第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、コーポレートメッセージとして「未来に感動を」を掲げており、最新のデジタルテクノロジーと独自のネットワークシステムで、映像画像が持つ表現力を深め、広げていくとともに、未来に感動を与えるための新しいビジネスモデルを模索してまいります。

 当社グループのビジネスは、ITデジタル技術・印刷および色管理技術・ヒューマンリテラシーなど広範囲にわたる複合的な技術やノウハウの集約によって成り立っています。インターネットなどの通信インフラにより提供された画像データに高度な画像処理技術や写真印刷技術などを施すことで、完全にカスタマイズされたサービスを一人一人のお客様に提供し、究極の顧客満足を得る企業を目指してまいります。

さらに、画像映像の新しい表現方法や、ITや最新技術を活用した新規ビジネスなど、新しい取り組みにも常に挑戦してまいります。

 

② 目標とする経営指標

当社グループは、未来に感動を与えるための映像画像の新しい表現方法の創造を使命としており、事業の拡大を通じて、より多くの感動を提供してまいりたいと考えております。そのために、事業の安定的成長と適切な利益の獲得が重要な経営目標であると認識しております。従いまして、当社グループは、経営指標として、売上高増加率と売上高経常利益率を重要視しております。

 

③ 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、ニッチストック型ビジネスであるフューネラル事業と安定成長型ビジネスであるフォトブック事業、空中結像という新しい市場の創造を目指す空中ディスプレイ事業という位置づけの異なる3つの事業にバランスよく力を注いでまいります。フォトブック事業においては、新たな取組みとして、バーチャルライバー事務所を運営する株式会社BETを子会社化するなど、バーチャルビジネス分野において新しいチャレンジを進めてまいります。

3つの事業に共通する経営環境としましては、従来より進んでおりますIT化、ネットワーク化がさらに加速していくとともに、新型コロナウイルス感染症拡大の経験を経て、事業環境の変容がみられます。その環境変化に適応したサービスの開発や、社内体制の適応が不可欠と認識しております。

また、ユニークな技術を有するスタートアップ企業と提携することで、新しいビジネスの創出とともに、当社グループの顧客基盤のニーズに対応したサービスの提供も進めていく方針です。

 

各事業の経営環境および事業戦略は以下のとおりです。
 (フューネラル事業)

フューネラル事業が属しております葬儀葬祭業界は、高齢化社会の進展とともに葬儀件数の漸増が期待されるものの、家族葬にみられるような葬儀の小規模化が進行し、経営環境は決して楽観できるものではありません。また、新型コロナウイルス感染症拡大の時期を経て、葬儀の小規模化が定着している状況であります。そのような環境のもと、葬儀社からは新たな収益機会の提案や人手不足を背景とした業務効率化ツールに対するニーズが高まってきております。

フューネラル事業は、当社設立以来の中核事業であり、長年培ってきた画像処理技術や全国的な自社サポート拠点の設置及び新サービス開発力によって、安定的な成長と利益獲得の基盤が確立しております。当事業では、遺影写真加工のさらなるシェアアップを図るとともに、顧客である葬儀社の新しい収益機会の提供および業務効率化を可能にするITサービス「tsunagoo」の浸透を進めてまいります。さらに葬儀社向けに新しいサービスを開発し、拡充してまいります。また、AIを含めた最新技術の導入やテレワークなどへの対応を進めてまいります。

 

(フォトブック事業)

フォトブック事業が属しております写真業界は、デジタル化が進行し、一眼レフカメラでの撮影を主力としたプロフェッショナルを含めたハイエンド層と、スマートフォンでの撮影を主とするカジュアル層の2分化がみられます。インスタグラムなど様々な写真の楽しみ方が見られ、写真撮影の機会は増加傾向にあります。また、プロフェッショナル写真家向けサービスのメインターゲットであるウェディング業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の時期を経て、婚礼の小規模化傾向が見られる一方、スタジオ写真業界は家族写真などの撮影サービスが活性化しております。一般消費者向け市場においては、円安による海外旅行の低迷が見られ、また写真のアウトプット市場がコロナ禍以前の状況に戻りきらないなど、厳しい環境が継続しております。
 フォトブック事業は、数千億円といわれる写真アウトプット市場をターゲットにしているため、大きなポテンシャルを有しており、当事業の認知度が一定程度広まってまいりましたが、未だ十分とはいえません。当社が誇る高い写真印刷技術や製品開発力及び充実した営業・サポート体制という強みを背景に、当事業の認知度の向上に努め、印刷による1冊から写真集という新しい写真文化の浸透に注力してまいります。高品質・多品種をコンセプトにしておりますプロフェッショナル写真家向けの「アスカブック」及びコンシューマ向けの「マイブック」はそれぞれにおいて、新製品を継続的に投入し成長を持続してまいります。また、少品種・低価格をコンセプトとするOEM供給も進めており、フルラインナップでの生産体制を強みとしております。生産面においては、業容の拡大に応じた適切な生産能力の増加と生産効率の向上に努めるとともに、顧客ニーズに即した発注ツールの開発や製品ラインナップの充実に注力いたします。また、新しいウェディングや撮影スタイルに適応した新しいサービスの開発にも努めるとともに、スタジオ写真や建築写真などウェディング向け以外のマーケットの開拓も進めてまいります。また、当社の強固な顧客基盤を背景に優れたサービスの拡販も進めてまいります。
 (空中ディスプレイ事業)

