株式会社ディー・エヌ・エー(以下「当社」という。)は、日本に所在する企業であります。当社及び子会社(以下「当社グループ」という。)は、主にモバイル・PC向けのインターネットサービスの提供を行っております。
(1) 連結財務諸表がIFRSに準拠している旨の記載
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。当社は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たしているため、同第312条の規定を適用しております。
(2) 表示通貨及び単位
連結財務諸表の表示通貨は日本円であり、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(3) 見積り及び判断の利用
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、一部の重要な事項について会計上の見積りを行う必要があります。また、当社グループの会計方針を適用する過程において、経営者が自ら判断を行うことが求められております。高度の判断を要する部分及び非常に複雑な部分、並びに仮定や見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える部分、及び翌連結会計年度において重要な修正をもたらすリスクのある、仮定及び見積りの不確実性に関する情報は「4.重要な会計上の見積り及び判断」において記載しております。
(4) 未適用の新たな基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた基準書及び解釈指針のうち、当社が早期適用していない主なものは、以下のとおりであります。
上記基準書等を適用することによる連結財務諸表への影響は検討中であります。
(5) 会計方針の変更
該当事項はありません。
(6) 表示方法の変更
(連結キャッシュ・フロー計算書)
前連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めておりました「賞与引当金の増減額(△は減少)」及び「未払消費税等の増減額(△は減少)」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記しております。
また、前連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて区分掲記しておりました「利息受取額」及び「配当金受取額」については、金額的重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「利息及び配当金の受取額」に集約して表示しております。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書の組み替えを行っております。この結果、前連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローの「その他」に表示していた△2,568百万円は、「賞与引当金の増減額(△は減少)」127百万円、「未払消費税等の増減額(△は減少)」△219百万円、「その他」△2,476百万円として、「利息受取額」165百万円及び「配当金受取額」1,918百万円は、「利息及び配当金の受取額」2,083百万円として組み替えております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社により支配されている企業(組成された事業体を含む)をいいます。
当社グループが企業への関与により生じる変動リターンにさらされている、または変動リターンに対する権利を有している場合で、その企業に対するパワーにより、当該変動リターンに影響を与えることができる場合には、当社グループはその企業を支配しています。支配の評価にあたり、当社グループは現時点で行使可能又は転換可能な潜在的議決権を考慮しております。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。
② 関連会社及び共同支配の取決め
関連会社とは、事業体の経営及び財務の方針に関する経営管理上の意思決定に対して、当社グループが重要な影響力を有するが、支配力は有しない事業体をいいます。一般的に、当社グループが議決権の20%以上50%以下を保有する場合には重要な影響力があると推定されます。現時点で行使可能又は転換可能となっている潜在的議決権の存在及び影響は、当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価に当たり考慮しております。当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価に当たり考慮されるその他の要因には、取締役会への役員の派遣及び重要な会社間取引があります。これらの要因が存在する場合には、特定の投資について、当社グループの投資が議決権の20%未満であったとしても持分法による会計処理の適用が要求されることがあります。
共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有であり、取決めのリターンに重要な影響を及ぼす活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配の取決めは、各当事者が有する契約上の権利及び義務に基づいて、共同支配事業か共同支配企業のいずれかに分類されます。共同支配事業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が、当該取決めに関する資産に対する権利及び負債に対する義務を有している場合の共同支配の取決めであり、共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が、当該取決めの純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。
(2) 企業結合
当社グループは、企業結合に対して取得法を適用しております。
当社グループはのれんを、移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に所有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計金額が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。負ののれんは直ちに純損益として認識しております。被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、一部の例外を除いて、取得日の公正価値で測定しております。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。取得日時点に存在していた事実と状況を取得日当初に把握していたとしたら、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」という。)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。この新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。測定期間は最長で1年間であります。
IFRS移行日前の取得により生じたのれんは、移行日に減損テストを実施した後のIFRS移行日現在の従前の会計基準(日本基準)に基づき認識した金額を基礎として報告しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算しております。期末日において再測定する外貨建資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。公正価値で測定される外貨建の非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。
これら取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建の貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる為替差額は、純損益で認識しております。ただし、非貨幣性項目の利益又は損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に計上しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については、その期間の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。ただし、当該平均為替レートが取引日における為替レートの累積的影響の合理的な概算値といえない場合には、取引日の為替レートで換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益で認識しております。在外営業活動体の持分全体の処分、及び支配又は重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分につき、当該換算差額は、処分損益の一部として純損益に振り替えております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び預け金、並びに容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から6ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
(5) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
当社グループは、売掛金及びその他の短期債権を、これらの発生日に当初認識しております。その他の全ての金融資産は、当社グループが当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
非デリバティブ金融資産の分類及び測定モデルの概要は以下のとおりであります。
(a) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で事後測定しております。
・当社グループの事業モデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高に係る利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値に、取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、必要な場合には減損損失累計額を控除しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
