当社は2013年10月に10年先を見据えた「自社のありたい姿(当社グループビジョン)」を描き、そこに至るロードマップである経営計画を策定しました。これは、絶えず変化する事業環境の中で更に大きな成果をあげ、持続的に成長していくために、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにしてこれに向かって経営を進めていくことが重要であるとの結論に至ったからであります。
近年従来にも増して、企業が永続的に存在するためには、より豊かな社会の実現に貢献しうる社会的価値を創造することが求められるようになってきております。当社グループビジョンである「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」は、事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)経営を目指すものであり、当社経営の基本方針であります。この基本方針に基づき、CSV経営実現に向けた10年間のロードマップとして実現までを三段階に分割しております。当連結会計年度は、その最終段階である「中期計画2020」の2年目に該当し、「コア領域の拡充と新事業収益化」について取り組みを始めております。
当社グループは、NECの販売金融会社として誕生した当社のDNAである「サービス」を軸に、「NECとの戦略的な連携」「幅広い金融ソリューション」「ICTに関する豊富な知見」をグループの強みであるコア領域と位置付けています。
2020年度からの3年間は、「中期計画2014」「中期計画2017」で積み重ねてきた取り組みをもとに、「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」の期間と位置付け、「中期計画2020」を策定しております。
「中期計画2020」の概要は以下のとおりとなります。
① 中期計画2020策定の前提
2020年1月下旬以降、全世界に感染が拡大した新型コロナウイルスは、ビジネスや日常生活の在り方に大きな影響を与え、且つ、今後もその影響は継続していくものと考えられます。既存ルールの破壊や既成概念のパラダイムシフトによって、社会全体に不可逆的な変化が起きるなか、当社の事業活動においては、様々なリスクが想定される一方、新たな社会価値を創出する機会とすることも可能と考えております。
「中期計画2020」では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて社会が変わり、あらゆる産業のサービス化が進展するものと想定しておりましたが、今般の新型コロナウイルス感染拡大への対応の必要性から、想定以上にその進展スピードが速いものとなり影響範囲も大きくなると考えております。このような足元の事業環境変化を織り込み、今般「中期計画2020」として策定いたしました。
② 中期計画2020の戦略
「中期計画2020」は2つの事業戦略と、それを支える経営基盤強化戦略で構成しています。
a. 事業戦略
1. コア領域の拡充
ⅰ. ベンダーとの新たなサービスの確立
NECグループとの戦略的パートナーシップやベンダーとの連携を強化し、ベンダーファイナンスを進化させていきます。ベンダーと協業し、販売金融機能の提供やサービス基盤の共同開発等を通じて、共同サービスを確立し、新たな収益機会の獲得に取り組みます。
ⅱ. 成長分野における専門事業の加速
成長が期待できるターゲット分野において、ビジネスパートナーとの連携強化を通じて高付加価値なサービ スを提供し、ICTサービス事業、PFI・PPP事業、ベンチャーファンド事業、リサ事業などの専門事業の収益力を強化します。
ⅲ. 顧客基盤の拡充と営業企画・推進力の強化
営業企画機能を強化し、顧客の経営課題に対するファイナンスやサービス・商材提案等のソリューション提供を推進します。ソリューションの提案力を強化することで潜在顧客を開拓すると共に、顧客深耕によって基盤顧客を拡大し、事業機会の増加を図ります。
2. 新事業の収益化
当社が新事業として取り組みを進めている4つの領域(エネルギー、観光、農業、ヘルスケア)について、金融サービス周辺で着実に収益を獲得すると共に、ノウハウやプレゼンスを向上し、地域活性化につながる当社ならではのサービスを実現します。4つの領域における取組方針は以下の通りとなります。
ⅰ. エネルギー
再生可能エネルギーの普及によるエネルギーの地産地消の推進や地球温暖化の防止、および当社エネ
ルギー事業の収益拡大
ⅱ. 観光
地域の観光資源を活用した地域活性化推進および当社観光事業の収益拡大
ⅲ. 農業
6次産業化やバリューチェーン最適化の推進による農業収入の安定化・高収益化および当社農業ビジ
ネスの収益拡大
ⅳ. ヘルスケア
ヘルスケア施設のウェアハウジング事業の推進による関連施設の充実および当社ヘルスケア事業の収
益拡大
b. 経営基盤強化戦略
多様な働き方に対応しうる業務フローを確立すると共に、効率的かつ高品質なオペレーションの実現を目指すため、業務プロセス・ITインフラ・人材開発とスタフ機能について以下の施策を行います。
1. 業務プロセス
・ テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドな働き方を前提とした全社的な業務プロ
セスの確立
・ 全社的な業務改革の推進や業務品質向上を担保する「3つの防衛線」態勢確立
2. ITインフラ
・ 最先端ICTを有効活用し業務プロセスの高度化を加速
・ 基幹システム刷新に向けた検討および計画の策定
3. 人材開発
・ マネジメント態勢の最適化、専門人材の確保・育成、人材の適正配分、および働き方改革の実現
4. スタフ機能
・ 全社最適な専門機能の強化および営業サポート力の向上
上記「中期計画2020」について、事業セグメント別の経営方針を整理すると以下の通りとなります。
① 賃貸・割賦事業
既存のNECグループビジネスである官公庁及び民間企業領域において、ベンダーファイナンスをはじめ、高付加価値なリースを提供すると共に、小口リースの展開強化や高収益が期待できる戦略アセットへの取り組み推進により良質なアセットを積み上げていきます。また、各ベンダーとの協業を進化させ、販売金融機能の提供やサービス基盤の共同開発等を通じて共同サービスを確立し、新たな収益機会の獲得を目指します。
② ファイナンス事業
既存顧客を維持しつつ、顧客の様々なファイナンスニーズを捉えることで、大企業のみならず中堅・中小企業向け営業を強化し、顧客基盤拡充と収益性向上を図ります。また、プロジェクトファイナンスの組成ノウハウ等の蓄積を活かし、国内外でアレンジャーとしてのポジションを拡大すると共に、ソリューションの提案力を強化することで潜在顧客を開拓していきます。
③ リサ事業
ファンドビジネスやアドバイザリー機能を通して、地域金融機関との連携強化を更に進化・加速させると共に、海外案件にも取り組むことでインカム&キャピタルゲインを獲得し、高収益体質の維持を図ります。また、地域金融機関とのリレーション強化において、NECグループと連携し地方の新しいニーズに対応することで新たな収益機会の確保を目指します。
④ その他の事業
当社の取り組むべき社会課題として「エネルギー」「観光」「農業」「ヘルスケア」の4領域を新事業領域と捉え、「中期計画2014」「中期計画2017」において蓄積してきたノウハウや仕組みを活用し、本中計期間中に収益化するというロードマップにつなげてまいります。また、ベンチャーファンドではこれまでの投資案件のキャピタルゲインの実現を図ると共に、PFI・PPP事業では、代表企業としての取り組み拡大による収益力の向上を目指します。
