第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、1967年の創設以来、システム開発事業とアウトソーシング事業を柱とするデジタルサービス企業として着実に実績を重ねてまいりました。近年、社会情勢の変化が激しく不確実性が高い時代と言われる中、社会の持続的な成長に対する社会的な責任も高まってきており、企業としてさらなる変革が求められています。

このような環境を踏まえ、第57期において、企業理念、企業ビジョン、行動理念等の見直しを図りました。新たにコーポレートスローガンを掲げ、グループ全社一丸となって、企業理念・ビジョンの実現に向け、以下の経営方針に基づき、企業価値のより一層の向上に取り組んでおります。

 

[コーポレートスローガン]

Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する

[企業理念]

ステークホルダーとともに 社会の持続的な成長に貢献する

[企業ビジョン]

デジタルサービス企業として 価値ある技術・サービスを提供し続ける

[行動理念]

カスタマー・ファースト

[経営方針]

・透明性を高め、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続ける

・市場環境および顧客課題の変化に対し、適時対応する

・デジタルサービス企業として、各事業の発展と維持向上を図るとともに、事業の融合により、企業価値をよ

り一層高める

 

(2)経営環境

当社グループの属する情報サービス分野においては、AI分野の活況も目覚ましい昨今、DXによる社会変革が、今後より一層進んでいくことが予想される中、IT人材等の技術者不足、その中でも専門技術を有する高度IT人材の確保が急務となっております。

また、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向け、社会全体としての取り組みが進んでおり、各企業もビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められております。

当社グループは、システム開発事業、アウトソーシング事業の2つの事業から構成されており、デジタルサービス企業としての強みを活かした取り組みを図ってまいります。

システム開発事業においては、システムの企画、開発から運用までをトータルでサポートするSIサービスを提供しております。なかでも、ローコード開発ツールなどを活用したサービスを得意としており、サービス・先端技術・業務アプリへ拡大し、DXへ展開するべく取り組んでまいります。

アウトソーシング事業では、これまではデータエントリーサービス、ビジネスプロセッシングサービス、コンタクトセンターサービス等と、業態別にサービス提供を行ってまいりました。その長い年月にて培った技術力と品質を、今後は時代や環境の変化に伴って、顧客ニーズに柔軟に合わせて複合的なサービスを提供するべく取り組んでまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

このような環境の中、当社グループが持続的な成長を続けていくためには、市場の変化や顧客企業の動向を捉え、ステークホルダーの皆様のご期待にも応えられるよう収益力を高めていくとともに、上場企業として高い信頼を得るべく、コンプライアンスの徹底やコーポレート・ガバナンスの強化に努める必要があります。さらには、社会的課題である働き方改革にもより一層取り組むことにより、社員が働きがいを高めて業務に従事できるような環境作りも課題となっております。

これらの経営環境、課題認識を踏まえ、当社グループは、持続的・安定的な収益基盤の確立を図るとともに、今後のあるべき姿を見据えて、第55期より第7次中期経営計画を推進してまいりましたが、その成果をさらなる成長に繋げるべく、第58期より、第8次中期経営計画を進めております。

「ONEsdc -ステークホルダーとともに新たなステージへ- 」を基本メッセージに、「安定的収益を拡大する」、「社会の持続的な成長に貢献する」の2つをビジョンとして定め、以下の5つの基本方針に基づき、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に取り組んでおります。

 

 ①成長事業を拡大する

 第7次中期経営計画において、不採算案件の極小化や、高収益案件へのシフトなど選択と集中を進めてきた結果、利益率の改善や、強みとするビジネス領域、重要顧客の明確化を図ることができました。第8次中期経営計画においては、それらのビジネス領域、顧客を軸とした成長事業のさらなる拡大に努めております。

・システム開発事業における業種別戦略の強化、ローコード・Salesforce・SAP・クラウドを活用したソリュー

 ションビジネスの拡充、自社ノウハウ・他社ノウハウを活用した新しいサービスの企画

・アウトソーシング事業におけるオンサイトビジネス強化、低収益ビジネスの見直し、新たなビジネスモデル

 への変革

 また、グループ会社やビジネスパートナー各社との相互連携や情報共有をより一層強化し、グループ間の営業連携や共同開発などを拡大、ビジネスパートナーのサービスを活かした営業活動や事業展開などを推進しております。

 

