当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・基本理念
① 企業ミッション
中堅企業並びに大手企業内部門に、最適なITソリューション・サービスを、営業・技術が一体となって提供し、顧客企業の成長と社会の発展に寄与する。
顧客企業にとって単なる「業者」ではなく、「ベストパートナー」であることを目指す。
『ベストパートナーソリューションプロバイダ』
② コーポレートスローガン
『Speed&Change』
変化する時代への対応力と失敗を恐れないチャレンジスピリットのもと、常に時代の一歩先をゆく事業展開を目指す。
③ 経営指針
A 実利主義経営
B 環境変化への素早い対応
C 実績・実力主義
④ 行動憲章
A 誠実・公正な企業活動
B 従業員・人権の尊重
C 社会・環境との調和
上記の経営方針・基本理念のもと、法令・諸規則の遵守はもとより適正な企業行動を重視することを何よりも優先し企業価値の最大化を図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、経営ビジョンとして「Webソリューション・サービスを基盤とした高収益会社」の実現を掲げております。当社グループは、業態転換を行ってきた過程の中で、成長途上の段階にあると認識しており、経常利益及び利益成長率を重要な経営指標として、継続的な事業拡大を通じて企業価値の向上及び社会貢献に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、EC市場の継続的な変化・拡大を背景として、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」を主力としたECソリューション・サービスを戦略的事業分野として位置付け、事業を拡大してまいりました。今後は、ECサイト構築パッケージを活用したECソリューションビジネスを中核とした事業拡大を推進し、より収益性の高い事業基盤を確立し、たとえ厳しい経済環境下においても永続して安定的に発展し続ける優良企業を目指しております。
(4)対処すべき課題
当社グループの属するIT業界は、EC市場の拡大を背景としたECサイト構築需要が拡大していることや、クラウドサービス市場の拡大を背景とした需要の急拡大や、行政におけるデジタル化の推進、IT技術者の人材不足が深刻化するなど、IT業界を取り巻く環境は大きく変化しており、より迅速かつ柔軟に対応していくことが求められています。
そのため、当社グループが更なる成長を目指すためには、ECソリューション事業及びITソリューション事業の拡大を図ることが急務であり、人材の確保・育成、販売体制の強化及び知名度の向上に加え、製品機能の強化の充実が課題となっております。
このような状況を踏まえ、次のような課題を掲げて計画的かつ迅速に取り組んでまいります。
① 人材の確保・育成
当社グループは、主力製品であるECサイト構築パッケージ「ecbeing」を活用したECソリューション事業の拡大及び企業の相次ぐ情報漏えい事件の影響によるセキュリティへのIT投資意欲の高まりを受けて、セキュリティビジネスの拡大や、当社独自のサービスである「SCクラウド」のクラウドビジネスの拡大などにより成長を遂げておりますが、IT技術の進歩に伴い顧客の要求も高くなり開発案件の難易度は高くなっております。また、IT技術者の人材不足が深刻化しております。今後も更に市場拡大が見込まれる中で、成長を果たしていくためには、IT技術者の人材確保や、顧客の様々な要望に応えられる開発スキル向上のための人材育成が重要であると認識しております。
そのため、積極的な人材採用の実施により人材確保に努めると同時に、能力を向上させるための研修の実施と評価制度の充実により、社員の能力を最大限に発揮させる仕組みを確立してまいります。
② 販売体制の強化及び知名度の向上
当社グループは、ECサイト構築需要の拡大により主力製品であるECサイト構築パッケージ「ecbeing」を活用したECソリューション事業の拡大により成長を遂げております。また、企業の相次ぐ情報漏えい事件の影響によるセキュリティへのIT投資意欲の高まりを受けて、セキュリティビジネスの拡大や、当社独自のサービスである「SCクラウド」のクラウドビジネスの拡大などにより成長を遂げております。
今後も更に市場拡大が見込まれる中で、成長を果たしていくためには、販売体制の強化及び知名度の向上が重要であると認識しております。
そのため、セキュリティビジネスやクラウドビジネスの拡大のための重点顧客戦略の推進により、販売体制の強化を図ると同時に、展示会またはセミナー等を通じて、知名度の向上を図ってまいります。
③ ソフトウェアの製品機能の強化
当社グループが独自で開発したECサイト構築パッケージ「ecbeing」、ワークフローシステム「X-pointクラウド」「AgileWorks」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」の製品が、今後も継続的な成長を果たしていくためには、市場での優位性を高めるための製品機能の強化が不可欠であると認識しております。
そのため、時代の急激に変化する市場とテクノロジーの進歩に素早く対応できるための更なる製品機能の強化やオプション機能の開発等の実施により、製品機能を充実させ、競合他社との差別化を図ってまいります。
当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応は、重要な経営課題であると認識しており、より実効性を高めるため取締役会の直下にワーキングチームを立ち上げ課題解決に取り組んでおります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
