第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念(存在意義・パーパス)は、以下の通りであります。
 
「インターネットイニシアティブ」との社名の通り、100年に一度の技術革新であろうインターネットの世界において、その技術革新をリードし、新たな利用形態を提案する画期的なサービス、プラットフォームの提供を通じて、ネットワーク社会の発展に貢献してまいります。


・技術革新によりネットワークインフラストラクチャ―を発展させてまいります

インターネット技術のイニシアティブを取り続け、より高速化するネットワークとコンピューティングによって新たに創出する価値を通じて、デジタル社会の未来を切り拓いてまいります。

 ・ネットワーク社会を支える仕組み(ITサービス)を提供してまいります

世の中の変化を捉え、その変化を先取りした高品質・高付加価値なITサービスを提供し続けることで、社会・個人によるネットワーク利用を支えてまいります。

 ・自己実現する職場の提供(多様な才能・価値観を有する人材が活躍できる場)

技術革新や社会貢献に積極果敢に挑戦する人材が集まり、誇りとやりがいをもって自律的に能力を発揮できる場を提供していきます。社員個々人が現状に満足せず常に先の世界を考えることで社会発展に貢献し、世間からも評価されることで成長を実感できるような会社であることを目指してまいります。

 

この経営理念に基づき事業運営することにより、継続的に当社グループの企業価値を増大し、また企業グループとしての社会責任を果たしていきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、売上高の構成、収益性、財務の健全性等に注視しつつ事業活動の推進を図っております。増収率、売上総利益率、営業利益率、ROE等の指標を参考とし、売上高の増加、売上原価、販売管理費及び設備投資水準の管理、事業及びサービス分野毎の採算管理等による収益性の向上に努めております。

 

 

(3) 中期計画(2022年3月期~2024年3月期)

当連結会計年度は、3カ年中期計画の初年度にあたりますが、営業利益率の実績は10.4%と想定を超過し、中期計画最終年である2023年度の営業利益率目標値について、当初公表値9%超を2021年11月に10%超に修正し、更に2022年5月に11.5%へと修正いたしました。

 


 

(4)サステナビリティ

①サステナビリティへの考え方

当社は国内初の本格的なインターネット接続事業者として、創業以来、日本のインターネットインフラストラクチャーを支えてまいりました。インターネットの世界において、技術革新をリードし事業展開をしていくことで、ネットワーク社会の発展に貢献するとの経営理念を掲げております。

近年、気候変動や資源・エネルギー問題、多様性や機会均等、少子高齢化、医療過疎、データプライバシー問題等の多岐にわたる環境・社会問題が顕在化しております。長期的視点でこれらの課題は、事業を取り巻く環境や要素として、事業に大いに連関していくものであり、これらの課題へ真摯に対応していくことが、当社グループの持続的な成長や長期的な企業価値向上につながるものと考えております。

インターネットの発展と普及により、我々の行動様式は、30年前のそれと比較すると、大きく変化しております。当社グループは、これまで日本のインターネットを支え続けてきたことによって、これらの社会や生活の生産性や効率の圧倒的な向上に、間接的に貢献してきたものと自負しております。今後もこれを継続し、また、クラウドコンピューティングやIoTのような技術や新たな活用を牽引していくことによって、社会全体の効率向上に寄与してまいります。一方、これらの提供にあたり、電力の利用増加は不可欠です。当社グループは、多くの電力が消費されるデータセンターでの温室効果ガス削減に向けて、再生可能エネルギー利用及びエネルギー効率向上に関する目標を定めてまいります。

 

 

②当社グループの重要課題の特定

SDGsをはじめとした社会課題に対するICT(*)産業への要請・期待の大きさと、社会課題に対する当社グループのポジティブ・ネガティブインパクトの大きさの2つの視点から、3つの重要課題とそれに紐づく8つの取り組みテーマを特定いたしました。

今後はこの重要課題に優先的に取り組み、進捗や成果についての情報開示を行っていきます。

 


 

 

③重要課題と貢献するSDGs


 

 

(5) 対処すべき課題

近年の当社グループの業績は、日本における企業や官公庁等のICT利活用の進展に沿い、増収に併せた利益の向上が進展しております。経済活動におけるICT利活用の流れは今後もますます進展していくと想定しており、経営理念の継続した充足のためにも、信頼性及び付加価値の高いネットワークやシステムとのサービスを、需要に合致する態様で創出し提供していくことが、重要であると考えております。そのためには、優秀な人材の一層の獲得と育成が非常に重要であり、事業の成長に沿いながら、人的資本の一層の拡充を進める必要があります。

 

 

2 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項及びその他投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

1.当社グループの事業展開について

(1) 事業展開について

当社グループの売上高の大半は国内の顧客からのものであり、2022年3月期の売上高に占める国内売上高は約92%であります。国内景気の低迷、経済情勢の変化等により、企業のネットワークサービスの需要、システム投資及び支出意欲の動向、個別案件の進捗状況や採算等が影響を受ける可能性があり、特に、システムインテグレーションは国内景気及び設備投資の状況に強く影響を受ける傾向があります。景気動向、投資意欲の減退等の様々な要因により、顧客の需要が当社グループの想定通りに伸張しない或いは減退する場合、また、変化の速い市場へ適切に対応できない等で品質面の差別化が困難となり価格低下や契約解除が進む場合は、当社グループの想定通りに売上及び利益を拡大或いは維持することが困難となり、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響が及ぶ可能性があり、そのような場合は見通し通りの配当を実施しない可能性があります。

当社グループは、インターネットに関わる技術力と法人顧客基盤を基に、主として法人及び官公庁等の事業用にネットワークを利用する顧客に対し、信頼性及び付加価値の高い法人向けネットワークサービス及びシステムインテグレーションを複合的に提供することを基本方針としております。当社グループが、技術優位性を維持できず、競合他社に対し差別化要素があるネットワークサービスの開発及び提供やシステムインテグレーションの提供を継続して行えない場合は、当社グループの想定通りに事業を展開することが困難となる可能性があります。
法人向けネットワークサービスの原価は、回線費用、減価償却費、人件費、外注費、地代家賃等の売上増減とは直接的に連動しないものが多く、新たなサービスの開発や設備投資及び人員の増加等により順次増加する傾向にあります。法人向けネットワークサービスにおける継続的取引について、特に大口顧客によるサービス提供契約の全部又は一部の解約や大幅な価格の見直しが生じる場合等で、売上が想定通りに伸長しない場合は、現状の或いは増加する費用を賄うことが困難となり利益が低減する可能性があります。

主としてシステム運用保守売上に区分されるクラウドコンピューティングサービスの原価は、減価償却費、ライセンス費用、人件費、外注費、地代家賃等の売上増加に先行して生じるものが多く、設備の継続追加や新たなサービスの開発、人員の増加等により継続増加する傾向にあります。企業のクラウドコンピューティングサービスの利用の低調や普及の遅れ等を含み、クラウドコンピューティングサービスの売上が想定通りに伸長しない場合、既存顧客の全部又は一部の解約や大幅な価格の見直しが生じる場合は、現状の或いは増加する費用を賄うことが困難となり利益が低減する可能性があります。

個人向けネットワークサービスでは、法人向けネットワークサービスに比べ相対的に市場変化が速く、売上及び利益の変動が大きくなる可能性があります。当社グループの個人からの認知度は高くなく、個人向けモバイルサービスでは、直接販売に加えて、代理店による販売やMVNEとの他社へのサービス提供による間接販売を推進しております。個人向けモバイルサービスについて、競合により顧客獲得が想定通りに伸張しない或いは販売価格が下落する場合、モバイル通信キャリアによるデータ通信の接続料単価または音声通話の仕入価格がさほど低下せず想定より乖離する場合、代理店及びMVNE提供先とその販売規模が増加しない或いは減少する場合、マーケティング費用が想定より増加する或いは効果的なマーケティングができず顧客獲得が進展しない場合、安定したサービス提供ができず当社の信頼性が失墜する場合、サービス品質維持等のため接続料、通信料及び減価償却費等が想定以上にかかる場合等は、当社グループの想定通りに売上及び利益を拡大或いは維持することが困難となる可能性があります。販売価格に関連して、当社は競合状況、市況或いは接続料及び音声仕入れ価格等を総合的に勘案して、従来より低価格に設定した個人向け新プランを適宜提供しております。

 

 

当社グループの販売管理費は、事業の展開に応じて、人件関連費用、地代家賃、販売手数料、支払手数料、広告宣伝費等が毎年増加しております。これらの販売管理費は、想定以上に増加する可能性があります。また、ネットワークサービス、システムインテグレーション、ATM運営事業の粗利が増加しない或いは減少する場合は、増加する販売管理費を賄うことが困難となり利益が低減する可能性があります。

 

(2) 事業投資等について

当社グループは、中長期を見据えた継続的な成長のために、新たなサービス及び事業の開発等の事業投資を積極的に行っており、人材獲得や機器等取得及びソフトウェア開発を含む設備投資を強化しております。2021年3月期末及び2022年3月期末における従業員数は各々3,805名及び4,147名であり、2021年3月期及び2022年3月期における従業員数の増加は各々222名及び342名でありました。2021年3月期及び2022年3月期におけるファイナンス・リースによる資産の取得を含む設備投資額は各々15,151百万円及び16,130百万円であり、設備投資償却額(設備投資に関連する減価償却費及び償却費)は各々14,457百万円及び15,090百万円でありました。

