当社グループは2023年4月、当社経営の基本方針として、新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定いたしました。これまで掲げてきたCSV経営(Creating Shared Value=共通価値の創造)は継続しながら、気候変動対応をはじめとする社会課題の多様化、デジタル技術(IoT、AI、ロボット)等の先端技術の発展、それらによる将来の産業や社会生活の大きな変化に対応するべく、CSV経営と親和性の高いSDGsに同期する2030年を新たなグループビジョンのゴールとしました。
これまで私たちはリース事業を通して、環境に配慮した製品の導入、高度な3R処理による資源循環により循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。一方で、2030年以降を見据えた「次世代循環型社会」は、資源効率の向上による環境負荷の低減のみならず、資源を循環利用し続ける世界、そこから発展し、新たな付加価値を生み出し続ける循環型の経済社会となることを想定しています。
この想定する社会において、当社グループはキャピタルソリューションの革新により、モノの循環利用に繋がるサービス、地域経済・社会の好循環に繋がるサービス、企業成長の好循環に繋がるサービスを提供し、環境と成長の好循環を実現すると共に、多様化するお客様と社会の課題解決を通して、「次世代循環型社会」の実現を目指してまいります。
また、新たなグループビジョンに含まれる「Solution Company」の「Company」には、一般的な「会社」という意味に加え、「価値観を共有する集団(仲間)」という意味も含めています。社会課題解決に向けた付加価値の提供による収益力の向上と共に、このグループビジョンには価値観を共有する従業員が誇りに思える会社作り(エンゲージメントの向上)に向けた思いを込めたものとなっています。
なお、グループビジョンの策定に併せて、事業活動を通じた社会課題の解決とその活動を支える経営基盤に関し、当社グループのマテリアリティを以下のように再特定しております。
・ 脱炭素社会・循環型経済の推進
・ 社会・ICTインフラ整備の推進
・ 社会課題解決に向けた新たなサービスや事業の創出
・ 人的資本への投資
・ 企業価値向上を支えるコーポレートガバナンスの追求
グループビジョン2030「次世代循環型社会をリードするSolution Company」には以下に記載の3つの段階があり、その第一段階の実現を目指す計画として「中期計画2025」を策定しております。
第一段階 当社らしい循環型サービスを創出
第二段階 当社らしい循環型サービスを発展
第三段階 当社らしい循環型サービスの収益確立
① 「中期計画2025」策定の前提
新型コロナウイルスの影響が世界的に鎮静化するなか、グローバルなテーマとして改めてサステナビリティが議論されるようになりました。SDGsをはじめサステナビリティについてはこれまでもその必要性、重要性について多くが語られてきましたが、企業経営に直接的にアプローチするものではありませんでした。しかしながら、昨今の異常気象による世界的な経済損失の拡大が無視できない規模となってきたことから、企業経営者に直接サステナビリティ経営の推進を促す国際的なフレームワークが確立されました。その代表的なものがTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)であり、東証の市場再編に合わせプライム市場上場企業については2023年3月期以降、その枠組みに沿った取り組みの開示が義務化されることとなりました。
このような足元の環境変化を踏まえ、当社は、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、新たなグループビジョンの策定とマテリアリティの特定を行いました。「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を策定いたしました。
② 「中期計画2025」の概要
グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。お客様、社会、株主、自社の観点から「中期計画2025」のねらいを以下のとおり定め、各戦略で施策を具体化しています。
お客様:サービスの提供によりお客様の経営課題を解決
社会 :事業を通じて社会の課題を解決
株主 :CSV経営の実践による企業価値向上
自社 :ビジョン実現のための事業戦略実行
「中期計画2025」は3つの事業戦略と、それを支える経営基盤強化戦略で構成しています。
事業戦略① サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出
■ 再生可能エネルギー発電、ウェアハウジング、ITアセットマネジメント、観光の各事業におけるサ
ービス拡大
■ ICT製品のサブスクリプションサービスの推進や不動産の活性化促進等によるモノの循環利用に繋が
るサービス創出
■ PFI・PPP事業の拡大、地域金融の循環モデル構築支援、地域ベンダーが提供する自治体DXサービス
との連携強化による地域経済・社会の好循環に繋がるサービス創出
■ 企業のライフサイクルに応じたサービスやファンド投資事業、M&A等アドバイザリーの拡大による企
業成長の好循環に繋がるサービス創出
事業戦略② 注力事業への戦略的投資による成長加速
■ お客様・ベンダーとのシステム連携や企画機能強化を通したICT関連サービスの高付加価値化による
事業規模拡大
■ 国内外における金融プロダクトの領域拡大・高度化による高収益の獲得
事業戦略③ ベンダーファイナンスの強化および顧客基盤拡充
■ 新規ベンダー、パートナーの開拓や既存ベンダーとの連携強化による収益性向上および収益機会創
出
■ ベンダーファイナンス起点のお客様に対するダイレクト営業の強化をはじめとしたお客様の課題に
対するソリューション開発・提供による取引深耕
経営基盤強化戦略
■ 業務プロセスのデジタル化やデジタル情報の活用を踏まえた基盤整備等による業務の標準化、品
質・効率の向上および「三つの防衛線」機能の高度化
■ DX基盤となるコアシステムの立ち上げと安定稼働やワークスタイル変革を支えるIT環境の構築を
はじめとしたデジタル技術の活用促進・DX活動の推進
■ 経営戦略に連動した組織作り・人材マネジメント制度導入と挑戦・革新し続ける風土作り、カル
チャー変革
■ 自律的なコンプライアンス風土の実現と、コーポレートガバナンスの実効性向上に加え、経営管理
の高度化、事業変革するための経営戦略および計画立案・推進機能の強化等によるスタフ機能の強
化並びに営業サポート機能の向上
■ カーボンニュートラルの実現(2040年度(2041年3月期)までに連結ベースのScope1+2を実質ゼ
ロとする)に向けた諸施策の実行
上記「中期計画2025」について、事業セグメント別の経営方針を整理すると以下の通りとなります。
① リース事業
官公庁及び民間企業領域において、ベンダーファイナンスをはじめ高付加価値なリースおよびレンタルを提供すると共に、ベンダーソリューションの拡大による新規ベンダーやパートナーの開拓により高収益で良質なアセットを積み上げていきます。また、国内外においてベンダーとのリレーション強化を図り、サービス基盤の共同開発等を通じて共同サービスを確立することで新たな収益機会の獲得を目指します。
② ファイナンス事業
既存顧客を維持しつつ、お客様やベンダーの様々なファイナンスニーズを捉え、課題に対するソリューション開発・提供による取引を拡大し、顧客基盤拡充と収益性向上を図ります。また、国内外における金融プロダクトの領域拡大・高度化により収益性の高い戦略アセットの積み上げにより収益規模の拡大を目指します。
③ インベストメント事業
リサ・パートナーズはファンドビジネスやアドバイザリー機能を通して、地域金融機関との連携強化を更に進化・加速させると共に、海外案件にも取り組むことで持続的な成長を目指します。並行して、安定的なインカムゲインを得るための中長期保有資産を積み上げ、収益基盤の再構築を図ります。ベンチャー企業向けファンドビジネスは出口戦略を明確化し収益拡大を図ります。
④ その他の事業
これまでも取り組んできたヘルスケアウェアハウジング事業や再生可能エネルギー事業、PFI・PPP事業の強化拡大に加え、ICT製品のアセットマネジメントのノウハウを活用したサービスの拡充を図り、加えて新たな循環型サービスを創出してまいります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、afterコロナに向けた経済活動の再開が進んだ一年となりました。その一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、原油や穀物などの商品価格の高騰を招くと共に、世界の中央銀行はインフレ対策として利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、先行きの不透明感が増す状況となりました。また12月には、日本銀行によるイールドカーブコントロールにおいて長期金利の許容変動幅が0.5%に拡大されるなど、国内においても金融緩和の修正を想起させる動きが見られるようになりました。このような国内外の環境変化を踏まえ、今後の経済活動の見通しについてはこれまで以上に注視していく必要があると考えています。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2022年4月から2023年3月累計のリース取扱高は、前期比2.2%増の4兆3,106億円となっています。(出典:2023年5月29日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月に「5類」への移行が決定されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスクは沈静化し、経済活動の正常化に向けた動きは継続している一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、欧米諸国の経済制裁と相俟って世界経済に大きな影響を与えています。侵攻以来、原油や穀物などの商品価格の高騰は続き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応を図っているものの、その効果は限定的なものにとどまっています。また国内では日銀がイールドカーブコントロールの変動幅を拡大するなど、金融政策の転換が想起されるような動きも出てきており、これまで以上に注視が必要な状況となっています。
