当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高い高付加価値サービスをお客様に広く提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを企業理念としております。建設業界を取り巻く環境が急速に変化するなか、当社グループは、常にお客様のニーズを的確に捉えた新商品開発とサービス向上に努め、新たな価値を提供し続けることで、企業としての持続的成長とステークホルダーへの貢献を目指してまいります。
(従来ビジネスモデルから仮設業界のプラットフォーマーへ)
仮設機材レンタル事業を基盤として発展してきた当社グループは、資産取得による収益拡大モデルから脱却し、バランスシートに依存しない収益基盤の確立に取り組んでおります。事業の拡大と資本効率の向上を両立するため、当社は新たな「ストックビジネス」へのトランスフォームを加速させています。
この転換は、単なる業態変化にとどまらず、建設・仮設業界の課題をプラットフォームの力で解決するという、社会的意義の高い挑戦でもあります。
(トランスフォームに至った背景と事業環境)
当社グループの主要顧客である建設業界は、建設投資の変動に加え、エネルギー・原材料価格の高騰、人件費の上昇、さらには「2024年問題」による時間外労働規制の影響を受け、工事の停滞が深刻化しています。とりわけ労働力不足が深刻で、2024年時点の就業人口は約477万人と10年で約6%減少し、高齢化も進行しています。これにより、着工・完成の遅延が常態化し、未着工工事は高水準で推移しています。
また、建設会社各社は利益率重視の選別受注を進め、単価が上昇する一方、中小企業を中心に廃業が増加しています。背景には、IT化・DXの遅れがあり、特に中小建設業者では生産性向上が進んでいない状況が顕著です。一方で、エネルギー政策の転換やGX推進、半導体・データセンター等の投資拡大により、建設需要は質・量ともに多様化が進んでいます。
こうした環境下において、当社グループは景気変動に左右されにくい収益基盤の構築を目指し、プラットフォーム型ストックビジネスへの移行を推進しています。当社のサービスは、人手不足や生産性低下といった構造課題に対し、機材の効率活用や業務の可視化、省力化を通じて具体的な解決策を提供するものであり、既に業界全体での導入が進みつつあります。今後も継続収益の拡大とともに、さらなる業界浸透を図ってまいります。
(仮設業界におけるプラットフォームビジネスの展開)
当社グループは、建設業界が直面する構造的な課題「慢性的な人手不足」、「生産性の低下」、「設備保有コストの負担」、そして「デジタル化の遅れ」に対し、プラットフォーム事業を中核とすることで、顧客目線に立った実効性のあるソリューションを提供しています。
中核サービスである「OPE-MANE(オペマネ)」は、顧客が保有する仮設機材を当社の管理インフラ上で一元的に可視化・運用できる仕組みであり、全国の拠点ネットワークを活用することで、設備の保有リスクや人件費を削減するとともに、機材の回転率向上と資産効率の最適化を可能にしています。
さらに当社は、OPE-MANEに加え、不足材のタイムリーなレンタル提供、BIM・CIMを活用した3D図面の支援、材工一体型での仮設工事受注など、現場の実務課題に即した幅広いサービスを展開しており、顧客にとって、必要な時に最適な形で仮設ソリューションを利用できる環境を構築しています。
こうした顧客課題に根差したサービス提供が評価され、プラットフォーム導入企業数は着実に増加し、定着率も向上しています。リカーリング型収益も堅調に成長しており、当社のプラットフォーム事業は収益の安定化と成長の両立を実現する基盤として機能しています。一方で、業界全体では、デジタル対応や業務効率化の遅れといった課題が依然として存在します。当社はこれらの実情を踏まえ、今後も現場起点でのニーズ把握を継続し、機能・サービスの改善・拡充に積極的に取り組んでまいります。
当社は、仮設業界のプラットフォーマーとして、顧客の課題解決に貢献し続けることで、建設業界の持続的発展に寄与するとともに、自社の企業価値向上にもつなげてまいります。
(サステナブルな成長に向けた経営姿勢)
当社は「2024–2026中期経営計画」に基づき、ROIC 3.0%以上の達成をKPIとし、すべての本部・グループ会社の現場業務に具体的アクションとして落とし込み、定量的にモニタリングする体制を構築しています。また、人的資本投資の観点からも、初任給改定、人事制度改革、DX・付加価値領域の人材採用強化を通じて、持続可能な企業体質への転換を進めております。
加えて、原発関連事業を含む新たな社会インフラ領域や、GX・DX領域でのビジネスチャンスに柔軟に対応できるプラットフォーム体制を整備し、業界全体の課題解決と企業価値の向上を両立してまいります。
(2)経営環境
(市場環境)
2024年度の日本経済は、企業収益の持ち直しや旺盛な海外投資家の買い意欲を背景に、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、緩やかな回復基調がみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東地域における地政学的リスクの高まり、円安進行に伴う輸入物価の上昇、日銀によるゼロ金利政策の解除といった金融政策の正常化など、依然として不確実性の高い外部環境が続いています。
建設業界においては、「2024年問題」による時間外労働規制の適用開始を契機に、施工体制・工程管理への影響が顕在化しました。加えて、技能労働者の不足や高齢化、人件費の上昇といった構造的課題も重なり、人手の確保が一段と難しくなっています。
建設コスト面では、原材料価格や燃料・エネルギーコストの高止まりが継続しており、資材価格の上昇と相まって、請負単価の上昇や工期の遅れなど、プロジェクト遂行に与える影響が拡大しています。また、円安進行による輸入資材のコスト上昇も、企業の調達コストに影を落としています。
一方で、国土強靭化計画や防災・減災の観点から、全国的な社会インフラの更新・補修需要は底堅く推移しており、地方自治体を含む公共投資は一定の水準で継続しています。加えて、eコマースの拡大を背景に物流施設の新設が継続するほか、整備新幹線・都市再開発事業、データセンターや半導体工場など、戦略的な民間設備投資が活発化しています。
また、電力安定供給に向けた原子力発電所の再稼働に伴う安全対策・老朽設備の改修工事など、新たなインフラ投資も動き出しており、分野ごとに建設需要が顕在化しています。