なお、上記セグメント区分は、2022年3月期より、リース事業、ファイナンス事業、インベストメント事業及びその他の事業に変更しております。主な変更内容は以下の通りです。
・その他の事業に含まれていたリースに関連する物品売買、満了・中途解約、保守サービス等の損益をリース事業に移行
・その他の事業に含まれていたベンチャー企業向け投資損益を、リサ事業と合わせてインベストメント事業に集約
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食業、観光業を中心に厳しい状況が続きました。またサプライチェーンの混乱に伴う半導体不足は自動車産業の減産につながり産業界全体に広く影響を及ぼす結果となりました。加えて、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、原油や穀物などの商品価格の高騰を招き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、急激に先行きの不透明感が増す状況となりました。このようなグローバルな環境変化は、資源を持たず低金利政策を続けるわが国について、円への強力な売り圧力を招いており、急激な為替変動が及ぼす今後の影響が懸念されます。新型コロナウイルス感染症の行方とウクライナ情勢の動向を踏まえ、今後の経済活動の見通しについてはこれまで以上に注視していく必要があると考えております。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2021年4月から2022年3月累計のリース取扱高は、前期比8.1%減の4兆2,186億円となっております。(出典:2022年5月30日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
日銀のマイナス金利導入など、異次元の金融緩和政策が継続する中、当社が事業展開するリース・企業金融市場における競争は引き続き厳しい状況が継続しております。加えて、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症拡大による個人消費や企業活動の停滞に伴い、新規リース取扱高の減少、与信コストの増加、資金調達コストの増加、為替変動幅の拡大などが懸念されます。一方で、経営基盤強化として進めてきた新型コロナウイルス感染症対策により、持続的な企業活動を維持できるICTインフラの整備や社内体制の構築が完了し、当社社員が感染した場合においても、当社グループの経営成績に及ぼす影響は限定的であると考えております。
また、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、原油や穀物などの商品価格の高騰を招き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、急激に先行きの不透明感が増す状況となりました。このようなグローバルな環境変化は、資源を持たず低金利政策を続けるわが国について、円への強力な売り圧力を招いており、急激な為替変動が及ぼす今後の影響が懸念されます。
新型コロナウイルス感染症の行方とウクライナ情勢の動向等、これら内外環境の対処すべき課題に対し、当社グループとしては、より一層の危機管理能力強化によって事業活動の継続性を確実にしていくと共に、従来からのNECグループにおける販売金融機能を核としつつ、NECグループが得意とする社会インフラ、ICTインフラ等の領域における投融資、プロジェクトファイナンスの組成、また、ICTアセット周辺に発生する様々なビジネス機会の開拓等を通して、継続的な成長を図っていく所存です。
当社グループは、2013年10月に掲げたグループビジョン「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」の実現に向け、「コア領域の完成」のための事業戦略と「新事業立ち上げ」のための戦略を実行しております。こうした取り組みの中、リスクマネジメント(管理)とリスクコントロール(制御)は事業展開を決定する重要な要素のひとつであると捉え、収益の源泉として管理すべきリスクと収益の源泉とはならない削減すべきリスクに分けて考えております。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
当連結会計年度末現在において、当社経営者が認識している主要なリスクは、新型コロナウイルス感染症に関連するリスク、ウクライナ情勢に係るリスク及び気候変動に関するリスクとなりますが、その他の事業上のリスクについても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から以下の記載に含めて開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は、当社グループの事業展開に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。
(1) 新型コロナウイルス感染症に係る事業等のリスク
政府による新型コロナウイルスの感染症に関する対策は進むものの、依然新型コロナウイルスの国内外における感染拡大などの影響により、経済活動の本格回復の見通しは立っておらず、不透明な状況が続くものと予測しております。こうした状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは対策本部を立ち上げ、集合形式の会議、研修、出張及び懇親会等の開催を一部制限し、在宅勤務推進等の安全対策を施しています。また、WEB会議や電話折衝を中心にお客様からのご相談や接客を行っています。海外においても在宅勤務や時短での出社を推進し、適宜各国の状況に合わせた対応を行っております。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の今後の感染拡大の規模や収束の時期については、ワクチン接種などの進展による効果などを踏まえ慎重に見極める必要があるものと考えております。当社は、社会的責務の遂行のため事業継続を重視したリスク戦略と財務戦略を採用しており、新型コロナウイルスの影響が当社業績に及ぼす影響を見極めながら対応しております。
(2) ウクライナ情勢に係るリスク
2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、欧米諸国の経済制裁と相俟って世界経済に大きな影響を与えております。原油をはじめとした資源価格の高騰や食料品価格の高騰を引き起こすと共に、当該地域ビジネスの信用不安が高まっております。
このような状況において、当社事業に影響を及ぼす可能性のあるものとして、新型コロナウイルス感染症と同様に、与信コストの増加、資金調達コストの増加及び為替変動幅の拡大などが懸念されますが、当社においては、当該地域ビジネスの債権残高は僅少であり、与信コストの増加についての直接的なリスクは限定的であると考えております。一方で資金調達コストの増加や為替変動幅の拡大については引き続き注視してまいります。
(3) 気候変動に係るリスク
