」の利用者は着実に増加しており、他のコンビニでの採用を積極的に提案しております。
D.地域貢献活動
当社が推進する「IT利活用・DX化」自体が地球環境保全に資するものと認識しております。
また、地域社会への貢献として、北海道の工業高等専門学校に通う経済面で苦労する学生向けに設立した“ウェルネット奨学金”により多くの学生を支援しております。2023年度までの累計で902名に対して約98百万円の奨学金を支給しており、経済的困窮による退学者0に直接的に貢献しております。本活動は今後も継続します。
さらに、地元のスポーツ振興に寄与することを目的とし、北海道オール・オリンピアンズが推進する「スクラム札幌」構想へ参画、当社社員アスリートである山田将矢選手、山田和哉選手兄弟揃っての世界の舞台での活躍を支援しております。当社サービスプラットホーム「ekaiin.com」も有効活用し、ITによるスポーツ振興を促進してまいります。
また、米国で始まったビルやオフィスなどの空間を健康の視点で評価・認証する「WELL認証」最高ランク「プラチナ」認定を受けている当社本社社屋は、創意と工夫を凝らしたオフィスを表彰する「第36回日経ニューオフィス賞」も受賞、人的資本である従業員に最高レベルの労働環境を提供することで生産性向上や働き方改革など企業価値の向上を実践しております。
(2)財政状態に関する説明
① 資産、負債、及び純資産の状況
当中間会計期間末における総資産は35,839百万円となりました。流動資産は29,404百万円であり、主な内訳は現金及び預金23,214百万円であります。現金及び預金には回収代行業務に係る収納代行預り金が19,092百万円含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであります。また、預り金には送金サービスに係る預り金が含まれており、送金サービスに係る信託口座への預け金を相殺した残高961百万円がありますが、これも所定期日に事業者の取引先に送金されるものであります。これらの預り金は一時的に当社が保管するものであります。また、固定資産は6,435百万円であり、内訳は有形固定資産3,819百万円、無形固定資産334百万円、投資その他の資産2,280百万円であります。
一方、負債合計は27,532百万円となりました。主な内訳は収納代行預り金19,092百万円であります。
純資産合計は8,307百万円となりました。主な内訳は株主資本8,207百万円であります。
(参考)現金及び預金の純額(回収代行業務に関する預り金を相殺した、正味の現預金残高)
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前事業年度末 (2024年6月30日) |
当中間会計期間末 (2024年12月31日) |
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(A)現金及び預金(百万円) |
16,657 |
23,214 |
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(B)収納代行預り金(百万円) |
11,427 |
19,092 |
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(C)送金サービスに伴う預り金(百万円) |
552 |
961 |
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(A)-(B)-(C)現金及び預金純額(百万円) |
4,677 |
3,160 |
② キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は23,214百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は8,390百万円となりました。主な増加要因は税引前中間純利益の計上820百万円、預り金の増加881百万円、収納代行預り金の増加7,665百万円であり、主な減少要因は売上債権の増加252百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は1,124百万円となりました。主な減少要因は敷金及び保証金の差入による支出1,000百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は709百万円となりました。主な減少要因は自己株式の取得による支出299百万円、配当金の支払額417百万円であります。
(3)研究開発活動
当中間会計期間における研究開発費の総額は18百万円であります。
(4)業績予想などの将来予測情報に関する説明
2025年6月期の業績予想につきましては、2024年8月14日付の「2025年6月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」で公表いたしました業績予想から変更ありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。