当社は2013年10月に10年先を見据えた「自社のありたい姿(当社グループビジョン)」を明確に描き、そこに至るロードマップである経営計画を策定しました。これは、絶えず変化する事業環境の中で更に大きな成果をあげ、持続的に成長していくために、目先の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにしてこれに向かって経営を進めていくことが重要であるとの結論に至ったからであります。
近年従来にも増して、企業が永続的に存在するためには、より豊かな社会の実現に貢献しうる社会的価値を創造することが求められるようになってきております。当社グループビジョンである「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」は、事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)経営を目指すものであり、当社経営の基本方針であります。この基本方針に基づき、CSV経営実現に向けた10年間のロードマップとして実現までを三段階に分割しております。当期末において、第一段階である「中期計画2014」に続き、2020年3月末で第二段階にあたる「中期計画2017」が終了しました。2020年4月からは第三段階である「中期計画2020」をスタートするべく、社内での検討を重ねてまいりましたが、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、改めて足元の事業環境の動向を見極める必要があると判断し、その公表を延期いたしました。公表延期に伴い、以下の「(2)中長期的な会社の経営戦略」については参考情報として、「中期計画2017」の内容を記載しております。なお、従来から掲げている中期計画2020の方向性「コア領域の拡充と新事業収益化」について変更はありません。
当社グループは、NECの販売金融会社として誕生した当社のDNAである「サービス」を軸に、「NECとの連携」「金融サービス」「ICT資産に関するサービス」をグループの強みであるコア領域と位置付けています。
2017年度からの3年間は、「中期計画2014」での取り組みを元に、「コア領域」の完成とビジョン実現に向けた「新事業」の立ち上げの期間と位置付け、「中期計画2017」を策定しております。
「中期計画2017」の概要は以下のとおりとなります。
① 事業戦略(コア領域の完成)
従来のリース・ファイナンス事業を強化拡大すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力の活用や社内外とのシナジー創出による顧客課題の解決提案など、強みを活かした当社らしい「サービス」の確立に取り組みます。
a. NECとの戦略的なパートナーシップの確立と深耕
ビジネスのサービス化・クラウド化を背景に、既存のNECグループビジネスである官公庁及び民間企業領域において、ベンダーファイナンスをはじめ、高付加価値なリース、ファイナンスの提供を推進すると共に、PFI/PPP事業(注)の拡大を進めます。加えて、当社が取り組む新事業領域におけるNEC関連のビジネス機会創出を推進します。
b. 独自商流における顧客基盤の拡充
既存のNECの顧客基盤を深耕しながら、ベンダーファイナンスや提案型営業を通して、中堅・中小企業向け営業を本格化させ、当社独自の顧客基盤拡充と共に、収益性向上に取り組みます。
c. 高い利益成長の源泉を確保
海外におけるNECとの協働プロジェクトを推進すると共に、独自の事業ノウハウやパートナー構築力を高めることでグローバル事業を加速させます。また、専門性が高く成長が期待できる分野において、競争優位なサービスを推進すると共に、株式会社リサ・パートナーズの持つ地銀ネットワークを活かした金融法人営業を強化します。
② 事業戦略(新事業立ち上げ)
地域活性化や労働人口減少等の社会課題解決に対する事業への取り組みを推進します。
a. 新事業における新ビジネスモデルの確立、及び投融資に留まらない新事業の立ち上げ
「エネルギー」「観光」「農業」「ヘルスケア」の4領域を新事業と位置付け、NECグループのICT技術・ノウハウを活用しながら、当社ならではの新事業を立ち上げ、将来の収入源を確保します。
b. ICT/IoT、非ICT商材を対象とするレンタル事業の展開
既存のLCM(Life Cycle Management)サービスをNECグループの統合ソリューションとして組み入れ販路を拡大すると共に、IoTやビッグデータ活用に関連する機器やロボット商材等のレンタル事業に取り組みます。
③ 経営基盤強化戦略
事業戦略を支える経営基盤を強化するべく、以下の施策を行っていきます。
<経営、営業現場双方に対する強力なサポート体制の構築>
a. 営業企画機能の強化
提案型営業の効率的な実践や新事業を生み出す基盤づくりとして営業企画部門を立ち上げ、営業要員が効果的に活動できるように支援します。
b. 営業業務の支援体制強化(法務、審査、会計等)
営業企画機能と併せて、高度化する提案型営業をサポートするべく、法務や審査、会計面での支援体制を強化します。
c. 管理会計の高度化をはじめとした、適切な意思決定に資する経営管理機能の強化
管理会計の高度化を進め、データ活用等による経営数値のより詳細な情報提供をすることで、適切な意思決定のサポート体制の強化を行います。また重要な経営課題に関するモニタリングを強化します。
<コンプライアンス体制のさらなる強化、業務品質・効率の向上、及び事業戦略の実行に伴う各種リスク管理レベルの向上>
新事業への取り組みや、事業の多角化等により、一層高度な管理体制が求められることから、コンプライアンス、業務品質・効率の向上、各種リスク管理について、更なる強化を図っていきます。
<従業員満足度向上に向けた人事諸制度の改革>
a. 労働生産性の向上につなげるべく、ワークライフバランスや女性活躍といったダイバーシティ等の観点から働き方変革に取り組みます。
b. 社員の育成体系の整備や評価制度等の見直しを行い、社員ひとりひとりのやりがいの向上を図ると共に能力を最大限に引き出していきます。
(注)PFI(Private Finance Initiative):公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことにより効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る手法。