当社グループは、2009年12月よりクラウドコンピューティングサービスの提供を開始し、顧客需要及び機能の継続強化等に対応するため、データセンター、サーバ、記憶装置、通信機器及びソフトウェアの購入並びに開発等に継続的に投資を行っており、減価償却費等の費用が生じております。2021年3月期及び2022年3月期におけるクラウドコンピューティングサービス関連売上高は各々262億円及び287億円であり、各期における国内のクラウドコンピューティングサービスに係る設備投資額は各々28億円及び23億円でありました。

当社は、クラウドコンピューティングサービスの設備を含み、今後の事業拡大に伴い必要となる設備を収容するため及び東日本地区に分散するサービス設備の一定規模を集約するために、千葉県白井市に、需要に応じ拡張が可能なシステムモジュール型の自社データセンターを建設し、2019年5月より第1期棟の稼動を開始致しました。2021年3月期及び2022年3月期における白井データセンター設備に係る設備投資額は各々15億円及び15億円であります。2023年3月期は第2期棟の建設を開始により50億円規模の設備投資を予定しており、今後も拡張に応じた設備投資が生じる見込みです。

当社は、2008年1月より主としてNTTドコモから卸電気通信役務の提供を受け、MVNO形態にて法人及び個人向けにモバイルサービスを提供しております。2021年3月期及び2022年3月期におけるモバイルサービス関連売上高は各々475億円及び407億円であり、2021年3月期末及び2022年3月期末における契約回線数は各々325万回線及び351万回線でありました。モバイルサービス関連売上及び契約回線数等の規模増加に伴い、NTTドコモ等から賃借するモバイルデータ通信回線の帯域を増加する必要があります。

当社グループは、主として海外に進出する国内企業のネットワーク及びシステム利用ニーズに対応するため、クラウドコンピューティングサービスを含むネットワークサービス及びシステムインテグレーション提供との国際事業を行っております。本書提出日現在、当社は、海外連結子会社11社及び海外持分法適用関連会社2社を有しており、米国や欧州に加え、IT関連市場の成長が見込まれるアジア地域(シンガポール、タイ、中国、香港、インドネシア及びベトナム)にて事業を行っております。2021年3月期及び2022年3月期における国際事業の売上高は各々83億円及び178億円で、営業利益は各々4億円及び12億円でありました。当社及び㈱IIJグローバルソリューションズは、2022年3月期末迄に海外連結子会社及び持分法関連会社に総額4,619百万円の資本供与を行い、2022年3月期末において海外連結子会社3社に総額241百万円を貸し付けております。当社グループは、他地域でも海外子会社の設立及び現地事業者との合弁等による拠点追加を行う可能性があります。当社は、2021年4月に、ASEANビジネスの中核とすべくシンガポール事業の強化として現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEMS (S) PTE LTDを44百万シンガポールドル(3,632百万円)で買収し完全子会社と致しました。国際事業は、国内事業よりも相対的に、制度、経済、宗教、文化、地政学及び外交等に係る不確実性を伴うものと想定しています。また、十分に対応しているとの認識ではありますが、不十分な統制により米国のFCPA(連邦海外腐敗行為防止法)等に違反する或いは現地法制等へ適切に対応できない場合は、事業に影響を及ぼす可能性があります。

後記の「第一部  企業情報  第2  事業の状況  2  事業等のリスク  1.当社グループの事業展開について  (6) グループ経営について」に記載の通り、当社の連結子会社㈱トラストネットワークスは、銀行ATM及びそのネットワークシステムを構築、運営のうえATM利用に係る手数料収入を得るATM運営事業を推進しており、ATM機器の設置にあたりATM機器を取得及び保有しております。

 

(3) 通信回線、ネットワーク機器、施設設備等の外部への依存について

当社グループは、インターネット接続サービス等の提供にあたり、通信回線を外部から調達しております。バックボーン回線についてはエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ㈱(以下、「NTTコミュニケーションズ」といいます。)及びKDDI㈱(以下、「KDDI」といいます。)等、アクセス回線については東日本電信電話㈱(以下、「NTT東日本」といいます。)、西日本電信電話㈱(以下、「NTT西日本」といいます。)及び地域電力系通信キャリア等、MVNO形態にて提供するモバイル通信回線についてはNTTドコモ及びKDDIより調達をしており、通信回線の安定的な提供をこれらの通信キャリアに依存しております。当社の国内バックボーン回線費用に占めるNTTコミュニケーションズからの調達割合は、2022年3月期において45.7%であり、モバイル通信回線の多くはNTTドコモより調達しております。

当社グループは、ネットワークに使用するルータ等通信機器のいくつかの製品を主として米国の特定購入先から調達しており、購入先である第三者に依存しています。第三者から調達している機器等について、現状は重要な懸念があるわけではありませんが、セキュリティに関連する疑義が提示される等にて実質的に利用が困難となり代替機器等の調達が必要となる可能性があります。

当社グループは、データセンター等の施設設備、事務所設備の多くを第三者より賃借しております。電力料金の高騰が生じ、データセンター設備調達先とのその負担の調整或いは顧客への転嫁等の対応が取れない若しくは電力供給が不安定となり或いは不足し、電力調達に追加的費用が生じる可能性があります。

これまでにそのような事象は発生しておりませんが、当社グループの通信回線、機器、施設設備等の外部第三者への依存について、半導体供給の逼迫による要因を含み、当該第三者からの役務が提供されない場合若しくは提供される役務に大きな混乱がある場合等で、代替手段の調達ができない或いは当該第三者が良質の製品を適切な期間内に納入できない場合は、当社グループの提供する役務が長時間にわたり中断する或いは遂行できない等の事象が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 当社グループが提供するサービスの信頼性について

①サービス品質の維持及び適正な運用について

当社グループは、提供サービスの品質維持及び改善のために、想定を超えてサーバ、通信機器及びソフトウェア等への投資の増加或いは賃借する通信回線及びインフラストラクチャーの増強が必要となる可能性があります。当社グループはこれまで、このような設備等の管理を適切に行っているものと認識しておりますが、設備等の管理を適切に実行できずにサービスの品質が低下し、当社グループのサービスの差別化が適切に行えない或いは当社グループの想定を超える設備投資が必要となる若しくは過度に設備投資等を行う場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

②サービスの中断の可能性について

当社グループのネットワーク及びシステムは、火災、地震及びその他の自然災害、電力不足、停電、通信障害、並びにテロ等の当社グループがコントロールし難い事由により、停止或いは遅延等の影響を受ける可能性があります。当社グループは、重大なセキュリティ事故を回避できるよう適切な策を講じていると認識しておりますが、コンピュータクラッキング(*)、コンピュータウイルス、人的過失及びインターネット利用者等の偶発的又は故意による行為等に起因するサービスの中断が、当社グループのサービスの提供を妨げる可能性があります。当社グループのネットワーク及びシステムは、通信回線の二重化等の耐障害性を重視した設計としており、これまでにそのような事象は発生しておりませんが、サービスの提供が中断し当社グループの信用失墜又は事業機会の逸失が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

③個人情報等顧客情報の取り扱いについて

当社グループは、モバイルサービスに係る個人情報を含む国内外の顧客情報を保有及び管理しております。当社グループはこれらの情報資産の適切な管理に注意を払っており、また、個人情報の保護に関する法律やこれに関連する総務省及び経済産業省制定のガイドラインの要求事項遵守等に努めておりますが、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社グループがそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。また、欧州連合(EU)におけるGDPR(一般データ保護規則 General Data Protection Regulation)など、諸外国で個人情報保護法制が強化されています。GDPRに関して当社の連結子会社IIJ Europe Limitedは、当社グループ内で統一された情報管理ルールを文書化したBCR(拘束的企業準則 Binding Corporate Rules)を英国の監督機関に申請し承認取得に向けた対応を進めております。これまでにそのような事象は発生しておりませんが、意図せず各国の規則に違反し高額な制裁金が課された場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 人的資源の確保について

当社の代表取締役をはじめとする当社グループ各社の経営陣の事業運営に関する能力は、当社グループの事業推進にとって重要であります。また、当社グループの提供するサービスの安定的な提供は、当社グループの技術部門及びその他のスタッフによる継続した役務に依存しております。当社グループの事業規模拡大に伴い、グループ従業員数は増加し人件関連費用は増加しており、継続して技術、営業及び企画管理面の人的資源を適切な時期に適切に確保していく必要があります。当社グループが、必要とする能力のある経営陣及び従業員を確保又は維持できない、必要以上の人員採用等で人件関連費用を適切にコントロールできない、労働市場環境及び法令改定等で想定よりも人件関連費用が増加する場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

 (6) グループ経営について

当社は、連結子会社及び持分法適用関連会社各社と協働し相乗効果を発揮した経営を目指しており、密接な事業連携のため、当社グループ各社の役員には当社役員及び従業員が一部兼務をしており、当社から従業員の出向も行っております。本書提出日現在、当社は関係会社として連結子会社16社、持分法適用関連会社7社を有しており、各社の損益状況は、連結子会社は当社グループの連結財務諸表に結合され、持分法適用関連会社は持分法損益として当社グループの連結財務諸表に取り込まれております。各社の事業状況により、当社の保有する関係会社株式の価値は変動する可能性があります。関係会社の損益状況が芳しくなく損失が大きい場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

