第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「エネルギーの黒子であろう」という企業理念のもとで、「人のための省エネ、人々のための再エネ」をベースコンセプトに、効率的なエネルギー利用と自然由来のエネルギー供給を通じて現代の課題に取り組んでおります。

 省エネルギーの推進と国産再生可能エネルギーの利用により、温暖化ガスの発生量の低減、一次エネルギー純輸入量の削減、人間とそれ以外の自然環境との両立を継続することを目指してまいります。当社グループの推進する木質バイオマス発電は、森林資源や林業の活用、協力が不可欠であり、バイオマス利用の積極化を推進することで資源の有効利用、地域経済の活性化に取組んでおります。

 また、森を育て、木の素材としての価値を最大限活用するとともに、用材に不適な間伐材や端材をエネルギーとして有効利用することで、持続的な社会の実現に貢献してまいります。

(2)経営戦略等

 当社グループでは、国内産の木質チップを燃料として二酸化炭素の排出量の極めて少ない木質バイオマス発電による再生可能エネルギー電気の製造販売を主軸とした事業展開をしております。再生可能エネルギーは循環して繰返し再生産が可能なエネルギーであることから、発電所の立地する地域経済の活性化や山林保全に寄与するとともに、持続可能な循環型の社会の構築に貢献するものと考えております。

 当社グループの木質バイオマス発電所は、現行、FIT・FIP制度に基づく電力販売を実施しておりますが、本制度は新設発電所で送電開始から20年間の販売方式を担保するもので、当該期間の安定的な燃料確保を進めることが重要な施策であると認識しています。我が国の国土は約70%が山林であると言われておりますが、一方でその山林、立木所有者がご高齢の域にあり、また、地域によっては伐採する事業に携わる方たちも同様に次世代の後継に苦慮していること、そのことから林産事業に携わる方々の経験、ノウハウ等が次世代に継承されず断絶の恐れのあること等が問題となっております。山林経営は、その運営上、かなりの長期間にわたり事業の継続、持続が必要であり、木材素材の販売に加え間伐材や低品位木材を燃料として活用できる点では当社グループの事業との関連性は極めて重要なものであると考えております。このため、当社グループでは山林経営に着手し山林事業の収益性の確保を機械化を中心に効率的に実現させてまいります。

 また、発電所のFIT・FIP制度の適用期限後について、制度外での環境負荷の少ないクリーンな電気を直接顧客へと供給する方法として、電力小売事業を展開し本来の再生可能エネルギー電気の活用を促進、拡大していくことが必要と考えております。

 こうした中、当社グループでは以下の活動を通じて、さらなる事業の発展と社会貢献を果たしていくことを中長期の経営戦略としています。

 「省エネルギー支援サービス事業」においては単なる機器の更新だけではなく、生産・業務システムとしてのエネルギー効率改善を支援してまいります。行政の求める省エネ基準を満たし助成制度を利活用することにより、国全体のエネルギーの節約に貢献するとともに顧客にとっては初期投資額の抑制を実現する提案をサービスの要点として展開してまいります。

 「グリーンエナジー事業」においては、山林経営を含め木質バイオマス関連分野への投資を拡大してまいります。次世代の担い手である若い人たちに林業という産業の魅力と意義を継承し、発電事業はもとより山林事業の収益性の確保を実現することで長期の事業基盤を整備してまいります。

 「電力小売事業」においては、当社グループ発電所で発電した再生可能エネルギー電気を環境価値とともに顧客へ供給する活動を通じて、持続可能なエネルギーの利用を促進してまいります。

 近年、気候変動に係る温暖化ガス排出に関する意識の高まりから世界各国企業に対して、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)からの提言が公表されるなど、企業が取組むべき持続可能な社会の実現に向けた戦略、行動課題や進捗、評価等の情報開示について、関心が高まりつつあります。当社グループでは、省エネルギー支援、木質バイオマス発電、山林経営、電力小売りの各事業を通じて、持続可能な自然由来の再生可能エネルギー電気の供給と消費エネルギーの抑制に貢献する事業を営んでおり、気候変動を重要な社会課題ととらえています。TCFD提言に則り気候変動のリスクや機会、シナリオ等について分析と議論を進め、今後、当社グループ取組や戦略について順次公表するよう努めてまいります。

 当社グループは、環境に優しく国産の持続可能な資源によるエネルギー創出に資するべく、既存設備については発電所のさらなるオペレーティング技術の向上、適切な設備保守、最適燃料使用比率の追及をテーマに人材育成や地元の林業、木材関係者らとの協力体制の整備、強化を図ってまいります。新たな発電所の開発については、開発案件の立地調査、燃料調達ネットワークの構築等に精力的に取組み、継続的な開発着手を遂行してまいります。二酸化炭素フリーで安定的な電力の供給と地元関連産業の活性化を推進していくことが社会貢献につながり企業価値の向上に資するものと考えております。

 

(3)経営環境

 当社グループの営む事業は、主に国内産の木質チップの燃焼により得られる電力の製造とその環境付加価値を含む電力の販売です。この事業を安定的かつ持続可能に、また、顧客やその他のステークホルダーの環境保全にとって意義のある取組とするため、国内の山林資源の流通促進を強化していく必要があるものと考えております。山林事業においては、育林、伐採、加工を効率的、機能的に遂行するため人員、機材を拡充し業容を充実させてまいります。これらの事業全体を一体的に組立て、それぞれが収益を生む事業として育成していくことが喫緊の課題と認識しております。当社グループは、こうした取組みを通じてエネルギーの持続可能な体制を整備してまいります。

 近年、地球環境の維持を目的として企業活動に対し計画的な環境維持施策の推進が求められております。当社グループの営む事業が、こうしたニーズに対応できるよう事業環境の整備推進を積極的に進めてまいります。

 2025年6月期における各事業セグメントの事業環境及び活動予定は、次のとおりです。

(省エネルギー支援サービス事業)

 省エネルギー支援サービス事業では、顧客の要望する省エネルギー施策の実現に向け、生産設備の老朽化対応としての省エネルギーを推進した設備の導入、更新等の建設工事を含めた売上獲得に注力してまいります。次期の見通しでは外部売上高の増収、セグメント全体としての利益については一定程度の水準を維持してまいります。

 (グリーンエナジー事業)