資本性金融商品に対する投資を除く金融資産で上記の償却原価で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定し、その変動を純損益で認識しております。
資本性金融商品に対する投資は公正価値で測定し、その変動を純損益で認識しております。ただし、当社グループが当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益に計上するという選択(撤回不能)を行う場合は、この限りではありません。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で認識し、取引費用は発生時に純損益で認識しております。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは当初認識時に、資本性金融商品に対する投資における公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(撤回不能)を行う場合があります。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値に、取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「資本性金融商品への投資による利得(損失)」として、その他の包括利益に含めております。
資本性金融商品の認識を中止した場合、その他の資本の構成要素の残高は直接利益剰余金に振り替え、純損益で認識しておりません。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産からの配当金については、「金融収益」として純損益で認識しております。
(d) 金融資産の減損
償却原価で測定する金融商品の予想信用損失について、損失評価引当金を計上しています。損失評価引当金の認識にあたっては、報告期間の末日ごとに償却原価で測定する金融資産又は金融資産グループに当初認識時点からの信用リスクの著しい増加があるかを検討し予想信用損失を認識しております。期末時点で、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増加していない場合には、報告日後12ヶ月以内の生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)を認識しております。一方、期末時点で、金融商品にかかる信用リスクが当初認識以降に著しく増加している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたるすべての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)を認識しております。ただし、営業債権及びその他の債権については、簡便的に過去の信用損失等に基づいて全期間の予想信用損失を認識しております。
予想信用損失の金額は、当社グループに支払われるべき契約上のキャッシュ・フローの総額と、当社グループが受け取ると見積る将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値として測定し、損益として認識しています。
なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による支払不履行又は延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している客観的な証拠がある場合、損失評価引当金を控除後の帳簿価額の純額に対して、実効金利法を適用し利息収益を測定しています。
また、金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しています。
(e) 金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は、当該金融資産の所有に係るリスク及び便益を実質的に全て移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。移転した金融資産に関して当社グループが創出した、又は当社グループが引き続き保有する持分については、別個の資産・負債として認識しております。
② 非デリバティブ金融負債
当社グループは、金融負債を当社グループが当該金融商品の契約の当事者になる取引日に認識しております。金融負債が消滅した場合、つまり、契約上の義務が免責、取消又は失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
当社グループは、非デリバティブ金融負債として、主に借入金、買掛金及びその他の短期債務並びに預り金等を有しており、公正価値で当初認識し、実効金利法に基づき償却原価で事後測定しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブ取引についてヘッジ手段として指定し、キャッシュ・フロー・ヘッジとして会計処理しております。これらのデリバティブは、契約が締結された時点の公正価値で当初測定され、その後も公正価値で再測定しております。
当社グループは、ヘッジ開始時に、ヘッジ会計を適用しようとするヘッジ手段とヘッジ対象の関係並びにヘッジを実施するに当たってのリスク管理目的及び戦略について、正式に指定及び文書化を行っております。また、ヘッジ手段がヘッジ対象期間において関連するヘッジ対象の公正価値やキャッシュ・フローの変動に対して高度に相殺効果を有すると見込まれるかについて、ヘッジ開始時とともに、その後も継続的に評価を実施しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素としてその他の包括利益累計額に累積しております。その他の包括利益累計額は、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが損益に影響を与えるのと同じ期間に、ヘッジ対象に関連する連結損益計算書の項目で純損益に振り替えております。デリバティブの公正価値の変動のうち非有効部分は直ちに純損益で認識しております。
(6) 有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
減価償却については、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法に基づいております。
主要な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
(7) リース
借手としてのリース取引について、リース開始日に、リース負債を未払リース料総額の現在価値で、使用権資産をリース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等のコストを加えた額で測定しております。
使用権資産は、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。リース料は、利息法に基づき、金融費用とリース負債の返済額とに配分しております。金融費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。ただし、リース期間が12カ月以内の短期リース及び原資産が少額のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識せず、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しております。
貸手としてのリース取引で重要なものはありません。
(8) のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「3.重要性がある会計方針 (2) 企業結合」に記載しております。その後は、取得価額から減損損失累計額を控除して測定しております。
(9) 無形資産
無形資産で耐用年数を確定できるものについては、取得価額から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。耐用年数を確定できない無形資産については償却せず、取得価額から減損損失累計額を控除して測定しております。
償却については、当該資産が使用可能な状態になった日から見積耐用年数にわたり、定額法によって償却しています。
主要な無形資産であるソフトウェアの見積耐用年数は以下のとおりであります。
(10) 資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、四半期ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積もっております。のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については、少なくとも年1回、原則として毎期同時期に減損テストを行っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失については、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には純損益で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分されております。
過去に認識したその他の資産の減損損失については、四半期ごとに損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻し入れております。なお、のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。
(11) 従業員給付
① 退職給付
当社グループは、主として確定拠出制度によっておりますが、この他に確定給付制度として選択制確定給付企業年金を採用しております。
確定拠出制度は、雇用主が一定の掛金を公的又は私的管理の年金保険制度に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出制度の退職給付に係る費用は、拠出時に費用として認識しております。
確定給付制度は、複数事業主制度による企業年金基金に加入しております。確定給付制度の退職給付に係る費用は、複数事業主制度への拠出時に費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。なお、賞与については、それらを支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(12) 株式報酬