(注)PPP(Public Private Partnership):公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームを幅広くとらえた概念。PFIは、PPPの代表的な手法の一つ。
上記「中期計画2017」について、事業セグメント別の経営方針を整理すると以下の通りとなります。
a. 賃貸・割賦事業
既存のNECグループビジネスである官公庁及び民間企業領域において、ベンダーファイナンスをはじめ、高付加価値なリースを提供すると共に、小口リースの展開強化や高収益が期待できる戦略アセットへの取り組み推進により良質なアセットを積み上げていきます。また、収益率を重視しながらアセット残高の伸長を果たすことで、2010年度より減少が続いていた賃貸・割賦事業の売上総利益の下げ止まりと前年比反転を目指します。
b. ファイナンス事業
既存顧客を維持しつつ、顧客の様々なファイナンスニーズを捉えることで、大企業のみならず中堅・中小企業向け営業を強化し、顧客基盤拡充と収益性向上を図ります。また、プロジェクトファイナンスの組成ノウハウ等の蓄積により、国内外でアレンジャーとしてのポジションを獲得し、収益力の向上を目指します。
c. リサ事業
ファンドビジネスやアドバイザリー機能を通して、インカム&キャピタルゲインを獲得すると共に、地域金融機関との連携強化を更に進化・加速させることで、持続的な高収益体質への転換を図ります。また、地域金融機関とのリレーション強化において、NECグループと連携し地方の新しいニーズに対応することで新たな収益機会の確保を目指します。
d. その他の事業
当社の取り組むべき社会課題として「エネルギー」「観光」「農業」「ヘルスケア」の4領域を新事業領域と捉え、本中計期間中に当社の強みと結び付けてビジネスを立ち上げ、次の「中期計画2020」で収益化するというロードマップにつなげてまいります。また、ベンチャーファンドではキャピタルゲインの実現を図ると共に、PFI/PPP事業では、ノウハウの蓄積により、代表企業としての取り組み実現による収益力の向上を目指します。
当連結会計年度におけるわが国経済は、第3四半期までは好調な企業業績や堅調な海外景気を背景に、緩やかな景気回復が続いておりましたが、1月下旬以降全世界に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響により景況感は急激に悪化いたしました。2020年4月公表の日銀「地域経済報告―さくらリポート―」において、全国の9地域すべての景気判断が下方修正されるなど、個人消費や企業活動に大きな影響を与える状況となっております。
当社グループの属するリース業界においては、Windows10の入替需要等を背景とした情報通信機器の取扱高増により、業界全体の2019年4月から2020年3月累計のリース取扱高は、前期比6.2%増の5兆2,983億円となっております。(出典:公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
加えて、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大による個人消費や企業活動の停滞に伴い、新規リース取扱高及び新規ファイナンス取扱高の減少、与信コストの増加、資金調達コストの増加、為替変動幅の拡大などが懸念されます。足元の資金調達環境については、コマーシャル・ペーパーの発行レートが一時的に乱高下するなど、今後の動向について注視が必要と考えています。また、当社社員が感染した場合のBCP対応によって、企業活動の水準が必要最低限にならざるを得なくなった場合、経営成績全般に影響を及ぼす可能性があると考えています。
これらの外部環境を踏まえ、当社グループとしては、従来からのNECグループにおける販売金融機能を核としつつも、NECグループが得意とする社会インフラ、エネルギー等の領域における投融資、プロジェクトファイナンスの組成、また、ICTアセット周辺に発生する様々なビジネス機会の開拓等を通して、継続的な成長を確保していくと共に、リスクマネジメント体制の一層の強化を図り、感染症をはじめとした様々なリスクについての対応に万全を期するべく対応を図っていく所存です。
当社グループは、2013年10月に掲げた「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」というグループビジョンの実現に向け、「コア領域の完成」のための事業戦略と「新事業立ち上げ」のための戦略を実行しております。こうした取り組みの中、リスクマネジメント(管理)とリスクコントロール(制御)は事業展開を決定する重要な要素のひとつであると捉え、収益の源泉として管理すべきリスクと収益の源泉とはならない削減すべきリスクに分けて考えております。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
当連結会計年度末現在において、当社経営者が認識している主要なリスクは、新型コロナウイルス感染症に関連するリスクとなりますが、その他の事業上のリスクについても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から以下の記載に含めて開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は、当社グループの事業展開に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。
(1) 新型コロナウイルス感染症に係る事業等のリスク
新型コロナウイルスの国内外における感染拡大などの影響により、経済活動の急速な悪化が続いており、厳しい状況が続くものと予測しております。新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは対策本部を立ち上げ、集合形式の会議、研修、出張及び懇親会等の開催を原則禁止し、在宅勤務推進等の安全対策を施しています。また、WEB会議や電話折衝を中心にお客様からのご相談や接客を行っています。海外においても在宅勤務や時短での出社を推進し、適宜各国の状況に合わせた対応を行っております。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の今後の感染拡大の規模や収束の時期についての見通しはたっておらず、現時点で業績に与える影響を合理的に予測することは困難でありますが、当社は、社会的責務の遂行のため事業継続を重視したリスク戦略と財務戦略を採用しており、新型コロナウイルスの影響が当社業績に及ぼす影響を見極めながら対応しております。