このように、建設業界はコスト・人材・工期といった供給制約への対応を迫られる一方で、中長期的には戦略的な再投資・再構築の動きが広がっており、二極化した市場構造が進行しています。
(リスクと機会)
■リスク
・建設業界の人手不足・高齢化の加速
建設業就業者数は長期的に減少傾向にあり、2025年には団塊世代の大量退職により労働力不足が一層深刻化する見通しです。施工体制の維持が困難となり、工事の遅延・中断リスクが高まっています。
・物流業界の「2024年問題」の継続的影響
トラックドライバーの労働時間規制強化により輸送能力が低下し、建設資材や仮設機材の安定供給に支障をきたす懸念があります。
・建設コストの上昇
円安や原材料高、人件費上昇などを背景に建設原価が高騰しており、発注者側の採算悪化や投資判断の先送りにより、建設需要の下押し要因となっています。
・金利上昇に伴う資金調達負担の増加
日銀の金融政策の正常化に伴う金利上昇により、プラットフォーム事業を含む新規投資に係る資金調達コストが増加し、経営資源の最適配分に影響を及ぼす可能性があります。
・プレキャスト化の進展による現場施工需要の変化
橋梁など大型構造物におけるプレキャスト工法の普及により、現場施工型の支保工や仮設機材の需要が一部縮小しています。
・整備人材・現場支援人員の確保難
整備・点検・現場支援を担う専門人材の確保が年々困難化しており、サービスレベルや提供能力の低下がリスクとなります。
■機会
・建設業界の構造課題に対応するプラットフォームニーズの拡大
深刻な人手不足、省力化要求の高まり、IT・DX対応の遅れといった建設業界の課題に対し、当社のプラットフォームは業務効率化・機材管理の最適化・業務可視化を支援する手段として注目されており、導入の裾野が拡大しています。
・仮設足場の高度化と需要の質的変化
労働安全衛生規則の改正により、安全性・作業性を高めた次世代足場の需要が増加しており、当社が提供する高機能機材の採用が進んでいます。
・再開発・インフラ更新需要の顕在化
リニア中央新幹線や北海道新幹線関連工事、老朽インフラの更新、地震・風水害後の復旧など、国家規模の再開発案件が当社の施工支援領域と高い親和性を有しています。
・成長分野への建設投資拡大
AI・半導体需要の急拡大を背景に、データセンターや製造拠点等への建設投資が進展。再生可能エネルギー、次世代電源施設、原子力発電所の再稼働など、エネルギー分野のインフラ整備において仮設施工支援の需要が高まっています。
・都市部での建替え需要の創出
改正区分所有法などにより老朽マンションの建替えが進むことで、新築工事に伴う仮設機材・施工支援ニーズの発生が期待されます。
・資本効率経営の浸透に伴うアウトソーシング活用
ROICなど資本コストを意識した経営が上場企業を中心に広がり、設備の自社保有を避ける傾向が進行し、外部サービスやプラットフォームの活用が拡大する可能性があります。
・AI・DXによる業務の高度化・新市場創出
現場管理、設計支援、機材運用等におけるAI・DXの導入が進展しており、当社のサービスが新たな業務領域に拡張される余地があります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略
[中期経営計画 2024-2026ビジョン]
タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ
当社グループが提供するタカミヤプラットフォームは、「儲かる」「助かる」そして「喜ばれる」魅力的なサービスへと磨き上げられ、多くの方から選ばれ、相互に収益を拡大、発展成長をもたらします。タカミヤプラットフォームは、当社グループの働き方が根本的に変わる、DXを取り込んだ新しい業務スタイルによって従業員や関係取引先、さらには株主・投資家からも選ばれ、共に発展していける業界に欠かすことができない「エコシステム」となることを目指しております。
[中期経営計画基本方針]
(プラットフォームビジネスの確立・定着による収益基盤の確立)
プラットフォームビジネスは、利用者の囲い込みとリカーリングによって収益が成り立ちます。利用者のインサイトを分析し、魅力的なサービスへと磨き上げることで累積顧客を増加定着させ、リカーリングによる安定収益の確保を目指します。
(DXと人的資本投資による成長基盤の確立)
積極的なDX投資によって、プラットフォームの顧客利便性と当社グループの生産性の双方を向上させます。当社グループの成長基盤を支える人財に対する人的資本投資に力を注ぐことで、プラットフォームの付加価値向上と盤石な成長基盤の構築を目指します。
(海外事業における収益向上)
海外事業子会社は、経営基盤が整備され、収益回収と事業拡大フェーズに移行します。海外子会社があるフィリピン、ベトナム、韓国の他、グローバルな需要に対応できる体制を整え収益の向上を目指します。
(資本コストと株価を意識した経営の浸透)
事業の成長投資が先行するため、有利子負債の増加が見込まれます。有利子負債に限らず資本の効率運用を当社グループに浸透させることで、投下資本利益率の水準を高め、企業価値向上、株主・投資家にとって魅力的な企業を目指します。
[課題・重点施策]
このような環境下において当社グループがビジョン実現のために掲げた基本方針をもって事業を推進してまいります。当社グループが認識した課題に対して、以下の重点施策をもって中期経営計画の実現、事業成長を目指します。
(OPE-MANE利用者の拡大)
プラットフォームの主力サービスである「OPE-MANE」は、プラットフォームの基礎となる顧客基盤を確保する重要な役割を担っています。この利用者を中心に、その他のサービス利用が促進されるため、土台となるOPE-MANE利用者の獲得は重要な課題として認識し、利用者拡大を推進いたします。
(顧客サービスの基幹となる管理物流機能の整備・拡充)
OPE-MANE利用者の利便性を担保するうえで、預り資産の管理運用はサービスの中核を担っています。時間経過と共に増加する預り資産、不足機材を補う賃貸資産の保有増に対応するため、資産を効率よく稼働させる整備体制、利便性を高める好立地へのBase(機材管理物流拠点)の開設は、プラットフォームの魅力を高めるうえで重要であると認識しております。
(顧客の信頼獲得のための安全・安心の可視化)
プラットフォームで預かる資産(仮設機材)は、利用者の所有物であり、それらの減価減耗は、顧客の損失になると同時に当社グループへの信頼の失墜につながります。ゆえに預り資産の管理を透明化し、所有者が常に状態を把握できるよう可視化に努めることは、プラットフォームでの顧客資産の保全並びに信頼獲得に寄与いたします。また、ここでの取り組みが当社グループの生産性向上につながります。