当社は、持分法適用関連会社であった㈱クロスウェイブ コミュニケーションズ(以下、「クロスウェイブ」といいます。)へ投融資を行いましたが、2003年8月のクロスウェイブの会社更生手続き開始の申立により投融資全額が損失となりました。当社グループは、2003年3月期及び2004年3月期にて、クロスウェイブに関する持分法損失、投資及び預託金(拘束預金)並びに貸付金に対する評価損失及び貸倒損失として、各々12,667百万円及び1,720百万円を計上致しました。

当社は、2010年9月に、主としてWANサービス等を提供するIIJグローバルを、AT&TジャパンLLCより9,170百万円にて取得し、当社の完全子会社と致しました。2021年3月期及び2022年3月期の連結業績におけるIIJグローバルに係る売上高は各々24,554百万円及び26,360百万円であり、営業利益は各々1,119百万円及び849百万円でありました。2022年3月期末におけるIIJグローバルに係るのれん及び償却対象の無形資産の残高は合計で2,932百万円であり、同社が、想定通りに売上或いは利益を達成できず将来に亘り当該のれん及び無形資産に見合う価値がないと判断する場合は、これらについて減損損失を計上する可能性があります。

 

2007年7月に設立した連結子会社㈱トラストネットワークスは、銀行ATM及びそのネットワークシステムを構築、運営のうえATM利用に係る手数料収入を得るATM運営事業を推進しております。当社は、本書提出日現在において、同社に対し累計2,575百万円を出資(出資比率:79.5%)しております。2021年3月期及び2022年3月期におけるATM運営事業セグメントの売上高は各々2,891百万円及び2,784百万円であり、営業利益は各々826百万円及び834百万円でありました。ATM運営事業において、ATM台数や利用者数が減少する、消費意欲減退や店舗休業等によりATM利用回数が減少する、関係各所との良好な関係を維持できない等の場合は、同社事業の継続が困難となる可能性があります。

当社は、2016年12月に、CDN(*)サービスを提供するJOCDN㈱を合弁会社として新規設立致しました。JOCDN㈱は、2020年3月期に第三者割当増資により日本放送協会及び㈱WOWOWを新たな株主としました。当社は、本書提出日現在において、同社に対し累計142百万円を出資(出資比率:16.8%)しております。

当社は、2018年1月に、デジタル通貨の取引と決済を行う㈱ディーカレットを合弁会社として新規設立致しました。㈱ディーカレットは、2019年4月より暗号資産の取引サービスを提供しておりましたが、2022年2月に暗号資産事業会社を売却し、当社の現持分法適用関連会社㈱ディーカレットホールディングス及びその子会社㈱ディーカレットDCPはデジタル通貨事業に専念することとしました。当社は、㈱ディーカレットに対して累計7,082百万円を出資(出資比率:38.2%)しており、2022年3月末現在の持分法損失累計額は4,954百万円でありました。また、当社は2022年4月に㈱ディーカレットDCPに対して20億円を上限とする社債の発行引受枠を設定する契約を締結しております。㈱ディーカレットホールディングスのデジタル通貨事業は立ち上げ途上の段階であり、同社の事業が想定通りに伸長しない場合は、㈱ディーカレットホールディングスの企業価値の棄損、当社の想定以上の持分法投資損失或いは減損の計上、追加の資金拠出が必要となる等の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

当社は、2021年4月に、ASEANビジネスの中核とすべくシンガポール事業の強化として現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEMS (S) PTE LTDを44百万シンガポールドル(3,632百万円)で買収し完全子会社と致しました。2022年3月期の連結業績におけるPTC SYSTEMS (S) PTE LTDに係る売上高は6,889百万円であり、営業利益は310百万円でありました。2022年3月期末におけるPTC SYSTEMS (S) PTE LTDに係るのれん及び償却対象の無形資産の残高は合計で3,277百万円であり、同社が、想定通りに売上或いは利益を達成できず将来に亘り当該のれん及び無形資産に見合う価値がないと判断する場合は、これらについて減損損失を計上する可能性があります。

当社は、当社グループ各社との協働効果を継続し或いは更に発揮するために、各社に対する出資比率の引き上げ、金融支援の提供、保証の供与、グループ編成の変更を行う可能性があります。当社は新規事業の立ち上げにあたり、関係会社の新設或いは資本参加をする可能性があります。当社グループは、事業規模、顧客基盤及びサービス提供領域の拡大等のためM&A等の資本取引を行う可能性があります。当社グループの資本戦略の遂行にあたり、間接或いは直接金融による資金調達が必要となる可能性があります。また、子会社及び関連会社に関連する特定の法令等により当社グループ各社の事業が制約をうける場合には、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

当社が支配的持分を有していない持分法適用関連会社について、当社及び連結子会社と当該関連会社との戦略に乖離が生じる場合は、当社の利害はこれら関連会社又はこれら関連会社の当社以外の株主の利害から乖離し、グループとして連携した事業運営ができず相乗効果を発揮できない可能性があります。
 

(7) 技術革新について

インターネットを含む通信サービス業界においては、技術、業界標準、顧客ニーズ及び競合環境の変化が速く、頻繁に新商品及び新サービス等の導入がなされております。新技術を使用したサービスの導入又は新たな業界標準の確立等により、当社グループの提供する既存のサービスの市場性が低下する可能性があります。当社グループは、技術優位性を維持していくために技術研究開発に注力しておりますが、重要な新技術の利用権の取得、変化する技術及び業界標準の導入或いは顧客ニーズに合った新サービスの開発、導入及び品質確保等ができない或いは研究開発に当社グループが想定する以上の時間と費用が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

2.外部環境について

(1) 価格競争について

ネットワークサービスにおける価格競争は厳しく、また、システムインテグレーションにおける競合も激しく、競合他社はサービスの開発及びマーケティングを強化しております。低価格競争が進展する場合は、ネットワークサービス及びシステムインテグレーションの売上が想定通りに増加しない或いは利益水準が悪化する若しくは販売促進のために多額の費用を投じる必要が生じる可能性は常にあり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) ネットワーク関連コスト等について

バックボーン等の通信回線費用、通信機器に係わる費用、ネットワークオペレーションセンター等のネットワーク運営費用、ネットワーク運営に係わる人件関連費用等のネットワーク関連コストは固定的な費用が主ですが、これらの変動が当社グループの損益状況及びその変動に影響を及ぼす可能性があります。インターネットトラフィックの急激な増加等が生じた場合、バックボーン回線の調達単価の上昇により回線調達費用が増加する場合、当社グループが想定するよりも大容量の通信回線が必要となった場合、必要とする通信回線が調達できない、或いは過度に通信回線を契約した場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。当社グループは、国際回線及び通信機器等の一部費用を外貨建てで支払っており、円建てで支払っているものについてもその価格は外貨建てで算定されるものもあります。

当社グループは、モバイルデータ通信接続サービスの提供にあたり、NTTドコモ等のモバイル通信キャリアより卸電気通信役務の提供を受け、当該役務に対して「電気通信事業法」及び総務省が策定する「第二種指定電気通信設備接続料規則」に基づき算定された帯域当たり単価と契約帯域を掛け合わせた通信接続料(*)を支払っております。通信接続料の単価は毎年改定され、低減をしております。2022年3月期に利用した接続料単価は、将来原価方式としてモバイル通信キャリアより提示を受けた予測値にて2022年3月期において費用処理を行い、2022年12月頃に確定単価が通知された時点で予測値と確定値の差分を補正する予定です。当社グループは、モバイルサービスの提供にあたり、契約回線数及び通信トラフィックの増加に伴い、モバイル通信キャリアとの契約帯域を増加する必要があり、通信接続料は継続増加する傾向にあります。通信接続料の帯域当たり単価又は音声の仕入れ価格が上昇或いは想定より低下しない或いは通信トラフィックの増加等により想定よりも多くの契約帯域が必要となる場合は、当社グループの損益状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 外注について

当社グループは、外注人員を活用しており、外注単価が上昇する、適切な外注工程管理ができない、外注費用に見合う売上を計上できない或いは必要となる外注人員を確保できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(4) 競合について

当社グループの法人向けネットワークサービスの主な競争相手は、NTTコミュニケーションズ及びKDDI等を含む通信キャリア及びそれらの関係会社等であり、また、システムインテグレーションにおける主な競争相手は、日本電気㈱、富士通㈱、㈱エヌ・ティ・ティ・データ及びそれらの関係会社等を含むシステムインテグレーター(*)等であり、これら競合他社の中には、当社グループに比べ大きな資本力、技術力、販売力等の経営資源、幅広い顧客基盤及び高い知名度等を有している企業があり、また、M&A遂行等にて競争力をより強化する可能性があります。これら競合他社の中には、当社グループよりも低価格でサービスを提供するものや当社グループでは提供していないサービスを提供するもの等があります。競合先の営業方針及び価格設定は、当社グループの属する市場に影響を与える可能性があり、これらの競合先に対し効果的に差別化を図れず当社グループが想定している通りの事業進展が図れない場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

当社グループのクラウドコンピューティングサービスにおける競争相手は、上記の競合先の他にAmazon Web Services, Inc.やMICROSOFT CORPORATIONを含む外資系等があり、それらの競合先は多大な経営資源をクラウドコンピューティング及びアウトソース関連事業に投入する可能性があります。クラウドコンピューティングサービスについて、当社グループが競合他社との差別化を有効に図ることができない、想定する売上や利益を確保できない或いはクラウドコンピューティングサービスへの投資が効果的なものとならなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

