第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高いサービスを広くお客様に提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを目指しております。また、常にお客様のニーズにお応えするために新商品の開発及びサービスの向上に努め、新しい価値を提供し続けることにより、当社グループのさらなる発展を図ってまいります。社会、株主、そして従業員に対して信頼と期待に応え、事業の永続的な企業価値向上を目指してまいります。

サステナブルな発展に欠くことのできない安定的なキャッシュ・フローを確保するため、また、景気循環に左右される業界環境において、様々な変化に柔軟に対応できるビジネスモデルの構築を進めてまいります。

 

(2021 中期経営計画ビジョン)

「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」

 

(2)経営環境

ロシア・ウクライナ情勢が継続しているため、資源価格原油高やエネルギー価格の高騰が物価上昇に影響する可能性があります。また、米国金融機関の破綻をきっかけとした米欧での信用不安や世界的な景気後退懸念などが、経済成長に不安要素として影響すると考えられます。そのため、先行きは不透明な状況が続くと予想されます。

国内建設投資は、原油高や建設資材の高騰、人材不足によって工事の遅れや延期が見られ、先行きが不安定な状況が続いておりますが、国土強靭化計画等を背景とした全国的な社会インフラの維持修繕工事など底堅さが見られます。コロナ禍において需要が拡大し堅調であった倉庫・物流施設に加え、インバウンド需要を見込んだ高級宿泊施設が計画されていることなど民間設備投資の持ち直しが期待できます。再開発が継続する首都圏における工事量は引き続き堅調に推移するとみております。関西エリアにおいては、大阪湾岸エリアで開催が予定されている大阪関西万博に続き、同エリアで計画が進められていた大阪府と大阪市による総合リゾート整備計画が政府に認定されたことも追い風となって、国内建設需要は安定推移すると予想しております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略

当社グループの業績は、これまでの実績から外部環境に大きく左右され、特に経済活動が減退する状況下では、業績が著しく変動する傾向にあります。

このような課題の認識から、当社グループは、「次世代足場におけるトップシェアの維持・拡大」、「維持補修工事へと移行する市場への対応」、「仮設部門以外における収益事業の育成」、「海外事業基盤の収益成長」を中期的に対応すべき経営課題と認識し、2022年3月期を初年度とした中期経営計画において「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」との経営ビジョンを掲げ、実現に向けた取り組みを進めております。日本国内(レンタル事業、販売事業)におきましては、当社が保有する資産や培ってきた物流ネットワークや整備ノウハウ、またBIM/CIM3Dを活用した設計技術や施工管理など、仮設機材レンタルを中心とする事業ノウハウを、「Iqシステム」に最適化させた事業基盤をプラットフォームと呼称し、「Iqシステム」を購入いただいた顧客を中心にプラットフォームのサービスを提供してまいりました。今後は、このプラットフォームの便益向上のために設備やサービスの増強を図るとともに、経営効率向上も目指したデジタル技術を積極的に活用したDXを推進し、人材不足や経営効率化など業界顧客の抱える課題を解決し、利用者数の増加と収益の向上を目指してまいります。海外事業におきましては、セグメント事業利益が増益になるなど、経営基盤の再構築について一定の成果が見られました。事業拡大に向け引き続き、体制整備に努めております。

 

 

(2021 中期経営計画 基本戦略)

① 「Iqシステム」を中心としたハードとソフトを融合したサービスの開発

足場をはじめとした仮設機材は、実質的な耐用年数が長く利用価値は変わりません。そのため、製品イノベーションが起こり難く、また、所定の減価償却期間を過ぎれば、売上原価となる賃貸資産償却費の負担が軽減され、価格競争に陥る傾向にあります。特に需要が停滞する環境下においては、価格競争が発生しやすく、製品力(ハード)の優位性は、価格の圧力に押され負けてしまいます。このことから、顧客から選ばれるためには製品力だけではなく、顧客事業における課題に対応した課題解決力(ソフト)の提供が欠かせないと判断しております。

このような課題から製品力と課題解決力、ハードとソフトを融合した新たなサービスの開発と提供によって、顧客から選ばれ続ける企業となることを目指してまいります。

 