このような状況において、新型コロナウイルスの影響が世界的に鎮静化するなか、グローバルなテーマとして改めてサステナビリティが議論されるようになりました。SDGsをはじめサステナビリティについてはこれまでもその必要性、重要性について多くが語られてきましたが、企業経営に直接的にアプローチするものではありませんでした。しかしながら、昨今の異常気象による世界的な経済損失の拡大が無視できない規模となってきたことから、企業経営者に直接サステナビリティ経営の推進を促す国際的なフレームワークが確立されました。その代表的なものがTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)であり、東証の市場再編に合わせプライム市場上場企業については2023年3月期以降、その枠組みに沿った取り組みの開示が義務化されることとなりました。これら内外環境の対処すべき課題に対し、当社は、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、SDGsのゴールでもある2030年に向けた新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定すると共に、「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を策定いたしました。グルービジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。
当社はサステナビリティ課題を自社の経営課題として認識すると共に、社会及びお客様の課題であると考えています。自社における取り組みを進めると同時に、当社ならではのサービスを提供し、社会及びお客様の課題解決を通して着実な成長を実現していきます。
当社グループのサステナビリティに関する情報、また本報告書発行日以降の変更につきましては、当期中に発行する統合レポート並びに当社webサイト(https://www.necap.co.jp/)をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、CSV経営実現に向けた社会価値向上の取り組みのひとつである「地球温暖化の防止」への対応を加速するため、2022年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明すると共に、TCFDコンソーシアムへ参画しました。
また、2023年4月には、新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」の公表と共に、新たなマテリアリティとして「脱炭素社会・循環型経済の推進」を特定しました。今後はこの新たなグループビジョン実現に向けたマテリアリティの実践を通して、これまで以上に気候変動対応の活動を進化させてまいります。なお、気候変動に関連する事項については、取締役会の監督を受けるガバナンス体制・リスク管理体制を確立し、気候変動に関するリスクと機会への対応を含め、TCFD提言に沿った情報開示を進めてまいります。
2022年のCDP(Carbon Disclosure Project)気候変動質問書への回答では、組織的対応ができている「スコアB」と評価されました。
①ガバナンス
当社は、当社グループにおけるサステナビリティの審議機関として、「サステナビリティ委員会」を設置しています。同委員会は代表取締役社長を委員長とし、常勤取締役、関連部門の担当執行役員及び部門長で構成しています。
サステナビリティ委員会は、原則として年2回開催し、気候変動対応をはじめとするサステナビリティに関する方針及び計画の策定、並びにPDCAサイクルの運用状況について議論します。
委員会で議論された結果は経営会議で審議の上、都度取締役会へ報告されるとともに、重要事項については取締役会で決議を行い、適宜中期計画や事業戦略に反映します。推進体制図は以下のとおりです。

②戦略
当社グループは気候変動に起因する事業への影響を考察し、当社グループの戦略立案・検討を行うため、シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析にあたっては、不確実な未来への対応力を高めるため、複数の気候変動シナリオを用いて将来の社会像を予想し、対応策を検討しました。
今回のシナリオ分析では、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面からリスクと機会の考察を行いました。
(シナリオ分析の主な要素)
4℃シナリオの将来社会では、政策や法規制の強化等による移行リスクは低い代わりに異常気象の激甚化による物理リスクが拡大すると予想されます。
当社グループにおいては、短期~長期的に取引先の物理的被害やサプライチェーンの寸断による業務の停滞等のリスクが想定される一方で、災害対策の観点からICTおよびリース需要の増加、異常気象対応に伴う新サービス、新規投資機会の拡大等が予想されます。
分析後の主なリスクと機会、対応策は以下のとおりです。

1.5℃シナリオの将来社会では、異常気象の激甚化による物理リスクは低い代わりに政策や法規制の強化等による移行リスクが増加すると予想されます。
当社グループにおいては、短期~長期的に再生可能エネルギーのシェア拡大に伴う電気料やリース物件の価格高騰などのリスクが想定される一方で、脱炭素社会を実現するためのICTおよびリース需要の増加、新サービス、新規投資機会の拡大などが予想されます。
代表的なリスクと機会についての認識は以下のとおりです。

シナリオ分析の結果、いずれのシナリオにおいても一定のリスクは見込まれるものの、当社事業への影響は限定的であり、むしろ、ICTおよびリース需要の増加、気候変動対応に伴う新サービス、新規投資機会の拡大など、事業機会増大の可能性が高いとの結論に至りました。
今後も変化を続ける世界情勢に対し、社内関連部門および経営層と協議しながら随時リスクと機会を見直し、より実効性の高い対応策へと見直していきます。
③リスク管理
当社は事業活動に影響を与えるリスクを「ERMリスク(※1)」と「その他のリスク」に区分しています。信用リスク・市場リスク・オペレーショナルリスク等業務に係るERMリスクは、リスクマネジメント委員会で管理します。その他のリスクは、当社グループ事業に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして経営会議で管理します。(代表的なリスクについては、
気候変動関連リスクについては、双方に影響する経営上の重要なリスクと考え、総合的リスク管理の観点から、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会で統合し管理します。具体的には、マクロトレンドや外部動向調査をもとに中長期を含む気候変動対応方針の策定・見直しを行う他、リスク対応を含む年間施策案の策定、その実行・モニタリング・評価・検証といったPDCAを行います。
なお、気候変動関連リスクによる重大な影響(※2)が想定される場合は、速やかに対応方針を議論し、経営会議で審議の上、取締役会で決議し適宜事業計画に反映します。

(※1) ERMリスク ERM(エンタープライズリスクマネジメント)における①信用リスク、②市場リスク、③オペ
レーショナルリスク(事務リスク、システムリスク等)
(※2) 重大な影響 東京証券取引所の適時開示基準(利益に係る影響の見込額等)に準拠
(※3) 環境関連法に関するリスクはISO14001に基づく環境マネジメントシステムにおいて管理
④指標と目標
当社の事業活動は、自社の環境負荷が製造業等に比べて少ないことから、従来より事業を通じてお客様や社会の環境正価(成果)向上に注力してきました。具体的には、「エコリース・エコファイナンスによる社会の低炭素化」「リースによる資源の循環」をコンセプトに、環境課題を解決して社会全体に対してプラスの影響を与えるエコビジネスに積極的に取り組んできました。
2023年4月には、「中期計画2025」を発表するとともに、環境中長期目標を新たに設定し、自社の事業活動に伴うCo2排出量(Scope1,2 提出会社+リサ・パートナーズ)を2025年度に2022年度見込み比20%削減し、2040年には、海外子会社を含む連結ベースでのCO2排出量(Scope1,2)の「実質ゼロ」を目指すこととしました。本社が入居する品川インターシティが電力の100%再エネ化を実現したことにより、2022年度のCO2排出量は156t-co2(2023年3月時点見込値。2021年度比53%減)となる見込みです。確定値および第三者検証の結果は、当社webサイト(https://www.necap.co.jp/)へ当期中に反映予定です。今後は、社用車のEV(電気自動車)等への入れ替え、支店オフィスのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への移転、カーボンクレジットや非化石証書等の活用を検討し、2040年度の実質カーボンニュートラルを実現していく予定です。