当社グループのMVNEを含む個人向けモバイルサービスの主な競争相手は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク㈱を含むモバイル通信キャリア及びそれらの関係会社並びにMVNO事業者であり、競合他社の多くは、当社グループに比べ高い知名度或いは大きな資本力等を有しており、積極的な広告宣伝活動、低価格でのサービス提供及びその他のサービスとの組み合わせ販売による顧客囲い込み等を行っております。今後も競合他社の新規参入や競争による低価格化等を含め競合が強まる可能性もあり、当社グループがこれらの競合先に対し効果的に差別化を図れず想定通りの事業進展が図れない場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

なお、当社グループとNTTグループとの競合の状況については、後記の「第一部  企業情報  第2  事業の状況  2  事業等のリスク  5.NTTグループとの関係について (3) NTTグループとの競合について」に記載の通りであります。

 

 (5) 気候変動について

2016年に発効された「パリ協定」を受け、温室効果ガス排出量の削減を目的とした取り組みが世界的に加速しています。当社グループは、気候変動リスクへの対応及び低炭素社会への移行の取り組みが重要であると認識しております。気候変動に係るリスクとしては、自然災害や異常気象等の増加に起因する物理的な被害の可能性及び低炭素社会への移行に伴い、政策、法規制、経済、市場或いは生活等に変化が生じることに起因する影響の可能性が想定されます。具体的には、主として、自然災害により事業用設備が損壊する、或いはサプライチェーンが機能せず事業用設備や役務等の調達が困難になるリスク、事業拡大と共に増加するサーバやネットワーク機器及びデータセンター並びに事務所等の消費電力について、排出権や再生可能エネルギーを含め、調達コストが増加する、或いは調達できないリスク、脱炭素の取り組みが十分に実現できない場合のレピュテーションリスク等が想定されます。

当社グループがこれらのリスクに適切に対応できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 不可抗力について

自然災害、停電、テロ、武力行為、地域紛争、感染症を始めとする不可抗力が発生する場合は、安定したサービス役務の提供が困難となる、当社グループの想定を超えた費用及び投資が必要となる、当社グループが想定する通りに事業展開することが出来なくなる等の可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状況に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

3.業績等について

(1) 業績の変動について

当社グループの年間、半期及び四半期における売上及び営業損益の規模並びに計上時期は、国内景気の動向、企業のシステム投資及び支出の動向、ネットワークサービスにおける継続的な売上の積み上げ、システムインテグレーションにおける案件数及び規模と利益率、クラウドコンピューティング及びモバイルサービスの収支、ネットワーク関連コストの推移、モバイルサービスにおける通信接続料単価の低減率の想定及び実績の状況、減価償却費の推移、有形固定資産、のれん及び無形資産の減損損失等の有無と規模、販売管理費の推移状況、為替水準、M&Aを含む資本取引の影響等により変動し、税引前利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益の規模並びに計上時期は、営業利益の変動に加え、金融収益及び費用の規模、持分法適用関連会社に関する持分法投資損益の変動、税効果を含む法人所得税費用の認識額、非支配持分損益等により変動し、当社グループの年間、半期及び四半期の業績は当社グループの今後の業績予想の目安とはならない可能性があります。

当社グループの業績結果は、事業等のリスクに記載する事象或いはその他の事象等により、開示する業績見通しから乖離する可能性があります。当社グループは、2014年3月期、2015年3月期、2017年3月期、2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期において連結業績予想修正との適時開示を行っております。新たなサービス及び事業に係わる投資及び費用の増加に対する当該売上の規模及び計上時期は、概して変動しやすい傾向があります。

 

(2) システムインテグレーションについて

システムインテグレーションの売上は、一時売上であるシステム構築(機器売上を含む)と継続売上であるシステム運用保守により構成されております。一般に、システム構築の取引は、多数の国内企業の決算月である3月末に偏重する傾向があります。当社グループの四半期毎の売上及び損益の変動は、システムインテグレーションにおいて大きく、売上及び利益の金額は第4四半期に増加する傾向があります。当社グループがシステムインテグレーションにより売上及び利益を計上する能力並びにかかる売上及び利益を実現する時期、特に大口案件における売上実現の時期及び利益の変動は、当社グループの売上、損益状況及びその変動に影響を及ぼす可能性があります。

システムインテグレーションにおいては、運用保守案件では継続的な売上計上が期待されますが、新規構築案件の案件数の状況や運用保守契約内容の見直し等により、売上及び損益が変動する可能性があります。クラウドコンピューティングサービス関連の案件が増加した場合、構築におけるハードウェアの売上部分が減少し、売上規模が変動する可能性があります。大規模な構築案件では、一般的に検収までの期間が長くなることがあり、より緻密なプロジェクトの進捗管理が求められ、また、案件獲得のため、顧客に価格競争力のある提案をすることで収益性が低下する等の競合による利益率低下の可能性があります。システムの不具合、仕様の変更、想定外の人員稼動等の要因により当社グループが適切にプロジェクトの進捗管理を行うことができない場合は、適正な利益水準を確保できず、また案件単位にて赤字となる可能性があります。システムインテグレーションにおいては外注を活用しておりますが、外注単価が上昇し、或いは適切な外注工程管理ができず、若しくは外注費用に見合う規模の売上を計上できない場合等には、適正な利益水準を確保できず、また案件単位にて赤字となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。当社グループが、システムインテグレーションの案件の完遂に必要な技術者、外注先を含むソフトウェア開発要員を適切に確保できない場合は、売上計上が遅延し、或いは契約が解消される可能性があります。また、顧客のデータを適切に取り扱うことができなかった場合は、訴訟の提起等の可能性があります。

 

 

(3) 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損損失の計上について

当社グループは、主としてネットワークサービス及びシステムインテグレーション事業に係る、通信機器、サーバ機器、データセンター等の構築物、事業用ソフトウェア等の資産、また、バックオフィスシステム、事務所附帯設備等の資産を保有しております。事業の状況に重要な変化が生じている場合は、減損テストの実施により、これら有形固定資産或いは無形資産が毀損していると判断され減損損失を計上する可能性があります。

当社グループは、M&A等の資本取引を行った場合に、連結財政状態計算書にのれん及び顧客関係等の無形資産を計上する場合があります。2022年3月期末現在の当社グループの連結財政状態計算書におけるのれんの残高は9,479百万円であり、減損判定の単位となる資金生成単位別の主な残高は、主として国内のネットワークサービス・SIに係るものが5,847百万円、海外子会社PTCに係るものが3,397百万円でありました。また、償却対象の無形資産である顧客関係の残高は1,502百万円でありました。そのうち、IIJグローバル及び2010年4月に吸収合併した㈱アイアイジェイテクノロジーに係る残高は各々644百万円及び661百万円でありました。これらののれん及び顧客関係はこれまでに減損をしたことはありませんが、事業の状況に重要な変化が生じている場合は、減損テストの実施により、のれん及び無形資産が毀損していると判断され減損損失を計上する可能性があります。

 

(4) M&Aについて

当社グループは、今後も事業規模拡大のために、人材、顧客基盤、アプリケーション関連技術、海外事業基盤等の経営資源の拡充及び当社グループとのシナジー効果の発揮等を目的として、M&A取引を実行する可能性があります。これまでにそのような事象は発生しておりませんが、M&A取引実行にあたって過大な経営資源を投入した場合、取引条件が良好ではない場合、想定する業績やシナジー効果が達成されない場合、適切なM&A取引を実行できず事業拡大のための経営資源を十分に確保できない可能性があります。当社は、2022年3月期において、シンガポール現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEMS (S) PTE LTDを3,632百万円で買収し、2021年4月1日付で完全子会社としております。

 

(5) 保有投資有価証券の価値の変動について

当社グループは、当社の関係会社以外にも、事業関係の強化を目的とした事業会社に対する出資、資金運用を目的とした株式等への投資、主として非上場企業へ投資を行う投資事業有限責任組合(ファンド)等へ投資をしております。2022年3月期末現在の当社グループの連結財政状態計算書におけるその他の投資に含まれる保有投資有価証券の残高の内訳は、上場株式9,244百万円、非上場株式1,645百万円及びファンド出資金6,288百万円等でありました。当社グループは、今後も新たに投資有価証券を取得する可能性があります。当社グループが保有する投資有価証券の価値は、各々の時価、経営状況等により変動し、それらの公正価値の変動は包括損益または純損益として認識されます。保有株式については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産として会計処理され、保有株式の公正価値の変動に伴う含み損益或いは売却に伴う実現損益(税効果後)は連結損益計算書において純損益として認識されません。投資有価証券を処分するにあたり経済的に有利な条件で処分できるかどうかは定かではなく、処分金額の規模及びタイミングの変動により当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

 

4.法的規制等について

(1) 電気通信事業法について

当社及び当社グループの一部は、電気通信事業者として総務省に届出を行っており、電気通信事業法の規制を受けております。当社らの業務に関し通信の秘密の確保に支障があるとされた場合、その他当社らの業務の方法が適切でないとされた場合は、総務大臣より業務方法の改善命令その他の措置がとられる可能性があります。

また、当社は総務省への届出を行っている電気通信事業者(届出電気通信事業者)であり、総務省への登録を必要とする電気通信事業者(登録電気通信事業者)と比べて行政の監督は相対的に緩やかなものですが、電気通信事業法において、国民生活に重要な役割を果たす優良かつ大規模なサービスを提供する者として総務大臣に指定された事業者は、登録電気通信事業者と同等の規制の適用を受ける制度が定められています。本書提出日現在において、当社はかかる指定を受けておりませんが、現状の個人顧客の契約数を踏まえれば、近日中に当該指定を受けるものと見込まれます。指定を受けた後はより強い監督を規制当局から受けることとなり、当社の業務遂行が適切でない場合は、前記の業務方法の改善命令等の措置がとられる可能性があります。