② 維持補修・再インフラ向け製品の強化

日本国内において、建設工事の元請完工高に占める維持補修(リフォーム・リニューアル)工事の割合は、増加傾向にあります。高度経済成長期に整備された新幹線、高速道路、鉄道などの主要インフラが建設されてから、既に約50年が経過し、全国各地で維持補修工事が進行しています。このような工事に必要な製品として、主に高速道路の維持修繕工事において使用される、施工性と安全性に優れたパネル式吊り棚足場「スパイダーパネル」やシステム吊り棚足場「VMAX」、また、ダムや送電設備など、特に山間部で必要な維持修繕工事において使用される、大型クレーン等の重機の構台を工具レスで組立可能な「YTロックシステム」などを、さらに広く販売することを目指しています。また、レンタル事業においては、これまで主に高層マンション向けに出荷されていた移動昇降式足場「リフトクライマー」が土木分野でも活用されるようになり、建築・土木の両分野で販売拡大を図っています。

 

③ 仮設部門以外の事業育成

仮設部門以外の事業育成について、当社ではアグリ事業の成長を促進しています。具体的には、埼玉県羽生市に実証農場を建設し、当社が製造販売する農業用グリーンハウス「G-Castle Neo48」と「G-Castle Pro1」を使用して果菜類を栽培し、その性能を評価しています。実証農場では、当社製品の性能評価だけでなく、顧客の施設見学やハウス内の環境制御装置や最適な栽培方法の検証を行い、検証結果を販売促進に活用しています。また、センシング技術を導入して栽培に関するデータを収集し、顧客へ提供するなどの二次活用も進めています。これらの取り組みにより、当社のアグリ事業の拡大、成長を目指します。

 

④ 海外事業基盤の再整備

海外事業基盤の再整備については、特にフィリピンの子会社において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。フィリピンは、豊かな天然資源や労働力を有しており、建設投資に関してはコロナ以前の状態に回復することが見込まれています。そのため、当社はフィリピン市場においてより強固なビジネス基盤を確立するため、積極的な投資を行い、ビジネスモデルの改善を図ってまいります。さらに、当社はフィリピン市場におけるビジネスパートナーや顧客との継続的な関係構築にも取り組んでおり、長期的な視野での市場開拓に注力してまいります。引き続き、堅調に推移する韓国市場と併せまして、これまでの経験や知見を活かし、諸外国のニーズに応える最適な製品・サービスの検討を進め、海外事業展開を着実に拡大する基盤の整備を引き続き行ってまいります。

 

(4)目標とする経営指標

当社は、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2024年3月期の連結業績目標の達成に注力してまいります。

なお、当社は2023年5月11日に「2021 中期経営計画」の修正を発表しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社の事業は、廃棄されていた木製足場に代わり、繰り返し使用できる鉄製足場をレンタルすることからスタートいたしました。創業当時より、限りある資源の有効活用、持続可能な社会の実現への思いが、当社グループの根底に流れております。脱炭素社会を目指す世界の一員として、再生エネルギーの活用や工場におけるゴミ排出抑制など、環境に配慮した事業活動を通じ、持続的な社会実現に向けた取り組みを行っております。

 

① ガバナンス

当社のサステナビリティに対する取り組みとしては、積載運搬効率が高く温室効果ガス排出量の軽減効果のある「Iqシステム」、自然災害等による浸水被害を最小限に防ぐ「タイガーダム」、持続可能な未来を創る「ソーラーカーポート」、当社工場でのゴミ排出抑制・再生エネルギーの段階的な活用、当社工場や機材供給拠点での蓄電による電動フォークリフトの利用、DX推進によるペーパーレス化等、環境に配慮した事業活動を行っており、関係するそれぞれの部署が推進しております。

また、取締役会の諮問機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し、サステナビリティ関連を含むリスク全般の認識と対応策の整備・運用を行うとともに、必要に応じて取締役会へ答申する体制を整えております。

 