(取締役会による監督体制)
取締役会は、気候変動に係る事項を含む課題に関するリスクと機会について、毎年1回、ワーキングチームより取組状況や目標の達成状況の報告を受け、モニタリングします。
(ワーキングチーム)
ワーキングチームは、気候変動に係る事項を含む課題の抽出やESGへの対応を含む活動計画を策定し、取締役会へ報告します。
ワーキングチームの長は常務執行役員人事総務本部長が務め、社外取締役、常勤監査役及び代表取締役会長が指名した者において構成され、原則毎月1回定例開催しています。
(気候変動に係る事項を含む課題に係る所管部署)
当社の人事総務部は、ワーキングチームの事務局を担当するとともに、全社的な気候変動に係る事項を含む課題への対応の推進を担います。
当社グループの気候変動に係る事項を含む課題に係るガバナンス体制図は、以下のとおりです。
(2)戦略
<気候変動>
当社グループは、事業活動において気候変動が及ぼすリスクと機会について特定し、財務インパクトの評価を実施し、その実施結果を踏まえ、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対策を検討しております。
|
区分 |
種類 |
想定される気候変動リスク・機会 |
事業活動への影響 |
時間軸 |
評価 |
|
移行リスク |
政策・法規制 |
温室効果ガス(GHG)排出に関する規制の強化 |
炭素税や新たな税制(カーボンプライシング)導入によるコストの増大 |
中期 |
小 |
|
情報開示義務の拡大 |
作業コストの増加 |
短期 |
小 |
||
|
市場 |
消費者行動の変化、市場シグナルの不透明化、原材料コストの上昇 |
エネルギーコスト上昇によるデータセンター利用コストなどの増加 |
中期 |
大 |
|
|
評判 |
サステナビリティをめぐる課題への計画や取組みが、外部ステークホルダーから不適切または不十分と評価されることによる評価の悪化 |
顧客対応や情報開示が不十分であることによる評判の悪化 |
中期 |
中 |
|
|
物理リスク |
急性 |
サイクロン・洪水のような異常気象の深刻化・増加 |
異常気象による被災に伴う本社や外部データセンターにおける業務の中断 |
中期 |
中 |
|
慢性リスク |
降雨や気象パターンの極端な変動、平均気温の上昇、海面上昇 |
対応コストの増加、労働環境への影響 |
長期 |
小 |
|
|
機会 |
資源の効率性・強靭性 |
災害時の事業継続性(BCP) |
オンラインやテレワークの普及による機会、クラウドサービスへの転換ニーズの増加 |
中期 |
中 |
|
製品/サービス・市場 |
気候関連ニーズ |
気候関連ニーズを取り込んだ新たな製品・サービスの開発 |
中期 |
中 |
<人的資本>
(人材育成方針)
当社グループは、属性にとらわれない、積極的な採用活動(新卒・中途)及び中核人材の登用を図ると共に、女性活躍推進法に基づき作成した行動計画の着実な実施により、更なる女性活躍の推進を図る。
(社内環境整備方針)
当社グループは、健康診断の実施、メンタルヘルスチェックの実施、e-Learningの活用、スキルアップ支援(資格取得奨励金)制度、評価制度の充実など、社員の能力を最大限に発揮させる仕組み作りを推進する。
(3)リスク管理
当社グループの気候変動に係る事項を含む課題のリスク管理は、ワーキングチームにて識別・評価し、定期的に取締役会に報告しております。
(リスクを識別・評価するプロセス)
当社人事総務部にて、社内関係部署及びグループ会社に係るリスク及び機会の特定を指示し、リスクを識別し、ワーキングチームに報告します。
ワーキングチームは、識別された気候変動に係る事項を含む課題のリスクについて潜在的な大きさとスコープを評価し、重要度に応じて対応策を検討したうえで、目標を設定し、取締役会に報告します。
(リスクを管理するプロセス)
当社人事総務部は、サステナビリティ戦略の企画・立案及び管理を行い、全社的な気候変動に係る事項を含む課題に係るリスクへの対応を推進するとともに、取組状況をワーキングチームに報告します。
ワーキングチームは、識別・評価したリスクの最小化に向けた方針を示し、人事総務部を通じて社内の関係部署及びグループ会社に対応を指示します。また、対応策の取組状況や設定した目標の進捗状況について、取締役会に報告します。
(4)指標及び目標
<気候変動>
|
名称 |
指標 |
目標 |
|
ソフトクリエイトグループ |
温室効果ガス排出量 |
2030年度20%削減 (2015年度比) |
<人的資本>
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
名称 |
指標 |
目標 |
実績 (当連結会計年度) |
|
株式会社ecbeing |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
株式会社ソフトクリエイト |
|
|
|
|
|
|
|
(注) 当社グループのうち、主要な事業を行う会社において、関連する指標のデータ管理及び取組みを行っている会社について記載しております。
当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のある代表的なリスクには、次のようなものが考えられます。これらの項目は、リスクの代表的なものであり、実際に起こりうるリスクは、これらに限定されるものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1 当社グループの事業について