 ②新たな収益基盤を確立する

 企業が持続的な成長を図っていくためには、既存事業の拡大だけでなく、新規顧客の獲得も含め、新たな収益基盤の構築も重要な要素となります。顧客企業においては、AIやIoTといったデジタル技術の革新を受けて事業競争力の強化や事業モデルの変革を目指した攻めのIT投資需要が継続しており、また、社会の持続的な成長に向け、社会課題の解決に繋がる新たな取り組みを図っていくことも求められています。当社においても、「DX推進室」を中心に、外部とも共創しながらデジタル技術を活用し、社内外に対して革新的な価値を創出することを引き続き目指してまいります。併せて、M&A、マイノリティ投資も積極的に進めてまいります。

 

 ③コンプライアンスを徹底する

 当社グループでは、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続けるため、コンプライアンス違反を発生させない体制整備に継続して取り組むとともに、コンプライアンス意識の維持向上のための教育を継続的に実施しております。これによりコンプライアンス意識をより一層向上させ、一人一人が自らリスク回避に取り組み、レベルの高い対応をしていけることを目指してまいります。

 

 ④社員の働きがいを高める

 第7次中期経営計画では、基本ビジョンの一つに「社員の働きがいを高める」を掲げ、「働きがいのある環境を作る」を基本方針として、処遇体系の見直しや、時間単位有給休暇、看護休暇、育児短時間勤務等の制度拡充、再雇用制度の柔軟化、本社オフィス環境の整備、大阪支社移転、教育研修内容の見直し、特別一時金の支給等、諸施策を実施してまいりました。第8次中期経営計画において、コミュニケーションをより一層強化し、心理的安全性を考慮したマネジメントを通じて挑戦する風土を醸成するとともに、人的資本投資の観点からも、基本給の引上げを始めとして経営戦略と人財戦略の連動性を意識した諸施策を進め、広い視野を持ち能動的に考え行動する人財を育成してまいります。また、健康経営に対する取り組みも進めている他、本社移転

を行い、コミュニケーション活性化、生産性の向上、帰属意識及び社員満足度の向上につなげ働きがいを高めるとともに、優秀な人材の確保を実現し、事業の持続的な成長を目指してまいります。

 

 ⑤SDGsを推進する

 企業理念として掲げた「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」の実現に向けて、SDGsの取り組みにつき、社内への浸透をより一層図るとともに、サステナビリティ基本方針を定め、取り組みの加速化を進めております。ダイバーシティ推進にも繋がる働き方改革、働きやすい職場環境作りを継続推進し、外国人、女性、障がい者、シニアを含むあらゆる人が働きがいを感じ、活躍できる環境作りを進め、採用活動にも積極的に取り組んでまいります。また、女性管理職の育成に引き続き努めるとともに、脱炭素社会の実現に資するESG投資、SBT認定取得に向けた温室効果ガス排出量削減への取り組みを進めていく他、教育福祉等における地域社会への貢献、社会課題の解決に繋がるソリューション提供の推進等も含め、当社グループ全

体として持続的成長が可能な社会の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。

 

 なお、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」は、当社の現状を評価および分析し、PBR(株価純資産倍率)改善に向けて以下の諸施策の実行により、ROEならびにPER(株価収益率)の改善を図り、PBR(=ROE×PER)の向上を目指してまいります。

 

a.成長事業の拡大、新たな収益基盤の確立によるROEの改善

b.資本政策の見直しによるROEの改善

c.非財務戦略の推進によるPERの改善

d.IR活動の強化によるPERの改善

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営の効率性向上による収益性重視の観点から、売上高経常利益率を主たる経営指標としており、長期目標として従来より8.0%以上を目指しております。また株主重視、資本コストを意識した経営の観点からROEについても重要な経営指標と考えております。

PBR向上のためには資本コストを上回るROEの達成が求められるとの認識のもと、当社グループは、中期経営計画目標としてROE8.0%以上を掲げております。2024年3月期においては、売上高経常利益率6.0%、ROE7.9%となり、2025年3月期は、将来の成長に向けた人的資本投資の拡充、本社移転等の影響で一時的に落ち込む想定ですが、2026年3月期には、中期経営計画目標である売上高経常利益率5.0%以上、ROE8.0%以上の達成を目指してまいります。また、株主への利益還元強化の観点から新たな財務指標としてDOE(純資産配当率)を採用し、2023年3月期実績2.0%を大きく上回る3.5%以上を目標に加えます。

 

 