 グリーンエナジー事業では、グループ発電所5基の安定稼働を推進するとともに、山林経営を通じて木質マテリアルの循環型で持続可能な事業へ発展させてまいります。これらの活動を通じてエネルギーや木材市場の変化、環境付加価値の創出といった様々な事業環境変化に対応する体制を構築してまいります。当社グループでは引続きグループ各発電所の木質チップ燃料使用量全体の低減を継続して推進し、ノウハウの蓄積に努めるとともに未利用木材の効率的な利用を向上させてまいります。発電所運営については、高稼働率の維持を目標としてきめ細やかな点検、保全の実施のほか、チップ加工設備を有するエフオン豊後大野発電所、エフオン壬生発電所、エフオン新宮発電所地域での原木の受入量を向上させて未利用木質チップの内製化を一定程度推進してまいります。5基となる木質バイオマス発電所の運営をもとにスケールメリットを活用し、共通して利用できる部材を一定程度まとめて調達することやメンテナンス情報を共有、蓄積化することでさらなるメンテナンス技術の研鑽を推進し、かつ、コストの圧縮を実現していく方針です。

 

 これらの活動を通じて2025年6月期の業績については、連結売上高18,500百万円、連結営業利益1,200百万円、連結経常利益1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益710百万円を見込んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの主力事業であるグリーンエナジー事業では、木質バイオマス発電所の安定、高稼働を実現し燃料調達に係る経費の削減に努めることで事業収益を向上させていくことが喫緊の課題と認識しています。また、山林事業では、施業地の拡充や施業量の向上、経費の合理的な削減が課題であると認識しています。

 このため、これらを担う専門的な人員の確保、教育、業務の実践を継続することが重要な経営課題であると考えております。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、事業分野毎の収益性だけでなく、グループ全体での収益を最大化することが重要であると認識しております。これまで蓄積した省エネルギーや木質バイオマス発電所運営に関するノウハウを活用、展開することで、さらなる業績の拡大を目指してまいります。このため、連結での売上高及び営業利益率を重要な経営指標と考えております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、資源、エネルギーの利用と供給の両面から、現代の社会が求める合理性と安全を追求し、持続可能な地球環境の実現と当社の企業価値増大の両立を目指しています。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

 当社グループは、2022年10月、「サステナビリティ推進委員会」及び「サステナビリティ推進会議」を設置し、当社のサステナビリティの実現に向けて、マテリアリティに取り組んでいます。

 代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」は、社内取締役から構成され、グループのサステナビリティ方針、リスクと機会、中長期的な戦略、目標等について年2回以上にわたり審議を行い、審議結果を取締役会に上程しています。

 当連結会計年度の実施状況は以下のとおりであります。

 

サステナビリティ推進委員会実施状況

区分

開催年月

検討内容

第1回

2023年8月

・サステナビリティ方針

・マテリアリティ対策の追加

第2回

2023年12月

・エフオングループのGHG排出量

・GHG排出量削減計画

 

 取締役を議長とする「サステナビリティ推進会議」は、役職員から構成され、取締役会とサステナビリティ推進委員会で決定された方針の下、マテリアリティへの対応について計画を策定実行するとともに、各部門からの情報を集約し、目標に対する進捗状況の把握等も担っています。サステナビリティ推進会議は年4回以上開催し、会議結果をサステナビリティ推進委員会に報告しています。

 当連結会計年度の実施状況は以下のとおりであります。

 

区分

開催年月

検討内容

第1回

2023年7月

・サステナビリティ方針

・マテリアリティとTCFD対応策ロードマップ

・GHG排出量の算定状況及び体制

第2回

2023年8月

・サステナビリティ方針

・マテリアリティ対策の追加

第3回

2023年12月

・GHG排出量の算定状況

・GHG排出量削減の移行計画

・マテリアリティ及びTCFD対応策

・ロードマップの周知や取組方法

第4回

2024年3月

・今後の進捗管理項目及び指標

・2024年度の取組み

 

 

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② 戦略

a.サステナビリティ方針

 当社グループの描く2050年の世界観(VISION2050)及び当社グループの事業特性、さらにはサステナビリティ推進に関する国内外の動向等を踏まえ、以下のようにサステナビリティ方針を策定しました。

 

エフオングループは、資源、エネルギーの利用と供給の両面から、

現代の社会が求める合理性と安全を追求し、持続可能な地球環境の実現に貢献します

 

b.マテリアリティと対応策

 国際基準やガイドライン、当社グループ及び重要なステークホルダー双方の視点による様々な社会課題の評価結果等を踏まえて当社グループのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

 特定したマテリアリティとそれらを解決して新たな価値を創造するために、当社が行う対応策は次のとおりであります。

 

ア.地域と産業の持続的発展に貢献

マテリアリティ

対応策

森林資源の持続的かつ循環的な活用

・地域産木材の活用

・苗木育成、植林

・建築廃材の利活用

・資源循環利用による発電事業と山林事業の一体的経営

安定的な再生可能エネルギーの供給

・木質バイオマス発電の発電量拡大

・社有林拡大

・発電用燃料の安定調達

地域活性化への貢献

・地域人材の採用

・関係企業との連携

・地域売電

・地域産木材の販売

・地域からの燃料調達

 

イ.人と地球環境の未来に貢献

マテリアリティ

対応策

事業活動に関わる人々の人権尊重

・人権方針の策定

・e-ラーニングによる人権関連研修

脱炭素社会への貢献

・再生可能エネルギーの供給拡大

・省エネによるエネルギー需要量最小化と再エネによるCO2排出量最小化の同時推進

・社有林拡大、森林管理高度化によるCO2吸収量の増加

・カーボン・クレジットの創出

・温室効果ガスの削減

森林生態系の保全・水源涵養

・環境林の保全

・水源涵養保安林の管理

・地域特性に応じた樹種の選定、育成、植林

・植林面積・本数の拡大

 

ウ.事業運営基盤の強化

マテリアリティ

対応策

多様な人的資本の強化

・人材育成方針及び社内環境整備方針の策定

・多様性確保のための目標設定

労働安全衛生の確保

・安全衛生方針の策定

・安全衛生教育

・安全衛生の継続的な改善

リスクマネジメントの強化

・事業継続計画(BCP)

・サイバーセキュリティ対策

・化学物質の管理

 

 

③ リスク管理

 サステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ推進委員会において識別を行い、内部統制委員会でその管理を行い、取締役会に報告しています。また、サステナビリティに関連するリスク対策の実行は、サステナビリティ推進会議にて行うものとし、その実施状況を内部統制委員会に報告します。

 なお、内部統制委員会では、全社的なリスク管理を行っていますが、統合的リスク管理の高度化に向けて、引き続きリスク管理体制について検討を進め、適宜見直していきます。

 