また「中期計画2025」においては、「カーボンニュートラル実現に向けたCO2の削減」に加え、「社会インフラ整備の推進」、「ICTビジネス拡大に伴う循環利用の促進」、「気候変動対応の推進」、「自然資本を意識した社会貢献活動の推進」を非財務目標の一部として公表しました。これらの非財務目標に積極的に取り組むことで、新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」の実現を目指していきます。なお、これら非財務目標のPDCAについては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて報告・議論し、実効性の高い取り組みを進めてまいります。

①人材戦略(人材育成の基本方針および職場環境整備方針)
a.人材育成の基本方針
当社グループの事業においては、人材こそが最大の資産であり、人材の価値を最大限に引き出すことで当社の中長期的な企業価値の向上を図ります。そのため、事業戦略に連動した人材・組織・カルチャー変革戦略を立案し、それに基づき多様な人材が持てる力を最大限に発揮し、働きがいを感じ、誇りに思える会社を目指していきます。
当社グループは2023年4月に新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定しました。このグループビジョンのもと、既存事業のみならず周辺領域への事業拡大や新たな事業、循環型のサービス創出に挑戦していきますが、そのためにはグループビジョン実現に向け、自ら変革するために挑戦・成長し続ける従業員のWell-beingの向上を図り、多様な人材に選ばれる会社を目指していきます。
b.職場環境整備方針
上記の人材育成の基本方針に基づき、多様な人材が持てる力を最大限に発揮し活躍できる社内環境整備を進めていきます。育児や介護を始めとした様々な事情を抱える従業員が時間や場所の制約にとらわれずに力を発揮できる仕組み、経験年数や年齢にかかわらず担っている役割(仕事)と会社業績への貢献を基準とした処遇の仕組み、自由闊達で挑戦を重んじ、自分らしく活躍できる組織文化の形成、などにより従業員が誇りに思える会社、即ちエンゲージメントが高い従業員で満たされる会社・組織を目指し、種々の施策に取り組んでいきます。
②具体的取組(人材戦略の実践、施策)
新たに策定したグループビジョン2030実現に向けてマテリアリティ(重要課題)を再特定しました。そのマテリアリティの一つが「人的資本への投資」で、「エンゲージメントの向上」「人材の多様性確保」「健康経営の実現」「持続的成長を実現する人材・組織開発」「テクノロジー活用による働き方改革」の5つの領域につき、以下の取り組みを進めていきます。
a.エンゲージメントの向上
人材育成の基本方針に則った「働きがいを感じ、誇りに思える会社」への変革の状況をモニタリングし、改善のPDCAサイクルを回すため、定期的に従業員エンゲージメントサーベイを実施します。2022年度より従業員エンゲージメントサーベイを毎年一回実施することとし、それに加えて年3回のミニサーベイを実施することでタイムリーに状況把握を行い、改善のPDCAを速く廻していくこととしています。全社のエンゲージメントスコアおよびエンゲージメントスコア改善のポイントを全役員で共有するとともに、部門別の結果を管掌役員及び部門長で共有し、改善に取組んでいます。今中期計画の最終年度(2025年度)には、参加エンゲージメントサーベイにおいて日本国内参加企業の上位1/4レベルを目標に改善を加速させていきます。
2023年4月に、社内外に公表したグループビジョン2030、「中期計画2025」について従業員の理解・納得・共感を促進し、行動変革につなげるため、経営幹部が全国を廻り従業員と直接対話を行うことを進めています。また、従業員エンゲージメントスコアを役員報酬の業績評価に連動させる仕組みを導入し、その改善に経営陣もコミットして参ります。
<従業員エンゲージメントスコア(提出会社)>
※グローバル人事コンサルティング会社「Kincentric社」サーベイによる。
スコア34%は日本国内参加企業の上位25パーセンタイルのスコアレベル。
b.人材の多様性確保
当社は、新たな事業領域への事業拡大を通じて様々な分野から専門性・経験を持つ人材を採用してきたことから下表に示す通り、ダイバーシティのある組織となっています。今後はさらにDiversity, Equity &Inclusion の観点から多様な人材が真に活躍できる環境整備を制度面・組織風土面の両面から進めていきます。
その一つとして、育児や介護をはじめとする様々な事情を抱えている従業員が時間的・場所的制約にかかわらず活躍できる環境を整えるため、コロナ禍で進んだテレワークの仕組みを今後も継続し積極活用することに加え、2023年4月には勤務途中の中抜け(例:育児のための勤務中断)を可能する柔軟な働き方が出来る制度を導入しました。なお、これらの施策は女性だけでなく男性も含めたすべての従業員が持てる力を最大限に発揮することに資するものであるとの認識で今後も取り組んでいきます。
<従業員のダイバーシティの状況(提出会社・2022年度)>
①女性活躍
これまでも職種転換の推進、外部教育機関への派遣、専門知識の習得支援、自分らしさや働くための軸を探求することを目的としたワークショップの開催等による人材育成施策と、法の要請を超えた育児と仕事の両立支援制度の拡充、在宅勤務制度やフレックスタイム制度の改定などにより柔軟な働き方を可能とする制度を導入し、女性活躍につなげる施策を推進してきました。その結果、2021年には「えるぼし認定(3段階目)」を取得することが出来ました。
また、2022年度には、別のアプローチで女性活躍を進めるため、役員を含むマネジメント層を対象にアンコンシャス・バイアスに気づき、コントロールするためのワークショップを初めて実施しました。これらの上司層を対象とした施策で女性が一層活躍できる環境整備を図っていきます。
しかしながら、女性管理職比率は以下に示すとおり改善してきているもののいまだ意思決定における多様性には課題があります。当社はこれを最優先の経営課題の一つとして、人材の確保と計画的育成の両面から改善に取組み、2026年3月末で女性管理職比率10%達成を目標に取組んで参ります。
②シニア人材の活用
年齢にかかわらず活躍できる会社を目指し、当社では本人や上司との事前面談を通して、これまでのキャリアや適性、希望する業務、チャレンジ意欲を踏まえ配置を行い、成果に応じて処遇する制度としています。
③障がい者雇用
障がいの有無にかかわらず活躍できる会社を目指し、障がい者には、その状況に合わせて様々な合理的配慮を行っています。たとえば、オフィスは段差のないフラットな構造になっているほか、オフィス内の導線についても、デスク間の幅を広くとることで車いすでの移動を容易にするなど様々なバリアフリー対策を講じています。
また、2021年7月からは「障がい者が安心して長く働ける環境の提供」「障がい者就業機会の創出による地域貢献」を目的として当社の農園を開設し、障がい者の雇用の促進につなげています。
希望する本社従業員が障がい者と一緒に種まきや収穫をするイベントを開催したり、障がい者が育てた新鮮な野菜を本社で従業員に配布したり、農園での活動をホームページで紹介するなどして本社従業員が当社の農園で活躍する障がい者を身近に感じることができる施策にも取り組んでいます。今後もこのような交流の機会を拡大していきます。
<農園 写真>
<障がい者雇用率(提出会社)>
c.健康経営の実現
事業活動の源泉は生き生きと働く社員であり、全ての従業員の心身の健康と安全は最も大切なものと考えています。当社は健康経営の推進にあたって、社長を推進責任者として、当社、産業医・保健スタッフ、健康保険組合と連携を図り、三位一体で社員とその家族の健康維持・増進に取組んでいます。
また、2022年9月に「健康経営宣言」を行い社内外に公表を行うとともに2023年3月には経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人認定2023(大規模法人部門)」に認定されました。
①疾病予防・健康増進対策
<各種健康診断>
疾病の予防および早期発見等の観点から、法定の定期健康診断項目の受診に加え、年齢に応じ、健康保険組合と協働して、生活習慣病検診(がん検診)・人間ドック・婦人検診等の受診推奨および費用補助を実施しています。また、健診結果に対する産業医の判定に基づき、精密検査等が必要な対象者への医療機関受診推奨など、事後措置管理の強化を行っています。
<感染症予防>
2020年4月の緊急事態宣言発出後に速やかにモバイルパソコン、スマートフォンを配布し、在宅勤務を可能とするとともに、会社では自動検温器、消毒液や会議室、職場内にパーテーション設置するなど感染予防対策を施しました。また、2021年には新型コロナウイルスワクチンの職域接種を行いました。
なお、インフルエンザ予防接種の費用補助ならびに社内での集団接種を行い疾病予防の強化を図っています。
<禁煙・卒煙>
健康保険組合と連携し、無料オンライン卒煙プログラム(専門医によるオンライン診療・禁煙補助薬配送・フォローメール等)を通じた禁煙サポートを実施しています。
<健康セミナー>
健康に対する意識やヘルスリテラシーの向上を目的として、社員とその家族を対象に「オンライン健康セミナー」を定期的に開催しています。運動・睡眠・食事・がん・女性特有の病気などの様々なテーマのセミナーを実施し、健康増進およびセルフケアの強化を図っています。
②メンタルヘルスケアへの取組み
当社では、社員の身体的な健康だけではなく、精神的にも健康で、自分らしく生き生きと働くことができる職場環境づくりを重要課題と位置づけ、メンタルヘルス対策に取り組んでいます。
(1)1次予防(啓発活動・未病対策)
(2)2次予防(早期発見・早期対応)
(3)3次予防(再発防止)
<健康経営モニタリング指標と実績(提出会社)>
d.持続的成長を実現する人材・組織開発
当社は、自らチャレンジすることで会社の変革・成長に貢献し続け、かつ、お客様満足の追求に力を発揮できる人材の育成に取り組み、社員一人ひとりが高い専門性と自律的な行動、さらに市場環境の変化に対応できる能力を身につけることを目指しています。