(2) 信用リスク
① 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の感染拡大やそれに伴う経済活動停滞による影響が収束するまで今後半年から1年程度かかるものと想定しており、特にリースや貸付金等の信用リスクに影響が見込まれます。そのため、当社の連結財務諸表を作成するにあたり、当連結会計年度末現在に保有する営業債権の債務者区分や回収可能性の評価について、一定の仮定に基づき見積りを行う必要があると考えております。
こうした中、新型コロナウイルス感染症の影響により手許流動性確保を目的とした顧客からの支払猶予要請を受けた営業債権については、顧客の直近の財政状態や支払猶予の影響等を勘案し、入手可能な情報に基づいて貸倒引当金を計上する必要性の判断と見積りをしております。
しかしながら、見積りに用いた仮定には不確実性があり、将来の新型コロナウイルス感染症の感染状況やその経済環境への影響が変化した場合には、翌年度の連結財務諸表において、保有する営業債権に回収懸念が高まり追加の引当金が必要となる可能性があります。当社としては、営業債権に関する信用リスクの管理を実施し、顧客の与信状況の定期的なモニタリングと期日及び残高の管理をするとともに、財政状態の悪化による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
② 通常の与信取引
当社グループでは、賃貸・割賦事業やファイナンス事業等の与信を伴う各種事業を営んでおります。新規取引時は、顧客の信用状況のほか、リース取引についてはリース物件の将来中古価値等も勘案し、海外取引についてはカントリーリスクも含めて、厳格に審査を行っております。また、取引開始後は定期的に顧客の業況をチェックし、財務状況や市場動向の変化を把握できるように管理をするとともに、信用リスクの程度に応じて、担保・物件処分等による回収見込額及び貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金の計上を行っております。
さらに、既存顧客ごとの信用状況や業界毎の市場動向を定期的に検証し、特定の企業や業種に与信残高が集中しないように、ポートフォリオ管理を行っております。
しかしながら、賃貸・割賦事業やファイナンス事業は回収期間が中長期にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等不測の事態を蒙り、貸倒損失又は貸倒引当金繰入の負担が増加して当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性はありますが、その場合においてもリース物件や担保資産の売却等で債権保全・回収の極大化に努めております。
(3) 流動性リスク
当社グループは金融情勢の変動に対して柔軟に対処していくため、特定の資金調達先や調達方法に依存しないよう留意しております。直接調達においては、社債、コマーシャル・ペーパーの発行等調達方法の多様化を図りつつ安定調達に注力し、間接調達においては、主要金融機関との良好な関係を維持しつつ幅広く多くの金融機関と取引を行っております。
直接調達については格付機関より短期債及び長期債の格付けを取得しておりますが、今後の業績の変動等により当社グループの格付けが見直された場合や、市場の混乱等により、市場において資金調達が困難となり、通常よりも著しく不利な金利水準での資金調達を余儀なくされる場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、営業活動に備えての現金及び預金は前期比222億97百万円増加して当連結会計年度末は433億39百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は2,626億2百万円となっております。
(4) 金利変動リスク
一般的にリース会社は、賃貸・割賦事業やファイナンス事業等の成約に伴い、対象物件の購入資金や貸付資金のため、必要資金の多くを金融機関等から調達しております。このため、当社においても長・短借入金等を中心とする有利子負債比率が高くなっております。市場金利が急激に上昇した場合は、調達コストの増加につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、営業資産・負債の総合管理(ALM)を実施することにより金利変動リスクの低減に努めております。
(5) 為替変動リスク
当社グループでは、外貨建の案件を一部取り扱っており、為替相場の急激な変動により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、基本方針である外貨建営業資産とバランスさせた外貨建調達を実行することで為替変動リスクの低減に努めております。
(6) 残価変動リスク
当社グループでは、中古価値が見込めるリース物件を対象にリース満了時の残存価値(以下、「残価」という。)を設定したオペレーティング・リースを展開しております。この取引では、リース満了時に返還された物件を、当初設定した残価を上回る価格で売却することにより利益を得る可能性を有する半面、売却価格が残価を下回る場合には損失が発生するリスクを有しております。
そのため予想を上回る市場環境の変化や技術革新等によって、当該物件の処分価格が残価を下回った場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、定期的なモニタリングの実施とリスク量の計測を行うと共に、物件の種類や満了時期を分散させることで残価変動リスクの低減に努めております。
(7) 株価及び有価証券価格変動リスク
当社グループでは、上場・非上場の株式及び債券を保有しております。これらの資産の価格は変動するものであり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。価格が著しく下落した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、これらの変動リスクの対処としては、当社グループが許容する範囲内に当該リスク量を収めるべくリスク管理を行っており、当社グループのリスクの管理低減に努めております。