④ 指標及び目標

 サステナビリティ推進状況を管理するために設定した主な指標及び目標とそれに対する実績は以下のとおりであります。

 なお、気候関連及び人的資本・多様性に関する指標及び目標は、「(2)気候変動関連情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示の④指標及び目標」、「(4)「人的資本・多様性」に関する事項の②指標及び目標」に記載しています。

 

指標

単位

2023年度

実績

目標

状況

経営山林面積

ha

4,799

6,000

未達

社有車のハイブリッド化割合等

軽油燃料促進剤の効果検証中

モーダルシフト、軽油燃料促進剤、ハイブリッド車の導入検討

達成

自社植林面積

ha

38.9

20

達成

 

 

(2)気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示

 気候変動は、最も重要な社会課題の一つであり、エネルギー事業や山林事業を営む当社グループにとっても、解決すべき経営課題です。2022年9月、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しました。また、取り組むべきマテリアリティの一つとして、脱炭素社会への貢献を掲げています。

 

① ガバナンス

 気候関連のリスクと機会については、「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」に記載のガバナンス体制のもと、取締役会による監視と代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ推進委員会」による評価と管理を行っています。

 

② 戦略

<前提となるシナリオ>

 当社では、脱炭素社会実現に向けた厳しい規制が課され気候変動の進展を抑えられた世界を想定した1.5℃シナリオと、規制が強化されず気候変動が進み台風や集中豪雨等の自然災害が激甚化する世界を想定した4℃シナリオを想定し、リスクと機会及び対応策について検討を行いました。

 1.5℃の世界では、2050年まで道のりとして、政策と法の執行及びテクノロジーの進展などにより、カーボン・ニュートラルが達成されるシナリオを検討しました。

 カーボン・ニュートラルとなる2050年までには、化石燃料の使用が削減され、再生可能エネルギー発電が拡大するとともに、大型車両はハイブリッド化を経て電動化が進むことが予測されます。

 この際、最終的にカーボン・ニュートラルを達成するにはオフセットが必要となり、森林由来カーボン・クレジットが重要な役割を果たすものと考えられます。

 

<影響度の定義>

 当社への事業にあたえる影響 大:30億円以上、中:30億円未満、5億円以上、小:5億円未満

 

<シナリオ分析に基づく当社のリスクと機会>

 気候変動に関わる制度、市場、気象などの変化は、当社の事業活動にとってリスクとなりうる一方で、当社の事業構成上、大きな事業機会であると考えています。当社ではサステナビリティ推進会議の下、TCFD開示作業部会を設け、2022年10月より2023年2月まで、上記前提によるシナリオ分析に基づき気候変動の移行機会とリスク及び物理リスクの定性評価及び定量評価を行い、その結果についてサステナビリティ推進会議に報告し、サステナビリティ推進委員会、取締役会にて特定をしました。この際、1.5℃シナリオは、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のWEO2022(NZE)、4℃シナリオは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書(RCP8.5)、第6次評価報告書(SSP5-8.5)を利用して分析しました。特定した主なリスクと機会、当社への影響と対応策は下記の通りです。

 

移行機会とリスク

区分

事業環境

機会/リスク

当社への影響

内容

2030年

2050年

政策と法

・規制強化によりカーボン・プライシングの導入が進み、非化石エネルギー、クレジット取引、脱炭素関連事業の市場が拡大する

機会

・脱炭素規制強化による再エネ需要の拡大

・木質バイオマス発電事業、電力小売事業の売上増加

・カーボン・プライシングの導入による森林の新たな付加価値の向上

・社有林の森林由来クレジットの販売による収益拡大

リスク

・気候変動、脱炭素対策規制への対応

・燃料輸送コストの増加、対策設備・重機導入コストの増加

市場

機会

・環境保護意識の向上に伴う、中高層建築物等への国産木材の需要拡大

・木材価格の上昇及び販売量の増加による収益拡大

リスク

・木質バイオマス発電所の増加を受けた、燃料チップ調達環境の変化

・燃料チップ調達コストの増加

テクノロジー

・技術革新を受けた発電コスト低減により非化石電源の導入が進む

機会

・省エネ(素材、技術、手法等)の技術革新

・省エネ事業範囲、機会の拡大による売上増加

・早生樹(※1)、エリートツリー(※2)の普及

・販売量の増加による収益拡大

・技術開発により、エネルギー利用効率化や林業のイノベーションが進む

リスク

・競合する再エネ電気の発電コスト低下

・FIT・FIP後の木質バイオマス発電事業、電力小売事業の売上減少

評判

・社会の意識変化により、気候変動への取組状況が企業評価に影響

機会

・森林再生・環境貢献型企業に対する評価の高まり

・企業価値、ブランド力の向上

・省エネ、木質バイオマス発電・電力小売り、山林事業の売上増加

リスク

・再エネ定義の見直し

・木質バイオマス発電の持続可能性評価の厳格化

※1.早生樹:「早く」「成長する」「樹種」の総称です。一般的には、スギやヒノキに比べて初期の樹高成長量や伐期までの材積成長量の大きな樹種を指します。10年から25年位の比較的短伐期での収穫が可能で、センダン・ユリノキ・チャンチンモドキ・コウヨウザン等の種類があります。(出典:近畿中国森林管理局)

※2.エリートツリー:各地の山で選抜された精英樹(第1世代)の中でも、特に優れたものを交配した苗木の中から選ばれた、第2世代以降の精英樹の総称です。主に成長性が改良されており、特に初期成長の早さが特徴です。材質や通直性にも優れています。(出典:森林総合研究所)

 

 

<対応策>

(政策と法、市場、テクノロジー)

・純国産木材活用による森林資源循環型の再生可能エネルギーとして、木質バイオマス発電事業と電力小売事業を積極的に展開

・エネルギー消費量削減に寄与する革新技術の早期導入による、省エネルギー支援事業強化

・社有林の拡大と維持管理、苗木生産、植林を推進し、森林由来クレジットの創出

・林業就業者の人材育成を進めるほか、高性能林業機械、ICT、早生樹・エリートツリーの導入を進め、山林経営を効率化

・効率化された社有林から燃料調達量の拡大を進め、FIT・FIP後を見据えた燃料調達と発電コスト低減

・各拠点で使用する重機・大型トラックのハイブリッド化、電動化や電力の再エネ化等による、GHG排出量の削減

 

(評判)

・ステークホルダーへの情報開示による、企業価値向上

・純国産木材由来の木質バイオマス発電と山林の一体的な経営による、資源の循環再生や持続可能性に関する発信の強化

 