(適正価格による付加価値サービスの提供)
従来仮設機材業界において、安全性や品質について多くを求めず、兎角、サービスの無償提供や価格競争に陥りがちでした。当社グループは、足場の階高を高めることで安全、効率的に作業できる作業用足場を提供し、また、仮設工業会認定以上の品質基準をもって機材の提供を行っています。また、一部義務化されている3D図面の自動生成など高付加価値サービスを提供することで、顧客が納得のいくサービスを提供し、その対価を適正価格にて供給することが業界の質的発展に寄与するものと認識しております。適正価格での提供は、顧客満足度をさらに高めるサービス開発に寄与するものとして、顧客の理解を得ながら継続して取り組んでまいります。
(海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上と、その他需要国への対応)
国内建設市場は、労働者不足などの影響で建設会社が選別受注し、工事量が平準化されつつあります。当社グループは、この状況下でプラットフォームにより安定収益を得るとの方針のもと事業を進めております。一方、海外において収益拡大を計ることも進めております。諸外国では、不安定な社会情勢や大規模災害、新興国での開発など当社グループとしては手つかずの市場があり、それら需要を収益化するための体制の整備が必要と認識しております。
(アグリ事業の抜本的な変革による収益基盤の構築)
仮設以外の事業部門の育成として、農業分野へ進出いたしました。新型コロナウイルス拡大の影響等で就労者不足となった農業は、厳しい環境に置かれています。一方で、食糧自給率を高めようとの政府の政策やアグリビジネスベンチャーの台頭により、生産性の高い高付加価値農業が広がっています。当社グループは、これらベンチャー企業等との連携によって、事業拡大を目指し、埼玉県羽生市にTAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(以下、「TAP」という。)を開設いたしました。多くの企業を招き、TAPにて先端農業の取り組みを発信することで、当社ブランド製品や参画企業の製品の周知拡販を目指します。
(付加価値向上のための人的資本、DXへの積極投資)
当社グループでは、DXによりプラットフォームの高付加価値化に努めています。この高付加価値を生み出すDX・IT人材に対しての投資を積極的に行います。初任給の改定、フレックスタイム制の導入やみなし残業時間の段階的な見直し、教育研修への積極的な投資を実施することで、従業員とのエンゲージメントを高めます。加えて、DX投資により業務改革や顧客サービスの付加価値向上を目指してまいります。
(WACCを上回るROICを実現するためのKPI導入)
当社グループの過年度におけるROICは、WACCを下回っております。資本効率の改善、株主・投資家からの期待に応えるため、ROIC改善は重要課題であると認識しております。ROIC改善のため、当社グループ各社、各部門において、営業利益率と投下資本回転率を向上させる施策を検討し、各施策にKPIを設定してROIC経営の浸透と数値改善を目指します。
(4)目標とする経営指標
当社は、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2025年3月期の連結業績目標の達成に注力してまいります。
中長期的な事業成長を目指す当社といたしましては、安定的な株主還元と成長投資をバランスよく安定的させるため、事業成長と併せて、生産性向上、資本コストと株価を意識した経営を浸透させてまいります。そのため、売上高営業利益率及び投下資本回転率について、それぞれの数値目標を分解し、業務ごとにKPIを設定、実施することで投下資本利益率(ROIC)の向上、グループ内への浸透を目指してまいります。
(中期経営計画数値目標)
|
|
|
2024年3月期 |
中期経営計画 2024-2026 |
|
業績指標 |
連結営業利益 |
3,404百万円 |
3,000百万円 |
|
財務指標 |
売上高営業利益率 |
7.7% |
5.7%以上 |
|
|
ROE |
9.1% |
6.0%以上 |
|
|
ROIC |
4.3% |
3.0%以上 |
|
プラットフォーム指標 |
OPE-MANE利用者数 |
61社 |
累計284社以上 |
(投資計画)
|
|
|
中期経営計画 3ヵ年累計 (百万円) |
|
投資計画 |
賃貸資産投資 |
16,879 |
|
|
Lab・Base投資 |
10,282 |
|
|
DX・人的資本投資 |
3,645 |
|
|
合計 |
30,807 |
(セグメント売上高)
|
|
2024年3月期 (百万円) |
中期経営計画 2027年3月期 (百万円) |
|
プラットフォーム事業 |
- |
9,800 |
|
販売事業 |
12,597 |
11,170 |
|
レンタル事業 |
28,214 |
28,380 |
|
海外事業 |
7,897 |
8,050 |
注)プラットフォーム事業は、販売事業とレンタル事業の両事業から、プラットフォームサービスによる収益を抽出し、プラットフォーム事業として開示いたします。なお当社グループは当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しておりますが、2024年3月期セグメントごとの売上高については、報告セグメント区分変更前の数値で開示しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社は、創業時より繰り返し使用可能な鉄製足場のレンタルを通じて、廃棄資材の削減と資源の有効活用を実現する事業モデルを展開しており、限りある資源に配慮した持続可能な事業運営を企業活動の基本姿勢としてまいりました。
中期経営計画においては、持続可能性を重視した製品開発やオペレーションの最適化、業務効率化などを重点課題と位置づけており、省力化技術の導入や環境配慮型製品の提供、保有資産の稼働率向上を通じて、環境負荷の低減と経済合理性の両立を図っています。
① ガバナンス
当社では、サステナビリティに関する課題への対応を経営上の優先事項のひとつと捉え、関連する情報の収集および全社的議論の場を設けています。具体的には、リスク・コンプライアンス委員会を中心に、気候変動や法規制、事業継続に関する非財務的課題の把握・検討を進めており、必要に応じて取締役会への報告・答申を行う体制を整備しています。