(1)業界の動向について
① ソフト系IT業界の動向について
当社グループのECソリューション事業及びITソリューション事業は、主としてソフトウェアプロダクトの販売、システムの開発やネットワークの構築等の役務提供により成り立っております。これらの事業区分が属する業界はソフト系IT業界(ソフトウェア業、情報処理サービス業、インターネット関連サービス業の総称。国土交通省の定義による。)であり、当該業界はIT関連サービスの需要動向に左右されると考えられます。ソフト系IT市場の動向は経済環境の影響を受けやすいため、今後の経済情勢が悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② ソフトウェアプロダクトを取り巻く市場環境について
当社グループのECソリューション事業において主力製品であるECサイト構築パッケージ「ecbeing」の成長は、今後のEC市場の動向あるいは各企業における志向性の高まりが鍵を握るものと思われます。
ECはBtoB(企業間取引)とBtoC(対消費者取引)に大別されます。
わが国におけるBtoB市場は、全体取引額自体が大きく伸長していることに加え、大手企業が自社のシステムをグループ傘下の中堅・中小企業に展開するなど、これまでECが浸透していなかった層にまで裾野が広がり、順調に成長しております。
また、BtoC市場についても、消費者の裾野の広がりに伴い、食料品の繰り返し購買や実店舗でも普通に購入可能な日用生活雑貨等が購入される傾向が増加するなど、ECが生活に欠かせないものとして普及・拡大しつつあります。
なお、現在のところ、EC市場の成長を阻害する社会構造及び業界環境の変化はないと考えられますが、EC市場の成長が止まるあるいは縮小するような場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ パソコン、サーバー等のハードウェア及びパソコン向けパッケージソフトウェアに係る市場の動向について
パソコン、サーバー等のハードウェア及びパッケージソフトウェアは、情報通信社会の発達・成熟とともに必要不可欠なものとなっているものの、これらは企業収益により情報化投資意欲が大きく左右されることから、今後経済情勢が悪化した場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)収益構造の変化に伴うリスクについて
当社グループは、ECソリューション事業を成長ビジネスとして位置づけ、収益構造の構築を進めております。
しかしながら、今後、ソフト系IT市場及びEC市場等が、当社グループが想定する程には成長せず、結果としてECソリューション事業の成長が阻害された場合には、利益率の低下を招き、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)業績の季節偏重について
当社グループは、ECソリューション事業及びITソリューション事業において、システムのカスタマイズまたは構築を行っております。これらのシステム開発業務は、顧客都合により、9月及び3月に顧客の検収が集中する傾向があります。このため、何らかの要因により検収遅延が生じた場合には、当社グループの売上計上時期が翌期にずれ込むことにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)開発プロジェクトについて
当社グループが行うシステム開発業務は、プロジェクトごとに作業工数や費用の見積り及び管理を行っておりますが、作業進捗の遅延や想定外の費用負担により採算性の悪化または不採算となる可能性があります。
また、顧客の検収後のシステムに予期し得ない不具合が生じた場合には、それに起因する損害賠償請求を受ける可能性や、当社グループの信頼性が低下する可能性があり、そのような場合には当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の育成・確保について
当社グループが、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」及びソフトウェアプロダクト(「X-pointクラウド」「AgileWorks」「L2Blocker」)の販売・開発体制の強化を図り継続的な成長を果たすためには、人材の確保・育成が重要な課題であるものと認識しております。当社グループは、戦力増強を図るため、新卒の定期採用及び中途採用を継続的に行い人材確保に努めておりますが、想定どおりの人材確保が進まない場合や、人材の社外流出が発生した場合には、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
当社グループの主力製品であるECサイト構築パッケージ「ecbeing」において、現在のところ、同種のECサイト構築パッケージソフトウェアは、当社グループが認識する限りにおいて数タイトル存在し、それらのソフトウェアメーカーは当社グループの競合者と言えますが、当該競合者の製品に「ecbeing」の販売が脅かされている状況にはないものと認識しております。また、大手ソフトウェアメーカーなどが新たな競合製品の販売を開始した事実もありません。
しかしながら、「ecbeing」はパッケージソフトウェアであることから、常なる陳腐化リスクに晒されていることに鑑み、今後もECサイト構築市場における優位性を維持し、更なる競争力の強化を図るため、製品機能強化に努めております。