空中ディスプレイ事業は、空中結像という新しいマーケットの創造にチャレンジしております。事業環境としましては、従来より提案しておりました空中結像による非接触操作が、新型コロナウイルス感染症拡大を機に大きな注目を受けております。また、未来的なサイネージとしての活用も見込まれております。
 当社独自の空中結像技術は高輝度、高精細、高い飛び出し距離などで優位性があります。この技術を活用して画像映像の新しい表現方法の確立を目指しており、結像を可能にするプレートの開発、生産、販売により当社の成長の原動力とすべくチャレンジしてまいります。用途としては、サイネージ用途と、センサーとの組み合わせによる製品組込用途に分けられ、前者はガラス製プレートが、後者は樹脂製プレートが適しており、ガラス製プレートと樹脂製プレートともに開発、生産、販売を進めております。国内外の展示会への出展や活用用途の具体的な提案などにより、プレートの普及を推進してまいります。プレートの生産につきましては、ファブレス形態による生産に加え、技術開発センターを設立し、量産技術の内製化も進めております。

また、上記3事業にとどまらず、xRや3D分野をターゲットにした新しいビジネスの創造や、M&Aやスタートアップ企業との提携による事業拡大にも取り組んでまいります。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しとしましては、当社が属しております葬儀葬祭業界、写真業界ともデジタル化、IT化に対するニーズが増加していることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の経験を経て、消費者の行動変容が見られ、求められるサービスも変化していると認識しております。また、長引く円安や物価高などによる事業環境の変化も見られます。このような環境のもと、継続して成長していくために、以下の項目を対処すべき課題と認識しております。

 

① 空中ディスプレイ事業の収益化

当社の独自技術であるASKA3Dプレートによる空中結像は、その鮮明さ、明るさ、大きさにおいて優位性を持っており、その新規性や利用可能性の広さなどから、展示会やデモンストレーションなどでの評価は高いものの、収益化に時間を要しており、空中ディスプレイという市場創造が十分にできておらず、空中ディスプレイの活用が選択肢としてまだ浸透していないのが現状であります。

新型コロナウイルス感染症の拡大フェーズを経て、空中結像によるサイネージや非接触操作に確固たるニーズがあることは把握しているものの、想定以上に案件の長期化を余儀なくされております。今後は、操作系、組込み系、サイネージ系の3つの分野に向けて集中的に営業を進めるとともに、海外においてはそれぞれの分野に精通した代理店や協力パートナーとの関係を再構築し、特にサイネージ分野では実際に空中ディスプレイを体感いただくなどの施策を積極的に進めていきたいと考えております。また、それを支えるASKA3Dプレートの安定生産体制の確立、先を見据えた研究開発の実施、安定供給を可能にする品質管理体制の強化を図ってまいります。

 

 

② 既存事業の環境変化への適切な対応

従来より展開しておりますフューネラル事業、フォトブック事業とも安定した事業基盤を確立しておりますが、技術革新や新型コロナウイルス感染症を経ての事業環境変化を認識しており、その適切な対応を課題としております。

両事業とも、豊富な顧客基盤や技術力を強みとしており、堅実な売上を計上しておりますが、冠婚葬祭の小規模化やデジタルアウトプットへの移行傾向が見られるなど決して楽観できる状況とはいえません。当社ではこのような変化を新しいビジネスチャンスととらえ、既存サービスのブラッシュアップだけでなく、AI、3Dなどの技術との融合により、新しい製品・サービスの開発・提供が必要であると考えております。

 

③ イノベーション創出基盤の醸成と新しい領域へのチャレンジ

変化の激しいこの時代において持続的な成長をするためには、新しい技術との融合や社員のイノベーティブな発想を通じて、新しいサービスの提案、開発が不可欠となっております。

そこで、若手社員に向けたイノベーション教育の継続的な実施、社内提案制度の充実などを通じて社内のイノベーション創出基盤の醸成を継続していくとともに、イノベーション創出の役割を有している戦略企画部を中心に、子会社である株式会社BETとの連携強化やバーチャル領域でのサービス開発など新たなチャレンジを推進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、代表取締役社長が委員長を務める「リスク管理・コンプライアンス委員会」を毎月1回開催しており、サステナビリティに関しては、リスク管理・コンプライアンス委員会にて検討・協議しております。リスク管理・コンプライアンス委員会にて協議された方針や課題などは、経営会議及び取締役会へ付議又は報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っております。

リスク管理・コンプライアンス委員会において、当社グループのサステナビリティに関する課題を議論するとともに、各事業におけるリスク及び機会が当社グループに与える影響について議論、評価し、各事業部にも共有しております。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

これらガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

・人的資本

・情報資産の管理

人的資本に関しましては、取締役2名が参加する「サステナビリティプロジェクト」にて議論し、リスク管理やコンプライアンスに関わる事項は「リスク管理・コンプライアンス委員会」に具申しております。また、新しい取組みの提案や既存の取組みの改善につきましては、経営会議に付議又は報告しております。

情報資産の管理に関しましては、取締役1名及び執行役員1名が参加する「情報セキュリティ委員会」にて議論し、リスク管理やコンプライアンスに関わる事項は「リスク管理・コンプライアンス委員会」に具申しております。また、新しい取組みの提案や既存の取組みの改善につきましては、経営会議に付議又は報告しております。

