第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、リユースモバイル端末を取扱うリユース関連事業を軸として、「①『リユー』スの輪を広げる、②選ばれる『理由』がある、③『Re(何度も)』+『Yuu(結う=繋げる)』」という想いを込めた「ReYuu(リユー)」をコーポレート・アイデンティティとして掲げ、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。市場が安定的に拡大を続けるリユースモバイル業界において、事業環境やお客様のニーズの変化を的確に捉え、求められるサービスや商品を迅速かつ確実に提供することを目指しております。また、透明性と高い倫理観に基づく企業活動を通じて、社会への貢献を果たしてまいります。さらに、経営基盤の強化に向けて人材育成に注力し、企業価値の向上と持続的な成長を実現してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

当社の主な事業分野である携帯電話業界におきましては、円安や製造コストの上昇に伴い、新品端末の価格が高騰しております。その一方で、高価な最新機能よりも実用性とコストパフォーマンスを求める需要から、リーズナブルに入手可能なリユースモバイル端末への関心はますます高まっております。リユースモバイル端末は、普及が進む低価格帯の回線サービスとも相性がよく、サブ端末としての利用や法人による利用が増加しており、市場は順調に成長を続けております。今後につきましても、リユースモバイル端末の品質や安全性が認知されていくとともに、市場規模の拡大が加速していくことが見込まれます。

このような事業環境を踏まえ、当社といたしましては、以下の事項を経営上の重要な課題と認識しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (7)感染症の流行について」および「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

① 商品の安定的な調達体制の確保

リユースモバイル端末市場の拡大に対応し、事業成長を持続させるためには、商品の安定的な調達体制の確保が不可欠であると認識しております。調達力のさらなる強化のため、社内体制を整備し、国内・海外を問わず新規仕入先の開拓に注力するとともに、既存パートナー企業との買取連携を強化し、長期的に安定した調達網の構築を目指しております。

 

② 市場展開と事業基盤の強化

リユースモバイル端末市場でのシェア拡大と収益安定化を実現するため、市場展開と事業基盤の強化に取り組んでおります。国内法人向けには、卸販売、買取、レンタル、商品保証、キッティングを組み合わせた総合的な端末サービスを提供し、既存取引先への深耕営業と新規取引先の開拓を進めております。また、法人向けサブスクリプションサービスやレンタル事業の強化を通じて、単発のフロー収益に加え、継続的なストック収益を積み上げ、収益基盤の安定化を図っております。海外市場では、海外ビジネスに精通した人材を積極的に活用し、現地企業との連携を深めることで、グローバルチャネルの拡充を推進しております。個人向けオンラインチャネルでは、SEO施策や商品ラインナップの充実により、販売力のさらなる向上を目指しております。

 

③ DX化と業務効率化の推進

事業規模の拡大に対応するため、DX化と業務効率化を重要課題として位置づけ、商品の入荷から出荷までを一元管理するシステムの導入を進めております。また、取引先や取扱商材の多様化に伴い、商品の再生と物流を担うモバイルリファビッシュセンターでは、デバイスの再生に関わる新たなテクノロジーの導入を検討してまいります。再生・検品業務を効率化する仕組みを整備し、拡大する取扱量に対応するため処理能力の強化にも注力しております。

 

④ 人材戦略の強化

持続的な企業価値の向上に資するため、成長の源泉として、人材の採用と育成を課題として位置づけております。採用体制を強化し、多様な人材の確保に注力するとともに、従業員の成長とエンゲージメント向上に向けた取り組みを推進してまいります。

 

当社といたしましては、かかる課題に全社を挙げて対処するとともに、事業の拡大および企業価値の向上に向けて取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、取締役会を毎月1回開催し、重要事項の付議および業績等に関する報告を行うとともに、総括的な経営実態について担当役員自らが報告を行う体制を整えております。取締役会において決定された経営上の意思決定は、各執行役員により関係部門責任者に伝達されることによって事業運営の迅速化、効率化および内部統制、事業リスク等への対応に取り組むとともに、適法性のチェックに重点を置いたコンプライアンス体制の構築と維持に努めております。

取締役会において、コンプライアンス全体に関する総括責任者およびリスク全般の管理についての総括責任者として、コンプライアンス担当役員およびリスク管理担当役員を任命しております。

また、法令と社会倫理の遵守を図るべく、「内部統制委員会」において毎月1回取締役、常勤監査役および関係部門責任者の出席のもと、コンプライアンス事項に関係する情報の共有等を含め、啓蒙活動に努めております。