物理リスク

区分

事業環境

リスク

当社への影響

内容

2030年

2050年

急性的

・気候変動に起因する水害等の自然災害の増加

リスク

・異常気象による自然災害リスクの拡大

・送電機会の損失、復旧や対策建設費の増加

・燃料チップ調達障害、調達コスト増

 

<対応策>

・事業継続計画(BCP)による対策強化

・燃料調達網の強化

 

③ リスク管理

 気候関連リスクについては、「(1)サステナビリティ全般③リスク管理」に記載の、サステナビリティに関連するリスクの一部として管理しています。

 

④ 指標及び目標

a.エフオングループ トランジション戦略

 当社グループは、カーボン・ニュートラルに向けて、発電を除くScope1+2を2030年度50%削減(2021年度比)、2050年度ネットゼロを目標に「エフオングループ トランジション戦略」を策定しました。

 

ア)木質バイオマス発電の発電量拡大により当社の成長と社会のカーボン・ニュートラルへの貢献

 

2021年度実績

2030年度目標

GHG排出量

4,595t-CO2

2021年度比(注)50%削減(2050年までにカーボン・ニュートラルを達成)

木質バイオマス発電量

5億kWh

10億kWh

エフオングループ トランジション戦略

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(注)発電燃料である木質チップ由来の排出量を除きます。

 

イ)社有林の拡大及び伐採後の植林により、森林吸収量を拡大して気候変動抑制に貢献するとともに、カーボン・クレジットを創出しオフセットに寄与

 

 

(単位:t-CO2)

 

2021年度実績

2030年度目標

森林CO2吸収量

3,040

6,000

 

 

b.2023年度の実績

当社グループの2023年度の実績は以下のとおりであります。

 

ア)木質バイオマス発電の発電量拡大による当社の成長と社会のカーボン・ニュートラルへの貢献

 

2021年度実績

2023年度実績

2030年度目標

GHG排出量

(t-CO2)

Scope1(当社グループによる温室効果ガスの直接排出)

4,173

5,039

50%削減(注)

(2021年度比)

Scope2(他者から供給された電気の使用に伴う間接排出)

422

111

 

合計

4,595

5,150

 

内、木質チップ由来を除く

排出量

3,376

3,229

 

(削減率4.4%)

木質バイオマス発電量(kWh)

500,000,000

666,557,534

1,000,000,000

(注)発電燃料である木質チップ由来の排出量を除きます。

 

イ)社有林の拡大及び伐採後の植林により、森林吸収量を拡大して気候変動抑制に貢献するとともに、カーボン・クレジットを創出しオフセットに寄与

 

 

 

(単位:t-CO2)

 

2021年度実績

2023年度実績

2030年度目標

森林CO2吸収量

3,040

183.7

6,000

注)主伐による排出量は、主伐林齢までの蓄積を主伐年度に一括算定するので、森林の年々の成長に基づき算定する吸収量に比べると面積あたりで10倍以上大きく、吸収量を相殺(出典:J-クレジット制度事務局)してしまうため、2023年度の吸収量は、2021年度より小さくなっております。

 

ウ)その他トランジション戦略関連指標

指標

単位

2023年度実績

2030年度目標

購入電力再エネ率

55.5

100

N2O、CH4

排出量分析

削減技術の評価

 

(3)生物多様性の保全

 2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までに「生物多様性の損失を止め反転させる」、すなわちネイチャーポジティブ(自然再興)がミッション(使命)として掲げられました。自然資本の恩恵の下に事業活動を営む当社グループにおいても、生物多様性の保全は重要な経営課題です。

 このため、2023年より京都府京都市右京区の社有林約500haを対象に生物多様性調査を開始したところ、環境省のレッドデータブック(RDB)で絶滅危惧種IB類(EN)であるクラガリシダをはじめ、多くの希少種の生息を確認しました。今後も、多様な動植物が自然に繁殖できる環境を守り続け、ネイチャーポジティブの実現に貢献してまいります。

 

(4)「人的資本・多様性」に関する事項

 当社グループは、対処すべき課題でも触れた通り、専門的な人員の確保、育成の継続を重要事項としております。これらの実現するためには、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進を計画的に具現化することで多様な人材の採用や、ワークライフバランスを考慮した働き方改革を継続することで多様な働き方を取り入れてまいります。加えて、社員一人ひとりの健康こそが、事業発展の基礎であるとする、健康経営を推進します。こうした施策を合わせることにより、社員の定着率や働き甲斐のある職場環境の実現に取り組んでまいります。

 人材育成方針については、人的資本価値を高めるために経営戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動が不可欠であることから、現場実践を重視した教育を中心に検討し戦略・目標策定を実現してまいります。

 

① 戦略

 当社グループが今後も持続的な成長を遂げるためには、中長期的な戦略に沿った人材の育成が不可欠であるとの考えのもと、新入社員から管理職に至るまでの階層に合わせた階層別研修をはじめ、従業員の職務や役職において必要とされる人材に育成するための各種教育研修制度や技術の習熟度を測りグループ全体の技術力の向上を目指す「グループ技術技能検定」を継続して実施し能力開発を可能にしております。

<人材育成の主な取組み>

 

取組事項

具体的内容および実施状況

(a)

階層別研修

新入社員研修、若手社員研修、中堅社員研修、管理職研修の各研修を実施いたしました。次年度も同様の研修を実施予定としております。

(b)

リーダーシップ/

マネジメントスキル育成

リーダー職や管理職としての役割遂行に必要な能力やスキルを特定し、外部教育機関による研修を活用してリーダーシップやマネジメントスキルを習得する機会を提供しております。

(c)

グループ技術技能検定

バイオマス発電所に特化した技術の習熟度を測りグループ全体の技術力の向上を目指す、「グループ技術技能検定」の継続的に実施しております。

(d)

自己啓発プログラム

従業員が自ら学び能力開発する場を提供するため、外部教育機関を活用し、各人で選択可能な自己啓発プログラムを提供しております。

(e)

OJT制度

技術と経験を有する社員が、若手社員の指導育成を担当することで、社内で受け継がれてきたノウハウを伝承しており、今後とも熟練社員の技術の継承、知識の共有に努めてまいります。

(f)

リスク管理研修

企業全体のリスク管理の一環として、ハラスメント、コンプライアンス、情報セキュリティの各種研修のデバイスを固定せず実施できるよう環境と機会を提供しております。

 

 