② リスク管理

当社は、現在、気候変動に関して国際的な枠組みに基づく情報開示は実施しておりませんが、気候変動におけるリスクについては、気温上昇による影響の情報収集と分析を実施しております。収益機会に関しては、気温上昇による環境変化の影響を想定した上で、防災用商品や現場の作業効率向上につながる商品・サービスの提供を推進してまいります。

なお、当社では事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践が可能となるようにすることを目的として「リスク管理規程」を定めております。また、リスク・コンプライアンス委員会が各部門長と連携し、定期的にリスクと機会の検証を行い、必要に応じて取締役会に報告する体制を整えております。

 

(2)人的資本

当社は、社是である「愛」のもと「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げ、人材は極めて重要な資産と認識し、持続的な企業価値向上を実現するための源泉と考えております。従業員一人ひとりが高いモチベーションを維持し、向上心を持って高い目標にチャレンジすることで、企業の持続的成長が実現可能となります。そのために企業は従業員が高いパフォーマンスを発揮できるよう個々の能力やキャリア開発の場を提供し、自己実現をサポートする様々な支援をすること、そして公正で納得性の高い人事制度、処遇を整備していくことが基本であると考えております。

また、多様な人材を登用することで、経営においての選択肢が広がり、成長とイノベーションの原動力となります。経営環境の変化が著しい現代社会においては、多様性を尊重し、多種多様な考え方や個性を受け入れ、そこから生まれる柔軟な発想によって、永続的な企業価値向上が実現できると考え、ダイバーシティの推進に取り組んでおります。

 

① 戦略

当社では、多様な人材が活躍するための社内環境の整備、多様な働き方の実現に向けて、オフィスをワークスペースから“憩いの場・癒しの場”に変えるためのオフィス改革、全社横断的な女性活躍推進プロジェクトチームの立ち上げ、リモートワークや直行直帰の推進、フレックスタイム制の導入、自らの意思で部署異動を選択できる社内異動制度(スターキャリア制度)、地域・所属部署の垣根を越えて忙しい部署をサポートし、対価として社内コインを支給する「コイン制度」の運用などに取り組んでおります。また、海外で活躍する外国人の日本でのポスト登用など、海外人材のキャリアパス拡大に向けた人事運営にも取り組んでおります。

 

 

 

② 指標及び目標

女性並びに外国人の管理職比率は現状1%程度となっており、業界も含めた大きな課題と認識しております。今後この比率を高めていくため、女性及び外国人の総合職を採用し、管理職候補となる母集団を拡大するとともに、まずは将来の管理職候補者たる「係長」の裾野を拡大し、長期的目標の早期達成に向け、女性及び外国人管理職の育成・登用を促進して参ります。

また、中途採用者の管理職比率は60%を超えており、多様な経験を持った管理職によるマネジメントが行われておりますので、今後も同様の水準を維持してまいります。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

長期目標

女性・外国人管理職人数

(同比率)

2人

(1.5%)

2人

(1.4%)

2人

(1.3%)

 

(10.0%)

女性・外国人係長人数

(同比率)

4人

(5.2%)

6人

(8.0%)

7人

(9.6%)

 

(20.0%)

女性・外国人総合職採用人数

(同比率)

7人

(22.6%)

5人

(23.8%)

7人

(20.6%)

 

(30.0%)

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)建設投資動向等の影響について

当社グループは、建設用仮設機材の開発・製造・販売及びレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)貸倒れリスクについて

当社グループの取引先は3,000社以上に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に対して分散されております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになりますが、当社グループの取引先のほとんどは建設会社であり、建設業界を含む全般的な景気低迷の結果、売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。そのため当社グループでは、信用不安のある取引先とはその信用状況を勘案して慎重に取引を行うように努めております。

 

(3)借入金を中心とした有利子負債への依存について

当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金、社債及び割賦払いにより調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2022年3月期

(百万円)

2023年3月期

(百万円)

有利子負債残高

(対総資産額比率)

28,209

(47.7%)

30,143

(48.0%)

純資産額

(自己資本比率)

19,337

(31.8%)

20,522

(31.7%)

