当連結会計年度末現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、一人ひとりのお客様に想像を超える驚きや喜びを感じていただけるよう、そして一人ひとりが自分らしく輝ける世界の実現に向けて、Delightの提供に真っすぐに向かう意味を込め「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」をミッション(企業使命)として掲げ、グループ全体で各種の経営施策に取り組んでおります。
当社グループは、エンターテインメント領域や社会課題領域で各種事業を展開しておりますが、それぞれの特徴を活かした収益基盤の形成を図りつつ、構造的・継続的に成長する事業群を形成し、事業間のシナジーの形成を含め、IT企業の新しい進化を体現し、企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、ROEも重視しつつ、当社グループの企業価値を継続的に高めていくことが経営上の最重要課題だと認識しております。このため、売上収益、営業利益、EPS等の経営指標を重視し、「(4) 会社の対処すべき課題」に記載のとおり、それぞれの事業特性やフェーズに合わせた取り組みを行っております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
スマートフォン等の高機能端末の普及やAI(人工知能)をはじめとする技術の進化により、こうした環境や技術を活用した事業機会は今後さらに広がっていくと考えております。
こうした現状認識、及び当社グループのミッション及びビジョンに基づき、当社グループでは、エンターテインメント領域や社会課題領域で各種事業を展開しておりますが、それぞれの特徴を活かした収益基盤の形成を図りつつ、構造的・継続的に成長する事業群を形成し、シナジーの形成を含め、IT企業の新しい進化の体現を図ってまいります。
また、当社グループは、いち早くモバイルインターネットの可能性に着目し、時代のニーズを捉えた事業を次々に立ち上げて成長してきました。今後もインターネットやAI等の技術を活用し、当社のサービスの構築力や様々な企業との協業経験等を活かし、一層強い事業ポートフォリオ実現を目指してまいります。
中長期的な企業価値の向上に向けた取り組み内容等につきましては、「(4) 会社の対処すべき課題」にも記載しております。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、「(1) 会社の経営の基本方針」に記載の当社グループのミッションを実現するため、優先的に対処すべき課題について以下のとおり取り組んでまいります。
①構造的・継続的に成長する事業群の形成
当社グループは、エンターテインメント領域や社会課題領域で各種事業を展開しておりますが、それぞれの特徴を踏まえた収益基盤の形成を図りつつ、構造的・継続的に成長する事業群を形成し、各事業とも有意な利益貢献をする構造を目指してまいります。また、事業間のシナジーの形成を含め、IT企業の新しい進化を体現してまいります。
ゲーム事業では、より強い事業構造を目指し、ボラティリティによるリスク軽減を主眼に、新しい開発アプローチへの挑戦や、中国事業の見直し等を進めております。また、引き続き、外部有力パートナーとの提携関係に基づくタイトルの開発・運営や、グローバル市場も視野に入れたタイトル展開を行うとともに、中長期的には、パートナーとの協業やテクノロジー等の強みを活かし、広義のエンターテインメント領域での事業機会の創出も目指してまいります。あわせて、費用構造の筋肉質化及び固定費の最適化を図り、健全な収益性の確保に努めております。
ライブストリーミング事業においては、近年その売上収益の規模は大きく拡大しておりますが、投資にあたっては、事業特性を踏まえたコストコントロールや、機動的な成長投資を行いつつ、今後より収益性を重視しながら成長を図ってまいります。
スポーツ事業やまちづくりでは、興行を中心とした既存の事業を着実に推進しつつ、将来のスマートシティ展開へ向けた取り組みを進め、スポーツ興行を超えた事業の広がりを目指してまいります。
ヘルスケア・メディカル事業では、ヘルスビッグデータ及び医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の領域に注力し、質の高いサービスの構築・浸透を図りつつ、さらなる成長や収益力向上に注力してまいります。
②一層強い事業ポートフォリオ実現に向けた成長のための継続的な挑戦
当社グループは、設立以来、永久ベンチャーとして、変化の速いインターネット市場の動向をいち早く捉えて様々な事業を創出し、中核事業を変遷させながら企業価値を向上させてまいりました。当社グループは、経営資源を効率的に活用しながら、長期的に大きな価値を創出することを目指してまいります。
そのために、当社グループは、モバイルインターネット及び当社の強みを発揮できるその他の事業領域において、これまでの事業で蓄積した知見やノウハウを活かし、また、インターネットやAI(人工知能)等の技術を活用し、事業の創出・育成に取り組んでまいります。
③本質的な価値・喜びの提供の実現を図る組織・風土の強化
当社グループにおいては、お客様に本質的な価値・喜びを提供できているか、社会的価値・意義を創造し提供できているか、といった観点から、経営陣及び全事業部門がサービスの状況やお客様の声を適時適切に把握し、各サービス単位がDelight観点でより高い意識を持ち、より多くのDelightを届けることができるよう、役職員の意識向上及び組織づくりを推進してまいります。
また、当社グループは、さらなる事業領域の拡大を推進する方針に対応して、経営陣の後継者育成、各種の人事制度並びに優秀な人材の採用及び育成強化等を通じて組織力の強化に取り組んでまいります。
④コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の透明性・公正性を確保し、企業価値の持続的向上のための挑戦をし続ける体制の維持・強化のため、当社取締役会による取締役の職務執行に対する監督及び助言機能の一層の充実、並びに、取締役会及び監査役による、内部統制システムの運用等の業務執行の監督・監査のさらなる充実を図ってまいります。
また、当社取締役会において、取締役会及び指名委員会・報酬委員会等について、運用状況及び実効性を分析・評価するとともに、継続的な改善を行ってまいります。
⑤コンプライアンス及びリスク管理体制の強化
当社グループの取締役及び従業員は、当社グループのミッション及びビジョンを実現するために、グループ行動規範を遵守してまいります。また、当社グループが社会の一員として約束することとして「DeNA Promise」を、また、Delightにまっすぐ向かうチームであるために「DeNA Quality」をそれぞれバリュー(共有価値観)とし、事業及び業務上のコンプライアンス及びリスクマネジメントを徹底してまいります。各組織がコンプライアンス・リスク管理部門のサポートを得つつ、企業倫理の一層の向上、コンプライアンス体制及びリスク管理体制の充実・強化を図ってまいります。
当社は、当社グループのミッション(企業使命)、ビジョン(事業展望)及びバリュー(共有価値観)を、当社のサステナビリティを巡る取り組みについての基本的な方針としております。
当社は、「一人ひとりに想像を超えるDelightを」をミッションとして掲げ、多様なステークホルダーと適切に協働しながら、あらゆる領域にDelightを届け、あらゆる人が自分らしく輝ける世界の実現に貢献したいと考えています。
また、当社は、バリュー(共有価値観)である「DeNA Promise」(当社グループが社会の一員として約束すること)においても、持続可能な企業活動の推進を掲げ、グローバル市民として、経済・社会・環境の調和を重視した企業活動を推進し、持続可能な未来に貢献することとしております。
当社取締役会は、これら基本方針に基づき、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組んでまいります。
(1)ガバナンス
当社取締役会は、当社のサステナビリティを巡る取り組みについての基本的な方針及びサステナビリティに関するリスク・機会認識に基づき、サステナビリティへの対応方針・施策等について監督します。サステナビリティへの対応方針・施策等は、サステナビリティ担当取締役であるCEOを中心として、各部門が主体となって推進し、これらの進捗状況等を定期的に取締役会に報告します。
サステナビリティに関するリスクは、各部門が、全社的なリスクマネジメント・フローを統括しているコンプライアンス・リスク管理部門と連携の上、個別のリスクの認識及び対応方針の策定を推進します。
当該リスクは、全社的なリスクマネジメント・フローに沿って、定期的に取締役会及び経営会議に報告します。
(3)戦略及び指標と目標