第58期

2024年3月期

第59期

2025年3月期見通し

第60期

2026年3月期見通し

売上高経常利益率

(%)

6.0

4.2

5.7

(中計目標5.0%以上)

ROE(自己資本利益率)

(%)

7.9

5.3

8.0

(中計目標8.0%以上)

DOE(純資産配当率)

(%)

3.2

3.4

3.7

(中計目標3.5%以上)

 

 

また、サステナビリティに関する取り組み指標および目標として、現時点においては、第60期における提出会社の女性管理職比率を15%以上(第58期末実績は9.8%、本報告書提出時点では11.1%)とすることを目指しております。今後、新たな指標および目標の設定も検討してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社の中核事業であるシステム開発事業やアウトソーシング事業は、顧客課題の解決を通じて、SDGsにおける「経済成長と働きがいの促進」に貢献できる事業であると考えております。企業理念につきましても、「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」とし、当社の事業拡大、企業価値の向上を通じて、サステナビリティへの取り組みを図っていく決意を新たにしております。

 この2024年2月には、サステナビリティ基本方針を以下のように定めました。

「当社グループは、コーポレートスローガンである「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」のもと、顧客課題の解決に繋がる技術・サービスの提供を通じて社会の持続的な成長に貢献してまいります。」

 引き続き、当社が具体的に対処すべき課題(マテリアリティ)を明確にし、経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略の実行が企業の持続的な成長に資するものとなるよう、継続的に検討してまいります。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティへの取り組みをより一層推進していくため、上記基本方針の策定と併せて経営管理部を主管部署として業務分掌上も明確化いたしました。経営管理部を事務局に、同基本方針の実現に向けたリスク及び機会に関する常勤取締役による会議体における検討やアンケートによる意見収集等を踏まえ、取締役会においてマテリアリティの特定を急ぎます。また、既存のサステナビリティ関連の各種取り組みとの整合性を図りつつ、取締役会や「第4「4コーポレートガバナンスの状況(1)②」に記載しております経営企画会議での検討を通じて、全社的な推進管理体制を構築し、目標となる指標(KPI)の見直し及び具体的な取組みの加速化を進めてまいります。

 既存の各種取り組みの推進体制につきましては、女性委員会を中心とした女性活躍促進に向けた活動を進めている他、経営管理部を中心にSDGs推進に向けた各種取り組みを、また、後述する総合リスク対策委員会において、サステナビリティ関連のリスクも含む企業価値の保全のための総合的なリスク管理を行っております。

 

(2)戦略

サステナビリティに関する取り組み状況は、上記に記載した通り、先ずは経営理念・ビジョンの見直しを図る中で、企業理念として「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」を定め、当社の事業拡大、企業価値の向上を通じて、サステナビリティへの取り組みを図っていく決意を新たにしております。さらに、サステナビリティ基本方針も策定し、コーポレートスローガンである「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」のもと、顧客課題の解決に繋がる技術・サービスの提供を通じて社会の持続的な成長に貢献していくことを宣言いたしました。

第8次中期経営計画においては、「ONEsdc -ステークホルダーとともに新たなステージへ- 」を基本メッセージに、「社会の持続的な成長に貢献する」とのビジョンの下、「コンプライアンスを徹底する」、「社員の働きがいを高める」、「SDGsを推進する」の3つの基本方針を定め、サステナビリティ推進に向けた取り組みの加速化を進めております。

具体的には、後述する人事戦略を進めるとともに、ダイバーシティ推進については、女性委員会の活動をとおして、子育てと仕事の両立につながる育児支援、福利厚生の充実等に取り組んでおり、女性従業員の職域拡大に努めるとともに、女性管理職の登用に努めております。また経営陣、管理職への中途採用者の登用を積極的に進めている他、障がい者雇用の促進や、将来のグローバル展開にも資する外国人従業員の採用も継続して行っております。また、脱炭素社会の実現に資するESG投資や、SBT認定取得に向けた温室効果ガス排出量削減への取り組みを進めていることに加え、引き続き当社の事業の特徴を活かし、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題に取り組んでまいりたいと考えており、地域社会における教育福祉等への取り組み、産学との連携による社会課題解決に向けた取り組みを進めております。