地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。昨今の異常気象がもたらすビジネス上の損失は、個別企業によっては事業継続上無視できないレベルに達しており、日々の経営判断においても気候変動に係るリスクを意識することが必要になってきたと認識しております。
こうした状況を踏まえ、当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクに対応していく所存です。その概要及び進捗については、「統合レポート2022」に記載を行う予定でおります。
(4) 信用リスク
① 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の停滞等により、特にリースや貸付金等の信用リスクに影響があると考えられます。そのため、当社の連結財務諸表を作成するにあたり、入手可能な情報に基づいて、顧客の財政状態及び資金繰りに与える影響とその回収可能性の見積りを行い、貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、見積りに用いた仮定には不確実性があり、将来の新型コロナウイルス感染症の感染状況やその経済環境への影響が大幅に変化した場合には、翌年度の連結財務諸表において、保有する営業債権に回収懸念が高まり追加の引当金が必要となる可能性があります。当社としては、営業債権に関する信用リスクの管理を実施し、顧客の与信状況の定期的なモニタリングと期日及び残高の管理をするとともに、財政状態の悪化による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
② 通常の与信取引
当社グループでは、リース事業やファイナンス事業等の与信を伴う各種事業を営んでおります。新規取引時は、顧客の信用状況のほか、リース取引についてはリース物件の将来中古価値等も勘案し、海外取引についてはカントリーリスクも含めて、厳格に審査を行っております。また、取引開始後は定期的に顧客の業況をチェックし、財務状況や市場動向の変化を把握できるように管理をするとともに、信用リスクの程度に応じて、担保・物件処分等による回収見込額及び貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金の計上を行っております。
さらに、既存顧客ごとの信用状況や業界毎の市場動向を定期的に検証し、特定の企業や業種に与信残高が集中しないように、ポートフォリオ管理を行っております。
しかしながら、リース事業やファイナンス事業は回収期間が中長期にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等不測の事態を蒙り、貸倒損失又は貸倒引当金繰入の負担が増加して当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性はありますが、その場合においてもリース物件や担保資産の売却等で債権保全・回収の極大化に努めております。
(5) 流動性リスク
当社グループは金融情勢の変動に対して柔軟に対処していくため、特定の資金調達先や調達方法に依存しないよう留意しております。直接調達においては、社債、コマーシャル・ペーパーの発行等調達方法の多様化を図りつつ安定調達に注力し、間接調達においては、主要金融機関との良好な関係を維持しつつ幅広く多くの金融機関と取引を行っております。
直接調達については格付機関より短期債及び長期債の格付けを取得しておりますが、今後の業績の変動等により当社グループの格付けが見直された場合や、市場の混乱等により、市場において資金調達が困難となり、通常よりも著しく不利な金利水準での資金調達を余儀なくされる場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は377億11百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は3,003億23百万円となっております。
(6) 金利変動リスク
一般的にリース会社は、リース事業やファイナンス事業等の成約に伴い、対象物件の購入資金や貸付資金のため、必要資金の多くを金融機関等から調達しております。このため、当社においても長・短借入金等を中心とする有利子負債比率が高くなっております。市場金利が急激に上昇した場合は、調達コストの増加につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、営業資産・負債の総合管理(ALM)を実施することにより金利変動リスクの低減に努めております。
(7) 為替変動リスク
当社グループでは、外貨建の案件を一部取り扱っており、為替相場の急激な変動により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、基本方針である外貨建営業資産とバランスさせた外貨建調達を実行することで為替変動リスクの低減に努めております。
(8) 残価変動リスク
当社グループでは、中古価値が見込めるリース物件を対象にリース満了時の残存価値(以下、「残価」という。)を設定したオペレーティング・リースを展開しております。この取引では、リース満了時に返還された物件を、当初設定した残価を上回る価格で売却することにより利益を得る可能性を有する半面、売却価格が残価を下回る場合には損失が発生するリスクを有しております。
そのため予想を上回る市場環境の変化や技術革新等によって、当該物件の処分価格が残価を下回った場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、定期的なモニタリングの実施とリスク量の計測を行うと共に、物件の種類や満了時期を分散させることで残価変動リスクの低減に努めております。
(9) 株価及び有価証券価格変動リスク
当社グループでは、上場・非上場の株式及び債券を保有しております。これらの資産の価格は変動するものであり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。価格が著しく下落した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、これらの変動リスクの対処としては、当社グループが許容する範囲内に当該リスク量を収めるべくリスク管理を行っており、当社グループのリスクの管理低減に努めております。
(10) 不動産価格変動リスク
当社グループでは、販売用不動産を保有しております。販売用不動産は、不動産時価が下落した場合、評価損が発生し、また売却時に売却損が発生する可能性があります。不動産担保ローンや建物リース、また不動産からのキャッシュ・フローを返済原資とするノンリコースローンにおいては、取引の対象となる不動産の価値が目減りし、当該取引の債権の与信が悪化する可能性があります。不動産価格の変動が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、不動産関連与信の集中状況を確認しながら取引審査を厳格に行うと共に、その後の与信管理にも万全を期し、担保として設定されている不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。
(11) 海外投資のリスク