もっとも、今後においてEC市場が更なる成長を遂げた場合、または企業の志向性が更に高まった場合には、大手ソフトウェアメーカーなどが新たにECサイト構築パッケージ分野に参入しない保証はなく、このような事態が起きた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)インターネットの障害等について
当社グループは、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」のホスティングサービス及び当社独自のサービスである「SCクラウド」のクラウドビジネスなどを行うにあたり、インターネットに特有の技術的または社会的なリスク要因を想定し、インターネットサーバーに係る万一の障害や事故に備えたリアルタイムのバックアップ体制をはじめ、不正アクセスやコンピュータウィルスを防御するネットワークセキュリティ等、必要な管理体制を整えております。今後も引き続きネットワークセキュリティと情報管理に係る強化を継続する予定であります。
しかしながら、基幹システム及びネットワークの障害等を完全に予防または回避することは困難であり、このような事態が起きた場合には、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害等について
地震、火災及びその他の自然災害や停電等が発生した場合には、事業所及びシステムが被害を受ける可能性があります。その結果、その対応に巨額の費用を要したり販売等事業活動に大きな影響が生じるため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2 当社グループの経営について
(1)投資に関するリスクについて
① 事業投資について
当社グループは、現在の事業ドメインと全く方向性が異なる新規事業分野への進出及び多角化は計画しておりませんが、今後も主にソフトウェアプロダクトの開発及び販売に係る有力企業への資本参加を伴う業務提携や有望な技術、ノウハウまたは販売チャネルを有する企業の買収などを行う可能性があります。
当社グループは、このような資本参加を伴う業務提携または買収にあたり、慎重に判断する方針でありますが、これらの判断時点における当社グループの見込み通りに計画が実現する保証はなく、当社グループが負担する費用を回収できない可能性があります。
② 有価証券の投資について
当社グループは、取引先との関係維持や効率的な資金運用を目的として、株式等の有価証券を保有しております。これらの有価証券には、市場価格がある上場株式や市場価格のない非上場株式等があります。当社グループでは、時価または実質価額が著しく下落し、かつ回復の可能性が認められないと判断した場合には減損処理を行っており、将来の市況または投資先の業績不振等により、取得原価に比べて著しく価値が下落した場合は評価損の計上が必要となり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)知的財産権等の侵害に係るリスクについて
ソフトウェア開発、システム開発受託等に関連した特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟及びクレームが発生した事実はありません。また、当社グループは事業推進にあたり弁理士事務所及び日本IT特許組合を通じた特許調査を実施しており、ソフトウェア開発に使用する技術が他社の特許権等に抵触しているという事実を認識しておりません。
しかしながら、わが国において、知的財産権の侵害の有無に係る確認の範囲は自ずと限定されるため、知的財産権の侵害に係る問題を完全に回避することは困難であります。万が一、他人から知的財産権を侵害しているとの指摘が行われた場合、当社グループは紛争解決までに多大な時間及び金銭コストを負担しなければならない恐れがあり、その場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)個人情報等の管理について
当社グループは、顧客、役員及び従業員の個人情報をも含めた重要な業務管理情報についてID及びパスワードによって管理するとともに、インターネットを通じた外部からのアクセスによる情報流出の防止策を採用しております。また、情報セキュリティマネジメントシステムの「ISO/IEC 27001:2013」及び「JIS Q 27001:2014」に基づいた認証を取得しており、継続・更新の審査を受けております。
しかしながら、このようなマネジメントシステムを有していても、個人情報を含むそれらの重要情報に係る社外漏洩を完全に防止できず、当該情報漏洩に起因して第三者に何らかの損害が発生した場合には、当社グループが損害賠償請求の対象となる可能性があります。また、当社グループの情報管理体制に係る良くない風評が発生し、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)業務管理情報システムに係るリスクについて
当社グループは、業務管理情報システムにより、顧客情報の管理、労働債務の管理、給与の支払、顧客に対する売掛代金等の請求、与信管理等の業務を行っており、当社グループの業務効率は当該システムに大きく依存しております。