サステナビリティを巡る課題のうち、人的資本、気候変動、情報セキュリティについて以下に記載いたします。
①人的資本
(人的資本への投資の基本的な方針)
当社は、組織・人材や技術・ものづくりを重視しており、人的資本への投資にあたっては、当社グループのバリュー(共有価値観)として掲げる「DeNA Promise」(当社グループが社会の一員として約束すること)を基本的な方針としております。
すなわち、人的資本への投資にあたっては、社員の多様性を尊重し歓迎して、関わった全ての社員にとって、当社での経験がかけがえのないものとなり、個々の人生やキャリアをより豊かなものにすることで、当社の内外問わずに活躍し社会に貢献できるよう、人材の成長にコミットします。
(人的資本に関する重点的な取り組み)
人的資本への投資にあたっては、社員の多様性を歓迎し、関わった全ての社員にとって、当社での経験がかけがえのないものとなり、個々の人生やキャリアをより豊かなものにすることで、当社の内外問わずに活躍し社会に貢献できるよう、人材の成長にコミットします。具体的には、以下のような取組みを重点的に行っております。
・DeNAの可能性を広げる変化の起こせる人材を採用
└不断に新たな事業の創出に挑むことが当社の持続的な成長にとって重要であると考え、その核となる挑戦心の豊かな変革人材の採用に注力しております。
・成功確率が五分五分の高い目標と大胆な権限委譲で人材を育成
└実務の機会に十分に高い目標に向かって裁量をもって奮励する時こそ人材が最も成長すると考え、その挑戦の場の提供と社員が積極的に挑める制度や風土づくりに取り組んでいます。成長機会のひとつとして独立・起業・スピンアウトの後押しもしております。
・優れた人材に相応の報酬とさらなる挑戦の機会を提供
└大きな目標に向かって挑戦し大きな成果や高いパフォーマンスを発揮した人材には報酬面も機会面も大きく報い、さらなる挑戦を後押ししております。次なる挑戦者を惹きつける原動力でもあります。
(多様性の確保についての考え方・人材育成方針・社内環境整備方針)
当社は、当社ビジョン(事業展望)において「挑戦心豊かな社員それぞれの個性を余すことなく発揮することで世界に通用する新しいDelightを提供し続けます」と表明しております。また、バリュー(共有価値観)として当社グループが社会に約束する「DeNA Promise」において「多様な社員が活躍し成長する環境作り」として多様性の尊重と歓迎を掲げております。
当社は、多様性の確保は、社会へのDelightの提供と、持続的な企業価値向上のために必須のこととして真摯に取り組む、ということを基本的な考え方としております。この多様性は、個々人がバックグラウンドや経験・スキル・性格などに基づき、異なる強みと多角的なものの見方を組織にもたらすことであり、性別・国籍・入社経路などの属性は、個々人のこういった多様性と一定相関があるとの認識のもと、代替指標の一つとして用いるものと考えております。
(多様性の確保に関する目標と状況)
当社は、上記の考え方に基づき、多様性の確保に関して、性別・国籍・入社経路などの属性情報に基づいた社員数等の定量的指標のみは重視しておりません。多様な社員全員が、その個人の属性にかかわらず活躍できている、Delightの提供に向けて存分に力を発揮できている、と感じている状況の実現を目指しております。
その一環として、当社においては、2021年より、「多様な人材が活躍する環境に関するアンケート」として、当社全正社員に対して、性別・国籍・入社経路の属性情報を原因として、重要ポジションへの登用がされづらいなど、活躍しづらさを感じていないかを分析するためのアンケート調査を実施しております。
最新の、2023年10月から11月にかけて実施したアンケートでは、回答者(995/当社正社員1,385名※DeNA単体)中、女性・外国籍・中途採用の各属性に該当する者のうち、これらの属性が原因で活躍しづらいと感じている比率は以下のとおりでした。
女性という理由 11.9%(30/252名) 外国籍という理由 16.1%(10/62名) 中途採用という理由 11.1%(88/795名)
前回、2022年10月に実施したアンケートでは、
女性という理由 15.2%(31/204名) 外国籍という理由 20.5%(9/44名) 中途採用という理由 11.7%(74/635名)
でした。いずれの比率についても改善しております。
前回アンケートの実施後、当社では役職員に対し、無意識のうちに持ってしまう偏見(アンコンシャス・バイアス)を自覚・改善するための研修や、会話で用いる言葉への意識改善を促す内容などを盛り込んだハラスメント研修の実施などの取組みを行ってまいりました。また、2021年度からは全ての中途採用者を対象として、多様性を重視する当社ミッション・ビジョン・バリューの理解促進や多様な従業員の相互理解を目的としたオンボーディングプログラムも実施しております。
今後もすべての質問項目において活躍しづらいと感じている社員の比率を低くすることを目指し、引き続き多様な社員が活躍できる環境整備及び様々な取組みを推進してまいります。
②気候変動
当社は、社会課題のなかでも、気候変動が社会に及ぼす影響は特に大きいと考えており、気候変動への対応も重要であると認識しております。こうした背景から、当社は、2022年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同いたしました。また、気候変動に関するこれまでの取り組みとして、取締役会によるガバナンス体制の確認、シナリオごとのリスク、対策及び機会の検討・認識、全社的なリスクマネジメント・フローにおける位置づけの整理、並びに、温室効果ガス排出量の算定を行ってまいりました。上記の取り組みを踏まえ、TCFD提言の枠組みによる情報開示を実施しております。
ご参考)
③情報セキュリティ
当社は、一人ひとりに想像を超えるDelightを届けるため、インターネットやAIを活用して様々なサービスを提供しています。これらのサービスは特性上、サイバー攻撃やプライバシー侵害に関する脅威への対策が重要であると認識しております。
当社は、代表取締役社長を委員長とする情報セキュリティ管理委員会、個人情報管理委員会を設置し、グループ横断的な情報セキュリティ及び個人情報管理体制を整備し、運営しています。情報セキュリティ管理委員会/個人情報管理委員会で議論した事項は定期的に経営会議に報告し、経営上重要な事項は経営会議においても議論しており、特に重要性の高い事項については取締役会にも報告しています。
ご参考)
以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク(投資者の判断に重要な影響を与える可能性がある事項)を記載しております。当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 事業環境に関するリスク
①インターネット及びAI(人工知能)関連業界の変化及び新しい技術への対応について
インターネットの利用は、モバイル端末によるものを中心に拡大し続けており、多種多様な分野でのインターネットサービスが日々生み出されています。また、AI技術のビジネスへの活用の進展が社会的に注目されています。
当社グループは、特にスマートフォン等のモバイル端末向けインターネットサービスに強みを持ち、ゲームをはじめとした各種サービスを展開し、AI技術の活用によるサービス価値向上に向けた取り組みを進めておりますが、当社グループが提供するサービスに関連した市場における新規参入によるシェアの急変や新たなビジネスモデルの登場等による市場の構造変化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
社会全般でインターネット及びAI関連の新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、研究開発や他社との提携等が進まない、エンジニアの人材確保ができない、または人材育成が図れない等により新技術に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術に対応するために多大な支出が必要となった場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
さらに、AI技術に関しては、一般的にAI技術を用いたサービスの信頼性や正確性、有用性等が論点となりうるほか、AI技術の利用の態様によっては、人間の尊厳、プライバシー、公平性、透明性等に関わる倫理的な問題が生じる可能性があり、そのような論点・問題によってサービスの提供に影響を与えた場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