当社グループでは、海外の企業に対する投融資を行なっております。これら投資先の経営状況の悪化、株式・債券市場の市況の悪化及び海外投資における国・地域固有の政治・経済・社会情勢の変動によるカントリーリスクの顕在化等による事業環境の変化が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクの対処として、海外営業取引に関するカントリーリスクの管理制度を定めており、特定の国へのリスクへの集中や過大なリスクの管理低減に努めております。
(12) NECグループとの関係
当社グループは、日本電気株式会社(以下「NEC」といい、当連結会計年度末現在、当社株式のうち37.66%を直接保有する大株主)の持分法適用関連会社としてNECグループに属しており、当社グループにおけるNEC製品・サービスの取扱比率の高さから、NECの業績動向が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方で当社グループは、NECグループ国内唯一の金融サービス会社として、官公庁や大企業、中小企業等の幅広い顧客層に対して、リース事業を中心とした各種ファイナンスサービスを提供することを主たる事業としております。「NECとの戦略的な連携」「幅広い金融ソリューション」「ICTに関する豊富な知見」をグループの「コアバリュー」と位置付けており、従来のリース・ファイナンス事業を強化拡大すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力の活用や社内外とのシナジー創出による顧客課題の解決提案など、「コアバリュー」の3つの強みを活かした当社ならではの「サービス」の確立に取り組んでおります。
(13) 設備投資の動向及びリース業界における競合
当社グループが基軸として事業展開しているリース事業は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つとなっております。従いまして、経済環境の急激な変化や顧客の経営状況の悪化等で設備投資需要が大幅に減少した場合、当社のリース事業の取扱高が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、リース業界では依然として多くのリース業を営む会社が存在しており、金融緩和による料率競争も激しさを増し、厳しい競合状態にあります。こうした市場環境の下で、当社グループは中長期的な経営戦略に基づき、メーカー系リース会社としての特色を生かしつつ収益体質を一層強化し競合に対処する方針であります。
(14) 自然災害によるリスク
当社グループは、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある地震及び台風等の自然災害や感染症の流行等に対し、費用対効果を検討の上、事業活動への影響を最小化するための対策を実施しております。
(15) 制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準に基づき、リース取引等の各種事業を行っております。現行の制度や基準が将来大幅に変更された場合には、商品・サービスのメリット喪失や、規制対応へのコスト増加等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対し、当社は既存の顧客基盤を深耕すると共に新規顧客の開拓を行いながら、顧客の経営資源に関わるさまざまな課題に対して解決策を提供することで、収益性向上とリスクの低減に取り組んでまいります。
(16) 重要情報漏えいリスク
当社グループは、業務に関連して多数の機密情報や個人情報を保有しており、機密情報の漏えいが生じた場合には、罰則・損害賠償による損失、業務停止処分、信用の低下及び風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクへの対処として、当社グループでは情報セキュリティ教育やアクセス制御等の情報セキュリティ管理体制の整備を通じ、人的・物理的・技術的対策を講じております。
(17) システムリスク
当社グループでは、様々な情報システムを使用し業務を行っております。従業員の不適正な事務・事故・不正等、自然災害及びシステム障害等により情報漏えいや業務が中断するリスク等が想定されます。
情報システムに重大な障害が発生した場合には、営業関係業務を中心に支障をきたすとともに当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの業績等に影響が及ぶ可能性がありますが、こうしたリスクへの対処として、これまでに情報システム機器のコンピュータ専用ビルへの移転、高速専用回線用バックアップ回線装備、外部不正アクセス防止強化及びシステム障害に即座に対応するための専門要員配置等を行っており、今後とも一層の情報システム管理の整備・強化に努めてまいります。
(18) 人材の育成・確保に関するリスク
当社グループの事業を展開する上で必要な人材を育成または雇用できない場合や雇用している人材が退職した場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、事業展開上必要なノウハウの承継や新たな事業への取り組みの鍵は従業員であり、従業員の能力こそが会社にとっての大きな財産であると考え、採用活動の強化や計画的な教育・研修活動の強化に努めております。
(19) 内部統制の構築等に係るリスク
当社グループにおいて、財務報告にかかる内部統制が有効に機能しなかった場合、或いは想定外の問題が発生した場合等の要因により、当社の内部統制部門または当社の会計監査人が当社の財務報告にかかる内部統制について重大な欠陥を指摘し、財務報告にかかる内部統制が有効でないと報告する可能性があります。
このような事態が発生した場合、当社の財務報告に関する投資家の信頼低下等に基づく、当社株価の下落等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、財務報告にかかる内部統制を構築し内部統制の有効性の確保と評価に努めております。
(20) コンプライアンスリスク
当社グループは、業務を行うに際して、会社法、貸金業法、金融商品取引法、宅地建物取引業法、個人情報保護法及び独占禁止法等の法令等の適用及び規制当局の監督を受けております。また、海外においては現地の法令等の適用や規制当局の監督を受けております。
これらについて違反が生じた場合には、罰則・契約解除・損害賠償による損失や、業務停止処分、登録・届出資格抹消、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「NECキャピタルソリューショングループ行動規範」を定め、コンプライアンス教育や内部通報制度を通じて、法令等のみならず広く社会ルールの遵守徹底に努めております。
①報告セグメントの変更について
当社グループは、2013年10月にグループビジョンを制定して以降、国内外においてビジネス領域の拡大を推進してまいりました。ビジネス領域の拡大を踏まえ、事業の実態をより正確に反映するべく、当連結会計年度の期首から主として以下の報告セグメント等の変更を行いました。
・「賃貸・割賦事業」は「リース事業」に変更し、従来「その他の事業」に区分されていたリースに関わ
る損益項目を集約する。
・「インベストメント事業」として、従来の「リサ事業」及びリサ・パートナーズ以外の投資ビジネスを
集約する。