当社グループは、取締役に対するインセンティブ制度としてストック・オプション制度を導入しております。オプションの付与日における公正価値は、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり費用として認識し、同額をその他の資本の構成要素の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ式等を用いて算定しております。なお、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
また、当社グループは、従業員に対するインセンティブ制度として株式付与ESOP(Employee stock ownership plan)信託制度を導入しております。本制度は株式付与規程に基づき一定の要件を満たす者に対してポイントを付与し、一定期間経過後に権利が確定したポイント数に応じて当社株式を付与する制度となります。ポイントの公正価値は付与日時点で測定しており、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しております。なお、当信託が有する当社株式は取得原価により資本から控除しております。
(13) 引当金
当社グループが過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。
引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しております。時の経過による引当金の増加は金融費用として認識しております。
資産除去債務については、賃借事務所・建物等に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績及び事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別具体的に勘案して見積り、認識及び測定しております。
(14) 資本
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合は、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
当社グループは、5つのステップから構成される収益認識モデルを、他の基準で定めのあるものを除き、取引形態や業種に関係なく、すべての顧客との契約から生じる収益に適用しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務が充足されたときに(又は充足するにつれて)収益を認識する
収益の主要な区分におけるそれぞれの収益認識基準等は以下のとおりであります。
① ゲーム事業におけるアイテム等の販売に係る売上収益
(a) ユーザに対する役務提供に係る売上収益
当社グループは、スマートフォン・携帯電話向けのゲーム配信プラットフォームや、スマートフォン向けアプリマーケット等を通じて、モバイルゲームを配信しております。多くの場合、ユーザに対し、ゲームは無料で提供し、ゲーム内で使用するアイテム等を有料で提供しております。当該サービスにおいては、顧客であるユーザが当該アイテム等を用いてゲームを行い、当社グループがアイテムごとに定められた内容の役務の提供を行うことで履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、顧客によるアイテム等の利用期間を見積り、当該見積利用期間にわたって売上収益を認識しております。
顧客によるアイテム等の利用期間は、顧客がアイテム等を購入してから次にアイテム等を購入するまでの期間にわたって当初購入したアイテム等を利用していると仮定して見積もっております。なお、取引の対価は履行義務の充足開始時点であるアイテム等の利用開始時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(b) プラットフォーム利用企業に対する役務提供に係る売上収益
当社グループでは、他社との協業によるゲームや開発パートナー企業によるゲームを当社グループが運営するゲーム配信プラットフォームである「Mobage(モバゲー)」を通じて配信しております。当該サービスにおいては、顧客である協業企業または開発パートナー企業に当社グループが「Mobage(モバゲー)」を一定の期間にわたり利用させることで履行義務が充足されるものと判断しております。また、当社グループが受け取る取引の対価は、ユーザによる課金の金額により変動します。変動対価の見積りは、認識した収益累計額に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲に制限されます。そのため、ゲームごとの顧客による「Mobage(モバゲー)」の利用期間のうち、ユーザによる課金が行われ、かつ取引の対価を信頼性をもって測定でき、不確実性が解消される時点に売上収益を認識しております。なお、取引の対価は履行義務を充足し、当社の受け取り対価が確定した時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(c) ゲームの共同開発・運営企業に対する役務提供に係る売上収益
当社グループでは、スマートフォン向けゲームアプリを他社と共同で開発・運営しております。当該サービスにおいては、顧客である協業企業に対し、当社グループが開発・運営業務等の役務の提供を行うことで履行義務が充足されるものと判断しております。開発・運営業務等の役務の提供は、重要な統合サービスであり、独立してサービスを提供できず相互依存性・関連性が高いことから、別個の履行義務として識別しておりません。また、当社グループが受け取る対価は、ユーザによる課金の金額により変動します。変動対価の見積りは、認識した収益累計額に重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲に制限されます。そのため、当社グループが顧客から受け取る対価は、ユーザからの課金額に応じて算定され、当社から顧客への請求額として確定した時点に売上収益を認識しております。なお、取引の対価は履行義務を充足し、当社の受け取り対価が確定した時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
② ライブストリーミング事業におけるアイテムの販売に係る売上収益
当社グループは、「Pococha(ポコチャ)」等のスマートフォン向けのライブ配信プラットフォームを提供しております。当該サービスにおいては、ユーザに対しアプリ内で使用するアイテムを有料で提供しており、当社グループがアイテムごとに定められた内容の役務の提供を行うことで履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、顧客であるユーザが当該アイテムを利用した時点で売上収益を認識しております。なお、取引の対価は履行義務の充足時点であるアイテムの利用から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
③ スポーツ事業におけるプロスポーツ興行に係る売上収益
(a) チケット販売に係る売上収益
当社グループは、「横浜DeNAベイスターズ」等のプロスポーツチームを運営し、主催試合に係るチケット収入を売上収益として認識しております。当該サービスにおいては、顧客である入場者に当社グループが主催試合を観戦させることで履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、主催試合を行った時点で売上収益を認識しております。なお、取引の対価は履行義務の充足時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(b) 広告に係る売上収益
「横浜DeNAベイスターズ」等の選手ユニフォーム広告収入及び主催試合会場での看板広告収入を売上収益として認識しております。当該サービスにおいては、顧客である広告主からの依頼に基づき、当社グループがユニフォーム又は主催試合会場に広告主から依頼のあった広告を掲載することで履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、広告の掲載期間にわたって売上収益を認識しております。なお、取引の対価は原則として履行義務の充足前に受領しており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(c) グッズ販売に係る売上収益
「横浜DeNAベイスターズ」等に関連したグッズ販売に係る収入を売上収益として認識しております。当該物品販売においては、顧客であるグッズ購入者に当社グループが物品を引き渡した時点で履行義務が充足されると判断しております。そのため、グッズ購入者に物品を引き渡した時点で売上収益を認識しております。なお、取引の対価は履行義務の充足時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
④ ヘルスケア・メディカル事業における売上収益
(a) ヘルスケア領域における売上収益
当社グループでは、データヘルス関連サービスとデータ利活用サービスの提供を行っております。
データヘルス関連サービスの主な内容は保険者向け情報サービスの提供であり、納品物がある場合は当該納品物の納品完了により、データ分析・通知・保健指導等の業務提供の場合は当該業務の完了により履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、個々のサービスの提供が完了した時点で売上収益を認識しております。
データ利活用サービスの主な内容は顧客へのデータ提供であり、顧客への提供データの納品完了により履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、当該提供データの納品完了時点で売上収益を認識しております。
なお、それぞれのサービスにおける取引の対価はいずれも履行義務の充足前に受領しているか、もしくは履行義務の充足時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(b) メディカル領域における売上収益
当社グループでは、「Join」等の医療DX関連サービスを提供しております。
「Join」は医療関係者間コミュニケーションアプリであり、顧客との契約期間にわたりサービスを提供することで履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、当該契約期間にわたって売上収益を認識しております。また、システム初期導入等の成果物の納品を伴う場合には、当該成果物の納品完了により履行義務が充足されるものと判断しております。そのため、当該成果物の納品完了時点で売上収益を認識しております。なお、取引の対価は原則として履行義務の充足時点から概ね2ヶ月以内に支払いを受けており、対価の額に重要な金融要素は含まれておりません。
(16) 法人所得税
