当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の低迷から10-12月期のGDP成長率が2四半期ぶりにマイナスに転じるなど足踏み状態が続いております。また、中国を始めとした新興国経済の景気減速や、年初からの急激な円高・株安による企業収益の下振れ懸念、日銀のマイナス金利導入の影響等、先行きは不透明なものとなっております。
当社グループの属するリース業界においては、昨年度の消費増税による落ち込みから反動増となり、業界全体の平成27年4月から平成28年3月累計のリース取扱高は前期比5.7%増の5兆891億円となっております(出典:公益社団法人リース事業協会「リース統計」)。
このような状況下において、当社賃貸・割賦事業では主要顧客である官公庁等との良好な取引関係を活かして取引規模の確保に努めると共に、相談型営業の展開強化による民需の掘り起こしを行ったものの、前期に大型案件の受注計上もあったことから、当連結会計年度において、成約高及び契約実行高は共に前期を下回る結果となりました。
ファイナンス事業においては、従来のNECグループ商流に留まらない幅広い顧客に対するファイナンス案件の取り組みや、メガバンクをはじめとした各金融機関とのパートナーシップ強化に努めた結果、成約高、契約実行高共に、前期を大幅に上回る実績となっております。
リサ事業においては、販売用不動産及び営業投資有価証券の売却があったことから増収になり、前期に営業資産の入れ替えによる売却損及び評価損を計上したため損益は改善しております。
その他の事業においては、ICT機器の調達・導入から撤去・売却までのライフサイクルに応じたICT資産の各種運用サービス事業のサービスメニューを増やすと共に、ヘルスケアリートの取り組みなど、新たな事業機会の拡大を図りました。
また、グローバル展開に関し、香港、シンガポール、マレーシアの海外現地法人を通し、NEC海外事業と一体になって事業基盤の拡大を図っております。
これらの事業活動の展開により、ファイナンス事業を中心に契約実行高は前年比増加となり、営業資産残高の積み上げも実現しております。一方で、前期にヘルスケア関連の販売用不動産の売却があったことから売上高は減収となりましたが、為替差益の計上等により経常利益、当期純利益において前期を上回る結果となっております。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,026億37百万円(前期比5.2%減)、営業利益48億70百万円(同19.4%減)、経常利益60億31百万円(同27.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33億34百万円(同18.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
賃貸・割賦事業の売上高は、再リース料の減少や小口リースの撤退の影響により前期比1.1%減の1,655億64百万円となり、貸倒引当金の戻入も減少したことから、営業利益は前期比28億80百万円減少し42億65百万円となりました。
ファイナンス事業の売上高は、営業貸付金から得られる収益により前期比11.1%増の47億56百万円となったものの、営業利益は貸倒引当金の戻入の減少等により、前期比3億54百万円減少し19億71百万円となりました。
③ リサ事業
リサ事業の売上高は、販売用不動産及び営業投資有価証券の売却があったことから前期比73.3%増の142億73百万円となりました。営業損益は前期に営業資産の入れ替えによる売却損及び評価損を計上したことに加えて、当期の販売用不動産の売却等により前期比14億91百万円改善し88百万円の営業損失となりました。
その他の事業の売上高は、前期に大型のヘルスケア関連の販売用不動産の売却があったことから前期比46.8%減の180億96百万円となったものの、営業利益は前期比6億19百万円改善し3億11百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金という)は、305億77百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって使用した資金は180億4百万円(前期は886億1百万円の支出)となりました。これは主に減価償却費95億72百万円及び税金等調整前当期純利益60億31百万円があったものの、リース債権及びリース投資資産の増加額162億84百万円及び営業貸付金の増加額149億99百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は126億73百万円(前期は24億78百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出119億12百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は184億82百万円(前期は924億80百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,927億53百万円及び社債の償還による支出150億円があったものの、長期借入れによる収入1,568億62百万円、コマーシャル・ペーパーの増加額410億円及び社債の発行による収入200億円があったことによります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
平成28年3月31日現在
貸付種別 | 件数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) | 平均約定金利 |
消費者向 |