<人的環境整備の主な取組み>

 人的資本の強化は、当社グループにおいて制度面を含めた環境整備に取組み、社員一人ひとりを対象に、健康保持増進のケアあるいは中長期的な企業価値向上に欠かせない優秀な人材の確保のため継続して行うことが重要だと認識しております。

 

取組事項

具体的内容および実施状況

(a)

多様性の確保

多様な知識、経験を持つ人材の獲得や多様な働き方として副業制度の導入を実施しております。

(b)

高年齢者雇用

高年齢者雇用安定法の改正より前倒しにて定年延長施策を65歳として実施しており、合わせて確定拠出年金についても改定を行っております。

(c)

育児介護休業

育児・介護休業法の改正法導入より前倒し施策として、現在行われている短時間勤務に加えて「テレワーク」を選択肢としたことやその対象年齢を小学校3年生までと法案を上回る施策を行っております。

(d)

生活習慣病予防

生活習慣病高リスク者に対する特定保健指導の勧奨に取り組んでおります。「健康経営優良法人2024」(中小規模法人部門)に昨年に引き続き認定されました。

(e)

労働安全衛生の確保

安全操業、労働災害撲滅を最優先課題とし自主的な安全衛生活動を推進し安全で働きやすい職場環境づくりを進めております。

(f)

従業員向けインセンティブプランの導入

福利厚生の拡充、及び株主としての資本参加による従業員の勤労意欲高揚やリテンション効果を通じた当社グループの恒常的な発展を促すことを目的として、本制度を導入しております。

(g)

確定拠出年金制度の拡充

勤続年数に伴った会社掛金の額面を増額改定し、長く安心して働く環境を強化しております。

 

② 指標及び目標

 当社グループは、上記「①戦略」において記載した人材育成の主な取組み及び人的環境整備の主な取組みに関して次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

各戦略

人事KPI

実績(2024年6月期)

2025年6月期

多様性の確保

男性育休取得人数

1

5

人材強化

研修受講人数

延べ423

延べ400

職場環境の整備

育児休業復帰率

100

100

有給休暇取得率

87

86

ストレスチェック受検率

100

90

 

3【事業等のリスク】

 「事業等のリスク」には、当社グループの財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

 将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが入手可能な情報等に基づいて判断したものです。

 

① 省エネルギー支援サービス事業について

ⅰ パフォーマンス契約であること

 省エネルギー支援サービス事業は、対象施設全体のエネルギー使用状況に関する調査、診断、コンサルティングから施工、維持管理、その後の効果の測定・検証の提供までを一貫して行い、実施した省エネルギー対策について、一定の省エネルギー効果を保証するものです。

 省エネルギー支援サービス事業の一部の契約は、一定のエネルギー削減効果をESCO事業者が保証するパフォーマンス契約を包含しており、一定の省エネルギー効果が実現できない場合には、ESCO事業者は顧客企業に対してパフォーマンス契約に基づく省エネルギー保証値を補償するリスクを負っております。

 また、ESCO事業者が顧客に代わり省エネルギー設備の投資を行う場合、顧客信用力に起因する設備投資に係る回収リスクを潜在的に内包しております。当社グループにおいては、小型案件の一部例外を除いて、金融機関との間で当該回収リスクは金融機関が負うノン・リコース型ファイナンス契約を組成することにより、顧客の倒産リスクを回避しております。

 

ⅱ 燃料価格の変動について

 省エネルギー支援サービス事業の一つのサービス・メニューとしてオンサイト発電サービスがあります。本サービスは、ESCO事業者が顧客に代わり自家発電設備への投資を行い、自家発電設備の運転・維持管理を代行し、顧客に電力等を供給するものです。

 本サービス実施のためには、重油・LNG等の発電用燃料を当社グループが調達する必要があります。重油・LNG等の燃料価格は、世界的な原油需要や産油国の動向により変動しますが、燃料価格の高止まり又は著しい高騰等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅲ 設備の安定稼動について

 当社グループが保有するオンサイト発電設備(自家発電代行サービス用設備)等の運営においては、設備が安定稼動するようにメーカー及びメンテナンス会社と十二分に協議を重ね、保守・点検を実施し、運営を行っております。しかしながら、当社グループの想定外の理由に伴い、計画した稼動を行うことができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ⅳ 個別事業の中途清算等について

 省エネルギー支援サービス事業の契約形態のうちシェアード・セイビングス契約では設備所有を当社が担っており、顧客とのエネルギーサービス契約は契約終了時に更新又は設備の購入の選択権を顧客が有しております。当事業スキームでは、原則的に設備は法定耐用年数に相当する期間利用することを前提としておりますが、何らかの事情により事業を中止及び契約期間中又は終了時に清算することとなり、顧客が設備購入を選択した場合、購入額と設備の簿価又は設備に係る債務残高との差異、あるいはその他債務の負担等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② グリーンエナジー事業(再生可能エネルギーによる発電事業)について

 当社グループの運営する発電所は、主に2012年7月に施行されたFITに基づく発電事業を営んでおります。

この制度を背景として、現在、木質バイオマス発電所を大分県日田市及び豊後大野市、栃木県下都賀郡、和歌山県新宮市で操業しております。FITの電力買取条件については、調達価格等算定委員会にて調達買取価格等について検討がなされ年度ごとに見直しが行われます。同制度にて発電設備認定を受け決定された調達期間(日田発電所は2013年3月認定を起点として約14年、豊後大野発電所は2016年7月送電開始を起点として20年、壬生発電所は2016年度FIT認定、送電開始を起点として20年、新宮発電所は2018年度FIT認定、送電開始を起点として20年)及び調達買取価格は調達期間中に変更されることはありませんが、新設発電所の調達買取価格は、同制度の適用決定時期により当初計画された事業計画の価格と乖離する可能性があります。その場合、当社グル―プの事業計画に影響を及ぼす可能性があります。また、政策の転換等により既存の発電所が同制度の適用を受けられなくなった場合、同じく当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅰ 木質バイオマス燃料の確保について

 木質バイオマス発電所の運営においては、安定的な燃料を確保することが重要です。当社グループが燃料として使用する木質バイオマス燃料は、伐採木材、製材所や木工加工メーカー等から排出される廃材、建築解体現場から排出される建築廃材等を粉砕加工したものです。当社グループは、木質バイオマス燃料製造会社(以下、「燃料製造会社」)から木質バイオマス燃料を購入いたしますが、自然災害等の不測の事態により燃料製造会社から木質バイオマス燃料の供給が中断する場合や燃料価格の高止まり又は著しい高騰等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅱ 木質バイオマス燃料の品質の確保について