(8) 不動産価格変動リスク
当社グループでは、販売用不動産を保有しております。販売用不動産は、不動産時価が下落した場合、評価損が発生し、また売却時に売却損が発生する可能性があります。不動産担保ローンや建物リース、また不動産からのキャッシュ・フローを返済原資とするノンリコースローンにおいては、取引の対象となる不動産の価値が目減りし、当該取引の債権の与信が悪化する可能性があります。不動産価格の変動が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、不動産関連与信の集中状況を確認しながら取引審査を厳格に行うと共に、その後の与信管理にも万全を期し、担保として設定されている不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。
(9) 海外投資のリスク
当社グループでは、海外の企業に対する投融資を行なっております。これら投資先の経営状況の悪化、株式・債券市場の市況の悪化、海外投資における国・地域固有の政治・経済・社会情勢の変動によるカントリーリスクの顕在化等による事業環境の変化が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクの対処として、海外営業取引に関するカントリーリスクの管理制度を定めており、特定の国へのリスクへの集中や過大なリスクの管理低減に努めております。
(10) NECグループとの関係
当社グループは、日本電気株式会社(以下「NEC」といい、当連結会計年度末現在、当社株式のうち37.66%を直接保有する大株主)の持分法適用関連会社としてNECグループに属しており、当社グループにおけるNEC製品・サービスの取扱比率の高さから、NECの業績動向が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方で当社グループは、NECグループ国内唯一の金融サービス会社として、官公庁や大企業、中小企業等の幅広い顧客層に対して、賃貸・割賦事業を中心とした各種ファイナンスサービスを提供することを主たる事業としております。「NECとの戦略的な連携」「幅広い金融ソリューション」「ICTに関する豊富な知見」をグループの「コアバリュー」と位置付けており、従来のリース・ファイナンス事業を強化拡大すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力の活用や社内外とのシナジー創出による顧客課題の解決提案など、「コアバリュー」の3つの強みを活かした当社ならではの「サービス」の確立に取り組んでおります。
(11) 設備投資の動向及びリース業界における競合
当社グループが基軸として事業展開している賃貸・割賦事業は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つとなっております。従いまして、経済環境の急激な変化や顧客の経営状況の悪化等で設備投資需要が大幅に減少した場合、当社の賃貸・割賦事業の取扱高が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、リース業界では依然として多くのリース業を営む会社が存在しており、金融緩和による料率競争も激しさを増し、厳しい競合状態にあります。こうした市場環境の下で、当社グループは中長期的な経営戦略に基づき、メーカー系リース会社としての特色を生かしつつ収益体質を一層強化し競合に対処する方針であります。
(12) 自然災害によるリスク
当社グループは、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある地震及び台風等の自然災害や感染症の流行等に対し、費用対効果を検討の上、事業活動への影響を最小化するための対策を実施しております。
(13) 制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準に基づき、リース取引等の各種事業を行っております。現行の制度や基準が将来大幅に変更された場合には、商品・サービスのメリット喪失や、規制対応へのコスト増加等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対し、当社は既存の顧客基盤を深耕すると共に新規顧客の開拓を行いながら、顧客の経営資源に関わるさまざまな課題に対して解決策を提供することで、収益性向上とリスクの低減に取り組んでまいります。
(14) 重要情報漏えいリスク
当社グループは、業務に関連して多数の機密情報や個人情報を保有しており、機密情報の漏えいが生じた場合には、罰則・損害賠償による損失、業務停止処分、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクへの対処として、当社グループでは情報セキュリティ教育や、アクセス制御等の情報セキュリティ管理体制の整備を通じ、人的・物理的・技術的対策を講じております。
(15) システムリスク
当社グループでは、様々な情報システムを使用し業務を行っております。従業員の不適正な事務・事故・不正等、自然災害、システム障害等により情報漏えいや業務が中断するリスク等が想定されます。
情報システムに重大な障害が発生した場合には、営業関係業務を中心に支障をきたすとともに当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの業績等に影響が及ぶ可能性がありますが、こうしたリスクへの対処として、これまでに情報システム機器のコンピュータ専用ビルへの移転、高速専用回線用バックアップ回線装備、外部不正アクセス防止強化、システム障害に即座に対応するための専門要員配置等を行っており、今後とも一層の情報システム管理の整備・強化に努めてまいります。
(16) 人材の育成・確保に関するリスク
当社グループの事業を展開する上で必要な人材を育成または雇用できない場合や、雇用している人材が退職した場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、事業展開上必要なノウハウの承継や新たな事業への取り組みの鍵は従業員であり、従業員の能力こそが会社にとっての大きな財産であると考え、採用活動の強化、計画的な教育・研修活動の強化に努めております。