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無担保(住宅向を除く) | ― | ― | ― | ― | ― |
有担保(住宅向を除く) | ― | ― | ― | ― | ― |
住宅向 | ― | ― | ― | ― | ― |
計 | ― | ― | ― | ― | ― |
事業者向 |
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計 | 5,306 | 100.00 | 177,002 | 100.00 | 2.03 |
合計 | 5,306 | 100.00 | 177,002 | 100.00 | 2.03 |
②資金調達内訳
平成28年3月31日現在
借入先等 | 残高(百万円) | 平均調達金利(%) | |
金融機関等からの借入 | 460,509 | 0.65 | |
その他 | 183,404 | 0.38 | |
| 社債・CP | 167,000 | 0.22 |
合計 | 643,914 | 0.59 | |
自己資本 | 80,594 | ― | |
| 資本金・出資額 | 3,776 | ― |
③業種別貸付金残高内訳
平成28年3月31日現在
業種別 | 先数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
農業、林業、漁業、鉱業 | 1 | 0.30 | 2,130 | 1.20 |
建設業 | 13 | 3.87 | 3,789 | 2.14 |
製造業 | 89 | 26.49 | 66,273 | 37.44 |
電気、ガス、熱供給、水道業 | 20 | 5.95 | 16,759 | 9.47 |
情報通信業 | 21 | 6.25 | 8,559 | 4.84 |
運輸業 | 20 | 5.95 | 12,236 | 6.91 |
卸売・小売業 | 45 | 13.39 | 14,773 | 8.35 |
金融・保険業 | 29 | 8.63 | 18,611 | 10.52 |
不動産業 | 29 | 8.63 | 14,639 | 8.27 |
飲食店、宿泊業 | 13 | 3.87 | 4,380 | 2.47 |
医療、福祉 | 7 | 2.08 | 2,998 | 1.69 |
教育、学習支援業 | 1 | 0.30 | 159 | 0.09 |
サービス業 | 44 | 13.10 | 11,147 | 6.30 |
個人 | ― | ― | ― | ― |
その他 | 4 | 1.19 | 543 | 0.31 |
合計 | 336 | 100.00 | 177,002 | 100.00 |
④担保別貸付金残高内訳
平成28年3月31日現在
受入担保の種類 | 残高(百万円) | 構成割合(%) | |
有価証券 |
| 1,296 | 0.73 |
| うち株式 | 983 | 0.56 |
債権 |
| 7,946 | 4.49 |
| うち預金 | 540 | 0.31 |
商品 |
| 1,617 | 0.92 |
不動産 |
| 15,894 | 8.98 |
財団 |
| 645 | 0.36 |
その他 |
| 14,358 | 8.11 |
計 | 41,760 | 23.59 | |
保証 |
| 13,755 | 7.77 |
無担保 |
| 121,486 | 68.64 |
合計 | 177,002 | 100.00 | |
⑤期間別貸付金残高内訳
平成28年3月31日現在
期間別 | 件数(件) | 構成割合(%) | 残高(百万円) | 構成割合(%) |
1年以下 | 4,571 | 86.14 | 67,641 | 38.22 |
1年超 5年以下 | 487 | 9.18 | 62,941 | 35.56 |
5年超 10年以下 | 166 | 3.13 | 26,432 | 14.93 |
10年超 15年以下 | 45 | 0.85 | 10,092 | 5.70 |
15年超 20年以下 | 37 | 0.70 | 9,894 | 5.59 |
20年超 25年以下 | ― | ― | ― | ― |
25年超 | ― | ― | ― | ― |
合計 | 5,306 | 100.00 | 177,002 | 100.00 |
一件当たり平均期間 |
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| 13.15月 | |
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社の取引が大半を占めているため、提出会社の状況について記載しております。
セグメントの名称 | 前事業年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当事業年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |||
契約実行高 | 前期比(%) | 契約実行高 | 前期比(%) | ||
賃貸・割賦事業 | ファイナンス・リース | 140,950 | △19.1 | 156,577 | 11.1 |
オペレーティング・リース | 25,793 | 629.7 | 7,659 | △70.3 | |
割賦 | 8,896 | 139.3 | 7,155 | △19.6 | |
賃貸・割賦事業計 | 175,640 | △3.3 | 171,392 | △2.4 | |
ファイナンス事業 | 263,464 | 10.9 | 301,006 | 14.2 | |
その他の事業 | 3,445 | △4.4 | 4,163 | 20.8 | |
