第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、基本理念として「Speciality for Customer」を掲げ、①情報システム&サービスの特定領域で、プロフェッショナルとして最強のSpeciality(専門性)をグローバル市場で展開する。②より多くの顧客の企業力・競争力向上に貢献し、グローバル高度情報化社会の普及発展に参画し、企業の社会的責任を果たしていく。③組織として高い透明性、ルール性、統治性があり、その活動は徹底した基本をベースに、常に独創性があり、自己責任であり、かつ迅速を旨とし、さらに参画者の自己実現に寄与する。以上のことを基本方針として全社で取り組んでおります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、高成長・高収益企業として発展していくため、様々な指標の中でも利益面を重視しております。2024年11月20日に公表した中期経営計画「Be Hybrid 2028」において、2025年3月期から2029年3月期までの全ての連結会計年度における経常利益率30%超の達成、2029年3月期における社員1人当たり経常利益10百万円超の達成、2025年3月期から2029年3月期までの5年間における売上高年平均成長率17.1%及び経常利益年平均成長率19.1%を目標として掲げております。これらの目標を達成することで、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、業務用アプリケーションシステムをハイブリッドシステムソリューション(パッケージ+コンサルティング+カスタマイズ・アドオン)の手法で提供することによって、顧客のシステム投資効果を最大限に発揮するビジネスモデルを展開し、より多くの顧客の企業力・競争力向上に貢献するグローバルオンリーワン企業を目指し、たゆまぬ成長を続けてまいります。

現在の収益の柱である「ProPlus固定資産システム」は、上場大企業・中堅企業向けの固定資産管理ソリューションでトップクラスのシェアを誇っており、他システムにない優れた製品機能と当社のノウハウに対し顧客の高い評価をいただいております。これに加えて、各企業の固定資産管理業務は、度重なる会計基準や税制の改正、IFRS(国際会計基準)の任意適用を選択する企業の増加、業務の生産性向上等を背景に、より一層の戦略性が求められており、引き続き市場開拓の余地は大きいと考えております。特に今後は、当社新製品へのバージョンアップ対応、インフラ業界向けの案件推進、新リース会計基準への対応等を進めてまいります。

グローバル経営の重要性が高まる中、高度化、複雑化、広域化する顧客ニーズを常に汲み取り、高付加価値な製品・サービス力を強化していくことで、高度専門性による差別化を行い、上場大企業・中堅成長企業をターゲットとした更なる市場浸透と「ProPlus」のブランドバリューの最大化を図ってまいります。

 

(4)今後の経営環境

情報サービス産業においては、DXやAI等のテクノロジーを活用した付加価値生産性の向上、人手不足や働き方改革への対応、海外グループ会社を含めた企業のガバナンス強化等に向けた取り組みが行われております。また、当社が主力とする固定資産ソリューション分野においては、2024年9月13日に、日本会計基準の設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)より、日本会計基準と国際会計基準とのコンバージェンスの一環として、すべてのリースについて資産及び負債を認識する新リース会計基準の内容及び2027年4月以降の会計年度から強制適用となることが公表されました。これらの環境の下、今後も企業によるIT投資需要は堅調に推移するものと見込んでおります。

不安定な国際情勢によるサプライチェーンへの影響、資源価格の高騰による物価上昇や為替変動、自然災害の影響などについては、当社の主力製品である「ProPlus固定資産システム」が大企業を中心としたあらゆる業種に導入されており、今後も安定的な引き合いが見込まれることから、当該世界情勢が当社グループ業績に与える影響は限定的であると考えております。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ソフトウェア業界に限らず、優秀な人材の獲得競争は益々激しさを増しております。当社グループにおいては、譲渡制限付株式報酬制度を取り入れる等、人事報酬制度の継続的な見直しや教育研修体制の強化、2025年4月に開設したSAGAオフィスを拠点とした地方人材の採用等を通じ、優秀なスタッフの獲得及び育成を進めていくことで、営業及び開発体制をさらに強化してまいります。