現時点では、こうした情報を経営戦略や設備投資判断に本格的に組み込むには至っておりませんが、サステナビリティに関する課題や取り組みが将来的な事業競争力に与える影響を踏まえ、方針レベルでの検討を継続しています。今後は、社内体制の強化と情報の整備を進め、より実効性あるガバナンス体制の確立を目指します。
② リスク管理
当社では、気候変動に関するリスクと機会の把握に向け、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を参考に、移行リスクや物理リスクの整理と社内検討を行っています。社内では、気候シナリオに基づく簡易な事業影響評価を試行的に実施したほか、再生可能エネルギーの活用や製品ライフサイクルを通じた環境負荷削減の可能性についても検討を進めています。ただし、現時点ではこれらの分析は定性的・初期的な段階にあり、財務的影響の定量的評価や経営判断への直接的な反映には至っておりません。
なお、当社はCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への開示を行い、気候関連リスクに対する一定程度の外部発信と透明性の確保に取り組んでいます。今後は、情報整備と社内分析体制の強化を図りつつ、実効的なリスク管理体制の構築に向けて段階的に取り組んでまいります。
(2)人的資本
当社は、社是である「愛」のもと「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げ、人材は極めて重要な資産と認識し、持続的な企業価値向上を実現するための源泉と考えております。従業員一人ひとりが高いモチベーションを維持し、向上心を持って高い目標にチャレンジすることで、企業の持続的成長が実現可能となります。そのために企業は、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるよう個々の能力やキャリア開発の場を提供し、自己実現をサポートする様々な支援を行うこと、そして公正で納得性の高い人事制度、処遇を整備していくことが基本であると考えております。
① 戦略
当社では年齢・性別・国籍・障碍の有無などにかかわらず、多様な人材を登用し、強みや個性・能力を最大限発揮できる機会・環境を整備しています。働きやすさ、働き甲斐を追求し、エンゲージメントを向上させることで、持続的な企業価値の向上を目指します。
具体的施策は以下の通りです。
当社では、多様な人材が多様な働き方を選択できる職場環境の実現に向け、オフィスのコンセプトを「憩いの場・癒しの場」と定め、執務室を最小限にしてリフレッシュスペースを広げるなどのリニューアルに取り組んでいます。また、DX化を推進し、リモートワークや営業職の直行直帰の推進、部署単位のフレックスタイム制を導入し、社員が自身に合った働き方を選択できるよう、環境整備に取り組んでいます。2022年からは地域や部署の垣根を超えて互いの業務を手伝い、対価として社内コインの受け渡しを行う「コイン制度」を開始しました。これにより全社の生産性向上はもちろん、社員のスキルアップにも繋がり、かつ拠点間の業務連携が進んだことにより部署異動の必要がなくなるなど、転勤の廃止の実現にも繋がっています。その他、最大4週間の休暇が取得できるリフレッシュ休暇制度など、多様な働き方の実現に向け、様々な施策に取り組んでいます。
能力開発の分野においては、従来型の研修に加え、外部のプロ人材による社内ビジネススクールの開催、1年目から5年目までの若手社員を対象に、若手社員自らが企画した、ビジネススキルの習得から社内制度、事業理解を促進するための研修を実施するなど、社員のスキル向上を図っています。昨年からは経営戦略に沿う成果をあげた組織・個人を表彰する新たな社内表彰制度である「Takamiya Award」を開始し、社員の能力向上とともに、エンゲージメントの向上を図っています。
また、当社では社員が会社の事業や経営方針等の理解を促進するため、経営状態や方針など社内情報をリアルタイムで深めることが出来る「Web社内報」の発信など、社員が自律的に行動出来る環境作りに努めています。
さらに毎月1回、全社員に向けにWeb会議システムを使ってトップメッセージを発信するなど、経営と社員の高度の相互理解・関係構築を図ることで、エンゲージメント向上に繋げています。
② 指標及び目標
多様性を表す指標である女性および外国人の管理職比率は現状1%程度となっており、業界も含めた大きな課題と認識しております。今後この比率を高めていくため、女性および外国人の総合職を採用し、管理職候補となる母集団を拡大するとともに、将来の管理職候補者たる「係長」の裾野を拡大し、長期目標の達成に向け、女性および外国人管理職の採用・育成・登用を推進して参ります。
|
|
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
長期目標 |
|
|
2人 |
2人 |
|
|
|
|
(1.3%) |
(1.3%) |
( |
( |
|
|
7人 |
11人 |
|
|
|
|
(9.7%) |
(13.8%) |
( |
( |
|
|
7人 |
7人 |
|
|
|
|
(19.4%) |
(38.9%) |
( |
( |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)建設投資動向等の影響について
当社グループは、建設用仮設機材の開発・製造・販売及びレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)貸倒れリスクについて
当社グループの取引先は3,000社以上に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に対して分散されております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになりますが、当社グループの取引先のほとんどは建設会社であり、建設業界を含む全般的な景気低迷の結果、売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。そのため当社グループでは、信用不安のある取引先とはその信用状況を勘案して慎重に取引を行うように努めております。
(3)借入金を中心とした有利子負債への依存について