それぞれの項目にかかる当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 

① 人的資本
a.人材の多様性の確保

 多様化する価値観、ニーズを先んじて捉え、お客様の期待を超える体験・感動をお届けすることによって、持続的成長が可能になると考えており、それを実現するためには、私たちも多様性に富んだ人材・組織である必要があると考えております。加えて、社員一人ひとりがかけがえのない個性を発揮し、自分らしく健康で生き生きと働くことができる企業文化・風土の醸成や、ライフスタイルに合わせた就業を可能とする制度の整備を通じた働き方改革を推進することで、働き甲斐を高めてまいります。

 持続的な成長を実現していくには、多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材がそれぞれの個性を発揮して活躍することによる新たな価値創造が不可欠で、それを可能にする環境整備も重要であると考えております。そのため、ダイバーシティ及びインクルージョンの推進を重要な経営戦略の一つとして位置付けております。

 

b.人材育成方針

 上記に述べたダイバーシティに富んだ人材を育成するほか、変化の激しいこの時代において持続的な成長をするためには、社員一人ひとりのイノベーティブな発想によって新しいサービスの提案、開発が不可欠であると認識しております。そのためには社員のイノベーティブな能力を高める仕組みや、社員が自律的に成長しキャリアを構築できる仕組みが必要であると考えております。

 具体的には、社員一人ひとりが必要なスキルを身につけ、能力を最大限に発揮してもらえるよう、各年次、職位ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修制度だけでなく、入社した社員が安心して長く勤められるように、トレーナーを専属的に付け業務を指導するOJT制度を実施し、若手社員のモチベーションアップや定着率向上に寄与しております。また、管理職を対象とした集合研修を年2回継続的に実施しているほか、リーダーの育成にも力を入れております。

・リーダー育成塾

 将来の会社の成長を担うリーダーの育成に力を入れており、1年~1年半のカリキュラムによって、選抜型のリーダー育成塾を開講しております。「次世代リーダー育成塾」「次々世代リーダー育成塾」「女性リーダー育成塾」と複数のターゲット層に向けて研修を行っております。

 また、社員のイノベーティブな能力を高めるために以下の仕組みを運用しております。

・ビジネスプランコンテスト

  年に1回、行動指針の一つである「新しいこと・面白いことの発信基地になろう」を実現するため、「こんなものが世の中にあったらいいのに」「こんな新しいビジネスを提案したい」というアイデアを各部署がプレゼンする「ビジネスプランコンテスト」を実施しております。毎年、各部署から多くのチームが参加し、一定のテーマに沿ったビジネスプランが発表され、審査が行われます。優秀なビジネスプランについては社内で表彰され、さらにはビジネス化が検討されます。

・Asuka Egg Game

  個人またはチームで新しい事業やサービス(ビジネスの卵)を自由にゲーム感覚で提案する制度です。単に提案するだけでなく、その提案内容のブラッシュアップに事務局が伴走して、最終的にはビジネス化にもつながる柔軟な制度となっております。社員の自由な発想を推奨した取り組みで、社員のイノベーティブな能力が高まるだけではなく、事業部の垣根を越えてチームが作られる等、組織力の強化にもつながる制度となっております。

・課題発見・解決型研修

  各部署から若手・中堅社員が参加し、デザイン思考による課題の発見・解決の手法を学び、具体的なビジネスプランを1年間をかけて練り上げていく研修です。この研修は、国際的に社会人教育や人財育成教育に使われるプロジェクト型学習(Project Based Learning:PBL)をフレームワークとして、当社の社外取締役である川瀬真紀氏監修のもと、様々な専門家のサポートを受けて実施しております。事業部や部署の垣根を越えてチームを組み、1年間の研修の中でこれからの社会を見据えながら、当社事業との関連や社会の新しい動きにおける「課題」を見つけ、「解決策」を考えます。実際にフィールドワークを行い、情報を収集しながら、1年間をかけてチームごとに新しいビジネスプランを作成し、最終的に幹部社員に向けて発表を行います。

・自己磨き支援制度

 「自らが学び・考え・行動する」という行動指針の一つを実現するため、社員の自主的な学びに対して経済的なサポートを行う制度です。

 

c.社内環境整備

 労働者不足への対応、生産性向上の観点から、性別や年齢などに関係なく様々な人材が長きにわたって活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活力ある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に行っております。

 少子高齢化社会による労働力人口の減少を背景に、女性が活躍できる環境づくりは急務であると認識しており、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境、時間や場所にとらわれない働き方ができる環境の整備に努めております。

 また、仕組みや制度の運用だけでなく、性別や年齢に関係なくお互いに認め合うことを行動指針の一つに掲げており、オープンでフェアな企業風土の醸成が重要であると考えております。

 具体的には以下の環境を整備しております。

・アスカサンクス

 当社の行動指針にある「お互いを認め合う」を浸透させるため、アスカサンクスという全社員を対象としてお互いを褒め合う制度を導入しており、部署を問わず、お互いを認め合った投稿を全社員が共有し、称賛をすることで、エンゲージメントの更なる向上につなげております。

・デジタル基盤の整備と部分的なリモートワークの導入

 業務の効率化やリモートワークを可能とするため、コミュニケーションツールのデジタル化や社内決裁の簡素化・デジタル化は従前より実現しております。当社は製造業でありリモートワークの導入が難しい職種もありますが、部署や職種によっては、社員の働く環境を「出社」に限定せず、リモートワーク担当業務及び家庭環境に応じてリモートワークの導入を行うことにより、時間や場所にとらわれない働き方を整備しております。