合計 | 442,550 | 4.7 | 476,562 | 7.7 | |
(注)賃貸・割賦事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||
期末残高 | 構成比 | 期末残高 | 構成比 | ||
賃貸・割賦事業 | 458,601 | 63.9 | 476,921 | 63.6 | |
ファイナンス事業 | 174,063 | 24.3 | 197,754 | 26.4 | |
リサ事業 | 42,547 | 5.9 | 36,756 | 4.9 | |
その他の事業 | 42,636 | 5.9 | 37,948 | 5.1 | |
合計 | 717,848 | 100.0 | 749,380 | 100.0 | |
(注)当連結会計年度におけるリサ事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が4,322百万円、買取債権が17,135百万円、営業投資有価証券が4,756百万円、販売用不動産が3,391百万円、賃貸資産が408百万円、投資有価証券が6,741百万円となっております。
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
①前連結会計年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
セグメントの名称 | 売上高 | 売上原価 | 差引利益 | 資金原価 | 売上総利益 |
賃貸・割賦事業 | 167,373 | 151,135 | 16,238 | 3,460 | 12,777 |
ファイナンス事業 | 4,280 | 10 | 4,269 | 1,035 | 3,234 |
リサ事業 | 8,237 | 4,964 | 3,273 | 403 | 2,869 |
その他の事業 | 34,017 | 31,811 | 2,206 | 266 | 1,939 |
調整 | △55 | △17 | △38 | ― | △38 |
合計 | 213,853 | 187,904 | 25,948 | 5,166 | 20,782 |
②当連結会計年度(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)
セグメントの名称 | 売上高 | 売上原価 | 差引利益 | 資金原価 | 売上総利益 |
賃貸・割賦事業 | 165,564 | 151,105 | 14,458 | 3,258 | 11,200 |
ファイナンス事業 | 4,756 | 0 | 4,755 | 1,005 | 3,750 |
リサ事業 | 14,273 | 10,113 | 4,159 | 327 | 3,832 |
その他の事業 | 18,096 | 15,437 | 2,658 | 155 | 2,503 |
調整 | △52 | △11 | △40 | ― | △40 |
合計 | 202,637 | 176,644 | 25,992 | 4,746 | 21,245 |
(注) 1 セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2 各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①賃貸・割賦事業……情報・事務用機器、産業・土木・建設機械等の賃貸(リース・レンタル)及び
割賦販売業務等
②ファイナンス事業…金銭の貸付業務、ファクタリング業務及び営業目的の収益を得るために所有する
有価証券の投資業務等
③リサ事業……………株式会社リサ・パートナーズが行っている企業投資、債権投資、不動産、
ファイナンス及びアドバイザリー業務
④その他の事業………物品売買、賃貸取引の満了・中途解約に伴う物件売却、手数料取引業務、
ヘルスケア関連業務及び太陽光発電売電業務等
当社グループを取り巻く事業環境は、リース会計基準の変更以降、リーマンショック、東日本大震災、アベノミクスによる異次元の金融緩和等、大きく変化しております。また、自社の内部環境についても株式会社リサ・パートナーズの完全子会社化、国内営業体制の刷新、海外進出、本社移転等、大きく変化しております。このような中、当社グループの社員は、グループ会社社員及び外部からの中途採用者等、多様な経歴やノウハウの持ち主が交じり合い、互いに刺激しあうことで事業機会の拡大を図ってまいりました。
しかしながら、絶えず変化する事業環境の中で更に大きな成果をあげ、持続的に成長していくためには、目先の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにしてこれに向かって経営を進めていくことが重要であるとの結論に至りました。10年先を見据えた「自社のありたい姿(ビジョン)」を明確に描き、そこに至るロードマップである経営計画を策定し、実現に向けた戦略を実行していくことで更なる成長を勝ち得ることができると確信しております。
近年従来にも増して、企業が永続的に存在するためには、より豊かな社会の実現に貢献しうる社会的価値を創造することが求められるようになってきております。当社は、事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、企業と社会双方に共通の価値を生み出すCSV経営(Creating Shared Value=共通価値の創造)を当社が目指すべき方向性として経営の基本方針としました。この基本方針に基づき、平成25年10月に当社グループビジョンである「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を策定いたしました。