当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金、社債及び割賦払いにより調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
|
|
2024年3月期 (百万円) |
2025年3月期 (百万円) |
|
有利子負債残高 (対総資産額比率) |
34,164 (49.6%) |
41,203 (54.9%) |
|
純資産額 (自己資本比率) |
22,157 (31.1%) |
22,583 (29.2%) |
|
総資産額 |
68,945 |
75,076 |
|
支払利息 |
269 |
390 |
(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、社債(1年内償還予定のものを含む)、リース債務(流動負債及び固定負債)、流動負債の「その他」のうちの未払金、固定負債の「その他」のうちの長期未払金の合計であります。
(4)長期借入金等の財務制限条項について
当社は、金融機関数社とシンジケートローン契約を締結しておりますが、これらの契約には、各年度の中間期末及び年度決算期末における連結貸借対照表において、純資産の部の金額が資産の部の合計額の10%を下回らないことや、各年度の決算期末における連結損益計算書の経常損益の額が2期連続して赤字とならないこととする財務維持要件が付加されております。これらの条件に抵触した場合には、シンジケート団の貸付金額の三分の二以上を占める多数貸出人の要請があれば、当社は期限の利益を喪失し直ちに返済義務を負うこととなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)仕入価格の変動について
当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鋼製品であり、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により仕入価格が著しく変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)建設業法について
当社工事部が行う仮設工事事業及びアグリ事業部が行う農業用ハウス建設工事事業は、建設業法に定められた特定建設業「とび・土工工事業」の許可を受け施工しております。工事部の主な取引先は建設会社又はリフォーム業者等、アグリ事業部の主な取引先は農業協同組合等であり、取引を行う場合建設業の許可を取得していることは必須事項となっておりますので、建設業許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性がございます。
(7)為替変動リスクについて
為替相場の変動は、連結決算における在外子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)製造物責任(PL)について
当社グループの製品及び商品には、製造物責任のリスクが内在しております。製品の欠陥や商品の経年劣化に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により補填できない事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)自然災害・感染症の流行について
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行により操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、国内外での生産拠点及びレンタル機材物流拠点の分散や従業員の安全確保及び早期復旧対策等を実施しておりますが、予想を超える規模・範囲での従業員や建物の被災や新型インフルエンザ等世界規模での感染症流行が発生した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、流行中の新型コロナウイルスについては、在宅勤務比率の引上げや交代勤務、営業人員の直行直帰徹底により従業員の感染リスクを抑えながら、顧客への製品・サービス供給を維持しております。今後も供給責任を果たすべく、働き方と生産性の検証を進めて参ります。
(10)システム及び情報セキュリティに関するリスクについて
当社グループのシステムは、事業を行う上の重要なITインフラであり、システム障害の未然防止や障害発生時の早期復旧や冗長化を前提とした適切な設計を行い、セキュリティ面の安全性に配慮したシステムの導入及び構築に努めております。しかしながら、システム上に新たな脆弱性が出現した場合や新型のサイバー攻撃を受けたことに起因し、情報セキュリティ事故が発生した場合、これらにより業務遂行に支障をきたす可能性、また保有している個人情報や機密情報等に毀損又は漏洩が生じる可能性は排除できません。このような事態が発生した場合、損害賠償金や対策費用を支払うことにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、個人消費が堅調に推移し緩やかな景気の回復が見られたものの、欧米の高金利政策、アメリカの政策動向による景気の下振れに加え、長期化するウクライナ紛争などの地政学リスク等、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような環境の中で、当社グループは2024年5月10日に「プラットフォームビジネスの確立、定着による収益基盤の確立」、「DXと人的資本投資による成長基盤の確立」、「海外事業における収益向上」、「資本コストと株価を意識した経営の浸透」の4項目を基本方針とした、「中期経営計画2024-2026」を発表いたしました。本中期経営計画では、「タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ」という経営ビジョンを掲げております。
a.財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、75,076百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,131百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の増加1,058百万円、受取手形の減少1,760百万円、賃貸資産(純額)の増加2,745百万円、建物及び構築物(純額)の増加1,380百万円等によるものであります。