上記により、連結経営におけるセグメント別損益状況をより精緻に把握し、経営管理の更なる強化を図ってまいります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食業、観光業を中心に厳しい状況が続きました。またサプライチェーンの混乱に伴う半導体不足は自動車産業の減産につながり産業界全体に広く影響を及ぼす結果となりました。加えて、2022年2月に勃発したウクライナ侵攻は、原油や穀物などの商品価格の高騰を招き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、急激に先行きの不透明感が増す状況となりました。このようなグローバルな環境変化は、資源を持たず低金利政策を続けるわが国について、円への強力な売り圧力を招いており、急激な為替変動が及ぼす今後の影響が懸念されます。新型コロナウイルス感染症の行方とウクライナ情勢の動向を踏まえ、今後の経済活動の見通しについてはこれまで以上に注視していく必要があると考えております。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2021年4月から2022年3月累計のリース取扱高は、前期比8.1%減の4兆2,186億円となっております。(出典:2022年5月30日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
このような状況下において、当社リース事業の契約実行高は前期比10.8%減、成約高は同20.8%減となりました。契約実行高、成約高共に前年割れとなっておりますが、これは前期にコロナ禍におけるGIGAスクール案件特需があったことによるものであり、期初計画にも織り込み済みの水準であります。
ファイナンス事業においては、主に短期の貸付である個別ファクタリングの減少により、契約実行高、成約高共に前期を下回る結果となりました。これは主に、顧客の売掛債権等の減少に伴い、ファクタリングの対象となる債権残高が減少したことや、大型案件の減少によるものであります。
インベストメント事業においては、大型の営業投資有価証券の売却収益等を計上したことにより、売上高、営業利益共に前期を大幅に上回る結果となりました。
その他の事業においては、ヘルスケアの賃料収入や太陽光売電収益、並びにPFI手数料収益の増加等により、通期での黒字転換を果たしました。
経営成績においては、ファイナンス事業は前期比減収となるものの、リース事業、インベストメント事業を中心に伸長したことから売上高、売上総利益共に前期比増加となりました。与信関連費用の増加に伴い、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上総利益の増加により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益についてはいずれも前期を上回る結果となりました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,499億7百万円(前期比12.9%増)、営業利益104億47百万円(同75.1%増)、経常利益114億22百万円(同87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益69億39百万円(同68.5%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。
セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しております。
売上高は、営業資産残高の増加に加え、大型の賃貸資産の売却があったこと等により、前期比8.8%増の2,242億円となり、営業利益は前期比26億41百万円増加し71億20百万円となりました。
売上高は、金利収益の減少等により前期比21.6%減の52億19百万円となり、営業損益は貸倒引当金繰入額の計上等により、前期比30億54百万円減少し6億55百万円の損失となりました。
売上高は、当期にファンドによる大型の営業投資有価証券の売却があったことから、前期比140.6%増の163億66百万円となり、営業利益は前期比46億61百万円増加し53億95百万円となりました。
売上高は、ヘルスケア不動産の賃料収入や太陽光売電売上の増加等に加えて当期にヘルスケア不動産の売却があったことにより、前期比139.4%増の41億80百万円となり、営業損益は前期比3億4百万円増加し2億75百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて270億36百万円減少し、1兆306億17百万円となりました。主な要因としては、営業貸付金が168億87百万円、有形固定資産の賃貸資産が56億98百万円減少したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて348億91百万円減少し、9,088億76百万円となりました。主な要因としては、コマーシャル・ペーパーが340億円減少したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて78億55百万円増加し、1,217億40百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により56億2百万円、為替換算調整勘定が9億66百万円、その他有価証券評価差額金が8億65百万円増加したことによります。
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供している他、ファクタリング、決済・回収代行及び債権流動化等のサービスについても行っており、割賦債権、リース債権及びリース投資資産並びに営業貸付金等の営業債権を保有しております。また、営業投資有価証券、有価証券及び投資有価証券は、主に株式、債券及び組合出資金であり、純投資目的及び営業推進目的で保有しています。さらにこれらに加えて、外貨建ての海外投融資に取り組む他、当社グループの一部の連結子会社では、自己勘定やファンドを通じて、企業(株式)、貸付債権及び不動産を対象に投融資を行っております。
当社グループの資金調達は営業資産との整合を基本としており、営業資産等の増減にあわせて資金調達を行っています。具体的には、市場の状況を踏まえ、長期と短期や直接と間接等のバランスを図りつつ、金融機関からの借入れを中心に、社債やコマーシャル・ペーパーの発行並びに債権流動化といった様々な方法で資金調達をしております。
また、当社グループの主たる営業資産は、リースや割賦取引を中心とした固定金利の資産でありますが、資金調達は主に変動金利での借入を中心に行っているため、営業資産及び負債の総合管理(ALM)により、金利変動リスク及び流動性リスクの低減に努めております。その一環として、現在及び将来の獲得利鞘が変動するリスクをヘッジするために金利スワップ取引を利用しています。