 

(2)戦略

(サステナビリティ全般に関する戦略)

当社は、「①『リユー』スの輪を広げる、②選ばれる『理由』がある、③『Re(何度も)』+『Yuu(結う=繋げる)』」という想いを込めた「ReYuu(リユー)」をコーポレート・アイデンティティとして掲げ、リユース関連事業を主要事業として推進しております。同事業の内容そのものがSDGsの達成へ貢献するものであり、事業の発展へ向けて注力していくことが持続可能な社会の実現のために最も重要な貢献へつながると考えております。当社の事業内容とSDGsのつながりについては以下のとおりです。

① SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」

当社のリユース関連事業が拡大することで、捨てられることなくリユース端末として再活用される使用済み端末が増加し、廃棄物の削減につながり、循環型社会の実現へと近づいていきます。

② SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」

通信端末をリユースすることは製造時と廃棄時に発生するCO2を削減することにもつながるため、カーボンニュートラルへ貢献し、温室効果ガスの削減により気候変動への対策となります。

③ SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」・SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」

通信端末のような電気電子機器の廃棄物が不適切な方法で廃棄処理をされると、環境汚染や人の健康への悪影響を引き起こす懸念があります。当社はリユース関連事業を拡大させるとともに、コンプライアンスを遵守した適切なリサイクル処理を行うことで、この様な被害をもたらさない取り組みを実施しております。

 

なお、当社はリユースモバイル市場全体の健全な発展と消費者保護を目指すため、一般社団法人リユースモバイル・ジャパンの理事企業として、ガイドラインの策定や事業者認証制度の運営を通じて、リユースモバイルの普及と、多様で低廉な通信サービスが安心で安全に提供される社会の形成に寄与しております。

 

(人的資本に関する戦略)

当社は、人々や社会に貢献できるサービスの提供を目指し、人材への積極的な投資を通じて、挑戦する姿勢と実行力を兼ね備えた社員の育成に取り組んでまいります。また、リユース関連事業は、通信やスマートフォンの専門知識・スキルの要求レベルが非常に高く、当社の求める人物像に向けた社員一人ひとりの能力開発と自己研鑽に注力してまいります。

当社が求める人材像は「社員一人ひとりが自発的に学び、考え、確実に業務を遂行するのみならず、新たな価値を生み出す改善や創意工夫を自立的・継続的に行う人材」であり、その人材の採用・育成・定着に向けて、中期経営計画では、①採用体制の強化、②育成環境の整備、③魅力的な職場環境の構築に取り組んでいくこととしております。

 

(3)リスク管理

当社の事業内容そのものがSDGsの達成へ貢献するものであることを認識したうえで、取締役会において、各担当役員から総括的な経営実態についての報告並びに事業運営・事業リスクの認識および対応について指示・監督を行っております。

また、当社に属する全ての取締役、監査役および従業員が公正で高い倫理観に基づいた企業活動を行うことを徹底するため、コンプライアンス担当役員および内部統制委員会を中心としてサステナビリティ関連項目を含む「コンプライアンス・マニュアル」を整備しております。「法令」、「定款」、「社内規程」、「コンプライアンス・マニュアル」等の遵守については、違反行為等のリスク情報の早期把握と従業員からの相談窓口として、「公益通報者保護法」制定の趣旨に則り、社外の弁護士を含めたコンプライアンスに関する報告・相談ルートを整備し、「内部通報窓口」の設置等により、コンプライアンスの遵守に向けた啓蒙活動を実施しております。

 

(4)指標及び目標

(サステナビリティ全般に関する指標及び目標)

当社は、リユース関連事業の発展を通じて持続可能な社会の実現への貢献を目指してまいります。業績目標を含めた当社の中期経営計画につきましては、現在策定中でございます。過去の中期経営計画につきましては以下にて開示しております。

 

・中期経営計画説明資料および中期経営計画説明動画

https://www.reyuu-japan.com/ir/library/other/

 

(人的資本に関する指標及び目標)

当社は、人材の多様性が経営や事業の革新を促し、持続的な成長を実現する上での重要な強みであると認識しております。この認識に基づき、事業環境に即した多様性の確保に向けた取り組みを進めてまいります。