このほか、電気通信事業法においては、利用者保護を目的として、電気通信事業者及び取次代理店(媒介等業務受託者)を対象とした、重要事項説明義務、初期契約解除制度、取次代理店の監督義務などが定められています。これらに加えて、近年、モバイルサービス市場の競争適正化の観点から、モバイル端末の販売を伴うモバイルサービスの提供条件等に多様な規制が導入されました。当社又は取次代理店において業務の方法が適当でないとされた場合は、前記の業務方法の改善命令、社名の公表を伴う行政指導等の措置がとられる可能性があります。

業務改善命令等を受けたことにより、当該命令に基づく改善対応に係るコスト増や企業イメージの悪化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) インターネット等に関する法的規制について

インターネットの利用態様に関する法的規制については既に多くの制度が存在しますが、インターネット上の違法及び有害情報への対処の強化、サービス利用者の本人確認厳格化、青少年保護対策、個人データの利用適正化等の観点を中心に、規制強化の必要性が継続的に主張されており、これらの点について、更なる具体的な対処義務を電気通信事業者に課する制度が検討、実施される可能性、或いは法制に至らずとも業界の自主規制として導入される可能性があります。制度の内容次第では、対応するための多くの処理コストや設備投資が発生する可能性があります。

一方で、インターネットの利用態様の一つであるIoTに関しては、業界や監督官庁が重なり合う分野であるために、今後どのような法制度が導入されるか予測がつかない部分があります。当社グループが展開する事業を制約するような法令が制定された場合や、法令解釈が不明確であるような場合は、当社の顧客獲得等に影響が及ぶ可能性があります。

また、事業の一定範囲を占める個人向けサービスの領域について、前記の電気通信事業法の他、消費者保護法、不当景品類及び不当表示防止法等の消費者保護関連法令が適用されます。これらの法令に当社グループ又は当社グループの取次代理店等が違反した場合、総務省以外の行政当局による不利益処分、法的責任の追及及び企業イメージの悪化等を招く可能性があります。

このほか、当社グループの事業に関わる法規制或いは施策等が新設又は強化された場合等には、当社グループの事業運営の自由度や迅速性が損なわれ、又は、当社グループの顧客による当社のサービスの利用が制約され、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 経済安保法制について

本年の国会において、経済安全保障推進法案が成立するなど、国際情勢や社会経済構造の変化等に伴い、安全保障の確保に関する経済施策の推進が重要視されてきております。同法には、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度として、重要設備が国外からの妨害を受けることを防止するため、重要設備の導入・維持管理等の委託の事前審査、勧告・命令等が行われる内容が定められています。かかる制度の詳細はまだ未決定ではありますが、制度の運用状況によっては、データセンター施設の構築計画などに影響があり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。また、このような安全保障確保に関する経済施策は、米国を含む国外でも導入されており、当社が提供する役務に一定範囲での制約が生ずることにより、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(4) 外国法について

当社は、日本国外に関係会社を有しており、かかる関係会社において当該国の法令を遵守するよう努めておりますが、国によっては、法令の解釈運用が不明確な場合もあり、当社グループの意図にかかわらず法令違反が指摘される恐れがあります。このような場合には、当該国における事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

また、国外法令の中には、当該国の当該関係会社の行為に限定されず、企業集団全体に適用される法制度を設けている場合があります。例えば、米国のFCPAや国防権限法、EUのGDPR等が挙げられますが、当社グループとしてそれらの法制度への対応を誤った場合、事業への制約や多額の罰金が課せられる等の可能性があります。

 

(5) 知的財産権等について

当社グループは、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害することのないよう万全を期しておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合は、損害賠償の負担が生じる可能性があります。また、当社の役務に関わる基盤技術の重要な一部について第三者の特許取得が認められた場合或いは将来特許取得が認められた第三者の技術が基盤技術の重要な一部を構成することとなった場合は、当社グループは、事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する必要が生じる可能性があります。

当社グループは、サービスの開発及び運用にあたりオープンソース(*)ソフトウェアを積極的に活用しておりますが、オープンソースソフトウェアについてはライセンス条件の法的位置付けが不明確である等の問題があり、予期しない利用上の制約が発生する可能性があります。

また、当社グループは自社が保有する知的財産権について適切な保護管理策を講じており、今後も講じていく考えでありますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害する可能性を完全に排除することは困難でもあり、当社グループの重要な知的財産権が第三者に不当に侵害された場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(6) 訴訟等について

本書提出日現在、当社グループの財政状況に大きな影響が及ぶ当社グループに対する訴訟は提起されておりませんが、将来に亘り、サービスの不具合、システムインテグレーションの納期遅延や契約上の不適合、知的財産等第三者の権利の侵害、通信の秘密や個人情報を含む顧客情報の漏えい若しくは毀損、不適切な消費者対応、不適切な人事労務管理又は当社の株式等に関連して、損害賠償請求等の訴訟を起こされる可能性があります。

これらの訴訟を起こされ、当社グループの責に帰すものと認められた場合は、また訴訟を起こされることにより当社グループの事業に対する信頼感が損なわれた場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

5.NTTグループとの関係について

(1) NTT及びNTTコミュニケーションズの出資経緯等について

NTT及びNTTコミュニケーションズと当社グループとの資本取引は、1996年1月の当社の資本強化のための第三者割当増資におけるNTTの資本参加、1997年9月のインターネットマルチフィード㈱のNTT(その後、NTTの組織改編によりいずれもNTTコミュニケーションズに株主が変更。)との合弁設立、2003年9月のクロスウェイブの会社更生手続開始による財務損失を補うためのNTT及びNTTコミュニケーションズを主要引受先とする第三者割当増資の実施等があります。NTTは、当社のその他の関係会社に該当し、2022年3月期末現在、NTT及びNTTコミュニケーションズはあわせて当社の議決権比率の26.9%を所有しております。

 

 (2) NTTグループとの取引関係について

当社は、インターネット接続サービス等の提供にあたり、アクセス回線等についてNTT東日本及びNTT西日本、国内バックボーン回線及び国際バックボーン回線並びにデータセンター施設設備等についてNTTコミュニケーションズ、モバイル通信回線及び設備等についてNTTドコモの提供するサービスを多く利用しております。2022年3月期における、これらに係る費用は21,649百万円でした。

当社は、設備の調達にあたり、リース会社とリース取引を行っており、2022年3月期末におけるNTT・TCリース㈱に係るファイナンス・リース負債は2,558百万円でした。

NTTグループとの商取引は、いずれも通常の商慣習の範囲であり、出資関係にあることによる特別な取り決めは存在しておりません

 

(3) NTTグループとの競合について

NTTグループにおいて、当社グループ同様のネットワークサービス及びシステムインテグレーション営む企業として、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、㈱エヌ・ティ・ティ・データ、NTTセキュリティ㈱、㈱エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ、㈱NTTぷらら等があります。

これらNTTグループ各社とは、一部の案件で一定の競合が生じることはありますが、当該競合について特段の調整事項は存在せず、当社グループとして自主性をもった経営を推進しております。

 

 

6.今後の資金需要について

当社グループの2022年3月期末における現金及び現金同等物の残高は47,391百万円と、前年同期末比4,924百万円の増加となりました。また、当社グループの2022年3月期末における銀行借入残高は21,870百万円と前年同期末比3,690百万円減少し、ファイナンス・リース負債(1年内返済予定を含む)残高は18,069百万円と前年同期末比160百万円減少致しました。当連結会計年度においてIFRS第16号の適用により認識したオペレーティング・リースに関する負債は28,157百万円でありました。

当社グループは、今後もネットワーク設備、クラウドコンピューティングサービス関連設備、バックオフィス関連設備等の維持、更新及び拡張に関わる投資及び費用、サービス開発及び運営並びに事業開発に関わる投資及び費用、自社データセンター建設に関わる投資及び費用、人員拡大に伴うオフィススペース拡張等に関わる投資及び費用、事業拡大に伴う運転資金の増加、グループ事業拡大のための投融資及びM&A取引等に資金を投下していくと想定しております。当社グループは、通信機器等の購入は、リース取引による調達を主体としております。事業環境の変化に起因して、当社グループの事業において想定を上回る資金需要が生じる可能性があり、今後のリース取引を含む資金調達について、当社グループにとって好ましい条件で実行できる保証はなく、それが当社グループの事業進展の制約要因となる可能性があります。

 

7.株式の希薄化について

当社は、2013年7月に公募増資にて9,400千株(株式分割を考慮後)、2013年8月に公募増資に関連したオーバーアロットメントによる売出しにかかる第三者割当増資にて1,400千株(株式分割を考慮後)の新株を発行致しました。今後も、将来の戦略的M&Aや大規模事業投資等を目的とした資金需要に応じて、新株、新株予約権付社債又は新株予約権等を発行する可能性があり、これらの発行及び行使により当社の1株当たりの株式価値に希薄化が生じる可能性があります。

当社は、当社の取締役(非常勤取締役及び社外取締役を除く)及び執行役員に対して、各々の退職慰労金及び退職金の代替として、新株予約権方式による株式報酬型ストックオプション制度を導入しております。当該新株予約権の概要は、後記の「第一部  企業情報  第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載の通りであります。