インターネット及びAIに関連する技術革新やビジネス構造の変化は、その性質上、事業環境に影響を与える時期や、その影響の度合いを合理的に予測することは困難ですが、これまでの情報技術の発達やビジネス構造の変化の歴史に鑑みても、確実に発生するものであると認識しております。当社グループは、ビジョン(事業展望)においてインターネットやAIを自在に駆使しながら事業を展開することとしているほか、バリュー(共有価値観)である「DeNA Promise」及びDeNAグループAIポリシーにおいて、臆することなく新しい技術やサービスに挑戦するとともに、技術の進歩が社会にもたらす課題には誠実に向き合い克服していくことを社会に約束しております。
このように、インターネット及びAIに関連する技術革新やビジネス構造の変化に対応することは当社における重要な課題として認識し、インターネット及びAIを活用したサービスの企画立案及び実施にあたっては、コンプライアンス・リスク管理部門も含めた多角的な事業検討を行う管理体制を構築し、リスクの低減を図っています。このような体制を整備することにより、より一層インターネット及びAIの活用によるサービス価値向上に向けた取り組みを推進し、事業機会の確保及び競争力の強化に努めておりますが、インターネット及びAIに関連する技術革新やビジネス構造の特性上、これらの対応策によっても、上記のリスクが顕在化することを防止することはできず、これにより当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
②モバイル端末のOS提供事業者への対応について
当社グループは、AndroidやiOSといったOS(オペレーティングシステム)を搭載したモバイル端末向けに事業を展開しております。そのため、当該OSに関する事故等によってサービスが提供できなくなった場合、OS提供事業者による予測困難な措置によってサービスが提供できなくなった場合、当該OS上でサービスを提供する際にOS提供事業者より課される条件・ルール等及びその運用の大幅な、もしくは予測できない変更もしくは新たな条件・ルール等の設定により従来どおりのサービスが提供できなくなった場合、当該条件・ルール等及びその運用の変更・新規設定に対応するために多大な支出が必要となった場合、当該条件・ルール等及びその運用が当社グループに不利なものに変更された場合、または、当該条件・ルール等及びその運用の変更・新規設定に対応しきれず、OS提供事業者によるサービスの配信停止やアカウントの利用停止等が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
OS提供事業者より課される条件・ルール等及びその運用の大幅な、もしくは予測できない変更または新たな条件・ルール等の設定の時期の見通しは困難であり、またそれによる影響を合理的に予測することも困難です。当社グループとしては、最新のOSに適合するサービスを構築するための開発体制の整備を行うとともに、OS提供事業者より課される最新の条件・ルール等を常に把握し、サービスへ適用するための管理部門及び事業部門における管理及び連携体制を整備することにより、これらのリスクが顕在化し、経営成績等に影響を与える可能性を可能な限りコントロールするよう努めております。しかしながら、OS提供事業者との関係上、これらの対応策によっても、上記のリスクが顕在化することを防止することはできず、これにより当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
③他社との競合及び消費者の動向について
インターネット及びAI関連業界をはじめとする当社グループの事業領域は、いずれも、他社との強い競争にさらされております。当社グループは、時代のニーズを捉えた特色あるサービス等の構築及び提供、ユーザの利用環境及び安全性向上のための施策やカスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、当社グループと類似のサービスを提供している企業や新規参入者との競争が激化すること、または、消費者の需要動向が変化すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
競争の激化及び消費者の需要動向の変化に係るリスクが顕在化する可能性、時期、及び影響の程度の合理的な見積もりは困難ですが、時代のニーズを捉えた特色あるサービスに対しては、その将来性ゆえに新規参入者による事業展開から競争が激化するものであり、事業運営上の恒常的なリスクであると認識しております。当社グループとしては、ビジョンにおいて、エンターテインメント領域と社会課題領域の両軸の事業を展開するユニークな特性を生かして事業展開を行うことを掲げており、さらに魅力・競争力のあるサービス提供のための社内環境整備及び人材育成に努めております。しかしながら、当社グループの事業の特性上、これらの対応策によっても、上記のリスクが顕在化することを防止することはできず、これにより当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(2) 各事業に関するリスク
①モバイルゲーム等のコンテンツを用いた事業について
モバイルゲームに代表される、コンテンツを用いた事業においては、ユーザの嗜好の移り変わりが激しく、何らかの要因によりユーザニーズの的確な把握や、ニーズに対応するコンテンツの提供ができない場合には、ユーザへの訴求力が低下し、コンテンツの収益性が低下し、または新規のコンテンツを提供できず、経営成績等に予期せぬ重大な影響を与える可能性があります。
また、継続してコンテンツの拡充を図っていく必要がありますが、計画どおりにコンテンツの拡充が進まない場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に、モバイルゲームに関しては近年その開発費が上昇傾向にあり、開発費と予想される収益との兼ね合いから新規タイトルの開発が予定通りに進行できない可能性もあり、それによりコンテンツの拡充が進まない可能性もあります。
ユーザの嗜好を常に的確に捉えることは容易ではなく、外部パートナー企業のコンテンツ開発体制の確保は当社グループとは異なる外的要因にも左右されることから、これらのリスクが顕在化する可能性は事業の性質上常に一定程度潜在しています。当社グループとしては、ユーザニーズを的確に把握及び分析するための社内組織の設置や施策の実行を通じて、常にニーズに対応するコンテンツの企画立案及び開発に努めていることに加え、継続的に優れたコンテンツを提供できるよう、開発体制の強化並びに外部パートナー企業の開拓及び関係構築に継続的に取り組むことでこれらのリスクに対応しておりますが、これらのリスクを完全に解消することは性質上困難です。
加えて、当社グループや外部デベロッパーの提供するコンテンツに関して重大なトラブルが発生した場合または業務委託先企業を含む外部パートナー企業が重大なトラブルを引き起こした場合、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があり、法的責任を問われない場合においても、信用及びブランドイメージの低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、提携先やIP(知的財産権)提供者、当社グループが運営するプラットフォームにコンテンツを提供する事業者との契約または提携関係の内容が変更され、もしくは終了する等により主要なコンテンツに変更が生じ、または提供ができなくなった場合や、関連するコンテンツの売上・収益性が低下した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に、事業上の重要性が高いコンテンツに関するサービスにおいてこれらの事象が発生した場合には、当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期については、外的要因に大きく左右されることから、合理的に予測することは困難です。当社グループとしては、優良な外部デベロッパーの選定や、業務委託先に対する委託業務の管理の徹底により、トラブルが起こる可能性を最小限に抑えるよう努めるとともに、事業部門と契約内容を確認する管理部門との連携を強化し、予想しない契約または提携関係の内容の変更または終了が発生することがないよう契約管理体制を構築することにより、当該リスクが顕在化する可能性を可能な限りコントロールするよう努めておりますが、それにもかかわらず、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
②スポーツ事業について
当社グループでは、プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」、プロバスケットボールクラブ「川崎ブレイブサンダース」の運営をはじめとするスポーツ事業を行っております。