・育児時短勤務

 出産や育児で男性と同じように働けないことを理由にキャリアをリタイアすることが、本人にとってキャリアアップに悪影響とならないよう、育児時短勤務制度を設け、その社員に合った働き方を提供できる環境を整備しております。

 

d.指標及び目標

 当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年5月1日現在まで13以上達成

8.1

有給休暇取得率

2026年4月期まで85以上維持

95.9

正規雇用労働者の男女の賃金の差異

2026年4月期まで78以上達成

74.7

 

(注)1 当社は女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを目的として女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しております。
詳細は当社ウェブサイト(URL https://www.asukanet.co.jp/contents/company/pdf/202307-actionplan.pdf)に掲載している女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」をご覧ください。

 2 当該目標及び実績は当社単独のものであり、連結子会社に関しては、「女性の職業生活における活躍の促進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

② 情報資産の管理

当社グループでは、様々な情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策を行っておりますが、自然災害や不正アクセス等により、情報システムの障害や個人情報の漏えい等が生じる可能性があります。 

また、事業を遂行するにあたり、個人情報をはじめとする多様な情報資産が多く存在しており、これらを適切に管理・保護することが重要であると認識しております。

これらのリスクに対して、情報リスク管理規程、情報セキュリティマニュアル等の規程・マニュアルを定め、全役員・従業員への研修、教育を通じて重要性の周知徹底を図っております。また、情報リスク管理責任者である担当取締役の下、各部門に配した情報セキュリティ担当者とともに情報セキュリティ委員会を構成し、情報資産を安全に管理できる体制を整備・運用しております。

当社は、個人情報について、従来から個人情報の保護体制に対する第三者認証制度であるプライバシーマークの認証を取得しております。また将来的なISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得を目指して、ISMS認証基準に準拠した管理体制の構築を進めており、その認証審査を受けております。さらなる情報資産の管理体制の強化を推進しております。

上述のとおり、情報資産の管理・保護や管理体制の継続的な強化に取り組む中で、具体的な目標として以下を目指しております。

目標1

プライバシーマーク認証の取得継続

目標2

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得

目標3

重要な情報関連事故の発生ゼロの継続

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。

 

(1) 葬儀施行価格の低下傾向の影響等について

当社グループのフューネラル事業が対象とする葬儀業界においては、高齢化社会が一段と進行する中でマーケット自体の拡大が見込まれるものの、会葬者の減少により、葬儀施行価格が全般的に低下傾向にあります。当社が取扱う遺影写真等の葬儀施行価格全体に占める割合は相対的に低く、葬儀施行価格の低下の影響は限定的なものと考えており、また、遺影写真自体の高品質化による他社との差別化や葬儀演出関連の新サービスの提案により販売単価の低下を抑制するよう努めております。さらに、画像加工業務の効率化などにより利益率向上にも努めております。しかしながら、このような施策を行ったにもかかわらず、全体的な葬儀施行価格の低下の影響を受け、遺影写真の販売単価の低下が余儀なくされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、昨今、お亡くなりになった方を葬儀を行わず直接火葬場へ送る、いわゆる直葬が増加傾向にあり、直葬におきましては遺影写真を作成しないことが多くあります。現在のところ、全体に占める割合は僅少でありますが、将来大きく増加した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 競合の影響について

当社グループが、フューネラル事業において主として行っている、遺影写真等画像のデジタル加工、通信出力サービスは、当社が独自に他社に先駆けて開発したものであり、長年培ってきた技術やノウハウによって高い品質を維持するとともに、全国的な自社サポート拠点の設置による安定的なサービス供給体制を構築しており、他社の追随を許さないものとなっております。当サービスにおきましては、全体の遺影写真に対する、フルリモートコントロールによる通信出力を活用したデジタル画像加工が占める割合は現在のところまだ相対的に低く、今後とも同方法への切り替え需要が見込めるものと認識しております。現在のところ、当社と類似したサービスを提供している会社はありますが、品質、サポート体制、顧客基盤、新サービス開発力において当社に優位性があるものと認識しております。従いまして、当事業を推進していくうえで、他社との競合が激化するような可能性は低いものと考えておりますが、将来において、新たな技術、手法による遺影写真等の画像加工サービスが開発され、当社が提供するサービスに置き換わるような事象が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

また、フォトブック事業において提供しております、高品質なオンデマンド写真印刷による、少ロット、低価格の個人向け写真集の作製は、フューネラル事業で蓄積してきた高い画像処理ノウハウや、高度なカラーマネジメント技術、特殊印刷機制御技術など広範囲にわたる技術やノウハウを基として確立した事業であります。当社と同様の事業を行う会社は存在しますが、品質、営業・サポート体制、顧客基盤、新製品開発力において当社に優位性があるものと認識しております。しかしながら将来において、技術開発とマーケティングの両面において能力の高い企業が市場に参入し、競争の激化によって当社の優位性が失われた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(3) システム障害について

当社グループの事業はインターネットなど通信ネットワークを利用しているため、地震や水害等の自然災害、火災・電力供給の停止等の事故あるいはコンピューターウィルス等の外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入等により、通信ネットワークの切断、ネットワーク機器等の作動不能や誤作動等の事態が生じた場合に、当社の事業に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループにおいては、このようなリスクを回避するため、自動バックアップシステムの構築や、緊急時のシステム対応の徹底、自家発電設備の導入等の対策を講じておりますが、このような対策にもかかわらず何らかの要因でシステムに障害が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 情報資産の管理について