当社グループは、10年後の当社グループビジョン実現に向け、NECの販売金融会社として誕生した当社のDNAである「サービス」を軸に、「NECとの連携」「金融サービス」「ICT資産に関するサービス」をグループのコア領域と位置付けました。平成26年度からの3年間をこれらの「コア領域」の基盤再構築とビジョン実現に向けた「仕掛け」を構築するための期間と位置付け、「中期計画2014」を策定いたしました。
「中期計画2014」の経営戦略の骨子は以下になります。
① 事業戦略
ア NECと共に社会価値向上を目指す
ICTによる社会インフラ高度化事業によって、社会価値創造型企業への変革を目指すNECとの取り組みは当社グループのCSV経営の方向性と一致しており、当社グループにとって最も重要な事業戦略と考えています。当社グループの強みである官公庁・自治体に向けたサービス化・クラウド化対応を推進すると共に、NECグループの戦略の方向性に呼応した戦略(アジアを中心とした海外注力、スマートエネルギー等の新領域への対応)を立案、実行していきます。
イ 社会価値を創造する顧客基盤の拡充
当社グループのCSV経営と理念を共にする企業の成長をサポートすることで、顧客のCSV経営の拡大を図っていきます。CSV経営を目指す顧客に対して、当社グループの持つ金融サービス、ICT資産に関するサービス等を提供すると共に、国内企業の海外進出、海外現地法人への支援を行っていきます。
ウ CSV観点の新しいニーズの開拓と事業化の推進
現在の対応が不十分であるか、あるいは、今はまだ顕在化していないが今後対応が必要になってくると想定される社会課題への対応を図り、当社グループのCSV経営の進化を図っていきます。具体的には社会インフラ老朽化対応としてのPFI事業の推進、様々なデバイス・技術で安心安全な利用を提供するICT周辺サービスへの取り組みを強化していきます。また、金融機関と連携し、地域経済活性化を支援すると共に、さまざまなパートナーシップの強化による新しいニーズへの取り組みを推進していきます。
エ 多様なアセットへの取り組み
再生可能エネルギー等の事業的な金融への取り組みをはじめ、インフラ、航空機、船舶等に関連する金融を通じた事業ノウハウの高度化を推進します。また、こうした「多様なアセットへの取り組み」を通じて獲得したノウハウを他の事業にも応用し、事業機会拡大を図っていきます。
② 財務戦略
資金原価の更なる低減を実現するため、調達手段の最適化を図ると共に、流動性リスクや金利リスクをコントロールするALMの高度化を図っていきます。
③ 経営基盤強化戦略
事業戦略、財務戦略と共に、経営効率を向上させるため、以下の施策を行っていきます。
<収益力向上に向けた施策>
ア ミドルマネジメントの経営者意識醸成を図るため管理会計の高度化を推進します。
イ 事務オペレーションとITインフラ強化を通じて、バックオフィスの業務品質向上を図り、事業競争力の向上を図っていきます。
ウ 事業戦略推進のための人材ポートフォリオを構築、実行します。
エ 新事業を生み出す基盤づくりとして、マーケティング機能を強化します。
<リスク管理高度化に向けた施策>
オ 多様化する資産や事業に対するリスク管理を高度化するため、リスクとリターンを同期させたポートフォリオ管理の強化を図っていきます。
カ 国内外に広がる関係会社を含めた連結経営を強化するため、適正ガバナンスと効率運営を遂行していきます。
リース取扱高は、震災復興需要やアベノミクスによる経済活性化により、平成23年度より3年連続で前期比増加が続いていました。しかしながら、消費税増税等の影響により平成26年4月から平成27年3月累計のリース取扱高は前期比9.1%減の4兆8,150億円となっております。平成27年度においては、消費増税の影響がなくなり、前年伸長の状況となっておりますが、リース会計や税制変更に伴い従来のリースメリットが縮小したことなどから、リース業界規模そのものは最盛期から半減している状況に変わりはありません。また、日銀のマイナス金利導入など、異次元の金融緩和が継続する中、当社が事業展開するリース・企業金融市場への参入プレイヤーが増加、競争が一段と激化し、取扱高、収益性の両面での影響が懸念されます。
これらの外部環境を踏まえ、当社グループとしては、従来からのNECグループにおける販売金融機能を核としつつも、NECグループが得意とする社会インフラ、エネルギー等の領域における投融資、プロジェクトファイナンスの組成、また、ICTアセット周辺に発生する様々なビジネス機会の開拓等を通して、継続的な成長を確保していく所存です。
当社グループは、平成25年10月に「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」というグループビジョンを新たに掲げ、足元ではコア領域の基盤構築及びビジョン実現に向けた仕掛づくりを進めております。こうした取り組みの中、リスクマネジメント(管理)とリスクコントロール(制御)は事業展開を決定する重要な要素のひとつであると捉え、収益の源泉として管理するべきリスクと収益の源泉とはならない削減すべきリスクに分けて考えております。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
また、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は、当社グループの事業展開に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意下さい。
① 信用リスク