当社グループがメインとしている業務アプリケーションシステムの分野においては、新リース会計基準やIFRS(国際会計基準)への対応、海外のグループ会社を含めたガバナンスの強化、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)分野での新しいソリューションの台頭等、顧客の高度で複雑化するシステムニーズへの対応が強く求められております。当社グループにおいては、そうしたユーザニーズにお応えするため、基本理念であるSpeciality for Customerを基軸に、Speciality(専門性)の高い製品・サービスの提供を継続して行ってまいります。具体的には、新リース会計基準やIFRS(国際会計基準)及び海外対応等に向けた継続的な製品のバージョンアップを行う他、2024年12月に新ソリューション「ProPlus+」をリリースする等、従来型のライセンスモデルに、新たなテクノロジーを取り入れたSaaS型のサブスクリプションモデルを加え、顧客の幅広いニーズへの対応力を高めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.戦略

当社グループは基本理念である「Speciality for Customer」のもと、「世界で最も優れた固定資産管理ソリューションを提供する」というビジョンに向かって国や産業、さらには時代も超えて継続的に高い専門性を発揮することで当社グループの長期的な企業成長を果たすとともに、ステークホルダーとの対話を通じて、当社の役職員一人ひとりが社会からの期待や要請を把握し、持続可能な社会の実現にも貢献してまいります。

 

(1)サステナビリティ共通

 ① ガバナンス

当社グループでは、高い専門性で継続的な社会貢献を果たすべく、社長を議長とした経営会議・進捗会議を通じて、推進状況のモニタリングや評価、判断を行っています。

 ② リスク管理

マテリアリティに対する実行計画、マイルストーン、KPIを定め、上述の経営会議・進捗会議にて、モニタリングや評価、判断を行っています。

 

■サステナビリティ推進体制

0102010_001.png

 

(2)気候変動

当社グループは、固定資産管理を中心としたソフトウエアパッケージの開発・販売を行っており、現状における気候変動に関するリスク及び収益機会への影響は比較的少ないものと認識しておりますが、社内環境のクラウド化、サーバレス化を通じて炭素排出量の削減に取り組むとともに、関連情報の収集やデータ分析を継続し、課題抽出に努めてまいります。また、持続可能な社会づくりを支援するため、企業版ふるさと納税の仕組みを利用し、2025年4月に新拠点SAGAオフィスを設立した佐賀市が取り組んでいる「持続可能な脱炭素・資源循環のまちづくりプロジェクト」への寄附を実施しました。今後もこのような活動や支援を継続してまいります。

(2025年3月期における取組)

・2024年に実施された気候変動情報開示に対する活動を評価するCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)気候変動プログラムにおいて、「B」スコアを取得いたしました。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に対して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動とする国際的な非営利団体です。企業の環境に対する取り組みを、毎年「A、A-、B、B-、C、C-、D、D-」の8段階で評価しており、当社が認定された「B」スコアは、8段階のスコアのうち上から3番目に位置するものです。「B」スコアはCDP基準で「マネジメントレベル」とされ、「自社の環境リスクや影響について把握し、行動している」と評価されたことを示すものです。

・社内環境の一部をAmazon Web Services(AWS)に移行することで炭素排出量の削減に取り組むとともに、AWSが提供するCustomer Carbon Footprint Tool(CCFP)を活用することで、クラウド利用に伴う温室効果ガス(GHG)排出量を可視化しています。2024年4月~2025年2月の11ヶ月間において、AWS利用による推定排出量は0.18MTCO2e、排出量の推定削減量は50.20MTCO2eとなりました。

・佐賀市が取り組んでいる「持続可能な脱炭素・資源循環のまちづくりプロジェクト」に対し、2百万円の寄附を実施しました。

 

 

(3)人的資本

「1人ひとりのSpecialityが輝く」というビジョンのもと、ProShip人財プロセスフレームワークに則り、4つの重点領域で取組を推進しております。

0102010_002.jpg

 

イ.選抜 理念・ビジョンに共鳴する人財を選び抜く

IT人材を奪い合うのではなく、未経験者や異業種からの挑戦者を見出し、選び抜く。IT分野の経験や知識、学歴、性別、国籍にかかわらず、当社の理念・ビジョンに共鳴する人財を採用する。

(2025年3月期における取組)

・上記の戦略に基づき、今期は異業種からの採用活動を積極的に展開し、9名を採用いたしました。

ロ.技能 優れた技能・Specialityを身につける

当社におけるスキル標準「ProShip Skill Standard」にもとづき、1人ひとりのスキル向上を支援するとともに、実務標準「ProShip Practice Standard」の拡充と活用を通じて、早期の経験獲得と活躍を実現する。

(2025年3月期における取組)

・上記の戦略に基づき、年間労働時間に占める教育時間は目標を達成いたしました。

(②指標及び目標を参照願います。)