当社グループは、事業を遂行するにあたり、個人情報や顧客情報をはじめとする多様な情報資産を取扱うことになります。

そうした情報資産の機密保持につきましては、情報を取扱うデータベースへのパスワードによるアクセス制御等セキュリティ対策を整えるほか、徹底した社員へのモラル教育実施や内部監査の強化などを行うことで、当社グループ内部からの漏洩防止に努めるとともに、個人情報に関してはプライバシーマークを取得するなど管理体制を整備しております。あわせて、将来的なISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得を目指して、ISMS認証基準に準拠した管理体制の構築を進めており、さらなる情報資産の管理体制の強化を推進しております。また、顧客資産の管理につきましては、管理手法の徹底、教育、付保などの対策を講じております。こうした対策にもかかわらず、不測の事態により情報資産の漏洩または紛失が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や賠償の支払などにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) サービスの展開について

当社グループは、新しい写真文化の創造を目指して、常に他社に先駆けて積極的に新サービスを展開する方針であります。新サービスの展開にあたっては、当社において研究開発やシステム開発を行う必要があり、当該開発が様々な要因により時間を要して対応が遅れた場合や、必ずしも当初の想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

また、開発が想定どおりに進捗した場合であっても、販売網の構築や新サービスの認知に時間がかかることや顧客ニーズに十分応えることができないなどの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 空中ディスプレイ事業について

当社グループは、映像画像の新しい表現方法として、空中結像技術を取得し、空中ディスプレイ事業として、事業を開始しました。非常に斬新でユニークな技術であるがゆえに、さらなる技術開発に想定より時間がかかったり、コストがかかる可能性があります。また、空中結像を可能にするプレートの少量生産には成功しており、本格量産段階への移行を進めていますが、量産化が想定どおりに進まない可能性があります。マーケティングが上手く行えなかったり、販売パートナーの開拓や製品・技術の認知に時間がかかったり、顧客ニーズに十分応えることができない可能性があります。これらの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当技術は、高輝度、高精細、高い飛び出し距離など優位性を持っておりますが、当技術より優れた技術が出現し、当技術が陳腐化する等の原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(7) 海外での事業展開の進捗について

当社グループは、フォトブック事業においては、新しい写真文化の創造を目指して、アメリカなど海外に事業を展開する方針であります。また、空中ディスプレイ事業においても、海外市場を含めて営業展開を図っております。海外への事業展開にあたっては、文化、言語、習慣の違いなどからマーケティングに想定以上の時間がかかったり、適切な代理店網の構築が十分にできないことやサービスの認知に想定以上の時間がかかるなどの原因により、収益獲得が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 販売代理店との関係について

当社グループは、海外におけるフォトブック事業及び空中ディスプレイ事業の展開においては、各エリアごとに販売代理店を設置し、販売代理店と協働して市場の拡大を図っております。現時点では、販売代理店と友好的かつ安定的な関係を維持しておりますが、今後何らかの理由により有力な販売代理店との関係が悪化した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 為替変動の影響について

当社グループは、フォトブック事業及び空中ディスプレイ事業においては、主に海外代理店を通じての海外展開を図っており、海外向け売上も一定の規模があります。海外向け売上は外貨建て取引が中心であり、急激な円高となった場合は、海外向け売上の採算が悪化し、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

当社グループは、積極的に特許権、商標権等の出願を行い、知的財産権の保全を図っていく方針でありますが、これらの登録出願が認められない可能性があり、そのような場合には当社グループの今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の知的財産権が侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用が発生するなど、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループではこれまで知的財産権に関しての侵害訴訟等を提起されておりません。しかしながら、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できないところで知的財産権を侵害している可能性は否定できません。また、今後当社グループの事業分野における第三者の特許権など知的財産権が新たに成立し、損害賠償または使用差止等の請求を受ける可能性があり、そのような場合には当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) 生産能力の集中について

当社グループは、フューネラル事業の生産能力の約3分の2、フォトブック事業の生産能力のほとんどが広島県広島市の本社及びその周辺に集中しております。これは生産能力の集中による生産設備の高稼動や、効率的な生産体制の構築、生産人員の教育の容易さなど集中させているメリットが十分にあると判断しているためであります。フューネラル事業では、オペレーションセンターを国内3か所(広島・千葉・滋賀)に分けて設置するなど、そのリスクを分散すべく対策をとっておりますが、地震や水害等の自然災害、火災・電力供給の停止等の事故、物流網の障害などが生じた場合、製品・サービスの供給が滞り、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 特定取引先への集中について

当社グループは、フォトブック事業において、株式会社NTTドコモへのOEM供給を行っており、一定以上の販売比率となっております。
 当連結会計年度末現在、株式会社NTTドコモとは良好かつ安定的な関係を構築しておりますが、同社との取引条件の変更等があった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

  (13) ベンチャー企業への投資について

当社グループは、持続的な成長を実現するために、優秀な技術を有するベンチャー企業に投資を行い、シナジー効果により当社事業が進展することや、ベンチャー企業の成長を通して当社の業績に寄与することを期待しております。そのために、経営者との面談、保有技術の評価、市場性や事業計画の吟味など必要な手続きをとっております。
 しかしながら、ベンチャー企業との相乗効果が想定ほど得られなかったり、ベンチャー企業の成長が想定以上の時間がかかるなどの原因により、投資からの収益獲得が想定どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) M&Aについて