(17) 内部統制の構築等に係るリスク
当社グループにおいて、財務報告にかかる内部統制が有効に機能しなかった場合、或いは想定外の問題が発生した場合等の要因により、当社の内部統制部門または当社の会計監査人が当社の財務報告にかかる内部統制について重大な欠陥を指摘し、財務報告にかかる内部統制が有効でないと報告する可能性があります。
このような事態が発生した場合、当社の財務報告に関する投資家の信頼低下等に基づく、当社株価の下落等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、財務報告にかかる内部統制を構築し内部統制の有効性の確保と評価に努めております。
(18) コンプライアンスリスク
当社グループは、業務を行うに際して、会社法、貸金業法、金融商品取引法、個人情報保護法、独占禁止法等の法令等の適用及び規制当局の監督を受けております。また、海外においては現地の法令等の適用や規制当局の監督を受けております。
これらについて違反が生じた場合には、罰則・契約解除・損害賠償による損失や、業務停止処分、登録・届出資格抹消、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「NECキャピタルソリューショングループ行動規範」を定め、コンプライアンス教育や内部通報制度を通じて、法令等のみならず広く社会ルールの遵守徹底に努めております。
当社賃貸・割賦事業では、主要顧客である官公庁・自治体等との良好な取引関係を活かして取引規模の拡大を図ると共に、大型のベンダーファイナンス案件の獲得やWindows10の入替需要を取り込んだICTレンタルの増加等により、当連結会計年度における契約実行高、成約高共に前期を大幅に上回る結果となりました。
ファイナンス事業においては、それぞれの顧客の資金需要に沿った幅広いファイナンススキームの提案や、顧客基盤の拡充、深耕等により、契約実行高、成約高共に前期を上回る結果となりました。
リサ事業においては、ファンドビジネスにおける投資有価証券の売却や配当収益により、売上高、営業利益共に前期を上回る結果となりました。
また、その他の事業においては、当期に大型の売却収益を計上したことから、売上高は前期を上回り、営業損失は改善しました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,207億16百万円(前期比8.1%増)、営業利益82億92百万円(同7.1%減)、経常利益90億92百万円(同2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益51億17百万円(同19.9%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
賃貸・割賦事業の売上高は、前期比4.8%増の1,748億93百万円となったものの、営業利益は販売費及び一般管理費の増加等により、前期比12億47百万円減少し28億39百万円となりました。
ファイナンス事業の売上高は、配当収益や金利収入等により前期比9.7%増の72億86百万円となったものの、営業利益は販売費及び一般管理費の増加等により、前期比2億15百万円減少し31億6百万円となりました。
リサ事業の売上高は、当期の大型のファンドによる営業投資有価証券の売却や配当収益により前期比15.1%増の161億68百万円となり、営業利益は前期比4億12百万円増加し40億46百万円となりました。
その他の事業の売上高は、当期に大型の賃貸資産の売却等があったことから、前期比34.8%増の224億37百万円となり、営業損失は前期比2億24百万円改善し1億30百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,018億27百万円増加し、9,975億10百万円となりました。主な要因としては、リース債権及びリース投資資産が517億78百万円、現金及び預金が222億97百万円、販売用不動産が127億56百万円、割賦債権が93億10百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて1,025億78百万円増加し、8,922億62百万円となりました。主な要因としては、債権流動化に伴う長期支払債務(債権流動化に伴う支払債務を含む)が40億79百万円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが880億円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が194億30百万円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて7億50百万円減少し、1,052億48百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により38億25百万円増加したものの、非支配株主持分が45億9百万円、その他の包括利益累計額が66百万円減少したことによります。
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供している他、ファクタリング、決済・回収代行及び債権流動化等のサービスについても行っており、割賦債権、リース債権及びリース投資資産並びに営業貸付金等の営業債権を保有しております。また、営業投資有価証券、有価証券及び投資有価証券は、主に株式、債券及び組合出資金であり、純投資目的及び営業推進目的で保有しています。さらにこれらに加えて、外貨建ての海外投融資に取り組む他、当社グループの一部の連結子会社では、自己勘定やファンドを通じて、企業(株式)、貸付債権及び不動産を対象に投融資を行っております。
当社グループの資金調達は営業資産との整合を基本としており、営業資産等の増減にあわせて資金調達を行っています。具体的には、市場の状況を踏まえ、長期と短期や直接と間接等のバランスを図りつつ、金融機関からの借入れを中心に、社債やコマーシャル・ペーパーの発行並びに債権流動化といった様々な方法で資金調達をしております。