ハ.文化 理念・価値観等への理解を深める

当社の理念・価値観への理解を深めることで、個人のビジョンと当社のビジョン、1人ひとりの活動と当社の戦略のつながりを実感できることを大切にする。

(2025年3月期における取組)

・当社は、譲渡制限付株式付与制度を導入いたしました。

各役員と全正社員が当社の株式を保有することにより、更なる定着率の向上を図るとともに、当社の基本理念である「Speciality for Customer」の共有をより強固なものとし、参画者1人ひとりのSpecialityが輝く全員参画型経営によって、株主の皆様と一層の価値共有を進めてまいります。

ニ.環境 1人ひとりの状況にあわせた柔軟な働き方を実現する

Specialityを有する人財が活躍し続けることを環境面・制度面から支える。1人ひとりの状況やライフステージにあわせて、場所や時間に囚われない柔軟な働き方を可能にする。

(2025年3月期における取組)

・男性の育児休業取得率は66.7%で推移いたしました。引き続き、男性の育児参画の重要性について認識共有を図ることで、男性の育児休業取得率向上に努めてまいります。

・健康診断に関しては、受診率100%の達成に加え、一次健診の有所見者全員に二次検診の勧奨を実施いたしました。

 

2.指標及び目標

人的資本に関する指標及び2025年3月期の目標と実績は以下のとおりです。2026年3月期以降の目標については、当社を取り巻く環境等を踏まえ、随時見直してまいります。

戦略

指標

2025年3月期の目標と実績

2026年3月期以降の目標

目標

実績

選抜

新卒採用における女性比率

30.0以上

31.0

30.0%以上

採用における異業種人材比率(注1)

10.0以上

18.0

10.0%以上

技能

年間労働時間に占める教育時間の割合

5.0以上

7.3

5.0%以上

文化

定着率(注2)

92.0以上

90.1

92.0%以上

環境

健康診断受診率(注3)

100.0

100.0

100.0%

男性の育児休業取得率

100.0

66.7

100.0%

(注1)営業・開発部門の採用者(正規従業員)を対象に算出

(注2)定着率=100%-(当該事業年度の退職者数÷当該事業年度の期首在籍者数)

(注3)一次健診の受診及び二次検診受診の勧奨

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会計制度の変更、税制等の改正について

わが国では制度改正が頻繁に行われており、特に新リース会計基準の強制適用時期は間近となっております。またIFRS(国際会計基準)の強制適用時期は未定ではあるものの、任意適用を選択する企業は増加しております。

このような制度改正やIFRS(国際会計基準)の任意適用の選択等は、ユーザー企業のシステム更新を促す要因となることから、ビジネスチャンスとなりうる反面、既存のパッケージ製品の陳腐化を招く可能性があります。当社グループでは、公認会計士やコンサルティングファームとの連携強化及びSEの会計知識・業務知識のレベルアップを通じて、制度改正に一層柔軟に対応できる開発体制、製品供給体制を構築していく方針でありますが、制度改正に適時適切に対応しきれなかった場合や顧客ニーズに適合した製品の開発・供給が不十分であった場合、あるいは販売競争の激化が一層進展した場合、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2)ユーザー企業のシステム投資動向について

当社グループは、業務アプリケーションシステムの開発・販売を中心に行っていることから、当社グループの経営成績は、ユーザー企業のシステム投資動向の影響を受ける可能性があります。

 

(3)経営成績の偏重等について

会計等に係る業務関連の新システム導入に関しては、新年度からの稼働を望むユーザー企業が多く、特に国内の多くの企業の決算月が3月に集中していることから、当社グループの経営成績は3月の売上及び利益の計上が他の月と比べて高くなる傾向があります。また、カスタマイズを行なったパッケージソフト及び受託開発案件について、ユーザー企業の検収が3月に集中しているため、検収の遅れが発生した場合には、売上及び利益の計上が翌期となる可能性があります。

(単位:百万円)

(会計期間)

2025年3月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

1,485

1,633

1,835

2,610

営業利益

193

308

594

1,212

経常利益

224

316

666

1,224

親会社株主に帰属する四半期純利益

163

265

466

1,035

 