今後グループビジョン2030に基づき、事業戦略に合致した人材ポートフォリオを策定し、そのギャップを埋めるため人材・組織開発に計画的に取り組んでいきます。そのために必要な研修には費用・時間を積極的に投資してまいります。
<人材育成体系>

<研修関連指標と資格保有者数(提出会社)>
1.次世代リーダー候補者育成
当社では経営幹部候補者から若手のハイポテンシャル人材まで次世代リーダー候補者を社外、海外現地法人への派遣も含めた戦略的な人事ローテーションの実施と選抜による外部教育機関への派遣等により計画的な育成に取り組んできました。2022年度から改めてその取組を強化し、サクセッションプランの本格的展開をスタートさせています。
2.キャリア自律を促す人材育成制度の拡充
キャリア自律を促進させるため、従来から実施していた自己申告制度を元にした希望の叶う人事育成配置に加えて、2022年度に人材公募制度を導入し、今後これを拡充させていきます。また、個々人の多様な業務・役割に則した自律的な学習・キャリア形成を支援できるよう、外部教育機関と提携して専門性を高める研修を含め幅広いニーズに応える研修メニューを提供し、金融関連有資格者の計画的育成を図っています。
3.組織カルチャーの変革とマネジメントの強化
2023年4月に策定したグループビジョン2030、「中期計画2025」の実現に向け、2023年度4月に従業員に期待する行動基準の策定とそれに基づく行動評価の仕組みを新たに導入しました。ビジョン実現に向けた行動基準は「顧客志向」、「自ら進化」「挑戦」、「スピード」、「オープンコミュニケーション」の5つのカテゴリーとし、それぞれにおいて期待行動の事例を示すことにより、一人ひとりの言動を変え、それにより組織カルチャーの変革につなげていきます。
また、挑戦・変革の組織カルチャーを現場で効果的に実践する上では、マネジメント力とオープンで心理的安全性の高い職場風土が欠かせないことから、マネジメント力の強化と心理的安全性を高めるための施策を実施してきており、今後も継続的にその取組みを強化、実践していきます。
<これまでの実践施策>
e.テクノロジー活用による働き方改革
社員一人ひとりが、自律的に働き方や働く場所を選択できるように、全社員にモバイルパソコンやスマートフォンを配備し、自宅やサテライトオフィスなど、状況に合わせて柔軟に業務が行えるようIT環境を整備しています。また、生産性の向上、BCP、環境配慮の面で紙を削減・廃止し、デジタルを用いて仕事が進められるよう承認プロセスの電子ワークフロー化の促進なども進めてきましたが、今後はDX基盤となるコアシステムの立ち上げやRPA(Robotic Process Automation)の活用、AIの活用などDX活動をより推進し、高い生産性の実現を目指していきます。
本社オフィスには、社員間のコミュニケーションを促すコラボレーションスペース、個人が集中して作業やWEB会議を行えるブースなど、様々な機能を兼ね備えたオフィスデザインとし、働き方に合わせて最適な場所を選ぶことができる環境を整えています。自律性を高め、新たな発想が生まれることを期待するフレキシビリティの高いオフィスとしています。
当社グループは2023年4月、新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定いたしました。これまで掲げてきたCSV経営(Creating Shared Value=共通価値の創造)は継続しながら、気候変動対応をはじめとする社会課題の多様化、先端技術の発展、将来の産業や社会生活の大きな変化に対応するべく、CSV経営と親和性の高いSDGsに同期する2030年を新たなグループビジョンのゴールとしました。
これまで私たちはリース事業を通して、環境に配慮した製品の導入、高度な3R処理による資源循環により循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。一方で、2030年以降を見据えた「次世代循環型社会」は、資源効率の向上による環境負荷の低減のみならず、資源を循環利用し続ける世界、そこから発展し、新たな付加価値を生み出し続ける循環型の経済社会となることを想定しています。
この想定する社会において、当社グループはキャピタルソリューションの革新により、モノの循環利用に繋がるサービス、地域経済・社会の好循環に繋がるサービス、企業成長の好循環に繋がるサービスを提供し、環境と成長の好循環を実現すると共に、多様化するお客様と社会の課題解決を通して、「次世代循環型社会」の実現を目指してまいります。
こうした取り組みの中、リスクマネジメント(管理)とリスクコントロール(制御)は事業展開を決定する重要な要素のひとつであると捉え、収益の源泉として管理すべきリスクと収益の源泉とはならない削減すべきリスクに分けて考えております。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
(1) 新型コロナウイルス感染症に係る事業等のリスク
2022年3月のまん延防止等重点措置の解除以降、8月をピークとした第7波、11月以降の第8波と新型コロナウイルス感染症拡大の波はあったものの、重症化率は波を追うごとに低下し、経済活動の正常化に向けた動きは継続しています。また、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行することが決定されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスクについては低減する傾向にあると考えています。
一方で、ニューノーマルなど新型コロナウイルスがもたらした社会の変化は今後も継続すると想定され、このような変化に応じた対応が必要になるものと思われます。新しい社会の枠組みが業界や個社ごとにどのような影響を及ぼすかを見極めるなど、事業活動においてこれまでにはない価値判断や基準が必要になるものと想定されます。
なお、経営基盤強化として進めてきた新型コロナウイルス感染症対策により、持続的な企業活動を維持できるICTインフラの整備や社内体制の構築が完了し、当社社員が感染した場合においても、当社グループの経営成績に及ぼす影響は限定的であると考えています。
(2) ウクライナ情勢に係るリスク
2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、欧米諸国の経済制裁と相俟って世界経済に大きな影響を与えています。原油をはじめとした資源価格の高騰や食料品価格の高騰を引き起こすと共に、当該地域ビジネスの信用不安が高まっています。
このような状況において、当社事業に影響を及ぼす可能性のあるものとして、与信コストの増加、資金調達コストの増加、為替変動幅の拡大などが懸念されますが、当社においては、当該地域ビジネスの債権は有しておらず、与信コストの増加についての直接的なリスクは限定的であると考えています。一方で資金調達コストの増加、為替変動幅の拡大については引き続き注視してまいります。
(3) 気候変動に係るリスク
地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。昨今の異常気象がもたらすビジネス上の損失は、個別企業によっては事業継続上無視できないレベルに達しており、日々の経営判断においても気候変動に係るリスクを意識することが必要になってきたと認識しております。
こうした状況を踏まえ、当社はTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同すると共に、その枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクへの対応を開始しております。
(4) 信用リスク
当社グループでは、リース事業やファイナンス事業等の与信を伴う各種事業を営んでおります。新規取引時は、顧客の信用状況のほか、リース取引についてはリース物件の将来中古価値等も勘案し、海外取引についてはカントリーリスクも含めて、厳格に審査を行っております。また、取引開始後は定期的に顧客の業況をチェックし、財務状況や市場動向の変化を把握できるように管理をするとともに、信用リスクの程度に応じて、担保・物件処分等による回収見込額及び貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金の計上を行っております。
さらに、既存顧客ごとの信用状況や業界毎の市場動向を定期的に検証し、特定の企業や業種に与信残高が集中しないように、ポートフォリオ管理を行っております。
しかしながら、リース事業やファイナンス事業は回収期間が中長期にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等不測の事態を蒙り、貸倒損失又は貸倒引当金繰入の負担が増加して当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性はありますが、その場合においてもリース物件や担保資産の売却等で債権保全・回収の極大化に努めております。
(5) 流動性リスク
当社グループは金融情勢の変動に対して柔軟に対処していくため、特定の資金調達先や調達方法に依存しないよう留意しております。直接調達においては、社債、コマーシャル・ペーパーの発行等調達方法の多様化を図りつつ安定調達に注力し、間接調達においては、主要金融機関との良好な関係を維持しつつ幅広く多くの金融機関と取引を行っております。
直接調達については格付機関より短期債及び長期債の格付けを取得しておりますが、今後の業績の変動等により当社グループの格付けが見直された場合や、市場の混乱等により、市場において資金調達が困難となり、通常よりも著しく不利な金利水準での資金調達を余儀なくされる場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は354億82百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は3,164億11百万円となっております。