総資産額

59,081

62,749

支払利息

206

211

(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、社債(1年内償還予定のものを含む)、リース債務(流動負債及び固定負債)、流動負債の「その他」のうちの未払金、固定負債の「その他」のうちの長期未払金の合計であります。

 

(4)長期借入金等の財務制限条項について

当社は、金融機関数社とシンジケートローン契約を締結しておりますが、これらの契約には、各年度の第2四半期会計期間末及び年度決算期末における連結貸借対照表において、純資産の部の金額が資産の部の合計額の10%を下回らないことや、各年度の決算期末における連結損益計算書の経常損益の額が2期連続して赤字とならないこととする財務維持要件が付加されております。これらの条件に抵触した場合には、シンジケート団の貸付金額の三分の二以上を占める多数貸出人の要請があれば、当社は期限の利益を喪失し直ちに返済義務を負うこととなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)仕入価格の変動について

当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鋼製品であり、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により仕入価格が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)賃貸資産に係る会計処理について

当社の取り扱う仮設機材は、主に建設現場で使用されており、取引先がレンタル先の建設現場において当社の仮設機材を紛失した場合や、損耗の激しい状態等で返却され、当社が同一機材として使用不可能と判断した場合は、取引先から当該仮設機材の滅失価格(仮設機材の再調達価額相当の金額)を受領することとなっております。当社は、この場合、会計処理上滅失価格の受領額を売上計上し、当該機材の帳簿価額を売上原価に計上しております。また、レンタル終了時に貸し出した仮設機材以外の同種機材を取引先より受け入れる場合があります。これは、取引先が不要と判断した機材を当社で受け入れているものであり、これらの機材に関して、その後の整備により当社の品質基準に適合し、新たに当社の仮設機材として活用可能であると判断した場合には、当該機材を資産計上し、資産計上額を賃貸資産受入益として営業外収益に計上しております。そのため、滅失価格の受領に伴う売上高、レンタル終了時の仮設機材の受け入れに伴う営業外収益等が変動し、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(7)建設業法について

当社工事部が行う仮設工事事業及びアグリ事業部が行う農業用ハウス建設工事事業は、建設業法に定められた特定建設業「とび・土工工事業」の許可を受け施工しております。工事部の主な取引先は建設会社又はリフォーム業者等、アグリ事業部の主な取引先は農業協同組合等であり、取引を行う場合建設業の許可を取得していることは必須事項となっておりますので、建設業許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性がございます。

 

(8)為替変動リスクについて

為替相場の変動は、連結決算における在外子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)製造物責任(PL)について

当社グループの製品及び商品には、製造物責任のリスクが内在しております。製品の欠陥や商品の経年劣化に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)自然災害・感染症の流行について

当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行により操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、国内外での生産拠点及びレンタル機材物流拠点の分散や従業員の安全確保及び早期復旧対策等を実施しておりますが、予想を超える規模・範囲での従業員や建物の被災や新型インフルエンザ等世界規模での感染症流行が発生した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、流行中の新型コロナウイルスについては、在宅勤務比率の引上げや交代勤務、営業人員の直行直帰徹底により従業員の感染リスクを抑えながら、顧客への製品・サービス供給を維持しております。今後も供給責任を果たすべく、働き方と生産性の検証を進めて参ります。

 

(11)システム及び情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループのシステムは、事業を行う上の重要なITインフラであり、システム障害の未然防止や障害発生時の早期復旧や冗長化を前提とした適切な設計を行い、セキュリティ面の安全性に配慮したシステムの導入及び構築に努めております。しかしながら、システム上に新たな脆弱性が出現した場合や新型のサイバー攻撃を受けたことに起因し、情報セキュリティ事故が発生した場合、これらにより業務遂行に支障をきたす可能性、また保有している個人情報や機密情報等に毀損又は漏洩が生じる可能性は排除できません。このような事態が発生した場合、損害賠償金や対策費用を支払うことにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、持ち直しの動きが見られましたが、原材料価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、為替相場の変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが関連する国内建設業界は、一部、土木関連工事に着工延期が見られたものの、民間建設工事において首都圏の改修工事を中心に堅調に推移しました。また、海外では、フィリピンにおいて、政府による外出・移動制限措置が解除され、建設投資が緩やかに回復してきております。