当社グループは、事業拡大等を目的として、M&Aを一つの選択肢として考えております。M&Aの実行に際しては、ビジネスや財務、法務等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、リスクの低減に努める方針であり、その方針に基づき2024年4月期において、株式会社BETの全株式を取得いたしました。
 しかしながら、これらのデューデリジェンスで想定・確認がされなかった事項がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合、市場環境の変化等により事業展開が想定どおりに進まない場合、のれんの減損処理の必要が生じた場合等には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 小規模組織であることについて

当社グループは、当連結会計年度末現在、取締役5名、監査役3名並びに従業員440名と規模が比較的小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものになっております。今後につきましては、事業拡大に伴い人員増強を図り、社内管理体制もあわせて強化・充実させていく方針でありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的対応ができなかった場合は、結果として当社グループの事業遂行及び拡大に悪影響を与える可能性があります。

また、小規模な組織であるため、業務を特定の個人に依存している場合があります。2018年5月より執行役員を設け、権限委譲を進めており、今後も、さらなる権限委譲や業務の定型化、代替人員の確保・育成などを進める予定でありますが、特定の役職員の社外流出などにより、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) 新型コロナウイルス感染症の影響について

新型コロナウイルス感染症の影響は軽減傾向にありますが、個人の働き方や生活様式、行動様式に大きな影響を与えております。

このような状況の中、当社グループは、この変化をチャンスととらえ、具体的には空中ディスプレイ事業にて推進しております空中結像による非接触操作は大きな注目を受けており、その事業化に努めてまいります。また、冠婚葬祭業界や写真業界においてもこの変化を的確に捉えたサービス提供に努めてまいります。
 こうした対応にも関わらず、冠婚葬祭や写真撮影の在り方などが変容し、その結果当社サービスの価値が減少してしまう場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
 

(17) ダイバーシティについて

当社グループは、持続的な成長を実現するためには、多様な考え方、バックグラウンドを持つ人材がそれぞれの個性を発揮して活躍することによる新たな価値創造が不可欠であり、それを可能にする環境整備が重要と考えております多様な人材がパフォーマンスを発揮できる制度や環境を醸成できない場合には、当社グループのレピュテーションが損なわれる可能性、優秀な人材を確保できず、多様性がもたらすイノベーション創出が達成できない可能性があり、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります

なお、当社グループの人材育成方針及び社内環境整備については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ①人的資本」に記載のとおりです。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(全般)

当連結会計年度末における総資産は、7,090,444千円となりました。また、自己資本比率は86.8%となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、3,457,907千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金が1,665,015千円、売掛金が901,471千円、商品及び製品が648,580千円であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、3,632,536千円となりました。その主な内訳は、土地が844,060千円、建物及び構築物が831,048千円、投資有価証券が571,582千円であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、926,289千円となりました。その主な内訳は、未払金が257,203千円、賞与引当金が184,950千円、買掛金が175,134千円であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、7,340千円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、6,156,814千円となりました。その主な内訳は、利益剰余金が5,626,124千円であります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、依然として続く円安を背景とした旺盛なインバウンド需要や、輸出型企業を中心とした企業業績の回復がみられますものの、ウクライナや中東など不安定な国際情勢、エネルギー価格や原材料価格の高騰など、先行きに予断を許さない状況が続いております。

このような環境の中、当社は景気動向に左右されにくい葬祭市場に対し、遺影写真等画像映像のデジタル加工や通信出力サービスを主に提供するフューネラル事業、1冊から本格的写真集という新しい写真のアウトプット手法を提案するフォトブック事業、空中結像という今までにないユニークな技術で新しい市場を創造し、夢の実現を目指す空中ディスプレイ事業というそれぞれに位置づけや特色が異なる三つの事業を展開してまいりました。

また、2023年12月には、バーチャルライバービジネスを展開する株式会社BETの株式を取得し、子会社化いたしました。なお、株式会社BETにおいては、みなし取得日を2023年12月31日としているため、当連結会計年度においては2024年1月1日から2024年3月31日までの3ヶ月間を連結しております。

 

セグメント別の概況を示すと、次のとおりであります。各セグメントの業績数値にはセグメント間の内部売上を含んでおります。

 (フューネラル事業)

当事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の時期を経て、葬儀の小規模化傾向は継続している状況です。主力である遺影写真加工収入は、葬儀施行件数は前期からの反動減が見られましたものの、自社営業による新規契約を確実に積み上げたことにより、順調に増加いたしました。それに伴い、額やペーパーなどのサプライ品の売上も着実に伸長いたしました。
 葬儀業界向けDXサービス「tsunagoo(つなぐ)」の拡大に向けて取り組んでおり、葬儀小規模化による会葬者の減少の影響を受け、想定に比べ契約増加のスピードは遅れているものの、利用者からの評価は高く、利用件数は着実に増加しております。

利益面につきましては、消耗品や額の仕入原価の上昇や、クラウド利用料の増加、また人員不足となっておりました画像加工部門のオペレーターを積極的に増強した結果、人件費が増加したものの、加工技術の教育が順調に進み、繁忙期である第3四半期以降での稼働が上昇したことにより、セグメント利益は想定を上回る結果となりました。

以上の結果、売上高は3,281,718千円、セグメント利益は752,180千円となりました。

 

 (フォトブック事業)