 木質バイオマス発電所の運営においては、安定的な燃料量を確保することと共に、その品質の安定化が重要です。当社グループは、調達する木質バイオマス燃料の品質に関し燃料製造会社と契約書や合意書を取り交わしておりますが、想定された規格に満たない品質の燃料、もしくは燃料に異物が混入した場合には、発電設備に損傷を与える可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅲ 設備の安定稼動について

 木質バイオマス発電所の運営においては、設備が安定稼動するようにメーカー及びメンテナンス会社と十二分に協議を重ね、保守・点検を実施し、運営を行っております。しかしながら当社グループの想定外の事態が発生し設備が損傷した場合、計画した発電を行うことができず当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ⅳ FITの木質バイオマス発電事業の売上総利益率について

 FITの木質バイオマス発電では、未利用木材、一般木材、リサイクル木材の混合割合により電力販売単価が変動します。電力販売単価の計算は、これらの木質チップの熱価量、水分量、購入量等により定められた方法によりバイオマス比率を計算し、電力量の加重平均により求めます。これらの要素は燃料が自然由来のものであるため常に変動することから、ある特定の期間の売上総利益率が変動する可能性があります。

 

ⅴ FIPの木質バイオマス発電事業について

 当社グループのエフオン白河発電所は、2023年1月にFIPに移行いたしました。(FIP有効期間:白河発電所は2013年3月認定を起点として約14年)、FIPの売電価格は一般社団法人日本卸電力取引所の取引価格を参照してプレミアム価格が決定されるため、同取引価格が大きく変動した場合プレミアム価格も変動し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 電力小売事業

 電力小売事業は、「電気事業法」に基づく事業であり、同法やその他電力小売事業に関連する法条例の改正により電力の販売や購入に関する制度が改定され事業基盤の構造に重大な変化が生じた場合、また、電力取引の元となる一般社団法人日本卸電力取引所の取引価格が大きく変動した場合のほか、一般送配電事業者との送受電取引において結果として計画値と大幅に異なる電力量の取引が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害及び不測の事故等について

 当社グループが保有するオンサイト発電設備(自家発電代行サービス用設備)及び木質バイオマス発電所、さらには推進中の新設木質バイオマス発電所について、自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、事業運営や事業計画に支障を来たし、ひいては顧客企業、周辺地域に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの所有する山林事業施業地について、地滑り、山火事、その他の災害により林産物が毀損する事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 国のエネルギー政策の転換又は国際社会情勢の変化について

 現在、我が国はエネルギー政策基本法に基づき省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入を進めております。また国際社会においては、気候変動に関する国際連合枠組条約に基づき温室効果ガスの削減が取り組まれております。同条約の京都議定書は、これをロシアが正式に批准したことにより、2005年2月16日に発効し、国際社会における温暖化ガス削減に向けた実効性のある取組みが確立されることになりました。また、2015年12月には第21回気候変動枠組条約締約国会議がパリで開催され、新たに温室効果ガス排出量削減の目標値が定められるとともに、その目標を達成するための国内対策の義務を負うこととなりました。

 我が国のエネルギー政策は、FITや省エネ法の改正、電力システム改革等により今後様々な分野で変革が進行すると予想されます。これらの基本方針や施策の変更により、当社グループの事業運営や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 法的規制について

 当社グループの事業の一部は、「電気事業法」による規制を受けており、本法規を遵守する義務があります。また、経済産業省資源エネルギー庁が実施する新エネルギー事業者支援対象補助金や独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施するエネルギー使用合理化事業者支援事業補助金等の交付を受けております。したがって、国の補助金の適正運用を定めた「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の適用を受けます。

 当社グループが保有するオンサイト発電設備においては、廃油(エンジンオイル)の処理が必要であり、当社グループは排出者として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を遵守する義務があります。当社グループがこれら法律及び規制を遵守できなかった場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 現在新株予約権を付与しておりませんが、今後新株予約権が付与され行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑧ 大株主の状況について

 当社の筆頭株主である日本テクノ㈱は2024年6月30日現在、当社の発行済株式総数の32.58%を所有しております。このことから同社による当社株主総会での議決権行使が、当社の事業運営等のガバナンスに影響を与える可能性があります。しかしながら、今後の新たな省エネルギー及び再生可能エネルギーに関するビジネス展開を拡充していく点で、同社との協調関係を構築することは当社の企業価値向上に資するものであり、株主の皆様の利益向上にもつながるものと考えております。なお、当社の事業活動において、同社からの制約は無く、事業運営上の独立性は確保されていると認識しております。

 

⑨ 有利子負債依存度について

 当社グループは、運転資金、設備投資資金について金融機関及びリース会社から調達しております。このため総資産に占める有利子負債(借入金)の割合が2024年6月30日現在で52.8%と高い水準にあります。今後、有利子負債依存度が高い状態で金利が上昇した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ シンジケートローンについて

 当社の子会社の一部は、発電所建設資金の調達を行うためシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 感染症の拡大について

 現段階で治療法の確立していない感染症等に当社グループの役員、従業員及び子会社従業員が罹患した場合、さらなる感染症拡大防止措置として罹患者と接触のあった者の隔離のため、事業運営に支障を来たし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような感染症等が当社グループの事業所地域に広範囲に広がった場合、当社グループの各事業所が必要とする部材、燃料等の物流が停滞する、ないし行政の命令、要請等による業務の制限等により事業運営に支障を来たし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ その他の偶発的なリスクについて

 当社グループは、得意先の信用不安等のリスクに備えていますが、その他の要因も含め偶発的な事象に起因する取引先の事業環境等の変化により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、当社グループの第1四半期連結会計期間にあたる昨年の夏季において記録的な暑さが続き、人流の抑制が懸念されたものの、国内はもとより訪日外国人の旅行やインバウンドの回復により国内の観光、旅行、運輸、飲食等の業界を中心に業績が向上いたしました。一方、2024年年明けに能登半島地震が発生し一部の機械や半導体、食料品の製造業工場の被災に関連するサプライチェーンの寸断やインフラ回復の遅れによる地域経済の復興に大きな影響を与える結果となりました。また、国民生活全般に関しては円安が進行しあらゆる物品の値上げが継続しており、企業における賃上げ施策や政府、地方自治体の子育て支援への動きが活発に論じられる状況で推移いたしました。