中期経営計画においては、若年層から高いスキルを持つ熟年層まで幅広い層を対象とした中途採用の強化を掲げており、性別や国籍を問わず、有能な人材の登用を推進してまいります。特に、女性および外国籍社員の管理職登用が十分ではないと認識しており、女性管理職の育成に重点を置き、中途採用の拡大や職場環境の整備に注力します。

具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

当社の事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主要な事項について記載を行うとともに、その他の事項であっても、投資者の判断に重要な影響をおよぼすと考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、情報の開示を行っております。

当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合においては適切な対応に努める方針でありますが、投資判断を行われるにあたっては本項および本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年1月31日)現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)当社の収益構造について

当事業年度における当社の事業部門別の売上高構成は下記のとおりとなっており、売上構成比はリユース関連事業が98.7%、その他の事業が1.3%と、リユース関連事業の売上構成比が高いものとなっております。

このため、当該事業への依存度が高いことによって、当該事業の業績が悪化した場合、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

利益面から見た場合においても、リユース関連事業においては、為替変動等の外部要因による調達価格の高騰や、メーカーや移動体通信事業者による新品価格の値下げ等によりリユースモバイル端末の価格優位性が損なわれる等、利益率が低下する可能性があります。

 

 

 

2023年10月期

2024年10月期

前年同期比

(%)

 

 

 

金額
(百万円)

構成比(%)

金額
(百万円)

構成比(%)

売上高

4,089

100.0

4,731

100.0

115.7

 

リユース関連事業

3,737

91.4

4,670

98.7

125.0

 

移動体通信関連事業

329

8.1

 

 

通信機器販売

261

6.4

 

 

受取手数料収入

68

1.7

 

その他の事業

22

0.5

61

1.3

276.8

(注)移動体通信関連事業は、2023年4月1日付で事業譲渡および閉店が完了しております。

 

(2)リユース関連事業の運営上のリスクについて

スマートフォン、タブレット、パソコン等の通信端末機器について、リユース品を中心に売買する事業を展開しております。これらの機器は、サプライヤーからの仕入や、不要となった機器を消費者や企業から直接買取ることで調達しております。調達した商品は、必要に応じて当社のモバイルリファビッシュセンターにおいて査定、データ消去、外装クリーニングなどの処理を施し、リユースモバイル端末として販売しております。同事業においては、リユースモバイル端末をMVNO事業者や携帯代理店、卸売業者、小売業者、一般企業、海外市場等へ向けて販売するとともに、自社運営サイトおよび外部ECモールにおいて、個人向けのオンライン販売を実施しております。

 

① 需要の減少について

リユースモバイル端末の需要は、高価格なスマートフォンの普及や円安に伴って価格が高騰している新品端末機器への買替えを躊躇する顧客層に対して、デザインや機能面において遜色のないリユースモバイル端末を低廉な価格で供給することや、低価格帯の通信サービスと組み合わせて2台目としての利用や法人利用を目的とした顧客層に対して、低価格で実用的なリユースモバイル端末を提供することで成り立っております。

同事業においては、リユースモバイル端末の流通量に応じて調達価格が影響を受けることから、端末メーカーの生産量や移動体通信事業者の販売量の減少の影響からリユースモバイル端末の流通量が減少し、調達価格が高騰することによってそれが販売価格に転稼され、その結果により販売価格が上昇した場合や、移動体通信事業者や端末メーカーによって新品端末機器の大幅な値下げが実施されることでリユースモバイル端末の価格優位性が著しく損なわれ需要が減退し、同事業の事業モデルにより得られる売上高や収益が減少することにより、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

② リユースモバイル端末の調達について

リユースモバイル端末の調達は、国内外のパートナー企業からの仕入やエンドユーザーからの買取を実施しております。

しかしながら、商品の特性上、安価で安定的かつ継続的に当社にリユースモバイル端末が供給されることが保証された環境ではなく、特定の企業に依存した調達を実施した場合や、国外からの仕入に依存した場合、パートナー企業の調達状況、為替や国際情勢の状況、資源価格の高騰や半導体不足による調達価格の高騰等の影響により、合理的な価格でリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

また、各移動体通信事業者の販売施策において、次回の買替え時に移動体通信事業者が下取りをすることを前提とした契約の普及等により、リユースモバイル市場への端末機器の流通量が大幅に低下する恐れがあり、その場合、顧客の需要に応じたリユースモバイル端末を確保できないことから販売に支障を来すことにより、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

③ 主要な販売先について

同事業の主要な販売先は下記のとおりとなっており、株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社オプテージの2社への売上高が相対的に大きいものとなっております。これら2社ともに、各社が要望する商品と、当社の提供可能商品が一致したため、売上が拡大し、売上比率が高まったものであります。

