第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、1967年の創設以来、システム開発事業とアウトソーシング事業を柱とするデジタルサービス企業として着実に実績を重ねてまいりました。近年、社会情勢の変化が激しく不確実性が高い時代と言われる中、社会の持続的な成長に対する社会的な責任も高まってきており、企業としてさらなる変革が求められています。

このような環境を踏まえ、第57期において、企業理念、企業ビジョン、行動理念等の見直しを図りました。新たに掲げたコーポレートスローガンのもと、グループ全社一丸となって、企業理念・ビジョンの実現に向け、以下の経営方針に基づき、企業価値のより一層の向上に取り組んでおります。

 

[コーポレートスローガン]

Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する

[企業理念]

ステークホルダーとともに 社会の持続的な成長に貢献する

[企業ビジョン]

デジタルサービス企業として 価値ある技術・サービスを提供し続ける

[行動理念]

カスタマー・ファースト

[経営方針]

・透明性を高め、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続ける

・市場環境および顧客課題の変化に対し、適時対応する

・デジタルサービス企業として、各事業の発展と維持向上を図るとともに、事業の融合により、企業価値をよ

り一層高める

 

(2)経営環境

当社グループの属する情報サービス分野においては、AI分野の活況も目覚ましい昨今、DXによる社会変革が、今後より一層進んでいくことが予想される中、IT人材等の技術者不足、その中でも専門技術を有する高度IT人材の確保が急務となっております。

また、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向け、社会全体としての取り組みが進んでおり、各企業もビジネスイノベーションを発揮し、事業を通しての社会課題の解決や、ダイバーシティ、働き方改革等に取り組んでいくことが求められております。

当社グループは、システム開発事業、アウトソーシング事業の2つの事業から構成されており、デジタルサービス企業としての強みを活かした取り組みを図っております。

システム開発事業においては、システムの企画、開発から運用までをトータルでサポートするSIサービスを提供しております。なかでも、ローコード開発ツール等を活用したサービスを得意としており、サービス・先端技術・業務アプリへ拡大し、DXへ展開するべく取り組んでおります。

アウトソーシング事業では、データエントリーサービス、ビジネスプロセッシングサービス、コンタクトセンターサービス等と、業態別に行ってきたサービスで培った技術力と品質を活かし、時代や環境の変化に伴う顧客ニーズに柔軟に対応した複合的なサービスの提供に取り組んでおります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

このような環境の中、当社グループが持続的な成長を続けていくためには、市場の変化や顧客企業の動向を捉え、ステークホルダーの皆様のご期待にも応えられるよう収益力を高めていくとともに、上場企業として高い信頼を得るべく、コンプライアンスの徹底やコーポレート・ガバナンスの強化に努める必要があります。さらには、社会的課題である働き方改革にもより一層取り組むことにより、社員が働きがいを高めて業務に従事できる環境作りも課題となっております。

これらの経営環境、課題認識を踏まえ、当社グループは、持続的・安定的な収益基盤の確立を図るとともに、今後のあるべき姿を見据え、第58期より第8次中期経営計画を進めております。

「ONEsdc -ステークホルダーとともに新たなステージへ- 」を基本メッセージに、「安定的収益を拡大する」、「社会の持続的な成長に貢献する」の2つをビジョンとして定め、以下の5つの基本方針に基づき、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に取り組んでおります。

なお、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」は、改めて当社の現状を評価及び分析し、PBR(株価純資産倍率)改善に向けて、同課題への取り組みを含め、次の4つの施策の実行により、ROE(自己資本利益率)ならびにPER(株価収益率)の改善を図り、PBR(=ROE×PER)の向上を目指してまいります。

a.成長事業の拡大、新たな収益基盤の確立によるROEの改善

b.資本政策の見直しによるROEの改善

c.非財務戦略の推進によるPERの改善

d.IR活動の強化によるPERの改善

 

 ①成長事業を拡大する

 システム開発事業における業種別戦略の強化によって、既存主要顧客からの高収益案件の継続した受注に加え、関連グループ会社から案件を獲得し、着実に収益を拡大しております。また、ローコード・Salesforce・SAP・クラウドを活用したソリューションビジネスの拡充によって、既存主要顧客をはじめ顧客開拓を進めながら新規案件を受注しております。アウトソーシング事業では、オンサイトビジネス強化、低収益ビジネスの見直し、新たなビジネスモデルへの変革を引き続き推進しております。