このため、当該システムが稼動しているサーバーが、不測の事態(地震等の災害に伴う停電、故障等)により、バックアップサーバーを含め同時に停止した場合には、当社グループの業務の遂行に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要が好調に推移したことや、雇用・所得環境の改善が見られるものの、依然として長引く円安等を要因とした物価上昇による実質賃金の下落傾向が続いており、今後の景気悪化が懸念されます。世界経済においても、全体として緩やかな回復基調ではありますが、米国トランプ政権による関税政策の動向、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化、中国経済の減速懸念等、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属するIT業界は、企業のECサイト構築需要の高まりや、IoT、AIを活用したITサービスの進展、クラウドサービスやセキュリティ対策、RPA等のDX推進など、企業等の事業拡大や競争力強化に向けた戦略的なIT投資は活発化しております。
このような状況の中で、当社グループは国内市場シェアNo.1のECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」の提供やECサイトの売上拡大のための施策となるクラウドサービス(SaaS型)の提供を推進してまいりました。そのほか、生成AI市場の世界的な需要急拡大を背景として当社独自で開発した企業向け生成AIサービス「Safe AI Gateway」の提供や、企業のデジタル変革推進への取組みに関連した企業内情報システムサービス「SCクラウド」、「X-pointクラウド」の提供を推進するなど、ECソリューション事業及びITソリューション事業の売上拡大に注力してまいりました。
これらの結果、売上高は309億51百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益は54億97百万円(同6.4%増)、経常利益は57億64百万円(同7.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は35億47百万円(同8.9%増)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの経営成績の概要は、次のとおりであります。
① ECソリューション事業
国内市場シェアNo.1のECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売及びECクラウドサービス「メルカート」の提供や、ECサイトの売上拡大施策となるビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「ReviCo」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」等のクラウドサービス(SaaS型)を提供し、トータル的なECソリューションを提供しております。
ECソリューション事業は、ECサイト構築売上高が伸長したことや、ECサイトの売上拡大施策となるクラウドサービス売上高が伸長したこと等により、売上高は166億21百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は40億72百万円(同2.8%増)となりました。
② ITソリューション事業
当社グループの独自サービスである「SCクラウド」、ワークフローサービス「X-pointクラウド」等のクラウドサービス(SaaS型)の提供をしております。そのほか、セキュリティ・インフラ構築や当社グループが独自で開発したプロダクト製品「AgileWorks」、「L2Blocker」を販売しております。
ITソリューション事業は、クラウドサービス売上高が伸長したことや、セキュリティ・インフラ構築売上高の伸長により、売上高は143億30百万円(前期比15.9%増)、セグメント利益は29億97百万円(同5.7%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して14億49百万円増加し、149億58百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、49億95百万円(前期は64億84百万円の獲得)となりました。これは、主に法人税等の支払額が17億47百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が57億46百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億81百万円(前期は13億85百万円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が16億2百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、14億65百万円(前期は10億15百万円の使用)となりました。これは、主に配当金の支払額が12億88百万円あったこと等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ECソリューション事業 |
16,621,064 |
106.9 |
|
ITソリューション事業 |
14,330,697 |
115.9 |
|
合計 |
30,951,761 |
110.9 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
1 貸倒引当金の計上基準
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当または貸倒損失が発生する可能性があります。
2 有価証券の減損処理