 当業界においては、日本卸電力取引市場の取引単価は比較的低い水準で安定的に推移いたしました。大手電力会社においては、昨年の一般消費者向け電力料金の値上げや発電に要する燃料価格の下落により極めて順調な業績となりました。一方、電力需要家からの視点では、電力料金値上げに対する緩和策としての電気・ガス価格激変緩和対策事業補助金の導入や延長が繰り返されている状況のほか、再生可能エネルギー賦課金の引き上げや託送料金の算定方法の変更、将来の電力の供給力を売買する容量市場の運用の開始等、電力料金の先行きには不透明な要素を含め消費者の負担は増加する傾向にあるものと予想されます。

 このような状況のもと、当社の省エネルギー支援サービス事業に関しては、既存プロジェクトに関する売上高は小規模ながら継続している一方、新規案件の受注は能登半島地震の影響で一部順延となりました。一部のプロジェクトでは、引き続き設備のメンテナンス実施や省エネルギーのノウハウを活かした改修を実施する等業容維持に努めており、当連結会計年度では設備保全費が減少し増益となりました。

 グリーンエナジー事業における発電事業においては、落雷による送電停止や一部発電所においてトラブルによる計画外停止が発生したものの、各発電所の稼働は堅調に推移し当連結会計年度の送電量は前連結会計年度を大きく上回る実績となりました。エフオン白河発電所は、2023年1月よりFIP制度(フィードインプレミアム(Feed-in Premium))に移行しており前年度実績のFIT制度(フィードインタリフ(Feed-in Tariff))との比較では、当連結会計年度ではFITとほぼ同等の業績となりました。FIP制度では、同制度における長期の業績をFITと同等のものとするよう設計されており、ある期間でFITを上回る業績であったとしてもその後のいずれかの期間において過去の上振れた業績の調整が行われ、その一部を吐き出す動きで推移いたします。当連結会計年度では、上半期においてFIT制度の指標を上回る業績で推移し下半期では逆に下回る業績で推移いたしました。また、FIP制度下の電力はすべて当社が購入していることからセグメント情報の内部売上高又は振替高が前年同期に比べ大幅に増加しております。

 その他のグループ内発電所の業績では、前連結会計年度と比較して燃料消費量は低下傾向にあるものの燃料費は依然高水準で推移し業績を大きく押し下げる結果となりました。燃料以外の費用では、定期メンテナンスに係る価格が例年に比べ大幅な増加となったほか、灰処理費用が増加し収益を圧迫する結果となりました。

 当社の電力小売事業ではグループ発電所の発電する電力をトレーサビリティ付の非化石証書と合わせグリーン電力として顧客へ販売する取り組みを推進しております。当連結会計年度においては市場連動型の電力販売に力を入れ契約電力量の獲得に尽力したことで、売上高は大幅に増加し黒字化を達成することが出来ました。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高17,473百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益600百万円(前年同期比57.0%減)、経常利益346百万円(前年同期比73.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は281百万円(前年同期比65.9%減)となりました。

 

(省エネルギー支援サービス事業)

 当連結会計年度においては、省エネルギー支援サービス契約の既存プロジェクトに係る売上高は、ほぼ前年と同等の結果となりました。エネルギー供給型の契約に代わり設備保守等のメンテナンス分野でプロジェクト維持に係る契約がスタートし、当連結会計年度では減価償却費や保険、その他の費用が逓減したことで業績が回復いたしました。なお、前連結会計年度のセグメント間の内部売上高はグループ内発電所建設に係るもので、完工により当連結会計年度は計上しておりません。

 当連結会計年度の本事業セグメントの業績は、売上高では213百万円(前年同期比50.3%減)、セグメント利益は51百万円(前年同期26百万円の損失)となりました。

 

 

(グリーンエナジー事業)

 当連結会計年度におけるグリーンエナジー事業は、第1四半期連結会計期間にエフオン日田発電所及びエフオン新宮発電所において落雷による所内単独やボイラー補機のトラブルによる計画外停止が発生いたしましたが、第2四半期連結会計期間においてエフオン白河発電所、エフオン日田発電所、第3四半期連結会計期間においてエフオン新宮発電所、エフオン壬生発電所、第4四半期連結会計期間においてエフオン豊後大野発電所がそれぞれ定期点検を実施し計画停止を実施したほかは極めて順調な稼働で推移いたしました。当連結会計年度ではエフオン新宮発電所の通年稼働を加え、送電電力量及び電力売上高は過去最高水準となりました。

 一方、原価に関して木材市場の高騰から間伐材等の木質チップ燃料は、流通量が低下し購入価格を押し上げたことや比較的水分量の多い燃料が多く、発電所の燃料消費量を増加させる要因が継続しております。このため、山林事業の原木伐採量の一部を発電所付属のチップセンターで燃料に転換する業務を拡大するとともに、同事業の施業地獲得を拡充しております。これらの施業量増加に伴い外部委託費等のほか流通経費が増加したことや、山林事業の施業に係る大型設備の減価償却費が負担となりました。また、発電所に係る経費では、通例の発電設備定期点検メンテナンス費用に加え、エフオン日田、エフオン新宮発電所で将来の安定稼働に必要と思われる設備箇所の重点点検、補修を実施したことで定期メンテナンス費用が大幅に増加したほか、灰処理費用の単価が値上がりし同費用の額が増加しております。これらのことから、本事業セグメントの売上高は増加したものの、利益は大幅に減少する結果となりました。

 当連結会計年度の本事業セグメントの業績は、売上高で16,782百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益627百万円(前年同期比60.9%減)となりました。

 

(財政状態)

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、長期借入金の追加実行により現預金が増加したほか、電力小売事業に係る売掛金が増加いたしました。減少した資産は、木質チップ燃料や定期メンテナンスの貯蔵部品に係るたな卸資産が使用により減少したほか、固定資産では山林事業に係る土地、立木が増加したもののその他の発電所に係る資産は減価償却費の計上により減少しております。これらにより、資産合計は前連結会計年度より455百万円減少し、45,262百万円となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、電力事業の契約拡大に基づき支払手形及び買掛金、未払金が増加しておりますが、借入金の返済により1年内返済予定長期借入金及び長期借入金、メンテナンス実施によりメンテナンス費用引当金が減少したほか、未払法人税等が大幅に減少しております。負債の合計は、前連結会計年度より499百万円減少し27,028百万円となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加のほか、従業員向け株式報酬制度導入に係る自己株式の取得により、前連結会計年度より44百万円増加し18,234百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,202百万円増加し、5,210百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は2,578百万円(前年同期3,673百万円の収入)となりました。主な要因は、子会社発電所設備や山林事業に係る施業機械設備の減価償却費の増加、木質チップ燃料及び定期メンテナンスに係る部品等の棚卸資産の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、630百万円(前年同期1,542百万円の支出)となりました。主に山林事業の施業地拡大に伴う土地、立木の増加のほか、子会社発電所の設備改修に係る有形固定資産の取得による支出です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、745百万円(前年同期2,292百万円の支出)となりました。主な要因は長期借入金の実行による収入のほか、各発電所の発電所建設資金に係る長期借入金の返済による支出です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