 人事戦略につきましては、従来から「持続的な企業価値の向上」を意識して取り組んでまいりましたが、あらためて国内の経済情勢や雇用状況、法令動向などを視野にいれつつ、経営戦略との連携をさらに強め、人材育成および社内環境の整備に取り組むべく、「個人の能力を最大限に発揮し、組織と共にイキイキ活躍できる会社を目指し、個人と組織が共に成長する風土と制度を構築する」としております。

 具体的には、人的資本投資拡充の観点から、第7次中期経営計画では処遇体系の見直しや、再雇用制度の柔軟化、本社オフィス環境の整備、大阪支社移転、教育研修内容の見直し、特別一時金の支給等、諸施策を実施してまいりましたが、第8次中期経営計画においても、基本給の引上げ等、経営戦略と人財戦略の連動性を意識した諸施策を進めており、広い視野を持ち能動的に考え行動する人財を育成してまいります。また、健康経営に対する取り組みも進めている他、本社移転を行い、コミュニケーション活性化、生産性の向上、帰属意識及び社員満足度の向上につなげ働きがいを高めるとともに、優秀な人材確保の実現を目指します。引き続き事業部門とも協調し、事業の持続的な成長を加速させる諸施策を検討、実施してまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、様々なリスクを一元的に俯瞰し、リスクを洗い出しリスク一覧表を作成することとし、リスクを予防し、またリスクが発生した場合は迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限にくい止め、再発を防止し、当社の企業価値を保全するために、常勤取締役を構成員、経営管理部を事務局とする「総合リスク対策委員会」を設置し、毎年1回リスクの見直しを行っております。

 現時点では、サステナビリティ関連のリスクにつきましても、同委員会において、中長期的な事業継続に関するリスクの一環として検討がなされております。その主な内容は、「3 事業等のリスク (2)から(9)」に記載の通りですが、今後は、サステナビリティ推進の観点とも整合性を図りつつ、リスクのみならず機会の検討も含めた管理体制の見直しを検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

 人材育成および社内環境整備に関する方針を含むサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する当社グループの実績を長期的に評価、管理するための指標および目標につきましては、今後、マテリアリティの特定と併せて検討を進めてまいります。

 現時点で策定済の指標および目標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りです。また、第1部第1「5 従業員の状況 」にも参考となる指標に関する実績を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 以下のリスクが顕在化する可能性は現時点で認識しておりませんが、リスクの発生の可能性の高い順に記載しております。当社グループは、これらのリスクについて、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)財務リスク
 ①ソフトウエアの受託開発契約における総原価の見積りに係るリスク

 当社グループは、ソフトウエアの受託開発契約については、ごく短期な受託開発を除き、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度は見積総原価に対する発生原価の割合として算定されますが、案件毎に業務内容や仕様が異なり、工数の積算を含む総原価の見積りは経営者の判断に依存します。また、見積総原価は、顧客からの仕様変更等により見直される可能性があり、その結果、進捗度が変動する可能性があります。なお、当連結会計年度における売上高9,458,437千円のうち、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができ、一定の期間にわたり収益を認識しているシステムズ・デザイン株式会社のソフトウエアの受託開発契約に係る売上高は592,665千円であり、当連結会計年度の売上高の6.3%を占めております。

 当該見積りについては、決算時点での入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、経済条件の変化等により前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において一定の期間にわたり収益を認識するソフトウエアの受託開発契約に係る売上高に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、システム開発事業において、部門横断的に有識者が参画するレビュー委員会を設置し、プロジェクト毎の進捗管理レビューの体制を強化し、受注案件の管理と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

 ②のれんの減損に係るリスク

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを連結貸借対照表に計上し、原則としてのれんの効果の発現する期間にわたって償却しておりますが、事業環境の変化等により買収した子会社等の事業計画が未達となった場合には当該のれんについて減損損失を計上することになり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末でののれんの残高は、128,909千円となっており、連結総資産の2.0%を占めております。当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

③繰延税金資産の回収可能性の評価に係るリスク

 当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の利益計画に基づき課税所得を合理的に見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末で繰延税金資産の残高は、241,560千円となっており、連結総資産の3.8%を占めております。当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

④固定資産の減損に係るリスク

 当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、回収不能見込額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

(2)事業環境等について

 当社グループは、市場動向や競合会社、顧客企業ニーズの調査・分析を行い、必要な設備投資や技術者の研修、コスト削減等により他社との差別化を図っております。また、事業の選択と集中を進め、低収益ビジネスから高収益ビジネスへのシフトなどにより、不採算案件・低採算案件の排除による利益率の改善を図っておりますが、競合の激化や価格競争の激化、急速な技術革新、顧客ニーズの変化など当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)優秀な人材の確保について