負債合計は、52,492百万円となり、前連結会計年度末と比べ5,705百万円増加いたしました。この主な要因は、短期借入金の増加2,855百万円、社債(1年内償還予定の社債を含む)の減少785百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の増加5,512百万円等によるものであります。
純資産合計は、22,583百万円となり、前連結会計年度末と比べ426百万円増加いたしました。この主な要因は、利益剰余金の増加580百万円等によるものであります。
b.経営成績の状況
当連結会計年度の経営成績は、売上高43,827百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益2,061百万円(前年同期比39.4%減)、経常利益1,856百万円(前年同期比48.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,230百万円(前年同期比34.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、当社グループの方向性や戦略を正確に理解していただくため、セグメントを従来の販売事業、レンタル事業、海外事業に加えて「プラットフォーム事業」を新規設定し、4セグメントで開示しております。
(プラットフォーム事業)
「Takamiya Lab.West」のグランドオープンにより、「タカミヤプラットフォーム」への関心は高まり、第4四半期連結会計期間において「OPE-MANE」導入キャンペーンなどを実施した結果、新規アカウント数は増加いたしましたが、購入顧客の購入時期の遅れを取り返すには至らず、新規アカウント数の増加に関しては、期初の想定より低調となりました。しかしながら、前年同期比で「OPE-MANE」を中心にタカミヤプラットフォームの活用は拡大しており、追加部材の納入などの付属サービス売上は順調に増加いたしました。
これらの結果、売上高5,184百万円(前年同期比85.4%増)、営業利益1,205百万円(前年同期比109.2%増)となりました。
(販売事業)
仮設部門においては、国内建設需要は堅調であるものの、人材不足等による工事延期や、金融引き締め等による景気後退懸念等、先行き不透明な状況を懸念する動きは引き続き見られ、結果として、レンタルでの対応の動きが継続いたしました。
仮設部門以外においては、太陽光関連において、前期のような大型案件がなく、大きく売上が減少いたしました。利益面においては仮設機材、太陽光関連の売上減少や、アグリ事業において工事遅延により工事損失引当金を計上したことにより、大きく減益となっております。
これらの結果、売上高9,313百万円(前年同期比17.9%減)、営業利益270百万円(前年同期比79.0%減)となりました。
(レンタル事業)
レンタル事業につきましては、日本国内の建築分野、土木分野ともに建設環境は活況な状況は続いております。しかし、北海道新幹線延伸工事等の大型現場の出荷に備え、出荷予定機材を確保していたため、現場の着工遅れなどの影響を大きく受けました。結果として、前連結会計年度と比べ、稼働のピークアウトが早く、直近では、出荷量も下回りました。また、プラットフォーム事業の主力サービスである「OPE-MANE」のユーザー数が前年同期比で増加したことにより、プラットフォーム事業売上が増加し、一部レンタル事業の売上は減少しました。
これらの結果、売上高27,087百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益3,214百万円(前年同期比12.0%減)となりました。
(海外事業)
製造分野では、原材料・部品の調達に大きな影響はなく、ホリーベトナム(ベトナム)、ホリーコリア(韓国)ともに建設用仮設機材の日本向け出荷は堅調に推移しております。
海外営業部門のあるホリーコリアでは、韓国国内の経済不安や金利上昇などの影響により景気停滞し、依然として建設投資が低調に推移いたしました。結果、販売、レンタルともに前期対比で売上、利益ともに減少いたしました。
DIMENSION-ALL INC.(フィリピン)では、大型プロジェクトの計画見直しにより、見込んでいた売上が減少いたしましたが、その他現場の受注を進めた結果、前年同水準で推移いたしました。
これらの結果、売上高6,868百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益347百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,064百万円増加し、8,524百万円(前年同期比14.3%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、585百万円の支出(前連結会計年度は180百万円の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益1,784百万円、減価償却費5,836百万円、賃貸資産の取得による支出2,333百万円、棚卸資産の増加額5,550百万円等があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,542百万円の支出(前連結会計年度は3,187百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,154百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,139百万円等があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6,147百万円の収入(前連結会計年度は2,798百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入11,588百万円、長期借入金の返済による支出6,125百万円等があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
プラットフォーム事業(百万円) |
- |
- |
|
販売事業(百万円) |
6,382 |
85.9 |
|
レンタル事業(百万円) |
- |
- |
|
海外事業(百万円) |
4,984 |
91.9 |
|
合計(百万円) |
11,367 |
88.4 |