当社グループでは、賃貸・割賦事業やファイナンス事業等の与信を伴う各種事業を営んでおります。新規取引時は、顧客の信用状況のほか、リース取引についてはリース物件の将来中古価値等も勘案し、海外取引についてはカントリーリスクも含めて、厳格に審査を行っております。また、取引開始後は定期的に顧客の業況をチェックし、財務状況や市場動向の変化を把握できるように管理をするとともに、信用リスクの程度に応じて、担保・物件処分等による回収見込額及び貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金の計上を行っております。
さらに、既存顧客ごとの信用状況や業界毎の市場動向を定期的に検証し、特定の企業や業種に与信残高が集中しないように、ポートフォリオ管理を行っております。
しかしながら、賃貸・割賦事業やファイナンス事業は回収期間が中長期にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等不測の事態を蒙り、リース物件や担保資産の売却等で債権保全・回収の極大化に努めるも、貸倒損失又は貸倒引当金繰入の負担が増加して当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利変動リスク
一般的にリース会社は、賃貸・割賦事業やファイナンス事業等の成約に伴い、対象物件の購入資金や貸付資金のため、必要資金の多くを金融機関等から調達しております。このため、当社においても長・短借入金等を中心とする有利子負債比率が高くなっております。営業資産・負債の総合管理(ALM)を徹底しておりますが、市場金利が急激に上昇した場合は、調達コストの増加につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替変動リスク
当社グループでは、外貨建の案件を一部取り扱っております。外貨建の案件と外貨建借入の金額や期間等のマッチング、あるいは通貨スワップの利用等により個別案件毎に対処しておりますが、急激な為替相場の変動により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 残価変動リスク
当社グループでは、中古価値が見込めるリース物件を対象にリース満了時の残存価値(以下、「残価」という。)を設定したオペレーティング・リースを展開しております。この取引では、リース満了時に返還された物件を、当初設定した残価を上回る価格で売却することにより利益を得る可能性を有する半面、売却価格が残価を下回る場合には損失が発生するリスクを有しております。この残価リスクについては、定期的にモニタリングを実施しリスク量の計測を行うと共に、物件の種類や満了時期を分散させるよう努めておりますが、予想を上回る市場環境の変化や技術革新等によって、当該物件の処分価格が残価を下回った場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 株価及び有価証券価格変動リスク
当社グループでは、上場・非上場の株式及び債券を保有しております。これらの資産の価格は変動するものであり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。価格が著しく下落した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 不動産価格変動リスク
当社グループでは、販売用不動産を保有しております。販売用不動産は、不動産時価が下落した場合、評価損が発生し、また売却時に売却損が発生する可能性があります。不動産担保ローンや建物リース、また不動産からのキャッシュ・フローを返済原資とするノンリコースローンにおいては、引当不動産の価値が目減りし、当該取引の債権の与信が悪化する可能性があります。当社グループでは、不動産関連与信の集中状況を確認しながら取引審査を厳格に行うと共に、その後の与信管理にも万全を期し、担保不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めておりますが、不動産価格の変動が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 投資先リスクについて
当社グループでは、ファンド事業等を通して国内外の企業に対する投資を行なっております。これら投資先の経営状況の悪化、株式・債券市場の市況の悪化、海外投資における国・地域固有の政治・経済・社会情勢の変動によるカントリーリスクの顕在化等による事業環境の変化が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 流動性リスク
当社グループは金融情勢の変動に対して柔軟に対処していくため、特定の資金調達先や調達方法に依存しないよう留意しております。直接調達においては、社債、コマーシャル・ペーパーの発行等調達方法の多様化を図りつつ安定調達に注力し、間接調達においては、主要金融機関との良好な関係を維持しつつ幅広く多くの金融機関と取引を行っております。
直接調達については格付機関より短期債及び長期債の格付けを取得しておりますが、今後の業績の変動等により当社グループの格付けが見直された場合や、市場の混乱等により、市場において資金調達が困難となり、通常よりも著しく不利な金利水準での資金調達を余儀なくされる場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ NECグループとの関係
当社グループは、日本電気株式会社(以下「NEC」といい、平成28年3月31日現在、当社株式のうち37.66%を直接保有する大株主)の持分法適用関連会社としてNECグループに属しており、NECグループ国内唯一の金融サービス会社として、官公庁や大企業、中小企業等の幅広い顧客層に対して、賃貸・割賦事業を中心とした各種ファイナンスサービスを提供することを主たる事業としております。