 当社グループでは、システム開発事業においてサービスの品質、開発力の両面から、優秀な技術者の確保が必要なものと認識しております。また、アウトソーシング事業においては、業務のあらゆる場面で適切な対応やマネジメントができる豊富な経験と知識を持った人材の確保が必要であります。
 当社グループの属する経営環境においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革が今後より一層進んでいくことが予想される中、IT人材等の技術者が不足しており、その中でも専門技術を有する高度IT人材の確保が急務でありますが、人材需要の高さから、優秀な人材の採用難は否めない状況であります。人材の育成・確保に向け、採用活動の強化や、多様な人財が活躍できるよう社内における人材育成に努めるとともに、「働き方改革」により一層取り組み、働きやすい職場環境作りを進めつつ、ダイバーシティを推進し、あらゆる人にとって働きがいのある会社とすることに注力しております。今後、労働力市場の逼迫等により当社グループが必要とする優秀な人材や労働力を適時に確保できない場合、又は当社グループの従業員が大量に退職した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報管理について

 当社では、個人情報保護規程等の各種規程の整備と運用、情報セキュリティ方針の策定と実行、社員教育の実施等により、個人情報や顧客の機密情報の取り扱いについて十分に留意しており、子会社各社においても同様の施策を実施しております。

 2004年には、一般社団法人情報サービス産業協会の審査に合格し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会から「プライバシーマーク」の使用許諾を受けております。

 また、2012年から一部の部署で取得していたISMS(情報マネジメントシステム)を、2020年には全社に適用して取得、お客様へ提供するサービスを安心してご利用いただくために、積極的に情報セキュリティに取り組み、単に技術的なセキュリティ対策のみならず、セキュリティ意識向上のため、従業員全員への教育を継続的に実施しております。

 当社グループにおいては、コンプライアンス違反を発生させない体制整備をより一層強化し、コンプライアンスに違反するリスクがないかの再点検と不正ができない仕組み作りに継続して取り組むとともに、コンプライアンス意識の維持・向上のための教育を実施しております。個人情報や顧客の機密情報の流出による問題には十分に配慮しておりますが、今後、想定外のコンピューターウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、不測の事態による個人情報や顧客の機密情報が外部へ漏洩、又は毀損した場合、当社グループの信用失墜による売上の減少や、損害賠償による費用発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)大規模災害、パンデミック等の発生について

 大規模な自然災害を原因とする天災や戦争・テロ・暴動等を原因とする人災等が発生した場合に備え、当社グループは事業所の分散化、サーバーのデータセンターへの移行等のBCP対策を実施し、被害を最小限に抑えるための体制整備を図っております。

 しかしながら、将来、大規模な災害や新たなパンデミックが発生し、一部あるいは全部の業務が停止した場合、または金融資本市場の大規模な変動、供給面での制約等が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)特定顧客への依存度について

 当社は、ピー・シー・エー株式会社(東京証券取引所プライム市場上場)からパッケージソフトウエアの製造・配送及びコールセンター業務の請負を行っております。また、当社の山梨竜王センターと山梨事業所は、ピー・シー・エー株式会社の土地、建物の一部を賃借しております。
 なお、当社グループの総売上高に占めるピー・シー・エー株式会社に対する売上高の割合は、2022年3月期において11.7%、2023年3月期において11.3%、2024年3月期において11.3%と推移しております。十分な情報収集や市場動向の調査を行ってまいりますが、ピー・シー・エー株式会社の発注方針等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)システム開発作業の不具合や遅延に伴う損失の発生について

 当社グループの主要事業であるシステム開発事業においては、受注時に想定していた利益であっても、開発作業開始後の仕様変更、当初の見積りを越えた作業工程の発生、想定外の不具合等により採算悪化の可能性があります。また、契約不適合等による検収後の追加費用の発生の可能性もあります。

 当社グループでは、システム開発事業において、部門横断的に有識者が参画するレビュー委員会を設置し、商談段階、受注前の提案・見積り内容の提出前チェックとして、提案レビュー体制をより一層強化することにより、リスクを早期に発見し、見積り精度を上げて、高リスク、低収益案件を受注しないように留意しております。また、案件受注後の進捗状況のチェックとして、プロジェクト毎の進捗管理レビューの体制も同様に強化することにより、納期遅れ等が発生しないように留意しておりますが、想定を上回るリスクの顕在化による費用増や、不具合の発生等により品質や納期に問題が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)M&Aについて