(4)ユーザー企業のニーズへの対応等について

当社グループが提供しているパッケージシステムは、ユーザー企業の利用状況、資産規模等によって個別のカスタマイズが必要となる場合があります。特に対象となるユーザー企業の規模が大きければ大きいほど、開発・導入にかかる期間が長期化する傾向があります。当社グループでは、これら長期にわたるプロジェクトについては、開発工程あるいは期間毎に契約を行ない、完成部分に対する検収を通じて売上計上を行なうこととしております。しかしながら、システム面での不具合、バグ等を完全に除去することは困難であるため、不具合を解消するための追加的なコストが発生した場合、あるいはユーザー企業側の既存システムにも影響を与えるようなシステムトラブル等が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

(5)情報セキュリティ対策について

当社グループは、ユーザーのニーズを的確に把握するために、多種多様な重要情報を取扱う機会があります。当社グループは、これらユーザーとの間において守秘義務契約を締結し、重要情報の取り扱いに際しては、当社グループのコンプライアンス関連規程・マニュアル等に則り厳格に運用し、当社グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、万一、当社グループによる情報の紛失、破壊、漏洩等の発生、又は外部からの不正手段による当社グループシステムへの侵入等が生じた場合には、当社グループへの損害賠償請求又は信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害・感染症等について

地震や台風等の自然災害、未知のコンピューターウイルス、テロ攻撃、システムトラブル又は伝染病といった事象が発生し、当社グループがそれらの影響を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループではシステムをクラウドにより管理するなどリスクの分散を図っておりますが、当社グループの拠点地域において、これら自然災害等が発生した場合には多大な損害を被る可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産権等について

当社グループは、保有する知的財産権、プログラム著作権、高い専門性や技術力及び長年培ってきた業務スキル・ノウハウ等の社内管理体制を強化しております。しかしながら、当社グループがメインとしている業務アプリケーションシステムの分野における技術革新に伴い、当社グループが認識していない知的財産権の成立等により、第三者から知的財産権侵害の訴訟、又は使用差止請求等を受けた場合には、多額の費用と時間がかかることにより、業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)協業及び販売体制について

当社グループの販売形態は、直接ユーザーから受注する直接販売と、システムインテグレーターやコンサルティングファーム等(日本電気㈱、日鉄ソリューションズ㈱、㈱電通総研、NTTコムウェア㈱等)と協同で受注する間接販売があります。直接販売、間接販売ともにユーザーと直接、特定プログラム使用許諾契約を締結し、プログラム著作権は当社グループが留保する形態となっております。

現在、上記のシステムインテグレーターやコンサルティングファーム等とは良好な取引関係を維持しておりますが、何らかの理由で協業・取引関係の維持が困難となった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

(9)中国及びASEANへの進出について

当社グループは、海外展開を今後の成長戦略の一つとして位置付け、中国及びASEANを主なターゲットとして海外展開を進めております。中国については、2005年4月に大連市に現地法人を設立しており、ASEANにおいては現地パートナー企業と協業し、現地でのセミナー開催等を行っております。中国及びASEANは、経済発展に伴い、日本と同様に高度なシステムニーズが見込まれることから、当社グループが提供するシステムの販売市場が存在し、それが拡大していくものと考えております。

しかしながら、中国及びASEANの法令制度や取引慣行あるいはインフラの整備状況等により、当社グループの進出に支障をきたす可能性があります。また、事前調査による予想が不可能な事象が発生した場合には、当該投資の回収が見込みどおりに進まず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保、育成について

当社グループが事業拡大を進めていくためには、スキルの高い優秀なスタッフを確保することが重要な要素であると考えております。しかしながら、ソフトウェア業界での人材獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保できないリスクがあります。

当社グループでは、優秀な人材の採用については最重要の課題と認識して取り組んでおりますが、優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の有能な人材が流出してしまった場合には、今後の事業展開に制約を受けることとなり、業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)ストック・オプション及び譲渡制限付株式について

当社グループは、当社の取締役及び従業員に対して、これまで9回にわたりストック・オプションを付与しております。また、2025年3月期より、優秀な人材を確保するとともに取締役及び従業員のモチベーションの向上を図るため、譲渡制限付株式報酬の付与を実施しております。

ストック・オプションは、取締役及び従業員の業績向上に対する意欲や士気をより一層高めるものであり、必ずしも既存の株主の利益と相反するものではありませんが、ストック・オプションの権利行使が行われた場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使により取得された株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