なお、外貨建の営業資産の為替変動リスクについては、外貨建資産・調達の残高を両建てとする取引を行う他、通貨スワップ取引を用いてヘッジしております。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)に対しては、営業資産のキャッシュ・フローと営業負債のキャッシュ・フローの対応関係を適切に維持することのほか、資金調達手段の多様化への取組みや適正な水準の手許流動性を維持することなどによりリスクの低減を図っております。なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は377億11百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は3,003億23百万円となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)は、374億67百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果によって得られた資金は468億15百万円(前期は287億70百万円の支出)となりました。これは主に営業貸付金の減少額174億7百万円及び賃貸料等前受金の増加額145億87百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は5億1百万円(前期は66億99百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の償還による収入108億74百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出124億49百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって使用した資金は469億32百万円(前期は309億56百万円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,032億98百万円があったものの、長期借入金の返済による支出1,029億9百万円及びコマーシャル・ペーパーの減少額340億円があったことによります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
2022年3月31日現在
②資金調達内訳
2022年3月31日現在
③業種別貸付金残高内訳
2022年3月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2022年3月31日現在
⑤期間別貸付金残高内訳
2022年3月31日現在
当連結会計年度の期首より、報告セグメントを「賃貸・割賦事業」「ファイナンス事業」「リサ事業」及び「その他の事業」から、「リース事業」「ファイナンス事業」「インベストメント事業」及び「その他の事業」に変更しております。
前連結会計年度の数値については、変更後の報告セグメントの区分により組み替えて作成したものを記載しております。
①契約実行高
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社の取引が大半を占めているため、提出会社の状況について記載しております。
(注)リース事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
②営業資産残高
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当連結会計年度よりその他の事業の営業資産残高に太陽光発電設備を含めております。
2.当連結会計年度におけるインベストメント事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が16,540百万円、買 取債権が8,010百万円、営業投資有価証券が21,183百万円、販売用不動産が14,156百万円、投資有価証券が23,637百万円となっております。
③営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) 1.セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2.各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
②ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
③インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
④その他の事業
エネルギー・観光・農業・ヘルスケアを領域とする新事業、PFI・PPP事業及びその他各種サービス等
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、日本基準で連結財務諸表を作成しております。IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針です。
当社グループの連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
貸倒引当金
当社は、官公庁・自治体等や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等の営業取引を行っており、これらの営業債権の回収は、景気変動やその他の事由により延滞や倒産等が生じた場合、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があります。そのため当社の営業債権である割賦債権、リース債権及びリース投資資産、賃貸料等未収入金並びに営業貸付金等については、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されており、重要な会計上の見積りを必要とします。
当社の営業債権に関する信用リスクの管理にあたっては、社内管理規程に沿って顧客毎の状況を定期的にモニタリングし、期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。取組時において個別案件毎の与信審査、与信限度額、与信情報管理、内部格付及び成約条件の設定を行っておりますが、途上の与信管理で与信不安情報等を入手した際は与信ランクの変更をしております。
当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)1.貸倒引当金」に記載のとおり、営業債権の貸倒損失に備えるため、顧客の信用リスクの度合いに応じて債務者区分を決定し、債務者区分に基づき債権を一般債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等に分類しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については保全による回収見込額に加え債務者の財政状態及び経営成績を考慮して個別に回収可能性を検討することにより、回収不能見込額を計上しております。
債務者区分の判定は、予め定めている債務者区分別引当基準に基づき、延滞情報を含む返済状況及び顧客の財務指標等の定量的要因並びに将来の業績見通し等の定性的要因に関連する情報を勘案して行っており、また、債務者区分の判定には、新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の停滞等が顧客の財政状態及び資金繰りに与える影響並びにその回復可能性の見積りに関する判断が含まれております。