相手先

第37期

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

金額(千円)

割合(%)

株式会社インターネットイニシアティブ

1,260,749

26.6

株式会社オプテージ

1,031,449

21.8

 

(3)法的規制等について

当社ではリユース関連事業およびその他の事業を行うにあたって、以下のような法令やガイドライン等の規制を受けており、当社はこれらの法的規制等を遵守し企業活動を行っております。

しかし、将来においてこれらの法的規制等が改正された場合、又は当社がこれらの法的規制等に抵触した場合は、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

関係する事業

法的規制等

リユース関連事業
その他の事業

電気通信事業法

消費者契約法

携帯電話不正利用防止法

電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(総務省告示)

オンラインショップを介して商品を提供する場合

特定商取引に関する法律

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律

リユース品の売買

古物営業法

商標法

事業全般

個人情報の保護に関する法律

 

(4)個人情報の取扱いについて

当社では、リユース関連事業においてはリユースモバイル端末の買取等を行う場合やオンラインショップでの販売を行う場合、その他の事業においてはレンタルサービスの申込みを受ける場合において、顧客の氏名、生年月日、住所等の個人情報を取り扱っております。

個人情報の記載された書類としては申込書等があり、また社内のサーバ内や委託先のクラウド環境には個人情報がデータとして保存されておりますが、当社では個人情報が記載された書類等について必要時以外はキャビネットの中に入れて施錠をする、また電子データについてはパスワード管理を行う等、厳重に管理を行っております。また、プライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントISO27001認証(モバイルリファビッシュセンター)を取得しており、セキュリティの強化に努めております。

しかしながら、書類が盗難等される場合や第三者がネットワークへ不正侵入する等により、個人情報の記載された書類や電子データ等が社外に流出し、個人情報が漏洩する可能性については否定できません。

その場合、顧客から損害賠償訴訟の提起や賠償金の請求、また既存顧客の信用や社会的な信用の失墜により、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(5)海外の事業展開について

当社は、企業として一層の成長を図るため、国内だけではなく、海外での商品の販売と調達の拡大へ積極的に取り組んでおります。しかしながら、取引先相手国における政情、経済、法規制等のカントリーリスクや現地企業に対する信用リスク、為替の影響等、これらのリスクの発生により当社の方針が奏功せず、係るリスクが顕在化した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)対処すべき課題に対する対応について

当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の事業の進展のために克服すべき当面の課題が認識されており、係る課題を早期に克服すべく対応を行ってまいりますが、これらの施策が奏功する保証はなく、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(7)感染症の流行について

新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の位置づけが5類感染症となり、経済社会活動の正常化が進みました。しかしながら、今後も同様の感染症の拡大等があった場合、営業活動が制限され、リユースモバイル端末の調達および販売が減少することによって売上高、収益ともに減少し、当社の業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(8)継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、新型コロナウイルス感染症の影響による調達難等により2022年4月期に営業損失を計上し、その後も継続して営業損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

しかしながら、これまでの調達力強化や販売チャネル拡充の施策を通じて、当社のリユース関連事業は着実に拡大しており、当事業年度においては売上高4,670百万円(前期3,737百万円)となりました。また、コストの大幅な低減も相まって、当事業年度の営業損失は64百万円となり、前期の185百万円から121百万円の改善を実現いたしました。なお、資金面におきましても、2024年2月および同年4月に実施した長期借入により調達した資金にて、十分な流動性を確保しております。現在の売上の状況、改善傾向にある利益構造などから、今後1年間の資金繰り見通しについても安定して推移することが見込まれ、引き続き財務基盤は安定しているものと判断しております。

以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2023年11月1日から2024年10月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善傾向にある中で、緩やかな回復基調で推移しております。一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや、物価の上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢等の影響に、依然として注意が必要な状況が続いております。

当社の主な事業分野である携帯電話業界におきましては、円安や製造コストの上昇に伴い、新品端末の価格が高騰しております。その一方で、高価な最新機能よりも実用性とコストパフォーマンスを求める需要から、リーズナブルに入手可能なリユースモバイル端末への関心はますます高まっております。リユースモバイル端末は、普及が進む低価格帯の回線サービスとも相性がよく、サブ端末としての利用や法人による利用が増加しており、市場は順調に成長を続けております。今後につきましても、リユースモバイル端末の品質や安全性が認知されていくとともに、市場規模の拡大が加速していくことが見込まれます。