(6) 金利変動リスク
一般的にリース会社は、リース事業やファイナンス事業等の成約に伴い、対象物件の購入資金や貸付資金のため、必要資金の多くを金融機関等から調達しております。このため、当社においても長・短借入金等を中心とする有利子負債比率が高くなっております。市場金利が急激に上昇した場合は、調達コストの増加につながり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、営業資産・負債の総合管理(ALM)を実施することにより金利変動リスクの低減に努めております。
(7) 為替変動リスク
当社グループでは、外貨建の案件を一部取り扱っており、為替相場の急激な変動により当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、基本方針である外貨建営業資産とバランスさせた外貨建調達を実行することで為替変動リスクの低減に努めております。
(8) 残価変動リスク
当社グループでは、中古価値が見込めるリース物件を対象にリース満了時の残存価値(以下、「残価」という。)を設定したオペレーティング・リースを展開しております。この取引では、リース満了時に返還された物件を、当初設定した残価を上回る価格で売却することにより利益を得る可能性を有する半面、売却価格が残価を下回る場合には損失が発生するリスクを有しております。
そのため予想を上回る市場環境の変化や技術革新等によって、当該物件の処分価格が残価を下回った場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、定期的なモニタリングの実施とリスク量の計測を行うと共に、物件の種類や満了時期を分散させることで残価変動リスクの低減に努めております。
(9) 株価及び有価証券価格変動リスク
当社グループでは、上場・非上場の株式及び債券を保有しております。これらの資産の価格は変動するものであり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。価格が著しく下落した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、これらの変動リスクの対処としては、当社グループが許容する範囲内に当該リスク量を収めるべくリスク管理を行っており、当社グループのリスクの管理低減に努めております。
(10) 不動産価格変動リスク
当社グループでは、販売用不動産を保有しております。販売用不動産は、不動産時価が下落した場合、評価損が発生し、また売却時に売却損が発生する可能性があります。不動産担保ローンや建物リース、また不動産からのキャッシュ・フローを返済原資とするノンリコースローンにおいては、取引の対象となる不動産の価値が目減りし、当該取引の債権の与信が悪化する可能性があります。不動産価格の変動が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、不動産関連与信の集中状況を確認しながら取引審査を厳格に行うと共に、その後の与信管理にも万全を期し、担保として設定されている不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。
(11) 海外投資のリスク
当社グループでは、海外の企業に対する投融資を行なっております。これら投資先の経営状況の悪化、株式・債券市場の市況の悪化及び海外投資における国・地域固有の政治・経済・社会情勢の変動によるカントリーリスクの顕在化等による事業環境の変化が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクの対処として、海外営業取引に関するカントリーリスクの管理制度を定めており、特定の国へのリスクへの集中や過大なリスクの管理低減に努めております。
(12) NECグループとの関係
当社グループは、日本電気株式会社(以下「NEC」といい、当連結会計年度末現在、当社株式のうち37.66%を直接保有する大株主)の持分法適用関連会社としてNECグループに属しており、当社グループにおけるNEC製品・サービスの取扱比率の高さから、NECの業績動向が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方で当社グループは、NECグループ国内唯一の金融サービス会社として、官公庁や大企業、中小企業等の幅広い顧客層に対して、リース事業を中心とした各種ファイナンスサービスを提供することを主たる事業としております。「NECとの戦略的な連携」「幅広い金融ソリューション」「ICTに関する豊富な知見」をグループの「コアバリュー」と位置付けており、従来のリース・ファイナンス事業を強化拡大すると共に、様々な商材を組み合わせるアレンジ力の活用や社内外とのシナジー創出による顧客課題の解決提案など、「コアバリュー」の3つの強みを活かした当社ならではの「サービス」の確立に取り組んでおります。
(13) 設備投資の動向及びリース業界における競合
当社グループが基軸として事業展開しているリース事業は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つとなっております。従いまして、経済環境の急激な変化や顧客の経営状況の悪化等で設備投資需要が大幅に減少した場合、当社のリース事業の取扱高が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、リース業界では依然として多くのリース業を営む会社が存在しており、金融緩和による料率競争も激しさを増し、厳しい競合状態にあります。こうした市場環境の下で、当社グループは中長期的な経営戦略に基づき、メーカー系リース会社としての特色を生かしつつ収益体質を一層強化し競合に対処する方針であります。
(14) 自然災害によるリスク
当社グループは、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある地震及び台風等の自然災害や感染症の流行等に対し、費用対効果を検討の上、事業活動への影響を最小化するための対策を実施しております。
(15) 制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準に基づき、リース取引等の各種事業を行っております。現行の制度や基準が将来大幅に変更された場合には、商品・サービスのメリット喪失や、規制対応へのコスト増加等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対し、当社は既存の顧客基盤を深耕すると共に新規顧客の開拓を行いながら、顧客の経営資源に関わるさまざまな課題に対して解決策を提供することで、収益性向上とリスクの低減に取り組んでまいります。
(16) 重要情報漏えいリスク
当社グループは、業務に関連して多数の機密情報や個人情報を保有しており、機密情報の漏えいが生じた場合には、罰則・損害賠償による損失、業務停止処分、信用の低下及び風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクへの対処として、当社グループでは情報セキュリティ教育やアクセス制御等の情報セキュリティ管理体制の整備を通じ、人的・物理的・技術的対策を講じております。
(17) システムリスク
当社グループでは、様々な情報システムを使用し業務を行っております。従業員の不適正な事務・事故・不正等、自然災害及びシステム障害等により情報漏えいや業務が中断するリスク等が想定されます。
情報システムに重大な障害が発生した場合には、営業関係業務を中心に支障をきたすとともに当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの業績等に影響が及ぶ可能性がありますが、こうしたリスクへの対処として、これまでに情報システム機器のコンピュータ専用ビルへの移転、高速専用回線用バックアップ回線装備、外部不正アクセス防止強化及びシステム障害に即座に対応するための専門要員配置等を行っており、今後とも一層の情報システム管理の整備・強化に努めてまいります。
(18) 人材の育成・確保に関するリスク
当社グループの事業を展開する上で必要な人材を育成または雇用できない場合や雇用している人材が退職した場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、事業展開上必要なノウハウの承継や新たな事業への取り組みの鍵は従業員であり、従業員の能力こそが会社にとっての大きな財産であると考え、採用活動の強化や計画的な教育・研修活動の強化に努めております。
(19) 内部統制の構築等に係るリスク
当社グループにおいて、財務報告にかかる内部統制が有効に機能しなかった場合、或いは想定外の問題が発生した場合等の要因により、当社の内部統制部門または当社の会計監査人が当社の財務報告にかかる内部統制について重大な欠陥を指摘し、財務報告にかかる内部統制が有効でないと報告する可能性があります。
このような事態が発生した場合、当社の財務報告に関する投資家の信頼低下等に基づく、当社株価の下落等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、財務報告にかかる内部統制を構築し内部統制の有効性の確保と評価に努めております。
(20) コンプライアンスリスク
当社グループは、業務を行うに際して、会社法、貸金業法、金融商品取引法、宅地建物取引業法、個人情報保護法及び独占禁止法等の法令等の適用及び規制当局の監督を受けております。また、海外においては現地の法令等の適用や規制当局の監督を受けております。