法人所得税費用は当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合から生じた項目、その他の包括利益で認識される項目、及び資本に直接認識される項目に関連する税金を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、期末日において施行され又は実質的に施行されている法定税率(及び税法)を使用して、税務当局に納付(又は税務当局から還付)される予想額で算定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、ある資産又は負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異に対して認識しております。繰延税金資産及び繰延税金負債の算定には、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、又は繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しております。
繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異、全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しております。
子会社及び関連会社に対する投資に係る一時差異について繰延税金資産又は繰延税金負債を認識しております。ただし、繰延税金負債については、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ、予見可能な期間内での一時差異の解消が期待できない可能性が高い場合には認識しておりません。また、繰延税金資産については、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な期間内で一時差異の解消される可能性が高いと認められる範囲内で認識しております。
(17) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、全ての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。当社グループの潜在的普通株式はストック・オプション制度等に係るものであります。
(18) セグメント情報
報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定されております。事業セグメントは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位であります。
セグメント情報には、各セグメントに直接的に帰属する項目のほか、合理的な基準により各セグメントに配分された項目が含まれております。
連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っております。会計上の見積りの結果は、実際の結果とは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計年度と将来の連結会計年度において認識されます。
(1) 会計方針適用上の重要な判断
連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針を適用する過程で行った判断に関する情報は以下のとおりであります。
・連結子会社、関連会社及び共同支配企業の範囲(注記「3.重要性がある会計方針 (1) 連結の基礎」)
・収益認識(注記「3.重要性がある会計方針 (15) 収益」)
(2) 見積りの不確実性の要因となる事項
翌連結会計年度において資産や負債の帳簿価額に重要な修正を加えることにつながる重要なリスクを伴う見積り及びその基礎となる仮定は以下のとおりであります。
・のれん及び無形資産等から成る資金生成単位の回収可能価額(注記「9.無形資産」「10.のれん」)
・繰延税金資産の回収可能性(注記「14.繰延税金及び法人所得税」)
・活発な市場における市場価格が存在しない公正価値で測定する金融資産の評価技法(注記「25.金融商品」)
(1) 報告セグメントの概要
当社グループは、主にモバイル・PC向けのインターネットサービスを提供しており、サービスの種類別に事業部門等を設置しております。各事業部門等は、取り扱うサービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社グループは、サービスの種類別のセグメントから構成されており、「ゲーム事業」、「ライブストリーミング事業」、「スポーツ事業」、「ヘルスケア・メディカル事業」の4つを報告セグメントとしております。
各セグメント区分に属するサービスの種類は、以下のとおりであります。
(2) 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及びその他の項目
報告セグメントの会計方針は、「3.重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同一であります。
報告セグメント間の売上収益は市場実勢価格に基づいております。
当社グループの報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失及びその他の項目は以下のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1 セグメント利益(損失)は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しております。
2 「新規事業・その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、EC事業・その他の新規事業等を含んでおります。
3 セグメント利益(損失)の調整額は全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
当連結会計年度
(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1 セグメント利益(損失)は、売上収益から売上原価及び販売費及び一般管理費を控除しております。
2 「新規事業・その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、EC事業・その他の新規事業等を含んでおります。
3 セグメント利益(損失)の調整額は全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
(3) 主要な製品及び役務からの収益
「(2) 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及びその他の項目」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
(4) 地域別に関する情報
①外部顧客からの売上収益
外部顧客からの売上収益の地域別内訳は、以下のとおりであります。当該金額は、当社グループ各社の所在地を基礎として分類しております。
②非流動資産(金融資産及び繰延税金資産を除く)
日本国内の非流動資産の帳簿価額が連結財政状態計算書の非流動資産の大部分を占めるため、地域別の非流動資産の記載を省略しております。
(5) 主要な顧客に関する情報
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は次のとおりです。
(注)前連結会計年度における株式会社ポケモンに対する売上収益は、外部顧客への売上収益に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりであります。
売掛金及びその他の短期債権の内訳は、以下のとおりであります。
売掛金及びその他の短期債権に対する当社グループの貸倒引当金の増減は、以下のとおりであります。
当社グループは、売掛金及びその他の短期債権については、予想信用損失に対して貸倒引当金を設定しております。また、追加的な回収が見込めない信用減損金融資産については直接償却を行っております。
有形固定資産の帳簿価額の増減、取得原価並びに減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりであります。
その他の内容は、主に機械装置及び運搬具であります。
所有権に対する制限がある有形固定資産及び負債の担保として抵当権が設定された有形固定資産はありません。
有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「その他の費用」に含めております。
有形固定資産の取得原価に含めた借入費用はありません。
減損損失の詳細については、「11.資産の減損」で記載しております。
(1)増減表
無形資産の帳簿価額の増減、取得原価並びに償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりであります。
無形資産のソフトウェアは、主に自己創設ソフトウェアであります。
所有権に対する制限がある無形資産及び負債の担保として抵当権が設定された無形資産はありません。
償却対象の無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
減損損失の詳細については、「11.資産の減損」で記載しております。
(2)耐用年数を確定できない無形資産
無形資産のうち耐用年数を確定できない資産の帳簿価額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注)2021年8月の株式会社IRIAM(ライブストリーミング事業)の株式取得及び2022年10月の株式会社アルム(ヘルスケア・メディカル事業)の株式取得により認識した商標権であり、事業が継続する限り基本的に存続するため、耐用年数を確定できないものと判断しております。
耐用年数を確定できない無形資産の回収可能価額については、以下のとおりであります。
(a)ライブストリーミング事業に含まれる株式会社IRIAM
株式会社IRIAMの回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は株式会社IRIAMから生じる将来キャッシュ・フロー及び継続価値を現在価値に割り引いて算定しており、税引前の割引率は加重平均資本コストを基礎として17.0%を用いております。株式会社IRIAMから生じる将来キャッシュ・フローの計画は5年を限度としており、業界の将来の趨勢に関する経営者の評価と過去のデータから将来の売上収益に係る利用者数等を見積り、外部情報及び内部情報に基づき作成しております。継続価値の算定に使用する成長率(1.0%)は、日本経済の潜在成長率等を総合的に勘案して決定しております。当社は市場もしくは国の長期平均成長率を超過する成長率は用いておりません。