 当社グループは、事業の拡大や低収益ビジネスから高収益ビジネスへのシフトを進めるために、M&Aを行う可能性があります。それを実行する際には事前に十分な分析・検討・評価を行いますが、当初想定した収益性やシナジー効果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権について

 当社グループは、管理本部内に法務コンプライアンス担当を配置し契約内容を確認するとともに、必要に応じて顧問弁護士も活用することにより、第三者が持つ知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、当社グループの事業に関連する知的財産権が第三者に成立した場合、または認識していない知的財産権が既に存在した場合には、第三者から損害賠償または使用差止等の請求を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善も含め、緩やかな回復の動きが見られました。一方、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の低迷がわが国の景気を下押しするリスクがあります。また、原材料価格の高騰に伴う物価高や金融資本市場の変動等の経済に与える影響も十分留意する必要があります。

 当社グループの属する情報サービス分野においては、期中に公表された日銀短観にて、ソフトウエア投資額はいずれも前期比増加を示しており、企業の働き方改革への取り組み、生産性の向上及び競争力強化のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関連し、社会全体としてIT投資は引き続き堅調に増加しております。

 このような状況の下、当社グループでは、中期経営計画の基本方針の一つである「成長事業を拡大する」ために、継続案件や新規案件の受注確保、低採算案件の収益性の改善、人材育成及び採用活動への投資などに注力してまいりました。また、同じく基本方針である「SDGsを推進する」につき、サステナビリティ基本方針を定めるとともに、基本給引上げを始めとする人的資本投資の拡充、健康経営の推進、本社移転の決定、継続的なESG投資の実施等、各種施策を進めており、当社グループ全体として、企業理念である「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」の実現に向けて、積極的に取り組みを行っております。なお、本社移転の決定に伴い、特別損失を29,410千円計上しております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 (資産)

 当連結会計年度末における資産の残高は6,328,107千円となり403,983千円の増加となりました

 流動資産においては147,082千円の増加となりましたこれは主に現金及び預金の増加379,397千円受取手形売掛金及び契約資産の減少253,802千円によるものであります

 固定資産においては256,900千円の増加となりましたこれは主に長期貸付金の増加100,000千円保険積立金の増加160,571千円によるものであります

 (負債)

 当連結会計年度末における負債の残高は1,868,992千円となり140,602千円の増加となりました

 流動負債においては122,938千円の増加となりましたこれは主に未払金の増加52,216千円本社移転費用引当金の増加25,916千円流動負債その他に含まれる預り金の増加38,334千円によるものであります

 固定負債においては17,664千円の増加となりましたこれは主に役員株式報酬引当金の増加13,481千円退職給付に係る負債の増加9,242千円によるものであります

 (純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は4,459,115千円となり263,380千円の増加となりましたこれは主に利益剰余金の増加260,134千円によるものであります

 この結果自己資本比率は70.5%(前連結会計年度は70.8%)となりました

 

 財政状態に関しましては、当社グループの自己資本比率は70.5%となっており、健全な財政状態を維持しております。また、流動比率においても363.9%と高い水準を維持しております。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は9,458,437千円(前年同期比0.5%増)となり営業利益は524,424千円(前年同期比10.9%減)経常利益は562,824千円(前年同期比7.1%減)親会社株主に帰属する当期純利益は341,909千円(前年同期比10.3%減)となりましたまた、当社グループが重要な経営指標と考える売上高経常利益率は6.0%、ROEは7.9%となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 システム開発事業につきましては前期業績を牽引した主要顧客のシステムリプレースに伴う周辺案件の獲得の他ローコード開発ツールを活用した開発業務や子会社の業績も堅調であったため売上利益共に好調であった前年同期とほぼ同水準で推移しました

 この結果当連結会計年度における売上高は5,171,874千円(前年同期比0.7%減)営業利益は370,680千円(前年同期比6.9%減)となりました

 

 アウトソーシング事業につきましては子会社も含め前期営業利益を大きく押し上げた新型コロナウイルス関連の特需が収束したこともあり売上は同水準を維持したものの利益は減少いたしました

 この結果当連結会計年度における売上高は4,286,562千円(前年同期比2.0%増)営業利益は153,743千円(前年同期比19.3%減)となりました

 