当事業におきましては、国内プロフェッショナル写真家向け市場は「アスカブック」、国内一般消費者向け市場は「マイブック」ブランドで展開しております。また、スマートフォンで撮影された写真をもとにフォトブックや写真プリントをOEM供給しております。
 国内プロフェッショナル写真家向け市場では、主力であるウェディング向け写真集が、第3四半期以降、前期コロナ禍待機の影響で挙式が増加したことへの反動減が見られ苦戦しましたが、家族写真や子ども写真などスタジオ向け写真集は堅調に推移いたしました。オンラインセミナーの充実や「等身大フォトアワード」の継続実施、新製品の投入などの施策を実施してまいりました。

国内一般消費者向け市場は、円安の影響による海外旅行の回復遅れや、撮影写真のアウトプット減少の戻りが遅れているなどの影響を受け、特にOEM部門は厳しい状況が継続しております。このような厳しい状況の中、OEM先への提案、様々なキャンペーンやコンテストの実施、「マイブック年賀状」への取組、季節商品となるカレンダーや卒業アルバムへのプロモーションを進めてまいりました。

利益面につきましては、生産の効率化を進めましたものの、売上の伸び悩みに加え、原材料価格の値上げやOEMラインの稼働率の低下などにより、セグメント利益は苦戦いたしました。

当事業においては、株式会社BETを子会社化し、バーチャルライバービジネスを展開するとともに、フォトグッズ等の提供の企画を開始しております。また、子会社化に伴い発生したアドバイザー等に係る費用を当連結会計年度において計上しております。なお、株式会社BETにおいては、2023年12月31日をみなし取得日としているため、当連結会計年度においては2024年1月1日から2024年3月31日までの3ヶ月間の損益を取り込んでおります。

以上の結果、売上高は3,617,021千円、セグメント利益は677,714千円となりました。

 

 (空中ディスプレイ事業)

当事業におきましては、空中結像技術を用いた新しい画像・映像表現により市場を創造することを目指しており、独自技術により空中結像を可能にする「ASKA3Dプレート」について、ガラス製、樹脂製それぞれを開発、製造、販売しております。

営業面につきましては、国内は自社営業を主として、海外は代理店を主として販売を進めております。国内での大型プレートのサイネージ用途での設置や、海外での金融機関での設置などの実績を重ねてきたものの、操作系用途に利用するセンサーの供給遅れや不具合の影響もあり、全般的に案件の長期化が継続いたしました。また中東ではドバイでの経済状況の停滞によりサウジアラビアやクウェートに販売開拓先をシフトするなど方針変更を余儀なくされました。その結果、前期に計上した金型売上が剥落したこともあり、前期実績を下回る売上となりました。国内2か所、海外1か所の展示会に出展したほか、海外代理店の展示会出展サポート、営業人員の増強、オンラインセミナーやWEBマーケティング強化などの施策を進めてまいりました。

製造・開発面では、ガラス製につきましては、自社技術開発センターでのプレート大型化に取り組んでおり、一定の進展を見せております。樹脂製につきましては、環境性能に優れた素材での安定生産に向けて試作を実施してまいりました。また、安定供給に向け、品質管理体制の強化に取り組んでまいりました。

損益面では、仕損じの減少や円安効果もあり粗利率が上昇した一方で、売上の伸び悩みや人件費、特許関連費用の増加により、セグメント損失は想定に比べ拡大しました。

以上の結果、売上高は145,876千円、セグメント損失は316,966千円となりました。
 

以上の結果、売上高は7,038,347千円となり、利益面につきましては、フォトブック事業及び空中ディスプレイ事業のセグメント損益が苦戦したこと、M&A関連費用が発生したこと及び特別損失として投資先株式の評価損を計上したことが主な要因となり、経常利益は473,793千円、親会社株主に帰属する当期純利益は214,441千円となりました。

 
③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当期純利益の計上の一方、子会社株式取得による支出等により、1,660,015千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、615,744千円となりました。これは主に、法人税等の支払額143,625千円、棚卸資産の増加68,324千円による資金の減少があったものの、減価償却費388,776千円、税金等調整前当期純利益365,976千円による資金の増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、702,731千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出329,706千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出292,115千円による資金の減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、301,050千円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出149,865千円、配当金の支払額149,747千円による資金の減少があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますが、参考として前事業年度との比較情報を記載しております。

   a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当連結会計年度

(自 2023年5月1日

至 2024年4月30日)

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

生産高(千円)

前期比(%)

フォトブック事業

1,761,124

105.5

1,782,477

101.2

空中ディスプレイ事業

294,301

134.4

232,423

79.0

合計

2,055,425

108.9

2,014,900

98.0

 

(注) 1 金額は、製造原価によっております。

2 フューネラル事業は、主に役務提供及び仕入商品の販売であり、生産を伴わないため、生産実績を記載しておりません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当連結会計年度

(自 2023年5月1日

至 2024年4月30日)

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

仕入高(千円)

前期比(%)

フューネラル事業

779,689

126.9

814,869

104.5

合計

779,689

126.9

814,869

104.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

3 フォトブック事業及び空中ディスプレイ事業は、主に生産であり、仕入を伴わないため、仕入実績を記載しておりません。

 

 c. 受注実績

フューネラル事業、フォトブック事業、空中ディスプレイ事業とも受注実績はありますが、受注から売上計上までが、フューネラル事業においては概ね1日以内、フォトブック事業においては概ね20日以内、空中ディスプレイ事業においては概ね1か月以内であるため、記載を省略しております。

 

 d. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当連結会計年度

(自 2023年5月1日

至 2024年4月30日)

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

販売高(千円)

前期比(%)