なお、減損判定に用いた主要な仮定である将来事業計画における売上収益に係る利用者数及び将来事業計画の期間経過後の成長率、並びに割引率が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、経営者は当該資金生成単位において、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。
(b)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる株式会社アルム
「10.のれん(2)回収可能価額の算定基礎」で記載しております。
のれんの取得原価及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりであります。
当社グループは、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、原則として毎期同時期に減損テストを実施しています。減損テストの資金生成単位及び回収可能価額は、下記をご参照ください。
(1) 資金生成単位
企業結合で生じたのれんは、取得日に、企業結合から利益がもたらされる資金生成単位に配分しております。各資金生成単位におけるのれんの金額は以下のとおりです。
(2) 回収可能価額の算定基礎
(a)スポーツ事業に含まれるプロ野球事業
プロ野球事業の回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値にて算定しております。公正価値はプロ野球事業から生じる将来キャッシュ・フロー及び継続価値を現在価値に割り引いて算定しており、税引前の割引率は加重平均資本コストを基礎として16.1%を用いております。プロ野球事業から生じる将来キャッシュ・フローの計画は5年を限度としており、業界の将来の趨勢に関する経営者の評価と過去のデータから将来の売上収益等を見積り、外部情報及び内部情報に基づき作成しております。
減損判定に用いた主要な仮定であるチケット販売に係る売上収益が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、経営者は当該資金生成単位において、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。
(b)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる株式会社アルム
株式会社アルムの回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は株式会社アルムから生じる将来キャッシュ・フロー及び継続価値を現在価値に割り引いて算定しており、税引前の割引率は加重平均資本コストを基礎として12.4%を用いております。株式会社アルムから生じる将来キャッシュ・フローの計画は5年を限度としており、業界の将来の趨勢に関する経営者の評価と過去のデータから将来の売上収益を見積り、外部情報及び内部情報に基づき作成しております。継続価値の算定に使用する成長率(1.3%)は、各国経済の潜在成長率等を総合的に勘案して決定しております。当社は市場もしくは国の長期平均成長率を超過する成長率は用いておりません。
なお、減損判定に用いた主要な仮定である将来事業計画における売上収益の成長見込み(特に医療DXに関する成長見込み)及び将来事業計画の期間経過後の成長率、並びに割引率が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、経営者は当該資金生成単位において、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。
(c)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる株式会社データホライゾン
株式会社データホライゾンの回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しております。公正価値は、活発な市場における相場価格に基づいて測定しております。
なお、当連結会計年度において、減損テストの結果、回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、のれんの減損損失2,524百万円を認識しております。
11.資産の減損
当社グループは、前連結会計年度及び当連結会計年度において減損損失を認識し、連結損益計算書の「その他の費用」に計上しております。
減損損失の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
当社グループは、独立したキャッシュ・フローが識別できる最小単位でグルーピングを行っております。なお、遊休資産については、個別資産ごとにグルーピングしております。将来キャッシュ・フローは、将来の予測に関する経営者の評価と過去実績に基づき、外部情報及び内部情報を使用して見積もっております。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
ゲーム事業においては個々のゲームタイトルを資金生成単位として認識しております。
当連結会計年度において、直近の業績動向や事業環境等を鑑み、個々のゲームタイトルの事業計画について見直しを行いました。減損テストにおいては、当連結会計年度にマネジメントが承認した5年以内の事業計画を用いて将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローの見積りにおける主要な仮定は、事業計画の基礎となるゲームタイトル毎の将来の見込売上収益及び営業費用であります。回収可能価額は使用価値に基づき、加重平均資本コストを基礎に算定された税引前の割引率10.0%で現在価値に割り引いて算定しております。
減損テストの結果、回収可能価額がソフトウェアを含む固定資産の帳簿価額を下回ったゲームタイトルが識別されたことから、減損損失12,597百万円(ソフトウェア6,619百万円等)を計上しております。
また、以下の資金生成単位におけるのれんについて減損の兆候が認められたため、減損テストを実施しております。
(a)ライブストリーミング事業に含まれる株式会社IRIAM
当連結会計年度において、当初想定されていた収益が見込まれなくなったことから、見直した将来キャッシュ・フローの予測に基づき減損テストを実施いたしました。減損テストにおいては、当連結会計年度にマネジメントが承認した5年以内の事業計画を用いて将来キャッシュ・フローを算定しております。将来キャッシュ・フローの見積りにおける主要な仮定は、将来事業計画における売上収益に係る利用者数及び将来事業計画の期間経過後の成長率、並びに割引率であります。
回収可能価額は使用価値に基づき、加重平均資本コストを基礎に算定された税引前の割引率14.5%で現在価値に割り引いて算定しております。
減損テストの結果、回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失9,346百万円(のれん8,912百万円等)を認識しております。
(b)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる株式会社データホライゾン
当連結会計年度において、株価の下落により減損の兆候が識別されたことから、減損テストを実施いたしました。
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しております。公正価値は、活発な市場における相場価格に基づいて測定しております。
減損テストの結果、回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失3,612百万円(のれん)を認識しております。
(c)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる日本テクトシステムズ株式会社
当連結会計年度において、当初想定されていた収益が見込まれなくなったことから、見直した将来キャッシュ・フローの予測に基づき減損テストを実施いたしました。減損テストにおいては、当連結会計年度にマネジメントが承認した5年以内の事業計画を用いて将来キャッシュ・フローを算定しております。
回収可能価額は使用価値に基づき、加重平均資本コストを基礎に算定された税引前の割引率18.2%で現在価値に割り引いて算定しております。
減損テストの結果、回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失1,978百万円(のれん)を認識しております。
(d)スポーツ事業に含まれる個別に重要でない資金生成単位
収益性の低下に伴い回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失1,230百万円(のれん1,023百万円等)を認識しております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
以下の資金生成単位におけるのれんについて、減損テストを実施しております。
(a)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる株式会社データホライゾン
回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しております。公正価値は、活発な市場における相場価格に基づいて測定しております。
減損テストの結果、回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失2,524百万円(のれん)を認識しております。
(b)ヘルスケア・メディカル事業に含まれる個別に重要でない資金生成単位
収益性の低下に伴い回収可能価額がのれんを含む固定資産の帳簿価額を下回ったことから、減損損失739百万円(のれん678百万円等)を認識しております。
(1) 主要な子会社
主要な子会社は、以下のとおりであります。
(注) 議決権の所有割合には、投資事業有限責任組合に対する出資割合を記載しております。
(2) 支配の喪失とならない子会社の所有持分の変動による資本剰余金への影響
当社グループが持分を有している重要性のある関連会社は以下のとおりです。連結財務諸表において持分法を適用して会計処理されております。いずれの会社も上場しておりません。
重要性のある関連会社の要約財務情報と、当該関連会社に対する当社グループの持分の帳簿価額との調整表は次のとおりです。なお、要約財務情報は、当社グループの会計方針に基づき、関連会社の財務諸表に調整を加え、作成しています。
(注)前連結会計年度において、金融投資家1社他を割当先とする第三者割当増資を実施いたしました。
これにより当社の同社に対する持分が変動し、当該持分変動に伴い生じる一時的な利益影響を、前連結会計年度の連結損益計算書において「持分法による投資損益(△は損失)」に2,548百万円計上しております。