当社グループにおけるNEC製品・サービスの取扱比率の高さから、NECの業績動向が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 設備投資の動向及びリース業界における競合
当社グループが基軸として事業展開している賃貸・割賦事業は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つとなっております。従いまして、経済環境の急激な変化や顧客の経営状況の悪化等で設備投資需要が大幅に減少した場合、当社の賃貸・割賦事業の取扱高が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、リース業界は依然として多くのリース業を営む会社が存在しており、異次元の金融緩和による料率競争も激しさを増し、厳しい競合状態にあります。こうした市場環境の下で、当社グループは中長期的な経営戦略に基づき、メーカー系リース会社としての特色を生かしつつ収益体質を一層強化し競合に対処する方針でありますが、その成否によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 自然災害によるリスク
当社グループは、地震等の自然災害、感染症の流行等に対し、費用対効果を検討の上、事業活動への影響を最小化するための対策を実施しておりますが、想定外の事象が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準に基づき、リース取引等の各種事業を行っております。現行の制度や基準が将来大幅に変更された場合には、商品・サービスのメリット喪失や、規制対応へのコスト増加等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 重要情報漏えいリスク
当社グループは、業務に関連して多数の機密情報や個人情報を保有しています。情報セキュリティ教育や、アクセス制御等の情報セキュリティ管理体制の整備を通じ、人的・物理的・技術的対策を講じていますが、これら対策にかかわらず、機密情報の漏えいが生じた場合には、罰則・損害賠償による損失、業務停止処分、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ システムリスク
当社グループでは、様々な情報システムを使用し業務を行っております。従業員の不適正な事務・事故・不正等、自然災害、システム障害等により情報漏えいや業務が中断するリスク等が想定されます。こうしたリスクへの対処として、これまでに、情報システム機器のコンピュータ専用ビルへの移転、高速専用回線用バックアップ回線装備、外部不正アクセス防止強化、システム障害に即座に対応するための専門要員配置等を行って情報セキュリティ管理の整備・強化を図り、また、今後とも一層の整備・強化に努めてまいりますが、情報システムに重大な障害が発生した場合には、営業関係業務を中心に支障をきたすとともに当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの業績等に影響が及ぶ可能性があります。
⑮ 人材の育成・確保に関するリスク
当社グループでは、事業展開上必要なノウハウの承継や新たな事業への取り組みの鍵は従業員であり、従業員の能力こそが会社にとっての大きな財産であると考え、採用活動の強化、計画的な教育・研修活動の強化に努めております。しかしながら、事業を展開する上で必要な人材を育成または雇用できない場合や、雇用している人材が退職した場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 内部統制の構築等に係るリスク
当社グループでは、財務報告にかかる内部統制の有効性確保・評価に努めておりますが、内部統制が有効に機能しなかった場合または想定外の問題が発生した場合等の要因により、当社の内部統制部門または当社の会計監査人が当社の財務報告にかかる内部統制について重大な欠陥を指摘し、財務報告にかかる内部統制が有効でないと報告する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社の財務報告に関する投資家の信頼低下等に基づく、当社株価の下落等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ コンプライアンスリスク
当社グループは、業務を行うに際して、会社法、貸金業法、金融商品取引法、個人情報保護法、独占禁止法等の法令等の適用及び規制当局の監督を受けております。また、海外においては現地の法令等の適用や規制当局の監督を受けております。
当社グループでは、「NECキャピタルソリューショングループ行動規範」を定め、コンプライアンス教育や内部通報制度を通じて、法令等のみならず広く社会ルールの遵守徹底に努めておりますが、これらについて違反が生じた場合には、罰則・契約解除・損害賠償による損失や、業務停止処分、登録・届出資格抹消、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
締結年月 | 契約の名称 | 相手先 | 契約の概要 | 期間 |
平成15年3月 | 「NEC」標章 | 日本電気株式会社 | 「NEC」表示及び標章の使用許諾の対価として日本電気株式会社に使用料を支払うものです。 | 当初契約 平成15年4月1日~ 平成16年3月31日 現行契約 平成20年11月30日~ 平成21年12月31日 以降1年毎の自動更新 |
該当事項はありません。
以下の文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2) 財政状態及び経営成績の分析