 経営成績に関しましては、システム開発事業につきましては、主要顧客のシステムリプレースに伴う周辺案件の獲得の他、ローコード開発ツールを活用した開発業務や、子会社の業績も堅調であり、売上利益共に好調であった前年同期とほぼ同水準で推移しております。アウトソーシング事業につきましては、子会社も含め、前期、営業利益を大きく押し上げた新型コロナウイルス関連の特需が収束したこともあり、売上はほぼ同水準を維持したものの、利益は減少する結果となりました。

 通期における売上高は、ほぼ当初の通期業績予想通りとなりましたが、単価交渉による利益率の上昇に加えて、業務効率化等による原価低減や販売費及び一般管理費の抑制もあり、基本給の引上げ等を実施してもなお、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも、当初の業績予想を大きく上回る結果となりました。また、2024年2月に通期業績予想の上方修正を行いましたが、開示いたしました数値について、いずれも上回る結果となりました。

 2025年3月期も引き続き受注確保、品質及び顧客満足度の向上を追求し、着実な収益向上に取り組んでまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下資金という)は税金等調整前当期純利益が532,180千円(前連結会計年度は596,786千円の税金等調整前当期純利益)となり売上債権及び契約資産の増減額253,802千円配当金の支払額81,774千円等により当連結会計年度末には3,229,314千円となりましたその結果資金残高は前連結会計年度末に比べ379,397千円の増加となりました

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は859,727千円(前連結会計年度は562,603千円の資金の獲得)となりましたこれは主に税金等調整前当期純利益の532,180千円売上債権及び契約資産の増減額253,802千円のれん償却額85,652千円によるものであります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は396,165千円(前連結会計年度は88,778千円の資金の使用)となりましたこれは主に長期貸付による支出100,000千円保険積立金の積立による支出160,571千円敷金及び保証金の差入による支出88,639千円投資有価証券の取得による支出36,588千円によるものであります

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は84,164千円(前連結会計年度は54,130千円の資金の使用)となりましたこれは主に配当金の支払額81,774千円によるものであります

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム開発事業

3,894,702

△0.9

アウトソーシング事業

3,227,989

2.2

合計

7,122,691

0.5

(注)各セグメントの金額については、製造費用によっております。

 

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

システム開発事業

4,753,535

△12.3

1,025,856

△29.0

合計

4,753,535

△12.3

1,025,856

△29.0

(注)1.システム開発事業以外については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり、受注高を把握する事が困難なため、システム開発事業についてのみ記載しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

 システム開発事業

5,171,874

△0.7

アウトソーシング事業

4,286,562

2.0

合計

9,458,437

0.5

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ピー・シー・エー㈱

1,066,903

11.3

1,068,069

11.3

本田技研工業㈱

924,446

9.8

1,014,120

10.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなっております。

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が532,180千円、売上債権及び契約資産の増減額253,802千円等により、営業活動の結果得られた資金は859,727千円となりました。

 結果、当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローはプラスとなり、自己資本比率70.5%の指標が示すように、健全な財務体質を維持しております。また、当連結会計年度末における流動比率も363.9%となっており、十分な流動性を確保できております。

 引き続き安定した営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すべく努めてまいります。また、営業活動によるキャッシュ・フローの創出及び内部資金の範囲で、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 当社グループの資金需要の主なものは人件費となります。「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題  ④社員の働きがいを高める」の記載にありますとおり、当社グループの基本方針として、引き続き人材投資に注力してまいります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

③財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

「4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは社会全体のデジタル化への持続的需要の拡大に対応していくため、研究開発に取り組んでおり、システム開発事業を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1)システム開発事業

東京大学との共同研究

 2023年3月に、国立大学法人東京大学大学院医学系研究科と、ヘルスケア分野における3年間の共同研究契約を締結いたしました。

 医療経済学やデータサイエンスの手法を応用した新たな疾病予防プログラムの事業を普及させるため、情報技術などを基礎に、その運用管理に関わるシステムの研究開発を行うことを目的としています。

 医療保険財政が逼迫する中、当社では、この東京大学との共同研究を通じて、新たな疾病予防プログラムの普及に貢献、より良い社会を実現するための、新しいビジネスを模索するとともに、最先端の技術を身に着けた人材の育成を、継続してまいります。

 

 当事業に係る研究開発費は、8,093千円であります。

 

(2)アウトソーシング事業

 研究開発活動は、特段行われておりません。