また、当社グループの主たる営業資産は、リースや割賦取引を中心とした固定金利の資産でありますが、資金調達は主に変動金利での借入を中心に行っているため、営業資産及び負債の総合管理(ALM)により、金利変動リスク及び流動性リスクの低減に努めております。その一環として、現在及び将来の獲得利鞘が変動するリスクをヘッジするために金利スワップ取引を利用しています。
なお、外貨建の営業資産の為替変動リスクについては、外貨建資産・調達の残高を両建てとする取引を行う他、通貨スワップ取引を用いてヘッジしております。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)に対しては、営業資産のキャッシュ・フローと営業負債のキャッシュ・フローの対応関係を適切に維持することのほか、資金調達手段の多様化への取組みや適正な水準の手許流動性を維持することなどによりリスクの低減を図っております。なお、当連結会計年度末につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による資金調達面のリスクを考慮し、例年よりも手許現預金を増加させております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)は、430億22百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果によって使用した資金は699億2百万円(前期は56億61百万円の収入)となりました。これは主にリース債権及びリース投資資産の増加額517億78百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は35億29百万円(前期は97百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の償還による収入118億63百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出143億16百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は956億27百万円(前期は199億99百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,443億41百万円があったものの、長期借入れによる収入1,645億79百万円及びコマーシャル・ペーパーの増加額880億円があったことによります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
2020年3月31日現在
②資金調達内訳
2020年3月31日現在
③業種別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
⑤期間別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
①契約実行高
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社の取引が大半を占めているため、提出会社の状況について記載しております。
(注)賃貸・割賦事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
②営業資産残高
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度におけるリサ事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が9,010百万円、買取債権が10,640百万円、営業投資有価証券が11,866百万円、販売用不動産が11,228百万円、投資有価証券が19,897百万円となっております。
③営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(注) 1.セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2.各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①賃貸・割賦事業……情報・事務用機器、産業・土木・建設機械等の賃貸(リース・レンタル)及び
割賦販売業務等
②ファイナンス事業…金銭の貸付業務、ファクタリング業務及び営業目的の収益を得るために所有する
有価証券の投資業務等
③リサ事業……………株式会社リサ・パートナーズが行っている企業投資、債権投資、不動産、
ファイナンス及びアドバイザリー業務
④その他の事業………物品売買、賃貸取引の満了・中途解約に伴う物件売却、手数料取引、
ベンチャー企業向け投資、ヘルスケア関連及び太陽光発電売電業務等
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、日本基準で連結財務諸表を作成しております。IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針です。
当社グループの連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
貸倒引当金
当社は、官公庁・自治体等や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等の営業取引を行っており、これらの営業債権の回収は、景気変動やその他の事由により延滞や倒産等が生じた場合、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があります。そのため当社の営業債権である割賦債権、リース債権及びリース投資資産、賃貸料等未収入金並びに営業貸付金等については、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されており、重要な会計上の見積りを必要とします。
当社の営業債権に関する信用リスクの管理にあたっては、社内管理規程に沿って顧客毎の状況を定期的にモニタリングし、期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。取組時において個別案件毎の与信審査、与信限度額、与信情報管理、内部格付及び成約条件の設定を行っておりますが、途上の与信管理で与信不安情報等を入手した際は与信ランクの変更をしております。