当社は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、保有する営業債権の回収期間が中長期にわたることから、経済及びその他の事象または状況の変化や新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴う顧客の経営成績・財政状態の悪化により、顧客の延滞・倒産等の不測の事態を被り、翌連結会計年度に追加の引当金の計上が必要となってくる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,499億7百万円(前期比12.9%増)、営業利益104億47百万円(同75.1%増)、経常利益114億22百万円(同87.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益69億39百万円(同68.5%増)となりました。売上高、売上総利益は、リース事業、インベストメント事業に加え、その他の事業も伸長したことから共に前期比増加となりました。与信関連費用の増加に伴い、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上総利益の増加により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益についてはいずれも前期を上回る結果となりました。
以上により、「中期計画2020」で掲げた2022年3月期の当初計数目標(親会社株主に帰属する当期純利益55億円)、並びに第3四半期決算発表時に公表した上方修正値(同65億円)について、目標を達成いたしました。
「中期計画2020」は、新型コロナウイルス感染症拡大という、前例のない状況と対峙しながら事業に取り組むスタートとなりました。「中期計画2020」の2年目という観点から当連結会計年度を振り返ると、初年度に引き続き、withコロナ&afterコロナにおいて新たなニーズを捉えながら、CSV経営実現に向けた歩みを着実に進めることができたと認識しております。
「中期計画2020」では「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」を目標に掲げています。
「コア領域の拡充」においては、強みを活かした当社らしいサービスの進化に向けて、大きく3つの観点から取り組みを進めております。
第一は「ベンダーとの新たなサービスの確立」です。当連結会計年度においては、2020年11月に買収した米国のNEC Financial Services, LLCへの役員派遣を行い、北米における新たな事業機会獲得に向けた態勢を強化しました。国内では、NECグループ連携強化による協業パートナーとのサービスモデルを創出すると共に、外資系ICTベンダーとの取引の拡充・拡大を実現しました。これらの取り組みや強固な顧客基盤を活用した営業活動により、GIGAスクール特需の一巡した当期末においても、前期末とほぼ同水準の営業資産残高を維持することが出来ました。
第二は「成長分野における専門事業の加速」です。高収益・高採算確保を重視したアセットの積み上げを図ると共に、インベストメント事業においてリサ・パートナーズは企業投資案件の早期EXIT・不動産売却により高収益を実現しました。同じくインベストメント事業に区分したベンチャー企業向け投資についても大型のIPO EXITを実現すると共に、今後の更なる収益機会拡大に向け、新ファンドの組成を行いました。
第三は「顧客基盤の拡充と営業企画・推進機能の活用」です。全社横断的な役割を担う営業推進本部の機能強化により、基盤顧客の深耕、社内連携・協業活動促進による収益機会共創を推進すると共に、デジタルアセット分野におけるプラットフォーム企業への出資参画など、新たな収益機会の創出を実現しました。
「新事業の収益化」においては、非金融を含む当社ならではの新事業の収益化に向けて、取り組みを進めております。当社が新事業として取り組みを進めている4つの領域(エネルギー、観光、農業、ヘルスケア)について、金融サービス周辺で着実に収益を獲得すると共に、ノウハウやプレゼンスを向上し、地域活性化につながる当社ならではのサービスの実現を目指しています。
当連結会計年度における取り組みとして、エネルギー領域では、従来から取り組んでいる太陽光、バイオマス、水力分野などへの取り組みを継続すると共に、前期に開始したPPA(電力販売契約)サービスの取り組み拡大を実現しました。観光領域では、民都機構や地域金融機関と連携して「アセットリノベーションファンド」を組成、築20年以上の建造物のリノベーション等を対象とした投資を実行するなど、地域経済活性化に向けた取り組みを継続推進しております。農業領域では、米の生産、加工、販売を主事業としている株式会社みらい共創ファーム秋田において、秋田の気候風土に沿った米と畑作の複合農業への取り組みに加え、鹿児島でのミニトマト栽培の継続、及び2019年の姫路市との連携協定に基づき、冷凍野菜の国産化による食料自給率の向上等を目指しシラサギファームの設立を行いました。しかしながら、観光・農業領域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、収益貢献は限定的となりました。一方で、ヘルスケア領域ではヘルスケア施設のリート向けウェアハウジング事業の取組みを着実に進展することで収益拡大を実現し、その他事業の黒字転換に貢献しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、日銀の異次元金融緩和政策が挙げられます。この影響により、銀行をはじめとする金融機関の競合が激化し、国内のリース市場にも影響を与えていると考えております。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の経済の停滞や混乱は、国内設備投資の減少やリース市場へのマイナス影響にもつながる可能性があるものと想定されます。加えて、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、商品価格の高騰や為替変動幅の拡大など、当社事業に影響を与える要因となりうるものと考えております。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性について、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー共に、問題ない状態と考えております。外貨調達に関しては年度末にかけてFRBの金融政策の変更もあり、今後の動向を注視する必要があると考えておりますが、当社の外貨建てアセットについては、変動金利アセットとなっていることから、米国金利が上昇したとしてもその損益影響は軽微であります。一方で、円貨調達においては、日銀の金融緩和政策の継続に伴い、会計年度を通じて安定した調達を行うことができました。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべき資本的支出はありません。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
リース事業
リース事業の営業状況におきましては、リース業界全体の国内リース取扱高は前期比8.1%減少となり、当社グループにおいても契約実行高及び成約高は前期比で減少しました。これは、前期にあったGIGAスクール(小中学校向け端末配備事業)の需要が一巡した影響であり、期初から想定していたものとなります。なおこの水準は、前々期のWindows10の更新、前期のGIGAスクール案件などの特需のなかった2018年3月期、2019年3月期に比較すると、着実に伸長している実績値であり、営業活動の実態はプラス成長であると考えています。こうした営業活動の成果により、年度末の営業資産残高を維持すると共に、資産売却などを加えて、リース事業の売上高は前期比8.8%増、売上総利益は同16.8%増、営業利益は同59.0%増と前年を大幅に上回ることができました。なお、来期以降の見通しは、Windows10の更新やGIGAスクール案件のような特需を想定できないことから、大幅な資産の積み上げは難しい状況ではありますが、当社ならではの強みを活かし、5G対応やコロナ禍における民間のICT需要、デジタル庁創設に伴う官公庁自治体のICT化推進の需要等を着実に取り込むことで、安定的な成長を実現していきたいと考えております。