① 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて202億10百万円増加し、8,289億43百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金が129億95百万円減少したものの、リース債権及びリース投資資産が162億84百万円及び営業貸付金が149億99百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて251億11百万円増加し、7,279億16百万円となりました。主な要因としては、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が384億73百万円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが410億円及び短期借入金が120億40百万円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて49億円減少し、1,010億26百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益により33億34百万円増加したものの、剰余金の配当により9億47百万円、非支配株主持分が65億35百万円減少したことによります。
② 経営成績の分析
ファイナンス事業を中心に契約実行高は前年増加となり、営業資産残高の積み上げも実現しております。一方で、前期にヘルスケア関連の販売用不動産の売却があったことから売上高は減収となりましたが、為替差益の計上等により経常利益、当期純利益において前期を上回る結果となっております。
(3) 次期の見通し
平成28年度のわが国経済は、アベノミクスによる政府主導の経済政策が踊り場を迎え、これまでのような円安株高に端を発した企業収益の向上、所得増加、個人消費喚起といった、デフレ脱却への道筋が見通しにくくなるものと思われます。また、日本銀行によるマイナス金利導入の影響、アメリカの金融政策正常化など、国内外の金融政策が景況感に大きな影響を及ぼすものと想定され、平成29年4月の消費増税の実現の可否についても、いまだ不確定な要素が残っていると認識しております。
当社が属するリース業界は、昨年度の消費増税の落ち込みから反動増となり、今年度における業界全体のリース取扱高は前期を上回る状況となりました。次期の見通しについては、オリンピック・パラリンピックに関連する国内設備投資の動向等を見極めつつ、慎重に推移を見守る必要があると考えております。
このような事業環境において、当社グループは、社名に「NEC」の3文字を冠する企業として成長し、また「日本」の復興・発展に寄与するべく、各種ソリューションを通して、企業と社会双方に共通の価値を生み出すCSV経営(Creating Shared Value=共通価値の創造)の拡大を先導する独自のポジションを形成していく所存です。その基本方針として策定したのが、グループビジョン「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」であり、「NECと共に社会価値向上を目指す」「社会価値を創造する顧客基盤の拡充」「CSV観点の新しいニーズの開拓と事業化の推進」「多様なアセットへの取り組み」からなる4つの事業戦略を柱に、グループビジョン実現を目指していきます。
上記の環境、方針のもと、次期は賃貸・割賦事業の契約実行高を伸長させることで賃貸・割賦事業売上高の当期比減少幅を抑制すると共に、ファイナンス事業、その他の事業の売上伸長に取り組んでまいります。平成29年3月期の通期連結売上高予想は当期比1.2%増の2,050億円を見込んでおります。
また、平成29年3月期の通期連結の利益は、与信コストについて足元のバランスシートの点検を行うと共に個別与信案件を精査し、景況感とここ数年の実績を勘案して与信コストを見積もった結果、経常利益60億円、親会社株主に帰属する当期純利益35億円を予想しております。
なお、以上の文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、実際の実績等は様々な要因により変動する可能性があります。
(4) 流動性及び資金の源泉
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金という)は、305億77百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって使用した資金は180億4百万円(前期は886億1百万円の支出)となりました。これは主に減価償却費95億72百万円及び税金等調整前当期純利益60億31百万円があったものの、リース債権及びリース投資資産の増加額162億84百万円及び営業貸付金の増加額149億99百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は126億73百万円(前期は24億78百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出119億12百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は184億82百万円(前期は924億80百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,927億53百万円及び社債の償還による支出150億円があったものの、長期借入れによる収入1,568億62百万円、コマーシャル・ペーパーの増加額410億円及び社債の発行による収入200億円があったことによります。