貸倒引当金については、債権の貸倒損失に備えるため、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項(4)重要な引当金の計上基準 ①貸倒引当金」に記載のとおり、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社は、債務者区分と商品形態別に与信ランクと引当基準を設けており、当該引当基準に基づいて、担保・物件処分等による回収見込額や貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金の計上を行っております。引当率は過去の貸倒実績に基づいて見積りしております。
また、債務者区分の判定は、顧客の財務指標や返済状況等の定量的要因と将来の業績見通し等の定性的要因に関連する情報を基礎として行っており、特に定性的要因に基づく債務者区分の判定は重要な見積りを必要とします。
当社は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、保有する営業債権の回収期間が中長期にわたることから、経済及びその他の事象または状況の変化により、顧客の延滞・倒産等の不測の事態を蒙り、追加の引当金の計上が必要となってくる可能性があります。
与信コストは主に債務者区分、非保全額及び引当率の3つの見積り要素の影響を受けており、与信コストの変動は当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症という)拡大に端を発した経済環境の変化による信用リスクへの影響については、本感染症による影響が収束するまで今後半年から1年程度かかるものと想定しており、一定の仮定に基づき貸倒引当金を計上しております。
本感染症の影響により、手許流動性確保を目的とした顧客からの支払猶予要請を受けた営業債権については、顧客の直近の財政状態や支払猶予の影響等を勘案した貸倒引当金の見積りをしておりますが、本感染症の影響が長期化すること等により債権の回収に懸念が生じた場合には、追加の引当金が必要となる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,207億16百万円(前期比8.1%増)、営業利益82億92百万円(同7.1%減)、経常利益90億92百万円(同2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益51億17百万円(同19.9%減)となりました。売上高及び売上総利益は、営業資産の積み上げや投資有価証券の売却等により、賃貸・割賦事業をはじめ、すべてのセグメントで前期を上回りました。営業利益は、第4四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染拡大の影響等により与信費用の計上を行ったことから減益となっておりますが、経常利益については、前期の為替評価損が当期は評価益になったこと、及び投資事業組合等の投資利益を獲得したこと等により増益となっております。親会社株主に帰属する当期純利益については、法人税等や非支配株主に帰属する当期純利益の増加により前期を下回る結果となりました。
以上により、中期計画2017で掲げた2020年3月期の当初計数目標(経常利益85億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円)については、それを上回る経常利益90億92百万円、親会社株主に帰属する当期純利益51億17百万円を計上しました。また、これに伴い中期計画3ヶ年累計の利益計画についても、親会社株主に帰属する当期純利益の3ヶ年累計目標120億円に対して3ヶ年累計実績が175億円となっており、大幅に達成することができました。
「中期計画2017」の最終年度、という観点から当連結会計年度を振り返ると、CSV経営実現に向けた歩みを着実に進めることができたと認識しております。「中期計画2017」の3年目は、グループビジョン実現に向けた10年間の、第二ステップが完了する年度であり、その実現に向けた各種取り組みの進捗を確認する二回目のポイントでもあります。
「中期計画2017」では「コア領域の完成」と「ビジョン実現に向けた新事業の立ち上げ」を目標に掲げています。「コア領域の完成」においては、大きく3つの観点から取り組みを進めております。
第一は「NECとの戦略的なパートナーシップの確立と深耕」です。官公庁や民間大企業のお客様向けに、NECとの連携強化により着実に取扱高を増加させております。当連結会計年度においては、中でも学校PCの導入について想定以上の成果を上げることができました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校PCの導入需要は今後も加速すると想定され、NECとの連携強化により着実にそのビジネスチャンスを捉えていく所存です。なお、これらの取り組みが奏功し、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) セグメント別経営方針」に記載した、「賃貸・割賦事業の売上総利益の下げ止まりと前年比反転」について実現をすることができました。
第二は「独自商流における顧客基盤の拡充」です。外資系ICTベンダーとの連携強化による大型案件の獲得や、大口販社との取り組み強化による小口リースの取り扱い高伸長など、目に見えるかたちでの成果もあがってきました。
第三は「高い利益成長の源泉を確保」です。当中計期間を通して、当社連結経営成績に大きな貢献をした株式会社リサ・パートナーズの持続的な収益性向上に加え、PFI事業の強化拡大、ベンチャーファンド事業の推進など、足元の高い利益成長の源泉を確保しつつ、将来の利益成長の源泉確保に向けても着実に取り組みを遂行しております。
第二の目標である「ビジョン実現に向けた新事業の立ち上げ」においては、当社の取り組むべき社会課題として「エネルギー」「観光」「農業」「ヘルスケア」の4領域を新事業領域と捉え、「中期計画2017」の期間に当社の強みと結び付けてビジネスを立ち上げ、次の「中期計画2020」で収益化するというロードマップを描いています。