当社は、当社及び子会社IIJグローバルの取締役(非常勤取締役及び社外取締役を除く)及び執行役員に対し、賞与等の現金支給の一部の代替として、譲渡制限付株式報酬を導入しております。当該スキームの概要は、後記の「第一部  企業情報  第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等 ④業績連動報酬等に関する事項」に記載の通りであります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の連結業績の概要

当連結会計年度におけるわが国の景気は、緩やかな回復基調が継続しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人消費等の一部に弱さが見られました。先行きにつきましては、経済社会活動が正常化に向かう中、各種政策の効果や海外経済の改善にて、緩やかな回復が期待されるものの、感染症の拡大、為替や資本市場の変動及び原材料価格の上昇等による影響を注視する必要があります。

そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィックの継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング関連サービスの順次普及、それらサービスを総合的に利用するIoTの実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワークシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。

このような市場環境の中、当連結会計年度におきましては、月額計上されるネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*))の売上高が前年同期比10.3%増となり、これらの粗利増加の牽引により、営業利益は前年同期比65.3%増の23,547百万円と、期初の想定及び第2四半期決算時の修正公表値を上回り大幅に伸長いたしました。当連結会計年度は、2021年5月12日公表の3カ年中期計画の初年度にあたりますが、営業利益率は10.4%と想定を超過し、今般、中期計画における2023年度の営業利益率目標値を修正公表値の10%超(当初公表値9%超)から11.5%へ修正いたしました。ネットワークサービス分野では、IPサービスにおいて、主として既存顧客の契約広帯域化により、売上が期初から堅調に伸長いたしました。モバイル関連サービスでは、個人向けモバイルサービスの「ギガプラン(*)」提供開始等による調達コスト低下に応じた平均販売単価低下による減収影響があったものの、個人向け契約回線数は四半期毎の純増基調が継続いたしました。法人向けIoT関連モバイルサービスでは、継続した案件需要と既存案件の回線数増加等もあり、売上高及び契約回線数は各々前年同期比31.4%増及び23.7%増と伸長いたしました。アウトソーシングサービスにおきましては、セキュリティ関連サービスにて、自社開発セキュリティサービス群の機能強化とラインナップ拡充及び「IIJ C-SOCサービス(*)」の案件積み上げ等により、売上高の高増収が継続いたしました。WANサービスにおきましては、売上高は堅調に推移いたしました。システムインテグレーションでは、ネットワーク構築案件が活況で、システム構築の売上高及び受注額は各々前年同期比11.4%増及び18.6%増と順調に伸長いたしました。システム運用保守売上高は、継続したシステム運用保守案件の積み上げに加え、マルチクラウド(*)需要の高まり等によるクラウドコンピューティング関連サービス売上高の増加もあり、前年同期比16.4%増となりました。また、企業の社内システムのフルクラウド化需要に対応すべく、新サービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」を開発し提供を開始いたしました。設備面では、法人向けネットワークサービスの需要増加に応じた自社設備収容スペースの拡張とコロケーション需要に対応すべく、白井データセンターキャンパスの2期棟の建設を決定いたしました。国際事業では、ASEANビジネスの中核となるシンガポールの現地有力システムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTD (以下、「PTC」という。) を買収にて完全子会社化し事業遂行いたしました。新規事業分野におきまして、持分法適用関連会社㈱ディーカレットホールディングスにて、デジタル通貨フォーラム(*)でのホワイトペーパーの公表や有力企業群との実証実験を推進し、立ち上がりつつあるデジタル通貨事業の更なる推進に向け、暗号資産事業の譲渡と体制強化を図りました。今後の事業成長に必要な人員強化につきましては、継続した新卒採用及び育成を軸としており、当期の新卒採用178名に中途採用及びシンガポールでの買収による追加もあり、連結従業員数は前年同期末比342名増の4,147名となりました。

当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、前年同期比6.3%増の226,335百万円(前年同期 213,002百万円)となりました。売上原価は前年同期比1.2%増の174,707百万円(前年同期 172,720百万円)となり、売上総利益は前年同期比28.2%増の51,628百万円(前年同期 40,282百万円)となりました。内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比1.1%増の128,213百万円(前年同期 126,827百万円)(うち、モバイル関連サービスを除くネットワークサービスの売上高は前年同期比10.3%増の87,496百万円、モバイル関連サービスの売上高は前年同期比14.3%減の40,717百万円)、売上総利益は、法人向けネットワークサービスの想定以上の積み上げ、モバイル関連サービスに係る期初からの音声仕入れ単価の低下及び接続料の2020年度実績に基づく単価確定による原価戻り等があり、前年同期比31.1%増の35,618百万円(前年同期 27,171百万円)となりました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比14.5%増の95,338百万円(前年同期 83,284百万円)、売上総利益は前年同期比23.6%増の14,942百万円(前年同期 12,087百万円)となりました。そのうち、4月に子会社化したPTCの売上高は6,889百万円、売上総利益は765百万円でありました。ATM運営事業の売上高は、前年同期比3.7%減の2,784百万円(前年同期 2,891百万円)、売上総利益は前年同期比4.2%増の1,068百万円(前年同期 1,024百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比7.9%増の28,081百万円(前年同期 26,034百万円)となり、当連結会計年度における営業利益は前年同期比65.3%増の23,547百万円(前年同期 14,248百万円)となりました。税引前利益は前年同期比72.2%増の24,162百万円(前年同期 14,035百万円)となりました。㈱ディーカレットホールディングスの暗号資産事業譲渡に係る持分法損失の増加及びのれん相当額の減損がありましたが、ファンドに係る金融資産評価益等の増加が吸収しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比61.4%増の15,672百万円(前年同期 9,712百万円)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比11,028百万円増加し、231,805百万円(前連結会計年度末 220,777百万円)となりました。

連結会計年度末における流動資産は、現金及び現金同等物、営業債権及び前払費用の増加等により、前連結会計年度末比11,081百万円増加の104,486百万円(前連結会計年度末 93,405百万円)となりました。非流動資産は、保有上場株式及びファンドの時価評価等によるその他の投資の増加、PTCの子会社化によるのれん及び前払費用の増加、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の償却等による減少、㈱ディーカレットホールディングスに係る損失による持分法で会計処理されている投資の減少等で、前連結会計年度末比53百万円減少の127,320百万円(前連結会計年度末 127,373百万円)となりました。

当連結会計年度末における流動負債は、PTC子会社化等による契約負債の増加の他、営業債務及びその他の債務の増加、借入金の返済による減少等により、前連結会計年度末比3,519百万円増加の76,778百万円(前連結会計年度末 73,259百万円)となりました。当連結会計年度末における非流動負債は、借入金及びその他の金融負債の流動負債への振替等により、前連結会計年度末比6,140百万円減少の50,407百万円(前連結会計年度末 56,547百万円)となりました。

当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比13,572百万円増加の103,528百万円 (前連結会計年度末 89,956百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は44.7%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、47,391百万円となりました。

 

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益24,162百万円、減価償却費及び償却費28,444百万円等に対して、負債の減少による支出増及び契約負債の前受減少の収入減等により、営業資産及び負債の増減は2,892百万円の支出となり、43,573 百万円の収入となりました。

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,783百万円の支出、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,734百万円の支出、PTCの取得に関する支出2,612百万円(取得現金控除後)、有形固定資産の売却による収入2,150百万円等があり、11,838百万円の支出となりました。

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払19,983百万円、長期借入金の返済5,170百万円、配当金の支払3,836百万円、短期借入金の増加1,480百万円等があり、27,296百万円の支出となりました。

 

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。

役務区分

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

システムインテグレーション(含む機器販売)

80,344,887

13.0

合計

80,344,887

13.0

 

(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。

2.当社グループは、ネットワークサービス並びにATM運営事業において生産を行っておりませんので、これらに係る生産実績の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績及び受注残高は、以下のとおりであります。

役務区分

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システムインテグレーション
(構築及び機器販売)

38,660,343

18.6

12,451,257

49.5

システムインテグレーション(運用保守)

62,815,500

8.8

60,340,253

10.6

合計

101,475,843

12.4

72,791,510

15.7

 

(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。

2.当社グループは、ネットワークサービス及びATM運営事業において受注生産を行っておりませんので、これらに係る受注実績及び受注残高の記載事項はありません。なお、各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における役務区分別の販売実績は、以下のとおりであります。

役務区分

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ネットワークサービス売上高合計

128,212,839

1.1

 

うち、法人向けインターネット接続サービス

37,910,760

△6.0

 

うち、個人向けインターネット接続サービス

23,376,512

△9.1

 

うち、アウトソーシングサービス

40,522,630

13.5

 

うち、WANサービス

26,402,937

5.4

システムインテグレーション売上高合計

95,338,864

14.5

 

うち、構築及び機器販売

35,376,891

11.4

 

うち、運用保守

59,961,973

16.4

ATM運営事業売上高

2,783,674

△3.7

合計

226,335,377

6.3

 

(注)1.前年同期比の欄の%表示は、対前期比での増減率を記載しております。

2.各役務と事業セグメントの関連につきましては、本書の「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照下さい。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。

当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。

これらの見積及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。

しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 詳しくは、後記の連結財務諸表の注記をご参照ください。

 

 

(2) 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の経営成績の分析

①連結経営成績サマリー

<主要な連結経営指標>

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

増減率

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

売上収益合計

213,002

226,335

6.3

 

ネットワークサービス売上高

126,827

128,213

1.1

 

システムインテグレーション売上高(注1)