当該事業においては、対象となるスポーツ業界の動向の変化や運営するチームの競技成績が、観客動員数及び当社グループの収益等に影響を与える可能性があり、さらに、競技成績向上のためのチームの補強や設備投資等による支出が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、スポーツ興行を実施する際には多数の観客が来場することから、打球事故その他の事故等を防止するために必要な措置等を講じておりますが、それにもかかわらず何らかの事故等が生じた場合、多額の損害賠償請求並びに当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、地震・台風等の自然災害や事故等により、スポーツ興業で利用する施設が損壊等して利用ができなくなった場合や、伝染病等の影響その他の理由により正常な興行を行えない状況が生じた場合に、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。さらに、当社グループでは「横浜スタジアム」の所有者である横浜市と、プロ野球等興行開催の優先的使用等を内容とする契約を締結した上で、当該スタジアム施設の運営を行っておりますが、当該契約の今後の更新等の状況や利用条件の変更等によっては、当該スタジアム施設の利用ができなくなったり、利用に制約が生じたりする等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、プロバスケットボール等の他のスポーツの興行開催等のための施設利用に関しても同様のリスクがあります。これらのリスクが顕在化した際の当社グループの業績に関する影響としては、入場料、スポンサー及び物販・飲食等に係る収入に甚大な影響が及ぶものと考えております。
当社グループは、観客やファンを惹きつける事業の価値創出、安全管理措置及び「横浜スタジアム」所有者である横浜市等の施設所有者との連携強化等に取り組んでおりますが、競技成績の動向並びに打球事故等の興行中の事故及び自然災害の発生等のリスク要因は発生を予見することが困難であり、その性質上当該リスクが顕在化する可能性は常に一定程度潜在しているものと認識しております。
③ライブストリーミング事業について
当社グループでは、ライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」、キャラライブアプリ「IRIAM(イリアム)」等の運営によるライブストリーミング事業を行っております。
これらのアプリにおいては、ライバー(配信者)とリスナー(視聴者)それぞれからの情報発信が行われることから、ライバーによる配信内容またはユーザ間におけるコミュニケーションにおいて、他者の権利等の侵害や法令違反行為、不適切な内容を含む表現行為、ユーザの行為等に起因するトラブルが生じる可能性があります。また、ユーザやサービスを利用する事業者が、サービス内外でサービスの健全性に影響を及ぼす行動をとる可能性があります。これらのリスクについての詳細は、「(2) 各事業に関するリスク ⑧不特定多数の者を対象とする事業について」及び「(7) コンプライアンスに関するリスク ①サービス等の健全性の維持について」をご参照ください。
④ヘルスケア・メディカル事業について
当社グループは、ICT(情報通信技術)を活用した健康増進支援サービス、認知機能検査サービス、医療現場における情報共有・コミュニケーションサービスの運営、ヘルスケアデータの利活用、及び保健事業の支援等のヘルスケア・メディカル事業を行っております。
当該事業においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「医師法」、「個人情報の保護に関する法律」その他の国内外の法規制に抵触しないようサービスを構築し、また研究開発を進めていますが、今後、当該事業分野あるいは取り扱う機器等に関して認定制度の適用や関連する法規制等の改正またはヘルスケアデータの取扱いに係る法規制の改正等により、当該事業が何らかの制約を受ける場合及び追加費用の発生等の事態が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当該事業では、個人の健診情報等機微性の高い情報及び匿名加工、統計処理等により得られる情報を大量に取り扱っており、また今後事業の多面化にあたって取り扱う情報の増加、多様化も想定されるところ、万一、情報漏洩や取り扱いの不備が生じた場合、当社グループへの多額の損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。さらに、当該事業における各種サービスに関連する技術発達は継続しており、市場における競争もより激化する可能性があります。また、当社グループのサービスか否かにかかわらず、ヘルスケア・メディカル事業に関して社会的・倫理的問題が提起される事態が発生する等の市場環境の変化が生じた場合、当該事業の業績に影響を与える可能性があります。加えて、ヘルスケア・メディカル事業において、提供情報・提供サービスが不正確であったり、不具合・不都合等が生じたりした場合、または事業に必要な機器等に不足、不具合等が生じた場合等、良質なサービスの維持が困難となる事象が生じた場合、サービス提供の中止、販売製品の回収及び多額の損害賠償請求並びに当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
ヘルスケア・メディカル事業に係るリスクは、事業状況や外的要因による影響が大きく、顕在化する可能性の程度や時期の合理的な予測は困難ですが、当該リスクが顕在化した場合、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等による重大な影響が当社グループの全体の事業展開に及ぶ可能性があります。
当社グループとしては、特に機微性の高い情報の情報漏洩や取扱いの不備に起因するリスクを経営上重要なリスクと位置づけております。当該関連事業を実施するグループ会社において、情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度であるISO/IEC 27001:2013(JIS Q27001:2014)(通称:ISMS)の認証や、プライバシーマーク(JIS Q15001:2017)の認証の取得等を通じて、厳格な情報管理を含めた事業管理体制構築を促進しており、当該リスクが顕在化する可能性を最小限に抑えるよう努めておりますが、上記のようなリスクが現実化することを完全に防止することは困難です。
⑤新規事業について
当社グループは、成長に向けた挑戦として、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これによりシステム投資、不動産関連投資、広告宣伝費、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わるとともに、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在する可能性の程度や時期、業績に与える影響は、当該新規事業の性質及び投資の規模に左右されることから、合理的な予測は困難です。新規事業の企画・計画立案及び推進の過程において、投資回収の可能性の程度及び潜在するリスク等の分析を経営の視点から精緻に行うこと等により、当該新規事業の進展に付随するリスクを最小限に抑えるよう、人材育成の観点も含めて努めておりますが、新規事業の性質上、これらの対応策によっても、上記のリスクが顕在化することを防止することはできません。
⑥投資活動について
当社グループは、高い成長力を持つ企業を早期から育成・支援することを目的にベンチャー投資及びファンドへの出資を実行しております。当該出資等の対象とする未公開企業は、市場環境の変化並びに開発能力及び経営管理能力の不足等、将来性において不確定要素を多数抱えており、期待した成果を上げることができず業績が悪化した場合には、これらの出資等が回収できず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、投資先が違法または不適切な行為を行い、当社グループが法的責任を負わない場合においても、信用及びブランドイメージの低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、2020年3月期には、ベンチャー投資を目的としたファンドを組成し、また、2023年3月期及び2024年3月期においても、起業家の輩出及びベンチャー投資を目的としたファンドを組成しており、当該出資規模・運用期間の範囲において、当該ファンドに関する各種リスクが顕在化する可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、業績に与える影響は、投資先における事業の性質及び出資額の規模に左右されることから、合理的な予測は困難です。当社グループとしては、出資者として出資先のモニタリング及び必要なアドバイスを可能な限り実施することで当該リスクの発生可能性を抑えることに努めておりますが、上記のようなリスクが現実化することを完全に防止することは困難です。