② 重要性のない関連会社
当社グループは、関連会社に対する投資を持分法によって会計処理しております。
個々に重要性のない関連会社に対する投資の帳簿価額及び当該関連会社に関する財務情報は、以下のとおりであります。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものであります。
なお、前連結会計年度において持分法で会計処理しているSHOWROOM株式会社に対する投資について足元の状況を総合的に判断した結果減損の兆候が認められたため、減損テストを実施いたしました。
減損テストの結果、回収可能価額まで帳簿価額を減額し、5,943百万円の持分法による投資損失を認識しております。回収可能価額は使用価値に基づき算定しており、税引前の割引率は加重平均資本コストを基礎として14.5%としております。
当社グループは、一部の会社に対する投資において、他の契約当事者との間で、そのリターンに重要な影響を及ぼす活動に係る意思決定について、契約当事者の全員一致の合意を必要とする契約上の取り決めを行っています。また、当社グループは、他の契約当事者と共同で支配しており純資産に対する権利を有していることから、共同支配企業とし、当該投資を持分法によって会計処理しています。
個々に重要性のない共同支配企業に対する投資の帳簿価額及び当該共同支配企業に関する財務情報は、以下のとおりであります。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものであります。
(1) 繰延税金
繰延税金資産及び繰延税金負債の変動(同一の租税区域内での残高の相殺前)は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異又は繰越欠損金に関して将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される将来減算一時差異の解消、予測される将来課税所得を考慮しております。
将来の課税所得の見積りは、将来の売上収益の成長見込み等の仮定を含めた事業計画を基礎としておりますが、当該仮定の変化により、翌連結会計年度における繰延税金資産や繰延税金負債の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記の繰延税金資産の回収可能性の評価の結果から、当社グループは将来減算一時差異及び繰越欠損金の一部について、繰延税金資産を認識しておりません。繰延税金資産が認識されていない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の金額は、以下のとおりであります。
繰延税金資産が認識されていない税務上の繰越欠損金の繰越期限は以下のとおりです。
前連結会計年度末(2024年3月31日)及び当連結会計年度末(2025年3月31日)現在の繰延税金負債として認識されていない子会社及び関連会社の投資に関する一時差異の総額は、それぞれ33,711百万円及び34,990百万円であります。
(2) 法人所得税
「所得税法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第13号)が2025年3月31日に国会で成立し、2026年4月1日以後開始する連結会計年度より「防衛特別法人税」の課税が行われることになりました。
これに伴い、2026年4月1日以後開始する連結会計年度以降に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債については、法定実効税率を30.62%から31.52%に変更し計算しております。
当期税金費用及び繰延税金費用の内訳は、以下のとおりであります。
法定実効税率による法人所得税と連結損益計算書で認識された法人所得税費用の金額との差異は以下のとおりであります。
なお、当社グループは主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎とした法定実効税率は30.62%となっております。ただし、在外子会社についてはその所在地における法人税等が課されております。
(グローバル・ミニマム課税制度)
当社グループは、2023年5月23日に改訂されたIAS第12号「法人所得税」の一時的な例外規定を適用し、経済開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び負債に関して、認識及び開示を行っておりません。
なお、当連結会計年度において当該税法から生じた法人所得税に金額的重要性はありません。
(1) その他の金融資産の内訳
その他の金融資産の内訳は以下のとおりであります。
(2) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
主な銘柄及び公正価値は以下のとおりであります。
当社グループは、投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的として保有している投資について、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に分類しております。
期末日現在保有している、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の受取配当金は前連結会計年度(2024年3月期)及び当連結会計年度(2025年3月期)において、それぞれ1,788百万円及び1,462百万円であります。
(3) 期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当社グループは、保有資産の効率化や有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の一部を売却等により処分し、認識を中止しております。
期中に認識を中止した、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産の認識中止日時点の公正価値、累積利得又は損失、及び受取配当金は、以下のとおりであります。
その他の資産及び負債の内訳は、以下のとおりであります。
買掛金及びその他の短期債務の内訳は、以下のとおりであります。
借入金の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 1 平均利率については、当連結会計年度末残高に対する加重平均利率を記載しております。
2 返済期限については、当連結会計年度末残高に対する返済期限を記載しております。
3 債務不履行の借入金はありません。
4 借入金の期日別残高については、「25.金融商品」に記載しております。
その他の金融負債の内訳は、以下のとおりであります。
当社グループは、事業活動のために建物及び構築物、土地、車両運搬具、工具器具備品等の資産をリースしております。リース契約の一部については、延長オプションが付与されております。また、リースによって課されている制限又は特約はありません。
リースに係る収益及び費用の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 1 使用権資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
2 使用権資産の減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含めております。
3 リース負債に係る金利費用は、連結損益計算書の「金融費用」に含めております。
4 短期リース費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
5 少額リース費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における使用権資産の増加額は、それぞれ2,190百万円及び8,896百万円、リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、それぞれ2,166百万円及び2,062百万円であります。
使用権資産の帳簿価額の内訳は、以下のとおりであります。
リース負債の期日別残高については、「25.金融商品」に記載しております。
引当金に関する調整表
引当金の内訳は、以下のとおりであります。
引当金の増減は、以下のとおりであります。
22.キャッシュ・フロー情報
(1)財務活動に係る負債の変動
財務活動に係る負債の変動額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)1年内返済予定の長期借入金を含んでおります。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)1年内返済予定の長期借入金を含んでおります。
(2)重要な非資金取引の内容
重要な非資金取引(現金及び現金同等物を使用しない投資及び財務取引)は、以下のとおりであります。
リース取引
リースにより取得した使用権資産は、非資金取引に該当します。詳細は、「20.リース取引」をご参照ください。
(1) 授権株式総数及び発行済株式総数
授権株式総数及び発行済株式総数の増減は、以下のとおりであります。
(注) 1 当社の発行する株式は、無額面普通株式であります。
2 発行済株式は、全額払込済となっております。
(2) 資本金及び資本剰余金
日本における会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付に係る額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されております。また、会社法では、資本準備金の額は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
(3) 利益剰余金
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができることとされております。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成された当社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されております。
また、会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けております。当社の会計帳簿上、その他利益剰余金として記帳されている金額は、前連結会計年度末(2024年3月31日)及び当連結会計年度末(2025年3月31日)において、それぞれ113,390百万円及び133,517百万円であり、上記の制約を受けておりません。
(4) 自己株式
自己株式数及び残高の増減は、以下のとおりであります。
(5) その他の資本の構成要素