このような事業環境の中、当社は社名の一部でもある「ReYuu(注)」に表現されるコーポレート・アイデンティティに基づき、モバイル端末を中心とするリユース関連事業を事業の柱として、企業価値の向上を目指しております。

当事業年度におきましては、リユースモバイル市場の拡大を背景に、販売台数、売上高、売上総利益のいずれも前期比で大幅に増加いたしました。この成長は、2023年4月に移動体通信関連事業から撤退し、経営資源をリユース関連事業へ集中した結果、事業撤退による減少分を上回る伸長を実現したものです。具体的な取り組みとして、調達専門部署を新設し、法人からの直接買取を強化する等の調達力拡充に注力するとともに、既存の販売チャネルに加え、海外事業者を含む新規取引先の開拓およびオンラインチャネルでの収益力強化を図ってまいりました。

また、移動体通信関連事業からの撤退に伴い固定費が削減され、黒字転換に向けてコスト構造と利益体質が大きく改善されました。

一方で、新規販路の開拓や調達体制の強化においては、一部の契約の締結や、グローバル展開に伴う体制構築、調達先との調整に想定以上の時間を要し、当初計画からは遅れが生じることとなりました。しかしながら、当期に整備された大口の調達ルートおよびグローバル市場での販売ルートは、来期の業績向上に寄与する見込みです。

これらの結果、当事業年度における売上高は4,731百万円(前期比15.7%増)、営業損失は64百万円(前期営業損失185百万円)、経常損失は79百万円(前期経常損失204百万円)、当期純損失は86百万円(前期当期純損失81百万円)となりました。なお、前事業年度における業績には、2023年4月をもって撤退した移動体通信関連事業における売上高329百万円、事業譲渡および閉店に伴う特別利益135百万円等が含まれております。

 

なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(注)「ReYuu(リユー)」は、「①『リユー』スの輪を広げる、②選ばれる『理由』がある、③『Re(何度も)』+『Yuu(結う=繋げる)』」という想いを込めた、当社の目指す姿を示すコーポレート・アイデンティティです。

 

事業部門別の状況は次のとおりであります。

当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、経営成績の状況を事業部門別に記載しております。

 

(リユース関連事業)

当事業年度におけるリユース関連事業におきましては、調達力の強化を重点戦略として掲げ、当期より新設した調達専門部署を中心に調達営業活動を推進してまいりました。事業の基盤となる良質な商品の安定確保を目指し、新規調達先の開拓および法人向けの買取提案営業に注力した結果、当期の調達量が増加するとともに、来期以降の更なる業績向上を見据えた調達網の整備が進展いたしました。一方で、一部の契約締結や調達先との調整に想定以上の時間を要したことから、当期業績への寄与は当初計画に比べて限定的なものとなりました。

国内法人向け営業戦略につきましては、販売・買取・レンタル・商品保証・キッティングを一体化した総合的な端末サービスを強みとして、既存取引先への深耕営業および新規顧客の開拓に取り組んでまいりました。その中でも当社が優位性を持つMVNO事業者チャネルにおいては、既存取引先への深耕営業により販売機種のラインナップが拡充いたしました。その他の国内取引先である通信事業者、携帯販売代理店、卸業者、小売業者、一般企業といったチャネルにつきましては、堅実に取引が拡大いたしました。

グローバルチャネルにおいては、海外ビジネスに精通した人材を積極的に活用した結果、販売と調達の両面で取引ルートの整備が進行し、取引高が増加いたしました。

個人向けオンラインチャネルにおいては、メイン商材のスマートフォンやノートパソコンにとどまらず、スマートウォッチやデスクトップコンピュータ等、当社の調達ルートを活かした商品ラインナップの充実に取り組んでまいりました。また、販売促進施策の実施とお客様目線での顧客対応により、外部ECモールでの店舗評価が高まりました。

これらの結果、売上高4,670百万円(前期3,737百万円)、販売台数は141,278台(前期84,857台)となりました。

 

(その他の事業)

当事業年度におけるその他の事業におきましては、売上高61百万円(前期22百万円)となりました。

 

当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、事業部門別の売上高の内訳は次表のとおりとなっております。

 

 

 

2023年10月期

2024年10月期

前年同期比

(%)

 

 

 

金額
(百万円)

構成比(%)

金額
(百万円)

構成比(%)