これらについて違反が生じた場合には、罰則・契約解除・損害賠償による損失や、業務停止処分、登録・届出資格抹消、信用の低下、風評の悪化等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「NECキャピタルソリューショングループ行動規範」を定め、コンプライアンス教育や内部通報制度を通じて、法令等のみならず広く社会ルールの遵守徹底に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、afterコロナに向けた経済活動の再開が進んだ一年となりました。その一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、原油や穀物などの商品価格の高騰を招くと共に、世界の中央銀行はインフレ対策として利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、先行きの不透明感が増す状況となりました。また12月には、日本銀行によるイールドカーブコントロールにおいて長期金利の許容変動幅が0.5%に拡大されるなど、国内においても金融緩和の修正を想起させる動きが見られるようになりました。このような国内外の環境変化を踏まえ、今後の経済活動の見通しについてはこれまで以上に注視していく必要があると考えています。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2022年4月から2023年3月累計のリース取扱高は、前期比2.2%増の4兆3,106億円となっています。(出典:2023年5月29日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
このような状況下において、当社リース事業の契約実行高は前期比1.4%減、成約高は同8.7%増となりました。契約実行高が前年割れとなっている主な要因は、前期に大型のGIGAスクール案件の計上があったことによるものであり、その影響を除くと前期を上回る水準となっています。成約高については官公庁、民需双方が伸長したことにより前期比増となっています。
ファイナンス事業においては、ファクタリングや企業融資の増加により、契約実行高、成約高共に前期を上回る結果となりました。これは主に国内外の短期の資金ニーズを取り込めたことによるものであります。
インベストメント事業においては、大型の販売用不動産売却収益等を計上したことから売上高は増加したものの、ベンチャーファンドビジネスのEXIT収益減少等により、売上総利益、営業利益については前年割れとなりました。
その他の事業においては、PFI・PPP手数料の増加や太陽光売電収益等を計上したことにより、売上高、営業利益共に前期を上回る水準を維持しました。
経営成績においては、前期に大型の賃貸資産の売却を計上したリース事業はほぼ横ばいの売上高となるものの、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業が伸長したことから売上高、売上総利益共に前期比増加となりました。また与信関連費用の改善に伴い販売費及び一般管理費は減少し、営業利益、経常利益については前期を上回る結果となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、非支配株主に帰属する当期純利益の増加に伴い前年割れとなりました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,581億7百万円(前期比3.3%増)、営業利益117億15百万円(同12.1%増)、経常利益124億40百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益64億18百万円(同7.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
売上高は、前年並みの2,243億7百万円となり、営業利益は貸倒引当金繰入額の計上等により、前期比7億51百万円減少の63億68百万円となりました。
売上高は、金利収益の増加等により前期比25.9%増の65億69百万円となり、営業損益は前期比28億9百万円増加の21億54百万円となりました。
売上高は、当期に大型の販売用不動産の売却があったこと等から、前期比39.4%増の228億13百万円となったものの、営業利益は営業投資有価証券売却益の減少等により、前期比9億83百万円減少の44億12百万円となりました。
売上高は、ヘルスケア不動産の賃料収入や太陽光売電売上等により、前期比6.8%増の44億62百万円となり、営業利益は前期比2億18百万円増加の4億93百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて252億58百万円増加し、1兆558億75百万円となりました。主な要因としては、リース債権及びリース投資資産が116億65百万円減少したものの、営業貸付金が143億57百万円、投資有価証券が128億16百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて181億83百万円増加し、9,270億60百万円となりました。主な要因としては、社債(1年内償還予定の社債を含む)が100億円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが270億円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて70億74百万円増加し、1,288億15百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により47億17百万円、為替換算調整勘定が13億47百万円、非支配株主持分が7億98百万円増加したことによります。
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供している他、ファクタリング、決済・回収代行及び債権流動化等のサービスについても行っており、割賦債権、リース債権及びリース投資資産並びに営業貸付金等の営業債権を保有しております。また、営業投資有価証券、有価証券及び投資有価証券は、主に株式、債券及び組合出資金であり、純投資目的及び営業推進目的で保有しています。さらにこれらに加えて、外貨建ての海外投融資に取り組む他、当社グループの一部の連結子会社では、自己勘定やファンドを通じて、企業(株式)、貸付債権及び不動産を対象に投融資を行っております。
当社グループの資金調達は営業資産との整合を基本としており、営業資産等の増減にあわせて資金調達を行っています。具体的には、市場の状況を踏まえ、長期と短期や直接と間接等のバランスを図りつつ、金融機関からの借入れを中心に、社債やコマーシャル・ペーパーの発行並びに債権流動化といった様々な方法で資金調達をしております。
また、当社グループの主たる営業資産は、リースや割賦取引を中心とした固定金利の資産でありますが、資金調達は主に変動金利での借入を中心に行っているため、営業資産及び負債の総合管理(ALM)により、金利変動リスク及び流動性リスクの低減に努めております。その一環として、現在及び将来の獲得利鞘が変動するリスクをヘッジするために金利スワップ取引を利用しています。
なお、外貨建の営業資産の為替変動リスクについては、外貨建資産・調達の残高を両建てとする取引を行う他、通貨スワップ取引を用いてヘッジしております。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)に対しては、営業資産のキャッシュ・フローと営業負債のキャッシュ・フローの対応関係を適切に維持することのほか、資金調達手段の多様化への取組みや適正な水準の手許流動性を維持することなどによりリスクの低減を図っております。なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は354億82百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は3,164億11百万円となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)は、355億57百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果によって得られた資金は29百万円(前期は468億15百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益124億43百万円を計上していることに加え、主に営業貸付金の増加額174億91百万円、利息の支払額49億6百万円及び法人税等の支払額16億48百万円があったものの、リース債権及びリース投資資産の減少額128億39百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は95億81百万円(前期は5億1百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の償還による収入119億42百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出176億75百万円及び社用資産の取得による支出40億67百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は78億75百万円(前期は469億32百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,805億11百万円、社債の償還による支出300億円及び非支配株主への配当金の支払額50億8百万円があったものの、長期借入れによる収入1,775億54百万円、コマーシャル・ペーパーの増加額270億円及び社債の発行による収入200億円があったことによります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
2023年3月31日現在
②資金調達内訳
2023年3月31日現在
③業種別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