譲渡制限付株式は流動性が低いため、株式の買い占めによる当社の乗っ取りが発生する可能性は一般的に低いものの、そのリスクを全く否定することはできないと考えられます。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は、次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用、所得環境の改善、インバウンド需要の拡大などが進み、緩やかな景気回復基調が継続しました。一方、物価上昇や為替変動、不安定な国際情勢などにより、先行き不透明な状況が続いております。

情報サービス産業においては、物価上昇や為替変動等を背景として景気の先行きに不透明感が残る一方、大企業や中堅企業を中心に、DXやAI等のテクノロジーを活用した付加価値生産性の向上、人手不足や働き方改革への対応、海外グループ会社を含めた企業のガバナンス強化等に向けたIT投資が続いております。

このような状況下で当社グループは、主力である固定資産管理ソリューションにおいて、既存顧客に対するバージョンアップ対応、成長戦略と位置付けているインフラ業界における案件推進等、大企業や中堅企業の業務効率化、経営管理強化等に資するソリューションを展開し、顧客のシステム投資需要に応えてまいりました。また、取締役及び従業員を対象とした譲渡制限付株式報酬制度の導入や業績に応じた賞与還元、新リース会計基準に対応したSaaSソリューション「ProPlus+」をリリースするなど、未来の稼ぐ力となる人財と製品開発への積極的な投資を行っております。加えて、SaaSソリューション「ProPlus+」の開発が計画内で効率的に進捗したこと等により、販売費及び一般管理費の抑制に成功いたしました。

上記の経営成績により税金等調整前当期純利益が増加し、連動して法人税等が増加しましたが、報酬アップや採用強化による従業員の増加等の人財への投資及び積極的な製品開発投資により、賃上げ促進税制及び研究開発税制の適用を受け、負担税額が抑制されました。なお、新リース会計基準の業績への貢献は、翌連結会計年度後半以降となる見通しです。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は9,740百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,914百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が616百万円、売掛金が564百万円、有価証券が686百万円増加したことによるものであります。

固定資産は1,639百万円となり、前連結会計年度末に比べ263百万円減少いたしました。これは主に、ソフトウェアが200百万円、繰延税金資産が169百万円増加し、投資有価証券が656百万円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は11,380百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,650百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は2,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ284百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が270百万円増加したことによるものであります。

固定負債は441百万円となり、前連結会計年度末に比べ31百万円増加いたしました。

この結果、負債合計は2,485百万円となり、前連結会計年度末に比べ316百万円増加いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は8,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,334百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,930百万円、配当金の支払615百万円等によるものであります。

この結果、自己資本比率は76.8%(前連結会計年度末は75.1%)となりました。

 

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高7,564百万円(前期比11.0%増)、営業利益2,309百万円(同41.5%増)、経常利益2,431百万円(同29.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,930百万円(同43.0%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(パッケージソリューション事業)

パッケージソリューション事業においては、主力製品である固定資産管理ソリューションの既存顧客に対するバージョンアップ対応、成長戦略と位置付けているインフラ業界向け大型案件を推進いたしました。全体的な案件の大型化と要員1人当たりの案件数の増加により売上高が増加するとともに、全社的な品質管理の強化及び生産性向上の取り組みにより売上原価を抑制いたしました。また、人財と製品開発への積極的な投資を行いながらも、販売費及び一般管理費全体の増加を抑制いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は7,415百万円(前期比10.4%増)、営業利益は2,281百万円(同41.5%増)となりました。

 

(その他事業)

その他事業においては、主にソフトウェア製品の仕入販売及び運用管理等を行ってまいりました。

当連結会計年度の売上高は184百万円(前期比36.6%増)、営業利益は26百万円(同41.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,460百万円(前期比22.1%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,474百万円(前期比3.4%増)となりました。これは主に、売上債権の増加564百万円があったものの、税金等調整前当期純利益2,515百万円の計上によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、316百万円(前期比34.0%増)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入78百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出74百万円、無形固定資産の取得による支出270百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、531百万円(前期比7.1%減)となりました。これは主に、配当金の支払額614百万円があったことによるものであります。

 

 

③ 受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

パッケージソリューション事業

8,232,044

16.7

5,887,676

16.7

その他事業

163,448

59.0

61,600

29.0

合計

8,395,492

17.3

5,949,277

16.8

(注)金額は販売価額によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前年同期比(%)

パッケージソリューション事業

7,415,220

10.4

その他事業

149,583

54.2

合計

7,564,803

11.0

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

当連結会計年度の連結売上高は、全体的な案件の大型化と要員1人当たりの案件数の増加により、前連結会計年度比11.0%増の7,564百万円(前連結会計年度6,812百万円)となりました。