売上高

4,089

100.0

4,731

100.0

115.7

 

リユース関連事業

3,737

91.4

4,670

98.7

125.0

 

移動体通信関連事業

329

8.1

 

 

通信機器販売

261

6.4

 

 

受取手数料収入

68

1.7

 

その他の事業

22

0.5

61

1.3

276.8

(注)移動体通信関連事業は、2023年4月1日付で事業譲渡および閉店が完了しております。

 

財政状態につきましては、次のとおりであります。

① 総資産

当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べて29百万円減少し、1,887百万円となりました。

これは主に、商品が316百万円、売掛金が218百万円、レンタル資産が73百万円増加したものの、現金及び預金が679百万円減少したことによるものであります。

 

② 負債

当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べて155百万円増加し、1,021百万円となりました。

これは主に、短期借入金が200百万円減少したものの、長期借入金が363百万円増加したことによるものであります。

 

③ 純資産

当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比べて185百万円減少し、866百万円となりました。

これは、自己株式の取得99百万円、当期純損失86百万円の計上によるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ679百万円減少し、411百万円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の営業活動の結果、使用した資金は737百万円となりました。

これは主に、税引前当期純損失83百万円、棚卸資産の増加額324百万円、売上債権の増加額218百万円、レンタル資産の取得による支出75百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は6百万円となりました。

これは主に、固定資産の取得による支出6百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度の財務活動の結果、獲得した資金は63百万円となりました。

これは、短期借入金の純減額200百万円、長期借入金の返済による支出136百万円、自己株式の取得による支出99百万円があったものの、長期借入れによる収入500百万円があったことによるものです。

 

(3)仕入及び販売の実績

当社の事業は、情報通信関連事業の単一セグメントでありますが、仕入及び販売の状況につきましては、事業の部門別に記載しております。

 

a.仕入実績

当事業年度の仕入実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門別

当事業年度

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

前年同期比(%)

リユース関連事業(千円)

4,625,568

130.1

その他の事業  (千円)

24,903

425.8

   合計   (千円)

4,650,471

122.7

 

 

b.販売実績

当事業年度の販売実績を事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門別

当事業年度

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

前年同期比(%)

リユース関連事業(千円)

4,670,502

125.0

その他の事業  (千円)

61,488

276.8

   合計   (千円)

4,731,991

115.7

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年11月1日

至 2023年10月31日)

当事業年度

(自 2023年11月1日

至 2024年10月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社インターネットイニシアティブ

1,117,876

27.3

1,260,749

26.6

株式会社オプテージ

518,242

12.7

1,031,449

21.8

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当事業年度の経営成績の分析

「1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.財政状態の分析

「1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

また当社は、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。短期的な運転資金につきましては自己資金および金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資資金につきましては、金融機関からの短期借入れおよび長期借入れを基本としております。

当事業年度末における有利子負債の残高は、876百万円となっており、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、411百万円となっております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)リユース関連事業に関する契約

主たる契約は以下のとおりです。

相手方の名称

契約内容

契約期間

兼松コミュニケーションズ株式会社

リユースモバイル事業に関する業務提携基本契約

2019年12月20日から

2020年12月19日まで

以後1年毎自動更新

 

(2)その他の事業に関する契約

該当事項はありません。

 

(3)資本業務提携に関する契約

主たる契約は以下のとおりです。

相手方の名称

契約内容

契約期間

株式会社

ショーケース

(資本提携)

・同社に対し、当社の普通株式を第三者割当の方法により発行

(業務提携)

・同社の「eKYC」に関する技術を利用した当社のオンライン買取サービス、買取プラットフォームおよびAIを利用した自動査定・買取システムの構築および導入

・当社の法人向けレンタルサービスにおけるサブスクリプションモデルの強化

・リユースモバイル事業全体のDX化の推進

(その他)

・同社は当社の取締役会の構成員の総数に対して、同社が指名した取締役の数が過半数となるよう、取締役候補者を指名する権利を有する

期間の定めなし

 

(4)金銭消費貸借契約

主たる契約は以下のとおりです。

借入先

株式会社日本政策金融公庫

株式会社紀陽銀行

借入金額

300,000千円

200,000千円

借入実施日

2024年2月29日

2024年4月1日

借入期間

5年1ヶ月(期限一括返済)

5年

借入利率

当初3年間は固定金利、

以降は業績により変動します。

変動金利(基準金利+スプレッド)

担保又は保証

無担保・無保証

無担保・無保証

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。