このような環境の中で、当社グループは2021年5月31日発表の中期経営計画において、「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョンを掲げ、当連結会計年度を「プラットフォーム元年」と定め、当社の販売、レンタルをはじめとした各事業基盤をお客様が自社の事業基盤のように活用できるビジネスプラットフォームの提供、その他、維持補修・再インフラ向け製品の強化、仮設部門以外の事業育成、海外事業基盤の再整備の4施策に取り組んでまいりました。

 

a.財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、62,749百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,668百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の減少540百万円、売掛金の増加844百万円、商品及び製品の増加1,675百万円、賃貸資産(純額)の増加2,170百万円等によるものであります。

負債合計は、42,227百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,483百万円増加いたしました。この主な要因は、短期借入金の増加1,296百万円、設備関係支払手形の増加158百万円等によるものであります。

純資産合計は、20,522百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,184百万円増加いたしました。この主な要因は、利益剰余金の増加808百万円、為替換算調整勘定の増加269百万円等によるものであります。

 

b.経営成績の状況

当連結会計年度の経営成績は、売上高41,894百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益2,253百万円(前年同期比33.9%増)、経常利益2,400百万円(前年同期比22.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,460百万円(前年同期比51.3%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(販売事業)

仮設部門において、資材価格の高騰、人材不足等による工事遅延や、先行き不透明な状況を懸念し、一部で購入時期の延期や、レンタル使用への動きが見られましたが、当社製品「Iqシステム」を中心としたビジネスプラットフォームに対する関心が高く、新規調達、入替及び追加購入案件ともに引合いは堅調に推移いたしました。当期末にかけては工事需要の高まりもあり、「Iqシステム」の受注が増加してまいりました。価格面においては、原材料価格の高騰に対応すべく販売価格交渉を継続して実施してまいりました。

仮設部門以外においては、前連結会計年度上半期で大型の農業用高機能ガラスハウス建設工事が一巡し、前年同期比で売上が減少いたしました。

これらの結果、売上高13,157百万円(前年同期比3.5%減)、営業利益1,189百万円(前年同期比27.2%減)となりました。

(レンタル事業)

民間建設工事においては、前連結会計年度より工事の中断や遅延、着工の延期など、厳しい状況が継続してまいりましたが、首都圏の維持補修工事を中心にレンタル需要が高く、「Iqシステム」など、建設用仮設機材の貸出量が堅調に推移いたしました。

また、土木分野におきましても一部着工の延期はありましたが、前年同期比で貸出量は増加いたしました。

これらの結果、売上高24,714百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益2,610百万円(前年同期比113.6%増)となりました。

 

(海外事業)

ホリーベトナム(ベトナム)、ホリーコリア(韓国)においては、原材料・部品の調達に大きな影響はなく、建設用仮設機材の日本向け出荷が堅調に推移いたしました。また、ホリーコリアでは、韓国国内での販売、レンタル事業も順調に推移いたしました。

DIMENSION-ALL INC.(フィリピン)においても、政府による外出・移動制限が解除され、インフラ工事関連の引合いが増加してきております。

これらの結果、売上高8,986百万円(前年同期比40.2%増)、営業利益404百万円(前年同期比45.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ747百万円減少し、7,768百万円(前年同期比8.8%減)となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、14百万円の支出(前連結会計年度は4,294百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益2,136百万円、減価償却費5,140百万円等に対して、賃貸資産の取得による支出922百万円、売上債権の増加額525百万円、棚卸資産の増加額5,688百万円等があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,205百万円の支出(前連結会計年度は2,979百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出938百万円等があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、398百万円の収入(前連結会計年度は588百万円の支出)となりました。主な要因は、短期借入金の純増加額1,234百万円、長期借入れによる収入6,060百万円、社債の発行による収入1,177百万円等があったものの、長期借入金の返済による支出6,006百万円、社債の償還による支出1,047百万円等があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