 また、グループ会社やビジネスパートナー各社との相互連携や情報共有をより一層強化し、グループ間の営業連携や共同開発等を拡大、ビジネスパートナーのサービスを活かした営業活動や事業展開等を引き続き推進してまいります。

 

 ②新たな収益基盤を確立する

 企業が持続的な成長を図っていくためには、既存事業の拡大に加え、新規顧客の獲得も含め、新たな収益基盤の構築が重要な要素となります。顧客企業においては、AIやIoTといったデジタル技術の革新を受けて事業競争力の強化や事業モデルの変革を目指した攻めのIT投資需要が継続する中、社会の持続的な成長に向け、社会課題の解決につながる新たな取り組みを図っていくことも求められています。当社においても、「DX推進室」を中心に、外部と共創しながらデジタル技術を活用し、社内外に対して革新的な価値を創出することを引き続き目指してまいります。併せて、M&A、マイノリティ投資も積極的に進めてまいります。

 システム開発事業においては、IoTベンチャー企業とともに、両社のノウハウと保有データを活用した新サービスの創出に向けた検証を進めており、アウトソーシング事業においても、新たなビジネスモデルへの変革に向けて、昨年新たに開始した業務提携先との連携を拡大するとともに、新サービスの立ち上げに向けた協業を進めております。

 

 ③コンプライアンスを徹底する

 当社グループでは、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続けるため、コンプライアンス違反を発生させない体制整備に継続して取り組むとともに、コンプライアンス意識の維持向上のための教育を継続的に実施しております。これによりコンプライアンス意識をより一層向上させ、一人一人が自らリスク回避に取り組み、レベルの高い対応をしていけることを目指してまいります。

 

 ④社員の働きがいを高める

 人的資本投資の拡充の観点から、第8次中期計画において正社員の賃金10%アップを掲げ、達成いたしました。健康経営においてはITS健康優良企業「銀の認定証」を取得し、更なる健康経営の推進を進めております。また、本社移転等により職場環境の改善を進めるとともに、人事制度等の見直しによって、よりワークライフバランスが実現しやすい環境整備を進めました。人材育成の面では、システム開発事業において自律的な学びのシステムを導入し、等級別ラーニングパスによる継続的なエンジニア育成、リスキリング文化醸成への取り組みを始めました。さらには、従業員持株会の奨励金を5%から10%に拡充したことで持株会会員数が約40%アップし、活性化に繋がりました。引き続き、コミュニケーション活性化、生産性の向上、帰属意識及び社員満足度の向上等を通じて働きがいを高めるとともに、優秀な人材の確保を実現し、事業の持続的な成長を目指してまいります。

 

 ⑤SDGsを推進する

 企業理念として掲げた「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」の実現に向けて、SDGsの取り組みにつき、社内への浸透をより一層図るとともに、サステナビリティ基本方針を定め、取り組みの加速化を進めております。

 気候変動に伴う温室効果ガス排出量削減に向けた国際的な枠組みであるSBT認定の取得に向け、Scope1-3の温室効果ガス排出量算定を完了し、当該算定結果をもって、申請準備を進めており、2025年中にSBT認定を取得する計画です。また、脱炭素社会等の実現に寄与するESG投資についても毎年継続して行ってまいります。

 ダイバーシティ&インクルージョンの推進においては、2025年目標としていた女性管理職比率15%以上をこの4月に達成いたしました。今後も継続して推進してまいります。また、障がい者雇用支援等をはじめとする地域貢献として、行政と連携し、障がい者の職場実習を通じて参加者の就労支援を行う他、行政が運営する障がい者福祉施設で生産する菓子類を全社キックオフミーティングで提供する等、地域貢献活動を継続的に進めてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営の効率性向上による収益性重視の観点から、売上高経常利益率を主たる経営指標としており、長期目標として従来より8%以上を目指しております。また株主重視、資本コストを意識した経営の観点からROEについても重要な経営指標と考えております。

PBR向上のためには資本コストを上回るROEの達成が求められるとの認識のもと、当社グループは、中期経営計画目標(KPI)としてROE8%以上を掲げております。2025年3月期においては、将来の成長に向けた人的資本投資の拡充、本社移転等の影響で一時的に落ち込み、売上高経常利益率5.0%、ROE6.6%となりましたが、2026年3月期には、中期経営計画目標である売上高経常利益率5%以上、ROE8%以上の達成を目指してまいります。また、株主への利益還元強化の観点から、2025年3月期より新たな財務指標としてDOE(純資産配当率)を採用しており、2023年3月期実績2.0%の75%増となる3.5%以上を目標に加えております。