⑦海外事業について
当社グループは、海外において事業を展開しておりますが、海外事業においては、各国の法令、制度、政治(国家間の政治的動向を含む。)・経済・社会情勢、文化・宗教・ユーザ嗜好・商慣習・倫理観の違い、為替等をはじめとした様々な潜在的リスクが存在します。それらのリスクに対処できないこと等により事業推進が困難となった場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期については、各国の法令や制度、環境の変化によることから、合理的に予測することは困難です。当社グループにおいては、海外事業におけるリスクの顕在化の可能性及び業績に与える影響を最小限に抑えるべく、海外事業における管理体制及びグループ会社管理体制や、コンプライアンス体制の構築に努めております。しかしながら、諸外国における法令、制度、政治(国家間の政治的動向を含む。)・経済・社会情勢等の変更はその社会背景上予測が困難な側面があることを踏まえ、海外事業の拡大に伴い、当該リスクが顕在化する可能性は事業運営上常に一定程度潜在するものと認識しております。
また、海外子会社の財務諸表を連結財務諸表作成時に現地通貨から円換算する場合または当社グループにおいて外貨建取引が増加した場合には、為替相場の変動が当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
⑧不特定多数の者を対象とする事業について
当社グループは、モバイルゲーム、ゲームプラットフォーム、ライブストリーミングサービス及びインターネットオークションサービス等の、不特定多数のユーザを対象とするサービス等を展開しております。ユーザ間で行われるコミュニケーション機能等を提供するサービスにおいては、他人の所有権、知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害行為や法令違反行為等、不適切な行為が生じる可能性があります。ユーザによるサービス内の行為を完全に把握することは困難であり、ユーザの不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループにおいては、監視体制の維持強化やサービスの利用方法についての注意喚起等に継続して取り組むことで当該リスクの発生可能性を減少させるよう努めておりますが、リスクが現実化することを完全に防止することは困難です。
これらのリスクの発生要因はユーザの利用状況に依存することから、顕在化する可能性の程度やその時期、業績に与える影響を合理的に見積もることは困難ですが、サービスの停止等サービスを維持できない状況に陥った場合、サービスの売上及び利益の相当部分が損なわれる可能性があります。
なお、インターネットオークションサービスにおいては、取引の場を提供する立場から、出品の継続的な監視等に加えて、規約において、出品された商品等に関する一切の事項や落札後の取引等について、当社グループが何らの責任を負わない旨、明記しております。さらに、通信販売業者による広告を規制する「特定商取引に関する法律」に基づき、出品者に対して、その出品数等に応じて、かかる広告の掲載に関する独自の基準を設定して自主規制を行っております。加えて、通信販売業者との約款において、広告内容に関する責任の所在が通信販売業者にあることを確認しております。このように、当社グループは、インターネットオークションサービスに関連するリスクが顕在化する可能性を可能な限りコントロールするよう努めており、かかる取り組みは相応の効果を有しているものと判断しておりますが、それにもかかわらず、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑨終了または譲渡等した事業について
当社グループにおいて過去に運営し、終了または他社に譲渡等した事業において、違法行為、不正行為その他の不適切な行為や認識していない債務等があったことが発覚した場合、当社グループが当該行為・債務等の法的責任を問われたり、損失が発生したりする可能性があります。また、法的責任等を問われない場合においても、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。これらのリスクは、当社グループにおいて認識していない事象に基づくものであるため、顕在化する可能性の程度や時期については、合理的に予測することは困難です。
当社グループとしては、現に運営する事業及び終了または他社に譲渡等する予定の事業においても違法行為、不正行為その他の不適切な行為が行われないよう、法的観点も含めた事業管理体制及びコンプライアンス・リスク管理体制を整備しており、かかる取り組みは相応の効果を有しているものと判断しておりますが、それにもかかわらず、これらのリスクが顕在化した場合、当該行為等の性質または規模によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 業務提携、M&A等に関するリスク
①他社との業務・資本提携、合弁等について
当社グループでは、他社との業務・資本提携、合弁等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先・合弁先の持つ事業運営ノウハウ等を融合することにより、大きなシナジー効果を発揮することを目指しておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またはこれらの提携等が変更または解消等された場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に、モバイルゲームに関連した他社との提携関係に変化が生じた場合、当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
提携先・合弁先との提携及び事業運営形態には多様な様態があり、当初見込んだ効果が発揮されないことや提携等の変更または解消等が生じる可能性や時期、業績に与える影響を一律に見積もることは困難ですが、多様化及び複雑化した事業の拡大に対応する事業管理体制の整備や、提携先・合弁先との関係の強化に努めております。
また、資本提携等に伴い取得した株式等の有価証券について、発行会社の業績や金融市場の動向その他の要因により有価証券の資産価値が変動した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。特に重要なものとして、当社グループでは、業務・資本提携先である任天堂株式会社の株式8,797,000株を保有しており、当該有価証券の資産価値の変動により、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
②M&A(企業買収等)による事業拡大について
当社グループは、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、M&Aを活用する方針です。M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての審査に努め、リスクを検討した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合やM&A後の事業の統合または事業の展開等が計画どおりに進まない場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、M&Aにより、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。
M&A後の事業展開に関するリスクが顕在化する可能性及び時期は、当該M&Aが実施される時期及びM&A実施後の事業展開に起因することから、合理的な予測は困難であると認識しておりますが、M&Aの実施にあたっては、M&Aを行うことにより生じるリスクを精査の上、その事業内容に応じたリスクの対応策も検討することとしているほか、M&A実施後においても継続して事業状況を把握することでリスクの対応方針を常にアップデートおります。
なお、当連結会計年度末時点では、連結財政状態計算書においてのれん33,562百万円を計上しており、当該のれんの計上額に係る減損処理等が当社グループの経営成績等に影響を与えるリスクが潜在しています。
(4) 通信ネットワークやコンピュータシステムに関するリスク