ファイナンス事業
ファイナンス事業においては、短期の貸付である個別ファクタリングの減少により、契約実行高、成約高共に前期を下回る結果となりました。これは主に、顧客の売掛債権等の減少に伴いファクタリングの対象となる債権残高が減少したことや、大型案件のボリューム減少によるものであります。このような営業状況から営業資産残高は減少し、売上総利益は前年割れとなりました。加えて、ファイナンス事業においては第4四半期において追加で大型の引当を計上したことにより、通期の営業損益は赤字となりました。与信関連費用の状況が落ち着けば営業損益は黒字化すると想定していますが、来期以降の見通しは、リース事業のような差別化が難しいなか、厳しい事業環境が継続するものと考えております。このような状況を踏まえ、コロナ禍における手元資金確保に向けた需要増などを取り込むべく諸施策を講じながら、収益性を重視した事業活動を推進してまいります。
インベストメント事業
インベストメント事業においては、リサ・パートナーズにおいて大型の営業投資有価証券の売却等を計上したこと、加えてベンチャー企業向け投資についても大型のIPO EXITを実現し、売上高、営業利益共に前年を大幅に上回る結果となりました。来期以降の見通しは、2021年度に前倒しで取り込んだリサ・パートナーズの不動産収益等があることから、2022年度にその反動は織り込まざるを得ない状況ではあるものの、既に投資した案件のバリューアップ及び回収最大化、インカムゲインの獲得など多様な収益の組み合わせにより、利益の最大化を図っていく予定です。なお、当社グループが株式会社リサ・パートナーズを連結対象としてから当連結会計年度で11年が経過し、暖簾の償却も完了いたしました。株式会社リサ・パートナーズは、リスク管理を強化しながら資産の入れ替えを進めた結果、毎期安定的に期首計画を達成する高い収益力を確保できるようになっております。
その他の事業
その他の事業においては、ヘルスケアの賃料収入や太陽光売電収益、並びにPFI手数料収益の増加等により、通期での黒字転換を実現しました。エネルギー、ヘルスケア領域については、引き続き安定的な収益確保が可能と考えていますが、観光、農業領域においてはコロナ禍の影響を大きく受け、収益化に向けては厳しい状況が続いています。足元のオミクロン株の感染拡大などもあり、来期以降の見通しについても慎重に見極める必要があると考えております。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、当社は「中期計画2020」において、連結ROAを公表しております。これはアセットビジネスを中心とした当社のビジネス特性から、中計3ヶ年における収益性の向上を測るうえで適切な指標であると判断したためであります。当連結会計年度の連結ROAは1.2%(連結経常利益÷連結営業資産残高平残)であり、これは前年差+0.5%、「中期計画2020」において最終年度(2023年3月期)の目標とした1.3%に迫る結果となりました。現状取り組みを進めている各種施策の着実な遂行を通して、中計最終年度の連結ROA目標を達成できるよう努力していく所存であります。
d. 気候変動への対応について
事業等のリスクにおいても記載した通り、地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。工場等の製造設備を持たない当社にとって、気候変動への対応は自社の環境負荷軽減活動以上に、事業活動を通した環境負荷軽減活動が重要になってくると考えております。当社はこれまでも「リースは循環型産業である」という考え方のもと、各種取り組みを進めてまいりましたが、こうした状況を踏まえ、TCFDの枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクに対応していく所存です。
2022年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に加え、ウクライナ情勢の動向による影響を受けるものと想定されます。新型コロナウイルス感染症については、変異株による国内外の感染再拡大が懸念されるなど、先行きに対する不透明感は残るものの、ワクチン接種の進展や「ニューノーマル」に向けたICTインフラの整備等により、徐々にwithコロナ、afterコロナへの適応が出来つつあると考えられます。一方で、2022年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻は、原油や穀物などの商品価格の高騰を招き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応を図っています。このようなグローバルな環境変化は、資源を持たず低金利政策を続けるわが国について、円への強力な売り圧力を招いており、わが国の金融政策の変更がない場合、今後も円安基調は継続するものと想定されます。
こうした新たな状況を踏まえながら、当社は2020年7月に公表した「中期計画2020」の方針に沿って、2022年度の事業展開を行ってまいります。2020年1月下旬以降、全世界に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、ビジネスや日常生活の在り方に大きな影響を与え、且つ、今後もその影響は継続していくものと想定されます。既存ルールの破壊や既成概念のパラダイムシフトによって社会全体に不可逆的な変化が起きるなか、当社の事業活動においては、様々なリスクが想定される一方、新たな社会価値を創出する機会とすることも可能と考えております。例えば、非接触、非対面、三密回避など、withコロナ、afterコロナにおける社会課題の解決には、NECグループの金融サービス会社として当社がこれまでに蓄積してきたノウハウが、大きな力を発揮できるものと考えております。当社はwithコロナ、afterコロナの事業環境を前提に「中期計画2020」で掲げた「金融とICTで社会の変革を先導していく企業」を目指し、社会課題の解決を図りながら着実な成長を実現してまいります。
上記方針のもと、2023年3月期の通期連結業績予想は、リース事業の持続的な成長と新事業の収益化を図るものの、インベストメント事業における収益計上の前倒しにより、経常利益は当期比3.7%減の110億円、親会社株主に帰属する当期純利益は当期比6.3%減の65億円といたしました。2023年3月期については前期比減の計画となりますが、中期計画2020で掲げた3か年累計の利益計画については、当初目標を達成するものとなっております。
また、配当予想につきましては、安定配当の維持を基本方針とする当社の配当政策を前提に、上記利益予想を踏まえ、当期と同様の1株当たり年間74円の配当(うち中間配当37円)を実施する予想としております。
なお、以上の文中における業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
該当事項はありません。