 

 

第58期

2024年3月期

第59期

2025年3月期

第60期

2026年3月期見通し

売上高経常利益率

(%)

6.0

5.0

5.8

(中計目標5%以上)

ROE(自己資本利益率)

(%)

7.9

6.6

8.0

(中計目標8%以上)

DOE(純資産配当率)

(%)

3.2

3.4

3.6

(中計目標3.5%以上)

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社の中核事業であるシステム開発事業及びアウトソーシング事業は、顧客課題の解決を通じて、SDGsが掲げる「経済成長と働きがいの促進」に貢献できるものと考えております。企業理念にも「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」を掲げており、事業の拡大や、企業価値の向上を通じて、サステナビリティの推進に努めております。

 2024年2月には、当社グループとしてのサステナビリティ基本方針を以下のように定めました。

「当社グループは、コーポレートスローガンである「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」のもと、顧客課題の解決につながる技術・サービスの提供を通じて社会の持続的な成長に貢献してまいります。」そして、2024年9月にはグループ全体でマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ推進委員会を新たに設置する等、推進体制の強化を図っております。さらに、同委員会のもとでマテリアリティごとに指標(KPI)を設定し、当社グループ全体でサステナビリティに関する具体的な取り組みを本格的に開始しています。

 

(1)ガバナンス

 マテリアリティの解決に向けて、「より良い社会の実現とsdcグループの持続的な成長」を実現することを目的とし、サステナビリティへの取り組みを全社的に検討・推進するべく、基本方針と併せて策定したサステナビリティ規程にて主管部署を経営管理部に明確化するとともに、当該部門が事務局、代表取締役社長が議長を務め、常勤取締役、執行役員・事業部長等及びグループ会社社長等で構成される「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。

 当該委員会は、マテリアリティの解決に向けた具体的な施策の策定を行うとともに、KPIと目標を設定し、取り組みを各部門と連携しながら推進していく役割を担っています。また必要に応じて、テーマ毎にワークンググループも設置できることとしております。さらに、こうしたKPIの進捗状況については、年4回以上の頻度で確認及び管理し、継続的な改善に努めてまいります。あわせて、社会や事業環境の変化を踏まえ、マテリアリティの内容見直しの必要性についても、年1回のタイミングで検討を行ってまいります。

 なお、事業継続に関わるリスクへの対応については、代表取締役社長を委員長とする「総合リスク対策委員会」が所管しており、サステナビリティ推進委員会と連携して対応してまいります。

 

[サステナビリティ推進・リスク管理体制図]

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(2)戦略

SDGs、ISO26000、SASB、ESRS等の国際的なガイドラインを参考に、網羅的に洗い出した当社グループに関係する社会課題を、コーポレートスローガンや企業理念と照らし合わせて絞り込み、ステークホルダーにとっての重要性と当社グループ事業戦略上の重要性の二軸の視点から評価し、グルーピングいたしました。これらをもとに、社外役員を含む経営陣による議論を通じて5つのマテリアリティを特定し、具体的な取り組み事項も含めて取締役会にて決議いたしました。

マテリアリティは、環境、社会、ガバナンスの各側面から、当社グループが持続的に取り組むべき課題と創出すべき価値を示すものです。これらの取り組みは、「より良い社会の実現とsdcグループの持続的な成長」という未来像の実現に向けた重要な基盤となります。また、中期経営計画で掲げた5つの基本方針は、各マテリアリティと密接に紐づいており、両者を一体的に推進することにより経済的価値と社会的価値の両立を図り、企業価値の創造を通じて持続的な成長を目指してまいります。

 

[企業価値創造ストーリー]

 

  実現したい未来  「より良い社会の実現とsdcグループの持続的な成長」

 

中期経営計画

0102010_002.png

 

5つの基本方針

 

5つのマテリアリティ

ESG

1.成長事業を拡大する

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豊かな地球環境・自然資本の維持への貢献

環境

2.新たな収益基盤を確立する

価値ある技術・サービスの持続的提供

社会

3.コンプライアンスを徹底する

多様な人財の育成、働きがいの向上

4.社員の働きがいを高める

地域連携、健全なバリューチェーンの確立

5.SDGsを推進する

透明性の高い健全なガバナンスの実践、強化

ガバナンス

 