⑤期間別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
①契約実行高
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社の取引が大半を占めているため、提出会社の状況について記載しております。
(注)リース事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
②営業資産残高
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度におけるインベストメント事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が14,373百万円、買取
債権が12,419百万円、営業投資有価証券が22,875百万円、販売用不動産が7,115百万円、投資有価証券が27,292百万円となっております。
③営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2.各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
②ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
③インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
④その他の事業
エネルギー・観光・農業・ヘルスケアを領域とする新事業、PFI・PPP事業及びその他各種サービス等
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、日本基準で連結財務諸表を作成しております。IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針です。
当社グループの連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
貸倒引当金
当社は、官公庁・自治体等や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等の営業取引を行っており、これらの営業債権の回収は、景気変動やその他の事由により延滞や倒産等が生じた場合、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があります。そのため当社の営業債権である割賦債権、リース債権及びリース投資資産、賃貸料等未収入金並びに営業貸付金等については、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されており、重要な会計上の見積りを必要とします。
当社の営業債権に関する信用リスクの管理にあたっては、社内管理規程に沿って顧客毎の状況を定期的にモニタリングし、期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。取組時において個別案件毎の与信審査、与信限度額、与信情報管理、内部格付及び成約条件の設定を行っておりますが、途上の与信管理で与信不安情報等を入手した際は与信ランクの変更をしております。
当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)1.貸倒引当金」に記載のとおり、営業債権の貸倒損失に備えるため、顧客の信用リスクの度合いに応じて債務者区分を決定し、債務者区分に基づき債権を一般債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等に分類しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については保全による回収見込額に加え債務者の財政状態及び経営成績を考慮して個別に回収可能性を検討することにより、回収不能見込額を計上しております。
債務者区分の判定は、予め定めている債務者区分別引当基準に基づき、延滞情報を含む返済状況及び顧客の財務指標等の定量的要因並びに将来の業績見通し等の定性的要因に関連する情報を勘案して行っております。
当社は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、保有する営業債権の回収期間が中長期にわたることから、経済及びその他の事象または状況の変化や顧客の経営成績・財政状態の悪化により、顧客の延滞・倒産等の不測の事態を被り、翌連結会計年度に追加の引当金の計上が必要となってくる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,581億7百万円(前期比3.3%増)、営業利益117億15百万円(同12.1%増)、経常利益124億40百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益64億18百万円(同7.5%減)となりました。前期に大型の賃貸資産の売却を計上したリース事業はほぼ横ばいの売上高となるものの、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業が伸長したことから売上高、売上総利益共に前期比増加となりました。また与信関連費用の改善に伴い販売費及び一般管理費は減少し、営業利益、経常利益については前期を上回る結果となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、非支配株主に帰属する当期純利益の増加に伴い前年割れとなりました。
なお、上記実績により、当連結会計年度を最終年度とした「中期計画2020」で掲げた3か年の累計利益計画(親会社株主に帰属する当期純利益累計額170億円)について目標を達成いたしました。
「中期計画2020」は、新型コロナウイルス感染症拡大という、前例のない状況と対峙しながら事業に取り組んだ3年間となりました。加えて、2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻という想定外の紛争が勃発するなど、国内外に様々な不確定要因が生じることとなりました。このような足元の事業環境はあるものの、「中期計画2020」の最終年度となる当連結会計年度を含めたこの3年間を振り返ると、withコロナ&afterコロナにおいて生じた新たなニーズを捉えながら、CSV経営実現に向けた歩みを着実に進めることができたと認識しております。「中期計画2020」の成果と課題については以下の5つの観点から総括を行いました。
①当期純利益は3か年累計計画を達成、収益力向上は継続課題
一つめは、利益計画と収益力についてです。この3か年においては、リース事業がコロナ禍における需要増を取込み利益を拡大すると共に、高収益アセットの積み上げやインベストメント事業の取り組みも収益貢献したことから、利益計画を達成することができました。こうした収益力拡大は外部格付の向上にもつながり、R&I格付が「BBB+」→「A-」、JCR格付が「A-」→「A」とそれぞれ1ノッチずつ格上げとなっています。一方で、同業他社比の水準からみれば改善余地が残る収益性の向上については、顧客基盤拡充や付加価値の高い取り組み推進等を通して、改善を図っていく必要があると考えております。
②新規事業における収益化は領域ごとに進捗のばらつき
二つめは、新規事業における収益化は領域ごとに進捗のばらつきが出ているという点になります。エネルギー領域は事業範囲を拡大、ヘルスケア領域はウェアハウジング事業のアセットを順調に獲得する等、収益化を実現する一方で、コロナ禍の影響を大きく受けた観光領域は観光資源を活用した投融資・オペレーション・ファンド事業を推進したものの、収益化はこれからという状況になりました。
また農業領域は6次産業化やバリューチェーン最適化の推進による農業収入の安定化・収益化に苦戦し、今後の方向性を含めた検討が必要になっていると考えております。一方で、PFI事業についてはコロナ影響や物価高の影響を受け、市場がシュリンクする一時期もありましたが、その中でも少ない機会を捉え、代表企業としての案件獲得などによって収益化を進展することができました。
③新たなサービスの立ち上げ等は道半ば
三つめは新たなサービスの立ち上げ等は道半ばであるという整理です。成果のひとつとしてはサービス化で先行する北米において「NEC Financial Services, LLC」を子会社化し海外事業の拡大につなげることができました。一方で、ベンダーとの新たなサービスモデルの立ち上げや新たなサービス創出に取り組むものの、事業化に向けた道筋としては道半ばと考えております。この点については、改めて当社らしい新たなサービスの創出・確立に向け、体制を含め強化が必要と認識しています。
④従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みを強化
四つめは従業員エンゲージメントの向上に向けた取組を強化した点になります。リモートワーク環境の整備や業務プロセスの見直し等、働き方の見直しを推進する中で、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定や、えるぼし認定取得(3段階目)が出来た点は成果だと思っています。引き続き、働きがい向上に向けた活動を加速し、一層のエンゲージメント向上につなげていきたいと考えております。
⑤サステナビリティへの取り組みを強化