83,284

95,338

14.5

 

ATM運営事業売上高

2,891

2,784

△3.7

売上原価合計

△172,720

△174,707

1.2

 

ネットワークサービス売上原価

△99,656

△92,595

△7.1

 

システムインテグレーション売上原価(注1)

△71,197

△80,396

12.9

 

ATM運営事業売上原価

△1,867

△1,716

△8.1

売上総利益合計

40,282

51,628

28.2

 

ネットワークサービス売上総利益

27,171

35,618

31.1

 

システムインテグレーション売上総利益(注1)

12,087

14,942

23.6

 

ATM運営事業売上総利益

1,024

1,068

4.2

販売管理費等(注2)

△26,034

△28,081

7.9

営業利益

14,248

23,547

65.3

税引前利益

14,035

24,162

72.2

親会社の所有者に帰属する当期利益

9,712

15,672

61.4

 

 (注)1.システムインテグレーションには機器販売を含んでおります。

 2.販売費及び一般管理費(研究開発費を含む)、その他の収益、その他の費用の合計額を記載しております。

 

<セグメント情報>

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

売上収益合計

213,002

226,335

 

ネットワークサービス及びSI事業

210,278

223,678

 

ATM運営事業

2,891

2,784

 

セグメント間取引消去

△167

△127

営業利益合計

14,248

23,547

 

ネットワークサービス及びSI事業

13,541

22,799

 

ATM運営事業

826

834

 

セグメント間取引消去

△119

△86

 

 

 

②経営成績の分析

当社グループの売上の大部分がネットワークサービス及びSI事業からのものであるため、役務別の分析により記載しております。

 

ⅰ)売上収益

当連結会計年度における売上収益は、前年同期比6.3%増の226,335百万円(前年同期 213,002百万円)となりました。

 

<ネットワークサービス売上高>

法人向けインターネット接続サービスの売上高は、IPサービス及び法人IoT等用途向け法人モバイルサービス等が増加したものの、調達コスト低下に応じたIIJモバイルMVNOプラットフォームサービスの減収影響があり、前年同期比6.0%減の37,911百万円(前年同期 40,347百万円)となりました。

個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービスにおいて新サービスである「ギガプラン」による平均販売単価低下の影響等があり、前年同期比9.1%減の23,376百万円(前年同期 25,722百万円)となりました。

アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高の増加等があり、前年同期比13.5%増の40,523百万円(前年同期 35,710百万円)となりました。

WANサービスの売上高は、前年同期比5.4%増の26,403百万円(前年同期 25,048百万円)となりました。

これらの結果、ネットワークサービス売上高は、前年同期比1.1%増の128,213百万円(前年同期 126,827百万円)となりました。

 

 

ネットワークサービス売上高の内訳、法人向け及び個人向けインターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域は、それぞれ以下のとおりであります。

 

<ネットワークサービス売上高の内訳>

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

2022年3月31日)

増減率

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

ネットワークサービス売上高合計

126,827

128,213

1.1

 

法人向けインターネット接続サービス

40,347

37,911

△6.0

 

 

IPサービス(注)1

12,171

13,683

12.4

 

 

IIJモバイルサービス(法人向け)

24,525

20,351

△17.0

 

 

 

法人IoT等用途向け直接提供

7,807

10,257

31.4

 

 

 

MVNOプラットフォームサービス

16,718

10,094

△39.6

 

 

その他

3,651

3,877

6.2

 

個人向けインターネット接続サービス

25,722

23,376

△9.1

 

 

IIJmioモバイルサービス

22,997

20,365

△11.4

 

 

その他

2,725

3,011

10.5

 

アウトソーシングサービス

35,710

40,523

13.5

 

WANサービス

25,048

26,403

5.4

 

 

<インターネット接続サービス契約数及び回線数の内訳並びに法人向けインターネット接続サービスの契約総帯域(注)2>

 

前連結会計年度末

(2021年3月31日現在)

当連結会計年度末

(2022年3月31日現在)

増減数

契約数(件)

契約数(件)

(件)

法人向けインターネット接続サービス契約数合計

2,303,717

2,500,116

196,399

 

IPサービス(1Gbps以上)(注)1

791

786

△5

 

IPサービス(1Gbps未満)(注)1

1,200

1,250

50

 

IIJモバイルサービス(法人向け)

2,209,836

2,407,083

197,247

 

 

 法人IoT等用途向け直接提供

1,110,415

1,374,055

263,640

 

 

MVNOプラットフォームサービス

1,099,421

1,033,028

△66,393

 

その他

91,890

90,997

△893

個人向けインターネット接続サービス回線数合計

1,379,277

1,437,107

57,830

 

IIJmioモバイルサービス

1,034,148

1,090,208

56,060

 

その他

345,129

346,899

1,770

 

 

 

 

 

 

 

帯域(Gbps)

帯域(Gbps)

増減

法人向けインターネット接続サービス契約総帯域(注)3

6,624.1

7,641.6

1,017.5

 

(注)1.IPサービスには、データセンター接続サービスを含めております。

 2.法人向けインターネット接続サービス及び個人向けインターネット接続サービスの内訳において、「IIJモバイルサービス(法人向け)」及び「IIJ提供分」は回線数を表示しており、それ以外は契約件数を表示しております。

 3.法人向けインターネット接続サービスのうち、IPサービス、インターネットデータセンター接続サービス及びブロードバンド対応型サービス各々の契約数と契約帯域を乗じることにより算出しております。

 

 

<システムインテグレーション売上高>

システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比11.4%増の35,376百万円(前年同期 31,767百万円)となりました。このうち、PTCに係る売上高は4,731百万円でありました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げ及びクラウド関連サービスの売上高増加等があり、前年同期比16.4%増の59,962百万円(前年同期 51,517百万円)となりました。このうち、PTCの売上高は2,159百万円でありました。

これらの結果、システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比14.5%増の95,338百万円(前年同期 83,284百万円)となりました。

当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比12.4%増の101,476百万円(前年同期 90,314百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比18.6%増の38,660百万円(前年同期 32,590百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比8.8%増の62,816百万円(前年同期 57,724百万円)でありました。

当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比15.7%増の72,792百万円(前年同期末 62,894百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比49.5%増の12,451百万円(前年同期末 8,330百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比10.6%増の60,340百万円(前年同期末 54,564百万円)でありました。

 

<ATM運営事業売上高>

ATM運営事業売上高は、前年同期比3.7%減の2,784百万円(前年同期 2,891百万円)となりました。

 

ⅱ)売上原価

当連結会計年度における売上原価は、前年同期比1.2%増の174,707百万円(前年同期 172,720百万円)となりました。

 

<ネットワークサービス売上原価>

ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比7.1%減の92,595百万円(前年同期 99,656百万円)となりました。インターネットバックボーンや設備及び人員に関連する原価は微増し、モバイル関連サービスに係る原価は、期初からの音声仕入れ単価の低下と第3四半期における㈱NTTドコモによる接続料の2020年度実績に基づく単価確定による原価戻りがありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比31.1%増の35,618百万円(前年同期 27,171百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は27.8%(前年同期 21.4%)となりました。

 

<システムインテグレーション売上原価>

システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、外注関連費用、クラウド関連サービス売上高等の増加に伴うライセンス費用及び仕入の増加等があり、前年同期比12.9%増の80,396百万円(前年同期 71,197百万円)となりました。このうち、PTCに係る売上原価は6,125百万円でありました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比23.6%増の14,942百万円(前年同期 12,087百万円)となり、売上総利益率は15.7%(前年同期 14.5%)となりました。

 

<ATM運営事業売上原価>

ATM運営事業売上原価は、前年同期比8.1%減の1,716百万円(前年同期 1,867百万円)となりました。売上総利益は、1,068百万円(前年同期 1,024百万円)となり、売上総利益率は38.3%(前年同期 35.4%)となりました。

 

 

ⅲ)販売管理費等

当連結会計年度における販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は、主として人件関連費用、販売手数料及び広告宣伝費等の増加等により、前年同期比9.7%増の27,969百万円(前年同期 25,491百万円)となりました。このうち、PTCに係る販売費及び一般管理費(含む研究開発費)は463百万円でありました。

その他の収益は171百万円(前年同期 149百万円)となりました。その他の費用は主として固定資産除却損により283百万円(前年同期 692百万円)となりました。

 

ⅳ)営業利益

当連結会計年度における営業利益は、前年同期比65.3%増の23,547百万円(前年同期 14,248百万円)となりました。

 

ⅴ)金融収益、金融費用及び持分法による投資損益

当連結会計年度における金融収益は、主としてファンドに係る金融資産評価益3,055百万円(前年同期 479百万円の評価益)等により、3,506百万円(前年同期 776百万円)となりました。

当連結会計年度における金融費用は、支払利息538百万円(前年同期 580百万円)等により、556百万円(前年同期 581百万円)となりました。

当連結会計年度における持分法による投資損益は、㈱ディーカレットホールディングスの暗号資産事業売却に係る持分法損失の増加及びのれん相当額の減損1,181百万円等があり、2,335百万円の損失(前年同期 408百万円の損失)となりました。

 

ⅵ)税引前利益

当連結会計年度における税引前当期利益は、前年同期比72.2%増の24,162百万円(前年同期 14,035百万円)となりました。

 

ⅶ)当期利益

当連結会計年度における法人所得税費用は、8,362百万円の費用(前年同期 4,234百万円の費用)となりました。この結果、当連結会計年度における当期利益は、前年同期比61.2%増の15,800百万円(前年同期 9,801百万円)となりました。