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
① 為替換算差額
在外営業活動体の財務諸表を当社グループの表示通貨へ換算する際に発生した換算差額であります。
② 資本性金融商品への投資による利得(損失)
その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の評価差額であります。
③ キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段の公正価値の変動から生じた利得又は損失のうち、
ヘッジ有効部分の累計額であります。
④ 新株予約権
当社はストック・オプション制度等を採用しており、会社法に基づき新株予約権を発行しております。
なお、契約条件及び金額等は、「27.株式報酬制度」に記載しております。
配当は、期末配当のみ実施しております。期末配当の決定機関は株主総会であります。
(1) 配当金支払額
未払配当金は連結財政状態計算書上、「買掛金及びその他の短期債務」に含めて表示しております。
未払配当金は連結財政状態計算書上、「買掛金及びその他の短期債務」に含めて表示しております。
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
2025年6月21日開催の定時株主総会の議案として、次のとおり付議する予定です。
(1) 資本管理
当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、恒常的に設備投資を必要としております。また事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために新サービスないし新規事業に取り組んでおります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。そのため、当社グループでは現金及び現金同等物、有利子負債及び資本のバランスに注意しており、前連結会計年度末及び当連結会計年度末現在、有利子負債を大きく上回る潤沢な手元資金を保有しております。
(注) 有利子負債は借入金とリース負債の合計であります。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制はありません。
(2) 財務上のリスク管理方針
経営活動を行う過程において、常に財務上のリスクが発生します。当社グループは、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。リスク発生要因の根本からの発生を防止し、回避できないリスクについてはその低減を図るようにしております。
当社グループの方針として投機目的のデリバティブ取引及び株式等の取引は行っておりません。会社により一時的な資金不足に対応するため、銀行借入を行うことがあります。
① 為替リスク管理
当社グループの主な為替リスクは、当社における海外取引先との決済を目的とした米国ドル建の外貨預金に関するものであります。従って、当社グループの為替リスクは主に当社に帰属します。当社の機能通貨である日本円が米国ドルに対して1%高くなった場合の、当社が保有する外貨預金の為替換算が当社グループの税引前当期利益又は税引前当期損失(△)に与える影響は以下のとおりであります。なお、米国ドル以外の通貨は変動しないものと仮定しております。
(注) 上記の△は、1%円高となった場合に、当社グループの税引前当期利益又は税引前当期損失(△)に与えるマイナスの影響額を意味しており、1%の円安は同額でプラスの影響となります。
なお、当社グループの在外営業活動体の財務諸表換算に伴い、その他の包括利益が変動しますが、その影響は上記分析には含んでおりません。
また、当社グループは外貨建の営業債務について、先物為替予約取引を実需の範囲内で行うこととしております。当該デリバティブ取引の詳細は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)上記デリバティブ取引は、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しております。デリバティブ資産及びデリバティブ負債は、連結財政状態計算書上の「その他の短期金融資産」及び「その他の短期金融負債」に含まれております。
② 金利リスク管理
当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達や短期的な余裕資金の運用において金利変動リスクのある金融商品を利用しております。当該金利変動リスクを低減するために、借入金の固定金利と変動金利の適切なバランスを維持し、必要に応じて金利スワップ取引等のデリバティブ取引の利用を検討しております。
当社グループの金利リスクは主に当社に帰属します。期末日における金利が1%高くなった場合の、当社グループの税引前当期利益又は税引前当期損失(△)に与える影響は以下のとおりであります。なお、金利以外は変動しないものと仮定し、期末日における金利変動リスクのある借入金の残高に1%を乗じて算出しております。
(注) 上記の△は、金利が1%高くなった場合に、当社グループの税引前当期利益又は税引前当期損失(△)に与えるマイナスの影響額を意味しており、金利が1%低くなった場合は同額でプラスの影響となります。
③ 信用リスク管理
当社グループは、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用エクスポージャーを当該枠内で適切に管理しております。
当社は営業債権について、与信管理の方針に従い、各事業部門における営業管理担当部署が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、回収遅延債権については、個別に把握及び対応を行う体制となっております。連結子会社についても、当社の与信管理の方針に準じて、同様の管理を行っております。
また、当社グループが資金運用のため保有している債券等及び政策的な目的のために保有している株式等は、発行体の信用リスクに晒されております。資金運用管理方針に従い、一定の格付基準を満たす債券等での運用を行い、リスクの集中を最小限にとどめております。政策的な目的のために保有している株式等は、定期的にその保有目的及び発行体の財政状況を把握しております。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社グループの金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値であります。
④ 流動性リスク管理
当社グループは、必要となる流動性については、基本的に、営業活動によるキャッシュ・フローにより確保しており、一部の会社に関してのみ短期的な資金需要に対応するため、借入金による資金調達を行っております。
また、当社は、一部の連結子会社を対象としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ資金を一元管理することで、グループ全体の流動性の確保及び資金効率の向上を図っております。
金融負債の残存契約満期金額は以下のとおりであります。
⑤ 価格変動リスク管理
当社グループは、業務上の関係を有する企業の上場株式を保有しており、資本性金融商品の価格変動リスクに晒されております。資本性金融商品については、定期的に時価や発行体の財政状況を把握しております。
(3) 公正価値
① 公正価値の測定方法
金融資産及び金融負債の公正価値は、以下のとおり決定しております。金融商品の公正価値の見積りにおいて、市場価格が入手できる場合は、市場価格を用いております。市場価格が入手できない金融商品の公正価値に関しては、将来キャッシュ・フローを割り引く方法、又はその他の適切な評価方法により見積っております。
(a)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物に含まれる短期投資については、満期までの期間が短期であるため帳簿価額と公正価値はほぼ同額であります。
(b)売掛金及びその他の短期債権、買掛金及びその他の短期債務
当社グループの債権債務は、主として短期間で決済又は納付される金融商品であるため帳簿価額と公正価値がほぼ同額であります。
(c)その他の金融資産
市場性のある有価証券の公正価値は市場価格を用いて見積っております。その他の投資は、非上場会社の発行する普通株式及び投資事業組合等への出資を含んでおります。非上場普通株式等は割引将来キャッシュ・フロー、収益、利益性及び純資産に基づく評価モデル及びその他の評価方法により、公正価値を算定しております。
(d)借入金
借入金は変動金利によるものは短期間で市場金利を反映しており、また、当社グループの信用状態に借入後大きな変動はないと考えられることから、帳簿価額を公正価値とみなしております。固定金利による借入金は、元利金の合計金額を当該借入金の残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引く方法により、公正価値を見積っております。
(e)その他の金融負債
当社グループの債務は、主として短期間で決済されるため帳簿価額と公正価値はほぼ同額であります。
② 公正価値ヒエラルキー
下記は、公正価値のレベル1からレベル3までの公正価値ヒエラルキーに基づく分類を示しております。
レベル1―活発な市場における同一資産・負債の市場価格
レベル2―直接又は間接的に観察可能な、公表価格以外の価格で構成されたインプット
レベル3―観察不能な価格を含むインプット
当社グループは、各ヒエラルキー間の振替を振替の原因となった事象又は状況変化が発生した日に認識しております。
公正価値の測定に使用される公正価値の階層のレベルは、公正価値の測定の重要なインプットのうち、最も低いレベルにより決定しております。
③ 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額と公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2024年3月31日)
(注)借入金を除く短期間で決済される償却原価で測定する金融資産及び金融負債は、公正価値は帳簿価額に近似しているため、注記を省略しております。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(注)借入金を除く短期間で決済される償却原価で測定する金融資産及び金融負債は、公正価値は帳簿価額に近似しているため、注記を省略しております。
④ 公正価値で測定する金融商品
公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、以下のとおりであります。
(注)デリバティブ取引に関する金融商品の公正価値は、取引先の金融機関から提示された価格を参照して算定しており、レベル2に分類しております。