 

[マテリアリティに対する取り組み事項]

ESG

マテリアリティ

課題解決に向けた取り組み事項

環境

豊かな地球環境・自然資本の維持への貢献

カーボンニュートラル・資源循環型社会への積極的な貢献(SBT認定取得)

社会

価値ある技術・サービスの持続的提供

提供するソリューション、サービスの品質向上に基づく収益力の向上

 

 

持続的成長に向けた組織のイノベーション力向上

 

多様な人財の育成、働きがいの向上

人的資本への投資

 

 

従業員エンゲージメント向上

 

 

健康経営の推進

 

 

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

 

 

人間尊重・人権リスクへの適切な対応

 

地域連携、健全なバリューチェーンの確立

地域活動、バリューチェーンにおけるESG配慮

 

 

パートナー企業との連携・共存共栄による新たなパートナーシップの構築

ガバナンス

透明性の高い健全なガバナンスの実践、強化

公平性・有用性が高く正確・迅速でわかりやすい情報開示

 

 

ガバナンスの機能発揮

 

 

コンプライアンスの遵守

 

 

リスク管理の高度化

 

 

サイバーセキュリティのレジリエンス向上

 

 

適切な内部通報制度の整備

 

 人材育成方針、社内環境整備方針につきましても、マテリアリティの一つである「多様な人財の育成、働きがいの向上」の実現に向けた上記取り組み事項を方針として、KPIを定め各種施策を推進してまいります。

 人事戦略につきましては、従来から「持続的な企業価値の向上」を意識して取り組んでまいりましたが、あらためて国内の経済情勢や雇用状況、法令動向等を視野にいれつつ、経営戦略との連携をさらに強め、人材育成及び社内環境の整備に取り組むべく、「個人の能力を最大限に発揮し、組織と共にイキイキ活躍できる会社を目指し、個人と組織が共に成長する風土と制度を構築する」としております。

 具体的には、人的資本投資拡充の観点から、第8次中期計画において正社員の賃金10%アップを掲げ、達成いたしました。健康経営においてはITS健康優良企業「銀の認定証」を取得し、更なる健康経営の推進を進めております。また、本社移転等により職場環境の改善を進めるとともに、人事制度等の見直しによって、よりワークライフバランスが実現しやすい環境整備を進めました。人材育成の面では、2025年目標としていた女性管理職比率15%以上をこの4月に達成し、今後も継続して推進してまいります。システム開発事業において自律的な学びのシステムを導入し、等級別ラーニングパスによる継続的なエンジニア育成、リスキリング文化醸成への取り組みを始めました。今後、人事データベースの構築を進めることにより、経営戦略と人財戦略の連動を図ってまいります。さらには、従業員持株会の奨励金を5%から10%に拡充したことで持株会会員数が約40%アップし、活性化に繋がりました。引き続き、コミュニケーション活性化、生産性の向上、帰属意識及び社員満足度の向上等を通じて働きがいを高めるとともに、優秀な人材の確保を実現し、事業の持続的な成長を目指してまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、様々なリスクを一元的に俯瞰し、リスクを洗い出しリスク一覧表を作成することとし、リスクを予防し、またリスクが発生した場合は迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限にくい止め、再発を防止し、当社の企業価値を保全するために、常勤取締役を構成員、経営管理部を事務局とする「総合リスク対策委員会」を設置し、毎年1回リスクの見直しを行っております。

 現時点では、サステナビリティ関連のリスクにつきましても、同委員会において、中長期的な事業継続に関するリスクの一環として検討がなされております。その主な内容は、「3 事業等のリスク (2)から(9)」に記載の通りですが、今後は、サステナビリティ推進の観点とも整合性を図りつつ、リスクのみならず機会の検討も含めた管理体制の見直しを検討してまいります。

 

(4)指標及び目標

当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する指標(KPI)の内容及び目標、実績のうち、現時点で開示できる内容は次のとおりであります。 引き続き、KPIの拡充、見直しにつき検討を進めており、開示しているKPIに加えて新たなKPIを設定した場合や、開示に至っていない取り組み事項につきましてもKPIの明確化を図ったうえで、順次開示を行ってまいります。

ESG

マテリアリティ

課題解決に向けた

取り組み事項

指標(KPI)