売上原価については、全社的な品質管理の強化及び生産性向上の取り組みにより、売上原価率が前連結会計年度に比べ3.9ポイント改善し44.1%(前連結会計年度48.0%)となりました。

販売費及び一般管理費については、人財と製品開発への積極的な投資を行ったものの、SaaSソリューション「ProPlus+」の開発が計画内で効率的に進捗したこと等により抑制に成功し、前連結会計年度比0.3%増の1,916百万円(前連結会計年度1,910百万円)となりました。

営業外収益については、前連結会計年度における関係会社からの受取配当金が平年と比較して高額だったことの反動により、前連結会計年度比48.4%減の126百万円(前連結会計年度244百万円)となりました。

特別利益については、当連結会計年度内に行使期間が終了した第8回ストックオプションの失効に係る新株予約権戻入益を計上したことにより、84百万円(前連結会計年度2百万円)となりました。

法人税等については、税金等調整前当期純利益の増加と連動して増加したものの、賃上げ促進税制及び研究開発税制の適用を受けたことにより前連結会計年度比10.4%増に留まり、585百万円(前連結会計年度530百万円)となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比43.0%増の1,930百万円(前連結会計年度1,349百万円)となりました。なお、当社グループは、高成長、高収益戦略を推進し、継続的に経常利益率30%超となるよう取り組んでおります。当連結会計年度の経常利益率については32.1%となりました。

セグメント別の分析については、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分

析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況の項目をご覧ください。

 

 

b.財政状態

当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べ、1,650百万円増加し、11,380百万円となりました。これは主に、現金及び預金が616百万円、売掛金が564百万円、ソフトウェアが200百万円、繰延税金資産が169百万円増加したことによるものであります。

負債残高は、前連結会計年度末に比べ、316百万円増加し、2,485百万円となりました。これは主に、未払法人税等が270百万円増加したことによるものであります。

純資産残高は、前連結会計年度末に比べ、1,334百万円増加し、8,894百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,930百万円、配当金の支払615百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載の通りです。

当社グループの資金需要の主なものは、営業活動については、ハードウェア及びソフトウェアの購入費用の他、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等であります。投資活動については、事務所賃貸に係る保証金、パッケージ開発に係る費用等であります。

当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保する事を基本方針としており、これらの資金需要に対して、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度比22.1%増の3,460百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを用いておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する受注制作のソフトウェア

当社グループは、受注制作のソフトウェアに関して、当連結会計年度末までの進捗部分について履行義務の充足が認められる開発案件については、主として一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を認識する方法(履行義務の充足に係る進捗度の見積りはコストに基づくインプット法)を適用し、プロジェクトの進捗度に応じて売上高を計上しております。当該進捗度は、開発原価総額の見積りに対する連結会計年度末までの実際発生原価の割合に基づき算定しております。開発原価総額の見積りは、プロジェクトの完了時期、投入する要員及び工数等の情報を基に算定しております。

当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、開発原価の見積りと実績を対比することにより、適時・適切に開発原価総額の見積り及び進捗度の見直しを行っておりますが、開発途中での仕様変更や、想定外の事象の発生等により、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。

 

b.受注損失引当金

当社グループは、受注制作のソフトウェアに関して、開発原価総額が受注契約金額を超える可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該開発案件に関して既に計上された損益の金額を控除した残額を、損失が見込まれた期の損失として計上し、受注損失引当金を計上しております。

当社グループでは、プロジェクト管理体制を整備し、決算日において将来見込まれる開発原価総額の最善の見積りを行っております。しかしながら、受注制作のソフトウェアに関しては、開発途中での仕様変更や、想定外の事象の発生等により、当初想定していなかった追加的な工数が生じやすい特徴があるため、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。

 

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、激化するグローバル市場競争の中で、主に上場企業・中堅成長企業に対し、「ProPlus」シリーズを基軸に顧客の期待を超えるパッケージソリューションを展開することを目標に、研究開発に取り組んでおります。

当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は456,113千円となりました。

 

(1)パッケージソリューション事業

当連結会計年度において、主に新リース会計基準対応のSaaSソリューション「ProPlus+」の開発等を行い、パッケージソリューション事業に係る研究開発費は456,113千円となりました。

 

(2)その他事業

該当事項はありません。