当社グループの事業は、モバイル端末やPC等のコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しているものが多く、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの運営する各サービス等へのアクセスの急激な増加や電力供給の停止、クラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータシステムがダウンした場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループのコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセス、その他のシステム障害・トラブル発生を回避するよう努めておりますが、当社システム上の脆弱性の悪用・不正アクセス等による情報漏洩等が生じた場合や、コンピュータウイルスやハッカーの侵入、当社起因のトラブル等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、通信ネットワークや情報システムインフラに係るこれらのリスクは、外的要因・予測不可能な要因によるものも多く、顕在化する可能性及び時期を具体的に予見することは困難です。インターネットサービスを中心に事業展開する当社グループの事業構造が維持される限りは、恒常的に潜在するリスクと認識しており、重要なサービスの停止等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動が社会に及ぼす影響は大きいと考えております。世界的な気候変動への対策により、再生可能エネルギーへの転換が進展し、炭素税や関連規制が導入された場合には、事業コストの増加により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、気候変動への対策不足や、環境意識の高まりによる行動変容・価値観の変化に当社グループの事業が対応できない場合には、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下並びに事業の収益性の悪化により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、脱炭素社会への移行が推進せず世界的に平均気温が上昇した場合には、災害の激甚化及び頻発化による当社拠点等に対する物理的・人的被害等の発生が見込まれるとともに、気温上昇や感染症の流行等による消費動向の変化により、当社グループの事業の収益性が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、バリュー(共有価値観)である「DeNA Promise」において、持続的な企業活動の推進を掲げ、グローバル市民として、経済・社会・環境の調和を重視した企業活動を推進し、持続的な未来に貢献することとしております。気候変動の対応においても、再生可能エネルギーの効率的な利用や、事業継続計画(BCP)の強化などの対策を検討するほか、環境意識の高まりによる行動変容・価値観の変化に対応した新規事業・サービスの開発を行うなど、気候変動への対策に関する社会の変化を当社グループの事業機会と捉え、社会にDelightを届けてまいります。
しかしながら、中長期的に見た気候変動の状況と社会に及ぼす影響を正確に見積もることは困難であり、当社グループの経営成績等に与える影響の程度を正確に予測することはできません。
(6) 経営体制に関するリスク
①人的資源について
当社グループは、今後のさらなる業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、グループ内の各部門において人材の強化が必要となると考えられます。当社グループとしては、業務内容の変化及び多様化に対応するため、随時人材育成の方針の検討や人材配置の見直しを柔軟に行っており、人材リソースの観点が競争力の低下及び業容拡大の制約要因とならないよう努めております。しかしながら、業容拡大・業務内容の変化に応じた人材育成や外部からの人材採用等が計画どおりに進まず、適正な人材配置がなされない場合には、競争力の低下や業容拡大の制約要因となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。これらのリスクは、人的な要因に基づくものであるため、顕在化する可能性の程度や時期については、合理的に予測することは困難です。
②内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。当社は、コンプライアンス・リスク管理部門が当社グループのコンプライアンス及びリスク管理を統括するほか、内部監査部門や監査役補助部門を設置する等、多様な形態の事業展開及び事業拡大に対応できる内部管理体制の構築及び充実に努めております。
しかしながら、事業内容の変化により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、それに起因して適切でない業務が行われた場合、当該業務の規模及び性質によっては、当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける管理体制に関連して、固定費の削減を進める方針としております。しかし、固定費の削減・管理が進捗せず、事業により得られる収益とのバランスを欠くこととなった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化する可能性の程度や時期については、その性質上合理的に予測することは困難です。
③災害復旧対策等について
当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定しており、事業を可能な限り維持し、または早期に復旧するための体制を構築しておりますが、当社グループの主要な事業所は首都圏に集中しており、同所において、地震・台風等の自然災害や、感染症の流行その他の事業活動の継続に支障をきたす予見できない事象が発生した場合、被害の程度によっては、事業の復旧に長期間及び多額の費用を要する可能性があり、特に当社グループの収益基盤となる主要なサービスが停止する事態が生じた場合には、その結果当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
(7) コンプライアンスに関するリスク
①サービス等の健全性の維持について
当社グループの提供するモバイルゲーム、SNS機能を含むゲームプラットフォーム、ライブストリーミングサービス及びインターネットオークションサービス等は、不特定多数のユーザが、ユーザ間において独自にコミュニケーションを取ることを前提としております。
当社グループは、サービスの健全性を確保するため、ユーザに対し、規約や約款において、出会いを目的とする行為や、他人の権利を侵害しうる行為等の社会的問題へと発展する可能性のある不適切な行為や違法な行為等の禁止を明示しているほか、ユーザ間のコミュニケーションやサービス内における利用金額等のモニタリングを随時行い、規約や約款に違反したユーザに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じたり、サービス内における注意喚起を行ったりなどの対応を行っております。モニタリングシステムの強化や、サービス内パトロール等のための人員体制の増強等、システム面、人員面双方においてモニタリングの体制は継続的に強化しております。また、当社グループの提供するサービスに関連して事業活動等を行う事業者について、属性の確認等による審査を実施しているほか、契約や規約等で禁止事項を明示し、サービス内外で不適切な事業活動が行われることを防止する等の措置を講じております。
さらに、サービス等を利用する上でのマナーや注意事項等を明確に表示し、ユーザに適切な利用を促しているほか、サービス上においてユーザが自ら利用限度額を設定できるようにする等、ユーザ自らが健全な利用を実現するための仕組みの導入も、健全性維持の取り組みとして進めております。
しかしながら、ユーザ及び事業者のサービス等における行為を完全に把握すること、不適切な行為や違法な行為等の発生時期を予見すること、及びすべての事業者に対して完全な属性調査を実施することは困難であり、ユーザ及び事業者の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合や、反社会的勢力等の不適切な属性の事業者との関係が生じた場合は、規約や約款の内容にかかわらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、特に当該サービスの停止等の事態が生じた場合には、当該サービスの売上及び利益に係る経営成績等への影響があるほか、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等により当社グループの事業全体に影響が及ぶ可能性があります。
②ユーザの利用環境向上について