非支配持分に帰属する当期利益は、㈱トラストネットワークスに係る利益等により128百万円(前年同期 89百万円)となりました。この結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比61.4%増の15,672百万円(前年同期 9,712百万円)となりました。

 

 

(3) 当連結会計年度末(2022年3月31日現在)の財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比11,028百万円増加し、231,805百万円(前連結会計年度末 220,777百万円)となりました。

当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末比11,081百万円増加し、104,486百万円(前連結会計年度末 93,405百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、現金及び現金同等物4,924百万円増加の47,391百万円、営業債権2,850百万円増加の37,649百万円及び前払費用2,955百万円増加(うち、PTC子会社化に伴う増加1,667百万円)の13,553百万円でありました。

当連結会計年度末における非流動資産は、前連結会計年度末比53百万円減少し、127,320百万円(前連結会計年度末 127,373百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、有形固定資産761百万円増加の17,846百万円、使用権資産(オフィス、データセンター等の賃借契約及び通信機器等のリース契約の利用権)の償却等による5,834百万円減少の44,874百万円、のれんはPTC子会社化等に係る3,397百万円増加の9,479百万円、持分法で会計処理されている投資は主として㈱ディーカレットホールディングスに係る損失による3,197百万円減少の5,830百万円、長期前払費用915百万円増加(うち、PTC子会社化に伴う増加1,122百万円)の10,452百万円、その他の投資は保有上場株式及びファンドの時価評価等による4,497百万円増加の17,410百万円でありました。

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末比3,519百万円増加し、76,778百万円(前連結会計年度末 73,259百万円)となりました。主な残高及び増減の内訳は、営業債務及びその他の債務1,498百万円増加の20,742百万円、借入金2,190百万円減少の(うち長期借入の返済による減少5,170百万円、短期借入の増加1,480百万円及び非流動負債からの振替1,500百万円)の16,370百万円、契約負債2,469百万円増加の9,571百万円(うち、PTC子会社化に伴う増加1,857百万円)、その他の金融負債845百万円減少の17,035百万円でありました。

当連結会計年度末における非流動負債は、前連結会計年度末比6,140百万円減少し、50,407百万円(前連結会計年度末 56,547百万円)となり、主な残高及び増減の内訳は、 借入金は流動負債への振替で1,500百万円減少の5,500百万円、契約負債は184百万円増加の7,429百万円、その他の金融負債は流動負債への振替等にて5,502百万円減少の30,146百万円でありました。

当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の額は、前連結会計年度末比13,572百万円増加の103,528百万円 (前連結会計年度末 89,956百万円)、親会社の所有者に帰属する持分比率は44.7%となりました。

 

 

(4) 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の流動性及び資金の源泉の分析

①概要

当社グループの資金需要のうち主なものは、ネットワークの構築と拡張、社内システムへの投資、クラウドコンピューティングサービス推進に伴う投資、データセンター等の施設設備に対する賃借料及び投資(土地取得含む)、ネットワークサービス原価及びシステムインテグレーション仕入等に伴う増加運転資金、当社グループ会社等に対する投融資、国際事業推進に伴う投資、販売活動及び運転資金等であります。こうした必要資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行からの借入金並びにファイナンス・リース契約等で調達されております。

 

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、47,391百万円(前年同期末 42,467百万円)となりました。

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益24,162百万円(前年同期 14,035百万円)、減価償却費及び償却費28,444百万円(うちIFRS第16号の適用によるオペレーティング・リースに係る使用権資産の減価償却費11,534百万円)、法人所得税の支払い5,700百万円(前年同期 3,912百万円)等に対して、負債の減少による支出増及び契約負債の前受減少の収入減等により、営業資産及び負債の増減は2,892百万円の支出(前年同期 1,513百万円の収入)となり、43,573 百万円の収入(前年同期 40,544百万円の収入)となりました。

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による6,783百万円の支出(前年同期 6,391百万円の支出)、ソフトウェア等の無形資産の取得による4,734百万円の支出(前年同期 4,617百万円の支出)、PTCの取得に関する支出2,612百万円(取得現金控除後)、主としてセールアンドリースバック取引で有形固定資産の売却による収入2,150百万円(前年同期 2,499百万円の収入)等があり、11,838百万円の支出(前年同期 13,216百万円の支出)となりました。 

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、本社オフィス等のオペレーティング・リース及びネットワーク機器等のファイナンス・リースの支払等によるその他の金融負債の支払19,983百万円(前年同期 20,168百万円の支払)、長期借入金の返済5,170百万円(前年同期 1,830百万円)、配当金の支払3,836百万円(前年同期 1,533百万円)、短期借入金の増加1,480百万円(前年同期 360百万円の返済)等があり、27,296百万円の支出(前年同期 23,618百万円の支出)となりました。

 

③借入金

当社グループの主要取引銀行は、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行及び三井住友信託銀行㈱であります。

当社グループの当連結会計年度末現在における短期借入金の残高は14,870百万円でありました。当社グループは、主要取引銀行を含む邦銀各行との間にて当座借越契約を締結しており、当連結会計年度末現在において、その未使用残高合計は10,980百万円でありました。また、当社グループの当連結会計年度末現在における長期借入金残高は7,000百万円でありました。

 

④ファイナンス・リース

当社グループは、ファイナンス・リース契約により調達したデータ通信及びその他の設備を利用してインターネット接続サービス及びその他のインターネット関連サービスを行っております。当連結会計年度末現在のファイナンス・リース負債の残高は18,069百万円であります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

本書提出日現在、記載すべき経営上の重要な契約はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループは、連結子会社㈱IIJイノベーションインスティテュート(2022年4月に当社へ吸収合併)を基礎技術研究の中核として、当社の事業部門等と連携を取りながら様々な研究開発に取り組みました。

インターネットに関する基礎技術については、㈱IIJイノベーションインスティテュートにて、主として、インターネットトラフィックの調査、計測及び解析、インターネット基盤技術に関する研究及びセキュリティに関する研究など幅広い活動を行いました。インターネットトラフィックの調査、計測及び解析においては、2004年から総務省及び他ISPと協力して国内インターネットのトラフィック量を把握するための調査及びその動向報告を継続的に行っております。新型コロナウイルス感染拡大に伴いインターネットの活用が変化しており、インターネットトラフィックに関するレポートが引き続き高い評価を得ております。これらの研究は、当社にとってネットワーク設計等を検討していくうえで有用であるだけでなく、国際的にも貴重な研究成果として認知されており、情報通信業界へ広く貢献する研究と認識しております。インターネット基盤技術については、ますます大規模化、高速化するインターネットをより効率的に運用できるよう調査及び解析を行い、インターネットで利用されるプロトコルの標準化、運用管理の自動化(クラウドサービスに要する資源の自動割り当てモデルの設計、ネットワーク情報の収集と抽出による動的情報管理、産業用機器やIoT機器等の自動設定システムの構築等)等の研究を行いました。セキュリティについては、当社のSOC(Security Operation Center)にて集積しているログを用いた早期警戒システムの設計、機械学習及びバイナリ解析技術を基に攻撃に繋がる可能性のある動きを未然に防ぐ技術の研究等を行いました。

当社は、当連結会計年度において、事業部門においても、事業活動と並行して、新サービスの開発、モバイルサービスの機能追加、フルMVNOサービスの開発、IoT関連サービス開発等に向けた各種PoC(*)案件推進、セキュリティ技術の評価、検討、サービス開発及び機能追加、クラウドコンピューティングサービスの機能追加、事業に必要な関連ソフトウェアの評価、検討、開発、改良及び実装、通信機器の評価及び検討、次世代システムインフラの開発、ネットワーク運用技術の評価、検討及び開発等の研究開発活動を行いました。

当社は、インターネット技術の標準化団体といえるISOC(*)及びIETF(*)、アジアと日本のインターネット運用管理組織であるAPNIC(*)及びJPNIC(*)、国際連合の専門機関ITU(*)の電気通信標準化部門であるITU-T(*)、セキュリティに関する国際組織FIRST(*)、日本のインターネット技術者及び利用者への貢献を目的としてインターネットにおける技術的事項及びそれに係るオペレーションに関する事項の議論、検討及び紹介等を行うJANOG(*)、日本の情報通信分野の安全の確保を目的として活動するICT-ISAC(*)、クラウドコンピューティングを重要な社会インフラとして普及・発展させることを目的として活動するASPIC(*)等の国内外のインターネット・通信関連技術団体に加盟及び参加しており、ネットワーク関連技術の発展に積極的に取り組んでおります。

インターネットは、通信手順を一般に公開し共通化することにより普及してきたという経緯があります。当社グループは、インターネットを含むデータ通信等に関わる研究開発において、個別に多額の予算を注ぎ込んで独自の技術を新規開発するというよりも、基礎技術の標準化過程への参画、次世代の技術情報の収集、評価及び習得、新技術の既存サービスへの応用及び実装、所与の技術による付加価値の高いサービス及びプロダクトの創出及び開発等が重要であると認識しており、主としてそのような研究開発活動を推進しております。

当社グループの研究開発は上述のような内容であり、その費用の殆どは人件費であります。当社グループは、主として基礎技術研究に従事した人員に関する人件費等を研究開発費として計上し、サービス開発等に関する費用は原価計上しております。当連結会計年度における研究開発費は、ネットワークサービス及びSI事業にかかるものであり、前年同期比7.3%増の506百万円でありました。