目標

現時点の状況

環境

豊かな地球環境

・自然資本の維持への貢献

カーボンニュートラル・資源循環型社会への積極的な貢献(SBT認定取得)

CO2排出量削減率

Scope1,2:

2035年までに63%削減

Scope3:

2035年までに37.5%削減

<連結>

温室効果ガス(GHG)排出量(注1)

Scope1,2 :353(t-CO2)

Scope3  :6,408(t-CO2)

カテゴリ1:購入した製品・サービス5,609

詳細は当社HP参照

https://www.sdcj.co.jp/csr/_environment.html

社会

多様な人財の育成、働きがいの向上

人的資本への投資

人件費(注2)

増加率

年3%以上増

<連結>

4,697,150千円(2025年3月度)

健康経営の推進

健康診断受診率

年5%増

2028年以降 100%維持

<単体>85.3%(2025年3月時点)

<グループ各社>

シェアードシステム:97.4%

アイカム     :100%

フォー      :36.4%

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

2028年までに

単体 20%以上

連結 25%以上

<単体>16.3%(2025年4月時点)

    11.4%(2025年3月時点)

<連結>20.8%

<グループ各社>

シェアードシステム:14.3%

アイカム     :39.1%

フォー      :33.3%

人間尊重・人権リスクへの適切な対応

人権研修受講率

年100%を維持

<単体>

全グループへ展開予定(2025年度)

地域連携、健全なバリューチェーンの確立

地域活動、バリューチェーンにおけるESG配慮

地域連携活動数

年1件以上増

<単体>

2件(障がい者支援企業より花購入)

 (特別支援学校の就労研修受入れ)

ガバナンス

透明性の高い健全なガバナンスの実践、強化

ガバナンスの

機能発揮

独立社外取締役比率

33%以上維持

<連結>

40%(2025年3月時点)

注1 各項目の算出は、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(2024年3月環境省・経済産業省)に基づき算定しております。なお、今後の算出方法の変更等により、当該排出量が変更される可能性があります。

2 人件費とは、給与、賞与、法定福利、福利厚生、教育研修費とします。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 以下のリスクが顕在化する可能性は現時点で認識しておりませんが、リスクの発生の可能性の高い順に記載しております。当社グループは、これらのリスクについて、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)財務リスク
 ①ソフトウエアの受託開発契約における総原価の見積りに係るリスク

 当社グループは、ソフトウエアの受託開発契約については、ごく短期な受託開発を除き、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度は見積総原価に対する発生原価の割合として算定されますが、案件毎に業務内容や仕様が異なり、工数の積算を含む総原価の見積りは経営者の判断に依存します。また、見積総原価は、顧客からの仕様変更等により見直される可能性があり、その結果、進捗度が変動する可能性があります。なお、当連結会計年度における売上高9,609,075千円のうち、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができ、一定の期間にわたり収益を認識しているシステムズ・デザイン株式会社のソフトウエアの受託開発契約に係る売上高は514,294千円であり、当連結会計年度の売上高の5.4%を占めております。

 当該見積りについては、決算時点での入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、経済条件の変化等により前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において一定の期間にわたり収益を認識するソフトウエアの受託開発契約に係る売上高に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、システム開発事業において、部門横断的に有識者が参画するレビュー委員会を設置し、プロジェクト毎の進捗管理レビューの体制を強化し、受注案件の管理と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

 ②のれんの減損に係るリスク

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを連結貸借対照表に計上し、原則としてのれんの効果の発現する期間にわたって償却しておりますが、事業環境の変化等により買収した子会社等の事業計画が未達となった場合には当該のれんについて減損損失を計上することになり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末でののれんの残高は、54,342千円となっており、連結総資産の0.8%を占めております。当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

③繰延税金資産の回収可能性の評価に係るリスク

 当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の利益計画に基づき課税所得を合理的に見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末で繰延税金資産の残高は、242,642千円となっており、連結総資産の3.8%を占めております。当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

④固定資産の減損に係るリスク

 当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、回収不能見込額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 当社グループでは、各部門及び子会社の営業実績の報告、進捗状況の点検と調整、問題点の抽出と検討を目的とする予算実績会議を毎月開催し、会社の中・長期的な方向性の検討と情報の共有化を行い業績の向上とリスクの未然防止を図っております。

 

 