(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループは、製造する製品のほとんどが見込生産であり、レンタルや販売する製品についても、顧客企業と締結している契約に規定されているのは、料金算定の基礎となる単価及び概算の見積金額であり、受注金額の算定に必要なレンタル期間や滅失機材の数量等については、工事の進捗状況や使用状態により変動いたします。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
プラットフォーム事業(百万円) |
5,184 |
185.4 |
|
販売事業(百万円) |
8,937 |
79.6 |
|
レンタル事業(百万円) |
26,843 |
100.9 |
|
海外事業(百万円) |
2,861 |
82.1 |
|
合計(百万円) |
43,827 |
99.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、売上高43,827百万円(前年同期比0.7%減)となりました。利益面においては、子会社の役員退職慰労引当金の見直し、プラットフォーム事業拡大のための先行投資による減価償却費及び、人的資本投資(人件費等)の増加により、営業利益2,061百万円(前年同期比39.4%減)、経常利益1,856百万円(前年同期比48.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,230百万円(前年同期比34.8%減)となりました。
セグメント別では、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、当社グループの方向性や戦略を正確にご理解いただくため、セグメントを従来の販売事業、レンタル事業、海外事業に加えて「プラットフォーム事業」を新規設定し、4セグメントで開示しております。
(プラットフォーム事業)
プラットフォーム事業につきましては、売上高5,184百万円(前年同期比85.4%増)、営業利益1,205百万円(前年同期比109.2%増)となり売上高、営業利益ともに増加いたしました。
「Takamiya Lab.West」のグランドオープンにより、「タカミヤプラットフォーム」への関心は高まり、第4四半期連結会計期間において「OPE-MANE」導入キャンペーンなどを実施した結果、新規アカウント数は増加いたしましたが、購入顧客の購入時期の遅れを取り返すには至らず、新規アカウント数の増加に関しては、期初の想定より低調となりました。しかしながら、前年同期比で「OPE-MANE」を中心にタカミヤプラットフォームの活用は拡大しており、追加部材の納入などの付属サービス売上は順調に増加いたしました。
当社が展開する「タカミヤプラットフォーム」は、建設業界が抱える構造的課題に対するソリューションとして位置づけており、将来的には業界全体の業務効率化や労働力不足の解消に資する成長性の高い事業であると認識しております。主要サービスであるOPE-MANEは、仮設機材の管理業務を当社が一括して担うことにより、顧客における業務の省力化・省人化およびコスト削減を実現するものであり、経営資源の最適配分に寄与するサービスとして提供しております。しかしながら、現時点では業界内での周知および浸透が十分とは言えず、引き続き提案活動や啓発を強化し、導入促進に努めてまいります。
あわせて、OPE-MANEに加え、タカミヤプラットフォーム上で提供可能な新たなサービスコンテンツの企画・開発を推進し、顧客価値の最大化を図るとともに、当社プラットフォームの競争優位性を高めてまいります。
(販売事業)
販売事業につきましては、売上高は9,313百万円(前年同期比17.9%減)、営業利益は270百万円(同79.0%減)となり、減収増益となりました。
a. 仮設関連(足場等の仮設機材)
仮設機材の主力製品である「Iqシステム」および「Sウォーク」等については、プラットフォーム事業における主要サービスであるOPE-MANE(オペレーティング・マネジメント・サービス)向けへの移行が進んだことにより、通常販売が減少いたしました。通常販売においては、顧客自身による機材管理が前提となることから、販売価格の上昇、将来的な人材不足による保守負担の増大、ならびに金利上昇の懸念といった不確実性に加え、レンタル価格の上昇傾向が鈍化していることも影響し、顧客による購買抑制がみられました。こうした環境を踏まえ、今後もOPE-MANEへのシフトが進行することが想定されます。
b. 中古品(足場の下取り販売等)
プラットフォーム事業においてOPE-MANEを通じた販売が前年を大きく上回る中、顧客から下取りした仮設機材の再販が堅調に推移いたしました。一方で、下取り機材の一部が棚卸資産として滞留している状況も見られることから、今後は投下資本回転率の改善を目的として、在庫圧縮に向けた販売活動を一層強化してまいります。
c. 環境関連(アグリ・太陽光関連製品)
アグリ事業および太陽光発電(PV)関連製品においては、大型案件の一巡により、前連結会計年度を下回る実績となりました。PV関連の主力製品である太陽光パネル設置用架台については、将来的な技術革新による市場の変化を注視しております。アグリ事業では、パイプハウスの販売が全体をけん引したものの、原材料価格の高騰や「2024年問題」に伴う工事費上昇等により、顧客の投資負担が増大し、高価格帯である鉄骨ハウスの新規案件の進捗は全体として低調に推移いたしました。
d. 建材・構造材(制震材や耐震材などの構造材)
構造材においては、前期に売上高を大きくけん引した大型案件が一巡したことに加え、当連結会計年度における新規の引き合いも限定的であったことから、売上は前年を大きく下回る結果となりました。今後は、引き合いの拡大を図るとともに、設計段階からの案件折込みなど上流工程へのアプローチを強化し、受注機会の創出に向けた営業活動を推進してまいります。
(レンタル事業)
当連結会計年度におけるレンタル事業の売上高は27,087百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は3,214百万円(同12.0%減)となり、増収減益となりました。
利益面では、大型案件における現場着工の遅れや、レンタル価格の改定が想定より進捗しなかったことにより、売上総利益が減少いたしました。加えて、将来的な成長を見据えた先行投資の実施や、連結子会社における役員退職慰労引当金の見直し等に伴い、人件費および減価償却費を中心に販売費及び一般管理費が増加したことが、営業利益の減少要因となりました。