当連結会計年度における取り組みとして、エネルギー領域では、太陽光に加え、バイオマス発電、水力発電分野などへの取り組みを推進しております。また、宮古島において、再エネサービスプロバイダ事業の拡大に向けた取り組みについても開始いたしました。観光領域では、阿寒湖や白馬岩岳などにおける各地域の観光資源活性化を通した事業創出、茨城県稲敷市での官民連携まちづくり協定の締結など、地域経済活性化に向けた取り組みを推進しております。農業領域では、米の生産、加工、販売を主事業としている株式会社みらい共創ファーム秋田において、秋田の気候風土に沿った、米と畑作の複合農業への取り組みを継続しております。これに加え、鹿児島でのミニトマト栽培や国内バナナ生産に関する知見獲得など、農業に関する取り組み領域についても拡大しております。ヘルスケア領域ではヘルスケア施設のリート向けウェアハウジング事業の取組みを推進しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、日銀の異次元金融緩和政策が挙げられます。この影響により、銀行をはじめとする金融機関の競合が激化し、国内のリース市場にも影響を与えていると考えておりますが、当連結会計年度については、Windows10の入替特需や、労働力不足を補う設備投資需要などを背景に市場全体のリース取扱高は前期比6.2%増となり、5兆円の大台を回復しました。また、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した通り、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内外の経済の停滞や混乱は、今後当社事業の運営に影響を及ぼす可能性があると考えております。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性について、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー共に、問題ない状態と考えております。外貨調達に関してはFRBの追加利下げ影響もあり、会計年度を通じて安定した調達を行うことができました。また、円貨調達においても、日銀の金融緩和政策の継続に伴い、同じく会計年度を通じて安定した調達を行うことができました。年度末においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりコマーシャル・ペーパーの調達コストの上昇などが見られましたが、当連結会計年度の経営成績に大きな影響を及ぼすものではありませんでした。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべきほどの大規模な資本的支出はありません。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
賃貸・割賦事業
契約実行高は3期連続前期比増となり、営業資産残高は2019年3月末につづき、5,000億円の大台を維持したことなどから、賃貸・割賦事業の売上高は前期比4.8%増、売上総利益は前期比反転に転じることができました。営業利益については当期に与信関連費用の計上をしたことや販管費の増加により前期比減となりました。現状では、販管費の増加を売上総利益の増加で補えていない状況となっておりますが、従来の情報通信機器のリースに加え、付帯サービス収益や再リース収益が期待できるリース契約などに継続して取り組むことで収益力の向上を図り、営業利益の前期比増を実現していく予定です。
なお、賃貸・割賦事業における新型コロナウイルスの影響については、現時点で正確な見通しを行うことは難しいものの、政府が掲げる「新しい生活様式」を支えるインフラとしてのICT機器の重要性はこれまで以上に大きくなるものと想定され、NECグループの一員である当社にとって、大きなビジネスチャンスの獲得につながる可能性があると考えております。
ファイナンス事業
契約実行高については、一括ファクタリングの減少はあったものの、個別ファクタリングや企業融資が堅調に推移したことから、ほぼ前期並みの水準を維持しました。営業利益については、与信関連費用の計上により前期比減となりましたが、与信関連費用の計上は一過性のものであると認識していること、配当収入や金利収入は順調に増加していることなどから、今後の事業セグメントの収益拡大を早期に実現できるものと考えております。
なお、ファイナンス事業における新型コロナウイルスの影響については、賃貸・割賦事業と同様に、現時点で正確な見通しを行うことは難しいものの、足下では一時的な与信コストの増加などにつながる懸念があります。一方で、短期の資金繰りに関わるニーズなど、新たな需要の掘り起こしも期待できるものと考えております。
リサ事業
ファンド事業における売却売上により売上高は前期比増となりました。また不動産の売却収益により、営業利益についても前期比増となりました。当社グループが株式会社リサ・パートナーズを連結対象としてから当連結会計年度で9年が経過しましたが、リスク管理を強化しながら資産の入れ替えを進めた結果、足元の実績が示すとおり、毎期安定的な高い収益力を確保できるようになりました。
なお、リサ事業における新型コロナウイルスの影響についても、現時点で正確な見通しを行うことは難しいものの、リサ・パートナーズが持つファンド機能やアドバイザリー機能を活用して、投資先や顧客企業における金融と経営ノウハウの両面からの支援ニーズの高まりに応えることで、あらたなビジネスチャンスの獲得につなげられるものと考えております。
その他の事業
当期に大型の資産売却を計上したことやベンチャーキャピタルファンドのエグジット収益等により、売上高、売上総利益共に前期比増となり、営業損失は改善しました。今後においてはファンド収益の拡大やフィービジネスの強化により、営業損益の黒字転換を図ってまいります。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、当社は「中期計画2017」において、連結ROAを公表しております。これはアセットビジネスを中心とした当社のビジネス特性から、中計3ヶ年における収益性の向上を測るうえで適切な指標であると判断したためであります。当連結会計年度の連結ROAは1.0%であり、これは「中期計画2017」において最終年度の目標とした1.0%を、前年度に続き達成した水準となりました。現状取り組みを進めている各種施策の着実な遂行を通して、更に高いベンチマークを設定できるよう努力していく所存であります。
なお、以上の文中における業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
該当事項はありません。