(2)事業環境等について

 当社グループは、市場動向や競合会社、顧客企業ニーズの調査・分析を行い、必要な設備投資や技術者の研修、コスト削減等により他社との差別化を図っております。また、事業の選択と集中を進め、低収益ビジネスから高収益ビジネスへのシフト等により、不採算案件・低採算案件の排除による利益率の改善を図っておりますが、競合の激化や価格競争の激化、急速な技術革新、顧客ニーズの変化等当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)優秀な人材の確保について

 当社グループでは、システム開発事業においてサービスの品質、開発力の両面から、優秀な技術者の確保が必要なものと認識しております。また、アウトソーシング事業においては、業務のあらゆる場面で適切な対応やマネジメントができる豊富な経験と知識を持った人材の確保が必要であります。
 当社グループの属する経営環境においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革が今後より一層進んでいくことが予想される中、IT人材等の技術者が不足しており、その中でも専門技術を有する高度IT人材の確保が急務でありますが、人材需要の高さから、優秀な人材の採用難は否めない状況であります。今後、労働力市場の逼迫等により当社グループが必要とする優秀な人材や労働力を適時に確保できない場合、又は当社グループの従業員が大量に退職した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社としましては、人材の育成・確保に向け、採用活動の強化や、多様な人財が活躍できるよう社内における人材育成に努めるとともに、「働き方改革」により一層取り組み、働きやすい職場環境作りを進めつつ、ダイバーシティを推進し、あらゆる人にとって働きがいのある会社とすることに注力しております。

 

(4)情報管理について

 当社では、今後、想定外のコンピューターウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、不測の事態による個人情報や顧客の機密情報が外部へ漏洩、又は毀損した場合、当社グループの信用失墜による売上の減少や、損害賠償による費用発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 しかしながら、個人情報保護規程等の各種規程の整備と運用、情報セキュリティ方針の策定と実行、社員教育の実施等により、個人情報や顧客の機密情報の取り扱いについて十分に留意しており、子会社各社においても同様の施策を実施しております。

 2004年には、一般社団法人情報サービス産業協会の審査に合格し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会から「プライバシーマーク」の使用許諾を受けております。

 また、2012年から一部の部署で取得していたISMS(情報マネジメントシステム)を、2020年には全社に適用して取得、お客様へ提供するサービスを安心してご利用いただくために、積極的に情報セキュリティに取り組み、単に技術的なセキュリティ対策のみならず、セキュリティ意識向上のため、従業員全員への教育を継続的に実施しております。

 当社グループにおいては、コンプライアンス違反を発生させない体制整備をより一層強化し、コンプライアンスに違反するリスクがないかの再点検と不正ができない仕組み作りに継続して取り組むとともに、コンプライアンス意識の維持・向上のための教育を実施しており、個人情報や顧客の機密情報の流出による問題には十分に配慮しております。

 

(5)大規模災害、パンデミック等の発生について

 将来、大規模な災害や新たなパンデミックが発生し、一部あるいは全部の業務が停止した場合、または金融資本市場の大規模な変動、供給面での制約等が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 しかしながら、大規模な自然災害を原因とする天災や戦争・テロ・暴動等を原因とする人災等が発生した場合に備え、当社グループは事業所の分散化、サーバーのデータセンターへの移行等のBCP対策を実施し、被害を最小限に抑えるための体制整備を図っております。

 

(6)特定顧客への依存度について

 当社は、ピー・シー・エー株式会社(東京証券取引所プライム市場上場)からパッケージソフトウエアの製造・配送及びコールセンター業務の請負を行っております。また、当社の山梨竜王センターと山梨事業所は、ピー・シー・エー株式会社の土地、建物の一部を賃借しております。
 なお、当社グループの総売上高に占めるピー・シー・エー株式会社に対する売上高の割合は、2024年3月期において11.3%、2025年3月期において10.9%と推移しております。十分な情報収集や市場動向の調査を行ってまいりますが、ピー・シー・エー株式会社の発注方針等の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社としましては事業の成長とともに顧客層の新規開拓を進め、特定顧客への依存度軽減に努めてまいります。

 

(7)システム開発作業の不具合や遅延に伴う損失の発生について

 当社グループの主要事業であるシステム開発事業においては、受注時に想定していた利益であっても、開発作業開始後の仕様変更、当初の見積りを越えた作業工程の発生、想定外の不具合等により採算悪化の可能性があります。また、契約不適合等による検収後の追加費用の発生の可能性もあります。なお、当連結会計年度末で受注損失引当金の残高は、4,749千円となっております。