販売事業(百万円)

7,496

140.6

レンタル事業(百万円)

海外事業(百万円)

6,657

159.3

合計(百万円)

14,154

148.8

(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループは、製造する製品のほとんどが見込生産であり、レンタルや販売する製品についても、顧客企業と締結している契約に規定されているのは、料金算定の基礎となる単価及び概算の見積金額であり、受注金額の算定に必要なレンタル期間や滅失機材の数量等については、工事の進捗状況や使用状態により変動いたします。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

販売事業(百万円)

12,924

98.0

レンタル事業(百万円)

24,676

106.1

海外事業(百万円)

4,293

128.5

合計(百万円)

41,894

105.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

販売事業については、売上高13,157百万円、営業利益1,189百万円となりました。前連結会計年度と比較し、減収減益となりました。この要因は、経済活動の制限が緩和され、民間企業を中心とした設備投資も回復し、需要は高い状況にありましたが、原油や原材料の価格高騰を受け、販売価格を段階的に見直した影響で買い控えが発生したことによります。この影響もあり、商品及び製品が前年同期比で1,675百万円増加しておりますが、翌連結会計年度以降の需要増に備え生産調整を行わなかったことにもよります。

一方、この買い控えの影響でレンタル需要は高水準を維持しており、仮設機材の需要自体は高まっていると認識しております。インフレ傾向による価格上昇が一過性でないことや、建設投資の水準が安定していることから、仮設機材の不足による受注機会の損失を防ぐために、もう一段の価格上昇前に仮設機材の購入を選択する顧客の増加も予想されます。また、一部の購入を見送っている顧客に対しては、保管場所や管理、整備ノウハウなどの課題を解決するサービスを提供するプラットフォームへの営業により、キャッチアップが可能であると見込んでおります。

また、保管委託によりお預かりした仮設機材は、当社の管理、整備ノウハウにより、安全性や耐久性が維持され再販価格の低下を抑えることが可能で資産価値が高まることから、レンタルを購入に変更し、当社へ預け入れする顧客の増加を見込んでおります。これらの需要を受け入れるために、顧客の資産管理の負担軽減と保有資産の価値向上に繋がるサービスを提供してまいりました。

今後の展望として、翌連結会計年度では上記サービスの提供により、購入を検討する顧客が増加し、さらなる需要増があると見込んでおります。そのため、生産設備増強による安定供給、利便性の高い保管場所の確保、管理、整備ノウハウの向上を図り、魅力あるプラットフォームの構築を早期に進め、プラットフォームユーザーの拡大に努めてまいります。

以上の取り組みにより、販売事業は、プラットフォームユーザー獲得のための各施策を実行し、収益の拡大と将来の成長に向けた体制強化を図ってまいります。

レンタル事業については、売上高24,714百万円、営業利益2,610百万円となりました。前連結会計年度と比較すると、売上高は1,431百万円の増加、営業利益は1,388百万円の増加となり増収増益となりました。

この要因は、建築工事向けの仮設機材の貸出量が高水準で推移したことに加え、土木工事向けの仮設機材の貸出量が増加したことによるレンタル料収入の増加が主な要因となります。特に、当社の主力製品「Iqシステム」の貸出量は年間を通して高い水準を維持しており、デファクトスタンダード獲得が順調に進んでいるものと見ております。また、「Iqシステム」を購入後に保管委託した顧客(プラットフォームユーザー)からの保有量を超えて使用するレンタル需要も、ユーザー数の増加にともなって増加しております。

このプラットフォームユーザーの割合が増加すると見込み、安定した仮設機材の供給がユーザーに安心して利用いただくための重要な要素と考え、賃貸資産への投資を継続して行ってまいりました。この投資は、「Iqシステム」に限らず、全国各地の社会インフラの維持補修工事で使用される土木工事向けの仮設機材なども含まれ、プラットフォームユーザーが「Iqシステム」以外の仮設機材をプラットフォームから調達することができ、幅広い工事分野への需要に対応できるよう保有量の充実とともに、プラットフォームの魅力を高めユーザー獲得に努めてまいりました。