当社グループは、取引先との関係維持や効率的な資金運用を目的として、株式等の有価証券を保有しております。これらの有価証券は、市場価格がある上場株式や市場価格のない非上場株式等があります。当社グループでは、時価または実質価額が著しく下落し、かつ回復の可能性が認められないと判断した場合には減損処理を行っており、将来の市況または投資先の業績不振等により、取得原価に比べて著しく価値が下落した場合は減損処理が必要となる可能性があります。
3 固定資産の減損
当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。現時点では減損処理の必要な固定資産はございませんが、将来の事業環境の変化、業績の動向等により減損の兆候が生じた場合には、減損処理の計上が必要となる可能性があります。
4 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。
5 システム開発等に係る収益認識
システム開発等に係る収益認識について、契約の履行において、一定の要件を満たし進捗度を合理的に測定できる場合には、履行義務の充足に応じて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。売上高はプロジェクトの総収益及び見積総原価の進捗度に基づき測定され、進捗度は見積総原価に対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。システム開発等に係る収益認識による収益の計上の基礎となる見積総原価は、プロジェクトごとの実行予算により見積られておりますが、ECサイトの構築や顧客のニーズに合わせたカスタマイズのため、実行予算の策定にあたっては、プロジェクト完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性が伴っております。システム開発等は、ECサイトの構築や顧客のニーズに合わせたカスタマイズのため、個別性が強く、当初想定していなかった仕様変更等により、見積総原価の見積りが変更された場合には、各連結会計年度の売上高の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の財政状態、経営成績の分析
1 財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ16.0%増加し、238億31百万円となりました。これは、主に現金及び預金が14億49百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が11億68百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ9.4%増加し、117億61百万円となりました。これは、主にソフトウエアが4億95百万円、投資有価証券が3億15百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ13.7%増加し、355億92百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ15.9%増加し、85億55百万円となりました。これは、主に買掛金が4億24百万円、契約負債が2億40百万円、未払法人税等が2億1百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ7.7%増加し、24億39百万円となりました。これは、主に退職給付に係る負債が1億48百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ14.0%増加し、109億94百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13.6%増加し、245億98百万円となりました。これは、主に利益剰余金が22億57百万円、非支配株主持分が6億8百万円増加したこと等によるものであります。
2 経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載してあるとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3 事業等のリスク」に記載してあるとおりであります。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載してあるとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載してあるとおりであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持する事を基本方針としております。
資金調達については、運転資金、設備資金及び業務・資本提携に伴う所要資金等で、手元資金を上回る資金ニーズが生じた場合、用途、金額、期間、コスト等を総合的に勘案して調達方法(銀行借入(短期・長期)、社債発行、公募増資)を決定する方針であります。
なお、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な運転資金及び設備投資等については、当面の間は自己資金で賄っていく予定であります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載してあるとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループでは、パッケージソフト・ソフトウェアプロダクトの基盤技術の更なる向上を目的として、研究開発活動を行っております。
この結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、