 当社グループでは、システム開発事業において、部門横断的に有識者が参画するレビュー委員会を設置し、商談段階、受注前の提案・見積り内容の提出前チェックとして、提案レビュー体制をより一層強化することにより、リスクを早期に発見し、見積り精度を上げて、高リスク、低収益案件を受注しないように留意しております。また、案件受注後の進捗状況のチェックとして、プロジェクト毎の進捗管理レビューの体制も同様に強化することにより、納期遅れ等が発生しないように留意しておりますが、想定を上回るリスクの顕在化による費用増や、不具合の発生等により品質や納期に問題が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)M&Aについて

 当社グループは、事業の拡大や低収益ビジネスから高収益ビジネスへのシフトを進めるために、M&Aを行う可能性があります。それを実行する際には事前に十分な分析・検討・評価を行いますが、当初想定した収益性やシナジー効果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 事前の分析・検討・評価においては、専門家の支援や取締役会における十分な審議を尽くすことと併せ、買収後の統合プロセスをしっかりと進めることによりリスクの低減を図ってまいります。

 

(9)知的財産権について

 当社グループの事業に関連する知的財産権が第三者に成立した場合、または認識していない知的財産権が既に存在した場合には、第三者から損害賠償または使用差止等の請求を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、当社グループは、管理本部内に法務コンプライアンス担当を配置し契約内容を確認するとともに、必要に応じて顧問弁護士も活用することにより、第三者が持つ知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が緩やかに改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復の動きが期待される一方、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっております。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響等も、我が国の景気を下押しするリスクがあります。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要があります。

 当社グループの属する情報サービス分野においては、日銀短観(2025年3月調査)にて今期のソフトウェア・研究開発を含む設備投資計画は非製造業において増加が見込まれており、事業の拡大や競争力強化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連したIT投資需要の継続した拡大が期待されております。このような事業環境、課題認識を踏まえ、当社グループでは、「デジタルサービス企業として、価値ある技術・サービスを提供し続ける」ことを目指し、前連結会計年度より第8次中期経営計画を進めております。

 「ONEsdc -ステークホルダーとともに新たなステージへ- 」を基本メッセージに掲げ、「安定的収益を拡大する」、「社会の持続的な成長に貢献する」の2つをビジョンとして定め、さらに、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」にも応えつつ、引き続き、中期経営計画の基本方針を遂行しております。具体的には、システム開発事業においては、ソリューションビジネスの拡充等、アウトソーシング事業においては、オンサイトビジネス強化等に取り組んでおります。併せて、サステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティ(重要課題)を特定し、人的資本投資の拡充、健康経営の推進(健康優良企業「銀の認定」の取得)、本社移転の実施、継続的なESG投資の実施等、当社グループ全体として、企業理念である「ステークホルダーとともに社会の持続的な成長に貢献する」の実現に向けて、積極的に取り組みを行っております。

 また、当連結会計年度においては、将来の成長に向け、前年度半ばに実施した正社員基本給与の引き上げの影響や、人材育成のための教育活動の拡充、本社移転による費用計上等があり、前年同期比で販売費及び一般管理費が大きく増加しております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 (資産)

 当連結会計年度末における資産の残高は6,394,826千円となり66,719千円の増加となりました。

 流動資産においては、38,850千円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少289,428千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加167,499千円、短期貸付金の増加100,000千円によるものであります。

 固定資産においては、105,569千円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加31,414千円、保険積立金の増加161,752千円、長期貸付金の減少100,000千円によるものであります。

 (負債)

 当連結会計年度末における負債の残高は1,778,007千円となり、90,985千円の減少となりました。

 流動負債においては123,036千円の減少となりました。これは主に本社移転費用引当金の減少25,916千円、流動負債その他に含まれる未払消費税の減少50,109千円、流動負債その他に含まれる預り金の減少42,773千円によるものであります。

 固定負債においては32,051千円の増加となりました。これは主にリース債務の増加12,071千円、役員株式報酬引当金の増加8,489千円、退職給付に係る負債の増加12,192千円、によるものであります。

 (純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は4,616,819千円となり、157,704千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加161,165千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は72.2%(前連結会計年度は70.5%)となりました。

 

 財政状態に関しましては、当社グループの自己資本比率は72.2%となっており、健全な財政状態を維持しております。また、流動比率においても397.6%と高い水準を維持しております。