 省エネルギー支援サービス事業では、サービスの提供にあたり製品の生産は行っておりませんので、生産実績について記載すべき事項はありません。グリーンエナジー事業における生産は、それぞれの事業における発電所の発電であり、その実績は次のとおりです。

セグメントの名称

発電実績(MWh)

前年同期比(%)

グリーンエナジー事業

589,856

101.9

合計

589,856

101.9

(注) グリーンエナジー事業の発電実績は、エフオン日田、エフオン白河、エフオン豊後大野、エフオン壬生、エフオン新宮の5基の発電所より送電された電力です。

 

(受注実績)

 省エネルギー支援サービス事業においては、顧客の需要に応じてサービスを提供いたします。また、グリーンエナジー事業においても、顧客の需要に応じてサービスを提供いたします。いずれも、受注販売の方式を採用しておりませんので、受注実績について記載すべき事項はありません。

 

(販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

省エネルギー支援サービス事業

213

5.1

グリーンエナジー事業

15,101

△3.8

その他

2,158

107.4

合計

17,473

3.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売高に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

九州電力送配電株式会社

6,283

37.1

6,147

35.1

東京電力パワーグリット株式会社

3,730

22.0

3,886

22.2

東北電力ネットワーク株式会社

1,158

6.8

関西電力送配電株式会社

3,505

20.7

3,687

21.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績等)

 当連結会計年度の省エネルギー支援サービス事業においては、省エネルギー設備の維持を管理する契約で外部顧客あて売上高は前期同様の水準で推移いたしました。一方、セグメント間の内部売上高に関しては、グループの発電所建設工事が前期に完了したことで大幅に減少いたしました。本事業セグメントでは、温暖化ガスの排出量削減の機運を反映し設備の改善、更新等の施工工事請負へと変化してきております。顧客の求めるエネルギー利用の効率化のほか、施工工事全体のコスト低減、工事品質の管理といった分野において、当社グループがこれまで培ったノウハウを十分に発揮し信頼を獲得できるよう万全の体制で臨んでおります。当連結会計年度の経営環境は、年初に発生した能登半島地震の影響で進めていた案件の一時停止や順延が発生したほか、為替の下落、エネルギー価格の上昇のほか、労働力不足等の要素が素材や部品の調達、施工に少なからず影響を及ぼす状況が継続しております。当社グループでは、省エネルギーに関するノウハウや開発施工の技術をグリーンエナジー事業とのシナジー効果が発揮できるよう木材資源の有効利用、新素材開発等を通じて事業領域を拡大してまいります。

 グリーンエナジー事業においては、グループ発電所の安定稼働により発電量及び売上高は、過去最高額を計上しております。一方、各発電所の使用する未利用木材の調達では、流通する素材原木の質、量ともに悪化し苦戦を強いられる状況が継続しております。木材に関する事業環境は原木の切出しから製品加工へとつながる流通の滞留期間が短くなっており、素材の含水率が比較的高い状態で推移し結果として燃費を悪化させる要因となっております。また、エフオン新宮発電所の立地近隣での燃料調達が想定した量を下回り主に九州地区から回送したため海運諸掛や荷役コストが大幅に増加しグループ全体の収益を圧迫いたしました。また、グループ発電所の使用する燃料チップ製造のためグループのチップ加工センターへ供給する原木の調達の一定程度を山林事業が担い量の確保を推進いたしました。原木の切出しに関しては、降雨の期間を回避するため短期間に集中して外部委託を活用したためその費用も増加する結果となりました。今後、燃料調達先の新たな開拓や陸送による搬送にシフトし収益を圧迫した要因の改善に努めてまいります。

 電力小売事業においては、当社グループの発電所が発電するFIT・FIP電力をグリーン電力として顧客へ販売する取組を拡大させております。当連結会計年度では、日本卸電力市場の市場価格に連動する電力販売契約を積上げ事業収益の改善に努めた結果黒字化を達成しております。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりの結果となりました。

 

(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

 当連結会計年度においては、エフオン新宮発電所の木質チップ燃料の調達に苦戦した結果、直接の燃料費に加え調達に関する荷役、運送、原木伐採等の外部委託費が想定を超過する状況で推移し収益を大幅に減ずる結果となりました。かかる状況を回避するため近畿、四国、東海地区での燃料調達先の確保に注力するとともに、グループの山林事業の拡充に努め山林経営の高効率化を推進してまいります。

 我が国の国土は、約66%が森林資源であります。これまで非住宅建築では鉄やコンクリートを構造素材とした手法が中心となっておりますが、今後、温暖化ガスの排出量削減や地球環境に配慮した持続可能な経営戦略の推進から木材の素材活用が注目を集めることと予想されます。当社グループでは、グループ事業の中核を担う木質バイオマス発電事業の永続的発展と山林経営を通じた木材素材の健全な利用に関し、木の育苗、育林、伐採、木材生産、販売のサイクルを発電事業や電力小売事業と融合させ持続可能な経営基盤を整備してまいります。

 こうした経営戦略を推進する上で気候温暖化に関する議論やその対策、地球環境に配慮した持続可能な社会の構築に関る意識の高まり等、各企業のこれまでの経営手法の大幅な変革が重要な要因となると考えます。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、当連結会計年度の収益が前連結会計年度に比べ大幅に低下したことで相当程度低下する結果となりました。その他の要因では売上債権の増加や仕入債務の増加のほか、前連結会計年度のその他の資産の増減額に含めて表示していた繰延消費税やメンテナンス費用引当金等の非資金振替が大きな要因で営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に減少いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローは、エフオン新宮発電所の建設が終わり有形固定資産の取得による支出が減少したことから大幅な支出減となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローでは長期借入れによる収入が増加し全体としての支出が減少いたしました。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループ木質バイオマス発電所の安定稼働に必要な施策や未利用木材燃料の安定供給に寄与する山林経営に必要な投資支出とグループ全体の出入のバランスを考慮し事業の継続発展に遂行上必要な資金の確保維持を推進してまいります。

 

③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。