建設市場においては、建築・土木分野ともに引き続き堅調な需要環境が継続しておりますが、北海道新幹線延伸工事などの大型案件への出荷に備えた機材の確保を行っていたものの、当該現場の着工遅延により出荷タイミングが後ろ倒しとなりました。その結果、前連結会計年度と比較して機材稼働のピークが早期に過ぎ、直近の出荷量も前年を下回る水準で推移しております。
また、プラットフォーム事業の主力サービスである「OPE-MANE」のユーザー数が前年同期比で増加したことに伴い、プラットフォーム経由で提供されるサービス売上が拡大し、これにより一部レンタル事業での売上が減少する構造的変化もみられました。
(海外事業)
当連結会計年度における製造・海外事業の売上高は6,868百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益は347百万円(同8.3%増)となり、減収増益となりました。
製造分野では、原材料や部品の調達に大きな影響はなく、HORY VIETNAM(ベトナム)およびHORY KOREA(韓国)からの日本国向け建設用仮設機材の出荷が堅調に推移し、日本市場における安定した需要が収益の下支えとなりました。一方、海外営業を担うHORY KOREAにおいては、韓国国内の経済不安や金利上昇の影響により、建設投資が引き続き低調に推移し、販売・レンタルの両面で売上および利益は前年を下回る結果となりました。
また、DIMENSION-ALL INC.(フィリピン)では、大型プロジェクトの計画見直しに伴い当初見込んでいた売上は減少したものの、その他の現場での受注を確保したことにより、前年同水準を維持いたしました。
このような外部環境の影響を受けつつも、日本国向けの需要に対する製品供給の継続、およびこれまで取り組んできた経営基盤の整備による業務効率の向上が奏功し、営業利益は前年を上回る結果となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、掲げている「タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ」という経営ビジョン達成のための設備投資と、日々の生産及び営業活動に必要な運転資金です。これらの資金需要の当社グループの調達方針は、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」を基本方針としております。
安定的・継続的な資金調達を目的に、国内においては、参加金融機関10行とのシンジケートローンによる資金調達をメインとしております。海外の必要資金については、親子ローンを実行する一方で、参加金融機関3行とのグローバル・クレジット・ファシリティー契約に基づく、各海外子会社の自国通貨での調達を行なう事で、調達コスト及び為替変動リスクの低減に努めております。また、当社グループの有利子負債総額の半分程度を、金利スワップ等により固定化する事で金利上昇リスクの低減にも努めております。
金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な資金の安定的・継続的な調達は、今後も可能であると考えております。
今後も、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」という二つの方針の両立を目指すべく、間接金融または直接金融の多様な調達手段の中から、当社にとって有利な手段を適宜選択し、資金調達を行ってまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りに関しましては、当社グループにおける過去の実績率等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年内閣府令第81号。以下、「改正府令」という。)の第3条第4号に従い、改正府令にて新たに開示が求められている「企業・株主間のガバナンスに関する合意」、「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」及び「ローン契約に付される財務上の特約」について、改正府令の施行日(2024年4月1日)前に締結された契約については、記載を省略しております。
(金銭消費貸借契約)
当社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結いたしました。
契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
(1)2024年6月25日契約締結のシンジケートローン契約について
① 契約の概要
契約金額 4,000百万円
借入利率 3ヶ月Tibor+0.7%
契約期限 2029年4月27日
担保 無担保
保証 無保証
② 金銭消費貸借契約の相手方の属性
都市銀行、地方銀行及び協同組織金融機関等
③ 金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高
4,000百万円
④ 財務制限条項
イ.各年度の決算期及び中間期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の金額を、資産の部の金額の10%の金額以上にそれぞれ維持すること。
ロ.各年度の決算期に係る連結損益計算書上の経常損益に関して、2期連続して経常損失を計上しないこと。
(2)2024年12月17日契約締結のシンジケートローン契約について
① 契約の概要
契約金額 4,000百万円
借入利率 1.215%
契約期限 2032年12月20日
担保 無担保
保証 無保証
② 金銭消費貸借契約の相手方の属性
都市銀行、地方銀行及び協同組織金融機関等
③ 金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高
3,875百万円
④ 財務制限条項
イ.各年度の決算期及び中間期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の金額を、資産の部の金額の10%の金額以上にそれぞれ維持すること。
ロ.各年度の決算期に係る連結損益計算書上の経常損益に関して、2期連続して経常損失を計上しないこと。
(企業結合等関係)
当社は、日建リース株式会社の全株式を2025年2月28日に取得し完全子会社といたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
なお、当該研究開発費は、当社における建設用仮設機材等の開発によるものであります。