フューネラル事業

3,152,168

113.7

3,281,718

104.1

フォトブック事業

3,634,755

106.6

3,611,292

99.4

空中ディスプレイ事業

189,303

128.2

145,336

76.8

合計

6,976,226

110.2

7,038,347

100.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

721,864

10.3

 

   ※当連結会計年度におきましては、総販売実績に対する割合が10%未満となったため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度における経営成績等の状況に関する認識等
 a. 経営成績等の状況

当連結会計年度の経営成績は、売上高7,038,347千円、経常利益473,793千円、親会社株主に帰属する当期純利益214,441千円となりました。

当社グループは経営指標として、売上高増加率と売上高経常利益率を重要視しております。当連結会計年度の売上高増加率は、単体決算であった前事業年度と比べるとプラス0.9%であり、売上の伸びとしましては不満の残る結果となりました。フューネラル事業は全般的に堅調であったものの、葬儀業界向けDXサービスである「tsunagoo」は利用件数は増加している一方、契約件数が想定より伸びておらず、営業を強化して契約獲得を加速化する必要があると考えております。フォトブック事業のコンシューマ部門におきましては、海外旅行の鈍い戻りなどにより写真撮影機会が減少しており、新型コロナウイルス感染症拡大以前の状況には戻っておらず、依然として厳しい環境が継続しております。OEM供給部門も同様の傾向となりました。フォトブック事業のプロフェッショナル部門では、ウェディング市場向けが前期の反動減があり、第3四半期以降苦戦いたしました。一方、現在活況となっておりますフォトウェディングや、スタジオ写真、建築写真など一般ウェディング以外の市場に向けた売上は順調に計上されました。また、空中ディスプレイ事業につきましては、一定の設置実績は重ねてまいりましたが、前期にあった金型売上の剥落もあり売上は前事業年度を下回ってしまいました。特に組込用途において当社のプレートとセットで活用するセンサーの供給不足や不具合がネックとなり、案件のクロージングが長期化されているケースが散見されました。また、中東ではこれまで代理店の活動の中心であったドバイの経済環境が悪化しており、サウジアラビアやクウェートへのシフトを進めております。このような状況の中、センサーに依存しにくいサイネージ案件に重心を移すことや、海外代理店の増設やサポート強化により、売上の増加を図ってまいります。
 売上高経常利益率は6.7%となり、単体決算であった前事業年度に比べ、2.2ポイント下落いたしました。これは、フォトブック事業において、原材料費の増加や主にOEM向け製造ラインの稼働率の低下により粗利率が下落したことや、M&A関連費用やクラウド利用料などの費用が増加したことが主な要因になっております。また、空中ディスプレイ事業につきましては、継続してセグメント損失を計上しており、事業化に想定以上の時間を要していることは重く受け止めております。各事業において、売上の増加はもちろんのこと、販売価格の見直しなどの売上高経常利益率回復の施策を講じてまいります。

 

 b. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、十分な手元流動性を有しており、運転資金及び投資資金は基本的に自己資金で賄うこととしております。

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、フォトブック事業における生産設備や空中ディスプレイ事業における生産設備や研究開発費等になります。

翌連結会計年度においては、フォトブック事業における貼り合わせ機等生産設備の購入やフューネラル事業における倉庫の増築などの資金需要がありますが、これらは自己資金で賄う予定であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年11月17日開催の取締役会において、株式会社BETを子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2023年12月4日付けで全株式を取得しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、デジタル技術を応用したネットワーク型情報社会が確立していく中、当社の強みである画像処理技術や写真印刷技術を生かした新製品の開発及び新市場の開拓に積極的に取り組んでおります。ネットワーク型情報社会では、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク技術、画像処理技術、組版技術、写真印刷技術、製本技術など専門分野が細分化しており、当社は画像処理技術及び写真印刷技術の研究をメインとし、各専門分野のエキスパートと情報交換、技術協力により、新たなサービスの企画開発を行っております。また、新しい映像画像の表現方法として、空中結像技術を取得し、さらなる研究開発を進めております。
 研究開発体制としましては、フューネラル事業とフォトブック事業につきましては、戦略企画部が中心となり、両事業部門と密接に連携することにより、効率的な研究開発活動を行っております。また、空中ディスプレイ事業につきましては、空中ディスプレイ事業部が研究開発活動を行っております。また、事業部門に属さない新規事業開発等につきましては、戦略企画部が担っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は228,570千円となっております。フューネラル事業とフォトブック事業は共有の研究開発も行っているため、研究開発費は、両事業につきましては、セグメント別に区分しておりません。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(フューネラル事業)

フューネラル事業では、主として、お客様の多様なニーズにこたえる高付加価値サービスの開発、商品化に取り組んでおります。当連結会計年度は、主として、最新技術によるピント復元ツールの改良にトライしてまいりました。

 

(フォトブック事業)

フォトブック事業では、「デジタルカメラから写真集」という新しい写真表現方法に役立つ発注ツールやコミュニケーションツールの開発に重点的に取り組んでおります。当連結会計年度は、主として、写真集発注用ソフトウェアの機能強化開発やサーバーのクラウド移行に取り組んでまいりました。

 

(空中ディスプレイ事業)

空中ディスプレイ事業では、映像画像の新しい表現方法として、空中結像技術の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、主として、空中結像を可能にするプレートにおきまして、環境性能に優れた樹脂製プレートの製造開発や樹脂製プレートの新製法による技術開発、ならびに技術開発センターによるガラス製プレートのタイリング技術の醸成に重点的に取り組んでまいりました。当連結会計年度における研究開発費の金額は201,622千円であります。