当社グループは、コンピュータエンターテインメント産業の振興を推進すべく、プラットフォーム事業者各社、ゲーム提供会社らが参加する一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)等と連携を取りながら、ユーザによる適正利用の促進と利用環境向上のための様々な取り組みを推進しております。今後も必要な施策を実施してまいりますが、これに伴うシステム対応や体制整備に遅延等が発生した場合や、整備に想定以上の費用が発生した場合、あるいは規制強化等により提供するサービスに何らかの大きな制約が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。このリスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合の影響については、利用環境の変化の内容によることから、合理的に予測することは困難です。
③法的規制等について
当社グループが運営するサービスは、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「個人情報の保護に関する法律」及び「特定商取引に関する法律」等の法的規制を受けております。そのほか、当社グループのうち、電気通信事業を行う事業者は「電気通信事業法」における電気通信事業者として同法の適用を受けております。
「Mobage(モバゲー)」、「Pococha(ポコチャ)」等のユーザ間でのコミュニケーション機能を提供しているサービスは、ユーザ間の健全なコミュニケーションを前提としたサービスであり、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に定義される「インターネット異性紹介事業」には該当しないものと認識しております。
「資金決済に関する法律」に関しては、各種サービスにおける有償ポイント等が同法に規定する前払式支払手段として適用の対象となる可能性があり、当社グループは、その法律に沿った運用を行っております。
当社グループは、システム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。また、当社グループの提供するサービスの事業規模・市場の状況等によっては当社グループが行う施策の実施、またはその根拠となる契約または規約の内容等につき「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)に留意が必要です。加えて、当社グループが海外事業を展開する上では商取引、広告、賭博(ギャンブル)、景品、個人情報、プライバシー、データ保護、未成年者保護、独占禁止、知的財産権、人権、消費者保護、労働、不正競争防止(贈賄の禁止を含む)、外国投資規制、課税等に関する法規制並びに事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可等諸外国・地域の法規制が適用されます。
当社グループは、日本及び諸外国・地域の上記を含む各種法的規制や行政機関、国際機関等が定める各種基準、業界団体の定める自主規制等について誠実な対応を行うための管理体制を整備し、実施していることに加え、個々の法的規制の重要性や違反するリスクを踏まえた法的規制の遵守に関する従業員に対する研修を定期的に実施しております。しかしながら、不測の事態等により、万が一当該規制等に抵触しているとして契約等の効力が否定された場合、当社グループが何らかの行政処分や行政指導等を受けた場合、行政機関等から一定の意見表明等がなされた場合、また、今後これらの法的規制等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ、当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクが顕在化する可能性の程度、時期及び経営成績等に与える影響の内容については、個々の法的規制の内容に依ることから、一律の予測は困難です。当該リスクの影響及び顕在化の可能性の程度を踏まえて、上記のとおり、重要なリスクを当社グループ全体で認識して重点的に管理する体制を構築することにより、当該リスクが顕在化する可能性及び影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、それにもかかわらず、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、法的規制につきましては、「(2) 各事業に関するリスク ④ヘルスケア・メディカル事業について」、「(2) 各事業に関するリスク ⑧不特定多数の者を対象とする事業について」及び「(7) コンプライアンスに関するリスク ④個人情報等の保護について」もご参照ください。
④個人情報等の保護について
当社グループは、サービスの提供にあたり、会員情報等の個人情報等を取得し利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。個人情報等については、社長を委員長とする「個人情報管理委員会」のもと、個人情報管理規程及びガイドラインを制定し、個人情報等の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理しております。
しかしながら、個人情報等やプライバシー情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信用の低下等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、ヘルスケア・メディカル事業等の機微性の高い個人情報等の取り扱いが特に重要と認識している事業領域において、「(2) 各事業に関するリスク ④ヘルスケア・メディカル事業について」に記載のように、事業の性質に応じた強固な管理体制を構築しておりますが、情報流出等の重大なトラブルの発生時期を予測することは困難であり、特に当該サービスの停止等の事態が生じた場合には、当該サービスの売上及び利益に係る経営成績等への影響があり、また、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等による影響が当社グループの全体の事業展開に及ぶ可能性があります。
さらに、当社グループが海外事業を展開する上では、欧州連合(EU)におけるGDPR(一般データ保護規則)、米国カリフォルニア州におけるCCPA(消費者プライバシー法)やCPRA(プライバシー権法)をはじめとする諸外国の個人情報等に関する法令等の適用があり、当該法令等に関する法令違反等が生じた場合は、サービスの停止、損害賠償、当社グループに対する制裁金等の賦課や当社グループに対する信用の低下等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤第三者との係争について
当社グループは、コンプライアンス研修の推進等、役員、従業員の法令違反等の低減努力を実施しております。しかしながら、当社グループ及び役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、ユーザ、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。また、後述のとおり、特許権等の知的財産権に関する訴訟についても発生するリスクがあるものと考えております。
かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や信用及びブランドイメージの低下等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
個々の係争が発生する可能性を予測することができず、よって個々の係争に係る発生時期も一律に予測することは困難です。訴訟の結果等により、特に当社グループのサービスの停止等の事態が生じた場合には、当該サービスの売上及び利益に係る経営成績等への影響があり、また、当社グループに対する信用及びブランドイメージの低下等による影響が当社グループの全体の事業展開に及ぶ可能性があります。
(8) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、運営するサービス等の名称について、必要に応じ、他者の知的財産権について調査を行い、また商標登録をしております。また、当社グループが独自開発するシステムやビジネスモデルに関しても、必要に応じ、他者の知的財産権について調査を行い、特許権等の対象になるものについてはその知的財産権を取得する等、権利保護に取り組んでおります。しかしながら、第三者が保有する知的財産権等の内容によっては、当社グループへの訴訟等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