最後はサステナビリティへの取り組みを強化した点になります。当社初のサステナビリティボンドの発行や、サステナビリティ経営の推進体制を強化するためのサステナビリティ委員会の新設と運用開始、またTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同表明を行うなど、目に見えるかたちでのアウトプットを出せたと考えております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、日銀の異次元金融緩和政策が挙げられます。この影響により、銀行をはじめとする金融機関の競合が激化し、国内のリース市場にも影響を与えていると考えております。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の経済の停滞や混乱は、国内設備投資の減少やリース市場へのマイナス影響にもつながる可能性があるものと想定されます。加えて、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、商品価格の高騰や金利上昇、為替変動幅の拡大など、当社事業に影響を与える要因となりうるものと考えております。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性について、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローは共に、問題ない状態と考えております。外貨調達に関してはFRBの段階的な利上げ影響もあり、今後の動向を注視する必要があると考えておりますが、当社の外貨建てアセットについては、変動金利アセットとなっていることから、米国金利が上昇したとしてもその損益影響は軽微であります。一方で、円貨調達においては、日銀の金融緩和政策の継続に伴い、会計年度を通じて安定した調達を行うことができました。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべき資本的支出はありません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
リース事業
リース事業の営業状況におきましては、リース業界全体の国内リース取扱高は前期比2.2%増(2023年5月29日付公表)となり、当社グループにおいては、契約実行高は前期比1.4%減、成約高は同8.7%増となりました。契約実行高が前年割れとなっている主な要因は、前期に大型のGIGAスクール案件(小中学校向け端末配備事業)の計上があったことによるものであり、その影響を除くと前期を上回る水準となっています。足元の営業動向を示す成約高については官公庁、民需ともに伸長したことから前期比増となりました。これは主に当社の主力取扱い機種である情報通信機器の取扱いが拡大したことによるものであります。なお当連結会計年度のセグメント損益については、前期と同様に今期についても大型の賃貸資産売却を計上したことから売上総利益はほぼ前期並みとなりました。しかしながら、前期に与信コストの戻入益があったことや、業績連動による今期の賞与増加などから販管費が増加、営業利益水準では前期比マイナスとなりました。来期以降の見通しは、Windows10の更新やGIGAスクール案件のような特需が想定できないことから、大幅な資産の積み上げは難しいと考えているものの、当社ならではの強みを活かし、5G対応やコロナ禍における民間のICT需要、またデジタル庁創設に伴う官公庁自治体のICT化推進の需要等を着実に取り込むことで、安定的な成長を実現していきたいと考えております。
ファイナンス事業
ファイナンス事業においては、ファクタリングや企業融資の増加により、契約実行高、成約高共に前期を上回る結果となりました。これは主に国内外の短期の資金ニーズを取り込めたことによるものであります。なお当連結会計年度のセグメント損益については、有価証券償還益の計上などによる売上総利益の増加に加え、与信費用の前期比大幅改善などから、前期営業赤字より営業損益は大幅に改善しました。来期以降の見通しは、リース事業のような差別化が難しいなか厳しい事業環境が継続するものと考えておりますが、再生可能エネルギ―や社会インフラなど特定の領域にリソースを集中する等の施策を講じながら、収益性を重視した事業活動を推進してまいります。
インベストメント事業
インベストメント事業においては、大型の販売用不動産売却収益等を計上したことにより、売上高は前期を上回ったものの、前期にベンチャー企業向け投資において大型IPOのEXIT収益を計上した反動に加え、リサ・パートナーズにおいて今期与信コストの追加引当を行ったことから売上総利益、営業利益共に前期を下回る結果となりました。来期以降の見通しは、リサ・パートナーズ、ベンチャーファンドビジネス双方において、既に投資した案件のバリューアップ及び回収最大化を目指すと共に、リサ・パートナーズについては更にインカムゲインの獲得など多様な収益の組み合わせにより、利益の拡大を図っていく予定です。
その他の事業
その他の事業においては、ヘルスケアの賃料収入や太陽光売電収益、並びにPFI手数料収益の増加等により、売上高、売上総利益、営業利益共に前期比増加となりました。エネルギー、ヘルスケア領域については、引き続き安定的な収益確保が可能と考えていますが、観光、農業領域においてはコロナ禍の影響を大きく受け、収益化に向けては厳しい状況が続いています。コロナ禍は収束に向かいつつあると認識しておりますが、来期以降の見通しについては慎重に見極める必要があると考えております。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、当社は「中期計画2020」において、連結ROA(連結経常利益÷連結営業資産残高平残)を公表いたしました。これはアセットビジネスを中心とした当社のビジネス特性から、中計3か年における収益性の向上を図るうえで適切な指標であると判断したためであります。当連結会計年度の連結ROAの実績は1.3%であり、「中期計画2020」において最終年度(2023年3月期)の目標とした1.3%を達成しました。今後は「中期計画2025」で掲げた諸施策の着実な遂行を通して、更なる収益力向上を目指してまいります。
d. 気候変動への対応について
事業等のリスクにおいても記載した通り、地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。昨今の異常気象がもたらすビジネス上の損失は、個別企業によっては事業継続上無視できないレベルに達しており、日々の経営判断においても気候変動に係るリスクを意識することが必要になってきたと認識しております。
工場等の製造設備を持たない当社にとって、気候変動への対応は自社の環境負荷軽減活動以上に、事業活動を通した環境負荷軽減活動が重要になってくると考えております。当社はこれまでも「リースは循環型産業である」という考え方のもと、各種取り組みを進めてまいりましたが、こうした状況を踏まえTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同すると共に、その枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクへの対応を開始しております。
2023年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月に「5類」への移行が決定されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスクは沈静化し、経済活動の正常化に向けた動きは継続していくものと想定されます。一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、欧米諸国の経済制裁と相俟って世界経済に大きな影響を与えています。侵攻以来、原油や穀物などの商品価格の高騰は続き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応を図っているものの、その効果は限定的なものにとどまっています。また国内では日銀がイールドカーブコントロールの変動幅を拡大するなど、金融政策の転換が想起されるような動きも出てきており、これまで以上に注視が必要な状況となっています。
このような状況において、新型コロナウイルスの影響が世界的に鎮静化するなか、グローバルなテーマとして改めてサステナビリティが議論されるようになりました。SDGsをはじめサステナビリティについてはこれまでもその必要性、重要性について多くが語られてきましたが、企業経営に直接的にアプローチするものではありませんでした。しかしながら、昨今の異常気象による世界的な経済損失の拡大が無視できない規模となってきたことから、企業経営者に直接サステナビリティ経営の推進を促す国際的なフレームワークが確立されました。その代表的なものがTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)であり、東証の市場再編に合わせプライム市場上場企業については2023年3月期以降、その枠組みに沿った取り組みの開示が義務化されることとなりました。このような足元の環境変化を踏まえ、当社は、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、SDGsのゴールでもある2030年に向けた新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定すると共に、「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を策定いたしました。グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。
上記方針のもと、2024年3月期の通期連結業績予想は、リース事業、ファイナンス事業の持続的な成長とインベストメント事業の収益拡大を図り、経常利益は当期比0.5%増の125億円、親会社株主に帰属する当期純利益は当期比16.8%増の75億円といたしました。
また、配当予想につきましては、安定配当の維持を基本方針とする当社の配当政策を前提に、上記利益予想を踏まえ、当期よりも20円増配となる1株当たり年間130円の配当(うち中間配当65円)を実施する予想とさせていただきました。
なお、以上の文中における業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
該当事項はありません。