 

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は9,609,075千円(前年同期比1.6%増)となり、営業利益は454,455千円(前年同期比13.3%減)、経常利益は477,768千円(前年同期比15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は297,649千円(前年同期比12.9%減)となりました。また、当社グループが重要な経営指標と考える売上高経常利益率は5.0%、ROEは6.6%となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 システム開発事業につきましては、子会社の業績は堅調でありましたが、主要顧客のシステムリプレースが収束するなかで、人的資本投資の拡充や本社移転の実施を行ったことから、売上は同水準を維持したものの、利益は減少いたしました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は5,256,492千円(前年同期比1.6%増)、営業利益は332,345千円(前年同期比10.3%減)となりました。

 

 アウトソーシング事業につきましては、定額減税関連の受注増があり、子会社の業績も堅調であったことから売上は増加いたしましたが、オンサイトビジネスの強化に苦戦しており、また、人的資本投資の拡充や本社移転の実施を行ったことから、利益は減少いたしました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は4,352,582千円(前年同期比1.5%増)、営業利益は122,109千円(前年同期比20.6%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が454,175千円(前連結会計年度は532,180千円の税金等調整前当期純利益)となり、売上債権及び契約資産の増加額167,499千円、配当金の支払額136,495千円等により、当連結会計年度末には2,939,886千円となりました。その結果資金残高は、前連結会計年度末に比べ289,428千円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は122,888千円(前連結会計年度は859,727千円の資金の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の454,175千円、売上債権及び契約資産の増加額167,499千円、法人税等の支払額182,909千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は271,056千円(前連結会計年度は396,165千円の資金の使用)となりました。これは主に有形固定資産取得による支出129,244千円、保険積立金の積立による支出161,752千円、有形固定資産の売却による収入22,775千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は141,260千円(前連結会計年度は84,164千円の資金の使用)となりました。これは主に配当金の支払額136,495千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム開発事業

3,920,611

0.7

アウトソーシング事業

3,217,499

△0.3

合計

7,138,110

0.2

(注)各セグメントの金額については、製造費用によっております。

 

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

システム開発事業

5,438,651

14.4

1,367,778

33.3

合計

5,438,651

14.4

1,367,778

33.3

(注)1.システム開発事業以外については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり、受注高を把握する事が困難なため、システム開発事業についてのみ記載しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

 システム開発事業

5,256,492

1.6

アウトソーシング事業

4,352,582

1.5

合計

9,609,075

1.6

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ピー・シー・エー㈱

1,068,069

11.3

1,052,110

10.9

本田技研工業㈱

1,014,120

10.7

842,445

8.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループでは、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなっております。

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が454,175千円、売上債権及び契約資産の増加額167,499千円、法人税等の支払額182,909千円等により、営業活動の結果得られた資金は122,888千円となりました。

 結果、当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローはプラスとなり、自己資本比率72.2%の指標が示すように、健全な財務体質を維持しております。また、当連結会計年度末における流動比率も397.6%となっており、十分な流動性を確保できております。

 引き続き安定した営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すべく努めてまいります。また、営業活動によるキャッシュ・フローの創出及び内部資金の範囲で、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 当社グループの資金需要の主なものは人件費となります。「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題  ④社員の働きがいを高める」の記載にありますとおり、当社グループの基本方針として、引き続き人材投資に注力してまいります。

 

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

③財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

「4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは社会全体のデジタル化への持続的需要の拡大に対応していくため、研究開発に取り組んでおり、システム開発事業を中心に研究開発を進めております。

 2023年から継続しておりました東京大学との共同研究は本年度をもって終了となりましたが、DX推進室を中心にDX人材の育成や社会課題の解決による社会・地域への貢献も含めた活動に取り組んでおります。

 現在は、IoTベンチャー企業と連携した活動を開始しており、当社の強みを活かし、AIを適用した新サービスの創出に向けた検証を進めております。

 また、昨年8月に業務提携契約を締結した、サンネクスタグループ株式会社の子会社であるクラシテ株式会社との協業を契機に新たなビジネスモデルへの変革に向けた取り組みを着実に進めており、クラシテ社、当社子会社のアイカム、当社アウトソーシング事業部とお互いのノウハウを活かし、AIを活用した次世代コールセンターの構築を進めております。

 

 当活動に係る研究開発費は、31,697千円であります。