一方、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、コンプライアンス研修の実施や監査・管理部門によるチェック体制強化等を推進しておりますが、当社グループが運営する各サービスのシステム、ビジネスモデル及びサービス内で利用する画像・テキスト等に関して知的財産権の侵害等を理由とする第三者からの訴訟等が発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
第三者が保有する知的財産権の侵害に係る問題は、今後の事業展開に左右されるものであり、発生可能性や発生時期を一律に予測することは困難です。前述の権利保護対策、研修の実施、チェック体制強化等により当該リスクの顕在化の可能性を可能な限り減らすよう努めておりますが、それにもかかわらず、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,234百万円減少し、335,708百万円となりました。
流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ19,282百万円減少し、114,060百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が26,336百万円減少したこと等によるものであります。
非流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,047百万円増加し、221,648百万円となりました。この主な要因は、のれんが15,525百万円減少、無形資産が5,233百万円減少した一方で、その他の長期金融資産が27,964百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ734百万円増加し、115,683百万円となりました。
流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,435百万円減少し、49,213百万円となりました。この主な要因は、未払法人所得税が10,568百万円減少したこと等によるものであります。
非流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,169百万円増加し、66,470百万円となりました。この主な要因は、繰延税金負債が8,782百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ13,968百万円減少し、220,025百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が31,008百万円減少したこと等によるものであります。
流動性に関する指標としては、当連結会計年度末において流動比率231.8%、親会社所有者帰属持分比率62.3%となっております。
当社グループは、中長期で企業価値を向上させるべく、エンターテインメント領域と社会課題領域の2つの領域の特徴を活かした収益基盤の形成、及び両領域のシナジー形成を含めたIT企業の新しい進化の体現、また、一層強い事業ポートフォリオ実現に向けて取り組んでまいりました。
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)において、売上収益は、136,733百万円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。前連結会計年度比でゲーム事業は減収となったものの、この他いずれの事業も増収となりました。
売上原価については、75,743百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。前連結会計年度の主にヘルスケア・メディカル事業における新規連結に伴う業務委託費や、スポーツ事業の成長に伴う費用、ゲーム事業における新規タイトルのリリースに伴う償却費が増加しました。
販売費及び一般管理費は、60,648百万円(前連結会計年度比1.2%増)となりました。主にヘルスケア・メディカル事業における新規連結に伴う人件費の増加があった一方、ゲーム事業の業績推移に応じ、支払手数料が減少しました。
その他の収益・費用においては、ゲーム事業におけるソフトウェア等の資産やのれん等に関する減損損失計28,764百万円をその他の費用に計上いたしました。
金融収益は、3,956百万円(前連結会計年度比49.3%減)となりました。
持分法による投資損失は、2,992百万円(前連結会計年度は1,770百万円の利益)となりました。前連結会計年度比では、主な持分法適用関連会社である株式会社CygamesやGO株式会社等の業績動向等に加え、一時的な損益が変動要因となりました。
以上の結果、当社グループの売上収益は136,733百万円(前連結会計年度比1.3%増)、営業損失は28,270百万円(前連結会計年度は4,202百万円の利益)、税引前当期損失は28,130百万円(前連結会計年度は13,595百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は28,682百万円(前連結会計年度は8,857百万円の利益)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
ゲーム事業の売上収益は54,004百万円(前連結会計年度比15.6%減)、セグメント利益は3,456百万円(同63.9%減)となりました。
新規タイトルのリリースがあったものの、既存のタイトルを中心とした事業運営となりました。ユーザ消費額は前連結会計年度比で減少し、新規タイトルのリリースに伴う償却費やマーケティング等の関連費用が影響し、前連結会計年度比で減収減益となりました。
ライブストリーミング事業の売上収益は42,579百万円(前連結会計年度比6.2%増)、セグメント利益は339百万円(前連結会計年度は572百万円の損失)となりました。
当連結会計年度においては、国内の「Pococha(ポコチャ)」及び「IRIAM(イリアム)」を中心に引き続き成長しました。海外の「Pococha」では、地域ごとの適切な運営につき検証を行い投資の最適化を進めました。
スポーツ事業の売上収益は27,271百万円(前連結会計年度比30.1%増)、セグメント利益は2,125百万円(前連結会計年度は23百万円の損失)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響による観客動員の制約を受ける以前の2020年3月期と比較しても業績は成長しました。
ヘルスケア・メディカル事業の売上収益は9,963百万円(前連結会計年度比42.6%増)、セグメント損失は3,640百万円(前連結会計年度は2,202百万円の損失)となりました。
当社は、中長期の成長機会を積極的に捉えるべく、新たな成長・挑戦に向けたM&A等を進めてまいりましたが、当該事業においては、前連結会計年度中に、事業ポートフォリオの強化が大きく進捗しました。2022年8月3日には株式会社データホライゾンが、2022年10月3日には株式会社アルムがそれぞれ当社の連結子会社となり、以降、各社の業績を当該事業の業績に含んでおります。
新規事業・その他の売上収益は3,054百万円(前連結会計年度比4.3%増)、セグメント損失は1,303百万円(前連結会計年度は882百万円の損失)となりました。
当区分には、中長期での事業ポートフォリオの強化を目指した各種取り組み、及びEC事業におけるサービスを含んでおります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26,336百万円減少し、71,396百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は10,839百万円(前年同期は10,808百万円の収入)となりました。主な支出要因は法人所得税支払額18,691百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は12,629百万円(前年同期は12,451百万円の収入)となりました。主な支出要因は無形資産の取得7,010百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,102百万円(前年同期は4,930百万円の支出)となりました。主な支出要因は配当金支払額2,229百万円及びリース負債の返済1,911百万円であります。
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
一部の受注生産における、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、恒常的に設備投資を必要としております。また、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度中における経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
ゲーム事業における研究開発費は