その結果、賃貸資産の額は前連結会計年度から純額で2,170百万円増加し、14,349百万円となりました。翌連結会計年度以降も引き続きプラットフォームユーザーの獲得を目指すために、需要と償却費負担を考慮しながら、ユーザーの保有在庫の稼働を高水準に保つための投資を行ってまいります。

海外事業については、売上高8,986百万円、営業利益404百万円となりました。前連結会計年度と比較すると、売上高は2,576百万円の増加、営業利益は127百万円の増加となりました。

海外事業の売上高のうち、セグメント間の内部売上高又は振替高は4,693百万円と前年同期比で1,623百万円増加しております。この要因としては、ベトナム、韓国で生産する日本国内向け「Iqシステム」の販売増加や将来の需要に備えて在庫を積み上げたことによります。また、外部顧客への売上高は4,293百万円となり、前連結会計年度と比較して952百万円の増加となりました。この要因は、韓国国内における建設現場の安全意識向上による韓国国内での「Iqシステム」の販売及びレンタルが好調に推移したことによります。

 

一方、フィリピンのDIMENSION-ALL INC.は、現地の建設会社向けに建設用型枠や支保工材を供給しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大による移動制限は解除されつつありましたが、事業活動が再開されず、特に建設プロジェクトの進行が遅延したために厳しい状況となりました。翌連結会計年度以降は、JICA建設プロジェクトなどインフラ整備事業が再開される見込みとなっており、これらの大型プロジェクトの受注獲得のための人員の強化も図りながら体制づくりを進めてまいります。

海外事業では、日本国内の需要増に対応すべく生産体制を強化するとともに、好調な韓国国内と底打ちが見られるフィリピンでの大型プロジェクトの需要に対応すべく、積極的な営業活動や経営基盤の強化を行っていく方針であり、また、アセアン諸国への展開も視野に入れながら、事業拡大を図っていく予定であります。

また、2021年の中期経営計画では、プラットフォーム関連の施設や供給拠点の整備、IT・DX、自動化などの設備への投資、オフィス移転などを含めて3,900百万円の設備投資を計画しておりましたが、Takamiya Lab.の追加施設建設が予定より進捗が遅れ、計画の一部が達成されませんでした。最終年度となる翌連結会計年度は、プラットフォームユーザーの増加や将来的な仮設機材の需要増に対応するため、積極的な投資を継続して行う方針でありますが、需要の変動や競争環境の変化に柔軟に対応しながら、事業拡大を図ってまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、掲げている「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョン達成のための設備投資と、日々の生産及び営業活動に必要な運転資金です。これらの資金需要の当社グループの調達方針は、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」を基本方針としております。

安定的・継続的な資金調達を目的に、国内においては、参加金融機関10行とのシンジケートローンによる資金調達をメインとしております。海外の必要資金については、親子ローンを実行する一方で、参加金融機関3行とのグローバル・クレジット・ファシリティー契約に基づく、各海外子会社の自国通貨での調達を行なう事で、調達コスト及び為替変動リスクの低減に努めております。また、当社グループの有利子負債総額の半分程度を、金利スワップ等により固定化する事で金利上昇リスクの低減にも努めております。

金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な資金の安定的・継続的な調達は、今後も可能であると考えております。

今後も、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」という二つの方針の両立を目指すべく、間接金融または直接金融の多様な調達手段の中から、当社にとって有利な手段を適宜選択し、資金調達を行ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りに関しましては、当社グループにおける過去の実績率等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

シンジケートローン契約について

当社は、2022年6月17日開催の取締役会決議に基づき、設備資金の安定的かつ効率的調達を目的として、㈱三菱UFJ銀行を主幹事とする金融機関10行からなるシンジケート団と以下のとおりシンジケートローン契約を締結いたしました。

契約日   2022年6月27日

契約金額  4,000百万円

借入利率  3ヶ月Tibor+0.6%

契約期限  2027年4月30日

担保    無担保

保証    無保証

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は101百万円であります。

なお、当該研究開発費は、当社における建設用仮設機材等の開発によるものであります。