レベル3に分類された金融商品に係る期首残高から期末残高への調整は、以下のとおりであります。
(注)前連結会計年度において、レベル1、2及び3の間の振替はありません。
(注)当連結会計年度において、レベル1、2及び3の間の振替はありません。
上記の金融商品に関し、純損益に認識された利得及び損失は、連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれております。
非上場株式の公正価値の測定は、所定のルールに従って投資部門から独立した管理部門により行われております。公正価値を測定するにあたり、個々の資産の性質、特徴並びにリスクを最も適切に反映できる評価モデルを決定しております。
評価モデルの採用論拠及び評価過程について、リスクの管理部署である経営企画本部に報告され、公正価値の評価の方針及び手続に関する適正性が確保されております。
レベル3に分類された有価証券及びその他の金融商品について、インプットがそれぞれ合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
なお、インプットに用いられた主要な仮定が変化することにより、公正価値の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
複数事業主制度
当社グループは、確定給付制度に分類される複数事業主制度である総合型のベネフィット・ワン企業年金基金に加入しております。当社グループの拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないため、当該年金基金への要拠出額を退職給付費用として処理しております。
(注)1 当該制度は選択制確定給付企業年金制度であり、加入者が自身の選択に基づき拠出額を任意に設定しております。
2 翌連結会計年度の拠出見込額は387百万円であります。
制度全体の積立状況は以下のとおりであります。
(注)1 当該制度の解散時に年金資産額が最低積立基準額を下回る金額について、各事業所の最低積立基準額の割合で按分した金額を要求される可能性があります。
2 当該制度からの脱退時に年金財政上の不足がある場合、当該不足金のうち、脱退事業所が負担すべき金額を要求される可能性があります。
(1) 株式報酬制度の内容
当社は、ストック・オプション制度を採用しております。この制度は、当社の取締役に対して、株価上昇によるメリットのみならず株価下落のリスクまでも株主と共有することで、業績向上への貢献意欲や、株主重視の経営意識を高めるためのインセンティブを与えることを目的としております。
また、当社グループは、中長期的な企業価値を高めるための従業員インセンティブ・プランとして株式付与ESOP信託制度を導入しております。本制度は株式付与規程に基づき一定の要件を満たす者に対してポイントを付与し、一定期間経過後に権利が確定したポイント数に応じて当社株式を付与する制度となります。付与する株式の数は付与されたポイント数(1ポイント=1株)によって定まります。
なお、当社の株式報酬制度は、全て持分決済型株式報酬として会計処理されており、前連結会計年度(2024年3月期)においては79百万円、当連結会計年度(2025年3月期)においては245百万円を連結損益計算書に計上しております。
① ストック・オプション
当連結会計年度において存在したストック・オプションは、以下のとおりであります。
(※1) 権利確定条件は付されておりません。なお、ストック・オプションの権利行使に関する条件は、以下のとおりであります。
① 新株予約権者は、取締役を退任した日の翌日から10日を経過する日までの間に限り、新株予約権を行使することができるものとする。
② 新株予約権者が死亡した場合、新株予約権に係る権利を承継した相続人が新株予約権を行使できるものとする。
③ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における発行可能株式総数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできない。その他権利行使の条件は、第3回、第10回は2010年6月26日開催の当社第12回定時株主総会決議及び取締役会決議に基づき、第14回、第15回、第17回は2013年6月22日開催の当社第15回定時株主総会決議及び取締役会決議に基づき、第21回、第23回、第25回は当社取締役会決議に基づき、当社と新株予約権者との間で締結する「新株予約権割当契約書」に定めるところによる。
(※2) ストック・オプションの権利行使に関する条件は、以下のとおりであります。
① 新株予約権者は、各発行事業年度末日時点においても、当社または当社関係会社の取締役、監査役または従業員であることを要する。ただし、定年退職、その他正当な理由があると取締役会が認めた場合は、この限りではない。
② 新株予約権者の相続人による本新株予約権の行使は認めない。
③ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における発行可能株式総数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできない。
④ 各本新株予約権1個未満の行使を行うことはできない。
② 株式付与ESOP
当社の従業員等のうち一定の要件を満たす者に付与されたポイントの概要は、以下のとおりであります。
(注) 付与日以降、権利確定日まで継続して勤務していることが権利確定条件となっております。
(2) 公正価値及び公正価値の見積方法
① ストック・オプション
ストック・オプションの公正価値は、ブラック・ショールズ式及び二項モデルを用いて測定しております。
前連結会計年度(2024年3月期)及び当連結会計年度(2025年3月期)に付与されたストック・オプションの公正価値測定に使用した仮定は以下のとおりであります。
ブラック・ショールズ式
二項モデル
(※1) 付与日から予想残存期間に対応する直近期間の株価履歴を基に、株価情報を週次ベースで収集し、算定しております。
(※2) 配当実績に基づき算定しております。
(※3) 予想残存期間に近似する期間に対応する国債の利回りを採用しております。
付与されたストック・オプションの数及び付与日時点の加重平均公正価値は以下のとおりであります。
② 株式付与ESOP
ポイントの公正価値は観察可能な市場価格を基礎として測定しております。付与されたポイントの数及び付与日時点の加重平均公正価値は以下のとおりであります。
(3) 権利行使状況
① ストック・オプション
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)前連結会計年度の加重平均株価は1,697円であります。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)当連結会計年度の加重平均株価は3,167円であります。
② 株式付与ESOP
(1) 金融収益
金融収益の内訳は、以下のとおりであります。
(2) 金融費用
金融費用の内訳は、以下のとおりであります。
29.売上収益
「5.セグメント情報 (2) 報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失、及びその他の項目」における「外部顧客からの売上収益」の主要な区分別の金額は、以下のとおりであります。
(注)売上収益の主要な区分に係る履行義務は、「3.重要性がある会計方針(15) 収益」で記載しております。
また、顧客との契約以外の源泉から生じた収益の額に重要性はありません。
(注)1 履行義務は概ね1年以内に充足されます。そのため、当社グループはIFRS第15号で認められている
実務上の便法を適用し、これらの未充足の履行義務に配分した取引価格を開示しておりません。
2 契約負債は主にゲーム事業、スポーツ事業及びヘルスケア・メディカル事業から生じております。
ゲーム事業において認識された契約負債は、主にユーザから課金された対価であり、ユーザが有料のアイテム等を取得し利用することで、当社グループの履行義務が充足されユーザに対する役務提供に係る売上収益に振り替わります。
スポーツ事業において認識された契約負債は、主に広告収入に係る前受金であり、選手ユニフォーム又は主催試合会場に広告主から依頼のあった広告を掲載することで、当社グループの履行義務が充足され広告に係る売上収益に振り替わります。
ヘルスケア・メディカル事業において認識された契約負債は、主に「Join」等のサービスに係る前受金であり、契約期間にわたりサービスを提供することで当社グループの履行義務が充足され「Join」等のサービスに係る売上収益に振り替わります。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度において認識した収益のうち、期首現在の契約負債に含まれて
いたものは、それぞれ10,652百万円及び11,706百万円であります。
4 契約負債は、連結財政状態計算書の「その他の流動負債」に含まれております。
売上原価の内訳は、以下のとおりであります。
従業員給付費用の内訳は、以下のとおりであります。
販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりであります。
従業員給付費用の内訳は、以下のとおりであります。
(1) その他の収益
その他の収益の内訳は、以下のとおりであります。
(2) その他の費用
その他の費用の内訳は、以下のとおりであります。
(注) 詳細については「11.資産の減損」に記載しております。
その他の包括利益の各項目の内訳とそれらに係る税効果額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
親会社の所有者に帰属する1株当たり当期利益(損失)の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
各連結会計年度における、決算日以降の資産の取得に係るコミットメントは、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)外貨建資産の取得に係るコミットメントは、期末日の為替レートで換算しております。
該当事項はありません。
(1) 関連当事者との取引
関連会社との取引及び債権債務の残高は、以下のとおりであります。
当社は関連会社に対して将来出資を行うことを当該関連会社の株主間で契約しており、かかる契約に基づく前連結会計年度末及び当連結会計年度末現在の出資コミットメント残高はそれぞれ4,250百万円及び3,525百万円であります。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりであります。
本連結財務諸表は、2025年6月20日に代表取締役社長兼CEO 岡村信悟によって承認されております。